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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073803
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】基板対基板コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/57 20110101AFI20240523BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H01R12/57
H01R13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184706
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB43
5E223AB65
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB84
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB11
5E223EA31
(57)【要約】
【課題】基板対基板コネクタのコンタクトにおいて、高い伝送特性と良好なバネ特性を同時に実現する。
【解決手段】基板対基板コネクタ4は、コンタクト5と、コンタクト5を収容するハウジング6と、を含む。コンタクト5は、主電極パッド2Bに半田実装可能な実装部10と、実装部10から延びるバネ部11と、を含む。バネ部11は、従電極パッド3Bに接触可能な接点実装部10と、ハウジング6に拘束される拘束部14と、を含む。実装部10は、拘束部14がハウジング6に拘束された状態で主電極パッド2Bに半田実装される。拘束部14は、実装部10が主電極パッド2Bに半田実装された状態で、接点部13が従電極パッド3Bに接触して変位することにより、ハウジング6に拘束された拘束状態からハウジング6に拘束されない解放状態へと切り替わる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板に実装され、前記第1基板と第2基板の間に挟まれることで、前記第1基板の第1電極パッドと前記第2基板の第2電極パッドを電気的に接続する基板対基板コネクタであって、
コンタクトと、
前記コンタクトを収容するハウジングと、
を含み、
前記コンタクトは、
前記第1電極パッドに半田実装可能な実装部と、
前記実装部から延びるバネ部と、
を含み、
前記バネ部は、
前記第2電極パッドに接触可能な接点部と、
前記ハウジングに拘束される拘束部と、
を含み、
前記実装部は、前記拘束部が前記ハウジングに拘束された状態で前記第1電極パッドに半田実装され、
前記拘束部は、前記実装部が前記第1電極パッドに半田実装された状態で、前記接点部が前記第2電極パッドに接触して変位することにより、前記ハウジングに拘束された拘束状態から前記ハウジングに拘束されない解放状態へと切り替わる、
基板対基板コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、圧入により前記ハウジングに拘束されている、
基板対基板コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載の基板対基板コネクタであって、
前記ハウジングは、前記第1基板に対向するハウジング下面と、前記第2基板に対向するハウジング上面と、を有し、
前記拘束部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で前記ハウジングに圧入され、
前記拘束部は、前記接点部が前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で変位することで、前記拘束状態から前記解放状態へと切り替わる、
基板対基板コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載の基板対基板コネクタであって、
前記接点部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で、前記ハウジング上面よりも突出している、
基板対基板コネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、インサート成形により前記ハウジングに拘束されている、
基板対基板コネクタ。
【請求項6】
請求項5に記載の基板対基板コネクタであって、
前記ハウジングは、前記第1基板に対向するハウジング下面と、前記第2基板に対向するハウジング上面と、を有し、
前記拘束部は、前記ハウジングに拘束された状態で、前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で前記ハウジングから露出している、
基板対基板コネクタ。
【請求項7】
請求項6に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、前記接点部が前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で変位することで、前記拘束状態から前記解放状態へと切り替わる、
基板対基板コネクタ。
【請求項8】
請求項7に記載の基板対基板コネクタであって、
前記接点部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で、前記ハウジング上面よりも突出している、
基板対基板コネクタ。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1項に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、前記接点部の近傍に設けられている、
基板対基板コネクタ。
【請求項10】
請求項1から8までの何れか1項に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、前記接点部よりも前記バネ部の自由端に近い、
基板対基板コネクタ。
【請求項11】
請求項1から8までの何れか1項に記載の基板対基板コネクタであって、
前記拘束部は、前記バネ部の自由端に設けられている、
基板対基板コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板対基板コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、本願の図10に示すように、基板対基板コネクタ用のコンタクト100を開示している。コンタクト100は、回路基板に半田付けされる半田付け部101と、ハウジングに保持される連接部102、接触部103を有する弾性片104、をこの記載順に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第2736972号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のコンタクト100では、伝送特性の観点から、接触部103から半田付け部101までの伝送経路長は短い方が好ましい。一方で、バネ特性の観点から、弾性片104は長い方が好ましい。このように、上記特許文献1のコンタクト100は、互いに相容れない課題を抱えている。
【0005】
本開示の目的は、伝送特性とバネ特性を両立する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、第1基板に実装され、前記第1基板と第2基板の間に挟まれることで、前記第1基板の第1電極パッドと前記第2基板の第2電極パッドを電気的に接続する基板対基板コネクタであって、コンタクトと、前記コンタクトを収容するハウジングと、を含み、前記コンタクトは、前記第1電極パッドに半田実装可能な実装部と、前記実装部から延びるバネ部と、を含み、前記バネ部は、前記第2電極パッドに接触可能な接点部と、前記ハウジングに拘束される拘束部と、を含み、前記実装部は、前記拘束部が前記ハウジングに拘束された状態で前記第1電極パッドに半田実装され、前記拘束部は、前記実装部が前記第1電極パッドに半田実装された状態で、前記接点部が前記第2電極パッドに接触して変位することにより、前記ハウジングに拘束された拘束状態から前記ハウジングに拘束されない解放状態へと切り替わる、基板対基板コネクタが提供される。
前記拘束部は、圧入により前記ハウジングに拘束されてもよい。
前記ハウジングは、前記第1基板に対向するハウジング下面と、前記第2基板に対向するハウジング上面と、を有し、前記拘束部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で前記ハウジングに圧入され、前記拘束部は、前記接点部が前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で変位することで、前記拘束状態から前記解放状態へと切り替わってもよい。
前記接点部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で、前記ハウジング上面よりも突出してもよい
前記拘束部は、インサート成形により前記ハウジングに拘束されてもよい。
前記ハウジングは、前記第1基板に対向するハウジング下面と、前記第2基板に対向するハウジング上面と、を有し、前記拘束部は、前記ハウジングに拘束された状態で、前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で前記ハウジングから露出してもよい。
前記拘束部は、前記接点部が前記ハウジング上面から前記ハウジング下面を見る方向で変位することで、前記拘束状態から前記解放状態へと切り替わってもよい。
前記接点部は、前記ハウジング下面から前記ハウジング上面を見る方向で、前記ハウジング上面よりも突出していてもよい。
前記拘束部は、前記接点部の近傍に設けられてもよい。
前記拘束部は、前記接点部よりも前記バネ部の自由端に近くてもよい。
前記拘束部は、前記バネ部の自由端に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、伝送特性とバネ特性を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子機器の斜視図である。(第1実施形態)
図2】基板対基板コネクタの断面斜視図である。(第1実施形態)
図3】コンタクトの斜視図である。(第1実施形態)
図4】ハウジングの断面斜視図である。(第1実施形態)
図5】ハウジングの別の角度から見た断面斜視図である。(第1実施形態)
図6】基板対基板コネクタの製造フローを示す図である。(第1実施形態)
図7】基板対基板コネクタの使用方法を示す図である。(第1実施形態)
図8】基板対基板コネクタの使用方法を示す図である。(第1実施形態)
図9】基板対基板コネクタの断面斜視図である。(第2実施形態)
図10】特許文献1の図1を簡略化した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図1から図8を参照して、本開示の第1実施形態を説明する。
【0010】
図1には、電子機器1を示している。図1に示すように、電子機器1は、主基板2(第1基板)、従基板3(第2基板)、基板対基板コネクタ4を含む。
【0011】
主基板2は、コネクタ搭載面2Aを有する。主基板2のコネクタ搭載面2Aには、複数の主電極パッド2B(第1電極パッド)が設けられている。
【0012】
従基板3は、コネクタ対向面3Aを有する。従基板3のコネクタ対向面3Aには、複数の従電極パッド3B(第2電極パッド)が設けられている。
【0013】
基板対基板コネクタ4は、主基板2に実装される。基板対基板コネクタ4は、互いに平行な主基板2と従基板3の間に挟まれることで、主基板2の複数の主電極パッド2Bと、従基板3の複数の従電極パッド3Bをそれぞれ電気的に互いに接続する。主基板2と基板対基板コネクタ4と従基板3が重なり合う方向を以下、上下方向と称する。基板対基板コネクタ4から主基板2を見る方向を下方とし、基板対基板コネクタ4から従基板3を見る方向を上方とする。ただし、上方、下方、上下方向は、何れも、基板対基板コネクタ4の使用時における基板対基板コネクタ4の姿勢を限定するものではない。
【0014】
基板対基板コネクタ4は、金属製の複数のコンタクト5と、複数のコンタクト5を収容する絶縁樹脂製のハウジング6と、を含む。
【0015】
ハウジング6は、平面視で矩形の平板状に形成されている。ハウジング6は、下方を向くハウジング下面6Aと、上方を向くハウジング上面6Bと、を有する。
【0016】
複数のコンタクト5は、何れも互いに同じ向きでハウジング6に収容されている。各コンタクト5の平面視における長手方向及び短手方向を以下、単に長手方向及び短手方向とそれぞれ称する。
【0017】
図2に示すように、ハウジング6には、複数のキャビティ7が形成されている。各キャビティ7は、ハウジング6を上下方向に貫通するように形成されている。即ち、各キャビティ7は、ハウジング6のハウジング下面6A及びハウジング上面6Bに開口するように形成されている。そして、複数のキャビティ7に、複数のコンタクト5がそれぞれ収容されている。
【0018】
図3には、各コンタクト5の斜視図を示している。複数のコンタクト5は同一形状であるから、以下、代表的に1つのコンタクト5について説明する。
【0019】
図3に示すように、コンタクト5は、短手方向から見ると長手方向に開口するU字に形成されている。コンタクト5は、長手方向から見ると線対称に形成されている。コンタクト5は、実装部10と、実装部10から延びるバネ部11と、を含む。
【0020】
実装部10は、図1に示す主基板2の対応する主電極パッド2Bに半田実装される部分である。実装部10の板厚方向は上下方向に等しい。実装部10は、前端10A及び後端10Bを有する。前端10Aと後端10Bは、長手方向において互いに離れている。
【0021】
バネ部11は、実装部10の後端10Bから片持梁状に延びている。バネ部11は、バネ部本体12と接点部13、拘束部14を含む。バネ部本体12と接点部13、拘束部14は、実装部10からバネ部11の自由端11Aに向かってこの記載順に連なっている。
【0022】
バネ部本体12は、垂直部12A及び傾斜部12Bを含む。垂直部12Aは、実装部10の後端10Bから上方に延びている。傾斜部12Bは、垂直部12Aの上端から斜め上方に延びている。傾斜部12Bは、実装部10と上下方向で対向している。
【0023】
接点部13は、図1に示す従基板3の対応する従電極パッド3Bに接触する部分である。接点部13は、上に凸となるようにU字状に湾曲している。
【0024】
拘束部14は、接点部13から下方に延びている。拘束部14は、拘束部本体14Aと2つの圧入爪14Bを含む。2つの圧入爪14Bは、短手方向において、拘束部本体14Aから互いに反対向きに突出している。
【0025】
図4及び図5には、各キャビティ7の斜視図を示している。以下、複数のキャビティ7は同一形状であるから、代表的に1つのキャビティ7について説明する。
【0026】
図4及び図5に示すように、ハウジング6は、キャビティ7を短手方向で規定する2つの短手内面20と、キャビティ7を長手方向で規定する2つの長手内面21と、を有する。2つの長手内面21は、前方長手内面21A及び後方長手内面21Bを含む。
【0027】
各短手内面20は、前方凹み22と後方凹み23を有する。
【0028】
前方凹み22は、各短手内面20のうち前方長手内面21Aに隣接する領域において、下方に開口するように形成されている。従って、各短手内面20は、前方凹み22に対して上下方向で隣接する圧入面20Aを有する。即ち、前方凹み22は、圧入面20Aの下方に形成されている。図5に示すように、互いに対向する2つの短手内面20の圧入面20Aの間の短手方向における距離D1は、互いに対向する2つの前方凹み22の底面22Aの間の短手方向における距離D2よりも短い。
【0029】
後方凹み23は、各短手内面20のうち後方長手内面21Bに隣接する領域において、下方に開口するように形成されている。ハウジング6は、後方凹み23を上下方向で規定する位置決め面23Aを有する。
【0030】
次に、図6を参照して、基板対基板コネクタ4の製造方法を説明する。
【0031】
まず、ハウジング6を射出成形により製造する。それと並行して、複数のコンタクト5を1枚の金属板を打ち抜き加工及び曲げ加工することで製造する。典型的には、複数のコンタクト5は、キャリアにより互いに連結されているが、キャリアについては説明を省略する。
【0032】
次に、各コンタクト5を各キャビティ7に収容する。具体的には、図6に示すように、各コンタクト5を、各キャビティ7のハウジング下面6Aにおける開口7Aに通して、ハウジング6に対して相対的に上方に移動させることにより、各キャビティ7に収容する。
【0033】
このとき、拘束部14は、短手方向で互いに対向する2つの前方凹み22の底面22Aに対して短手方向で対向しながらハウジング6に対して相対的に上方に移動し、やがて、短手方向で互いに対向する2つの圧入面20Aに圧入される。即ち、拘束部14の各圧入爪14Bは、対応する圧入面20Aに下から圧入される。圧入時、実装部10が後方凹み23の位置決め面23Aに面接触することで、圧入時において実装部10が上下方向で位置決めされる。この結果、コンタクト5は、拘束部14がハウジング6に固定された片持梁となる。この状態で、実装部10は、コンタクト5の自重により後方凹み23の位置決め面23Aから下方に若干離れる場合がある。また、接点部13は、ハウジング上面6Bよりも上方に突出している。
【0034】
次に、図7及び図8を参照して、基板対基板コネクタ4の使用方法を説明する。
【0035】
まず、図7に示すように、基板対基板コネクタ4を主基板2のコネクタ搭載面2Aに実装する。具体的には、各コンタクト5の実装部10を対応する主電極パッド2Bに半田実装する。このとき、拘束部14の2つの圧入爪14Bは、互いに対向する2つの圧入面20Aにそれぞれ圧入されている。即ち、実装部10は、拘束部14がハウジング6に拘束された状態で主電極パッド2Bに半田実装される。
【0036】
次に、従基板3の従電極パッド3Bを接点部13に対して上下方向で対向させ、従基板3を基板対基板コネクタ4に向かって押し付ける。すると、従電極パッド3Bが接点部13に接触すると共に、接点部13が下方に変位する。これに伴って、図8に示すように、拘束部14の2つの圧入爪14Bが下方に移動して、互いに対向する2つの圧入面20Aからそれぞれ離脱する。即ち、接点部13が下方に変位すると、拘束部14は、ハウジング6によって拘束された図7の拘束状態から、ハウジング6によって拘束されない図8の解放状態に切り替わる。各圧入爪14Bが対応する圧入面20Aから下方に離脱すると、各圧入面20Aには圧入痕20Bが残される。
【0037】
このように、拘束部14が拘束状態から解放状態に切り替わると、コンタクト5は、拘束部14がハウジング6に固定され、実装部10が主基板2に固定された両持ち梁状態から、拘束部14が自由端となり実装部10が主基板2に固定された片持梁状態に切り替わる。
【0038】
図7及び図8に示すように、接点部13が下方に変位するとき、変位の初期段階で拘束部14が拘束状態から解放状態に速やかに切り替わる。従って、接点部13が下方に変位するとき、バネ部本体12全体が弾性変形する。バネ部本体12全体が弾性変形するので、バネ部本体12に発生する応力を緩和することができる。即ち、コンタクト5のバネ特性が改善されることになる。特筆すべきは、コンタクト5のバネ特性を改善するに際し、接点部13から実装部10までの伝送経路長を延長する必要がないことである。従って、以上の構成によれば、高い伝送特性と良好なバネ特性を同時に実現することができる。
【0039】
なお、従基板3を基板対基板コネクタ4から上方に引き離したとき、図8に示す各圧入爪14Bは、対応する圧入痕20Bに再び挿入されることはない。これは、図8において接点部13が上下に変位したときの拘束部14の軌道が概ね実装部10とバネ部11との境界Eを中心とした円弧軌道であるのに対し、圧入痕20Bは上下方向に延びているからである。
【0040】
以上に、本開示の第1実施形態を説明した。上記第1実施形態は、以下の特徴を有する。
【0041】
図1に示すように、基板対基板コネクタ4は、主基板2(第1基板)に実装され、主基板2と従基板3(第2基板)の間に挟まれることで、主基板2の主電極パッド2B(第1電極パッド)と従基板3の従電極パッド3B(第2電極パッド)を電気的に接続する。基板対基板コネクタ4は、コンタクト5と、コンタクト5を収容するハウジング6と、を含む。コンタクト5は、主電極パッド2Bに半田実装可能な実装部10と、実装部10から延びるバネ部11と、を含む。バネ部11は、従電極パッド3Bに接触可能な接点実装部10と、ハウジング6に拘束される拘束部14と、を含む。そして、図7に示すように、実装部10は、拘束部14がハウジング6に拘束された状態で主電極パッド2Bに半田実装される。図8に示すように、拘束部14は、実装部10が主電極パッド2Bに半田実装された状態で、接点部13が従電極パッド3Bに接触して変位することにより、ハウジング6に拘束された拘束状態からハウジング6に拘束されない解放状態へと切り替わる。以上の構成によれば、基板対基板コネクタ4の各コンタクト5において、高い伝送特性と良好なバネ特性を同時に実現することができる。
【0042】
また、図7に示すように、拘束部14は、圧入によりハウジング6に拘束されている。以上の構成によれば、簡素な手法により、拘束部14をハウジング6に拘束することができる。
【0043】
また、図2に示すように、ハウジング6は、主基板2に対向するハウジング下面6Aと、従基板3に対向するハウジング上面6Bと、を有する。図6に示すように、拘束部14は、ハウジング6に上向きに圧入される。図7及び図8に示すように、拘束部14は、接点部13が下方に変位することで、拘束状態から解放状態へと切り替わる。以上の構成によれば、拘束部14の圧入方向と、拘束部14がハウジング6から離脱する離脱方向が反対となるので、拘束部14をハウジング6から小さな力で離脱させることができる。
【0044】
また、図7に示すように、接点部13は、ハウジング上面6Bよりも上方に突出している。以上の構成によれば、接点部13を容易に下方に変位させることができる。
【0045】
また、図3に示すように、拘束部14は、接点部13の近傍に設けられている。以上の構成によれば、接点部13を下方に変位させたときの接点部13の下方変位量と、接点部13を下方に変位させたときの拘束部14の下方変位量と、を近づけることができる。従って、拘束部14が接点部13から遠く離れた位置に設けられる場合と比較して、拘束部14を効率よくハウジング6から離脱させることができる。
【0046】
また、図3に示すように、拘束部14は、接点部13よりもバネ部11の自由端11Aに近い。以上の構成によれば、バネ部本体12に拘束部14を設ける場合と比較して、バネ部本体12を設計するに際し拘束部14を考慮する必要がないので、バネ部本体12を設計し易い。ただし、バネ部本体12に拘束部14を設けてもよい。
【0047】
また、図3に示すように、拘束部14は、バネ部11の自由端11Aに設けられている。以上の構成によれば、拘束部14をハウジング6に圧入するに際し、治具を用いて拘束部14を上方に押し易くなる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、図9を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0049】
例えば図6に示すように、上記第1実施形態において、拘束部14は圧入によりハウジング6に拘束されている。
【0050】
これに対し、本実施形態では、図9に示すように、拘束部14はインサート成形によりハウジング6に拘束されている。
【0051】
具体的には、拘束部14は、拘束部本体14Aと2つの埋没部14Cを含む。2つの埋没部14Cは、短手方向において、拘束部本体14Aから互いに反対向きに突出している。
【0052】
そして、基板対基板コネクタ4の製造に際し、ハウジング6と複数のコンタクト5は、インサート成形により一体的に形成される。即ち、図9に示すように、2つの埋没部14Cが圧入面20Aを貫通するようにインサート成形が実行される。図9の状態で、拘束部14の下面14Pは、ハウジング6に覆われることなく下方に露出している。拘束部14の下面14Pは、拘束部14の拘束部本体14Aの下面と拘束部14の2つの埋没部14Cの下面から構成されている。このように拘束部14がハウジング6に拘束された状態でハウジング6から下方に露出していることで、上記第1実施形態と同様に、拘束部14をハウジング6から下方に容易に離脱させることができる。
【0053】
以上に、第2実施形態を説明した。上記第2実施形態は、以下の特徴を有する。
【0054】
即ち、図9に示すように、拘束部14は、インサート成形によりハウジング6に拘束されている。以上の構成によれば、拘束部14をハウジング6に圧入する必要がないので、圧入に伴う種々の困難性を回避することができる。
【0055】
また、拘束部14は、ハウジング6に拘束された状態で、ハウジングから下方に露出している。以上の構成によれば、拘束部14をハウジング6から下方に容易に離脱させることができる。
【0056】
また、拘束部14は、接点部13が下方に変位することで、拘束状態から解放状態へと切り替わる。以上の構成によれば、従基板3を基板対基板コネクタ4に押し付けるだけで、接点部13を拘束状態から解放状態へと切り替えることができる。
【0057】
また、接点部13は、ハウジング上面6Bよりも上方に突出している。以上の構成によれば、接点部13を容易に下方に変位させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 電子機器
2 主基板(第1基板)
2A コネクタ搭載面
2B 主電極パッド(第1電極パッド)
3 従基板(第2基板)
3A コネクタ対向面
3B 従電極パッド(第2電極パッド)
4 基板対基板コネクタ
5 コンタクト
6 ハウジング
6A ハウジング下面
6B ハウジング上面
7 キャビティ
7A 開口
10 実装部
10A 前端
10B 後端
11 バネ部
11A 自由端
12 バネ部本体
12A 垂直部
12B 傾斜部
13 接点部
14 拘束部
14A 拘束部本体
14B 圧入爪
14C 埋没部
14P 下面
20 短手内面
20A 圧入面
20B 圧入痕
21 長手内面
21A 前方長手内面
21B 後方長手内面
22 前方凹み
22A 底面
23 後方凹み
23A 位置決め面
D1 距離
D2 距離
E 境界
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10