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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073807
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】認証システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240523BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20240523BHJP
   B62J 43/23 20200101ALI20240523BHJP
   B62M 6/45 20100101ALI20240523BHJP
   A01G 20/47 20180101ALN20240523BHJP
【FI】
H02J7/00 302A
A47L5/24 A
B62J43/23
B62M6/45
H02J7/00 S
H02J7/00 Y
A01G20/47
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184713
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100153969
【弁理士】
【氏名又は名称】松澤 寿昭
(72)【発明者】
【氏名】和田 伸午
(72)【発明者】
【氏名】冨士原 利樹
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【テーマコード(参考)】
2B022
5G503
【Fターム(参考)】
2B022AB20
5G503AA01
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA14
5G503GD05
(57)【要約】
【課題】本開示は、盗難の抑止に寄与することが可能な認証システムを説明する。
【解決手段】認証システムは、バッテリ装置と製品本体との間での認証を行うように構成された認証システムである。バッテリ装置は、バッテリ識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体と、筐体内に配置されたバッテリとを含む。製品本体は、バッテリ装置との電気的な接続をオンオフ可能に構成された切替部と、駆動源と、読取部と、記憶部と、制御部とを含む。制御部は、バッテリ装置が製品本体に取り付けられる際に、読取部によってICタグから読み取られたバッテリ識別情報と、記憶部に保持されているバッテリ認証情報とが合致するか否かを判断する判断処理と、判断処理において、バッテリ識別情報とバッテリ認証情報とが合致すると判断された場合に切替部を制御して、バッテリ装置から駆動源に給電させる給電処理とを実行するように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ装置と、前記バッテリ装置からの給電により駆動する製品本体との間での認証を行うように構成された認証システムであって、
前記バッテリ装置は、
バッテリ識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体と、
前記筐体内に配置されたバッテリとを含み、
前記製品本体は、
前記バッテリとの電気的な接続をオンオフ可能に構成された切替部と、
前記バッテリから給電されることにより動作する駆動源と、
前記ICタグに記憶されている前記バッテリ識別情報を読取可能に構成された読取部と、
バッテリ認証情報を保持する記憶部と、
制御部とを含み、
前記制御部は、
前記バッテリ装置が前記製品本体に取り付けられる際に、前記読取部によって前記ICタグから読み取られた前記バッテリ識別情報と、前記記憶部に保持されている前記バッテリ認証情報とが合致するか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理において、前記バッテリ識別情報と前記バッテリ認証情報とが合致すると判断された場合に前記切替部を制御して、前記バッテリから前記駆動源に給電させる給電処理とを実行するように構成されている、認証システム。
【請求項2】
前記製品本体は、前記駆動源によって走行可能な走行体である、請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記製品本体は、第1の製品本体と、第2の製品本体とを含み、
前記判断処理は、前記バッテリ装置が前記第1の製品本体又は前記第2の製品本体に取り付けられる際に、前記読取部によって前記ICタグから読み取られた前記バッテリ識別情報と、前記第1の製品本体の前記記憶部に保持されている前記バッテリ認証情報又は前記第2の製品本体の前記記憶部に保持されている前記バッテリ認証情報とが合致するか否かを判断することを含む、請求項1に記載の認証システム。
【請求項4】
前記製品本体は、電動農具、電動工具又は家電製品である、請求項3に記載の認証システム。
【請求項5】
前記ICタグに記憶されている前記バッテリ識別情報を読取可能に構成された読取端末と、
前記バッテリ識別情報と、前記バッテリ識別情報に対応づけられた対応情報とを含む管理データを記憶する記憶装置とをさらに備え、
前記読取端末は、
前記ICタグに記憶されている前記バッテリ識別情報を読み取る読取処理と、
前記読取処理において読み取られた前記バッテリ識別情報が前記管理データに存在している場合に、前記バッテリ識別情報に対応する前記対応情報を取得する取得処理と、
前記取得処理において取得された前記対応情報を出力する出力処理とを実行するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自転車のフレームに着脱可能に搭載されたバッテリ装置から自転車のモータに給電することで、モータによる駆動力を発生させ、人力による駆動力に加えて、あるいは、人力による駆動力なしで、走行可能に構成された電動自転車を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-101112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動自転車においては、バッテリ装置からモータへの給電に伴い、バッテリ装置の充電量が低下することから、バッテリ装置を適宜充填する必要がある。そのため、バッテリ装置は、一般に、自転車のフレームから着脱容易となるように構成されている。通常、電動自転車を駐車する際には、自転車の車輪をロックすることが多いため、着脱の容易さとも相俟って、バッテリ装置について盗難のリスクが懸念されていた。なお、電動自転車のみならず、着脱可能なバッテリ装置を用いて動力源に給電を行うように構成された各種の製品についても、同様の懸念がある。
【0005】
そこで、本開示は、盗難の抑止に寄与することが可能な認証システムを説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
認証システムの一例は、バッテリ装置と、バッテリ装置からの給電により駆動する製品本体との間での認証を行うように構成された認証システムである。バッテリ装置は、バッテリ識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体と、筐体内に配置されたバッテリとを含む。製品本体は、バッテリとの電気的な接続をオンオフ可能に構成された切替部と、バッテリから給電されることにより動作する駆動源と、ICタグに記憶されているバッテリ識別情報を読取可能に構成された読取部と、バッテリ認証情報を保持する記憶部と、制御部とを含む。制御部は、バッテリ装置が製品本体に取り付けられる際に、読取部によってICタグから読み取られたバッテリ識別情報と、記憶部に保持されているバッテリ認証情報とが合致するか否かを判断する判断処理と、判断処理において、バッテリ識別情報とバッテリ認証情報とが合致すると判断された場合に切替部を制御して、バッテリから駆動源に給電させる給電処理とを実行するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る認証システムによれば、盗難の抑止に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、電動機付き自転車を示す側面図である。
図2図2(a)は、バッテリ装置を示す断面図であり、図2(b)は、バッテリ装置のICタグに保持される情報の例を示す図である。
図3図3は、認証システムの一例を示す図である。
図4図4は、一つのバッテリ装置を複数の電動器具で共通利用する際の利用可否を模式的に示す図である。
図5図5は、認証システムの他の例(バッテリ装置の真贋判定方法)を示す図である。
図6図6は、認証システムの他の例(所有者情報の登録方法)を示す図である。
図7図7は、認証システムの他の例(バッテリ装置の所有者確認方法)を示す図である。
図8図8は、認証システムの他の例(インクタンクの真贋判定方法)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、本明細書において、図の上、下、右、左というときは、図中の符号の向きを基準とすることとする。
【0010】
[認証システムの構成]
図1図3を参照して、電動機付き自転車1(走行体)に認証システム100を適用した例を説明する。電動機付き自転車1は、例えば、電動自転車(人がペダルを踏むことなく、モータの動力で走行可能な走行体)であってもよいし、電動アシスト自転車(人がペダルを踏み込む力をモータの動力で補助することにより走行可能な走行体)であってもよい。電動機付き自転車1は、図1に例示されるように、バッテリ装置10と、車両本体20(製品本体)とを含む。
【0011】
バッテリ装置10は、図1及び図2(a)に例示されるように、筐体11と、バッテリ12と、ICタグ13とを含む。
【0012】
筐体11は、例えば、樹脂を用いたモールド成型によって形成されていてもよい。バッテリ12は、筐体11内に配置されており、車両本体20のモータ21(後述する)に給電するように構成されている。ICタグ13は、筐体11の内部に埋め込まれている。そのため、ICタグ13は、筐体11の表面に露出しておらず、人が容易に筐体11から取り出せないようになっている。
【0013】
ICタグ13は、各種の情報を保持していてもよい。ICタグ13は、図2(b)に例示されるように、個々のICタグ13に固有の情報である固有IDと、識別ID(バッテリ識別情報)とを対応付けて保持していてもよい。識別IDは、例えば、電動機付き自転車1の製造会社や販売会社を示す情報であってもよい。図2(b)に示される例では、ICタグ13のうち一のICタグ13aは、固有IDとして「ABC001」と、識別IDとして「XXX」とを対応付けて保持している。ICタグ13のうち別のICタグ13bは、固有IDとして「ABC002」と、識別IDとして「XXX」とを対応付けて保持している。ICタグ13のうちさらに別のICタグ13cは、固有IDとして「ABC003」と、識別IDとして「YYY」とを対応付けて保持している。
【0014】
車両本体20は、図1及び図3に例示されるように、モータ21(駆動源)と、接続端子22と、切替部23と、読取部24と、記憶部25と、制御部26とを含む。
【0015】
モータ21は、バッテリ装置10(バッテリ12)からの給電があるときに制御部16からの制御信号に基づいて動作して、車両本体20に駆動力を付与するように構成されている。モータ21は、例えば、車両本体20の車軸やペダルに接続された駆動軸などに回転力を付与するように構成されていてもよい。接続端子22は、車両本体20にバッテリ装置10が取り付けられたときに、バッテリ装置10との電気的接続を行うためのコネクタである。
【0016】
切替部23は、いわゆるON/OFFスイッチであり、制御部26からの制御信号に基づいてON/OFFを切り替えるように構成されている。切替部23がONである場合、接続端子22に接続されているバッテリ装置10からモータ21への給電が可能となる。切替部23がOFFである場合、接続端子22にバッテリ装置10が接続されていたとしても、バッテリ装置10からモータ21への給電が行われない。
【0017】
読取部24は、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている情報を読み出して、当該情報を制御部26に送信するように構成されている。読取部24は、例えば、車両本体20にバッテリ装置10が取り付けられたとき(バッテリ装置10が接続端子22に接続されたとき)に、ICタグ13に保持されている情報を読み出してもよい。
【0018】
記憶部25は、バッテリ装置10を認証するための認証ID(バッテリ認証情報)を記憶している。当該認証IDは、例えば、車両本体20において認証登録されたバッテリ装置10の識別IDであってもよい。ここで、「認証登録」とは、例えば、車両本体20においてバッテリ装置10を利用する前に、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている識別ID(ICタグ13aであれば「XXX」)を読取部24で読み出し、認証IDとして記憶部25に記憶させる事前処理であってもよい。
【0019】
制御部26は、車両本体20の各部(例えば、モータ21、切替部23など)を制御するように構成されている。制御部26は、例えば、読取部24がICタグ13から読み取った識別IDと、記憶部25に記憶されている認証IDとが合致するか否かを判断するように構成されていてもよい。制御部26は、例えば、読取部24がICタグ13から読み取った識別IDと、記憶部25に記憶されている認証IDとが合致したときに、切替部23を制御してON状態とし、バッテリ装置10(バッテリ12)からモータ21に給電させてもよい。
【0020】
[認証システムによる認証方法]
次に、図1図3の例を参照して、認証システム100による認証方法について説明する。なお、ここでは、車両本体20の記憶部25に認証IDとして「XXX」が予め認証登録されていることとする。
【0021】
まず、電動機付き自転車1のユーザが、バッテリ装置10を車両本体20に取り付ける。具体的には、バッテリ装置10を車両本体20の接続端子22に接続する。この際、車両本体20の読取部24が、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている識別IDを読み取って、制御部26に送信する。図2(b)に例示されるように、バッテリ装置10にICタグ13a,13bが設けられている場合には、読取部24は、識別IDとして「XXX」を読み取る。一方、バッテリ装置10にICタグ13cが設けられている場合には、読取部24は、識別IDとして「YYY」を読み取る。
【0022】
次に、制御部26は、ICタグ13から読み取った識別IDと、記憶部25に記憶されている認証IDとが合致するか否かを判断する(判断処理)。次に、制御部26は、判断処理において合致すると判断した場合(例えば、認証ID及び識別IDが共に「XXX」の場合)、切替部23を制御してON状態とする。これにより、バッテリ装置10(バッテリ12)からモータ21に給電され、モータ21が駆動可能となる。一方、制御部26は、判断処理において合致しないと判断した場合(例えば、認証IDが「XXX」で識別IDが「YYY」の場合)、切替部23の制御が行われずOFF状態が維持される。これにより、バッテリ装置10(バッテリ12)からモータ21への給電が行われないので、モータ21は駆動不可能となる。
【0023】
[作用]
以上の例によれば、バッテリ装置10が車両本体20に取り付けられるだけでバッテリ12からモータ21に給電可能とされるのではなく、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている識別IDが、車両本体20の記憶部25に保持されている認証IDと合致したときに、バッテリ12からモータ21に給電される。換言すれば、バッテリ装置10を車両本体20に取り付けても、認証できなかった場合には、当該バッテリ装置10からモータ21に給電することができない。そのため、バッテリ装置10を盗んで他の車両本体20に取り付けたり、盗んだバッテリ装置10を第三者に転売したりする動機が大きく減殺される。したがって、バッテリ装置10の盗難の抑止に寄与することが可能となる。
【0024】
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0025】
(1)以上の例では、認証登録として、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている識別IDを読取部24で読み出し、認証IDとして記憶部25に記憶させていたが、認証登録はこれに限定されない。例えば、認証登録は、車両本体20にバッテリ装置10が取り付けられたときに、車両本体20の記憶部25に記憶されている認証ID(例えば、「XXX」)を、バッテリ装置10のICタグ13に識別IDとして書き込む事前処理であってもよい。この場合、一つの車両本体20に対して、複数のバッテリ装置10を認証登録しておくことで、複数のバッテリ装置10を所持しているユーザが、いずれかのバッテリ装置10を選択的に車両本体20に使用することが可能となる。また、この場合、例えば、新品のバッテリ装置10を車両本体20に初めて接続する際に、車両本体20の情報をバッテリのICタグに書き込むことにより、新品のバッテリ装置10と車両本体20とが紐付けられる。これにより、バッテリ装置10に最初に登録された車両本体20とは異なる他の車両本体20に当該バッテリ装置10を取り付けても、当該他の車両本体20に電源が供給されない。したがって、盗難されたバッテリ装置10の不正利用を防止することが可能となる。なお、バッテリ装置10に最初に登録された車両本体20とは異なる他の車両本体20に当該バッテリ装置10を取り付けた際に、バッテリ装置10及び/又は車両本体20からエラーを示す警報音や警報音声などを報知させるようにしてもよい。
【0026】
(2)認証システム100は、一つのバッテリ装置10と、複数の製品本体との間での認証を行えるように構成されていてもよい。例えば、図4に例示されるように、一つのバッテリ装置10が、複数の製品本体30との間で付け替え可能に構成されていてもよい。各製品本体30は、車両本体20と同様に、モータ(駆動源)と、接続端子と、切替部と、読取部と、記憶部と、制御部とを含んでいてもよい(いずれも図示せず)。
【0027】
各製品本体30は、電動農具であってもよいし、電動工具であってもよいし、家電製品であってもよい。図4に例示されるように、複数の製品本体30は製品本体31~33を含んでいてもよい。製品本体31(第1の製品本体)は、電動ドライバドリルであってもよい。製品本体32(第2の製品本体)は、コードレス掃除機であってもよい。製品本体33は、ブロワであってもよい。
【0028】
図4に例示されるように、バッテリ装置10のICタグ13が識別IDとして「XXX」を記憶しており、製品本体31,32の記憶部が認証IDとして「XXX」を保持している場合、バッテリ装置10から製品本体31,32のモータに給電される。一方、バッテリ装置10のICタグ13が識別IDとして「XXX」を記憶しており、製品本体33の記憶部が認証IDとして「YYY」を保持している場合、バッテリ装置10から製品本体33のモータへの給電は行われない。
【0029】
図4の例によれば、複数の製品本体30を所有しているユーザは、一つのバッテリ装置10の識別IDが製品本体30に認証登録されている限り、一つのバッテリ装置10をそれぞれの製品本体30に付け替えることにより、それぞれの製品本体30を利用することができる。そのため、製品本体30ごとに異なるバッテリ装置10を用意する必要がなくなる。したがって、バッテリ装置10の製造コストを抑制することが可能となると共に、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0030】
(3)図5に例示されるように、認証システム100は、読取端末200と、データベースサーバ300(記憶装置)とをさらに備えていてもよい。読取端末200は、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている情報(例えば、固有ID(バッテリ識別情報))を読取可能に構成されていてもよい。読取端末200がICタグ13から情報を読み取る手法としては、例えば、非接触無線通信技術(NFC、無線LAN、Bluetooth(登録商標)など)が採用されてもよい。読取端末200は、スマートフォンなどの汎用的な移動通信端末であってもよいし、バッテリ装置10のICタグ13に対して情報を読み書きするための専用端末であってもよい。読取端末200は、図5に例示されるように、各種の入力作業や各種の情報表示が行えるように構成されたディスプレイ(画像入出力部)を含んでいてもよい。
【0031】
データベースサーバ300は、バッテリ装置10の固有IDと、当該固有IDに対応付けられた正規品情報(対応情報)とを含む管理データを記憶するように構成されている。図5の例では、固有IDである「ABC001」及び「ABC002」がそれぞれ、正規品情報である「正規品」と対応付けられているが、固有IDである「ABC003」は正規品情報と対応付けられていない。
【0032】
データベースサーバ300は、例えば、ネットワークを介して読取端末200と通信可能に構成されていてもよいし、有線接続によって読取端末200と通信可能に構成されていてもよい。データベースサーバ300は、例えば、クラウドコンピューティングの装置又は装置群によって構成されていてもよい。
【0033】
次に、図5に例示される認証システム100により、バッテリ装置10の真贋を判定する方法について説明する。なお、データベースサーバ300には予め、正規品のバッテリ装置10の固有IDが正規品情報と対応付けられて記憶されているが、非正規品のバッテリ装置10の固有IDは記憶されていないものとする。
【0034】
まず、読取端末200が、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている固有IDを読み取る。図5は、固有IDとして「ABC001」が読み取られた例を示している。なお、読み取られた固有IDは、読取端末200のディスプレイに表示されてもよい。
【0035】
次に、読取端末200がデータベースサーバ300に通信接続して、データベースサーバ300のコンピュータが、読み取られた固有IDがデータベースサーバ300に存在するか否かを検索(判断)する。当該コンピュータは、読み取られた固有ID(図5の例では「ABC001」)がデータベースサーバ300に存在すると判断した場合、当該固有IDに対応する正規品情報である「正規品」を、読取端末200に送信する。読取端末200は、データベースサーバ300から正規品情報を受信すると、判定結果として、「正規品」をディスプレイに表示する。
【0036】
一方、当該コンピュータは、読み取られた固有IDがデータベースサーバ300に存在しないと判断した場合(読み取られた固有IDが「ABC003」などの場合)、データベースサーバ300に正規品情報が存在していないので、「非正規品」との情報を読取端末200に送信する。読取端末200は、データベースサーバ300から「非正規品」との情報を受信すると、判定結果として、「非正規品」をディスプレイに表示する。
【0037】
図5に例示される認証システム100によれば、バッテリ装置10の固有IDに対応する対応情報として、バッテリ装置10の真贋を示す情報をデータベースサーバ300に記憶させておくことで、バッテリ装置10の模倣品の判別を容易に行える。そのため、固有IDと、正規品情報とを紐付けて管理しておくことにより、バッテリ装置10を市場において適正に流通させることが可能となる。
【0038】
(4)図5の例では、認証システム100を用いてバッテリ装置10の真贋判定を行ったが、図6及び図7に例示されるように、認証システム100を用いて、バッテリ装置10の所有者情報の登録や、バッテリ装置10の所有者確認を行ってもよい。
【0039】
具体的には、図6に例示されるように、読取端末200が、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている固有IDを読み取る。図6は、固有IDとして「ABC001」が読み取られた例を示している。なお、読み取られた固有IDは、読取端末200のディスプレイに表示されてもよい。
【0040】
次に、ユーザが読取端末200を操作して、バッテリ装置10の所有者の情報を読取端末200に入力する。所有者情報は、例えば、バッテリ装置10の所有者の氏名、住所、電話番号などの個人情報であってもよい。図6は、所有者情報として所有者の氏名である「凸版太郎」が読取端末200に入力された例を示している。
【0041】
次に、読取端末200がデータベースサーバ300に通信接続して、入力された所有者情報を、固有IDと対応付けてデータベースサーバ300に記憶させる。すなわち、図6の例において、固有IDに対応する対応情報は、所有者情報である。以上により、データベースサーバ300への所有者情報の登録が完了する。
【0042】
一方、バッテリ装置10の所有者確認をする場合には、図7に例示されるように、読取端末200が、バッテリ装置10のICタグ13に保持されている固有IDを読み取る。図7は、固有IDとして「ABC001」が読み取られた例を示している。なお、読み取られた固有IDは、読取端末200のディスプレイに表示されてもよい。
【0043】
次に、読取端末200がデータベースサーバ300に通信接続して、データベースサーバ300のコンピュータが、読み取られた固有IDがデータベースサーバ300に存在するか否かを検索(判断)する。当該コンピュータは、読み取られた固有ID(図7の例では「ABC001」)がデータベースサーバ300に存在すると判断した場合、当該固有IDに対応する所有者情報である「凸版太郎」を、読取端末200に送信する。読取端末200は、データベースサーバ300から所有者情報を受信すると、判定結果として、「凸版太郎」をディスプレイに表示する。
【0044】
一方、当該コンピュータは、読み取られた固有IDがデータベースサーバ300に存在しないと判断した場合(読み取られた固有IDが「ABC003」などの場合)、データベースサーバ300に所有者情報が存在していないので、「所有者情報なし」との情報を読取端末200に送信する。読取端末200は、データベースサーバ300から「所有者情報なし」との情報を受信すると、判定結果として、「所有者情報なし」をディスプレイに表示する。
【0045】
図6及び図7に例示される認証システム100によれば、対応情報として、バッテリ装置10の所有者を示す情報をデータベースサーバ300に記憶させておくことで、バッテリ装置10のリサイクルを怠ったユーザの追跡などを容易に行える。そのため、固有IDと、所有者情報とを紐付けて管理しておくことにより、バッテリ装置10を市場において適正に流通させることが可能となる。
【0046】
なお、図5図7の例では、対応情報の一例として正規品情報及び所有者情報を説明したが、対応情報はこれらに限定されない。
【0047】
(5)図1図3では、バッテリ装置10及び車両本体20を備える電動機付き自転車1に認証システム100を適用した例を説明したが、それ以外の製品に認証システム100を適用してもよい。すなわち、認証システム100は、物品識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体を含む物品と、物品が取り付けられて製品として機能する製品本体との間での認証を行うように構成されていてもよい。
【0048】
認証システム100は、図8に例示されるように、ICタグ41が内部に埋め込まれた筐体を含むインクタンク40(物品)と、インクタンク40が取り付けられてプリンタ装置2(製品)として機能するプリンタ本体50(製品本体)との間での認証を行うように構成されていてもよい。この場合も、図1図3の例と同様に、インクタンク40がプリンタ本体50に取り付けられるだけでインクタンク40からプリンタ本体50にインクが供給可能とされるのではなく、インクタンク40のICタグ41に保持されている識別IDが、プリンタ本体50の記憶部に保持されている認証IDと合致したときに、インクタンク40からプリンタ本体50にインクが供給されてもよい。換言すれば、インクタンク40をプリンタ本体50に取り付けても、認証できなかった場合には、当該インクタンク40からプリンタ本体50にインクを供給することができなくてもよい。そのため、インクタンク40を盗んで他のプリンタ本体50に取り付けたり、盗んだインクタンク40を第三者に転売したりする動機が大きく減殺される。また、非正規品のインクタンク40の市場への流通が抑制される。したがって、インクタンク40の盗難の抑止及び非正規品の流通抑止に寄与することが可能となる。
【0049】
また、図5の例のように、図8の例においても、認証システム100を用いてインクタンク40の真贋判定を行ってもよい。すなわち、インクタンク40の固有IDに対応する対応情報として、インクタンク40の真贋を示す情報をデータベースサーバ300に記憶させておくことで、インクタンク40の模倣品の判別を容易に行える。そのため、固有IDと、正規品情報とを紐付けて管理しておくことにより、インクタンク40を市場において適正に流通させることが可能となる。
【0050】
さらに、図6及び図8の例のように、図8の例においても、認証システム100を用いてインクタンク40の所有者確認を行ってもよい。この場合も、固有IDと、所有者情報とを紐付けて管理しておくことにより、インクタンク40を市場において適正に流通させることが可能となる。なお、図8では、認証システム100をプリンタ装置2に適用した例を示したが、認証システム100を他の製品に適用してもよい。ICタグが内部に埋め込まれた物品と、当該物品が取り付けられる製品本体とを含み、これらの間での認証が行われる製品の例として、以下が挙げられる。
【表1】
【0051】
[他の例]
例1.認証システムの一例は、バッテリ装置と、バッテリ装置からの給電により駆動する製品本体との間での認証を行うように構成された認証システムである。バッテリ装置は、バッテリ識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体と、筐体内に配置されたバッテリとを含む。製品本体は、バッテリとの電気的な接続をオンオフ可能に構成された切替部と、バッテリから給電されることにより動作する駆動源と、ICタグに記憶されているバッテリ識別情報を読取可能に構成された読取部と、バッテリ認証情報を保持する記憶部と、制御部とを含む。制御部は、バッテリ装置が製品本体に取り付けられる際に、読取部によってICタグから読み取られたバッテリ識別情報と、記憶部に保持されているバッテリ認証情報とが合致するか否かを判断する判断処理と、判断処理において、バッテリ識別情報とバッテリ認証情報とが合致すると判断された場合に切替部を制御して、バッテリから駆動源に給電させる給電処理とを実行するように構成されている。この場合、バッテリ装置が製品本体に取り付けられるだけでバッテリから駆動源に給電可能とされるのではなく、バッテリ装置のICタグに保持されているバッテリ識別情報が、製品本体の記憶部に保持されているバッテリ認証情報と合致したときに、バッテリから駆動源に給電される。換言すれば、バッテリ装置を製品本体に取り付けても、認証できなかった場合には、当該バッテリ装置から駆動源に給電することができない。そのため、バッテリ装置を盗んで他の製品本体に取り付けたり、盗んだバッテリ装置を第三者に転売したりする動機が大きく減殺される。したがって、バッテリ装置の盗難の抑止に寄与することが可能となる。
【0052】
例2.例1の認証システムにおいて、製品本体は、駆動源によって走行可能な走行体であってもよい。
【0053】
例3.例1の認証システムにおいて、製品本体は、第1の製品本体と、第2の製品本体とを含み、判断処理は、バッテリ装置が第1の製品本体又は第2の製品本体に取り付けられる際に、読取部によってICタグから読み取られたバッテリ識別情報と、第1の製品本体の記憶部に保持されているバッテリ認証情報又は第2の製品本体の記憶部に保持されているバッテリ認証情報とが合致するか否かを判断することを含んでいてもよい。この場合、複数の製品本体を所有しているユーザは、一つのバッテリ装置のバッテリ識別情報が製品本体のバッテリ認証情報と合致する限り、当該一つのバッテリ装置をそれぞれの製品本体に付け替えることにより、それぞれの製品本体を利用することができる。そのため、製品本体ごとに異なるバッテリ装置を用意する必要がなくなる。したがって、バッテリ装置の製造コストを抑制することが可能となると共に、ユーザの利便性を高めることが可能となる。
【0054】
例4.例3の認証システムにおいて、製品本体は、電動農具、電動工具又は家電製品であってもよい。
【0055】
例5.例1~例4のいずれかの認証システムは、ICタグに記憶されているバッテリ識別情報を読取可能に構成された読取端末と、バッテリ識別情報と、バッテリ識別情報に対応づけられた対応情報とを含む管理データを記憶する記憶装置とをさらに備え、読取端末は、ICタグに記憶されているバッテリ識別情報を読み取る読取処理と、読取処理において読み取られたバッテリ識別情報が管理データに存在している場合に、バッテリ識別情報に対応する対応情報を取得する取得処理と、取得処理において取得された対応情報を出力する出力処理とを実行するように構成されていてもよい。この場合、対応情報として、例えばバッテリ装置の真贋を示す情報を記憶装置に記憶させておくことで、バッテリ装置の模倣品の判別を容易に行える。また、対応情報として、例えばバッテリ装置の所有者を示す情報を記憶装置に記憶させておくことで、バッテリ装置のリサイクルを怠ったユーザの追跡などを容易に行える。このように、バッテリ識別情報と、所定の対応情報とを紐付けて管理しておくことにより、バッテリ装置を市場において適正に流通させることが可能となる。
【0056】
例6.認証システムの他の例は、物品識別情報を保持するICタグが内部に埋め込まれた筐体を含む物品と、物品が取り付けられて製品として機能する製品本体との間での認証を行うように構成された認証システムである。認証システムは、ICタグに記憶されている物品識別情報を読取可能に構成された読取端末と、物品識別情報と、物品識別情報に対応づけられた対応情報とを含む管理データを記憶する記憶装置とを備える。読取端末は、ICタグに記憶されている物品識別情報を読み取る読取処理と、読取処理において読み取られた物品識別情報が管理データに存在している場合に、物品識別情報に対応する対応情報を取得する取得処理と、取得処理において取得された対応情報を出力する出力処理とを実行するように構成されている。この場合、対応情報として、例えば部ピンの真贋を示す情報を記憶装置に記憶させておくことで、物品の模倣品の判別を容易に行える。また、対応情報として、例えば物品の所有者を示す情報を記憶装置に記憶させておくことで、物品のリサイクルを怠ったユーザの追跡を容易に行える。このように、物品識別情報と、所定の対応情報とを紐付けて管理しておくことにより、物品を市場において適正に流通させることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1…電動機付き自転車(走行体)、2…プリンタ装置(製品)、10…バッテリ装置、11…筐体、12…バッテリ、13…ICタグ、20…車両本体(製品本体)、21…モータ(駆動源)、22…接続端子、23…切替部、24…読取部、25…記憶部、26…制御部、30…製品本体、31…製品本体(第1の製品本体)、32…製品本体(第2の製品本体)、33…製品本体、40…インクタンク(物品)、50…プリンタ本体(製品本体)、100…認証システム、200…読取端末、300…データベースサーバ(記憶装置)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8