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  • 特開-止水板設置説明方法及び止水板 図1
  • 特開-止水板設置説明方法及び止水板 図2
  • 特開-止水板設置説明方法及び止水板 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007382
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】止水板設置説明方法及び止水板
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20240111BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099877
(22)【出願日】2023-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2022108561
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】長峰 大輔
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】止水板の設置方法を説明ラベルだけで理解できない場合に簡易かつ容易に設置方法を理解できるようにする。
【解決手段】構造物の開口部から水が浸入するのを抑制する止水板を手作業にて開口部に設置する場合、その設置方法に関する説明を止水板に直接又は間接的に記載する場合に、その設置方法に関する説明に対応した詳細な動画へのアクセス情報の施された2次元コード併せて記載する。2次元コードをスマートフォン(多機能型携帯電話)などで読み取ることによって、インターネット経由で設置手順を示した動画がスマートフォンに表示されるようになる。作業者はこの動画を視認することで止水板を仕様通りに容易に設置することができるようになり、設置ミスの発生を抑制することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部から水が浸入するのを抑制する止水板を前記開口部に設置する場合の設置方法に関する説明を前記止水板上に記載すると共に前記説明の記載箇所の近傍に前記説明に対応した動画へのアクセス情報の入力された2次元コードを併せて記載することを特徴とする止水板設置説明方法。
【請求項2】
請求項1に記載の止水板設置説明方法において、
前記説明及び前記2次元コードを併せて記載してある止水板設置説明ラベルを前記止水板に貼付することを特徴とする止水板設置説明方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の止水板設置説明方法において、
前記2次元コードが前記説明に対応して複数存在し、前記説明の記載箇所の近傍にそれぞれ記載されていることを特徴とする止水板設置説明方法。
【請求項4】
構造物の開口部から水が浸入するのを抑制する止水板であって、前記止水板を前記開口部に設置する場合の設置方法に関する説明、及び前記設置方法に対応した動画へのアクセス情報の入力された2次元コードが併せて記載されていることを特徴とする止水板。
【請求項5】
請求項4に記載の止水板において、
前記説明及び前記2次元コードを併せて記載してある止水板設置説明ラベルが貼付されていことを特徴とする止水板。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の止水板において、
前記2次元コードが前記説明に対応して複数存在し、前記説明の記載箇所の近傍にそれぞれ記載されていることを特徴とする止水板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大雨時などにおいて、ビル、工場、倉庫、車庫等の建物の出入口などの開口部、または地下鉄の駅や地下街の出入口などの開口部を水密状態に閉鎖する止水板の設置方法を記載した止水板設置説明方法及び止水板に関する。
【背景技術】
【0002】
地下鉄の駅や地下街などの地下施設へ通じる地上の出入口や、建物の出入口などの開口部には、大雨などによる水が地下施設または建物内部へ流入(浸入)することを防止するための止水板(防水板、止水板)が設けられる。このような止水板として、特許文献1,2に記載のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-128699号公報
【特許文献2】特開2022-028955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
止水板の設置方法については、止水板の納品時に説明を行うと共に設置方法を簡易的に表示した設置説明ラベルを止水板本体やその収納箇所近傍に貼付し、設置時に説明ラベルを見て誤った設置方法とならないようにしているのが現状である。しかしながら、止水板は普段使うものではなく予期せぬ緊急時に使用するものなので、緊急時においては説明ラベルを見ながらであったとしても正しい設置が分からなくなる場合があり、誤った設置を行う可能性があり、その場合は所定の止水性能が発揮できず、被害が拡大することになる。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、止水板の設置方法を止水板に施された説明だけで理解できない場合に簡易かつ容易に設置方法を理解できるように構成した止水板設置説明方法及び止水板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る止水板設置説明方法の第1の特徴は、 構造物の開口部から水が浸入するのを抑制する止水板を前記開口部に設置する場合の設置方法に関する説明を前記止水板上に記載すると共に前記説明の記載箇所の近傍に前記説明に対応した動画へのアクセス情報の入力された2次元コードを併せて記載することにある。
開口部から水が浸入するのを抑制するために設けられる止水板は、開口部の所定の場所に使用通りに設置される必要がある。この設置作業が仕様通りに行われないと水の浸入を有効に抑制することができなくなる。この発明では、止水板設置方法に関する説明を止水板に直接又は間接的に記載すると共にその説明に対応した詳細な動画へのアクセス情報の施された2次元コードを併せて記載するものである。この2次元コードをスマートフォン(多機能型携帯電話)などで読み取ることによって、インターネット経由で設置手順を示した動画にアクセスすることができ、その動画がスマートフォンに表示されるようになる。作業者はこの動画を視認することで止水板を仕様通りに容易に設置することができるようになると共に設置ミスの発生を抑制することができる。説明を記載したシール、ステッカー、ラベルなどを止水板に貼付する場合が「説明を止水板に間接的に記載する」に該当し、業務用インクジェットプリンタ、粉体塗装、シルク印刷などを用いて素材である止水板へ直接印刷する場合が「説明を止水板に直接的に記載する」に該当する。
【0007】
本発明に係る止水板設置説明方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の止水板設置説明方法において、前記説明及び前記2次元コードを併せて記載してある止水板設置説明ラベルを前記止水板に貼付することにある。
これは、止水板設置方法に関する説明及び2次元コードを併記した止水板設置説明ラベルを止水板に貼付することによって、止水板の設置を容易に説明できるようにしたものである。
【0008】
本発明に係る止水板設置説明方法の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の止水板設置説明方法において、前記2次元コードが前記説明に対応して複数存在し、前記説明の記載箇所の近傍にそれぞれ記載されていることにある。
止水板設置方法に関する説明が複数の枠毎に記載され、それが時系列に並べられており、それぞれの枠に対応した動画が存在する場合がある。この発明では、その枠の記載に対応して2次元コードを枠毎に対応して併記するようにする。これによって、複数の2次元コードの中から確認したい動画に対応したものをスマートフォン(多機能型携帯電話)などで読み取れるようになり、確認したい部分の動画を即座に視認することができるようになる。
【0009】
本発明に係る止水板の第1の特徴は、構造物の開口部から水が浸入するのを抑制する止水板であって、前記止水板を前記開口部に設置する場合の設置方法に関する説明、及び前記設置方法に対応した動画へのアクセス情報の入力された2次元コードが併せて記載されていることにある。
これは、前記第1の特徴に記載の止水板設置説明方法に対応した止水板の発明である。
【0010】
本発明に係る止水板の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の止水板において、前記説明及び前記2次元コードを併せて記載してある止水板設置説明ラベルが貼付されていことにある。
これは、前記第2の特徴に記載の止水板設置説明方法に対応した止水板の発明である。
【0011】
本発明に係る止水板の第3の特徴は、前記第1又は第2の特徴に記載の止水板において、前記2次元コードが前記説明に対応して複数存在し、前記説明の記載箇所の近傍にそれぞれ記載されていることにある。
これは、前記第3の特徴に記載の止水板設置説明方法に対応した止水板の発明である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、止水板の設置方法を説明ラベルだけで理解できない場合であっても簡易かつ容易に止水板の設置方法を理解することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】止水板を表面から見た図である。
図2図1のQRコード(登録商標)にスマートフォンでアクセスした場合に表示される動画の一例を示す図である。
図3図1の止水板設置説明ラベルの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る止水板設置説明方法の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態に係る止水板は、ドア開口部の下端部であって、ドア枠に嵌め込まれるように設置されるものについて説明する。図1は、止水板10を表面から見た図である。図1に示すように止水板10には、止水板10をドア開口部に設置する場合の設置方法に関する説明の記載された止水板設置説明ラベル15が貼付されている。止水板10の詳細構成は特許文献1,2に記載してあるので説明は省略する。
【0015】
止水板10は、長尺状の金属板部11と、この金属板部11の左側から下側を介して右側に存在するコの字型をした金属板部からなるドア枠当接部12と、金属板部11の上面両側の2箇所に設けられた把手部13,14とから構成される。止水板設置説明ラベル15は、金属板部11の平坦部に貼付される。なお、金属板部11とドア枠当接部12は1枚の金属板を曲げ加工によって形成されたもので一体構成となっている。なお、金属板部11はアルミ又は鉄などで形成される。また、金属以外の材質を利用することも可能である。
【0016】
止水板設置説明ラベル15の記載に基づいて止水板10の設置方法について説明する。止水板設置説明ラベル15には設置方法について複数の枠が時系列に並べられており、それぞれの枠に対応した動画が存在する。図1において、止水板設置説明ラベル15には、「(1)はめる」、「(2)スキ間を確認」、「(3)押しこむ」、「(4)閉める」の4個の枠が時系列に並べられている。
【0017】
第1の枠の「(1)はめる」には、「ドアを開けてドア枠にはめる」の文字とその動作図が記載されている。また、同じ枠内にはQRコード(登録商標)16が記載されている。「(1)はめる」における実際の設置方法では、設置場所のドアが屋外側に外開きの状態にあるときにドアストッパー等で固定し、止水板10を収納庫から搬入し、ドア枠の開口部に止水板10の止水板設置説明ラベル15貼付側が屋外側となるように設置する。
【0018】
このとき止水板10の把手部13,14を両手で持ち、止水板10のドア枠当接部12のドア枠下当接部12Bがドアの下部戸当り部に当接するように、また、止水板10のドア枠当接部12のドア枠左当接部12L及びドア枠右当接部12Rがドアの左右の縦戸当り部にそれぞれ当接するように止水板10をドア枠にはめ込む。このとき、止水板10のドア枠当接部12のドア枠下当接部12Bの上側をつま先でささえながらはめ込む。
【0019】
第2の枠の「(2)スキ間を確認」には、「止水板のゴムとドア枠をしっかりとくっつける」の文字と「密着,○」の文字とその完成図及び「スキ間ができている,×」の文字とそのスキ間発生を示す図が記載されている。止水板10をドア枠にはめ込む際に止水板10のドア枠当接部12のドア枠下当接部12Bとドアの下部戸当り部との間にスキ間が発生することがあるので、それを確認する。
【0020】
第3の枠の「(3)押しこむ」には、「足でささえながら押しこむ」の文字とそれぞれ「(1)押しこむ,(2)押しこむ,(3)押しこむ」の文字と共に押しこむ箇所の図が記載されている。スキ間が発生することなく、止水板10をドア枠に問題なくはめ込む作業が終わった時点で止水板10の左側のドア枠左当接部12Lのドア枠下当接部12Bの上側近傍を足先の裏で押しこむと同時に手のひらで止水板10の左側のドア枠左当接部12Lの右側近傍を押しこむ。止水板10の右側について同様の押しこむ動作を行い。最後に止水板10を上側から下に向かって押しこむ。
【0021】
第4の枠の「(4)閉める」には、「ドアを閉めて設置完了」の文字とドアを閉める図が記載されている。最後にドアを閉めて設置完了となる。
【0022】
この実施の形態では、止水板設置説明ラベル15に記載の「(1)はめる」、「(2)スキ間を確認」、「(3)押しこむ」、「(4)閉める」の4個の枠からなる説明では理解できない可能性があるので、止水板設置説明ラベル15の左下側にQRコード(登録商標)16と共に「設置手順動作はこちら」の文字が明記してある。
【0023】
QRコード(登録商標)16に代えて他の2次元コードを用いてもよい。このQRコード(登録商標)16をスマートフォン(多機能型携帯電話)などで読み取ることによって、インターネット経由で設置手順を示した動画がスマートフォンに表示されるようになる。スマートフォンに代えて通常の携帯電話、PHS、PDA等の携帯型の通信端末を用いてもよい。
【0024】
図2は、図1のQRコード(登録商標)16にスマートフォンでアクセスした場合に表示される動画の一例を示す図である。スマートフォン20をカメラを撮影状態にして、止水板設置説明ラベル15の左下側にQRコード(登録商標)16を読み取る。これによって、右側のように第1の枠の「(1)はめる」の良い例を示す動画21が再生される。
【0025】
良い例を示す「(1)はめる」の動画21では、止水板10を収納庫から搬入し、ドア枠の開口部に止水板10の止水板設置説明ラベル15貼付側が屋外側となるように設置し、止水板10のドア枠当接部12のドア枠左当接部12L及びドア枠右当接部12Rがドアの左右の縦戸当り部にそれぞれ当接するように止水板10をドア枠にはめ込むまでの動画21が再生される。
【0026】
良い例を示す動画21再生後に悪い例の動画22,23が再生される。悪い例の動画22,23は一連の動画として時系列で再生される。動画22では、動画21に比較してどこが悪いのかその箇所を点線円で示し、これに続く動画23では悪い箇所をアップで再生している。図2の動画22,23では、止水板10のほぼ中央付近をひざで抑えながら止水板10をはめ込んでいる。次の動画23では「ひざで抑えない」の文字で悪い動作例を注意喚起している。また、これと同時に止水板10の下両側にすき間が発生していることも注意喚起する。
【0027】
次に良い例を示す「(3)押しこむ」の動画24が再生される。良い例を示す「(3)押しこむ」の動画24では、止水板10の左側のドア枠左当接部12Lのドア枠下当接部12Bの上側近傍を足先の裏で押しこむと同時に手のひらで止水板10の左側のドア枠左当接部12Lの右側近傍を押しこみ、止水板10を上側から下に向かって押しこむまでの良い例の動作が再生される。
【0028】
良い例を示す動作24再生後に悪い例の動作の動画25,26が再生される。悪い例の動画25,26は一連の動画として時系列で再生される。動画25では、動画21に比較してどこが悪いのかその箇所を点線円で示し、これに続く動画26では悪い箇所をアップで再生している。図2の動画25,26では、手のひらで止水板10の左側のドア枠左当接部12Lの右側近傍を押しこんではいるが、ドア枠下当接部12Bの上側近傍を足先の裏で押しこんでいない。そのために、止水板10が傾き下側にすき間が発生している。そこで、「傾き厳禁」、「*下のすき間に注意」の文字で注意喚起している。
【0029】
図3は、図1の止水板設置説明ラベルの変形例を示す図である。図3において、図1と同じ構成のものには同一の符号が付してあるので、その説明は省略する。図3図1と異なる点は、時系列に並べられた複数の枠の記載に対応した複数のQRコード(登録商標)16~18が止水板設置説明ラベル15に併記されている点である。すなわち、止水板設置説明ラベル15に記載の「(1)はめる」、「(2)スキ間を確認」、「(3)押しこむ」の3個の枠にそれぞれQRコード(登録商標)16~18が併記されている。
【0030】
QRコード(登録商標)16にスマートフォンでアクセスした場合に表示される動画は上述の通りである。QRコード(登録商標)17にスマートフォンでアクセスした場合には、悪い例の動画22,23が再生され、その再生後に良い例の動作24、悪い例の動作の動画25,26が順次再生される。QRコード(登録商標)18にスマートフォンでアクセスした場合には、良い例の動作の動画24、悪い例の動作の動画25,26が順次再生される。図3の変形例のように複数のQRコード(登録商標)16~18を止水板設置説明ラベル15に併記することによって、確認した部分の動画を即座に視認することができるという効果がある。
【0031】
なお、図2及び図3に示した止水板設置説明ラベルは一例であり、各動画にQRコード(登録商標)を併記しても良い。例えば、「(2)スキ間を確認」の場合、良い例と悪い例の左側にそれぞれQRコード(登録商標)を設けてもよい。また、「(3)押しこむ」については、良い例、悪い例が示されていないが、これをラベル上に表記しても良い。
【0032】
上述の実施の形態では、止水板10をドア開口部に設置する場合の設置方法に関する説明の記載された止水板設置説明ラベル15を止水10に貼付する場合、すなわち間接的に説明を止水板10に記載する場合について説明しているが、これ以外にも設置方法に関する説明の記載された止水板設置説明シール、止水板設置説明ステッカーなどを止水板10に貼付してもよい。また、業務用インクジェットプリンタ、粉体塗装、シルク印刷などを用いて素材である止水板10へ直接印刷する直接的な記載方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…止水板
11…金属板部
12…ドア枠当接部
12B…ドア枠下当接部
12L…ドア枠左当接部
12R…ドア枠右当接部
13,14…把手部
15…止水板設置説明ラベル
20…スマートフォン
21~26…動画
図1
図2
図3