(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073799
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】圧縮機および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F04C 29/00 20060101AFI20240523BHJP
F04C 23/00 20060101ALI20240523BHJP
F04C 29/12 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F04C29/00 B
F04C23/00 F
F04C29/00 C
F04C29/12 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184699
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 卓也
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA09
3H129AA10
3H129AA13
3H129AA32
3H129AB03
3H129BB32
3H129BB33
3H129CC03
3H129CC04
3H129CC17
3H129CC23
(57)【要約】
【課題】圧縮性能や潤滑性能を悪化させることなく、信頼性を高めることが可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機の圧縮機構部は、回転軸と、第1の軸受および第2の軸受と、複数のシリンダと、仕切板軸受とを有する。回転軸は、駆動機構部に連結される。第1の軸受および第2の軸受は、回転軸を回転自在に支持する。複数のシリンダは、第1の軸受と第2の軸受との間で回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されるとともに、各々がシリンダ室で作動流体を圧縮する。仕切板軸受は、回転軸の軸方向に隣り合うシリンダの間に配置され、回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有する。複数のシリンダは、回転軸の軸方向において仕切板軸受を挟んで両側にそれぞれ少なくとも一つずつ配置される。仕切板軸受は、該仕切板軸受を挟んだ両側で各々のシリンダを仕切板軸受に固定する固定部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、
前記密閉容器の内部に収容され、作動流体を圧縮する圧縮機構部と、
前記圧縮機構部を駆動する駆動機構部と、を備え、
前記圧縮機構部は、
前記駆動機構部に連結された回転軸と、
前記回転軸を回転自在に支持する第1の軸受および第2の軸受と、
前記第1の軸受と前記第2の軸受との間で前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されるとともに、各々がシリンダ室を規定して前記シリンダ室で前記作動流体を圧縮する複数のシリンダと、
前記回転軸の軸方向に隣り合う前記シリンダの間に配置され、前記回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有する仕切板軸受と、を有し、
複数の前記シリンダは、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受を挟んで両側にそれぞれ少なくとも一つずつ配置され、
前記仕切板軸受は、該仕切板軸受を挟んだ両側で各々の前記シリンダを前記仕切板軸受に固定する固定部を有する
圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮機構部は、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受の一方側に配置された第1のシリンダと、他方側に配置された第2のシリンダと、を有し、
前記仕切板軸受、前記第1のシリンダ、および前記第2のシリンダは、前記固定部において一体化された組付体を構成し、
前記組付体は、前記第1の軸受および前記第2の軸受の少なくとも一方に固定される
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記第1のシリンダと前記第2のシリンダとは、いずれも前記仕切板軸受の前記軸受孔の中心を基準に調心されている
請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記回転軸は、該回転軸の軸心に対して偏心して前記第1のシリンダの第1のシリンダ室に配置される円盤状の第1のクランク部と、前記軸心に対して偏心して前記第2のシリンダの第2のシリンダ室に配置される円盤状の第2のクランク部と、を有し、
前記仕切板軸受の前記軸受孔の孔径をDj、前記第1のクランク部および前記第2のクランク部の少なくとも一方の外径をDcとし、外径をDcとした少なくとも前記一方のクランク部の中心軸線と前記軸心との距離をEとした場合、
Dj/2≧(Dc/2)+E
なる関係を満たす
請求項2に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記固定部は、内周に雌ねじを有するねじ孔である
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記圧縮機構部は、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受の一方側に前記第1のシリンダに加えて配置された第3のシリンダと、他方側に前記第2のシリンダに加えて配置された第4のシリンダと、を有し、
前記回転軸は、前記第1のクランク部および前記第2のクランク部に加えて、
前記軸心に対して偏心して前記第3のシリンダの第3のシリンダ室に配置される円盤状の第3のクランク部と、前記軸心に対して偏心して前記第4のシリンダの第4のシリンダ室に配置される円盤状の第4のクランク部と、を有し、
前記仕切板軸受、前記第1のシリンダ、および前記第2のシリンダは、前記固定部において一体化された第1の組付体を構成し、
前記第3のシリンダおよび前記第1の軸受は、一体化されて前記第1の組付体に組み付けられる第2の組付体を構成し、
前記第4のシリンダおよび前記第2の軸受は、一体化されて前記第1の組付体に組み付けられる第3の組付体を構成する
請求項4に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記圧縮機構部は、前記第1のシリンダで圧縮された前記作動流体を吐出する吐出ポートが設けられた第1の仕切板と、前記第2のシリンダで圧縮された前記作動流体を吐出する吐出ポートが設けられた第2の仕切板と、を有し、
前記第1の仕切板は、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受とは反対側で前記第1のシリンダと接して配置され、
前記第2の仕切板は、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受とは反対側で前記第2のシリンダと接して配置され、
前記第1の仕切板の内径および前記第2の仕切板の内径は、いずれも前記仕切板軸受の前記軸受孔の孔径よりも小さい
請求項2に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記圧縮機構部は、前記回転軸の軸方向において、前記第1の軸受と前記仕切板軸受との間に配置された少なくとも一つの前記シリンダを含む第1のシリンダ群と、前記第2の軸受と前記仕切板軸受との間に配置された少なくとも一つの前記シリンダを含む第2のシリンダ群と、を有し、
前記第2のシリンダ群の各々の前記シリンダ室は、前記第1のシリンダ群の各々の前記シリンダ室で圧縮された前記作動流体をさらに圧縮する
請求項1に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記第2のシリンダ群は、各々の前記シリンダ室で圧縮された前記作動流体を前記密閉容器内に吐出する
請求項8に記載の圧縮機。
【請求項10】
前記回転軸の軸方向は、鉛直方向に沿っており、
前記第2のシリンダ群は、前記第1のシリンダ群よりも上方に配置されている
請求項8に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記圧縮機構部は、前記第1のシリンダ群の各々の前記シリンダ室に前記密閉容器の外部から前記作動流体を吸い込む一本の低段吸込管と、前記第1のシリンダ群の各々の前記シリンダ室で圧縮された中間圧力の前記作動流体を前記密閉容器の外部に吐出する一本の低段吐出管と、前記第2のシリンダ群の各々の前記シリンダ室に前記密閉容器の外部から前記中間圧力の前記作動流体を吸い込む一本の高段吸込管と、を有する
請求項10に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記低段吸込管、前記低段吐出管、および前記高段吸込管は、前記圧縮機構部の同一部品に接続される
請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記低段吸込管、前記低段吐出管、および前記高段吸込管は、前記第1のシリンダ群の同一の前記シリンダに接続される
請求項12に記載の圧縮機。
【請求項14】
前記第1のシリンダ群は、二つの前記シリンダを有し、
前記第2のシリンダ群は、二つの前記シリンダを有し、
前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記第1のシリンダ群の二つの前記シリンダのうち、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受側に位置する前記シリンダに固定される
請求項8に記載の圧縮機。
【請求項15】
前記回転軸は、前記第1のシリンダ群の二つの前記シリンダの各々の前記シリンダ室において該回転軸の軸心に対して偏心した円盤状の二つのクランク部と、前記第2のシリンダ群の二つの前記シリンダの各々の前記シリンダ室において前記軸心に対して偏心した円盤状の二つのクランク部と、を有し、
前記第1のシリンダ群および前記第2のシリンダ群においてそれぞれ前記仕切板軸受寄りに位置する前記クランク部の前記軸心からの偏心方向は同一であり、それ以外の前記クランク部の前記軸心からの偏心方向は前記仕切板軸受寄りに位置する前記クランク部の前記軸心からの偏心方向とは反対の同一方向である
請求項8に記載の圧縮機。
【請求項16】
前記圧縮機構部は、前記第1のシリンダ群および前記第2のシリンダ群の各々の前記クランク部の外周に嵌合されて前記回転軸の前記軸心に対して偏心回転する円盤状のローラと、前記第1のシリンダ群および前記第2のシリンダ群の各々の前記シリンダ室に進退して該シリンダ室に前記作動流体を圧縮する圧縮室を区画するブレードと、を有し、
前記第1のシリンダ群の各々の前記シリンダ室に進退する前記ブレードと、前記第2のシリンダ群の各々の前記シリンダ室に進退する前記ブレードとは、前記ローラの偏心回転方向における位相が異なる
請求項15に記載の圧縮機。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載された圧縮機と、
前記圧縮機に接続された凝縮器と、
前記凝縮器に接続された膨張装置と、
前記膨張装置に接続された蒸発器と、を備える
冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数のシリンダを備えた回転式の圧縮機(多気筒回転式圧縮機)、および該圧縮機を備えた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機に用いられる多気筒型の回転式圧縮機(ロータリコンプレッサ)は、密閉容器の内部で作動流体としての冷媒を圧縮する圧縮機構部を備えている。
圧縮機構部は、仕切板で隔てられた複数のシリンダ室と、シリンダ室に収まる複数のクランク部を有する回転軸と、を備え、各クランク部の外周面に嵌合されたローラがシリンダ室内で偏心回転する。これにより、シリンダ室の吸込領域および圧縮領域の容積が変化し、シリンダ室に吸い込まれた冷媒が圧縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/11754号パンフレット
【特許文献2】特許第5217876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、仕切板は、回転軸を回転自在に支持し、軸方向(回転軸が延びる方向)において仕切板の上下に配置されるシリンダのシリンダ室の一端面を規定する軸受(仕切板軸受)として構成される場合がある。このように、軸方向において仕切板軸受を挟んだ両側にシリンダが配置される場合、一方のシリンダは仕切板軸受に先に固定され、他方のシリンダは該シリンダのシリンダ室の他端面を規定する軸受(仕切板軸受とは別の軸受)に固定された後、これらのシリンダが一体化される。その際、仕切板軸受の軸心と前記別の軸受の軸心とにずれが生じると、各々のシリンダのこれら軸心に対するずれが拡大するおそれがあり、性能や信頼性を悪化させる要因ともなる。
【0005】
また、作動流体である冷媒の脈動を抑制するため、低段側のシリンダで圧縮した冷媒を高段側のシリンダでさらに圧縮する二段階圧縮を行う場合、これらのシリンダの各々のシリンダ室に潤滑油を適切に給油する必要がある。
【0006】
本発明の目的は、軸方向において仕切板軸受を挟んだ両側にシリンダが配置される場合であっても、圧縮性能や潤滑性能を悪化させることなく、信頼性を高めることが可能な圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、圧縮機は、密閉容器と、圧縮機構部と、駆動機構部とを備える。前記圧縮機構部は、前記密閉容器の内部に収容され、作動流体を圧縮する。前記駆動機構部は、前記圧縮機構部を駆動する。また、前記圧縮機構部は、回転軸と、第1の軸受および第2の軸受と、複数のシリンダと、仕切板軸受とを有する。前記回転軸は、前記駆動機構部に連結される。前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記回転軸を回転自在に支持する。複数の前記シリンダは、前記第1の軸受と前記第2の軸受との間で前記回転軸の軸方向に間隔をあけて配置されるとともに、各々がシリンダ室を規定して前記シリンダ室で前記作動流体を圧縮する。前記仕切板軸受は、前記回転軸の軸方向に隣り合う前記シリンダの間に配置され、前記回転軸を回転自在に支持する軸受孔を有する。複数の前記シリンダは、前記回転軸の軸方向において前記仕切板軸受を挟んで両側にそれぞれ少なくとも一つずつ配置される。前記仕切板軸受は、該仕切板軸受を挟んだ両側で各々の前記シリンダを前記仕切板軸受に固定する固定部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る冷凍サイクル装置の構成を概略的に示す回路図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る圧縮機を概略的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、第2の実施形態に係る圧縮機を概略的に示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、第3の実施形態に係る圧縮機を概略的に示す縦断面図である。
【
図5】
図5は、第3の実施形態に係る圧縮機を概略的に示す
図4に示す縦断面と直交する縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す矢印B6で示す箇所における圧縮機(第1のシリンダ)を矢印方向から概略的に示す軸方向の横断面図である。
【
図7】
図7は、
図4に示す矢印B7で示す箇所における圧縮機(第2のシリンダ)を矢印方向から概略的に示す軸方向の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る空気調和機1の冷凍サイクル回路図である。空気調和機1は、かかる冷凍サイクルにより空気調和を行う装置であり、冷凍サイクル装置の一例である。空気調和機1は、主たる要素として、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、室外送風機400、膨張装置5、室内熱交換器6、および室内送風機600を備えている。
【0010】
図1に示すように、圧縮機2の吐出側は、四方弁3の第1ポート3aに接続されている。四方弁3の第2ポート3bは、室外熱交換器4に接続されている。室外熱交換器4は、膨張装置5を介して室内熱交換器6に接続されている。室内熱交換器6は、四方弁3の第3ポート3cに接続されている。四方弁3の第4ポート3dは、アキュムレータ8を介して圧縮機2の吸込側に接続されている。
【0011】
作動流体である冷媒は、圧縮機2の吐出側から室外熱交換器4、膨張装置5、室内熱交換器6、およびアキュムレータ8を経由し、吸込側に至る循環回路7を循環する。
例えば、空気調和機1が冷房モードで運転を行う場合、四方弁3は、第1ポート3aが第2ポート3bに連通し、第3ポート3cが第4ポート3dに連通するように切り替わる。冷房モードで空気調和機1の運転が開始されると、圧縮機2で圧縮された高温・高圧の気相冷媒が循環回路7に吐出される。吐出された気相冷媒は、四方弁3を経由して凝縮器(放熱器)として機能する室外熱交換器4に導かれる。
【0012】
室外熱交換器4に導かれた気相冷媒は、室外送風機400で吸い込まれた空気(外気)との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。高圧の液相冷媒は、膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器(吸熱器)として機能する室内熱交換器6に導かれるとともに、室内送風機600で吸い込まれた空気(内気)と室内熱交換器6を通過する過程で熱交換する。
【0013】
この結果、気液二相冷媒は、空気から熱を奪って蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。室内熱交換器6を通過する空気は、液相冷媒の蒸発潜熱により冷やされ、室内送風機600によって空調(冷房)すべき場所に冷風として送られる。
【0014】
室内熱交換器6を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3を経由してアキュムレータ8に導かれる。冷媒中に蒸発し切れなかった液相冷媒が混入している場合は、ここで液相冷媒と気相冷媒とに分離される。液相冷媒から分離された低温・低圧の気相冷媒は、アキュムレータ8から圧縮機2に吸い込まれるとともに、圧縮機2で再び高温・高圧の気相冷媒に圧縮されて循環回路7に吐出される。
【0015】
一方、空気調和機1が暖房モードで運転を行う場合、四方弁3は、第1ポート3aが第3ポート3cに連通し、第2ポート3bが第4ポート3dに連通するように切り替わる。暖房モードで空気調和機1の運転が開始されると、圧縮機2から吐出された高温・高圧の気相冷媒は、四方弁3を経由して室内熱交換器6に導かれ、室内熱交換器6を通過する空気と熱交換される。この場合、室内熱交換器6は凝縮器として機能する。
【0016】
この結果、室内熱交換器6を通過する気相冷媒は、室内送風機600で吸い込まれた空気(内気)と熱交換することにより凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。室内熱交換器6を通過する空気は、気相冷媒との熱交換により加熱され、室内送風機600によって空調(暖房)すべき場所に温風として送られる。
【0017】
室内熱交換器6を通過した高温の液相冷媒は、膨張装置5に導かれるとともに、膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器として機能する室外熱交換器4に導かれるとともに、室外送風機400で吸い込まれた空気(外気)と熱交換することにより蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。室外熱交換器4を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3およびアキュムレータ8を経由して圧縮機2に吸い込まれるとともに、圧縮機2で再び高温・高圧の気相冷媒に圧縮されて循環回路7に吐出される。
【0018】
なお、本実施形態では、空気調和機1を冷房モードおよび暖房モードのいずれでも運転可能としているが、空気調和機1は、例えば冷房モードもしくは暖房モードのいずれかのみで運転可能な冷房専用機もしくは暖房専用機であってもよい。
【0019】
次に、空気調和機1に用いられる圧縮機2の具体的な構成について、
図2を参照して説明する。
図2は、圧縮機2を概略的に示す縦断面図である。
図2に示すように、圧縮機2は、いわゆる縦型の回転式圧縮機(ロータリーコンプレッサ)であって、主たる要素として、密閉容器10、駆動機構部11、および圧縮機構部12を備えている。なお、以下の説明においては、密閉容器10の中心軸線O1に沿って並んだ駆動機構部11と圧縮機構部12の相対的な位置関係を基準として、駆動機構部11が位置する側を上、圧縮機構部12が位置する側を下とする。
【0020】
密閉容器10は、円筒状の周壁10aを有するとともに、設置面に対して垂直に起立している。設置面は、例えば室外機の底板などである。密閉容器10の上端には、吐出管10bが設けられている。吐出管10bは、循環回路7を介して四方弁3の第1ポート3aに接続されている。密閉容器10の下部には、潤滑油10dを蓄える油溜まり部10cが設けられている。
【0021】
駆動機構部11は、圧縮機構部12を駆動する、端的には後述する回転軸13に連結されて該回転軸13を回転させる駆動源であり、圧縮機構部12と吐出管10bとの間に位置するように密閉容器10の中心軸線O1に沿った中間部に収容されている。
図2に示す例において、駆動機構部11は、いわゆるインナーロータ型として構成されており、回転軸13に固定された回転子11aと、密閉容器10の周壁10aの内周面に固定された固定子11bを備えている。
【0022】
回転子11aは、例えば回転軸13に同心状に固定された円柱形状の回転子鉄心、回転子鉄心に配置された複数の永久磁石などを備えて構成されている。回転子11aは、固定子11bの内側に該固定子11bの内周との間に僅かな空隙(エアギャップ)をあけて、固定子11bと同心状に配置されている。
【0023】
固定子11bは、例えば円筒状の固定子鉄心と、固定子鉄心に巻き付けられた巻線(コイル)とを備え、回転子11aを取り囲むように配置されている。コイルを通電させることで、回転子11aが固定子11bに対して中心軸線O1を中心に回転し、回転軸13が回転子11aとともに回転する。
【0024】
圧縮機構部12は、冷媒を圧縮する機構部であり、潤滑油10dに浸かるように密閉容器10の内部に収容されている。
図2に示す例において、圧縮機構部12は、ツイン型のシリンダ構造を有し、回転軸13、第1の軸受14、第2の軸受15、第1のシリンダ16a、第2のシリンダ16b、仕切板軸受17を主たる要素として備えている。
【0025】
回転軸13は、軸心が密閉容器10の中心軸線O1と同心状となるように起立し、駆動機構部11からの動力を受けて中心軸線O1を中心として回転する。回転軸13は、下部に位置する第1のジャーナル部21aと、上部に位置する第2のジャーナル部21bと、第1のジャーナル部21aと第2のジャーナル部21bとの間に位置する中間ジャーナル部21c、第1のクランク部22a、および第2のクランク部22bとを有する。
図2に示す例において、回転軸13は、第2のジャーナル部21bの上端部が駆動機構部11の回転子11aに連結されている。
【0026】
第1のジャーナル部21aおよび第2のジャーナル部21bは、略同一の外径を有し、回転軸13の軸方向(回転軸13が延びる方向)に離れて配置されている。中間ジャーナル部21cは、円形の断面形状を有する円盤状の要素であって、第1のジャーナル部21aおよび第2のジャーナル部21bよりも大きな外径を有している。第1のジャーナル部21a、第2のジャーナル部21b、および中間ジャーナル部21cは、中心軸線O1と同心状に位置している。
【0027】
第1のクランク部22aおよび第2のクランク部22bは、いずれも円形の断面形状を有する略同一径の円盤状の部位であって、中間ジャーナル部21cを挟んで軸方向に間隔をあけて並んでいる。また、第1のクランク部22aおよび第2のクランク部22bの中心軸線は、回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対して偏心している。中心軸線O1に対する第1のクランク部22aおよび第2のクランク部22bの偏心方向は、例えば回転軸13の周方向に180°ずれている。
【0028】
第1のクランク部22aは、軸方向において第1のジャーナル部21aと中間ジャーナル部21cとの間に介在し、中心軸線O1に対して偏心して後述する第1のシリンダ室31aに配置されている。第1のクランク部22aの外径は、第1のジャーナル部21aの外径(最大径)よりも大きく、中間ジャーナル部21cの外径よりも小さい。
【0029】
第1のクランク部22aの外周には、リング状の第1のローラ23aが嵌合されている。第1のローラ23aは、後述する第1のシリンダ室31a内で回転軸13の軸心に対して偏心回転するとともに、第1のローラ23aの外周面の一部が第1のシリンダ16aの内周面と微小な隙間を形成し、シールしている。第1のローラ23aの下面は、後述する第1の軸受14の上面に摺動可能に接している。第1のローラ23aの上面は、後述する軸受孔17aの周囲で仕切板軸受17の下面に摺動可能に接している。これにより、第1のシリンダ室31aの気密性が確保されている。
【0030】
第2のクランク部22bは、軸方向において第2のジャーナル部21bと中間ジャーナル部21cとの間に介在し、中心軸線O1に対して偏心して後述する第2のシリンダ室31bに配置されている。第2のクランク部22bの外径は、第2のジャーナル部21bの外径(最大径)よりも大きく、中間ジャーナル部21cの外径よりも小さい。
【0031】
第2のクランク部22bの外周には、リング状の第2のローラ23bが嵌合されている。第2のローラ23bは、後述する第2のシリンダ室31b内で回転軸13の軸心に対して偏心回転するとともに、第2のローラ23bの外周面の一部が第2のシリンダ16bの内周面と微小な隙間を形成し、シールしている。第2のローラ23bの上面は、後述する第2の軸受15の端板15bの下面に摺動可能に接している。第2のローラ23bの下面は、後述する軸受孔17aの周囲で仕切板軸受17の上面に摺動可能に接している。これにより、第2のシリンダ室31bの気密性が確保されている。
【0032】
第1の軸受14は、軸方向において第1のシリンダ16aの下側に配置され、回転軸13の第1のジャーナル部21aを回転自在に支持する。第1の軸受14は、第1のシリンダ16aの内径部を下方から覆うように第1のシリンダ16aの下面に接している。第1の軸受14には、第1のマフラカバー18aが付設されている。第1のマフラカバー18aおよび第1の軸受14は、互いに協働して第1のマフラ室19aを規定している。第1のマフラ室19aは、第1の軸受14の下面を環状に凹ませた空間であり、第1のマフラカバー18aが有する複数の排気孔(図示省略)を通じて密閉容器10の内部に開口している。
【0033】
第2の軸受15は、軸方向において第2のシリンダ16bの上側に配置されている。第2の軸受15は、回転軸13の第2のジャーナル部21bを回転自在に支持する筒状の軸受本体15aと、軸受本体15aの一端から第2のジャーナル部21bの径方向に広がるフランジ状の端板15bとを有している。端板15bは、第2のシリンダ16bの内径部を上方から覆うように第2のシリンダ16bの上面に接している。また、端板15bは、リング状のサポートフレーム151で取り囲まれている。サポートフレーム151は、密閉容器10の周壁10aの内面の所定の位置に例えば溶接などの手段で固定されている。
【0034】
第2の軸受15には、第2のマフラカバー18bが付設されている。第2のマフラカバー18bおよび第2の軸受15は、互いに協働して第2のマフラ室19bを規定している。第2のマフラ室19bは、第2のマフラカバー18bが有する複数の排気孔(図示省略)を通じて密閉容器10の内部に開口している。
【0035】
第1の軸受14には、シリンダ室31aとマフラ室19aとを連通可能とする吐出弁機構14cが設けられている。第2の軸受15には、シリンダ室31bとマフラ室19bとを連通可能とする吐出弁機構15cが設けられている。吐出弁機構14c,15cは、各々のシリンダ室31a,31bとマフラ室19a,19bとの間で吐出ポート14d,15dを開閉させる。
【0036】
第1のシリンダ16aおよび第2のシリンダ16bは、環状をなし、例えば回転軸13の軸方向における長さ(厚さ)が略同一に設定されている。第1のシリンダ16aおよび第2のシリンダ16bは、回転軸13の軸方向に間隔をあけて、具体的には第1の軸受14と第2の軸受15との間で仕切板軸受17を挟んで配置されている。第1のシリンダ16aは、軸方向の一方側で仕切板軸受17と接し、第2のシリンダ16bは、軸方向の他方側で仕切板軸受17と接している。第2のシリンダ16bは、回転軸13の軸方向において第1のシリンダ16aよりも駆動機構部11寄り(
図2においては上側)に配置されている。
【0037】
第1のシリンダ16aは、冷媒を吸い込んで圧縮する第1のシリンダ室31aを有している。第1のシリンダ室31aは、第1のシリンダ16aの内径部、第1の軸受14、仕切板軸受17で囲まれた空間として規定される。第1のシリンダ室31aには、回転軸13の第1のクランク部22aおよび第1のローラ23aが収容されている。第1の軸受14は第1のシリンダ室31aの下面、仕切板軸受17は第1のシリンダ室31aの上面をそれぞれ規定する。
【0038】
第2のシリンダ16bは、冷媒を吸い込んで圧縮する第2のシリンダ室31bを有している。第2のシリンダ室31bは、第2のシリンダ16bの内径部、第2の軸受15、仕切板軸受17で囲まれた空間として規定される。第2のシリンダ室31bには、回転軸13の第2のクランク部22bおよび第2のローラ23bが収容されている。第2の軸受15は第2のシリンダ室31bの上面、仕切板軸受17は第2のシリンダ室31bの下面をそれぞれ規定する。
【0039】
第1および第2のシリンダ16a,16bは、各々の第1および第2のシリンダ室31a,31bの冷媒吸込領域に開口する吸込口32(第2のシリンダ16bの吸込口については図示省略)を有している。吸込口32には、接続管33が接続されている。接続管33は、密閉容器10の周壁10aを貫通して密閉容器10の外に突出し、吸込管10eと接続されている。
【0040】
第1および第2のシリンダ室31a,31bは、いずれもブレード(図示省略)によって冷媒を吸い込む吸込室と冷媒を圧縮する圧縮室とに区画されている。ブレードは、各々の第1および第2のシリンダ室31a,31bに進退可能に第1および第2のシリンダ16a,16bにそれぞれ支持され、ブレードの先端部が第1および第2のローラ23a,23bの各々の外周面に摺動可能に押し付けられている。このように第1および第2のシリンダ室31a,31bに対してブレードが進退することで、第1および第2のシリンダ室31a,31bの吸込室と圧縮室の容積が変化し、接続管33を介して吸込管10eから第1および第2のシリンダ室31a,31bに吸い込まれた気相冷媒が圧縮される。第1および第2のシリンダ室31a,31bには、アキュムレータ8で液相冷媒から分離された低温・低圧の気相冷媒が吸い込まれる。
【0041】
第1および第2のシリンダ室31a,31bで圧縮された高温・高圧の気相冷媒は、吐出ポート14d,15dを介して密閉容器10の内部に吐出される。吐出された気相冷媒は、密閉容器10の内部を上昇する。さらに、圧縮機構部12の動作中は、密閉容器10の油溜まり部10cに貯溜された潤滑油10dが攪拌されてミスト状となるとともに、気相冷媒の流れに乗じて密閉容器10の内部を吐出管10bに向けて上昇する。
【0042】
仕切板軸受17は、軸方向において第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとの間に介在している。仕切板軸受17の下面は、第1のシリンダ16aの内径部を上方から覆うように第1のシリンダ16aの上面に接している。仕切板軸受17の上面は、第2のシリンダ16bの内径部を下方から覆うように第2のシリンダ16bの下面に接している。
【0043】
仕切板軸受17は、断面形状の中央部を軸方向へ円形に貫通する軸受孔17aを有している。軸受孔17aには、回転軸13の中間ジャーナル部21cが摺動可能に挿通されている。すなわち、仕切板軸受17は、回転軸13の中間ジャーナル部21cを軸受孔17aで回転自在に支持する軸受として構成されている。軸受孔17aの軸方向の長さ(深さ)は、中間ジャーナル部21cの軸方向の長さと同等、もしくはそれ以上に設定されている。軸受孔17aの内周面および中間ジャーナル部21cの外周面は、密閉容器10に蓄えられた潤滑油10dで潤滑される。すなわち、軸受孔17aの内周面と中間ジャーナル部21cの外周面との間が潤滑油10dの油膜によって隔てられており、回転軸13の回転時に中間ジャーナル部21cに作用する荷重の多くが油膜反力によって受け止められる。
【0044】
上述したように、仕切板軸受17は、軸方向の一方側で第1のシリンダ16aと接し、他方側で第2のシリンダ16bと接する。このような接触状態とするべく、仕切板軸受17は、第1のシリンダ16aおよび第2のシリンダ16bを固定するための固定部41,42を有している。固定部41は、仕切板軸受17の下面に第1のシリンダ16aの上面を接触させて固定するために仕切板軸受17に設けられた部位である。固定部42は、仕切板軸受17の上面に第2のシリンダ16bの下面を接触させて固定するために仕切板軸受17に設けられた部位である。
【0045】
図2に示す例では、仕切板軸受17には、固定部41,42として内周に雌ねじを有するねじ孔411,421が形成されている。ねじ孔411は仕切板軸受17の下面から上方へ連続し、ねじ孔421は仕切板軸受17の上面から下方へ連続している。これらのねじ孔411,421は、互いに連通し、仕切板軸受17を軸方向に沿って上下に貫通している。ねじ孔411,421には、これらの雌ねじと噛み合う雄ねじを有する締結部材、一例としてボルト412,422が締結可能とされている。
【0046】
第1のシリンダ16aは、ねじ孔411と連通可能なアクセス孔161を有している。アクセス孔161は、第1のシリンダ16aを軸方向に沿って上下に貫通している。同様に、第2のシリンダ16bは、ねじ孔421と連通可能なアクセス孔162を有している。アクセス孔162は、第2のシリンダ16bを軸方向に沿って上下に貫通している。
【0047】
このような構成によれば、第1のシリンダ16aは、ねじ孔411に締め付けられたボルト412で仕切板軸受17と一体的に組み付けられる。第2のシリンダ16bは、ねじ孔421に締め付けられたボルト422で仕切板軸受17と一体的に組み付けられる。これにより、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bは、軸方向において第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bが仕切板軸受17を挟んで該仕切板軸受17とそれぞれ接した状態で一体的に組み付けられ、組付体を構成する。その際、ねじ孔411,421が互いに連通した一つのねじ孔となっているため、別々のねじ孔である場合と比べて高精度に第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bを仕切板軸受17に組み付けることができる。また、組付作業の効率化を図ることもできる。
【0048】
このように仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bが一体化された組付体は、所定の締結部材、一例としてボルト413,423で第1の軸受14および第2の軸受15と一体的に組み付けられ、固定される。仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bは、ボルト413を締結可能な孔部47,46a,46bを有している。これらの孔部47,46a,46bは、ねじ孔411,421およびアクセス孔161,162とは別の位置に、互いに連通可能に配置され、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部47,46aは、ボルト413の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。孔部47は、固定部41,42としても機能する。これに対し、孔部46bは、該雌ねじを有していないが、同様の雌ねじを内周に有するねじ孔であってもよい。
【0049】
また、第1の軸受14および第1のマフラカバー18aは、ボルト413を締結可能な孔部14e,181aを有している。孔部14e,181aは、孔部47,46a,46bと連通可能に配置されている。孔部14eは、第1の軸受14を軸方向に沿って上下に貫通し、孔部181aは、第1のマフラカバー18aを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部14e,181aは、ボルト413の雄ねじと噛み合う雌ねじを有していないが、同様の雌ねじを内周に有するねじ孔であってもよい。
【0050】
第2の軸受15および第2のマフラカバー18bは、ボルト423を締結可能な孔部15e,181bを有している。孔部15e,181bは、孔部14e,47,46a,46bと連通可能に配置されている。孔部15eは第2の軸受15の端板15bを軸方向に沿って上下に貫通し、孔部181bは第2のマフラカバー18bを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部15eはボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔であり、孔部181bは該雄ねじと噛み合う雌ねじを有していない。
【0051】
このような構成によれば、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bが一体的に組み付けられた組付体は、孔部14e,47,46a,46bに挿通されたボルト413で第1の軸受14と一体的に組み付けられる。また、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bが一体的に組み付けられた組付体は、孔部15e,46bに挿通されたボルト423で第2の軸受15と一体的に組み付けられる。これにより、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、第2のシリンダ16b、第1の軸受14、および第2の軸受15は、一体的に組み付けられる。
【0052】
加えて、第2のシリンダ16bは、所定の締結部材、一例としてボルト424でサポートフレーム151に固定されている。第2のシリンダ16bおよびサポートフレーム151は、ボルト424を締結可能な孔部163,151aを有している。これらの孔部163,151aは、互いに連通可能に配置され、第2のシリンダ16bおよびサポートフレーム151を軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部163,151aは、ボルト424の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0053】
このように本実施形態では、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、第2のシリンダ16b、第1の軸受14、および第2の軸受15を一体的に組み付ける際、例えば以下のような作業手順によればよい。
【0054】
その際には、まず、第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとが仕切板軸受17に固定され、これらが一体的に組み付けられた組付体が形成される。その後、かかる組付体が第1の軸受14および第2の軸受15にそれぞれ固定され、これらが一体的に組み付けられる。したがって、第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとが同一の仕切板軸受17に固定されるため、各々の第1および第2のシリンダ16a,16bの回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対するずれが拡大することを抑制できる。これにより、圧縮機2の性能の悪化やばらつきを防ぎ、信頼性を高めることができる。
【0055】
このように第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとが仕切板軸受17に固定されることで、本実施形態において、第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとは、いずれも仕切板軸受17の内径、換言すれば軸受孔17aの中心を基準に調心されている。これにより、第1のシリンダ16aおよび第2のシリンダ16bをいずれも、回転軸13の中間ジャーナル部21cが摺動可能に挿通された軸受孔17aと調心できる。このため、第1および第2のシリンダ16a,16bの中心と回転軸13の軸心(中心軸線O1)との一致精度を高めることができる。
【0056】
また、
図2に示すように、仕切板軸受17の内径、つまり軸受孔17aの孔径(内径)をDj、第1のクランク部22aおよび第2のクランク部22bの外径をDc、第1および第2のクランク部22a,22bの偏心量をEとすると、本実施形態においてこれらは、Dj/2≧(Dc/2)+Eなる関係式を満たす。偏心量Eは、第1および第2のクランク部22a,22bの中心軸線と回転軸13の軸心(中心軸線O1)との距離である。すなわち、軸受孔17aの半径は、第1および第2のクランク部22a,22bの断面円形の半径に各々の偏心量を加えた値以上に設定されている。
図2には、第1のクランク部22aの外径Dcのみ、第1のクランク部22aの偏心量Eのみ、第1のクランク部22aの中心軸線Ocのみをそれぞれ一例として示す。なお、本実施形態においては、第1および第2のクランク部22a,22bの断面円形を略同一径としているが、これらの断面円形の外径が異なる場合、少なくとも一方の外径が上記関係式を満たすように設定されていればよい。すなわち、第1のクランク部22aの外径のみが上記関係式を満たすように設定されていてもよいし、第2のクランク部22bの外径のみが上記関係式を満たすように設定されていてもよい。
【0057】
仕切板軸受17、第1のクランク部22a、および第2のクランク部22bがこのような関係式を満たす形態をなすことで、例えば軸方向において、回転軸13の中間ジャーナル部21cと第1もしくは第2のクランク部22a,22bとの間に軸方向の隙間を設けなくとも、仕切板軸受17を中間ジャーナル部21cに組み付けることができる。したがって、中間ジャーナル部21cと第1および第2のクランク部22a,22bとを近接して配置することができる。このため、軸方向において仕切板軸受17を第1および第2のシリンダ16a,16bと接触させることができ、各々の第1および第2のシリンダ16a,16bの回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対するずれが拡大することをより一層抑制可能となる。
【0058】
上述した第1の実施形態において、圧縮機2の圧縮機構部12は、ツイン型のシリンダ構造であり、第1および第2のシリンダ16a,16bを備えた構成とされている。圧縮機構部のシリンダ数は、二つに限定されず、三つ以上であっても構わない。このような別形態の一例として、圧縮機構部のシリンダ数を四つとした圧縮機を第2の実施形態として、以下に説明する。なお、第2の実施形態に係る圧縮機の基本的な構成は、第1の実施形態に係る圧縮機2(
図2)と同様である。したがって、以下では、かかる圧縮機の基本的な構成についての説明は省略もしくは簡略化し、第2の実施形態の特徴である第1の実施形態との相違点について詳述する。その際、第1の実施形態と同一もしくは類似の構成部材については、同一の参照符号を用いて、説明を省略もしくは簡略化する。また、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態に係る圧縮機は、
図1に示す冷凍サイクルにより空気調和を行う空気調和機1の主たる要素として適用可能である。
【0059】
(第2の実施形態)
図3は、本実施形態に係る圧縮機2aを概略的に示す縦断面図である。
図3に示すように、圧縮機構部12は、四つのシリンダ構造を有し、回転軸13、第1の軸受14、第2の軸受15、第1のシリンダ16a、第2のシリンダ16b、仕切板軸受17に加えて、第3のシリンダ16c、第4のシリンダ16d、第1の仕切板20a、および第2の仕切板20bを主たる要素として備えている。
【0060】
回転軸13は、第1のジャーナル部21a、第2のジャーナル部21b、中間ジャーナル部21c、第1のクランク部22a、および第2のクランク部22bに加えて、第3のクランク部22c、第4のクランク部22d、第1の中間軸部24a、および第2の中間軸部24bを有する。
【0061】
第3のクランク部22cおよび第1の中間軸部24aは、軸方向において第1のジャーナル部21aと第1のクランク部22aとの間に介在している。具体的には、第3のクランク部22cが第1のジャーナル部21a寄り、第1の中間軸部24aが第1のクランク部22a寄りに位置する。
【0062】
第4のクランク部22dおよび第2の中間軸部24bは、軸方向において第2のジャーナル部21bと第2のクランク部22bとの間に介在している。具体的には、第4のクランク部22dが第2のジャーナル部21b寄り、第2の中間軸部24bが第2のクランク部22b寄りに位置する。
【0063】
第3および第4のクランク部22c,22dは、いずれも第1および第2のクランク部22a,22bと略同一の円盤状の部位である。第3および第4のクランク部22c,22dの外径は、第1および第2のジャーナル部21a,21bの外径よりも大きく、中間ジャーナル部21cの外径よりも小さい。第3のクランク部22cは、回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対して偏心して後述する第3のシリンダ室31cに配置されている。第4のクランク部22dは、回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対して偏心して後述する第4のシリンダ室31dに配置されている。
【0064】
第3および第4のクランク部22c,22dの外周には、リング状の第3および第4のローラ23c,23dが嵌合されている。第3および第4のローラ23c,23dは、第3および第4のシリンダ室31c,31d内で回転軸13の軸心に対して偏心回転するとともに、第3および第4のローラ23c,23dの外周面の一部が第3および第4のシリンダ16c,16dの内周面と微小な隙間を形成し、シールしている。
【0065】
第3のローラ23cの下面は、第1の軸受14の上面に摺動可能に接している。第3のローラ23cの上面は、第1の仕切板20aの貫通孔201aの周囲で第1の仕切板20aの下面に摺動可能に接している。これにより、第3のシリンダ室31cの気密性が確保されている。第4のローラ23dの上面は、第2の軸受15の端板15bの上面に摺動可能に接している。第4のローラ23dの下面は、第2の仕切板20bの貫通孔201bの周囲で第2の仕切板20bの上面に摺動可能に接している。これにより、第4のシリンダ室31dの気密性が確保されている。
【0066】
第1および第2の中間軸部24a,24bの外径は、第1および第2のジャーナル部21a,21bの外径と略同一であり、中間ジャーナル部21cの外径よりも小さい。
【0067】
本実施形態において、第1の軸受14は、軸方向において第3のシリンダ16cの下側に配置されている。したがって、第1の軸受14は、第3のシリンダ16cの内径部を下方から覆うように第3のシリンダ16cの下面に接している。第2の軸受15は、軸方向において第4のシリンダ16dの上側に配置されている。したがって、端板15bは、第4のシリンダ16dの内径部を上方から覆うように第4のシリンダ16dの上面に接している。吐出弁機構14c,15cは、第3および第4のシリンダ16c,16dの各々のシリンダ室31c,31dとマフラ室19a,19bとの間で吐出ポート14d,15dを開閉させる。
【0068】
第3のシリンダ16cおよび第4のシリンダ16dは、軸方向における長さ(厚さ)がいずれも第1および第2のシリンダ16a,16bと略同一に設定されている。第3のシリンダ16cは、軸方向において仕切板軸受17の一方側に第1のシリンダ16aに加えて配置されている。第4のシリンダ16dは、軸方向において仕切板軸受17の他方側に第2のシリンダ16bに加えて配置されている。
【0069】
第3のシリンダ室31cは、第3のシリンダ16cの内径部、第1の軸受14、第1の仕切板20aで囲まれた空間として規定される。第4のシリンダ室31d、第4のシリンダ16d内径部、第2の軸受15、第2の仕切板20bで囲まれた空間として規定される。本実施形態において、第1のシリンダ室31aは、第1のシリンダ16aの内径部、仕切板軸受17、第1の仕切板20aで囲まれた空間として規定される。第2のシリンダ室31bは、第2のシリンダ16bの内径部、仕切板軸受17、第2の仕切板20bで囲まれた空間として規定される。
【0070】
第3のシリンダ16cは、所定の締結部材、一例としてボルト431で第1の軸受14と一体的に組み付けられている。第1の軸受14、第1のマフラカバー18a、および第3のシリンダ16cは、ボルト431を締結可能な孔部14f,182a,46cを有している。これら孔部14f,182a,46cは、互いに連通可能に配置されている。孔部14fは第1の軸受14を軸方向に沿って上下に貫通し、孔部182aは第1のマフラカバー18aを軸方向に沿って上下に貫通している。これに対し、孔部46cは、第3のシリンダ16cの上面から軸方向に沿ってどん突き状に窪んでいる。例えば、孔部14f,182aはボルト431の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有しておらず、孔部46cはボルト431の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0071】
第4のシリンダ16dは、所定の締結部材、一例としてボルト441で第2の軸受15と一体的に組み付けられている。第2の軸受15、第2のマフラカバー18b、および第4のシリンダ16dは、ボルト441を締結可能な孔部15f,182b,46dを有している。これら孔部15f,46dは、互いに連通可能に配置されている。孔部15fは第2の軸受15の端板15bを軸方向に沿って上下に貫通し、孔部182bは第2のマフラカバー18bを軸方向に沿って上下に貫通している。これに対し、孔部46dは、第4のシリンダ16dの下面から軸方向に沿ってどん突き状に窪んでいる。例えば、孔部15f,182bは、ボルト441の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有しておらず、孔部46dは、ボルト441の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0072】
このような構成によれば、第1のシリンダ16aはボルト412で仕切板軸受17と一体的に組み付けられ、第2のシリンダ16bはボルト422で仕切板軸受17と一体的に組み付けられる。これにより、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bが一体的に組み付けられた組付体が形成される。
【0073】
また、第3のシリンダ16cは、孔部46cに締め付けられたボルト431で第1の軸受14と一体的に組み付けられる。第4のシリンダ16dは、孔部46dに締め付けられたボルト441で第2の軸受15と一体的に組み付けられる。
【0074】
そして、仕切板軸受17、第1および第2のシリンダ16a,16bが一体的に組み付けられた組付体は、所定の締結部材、一例としてボルト413で第1の軸受14、第3のシリンダ16c、および第1の仕切板20aと一体的に組み付けられている。また、仕切板軸受17、第1および第2のシリンダ16a,16bが一体的に組み付けられた組付体は、所定の締結部材、一例としてボルト423で第2の軸受15、第4のシリンダ16d、および第2の仕切板20bと一体的に組み付けられている。
【0075】
第3のシリンダ16cおよび第1の仕切板20aは、ボルト413を締結可能な孔部56c,50aを有している。これらの孔部56c,50aは、孔部47,46a,46b,14e,15e,181a,181bと連通可能に配置され、第3のシリンダ16cおよび第1の仕切板20aを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部56cはボルト413の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有しておらず、孔部50aは該雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0076】
第4のシリンダ16dおよび第2の仕切板20bは、ボルト423を締結可能な孔部56d,50bを有している。これらの孔部56d,50bは、孔部47,46a,46b,14e,15e,181a,181b、さらに孔部56c,50aと連通可能に配置され、第4のシリンダ16dおよび第2の仕切板20bを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部56d,50bは、ボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有していない。
【0077】
なお、本実施形態において、仕切板軸受17の孔部47はボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔であり、第2のシリンダ16bの孔部46bはボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有していない。孔部47は、固定部41,42としても機能する。第1のシリンダ16aの孔部46aは、ボルト413,423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0078】
加えて、第4のシリンダ16dは、所定の締結部材、一例としてボルト424でサポートフレーム151に固定されている。第4のシリンダ16dは、ボルト424を締結可能な孔部164を有している。孔部164は、サポートフレーム151の孔部151aと連通可能に配置され、第4のシリンダ16dを軸方向に沿って上下に貫通している。例えば、孔部164は、ボルト424の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0079】
このように本実施形態では、仕切板軸受17、第1から第4のシリンダ16a~16d、第1および第2の軸受14,15、第1および第2の仕切板20a,20bを一体的に組み付ける際、例えば以下のような作業手順によればよい。
【0080】
その際には、まず、第1のシリンダ16aと第2のシリンダ16bとが仕切板軸受17に固定され、これらが一体的に組み付けられた組付体(第1の組付体)が形成される。すなわち、仕切板軸受17、第1のシリンダ16a、および第2のシリンダ16bは、一体化された第1の組付体を構成する。次いで、第3のシリンダ16cが第1の軸受14に固定され、これらが一体的に組み付けられた組付体(第2の組付体)が形成される。また、第4のシリンダ16dが第2の軸受15に固定され、これらが一体的に組み付けられた組付体(第3の組付体)が形成される。
【0081】
そして、第1の組付体と第2の組付体とがこれらの間に第1の仕切板20aを介在させた状態で結合され、第1の組付体と第3の組付体とがこれらの間に第2の仕切板20bを介在させた状態で結合されて、すべての組付体が一体的に組み付けられる。すなわち、第3のシリンダ16cおよび第1の軸受14は、一体化されて第1の組付体に組み付けられる第2の組付体を構成している。第4のシリンダ16dおよび第2の軸受15は、一体化されて第1の組付体に組み付けられる第3の組付体を構成している。
【0082】
これにより、第1および第2のシリンダ16a,16bを回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対して高精度に調心できることに加えて、第3のシリンダ16cを第1の軸受14に調心固定できるとともに、第4のシリンダ16dを第2の軸受15に調心固定できる。すなわち、四つのシリンダ16a~16dが回転軸13の軸心(中心軸線O1)に対して高精度に調心された圧縮機2aを実現できる。したがって、例えばより大容量でトルク分散された低振動の圧縮機2aを実現可能となる。
【0083】
第1の仕切板20aおよび第2の仕切板20bは、例えば軸方向における長さ(厚さ)が仕切板軸受17よりも薄い円盤状の要素であり、断面形状の中央部を軸方向に円形に貫通する貫通孔201a,201bを有している。貫通孔201a,201bには、回転軸13の第1および第2の中間軸部24a,24bが摺動することなく挿通されている。すなわち、貫通孔201a,201bの差渡し径(孔径、
図3に示すDp)は、回転軸13の第1および第2の中間軸部24a,24bの外径よりも大きい。したがって、第1および第2の仕切板20a,20bは、仕切板軸受17とは異なり、回転軸13を回転自在に支持する軸受としては機能しない。
【0084】
第1の仕切板20aは、軸方向の両側で第1および第3のシリンダ16a,16cと接する。換言すれば、第1の仕切板20aは、軸方向において仕切板軸受17とは反対側で第1のシリンダ16aと接するとともに、第1のシリンダ16aとは反対側で第3のシリンダ16cと接する。第1の仕切板20aは、第1のシリンダ16aと接する板要素61aと、第3のシリンダ16cと接する板要素61bとが軸方向に積層して構成されている。板要素61a,61bは、一対の円盤状をなしている。板要素61aは、第1のシリンダ16aの第1のシリンダ室31aで圧縮された冷媒を吐出する吐出弁機構202aを有する。吐出弁機構202aは、第1のシリンダ16aのシリンダ室31aに向けて吐出ポート203aを開閉させる。板要素61bは、第1のシリンダ16aと第3のシリンダ16cとの軸方向の間隔を調整するためのスペーサとして機能する。
【0085】
第2の仕切板20bは、軸方向の両側で第2および第4のシリンダ16b,16dと接する。換言すれば、第2の仕切板20bは、軸方向において仕切板軸受17とは反対側で第2のシリンダ16bと接するとともに、第2のシリンダ16bとは反対側で第4のシリンダ16dと接する。第2の仕切板20bは、第2のシリンダ16bと接する板要素62aと、第4のシリンダ16dと接する板要素62bとが軸方向に積層して構成されている。板要素62a,62bは、一対の円盤状をなしている。板要素62aは、第2のシリンダ16bの第2のシリンダ室31bで圧縮された冷媒を吐出する吐出弁機構202bを有する。吐出弁機構202bは、第2のシリンダ16bのシリンダ室31bに向けて吐出ポート203bを開閉させる。板要素62bは、第2のシリンダ16bと第4のシリンダ16dとの軸方向の間隔を調整するためのスペーサとして機能する。
【0086】
なお、本実施形態において、第1の軸受14の吐出弁機構14cは、第3のシリンダ16cのシリンダ室31cと第1のマフラ室19aとの間で吐出ポート14dを開閉させる。第2の軸受15の吐出弁機構15cは、第4のシリンダ16dのシリンダ室31dと第2のマフラ室19bとの間で吐出ポート15dを開閉させる。
【0087】
このように本実施形態によれば、吐出ポート203a,203bを有する仕切板20a,20bの内径、つまり貫通孔201a,201bの孔径(Dp)は、仕切板軸受17の内径、つまり軸受孔17aの孔径(Dj)よりも小さい(Dp<Dj)。このため、吐出ポート203a,203bおよびその周辺のスペースを大きくすることができる。その結果、例えば冷媒の吐出損失や吐出脈動を低減させた高性能で低騒音の圧縮機2aを実現できる。
【0088】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る圧縮機の基本的な構成は、第2の実施形態に係る圧縮機2a(
図3)と同様である。したがって、以下では、かかる圧縮機の基本的な構成についての説明は省略もしくは簡略化し、第3の実施形態の特徴である第2の実施形態との相違点について詳述する。その際、第2の実施形態と同一もしくは類似の構成部材については、同一の参照符号を用いて、説明を省略もしくは簡略化する。また、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、第3の実施形態に係る圧縮機は、
図1に示す冷凍サイクルにより空気調和を行う空気調和機1の主たる要素として適用可能である。
【0089】
図4は、本実施形態に係る圧縮機2bを概略的に示す縦断面図である。
図5は、本実施形態に係る圧縮機2bを概略的に示す
図4に示す縦断面と直交する縦断面図である。
図6は、
図4に示す矢印B6で示す箇所における圧縮機2b(第1のシリンダ)を矢印方向から概略的に示す軸方向の横断面図である。
図7は、
図4に示す矢印B7で示す箇所における圧縮機2b(第2のシリンダ)を矢印方向から概略的に示す軸方向の横断面図である。なお、
図4には、
図7に示す矢印B4で示す箇所における圧縮機2bを矢印方向から概略的に示した場合の吐出弁機構15c,202bを便宜上示す。また、
図5には、
図6に示す矢印B5で示す箇所における圧縮機2bを矢印方向から概略的に示した場合の吐出弁機構14c,202aを便宜上示す。
【0090】
図4から
図5に示すように、圧縮機2bにおける圧縮機構部12は、低段側圧縮機構部12aと高段側圧縮機構部12bを備えている。圧縮機2bが吐出する冷媒の吐出圧力に対し、低段側圧縮機構部12aは、吐出圧力よりも低圧の中間圧力に冷媒を圧縮する。換言すれば、低段側圧縮機構部12aは、吸い込んだ冷媒を吸込圧力から中間圧力まで圧縮する。これに対し、高段側圧縮機構部12bは、低段側圧縮機構部12aで圧縮された中間圧力の冷媒を吸い込み、該冷媒を吐出圧力に圧縮する。すなわち、圧縮機構部12は、冷媒を中間圧力および吐出圧力の二段階に圧縮する。
【0091】
低段側圧縮機構部12aは、第1の軸受14、第1のシリンダ16a、第1の仕切板20a、第3のシリンダ16cを主たる要素として備えている。これに対し、高段側圧縮機構部12bは、第2の軸受15、第2のシリンダ16b、第2の仕切板20b、第4のシリンダ16dを主たる要素として備えている。軸方向において、低段側圧縮機構部12aは第1の軸受14と仕切板軸受17とに挟まれた第1のシリンダ16aおよび第3のシリンダ16cを含んでおり、高段側圧縮機構部12bは第2の軸受15と仕切板軸受17とに挟まれた第2のシリンダ16bおよび第4のシリンダ16dを含んでいる。すなわち、仕切板軸受17は、低段側圧縮機構部12aおよび高段側圧縮機構部12bに共通する要素として存在している。第1のシリンダ16aおよび第3のシリンダ16cは、一つのシリンダ群(第1のシリンダ群)を構成し、第2のシリンダ16bおよび第4のシリンダ16dは、第1のシリンダ群とは別の一つのシリンダ群(第2のシリンダ群)を構成する。
図4および
図5に示す例では、仕切板軸受17を境に第1のシリンダ群を含む低段側圧縮機構部12aが軸方向の下側に、第2のシリンダ群を含む高段側圧縮機構部12b、換言すれば第2のシリンダ群が軸方向の上側に配置されている。すなわち、第2のシリンダ群は、第1のシリンダ群よりも軸方向の上方に配置されている。
【0092】
図4および
図5に示すように、本実施形態において、アキュムレータ8から圧縮機2bに吸い込まれた冷媒は、吸込管(以下、低段吸込管という)10eにより密閉容器10の内部に導かれ、圧縮機構部12内で低段側圧縮機構部12aの第1のシリンダ群である第1のシリンダ16aおよび第3のシリンダ16cに流路71を通って分流される。流路71は、第1のシリンダ16aおよび仕切板軸受17の内部に一連に形成され、第3のシリンダ室31cに至る。すなわち、圧縮機2bにおいては、一本の低段吸込管10eにより、密閉容器10の外部から第1のシリンダ群である第1のシリンダ16aおよび第3のシリンダ16cに吸込圧力の冷媒がそれぞれ吸い込まれる。第1のシリンダ室31aおよび第3のシリンダ室31cでは、吸い込んだ冷媒が吸込圧力から中間圧力まで圧縮される。
【0093】
中間圧力に圧縮された冷媒は、吐出ポート(低段側吐出ポート)203a,14dから第1のマフラ室(低段側マフラ室)19aを経由して、流路72および低段吐出管10fを通って密閉容器10の外部に吐出されて一旦冷却される。流路72は、第1の軸受14、第3のシリンダ16c、第1の仕切板20a、第1のシリンダ16aの内部に一連に形成され、吐出口34に至る。すなわち、圧縮機2bにおいては、一本の低段吐出管10fにより、第1のシリンダ群である第1のシリンダ16aおよび第3のシリンダ16cで圧縮された中間圧力の冷媒が密閉容器10の外部に吐出される。低段吐出管10fは、第1のシリンダ16aの吐出口34と連通して密閉容器10の外部に突出する接続管35と接続されている。
【0094】
冷却された中間圧力の冷媒は、高段吸込管10gにより密閉容器10の内部に再び導かれ、圧縮機構部12内の流路73で高段側圧縮機構部12bの第2のシリンダ16bおよび第4のシリンダ16dに分流される。流路73は、第1のシリンダ16a、仕切板軸受17、第2のシリンダ16b、第2の仕切板20b、第4のシリンダ16dの内部に一連に形成され、第4のシリンダ室31dに至る。すなわち、圧縮機2bにおいては、一本の高段吸込管10gにより、密閉容器10の外部から第2のシリンダ群である第2のシリンダ16bおよび第4のシリンダ16dに中間圧力の冷媒がそれぞれ吸い込まれる。第2のシリンダ室31bおよび第4のシリンダ室31dでは、吸い込んだ冷媒が中間圧力から吐出圧力までさらに圧縮される。高段吸込管10gは、第1のシリンダ16aの吸込口36と連通して密閉容器10の外部に突出する接続管37と接続されている。
【0095】
吐出圧力に圧縮された冷媒は、吐出ポート(高段側吐出ポート)203b,15dから第2のマフラ室(高段側マフラ室)19bを経由して、密閉容器10の内部に吐出される。吐出された冷媒は、密閉容器10の内部を上昇し、吐出管10bから密閉容器10の外部に吐出される。すなわち、圧縮機2bは、第2のシリンダ群、換言すれば高段側のシリンダ室である第2のシリンダ室31bおよび第4のシリンダ室31dから吐出された高圧の冷媒で密閉容器10の内部が満たされる高圧ケースタイプとして構成されている。
【0096】
本実施形態によれば、軸方向において、仕切板軸受17を挟んで低段側のシリンダ室と高段側のシリンダ室とがそれぞれ複数ずつ配置されている。すなわち、仕切板軸受17を挟んで、低段側のシリンダ室として第1のシリンダ室31aおよび第3のシリンダ室31cが配置されるとともに、高段側のシリンダ室として第2のシリンダ室31bおよび第4のシリンダ室31dが配置されている。したがって、冷媒の脈動を抑制するべく、低段側および高段側のシリンダ室をそれぞれ複数ずつ軸方向に配置した場合であっても、これらの間に仕切板軸受17が配置されているため、第1の軸受14と第2の軸受15との間の距離が広がることに起因する回転軸13の撓みを抑制できる。
【0097】
また、圧縮機2bは、高圧ケースタイプであるとともに、駆動機構部11が軸方向の上側、圧縮機構部12が軸方向の下側に配置されているため、潤滑油10dを吐出圧力の状態で圧縮機構部12の周囲全体に満遍なく行き渡らせることができる。したがって、圧縮機構部12内への差圧による給油、圧縮機構部12の冷却などを容易に行うことができる。これにより、圧縮機構部12における圧縮性能や潤滑性能を向上させることができ、圧縮機2bの信頼性を高めることができる。
【0098】
さらに、仕切板軸受17を境に低段側のシリンダ室である第1および第3のシリンダ室31a,31cが軸方向の下側に、高段側のシリンダ室である第2および第4のシリンダ室31b,31dが軸方向の上側にそれぞれ配置されている。これにより、高段側のシリンダ室で圧縮された冷媒を、密閉容器10の上部の潤滑油10dが貯留されていない空間に容易に吐出できる。また、低段側のシリンダ室で圧縮された中間圧力の冷媒の吐出空間を、圧縮機構部12の下部に設けることができ、該中間圧力の冷媒の脈動をより効果的に低減できる。
【0099】
加えて、本実施形態において、密閉容器10の外部と圧縮機構部12とは、いずれも一本の低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gによって配管されている。このため、密閉容器10の外部と圧縮機構部12との間の配管数を最小限にできるので、例えば密閉容器10に形成する配管用の孔の数を低減し、密閉容器10の剛性を高めることができる。また、かかる配管用の孔と低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gとが位置ずれするような事態も回避できる。
【0100】
本実施形態では、低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gが圧縮機構部12の同一部品に接続されている。これにより、低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gの配管精度を高めることができ、密閉容器10の配管用の孔との位置ずれを抑制できる。また、例えば圧縮機構部12の各部品の軸方向の寸法を変更する場合であっても、各配管10e,10f,10gの相対的な位置関係は変わらないため、密閉容器10の配管用の孔の位置を変更する必要がなく、排除容積違いなどのバリエーション展開を容易に行うことができる。
【0101】
本実施形態では一例として、
図4および
図5に示すように低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gは、低段側圧縮機構部12aの第1のシリンダ16aに接続されている。第1のシリンダ16aは、低段側圧縮機構部12aの第1のシリンダ群のシリンダ16a,16cのうち、軸方向において最も仕切板軸受17側に配置されたシリンダであり、排除容積を大きく確保する必要があるため、高段側圧縮機構部12bの第2および第4のシリンダ16b,16dよりも軸方向の厚みが大きい。このように軸方向の厚みの大きな第1のシリンダ16aに低段吸込管10e、低段吐出管10f、および高段吸込管10gを接続することで、これら配管10e,10f,10gの管径を容易に大きくできるため、冷媒の圧力損失を低減させることができる。また、軸方向において最も仕切板軸受17側に配置された第1のシリンダ16aに各配管10e,10f,10gを接続することで、高段吸込管10gから高段側のシリンダである第2のシリンダ16bおよび第4のシリンダ16dまでの流路長さを低減でき、流路損失を小さくできる。
【0102】
また、本実施形態においては、
図4に示すように、第1の軸受14および第2の軸受15は、低段側圧縮機構部12aの第1のシリンダ群のシリンダ16a,16cのうち、軸方向において最も仕切板軸受17側に配置されたシリンダ、つまり第1のシリンダ16aにボルト413,423で固定されている。
【0103】
第1の軸受14、第1のマフラカバー18a、第3のシリンダ16c、第1の仕切板20a、第1のシリンダ16aは、ボルト413を締結可能な孔部14e,181a,56c,50a,46aを有している。これら孔部14e,181a,56c,50a,46a,47は互いに連通可能に配置されている。例えば、孔部14e,181a,56cはボルト413の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有しておらず、孔部50a,46a,47はボルト413の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0104】
第2の軸受15、第2のマフラカバー18b、第4のシリンダ16d、第2の仕切板20b、第2のシリンダ16b、仕切板軸受17は、ボルト423を締結可能な孔部15e,181b,56d,50b,46b,47を有している。これら孔部15e,181b,56d,50b,46b,47は互いに連通可能、かつ孔部46aとも連通可能に配置されている。例えば、孔部15e,181b,56d,50b,46bはボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有しておらず、孔部47はボルト423の雄ねじと噛み合う雌ねじを内周に有するねじ孔である。
【0105】
このように、第1の軸受14および第2の軸受15は、第1のシリンダ16aに設けられた雌ねじ孔である孔部46aに締結されるボルト413,423で、密閉容器10に対して位置決め固定される。すなわち、少数のボルト413,423および該ボルト413,423を締結するための少数の孔部46aを用いて、第1の軸受14および第2の軸受15を密閉容器10に位置決め固定できる。本実施形態では、
図4に示すように、第1のシリンダ16aは、低段側圧縮機構部12aのシリンダであり、第2および第4のシリンダ16b,16dよりも軸方向の厚みが大きい。このように軸方向の厚みの大きな第1のシリンダ16aに第1の軸受14および第2の軸受15がボルト413,423で締結固定されるため、該ボルト413,423のかかり代を大きくとることができ、これら軸受14,15の姿勢をより安定させることができる。
【0106】
また、本実施形態においては、高段側圧縮機構部12bと低段側圧縮機構部12aが仕切板軸受17を挟んで軸方向の上下に配置され、低段側圧縮機構部12aのシリンダ16a,16cのうち、第1のシリンダ16aが軸方向において最も仕切板軸受17側に配置されている。このため、第1のシリンダ16aに第1の軸受14および第2の軸受15を締結固定するボルト413,423のいずれか一方が長くなり過ぎることを抑止できる。
【0107】
図4および
図5に示すように、本実施形態では、低段側のシリンダ室である第1のシリンダ室31aおよび第3のシリンダ室31cと、高段側のシリンダ室である第2のシリンダ室31bおよび第4のシリンダ室31dが、仕切板軸受17を挟んで配置されている。軸方向において、最も第1の軸受14側に位置する第3のクランク部22cと、最も第2の軸受15側に位置する第4のクランク部22dとは、回転軸13の軸心(中心軸線O1)からの偏心方向(
図4に矢印θ1で示す方向、以下、第1の方向θ1という)が一致している。また、軸方向において最も仕切板軸受17側に位置する第1のクランク部22aと第2のクランク部22bとは、回転軸13の軸心(中心軸線O1)からの偏心方向(
図4に矢印θ2で示す方向、以下、第2の方向θ2という)が一致している。第1の方向θ1と第2の方向θ2とは、中心軸線O1に対して逆方向を指向している。
【0108】
換言すれば、第1のシリンダ群(第1および第3のシリンダ16a,16c)および第2のシリンダ群(第2および第4のシリンダ16b,16d)において、それぞれ仕切板軸受17寄りに位置する第1および第2のクランク部22a,22bの中心軸線O1からの偏心方向は、同一(第2の方向θ2)である。これに対し、それ以外の第3および第4のクランク部22c,22dの中心軸線O1からの偏心方向は、第2の方向θ2とは反対の同一方向(第1の方向θ1)である。
【0109】
これにより、圧縮機2bの運転中、回転軸13の各々のクランク部22a~22dに作用する遠心力による振れ回りモーメントを小さくできる。また、低段側の第1のシリンダ室31aと第3のシリンダ室31cとにおける圧縮工程の位相が反対になるとともに、高段側の第2のシリンダ室31bと第4のシリンダ室31dとにおける圧縮工程の位相が反対になる。このため、冷媒の脈動、各々のシリンダ室31a~31dでのトルク変動などを低減できる。
【0110】
加えて、本実施形態においては、第1のシリンダ群および第2のシリンダ群の各々のシリンダ室、つまり第1から第4のシリンダ室31a~31dは、いずれもブレードによって吸込室(
図6および
図7に示す冷媒吸込領域38)と圧縮室(
図6および
図7に示す冷媒圧縮領域39)に区画されている。
【0111】
図6は、第1のシリンダ群、つまり低段側のシリンダである第1のシリンダ16aの横断面図である。
図7は、第2のシリンダ群、つまり高段側のシリンダである第2のシリンダ16bの横断面図である。なお、第3のシリンダ16cの横断面は、
図6に示す第1のシリンダ16aの横断面と同等であり、第4のシリンダ16dの横断面は、
図7に示す第2のシリンダ16bの横断面と同等である。
【0112】
ブレード25は、各々のシリンダ室31a~31dに進退可能に各々のシリンダ16a~16dのスロット26にそれぞれ支持され、ブレード25の先端部27が第1から第4のローラ23a~23dの各々の外周面に摺動可能に押し付けられている。本実施形態では、第1のシリンダ群(第1および第3のシリンダ16a,16c)の第1および第3のシリンダ室31a,31cに進退するブレード25と、第2のシリンダ群(第2および第4のシリンダ16b,16d)の第2および第4のシリンダ室31b,31dに進退するブレード25とは、回転方向の位相が異なる。回転方向の位相は、各々のシリンダ室31a~31d内での各々のローラ23a~23dの偏心回転方向における位相である。
【0113】
図6および
図7に示す例では、第1のシリンダ16aのブレード25aと第2のシリンダ16bのブレード25bとは、回転方向の位相を90°程度異ならせて配置されている。ただし、これらのブレード25a,25bの回転方向の位相差はこれに限定されない。低段側のシリンダである第3のシリンダ16cのブレード25の回転方向の位相は、第1のシリンダ16aのブレード25aと同等であればよい。高段側のシリンダである第4のシリンダ16dのブレード25の回転方向の位相は、第2のシリンダ16bのブレード25bと同等であればよい。
【0114】
このようにブレード25の回転方向の位相を低段側の第1および第3のシリンダ16a,16cと、高段側の第2および第4のシリンダ16b,16dとで異ならせることで、低段側と高段側での圧縮工程の位相(圧縮タイミング)をずらすことができ、圧縮工程でのトルク変動を低減しやすくなる。
【0115】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0116】
上述した各実施形態においては、圧縮機2,2a,2bをブレードがローラの偏心回転に追従してシリンダ室に進退する一般的なロータリコンプレッサとして説明したが、例えばブレードがローラの外周面からローラの径方向外側に向けて一体的に突出する、所謂スイングタイプのロータリコンプレッサでも同様に実施可能である。また、各実施形態に係る圧縮機2,2a,2bは、回転軸13を起立させた縦型のロータリコンプレッサに限らず、回転軸を横置きにした横型のロータリコンプレッサであってもよい。
【符号の説明】
【0117】
1…空気調和機、2,2a,2b…圧縮機、3…四方弁、4…室外熱交換器、5…膨張装置、6…室内熱交換器、7…循環回路、8…アキュムレータ、10…密閉容器、10e…吸込管(低段吸込管)、10f…低段吐出管、10g…高段吸込管、11…駆動機構部、12,12a,12b…圧縮機構部、13…回転軸、14…第1の軸受、14c…吐出弁機構、14d…吐出ポート、14e,14f…孔部、15…第2の軸受、15c…吐出弁機構、15d…吐出ポート、15e…孔部、16a…第1のシリンダ、16b…第2のシリンダ、16c…第3のシリンダ、16d…第4のシリンダ、17…仕切板軸受、17a…軸受孔、18a…第1のマフラカバー、181a…孔部、182a…孔部、18b…第2のマフラカバー、181b…孔部、182b…孔部、19a…第1のマフラ室、19b…第2のマフラ室、20a…第1の仕切板、20b…第2の仕切板、201a,201b…貫通孔、202a,202b…吐出弁機構、203a,203b…吐出ポート、22a…第1のクランク部、22b…第2のクランク部、22c…第3のクランク部、22d…第4のクランク部、23a…第1のローラ、23b…第2のローラ、23c…第3のローラ、23d…第4のローラ、25…ブレード、31a…第1のシリンダ室、31b…第2のシリンダ室、31c…第3のシリンダ室、31d…第4のシリンダ室、32,36…吸込口、33,35,37…接続管、34…吐出口、41,42…固定部、411,421…ねじ孔、412,422…締結部材(ボルト)、413,423…締結部材(ボルト)、424…締結部材(ボルト)、431,441…締結部材(ボルト)、46a,46b,46c,46d,47…孔部、50a,50b…孔部、56c,56d…孔部、151a,163,164…孔部、161,162…アクセス孔、Dj…仕切板軸受の内径(軸受孔の孔径)、Dc…第1および第2のクランク部の外径、Dp…仕切板の貫通孔の孔径、E…第1および第2のクランク部の偏心量、O1…中心軸線、Oc…第1および第2のクランク部の中心軸線、θ1…第3のクランク部と第4のクランク部の回転軸の中心軸線からの偏心方向、θ2…第1のクランク部と第2のクランク部の回転軸の中心軸線からの偏心方向。