(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073826
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ロータ、及び、電動モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/278 20220101AFI20240523BHJP
H02K 21/14 20060101ALI20240523BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H02K1/278
H02K21/14 M
H02K1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184744
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
【テーマコード(参考)】
5H601
5H621
5H622
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601BB18
5H601CC01
5H601CC15
5H601DD01
5H601DD09
5H601DD11
5H601DD18
5H601EE12
5H601EE18
5H601EE19
5H601EE20
5H601GA02
5H601GA23
5H601GA24
5H601GA33
5H601GA40
5H601GC02
5H601GC12
5H601GC22
5H601JJ10
5H601KK08
5H601KK25
5H621BB07
5H621GA04
5H621GB10
5H621HH01
5H621JK02
5H621JK13
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA07
5H622CA10
5H622CA13
5H622CB01
5H622CB05
5H622DD04
5H622PP20
5H622QA10
(57)【要約】
【課題】永久磁石の外周面と突極の外側を覆う部材を設けることなく、永久磁石をロータコアに確実に位置固定することができるロータ、及び、電動モータを提供する。
【解決手段】ロータは、ロータコア32と永久磁石33を備える。ロータコア32は、コア本体32Aと複数の突極32Bを有する。ロータコア32は、隣り合う二つの突極32Bとコア本体32Aの外周面によって磁石収容部が形成される。永久磁石33は、コア本体32Aの外周の磁石収容部に配置される。ロータコア32は、突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部の間と、コア本体32Aの内周側空間と磁石収容部の間の少なくともいずれか一方を連通する連通孔70を有する。磁石収容部と連通孔70にはボンドマグネット75が充填される。ボンドマグネット75の磁石収容部に充填された部分が永久磁石33を構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円環状のコア本体、及び当該コア本体の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有し、隣り合う二つの前記突極と前記コア本体の外周面によって磁石収容部が形成されるロータコアと、
前記コア本体の外周の前記磁石収容部に配置される永久磁石と、を備え、
前記ロータコアは、前記突極を間に挟む二つの前記磁石収容部の間と、前記コア本体の内周側空間と前記磁石収容部の間の少なくともいずれか一方を連通する連通孔を有し、
前記磁石収容部と前記連通孔にはボンドマグネットが充填され、当該ボンドマグネットによって前記永久磁石が構成されていることを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記連通孔は、前記突極を間に挟む二つの前記磁石収容部と、前記コア本体の内周側空間とを連通することを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記コア本体の内周面のうちの、前記連通孔の開口する位置には、前記コア本体の軸方向に沿って延びる抜け規制溝が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
前記抜け規制溝は、各前記突極の径方向内側に延長した領域に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
前記ロータコアは、複数のコアプレートが軸方向に積層されて構成され、
前記コアプレートは、
全域が一体に形成された第1コアプレートと、
複数のプレート片から成り前記複数のプレート片の間に分離隙間が確保される第2コアプレートと、を備え、
前記連通孔は、前記第1コアプレートと前記第2コアプレートに囲まれた前記分離隙間によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項6】
各前記コアプレートは、前記コア本体を形成する本体形成部と、前記突極を形成する突極形成部と、を有し、
前記第2コアプレートの前記分離隙間は、前記本体形成部を周方向で分離し、かつ前記突極形成部を前記本体形成部から分離する隙間であることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
複数の前記プレート片は、
前記本体形成部を構成する複数の略円弧状の本体プレート片と、
前記突極形成部を構成する複数の略矩形状の突極プレート片と、を備えていることを特徴とする請求項6に記載のロータ。
【請求項8】
前記第2コアプレートの各前記プレート片には、積層方向で隣接する前記第1コアプレート、若しくは、前記第2コアプレートと凹凸嵌合するボス部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項9】
回転磁界を発生する環状のステータと、
前記ステータの径方向内側に配置され、前記回転磁界を受けて回転するロータと、を備え、
前記ロータは、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のロータであることを特徴とする電動モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器の駆動等に用いられる電動モータのロータ、及び、そのロータを用いる電動モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワイパー装置等の車載機器の駆動等に用いられる電動モータとして、永久磁石がロータ側に設けられたものがある。この種の電動モータで用いられるロータの永久磁石の配置方式としては、ロータコアの外周部に永久磁石を配置したもの(SPM:Surface Permanent Magnet)が知られている。
【0003】
この方式を採用した電動モータとして、ロータのロータコアが、略円筒状のコア本体と、コア本体の外周部から放射方向に突出する複数の突極を備え、円周方向の隣り合う突極の間に永久磁石が配置されたものがある。
この電動モータでは、ロータの突極の突出方向が径方向外側に向くため、ステータのコイルによる鎖交磁束が突極に流れ易くなる。突極は、電動モータの駆動時に鎖交磁束の磁路の磁気抵抗を小さくするようにロータコアを回転させる、リラクタンストルクを発生させる。
【0004】
また、この種の電動モータとして、ロータコアと複数の永久磁石が非磁性の略円筒状のマグネットカバーの内部に収容され、ロータコアと複数の永久磁石の外側がマグネットカバーによって覆われたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この電動モータでは、ロータコアの隣り合う突極の間に配置された永久磁石の外周側がマグネットカバーの周壁によって押さえ込まれ、それによって永久磁石がロータコアに位置固定されている。一方、ロータの外周側に配置されるステータには、径方向内に向かって突出する複数のティースが設けられ、各ティースにコイルが巻回されている。各ティースの先端部は、ロータの外周面に対し、微少な隙間を挟んで対向している。各コイルで形成される鎖交磁束は、ロータ側の永久磁石によって形成される磁束との間で磁気的な吸引・反発力を生じさせるとともに、ロータに上述のリラクタンストルクを生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の電動モータで採用するロータは、ロータコアと複数の永久磁石が非磁性の比較的高価なマグネットカバーによって覆われているため、製品コストが高騰する原因となり易い。
【0008】
また、特許文献1に記載の電動モータで採用するロータは、永久磁石の外周面と突極の先端部の外側が非磁性のマグネットカバーによって覆われるため、ステータの内周面(ティースの先端面)と、永久磁石や突極との間のエアギャップが大きくなる。特に、上述のリラクタンストルクを併用する電動モータの場合、ステータの内周面と突極の先端部との離間距離が大きくなると、充分なリラクタンストルクが得られなくなる。
【0009】
そこで本発明は、永久磁石の外周面と突極の外側を覆う部材を設けることなく、永久磁石をロータコアに確実に位置固定することができるロータ、及び、電動モータを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るロータは、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の第1態様のロータは、略円環状のコア本体、及び当該コア本体の外周部から放射方向に突出する複数の突極を有し、隣り合う二つの前記突極と前記コア本体の外周面によって磁石収容部が形成されるロータコアと、前記コア本体の外周の前記磁石収容部に配置される永久磁石と、を備え、前記ロータコアは、前記突極を間に挟む二つの前記磁石収容部の間と、前記コア本体の内周側空間と前記磁石収容部の間の少なくともいずれか一方を連通する連通孔を有し、前記磁石収容部と前記連通孔にはボンドマグネットが充填され、当該ボンドマグネットによって前記永久磁石が構成されていることを特徴とする。
【0011】
上述の構成により、固化したボンドマグネットが各磁石収容部やコア本体の内周側空間で磁石ブロックとなり、各磁石ブロック同士が連通孔内の磁石ブロックによって相互に連結される。この結果、ロータコアの磁石収容部に配置される永久磁石は、永久磁石の外周面と突極の外側を覆う部材を設けることなく、ロータコアに確実に位置固定される。
【0012】
本発明の第2態様のロータは、第1態様のロータにおいて、前記連通孔は、前記突極を間に挟む二つの前記磁石収容部と、前記コア本体の内周側空間とを連通する。
【0013】
この場合、連通孔内で固化したボンドマグネットは、隣接する磁石収容部内の磁石ブロック同士を連結すると同時に、これらの磁石ブロックをコア本体の内周側空間の磁石ブロックとも連結することになる。したがって、本構成を採用した場合には、ロータコアの磁石収容部に配置される永久磁石をより安定してロータコアに位置固定することができる。
【0014】
本発明の第3態様のロータは、第2態様のロータにおいて、前記コア本体の内周面のうちの、前記連通孔の開口する位置には、コア本体の軸方向に沿って延びる抜け規制溝が設けられている。
【0015】
この場合、溶融したボンドマグネットが抜け規制溝内で固化すると、抜け規制溝内で固化してできた磁石ブロックが、磁石収容部内の磁石ブロックの径方向外側への抜けや、周方向や径方向、軸方向の位置ずれを確実に規制するようになる。
【0016】
本発明の第4態様のロータは、第3態様のロータにおいて、前記抜け規制溝は、各前記突極の径方向内側に延長した領域に配置されている。
【0017】
この場合、抜け規制溝内で固化した磁石ブロックが、突極を挟んで隣接する磁石収容部内の磁石ブロック間を流れる磁束の磁路として有効に機能するようになる。このため、本構成を採用した場合には、モータ特性を向上させることが可能になる。
【0018】
本発明の第5態様のロータは、第1態様から第4態様のロータにおいて、前記ロータコアは、複数のコアプレートが軸方向に積層されて構成され、前記コアプレートは、全域が一体に形成された第1コアプレートと、複数のプレート片から成り前記複数のプレート片の間に分離隙間が確保される第2コアプレートと、を備え、前記連通孔は、前記第1コアプレートと前記第2コアプレートに囲まれた前記分離隙間によって構成されている。
【0019】
この場合、第1コアプレートと第2コアプレートを軸方向に積層すると、第2コアプレートの複数のプレート片の間の分離隙間が、第1コアプレートとともに連通孔を構成するようになる。この状態で各磁石収容部と分離隙間にボンドマグネットが充填され、そのボンドマグネットが固化すると、磁石収容部内の磁石ブロックが分離隙間内の磁石ブロックを通して他の部分の磁石ブロックと連結されることになる。
したがって、本構成を採用した場合には、複数のコアプレートを軸方向に積層した構造にすることによってロータコアの磁気特性を向上させることが可能になるとともに、ロータコアに連通孔を容易に形成することが可能になる。
【0020】
本発明の第6態様のロータは、第5態様のロータにおいて、各前記コアプレートは、前記コア本体を形成する本体形成部と、前記突極を形成する突極形成部と、を有し、前記第2コアプレートの前記分離隙間は、前記本体形成部を周方向で分離し、かつ前記突極形成部を前記本体形成部から分離する隙間である。
【0021】
この場合、第2コアプレートに上記のように分離隙間を設けることにより、突極を間に挟む二つの磁石収容部と、コア本体の内周側空間とが相互連通することになる。
したがって、本構成を採用した場合には、突極を間に挟む二つの磁石収容部と、コア本体の内周側空間とを連通させる構造を容易に形成することが可能になる。
【0022】
本発明の第7態様のロータは、第6態様のロータにおいて、複数の前記プレート片は、前記本体形成部を構成する複数の略円弧状の本体プレート片と、前記突極形成部を構成する複数の略矩形状の突極プレート片と、を備えている。
【0023】
この場合、同形状の本体プレート片と突極プレート片を夫々複数用意し、これらを所定の形状に配置することにより、第2コアプレートを構成することができる。
したがって、本構成を採用した場合には、ロータコアを効率良く生産することが可能になり、ロータの生産性を高めることが可能になる。
【0024】
前記第2コアプレートの各前記プレート片には、積層方向で隣接する前記第1コアプレート、若しくは、前記第2コアプレートと凹凸嵌合するボス部が設けられるようにしても良い。
【0025】
この場合、第2コアプレートの各プレート片のボス部を、積層方向で隣接する他のコアプレートに凹凸嵌合することにより、各プレート片を他のコアプレートに対して容易に位置固定することができる。
【0026】
また、本発明の一態様に係る電動モータは、回転磁界を発生する環状のステータと、前記ステータの径方向内側に配置され、前記回転磁界を受けて回転するロータと、を備え、前記ロータは、第1態様から第8態様のいずれか1態様のロータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るロータ、及び、電動モータは、ロータコアの磁石収容部と連通孔とにボンドマグネットが充填され、当該ボンドマグネットによって突極間の永久磁石が構成されている。この本発明に係るロータや電動モータを採用した場合には、永久磁石の外周面と突極の外側を覆う部材を設けることなく、永久磁石をロータコアに確実に位置固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図4】実施形態のロータを
図3のIV-IV断面部分で断面した部分断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態や変形例においては、同一部分に共通符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
【0030】
(モータユニット)
図1は車両に用いられるモータユニット1の斜視図である。
図2は、モータユニット1を電動モータ2の回転軸線に沿って切った断面図である。
モータユニット1は、例えば、車両のワイパー装置の駆動源として用いられる。
図1,
図2に示すように、モータユニット1は、電動モータ2と、電動モータ2の回転を減速して出力する減速部3と、電動モータ2の駆動制御を行うコントローラ4と、を備えている。
なお、本明細書において、電動モータ2及びモータユニット1に関し、「軸方向」とは、電動モータ2の回転軸31の回転軸線(軸心C1)に沿う方向を意味し、「周方向」とは、回転軸31の回転軸線(軸心C1)を中心とした周方向を意味するものとする。また、「径方向」とは、回転軸31の回転軸線(軸心C1)を中心とした径方向を意味するものとする。
【0031】
(電動モータ)
電動モータ2は、モータケース5と、モータケース5内に収納された略円筒状のステータ8と、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8に対して回転可能に設けられたロータ9と、を備えている。本実施形態の電動モータ2は、ステータ8に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆるブラシレスモータである。
【0032】
(モータケース)
モータケース5は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた材料によって形成されている。モータケース5は、軸方向で分割可能に構成された第1モータケース6と、第2モータケース7と、からなる。第1モータケース6と第2モータケース7は、それぞれ有底円筒状に形成されている。
第1モータケース6は、底部10が減速部3のギヤケース40と接続されるように、当該ギヤケース40と一体成形されている。底部10の径方向略中央には、電動モータ2の回転軸31を挿通可能な貫通孔が形成されている。
【0033】
また、第1モータケース6と第2モータケース7の各開口部6a,7aには、径方向外側に向かって張り出す外フランジ部16,17がそれぞれ形成されている。モータケース5は、外フランジ部16,17同士を突き合わせて内部空間が形成されている。モータケース5の内部空間には、ステータ8とロータ9が配置されている。ステータ8は、モータケース5の内周面に固定されている。
【0034】
(ステータ)
ステータ8は、積層した電磁鋼板等から成るステータコア20と、ステータコア20に巻回される複数のコイル24と、を備えている。ステータコア20は、円環状のコア本体部21と、コア本体部21の内周部から径方向内側に向かって突出する複数のティース22と、を有する。コア本体部21の内周面と各ティース22は、樹脂製のインシュレータ23によって覆われている。コイル24は、インシュレータ23の上から対応する所定のティース22に巻回されている。各コイル24は、コントローラ4を通した給電により、ロータ9を回転させるための磁界(回転磁界)を生成する。
【0035】
ロータ9は、ステータ8の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ9は、ステータ8の径方向内側に配置され、ステータ8のコイル24で発生する回転磁界を受けて回転する。ロータ9は、内周部に回転軸31が圧入固定される略筒状のロータコア32と、ロータコア32の外周部に配置される永久磁石33と、を備えている。本実施形態では、回転軸31は、減速部3を構成するウォーム軸44と一体に形成されている。回転軸31とウォーム軸44は、モータケース5とギヤケース40とに回転自在に支持されている。回転軸31とウォーム軸44は、回転軸線(軸心C1)回りに回転する。 ロータ9の詳細構造については後に説明する。
【0036】
(減速部)
減速部3は、モータケース5と一体化されたギヤケース40と、ギヤケース40内に収納されたウォーム減速機構41と、を備えている。ギヤケース40は、アルミニウム合金等の放熱性に優れた金属材料によって形成されている。ギヤケース40は、一面に開口部40aを有する箱状に形成されている。ギヤケース40は、ウォーム減速機構41を内部に収容するギヤ収容部42を有する。また、ギヤケース40の側壁40bのうちの、第1モータケース6が一体形成されている箇所には、第1モータケース6の貫通孔とギヤ収容部42を連通する開口部43が形成されている。
【0037】
ギヤケース40の上壁40cには、略円筒状の軸受ボス49が突設されている。軸受ボス49は、ウォーム減速機構41の出力軸48を回転自在に支持するためのものであり、内周側に不図示の滑り軸受が配置されている。軸受ボス49の先端部内側には、不図示のOリングが装着されている。また、軸受ボス49の外周面には、剛性確保のための複数のリブ52が突設されている。
【0038】
ギヤ収容部42に収容されたウォーム減速機構41は、ウォーム軸44と、ウォーム軸44に噛合されるウォームホイール45と、により構成されている。ウォーム軸44は、軸方向の両端部が軸受46,47を介してギヤケース40に回転可能に支持されている。ウォームホイール45には、出力軸48が同軸に、かつ一体に設けられている。ウォームホイール45と出力軸48とは、これらの回転軸線が、ウォーム軸44(電動モータ2の回転軸31)の回転軸線(軸心C1)と略直交するように配置されている。出力軸48は、ギヤケース40の軸受ボス49から外部に突出している。出力軸48の突出した先端には、モータ駆動する対象物品と接続可能なスプライン48aが形成されている。
【0039】
また、ウォームホイール45には、不図示のセンサマグネットが設けられている。このセンサマグネットは、後述するコントローラ4に設けられた磁気検出素子50によって位置を検出される。つまり、ウォームホイール45の回転位置は、コントローラ4の磁気検出素子50によって検出される。
【0040】
(コントローラ)
コントローラ4は、磁気検出素子50が実装されたコントローラ基板51を有する。コントローラ基板51は、磁気検出素子50がウォームホイール45のセンサマグネットに対向するように、ギヤケース40の開口部40a内に配置されている。ギヤケース40の開口部40aはカバー53によって閉塞されている。
【0041】
コントローラ基板51には、ステータコア20から引き出された複数のコイル24の端末部が接続されている。また、コントローラ基板51には、カバー53に設けられたコネクタ11(
図1参照)の端子が電気的に接続されている。コントローラ基板51には、磁気検出素子50の他に、コイル24に供給する駆動電圧を制御するFET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子からなるパワーモジュール(不図示)や、電圧の平滑化を行うコンデンサ(不図示)等が実装されている。
【0042】
(ロータの詳細構造)
図3は、本実施形態のロータ9の斜視図であり、
図4は、ロータ9の部分断面斜視図である。
図4で示す断面は、
図3のロータ9のIV-IV断面に相当する断面である。また、
図5は、
図3のV-V線に沿うロータ9の断面図である。
ロータ9は、磁性材料から成るロータコア32と、ロータコア32の外周部に配置された永久磁石33と、を備えている。
【0043】
ロータコア32は、略円筒状のコア本体32Aと、コア本体32Aの外周部から放射方向に突出する4つの突極32Bと、を備えている。ロータコア32は、周方向で隣り合う二つの突極32Bとコア本体32Aの外周面とによって、平面視が略扇形状の磁石収容部59を形成している。本実施形態の場合、磁石収容部59は、コア本体32Aの外周側に合計四つ形成されている。各磁石収容部59には、永久磁石33が配置されている。また、コア本体32Aの内周縁部のうち、各突極32Bの径方向内側の延長領域には抜け規制溝58が形成されている。抜け規制溝58は、底部が径方向外側に向かって凸となるように湾曲した平面視形状に形成され、その平面視形状が、コア本体32Aの軸方向に沿って延びている。
【0044】
ロータコア32は、例えば、電磁鋼板等の磁性材料から成る複数のコアプレート60を軸方向に積層して構成されている。コアプレート60は、後に詳述するように、構造の異なる第1コアプレート61と第2コアプレート62によって構成されている。コア本体32Aの内周部には、回転軸31(
図2参照)が圧入によって固定される軸孔34が形成されている。軸孔34の内周面は、前述した抜け規制溝58によって周方向の複数個所(4箇所)が分断されている。軸孔34は、その内周面の複数個所が抜け規制溝58によって分断されているため、内周部に回転軸31を圧入する際には圧入抵抗が低減される。
また、ロータコア32の4つの突極32Bは、コア本体32Aの外周部から放射方向に等間隔に突出し、かつ、その突出部分が軸方向に沿って延在している。
【0045】
図6は、第1コアプレート61の斜視図であり、
図7は、第2コアプレート62の斜視図である。
第1コアプレート61は、全域が一枚のプレート材によって構成され、第2コアプレート62は、複数のプレート片から構成されている。
第1コアプレート61は、
図6に示すように、ロータコア32のコア本体32Aを構成する円環状の本体形成部61aと、ロータコア32の各突極32Bを構成する突極形成部61bと、を有する。第1コアプレート61の複数の突極形成部61bは、本体形成部61aの外周部から放射方向に延出している。また、本体形成部61aの内周縁部には、前述した抜け規制溝58を形成する溝形成部61cが形成されている。溝形成部61cは、底部側が円弧状の溝であり、第1コアプレート61が軸方向に複数積層されることにより、軸方向に連続する抜け規制溝58を構成する。
【0046】
また、各突極形成部61bの延出方向の端面には、径方向内側に略U字状に窪むU字溝67が形成されている。このU字溝67は、ロータ9の回転時に、突極32Bがステータ8側の隣り合うティース22(
図2参照)の隙間を跨ぐときに、ステータ8がロータ9側の磁力の急激な変化の影響を受けにくくするためのものである。これにより、トルクリプルの発生を抑制する。
【0047】
第2コアプレート62は、
図7に示すように、ロータコア32のコア本体32Aを構成する平面視が略扇形状(円弧形状)の四つの本体プレート片63と、ロータコア32の突極32Bを構成する平面視が略矩形状の四つの突極プレート片64と、を有する。本体プレート片63は、第2コアプレート62における本体形成部62aを構成している。突極プレート片64は、第2コアプレート62における突極形成部62bを構成している。
【0048】
四つの本体プレート片63は、第1コアプレート61の円環状の本体形成部61aと軸方向で整合するように配置され、
図5,
図7に示すように、周方向で隣接する二つの本体プレート片63の間に分離隙間65aが確保されている。分離隙間65aは、コア本体32Aの一部を一定の周方向幅で径方向に貫通している。
【0049】
四つの突極プレート片64は、第1コアプレート61の突極形成部61bと軸方向で整合するように配置され、
図5,
図7に示すように、本体プレート片63間の分離隙間65aの径方向外側に分離隙間65bが確保されている。分離隙間65bは、突極32Bの付根部側の一部を一定の径方向幅で周方向に貫通している。分離隙間65bは、周方向で隣接する二つの磁石収容部59を相互に連通するとともに、径方向内側に位置される本体プレート片63間の分離隙間65aを介して、磁石収容部59をコア本体32Aの内周側空間66にも連通させる。
以上のように相互に繋がった分離隙間65a,65bは、第2コアプレート62の本体形成部62aを周方向で分離し、かつ第2コアプレート62の突極形成部62bを本体形成部62aから分離する隙間である。
【0050】
各突極プレート片64の延出方向の端面(径方向外側の端面)には、第1コアプレート61の突極形成部61bと同様に、U字溝67が形成されている。また、
図7に示すように、各本体プレート片63と突極プレート片64には、軸方向の一方側に突出するボス部68が形成されている。また、第1コアプレート61のうちの、第2コアプレート62の上記の各ボス部68と対応する位置には、
図6に示すように、同様のボス部68が形成されている。ボス部68は、プレス成形等により、各コアプレート60(61,62)の軸方向の一方に膨出するように有底円筒状に形成されている。軸方向に積層されるこれらのコアプレート60(61,62)は、上層のコアプレート60(61,62)のボス部68の凸部側が下層のコアプレート60(61,62)のボス部68の凹部側に嵌合されることにより、コアプレート60(61,62)同士が位置決め状態で固定される。
【0051】
第2コアプレート62は、各本体プレート片63と突極プレート片64にボス部68が形成されているため、ボス部68が上層と下層のボス部68に嵌合されることにより、各プレート片63,64を位置決め状態で固定することができる。
なお、最下層に位置される第1コアプレート61には、ボス部68に代えて貫通孔68a(
図4参照)が形成されている。
【0052】
図8は、第1コアプレート61と第2コアプレート62を軸方向に積層したロータコア32の斜視図である。
本実施形態では、ロータコア32の上部領域と下部領域は、第1コアプレート61が複数枚積層されて構成され、中間領域は、第2コアプレート62が複数枚積層されて構成されている。各第2コアプレート62は、上述のように各プレート片の間に分離隙間65a,65bを形成するようにして本体プレート片63と突極プレート片64が配置されている。このため、複数の第2コアプレート62の積層ブロックと上下の第1コアプレート61の間には、各突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部59とコア本体32Aの内周側空間66とを連通する連通孔70が形成されている。本実施形態では、連通孔70は、突極32Bの数と同じ四つ設けられている。また、各連通孔70は、コア本体32Aの内周側において、コア本体32Aの軸方向に沿って延びる抜け規制溝58に連通している。
【0053】
図8に示すように、第1コアプレート61と第2コアプレート62が積層されて構成されたロータコア32の各磁石収容部59と連通孔70と抜け規制溝58には、ボンドマグネット75が充填されている。ボンドマグネット75は、ロータコア32を成形型に収容した状態で、例えば、インジェクション成形によって上記の各部位に連続して充填される。
【0054】
ボンドマグネット75は、溶融状態で各磁石収容部59と連通孔70と抜け規制溝58とに充填される。ボンドマグネット75は、
図3~
図5に示すように、これらの内部で固化することによって隣接する磁石収容部59で固化した磁石ブロックB1同士が連通孔70内の磁石ブロックB2を通して相互に連結されるとともに、抜け規制溝58内で固化した磁石ブロックB3が、連通孔70内の磁石ブロックB2を通して、隣接する磁石収容部59で固化した二つの磁石ブロックB1と連結される。
なお、各磁石収容部59で固化した磁石ブロックB1は、ステータ8側のコイル24(
図2参照)で形成される鎖交磁束との間で、磁気的な吸引・反発力を発生する永久磁石33となる。
【0055】
(実施形態の効果)
本実施形態のロータ9は、ロータコア32の磁石収容部59と連通孔70とにボンドマグネット75が充填され、当該ボンドマグネット75によって突極32B間の永久磁石33が構成されている。このため、磁石収容部59と連通孔70に充填されたボンドマグネット75が固化すると、そのボンドマグネット75が磁石収容部59やコア本体32Aの内周側空間66で磁石ブロックとなり、各磁石ブロック同士が連通孔70内の磁石ブロックによって相互に連結される。したがって、本実施形態のロータ9や電動モータ2を採用した場合には、永久磁石33の外周面と突極32Bの外側を覆う部材を設けることなく、永久磁石33をロータコア32に確実に位置固定することができる。
【0056】
そして、本実施形態のロータ9、及び、電動モータ2は、上述のように永久磁石33の外周面と突極32Bの外側を覆う部材を無くすことができる。このため、本実施形態のロータ9や電動モータ2を採用した場合には、国連が主導する持続可能な開発目標(SGDs)の目標7「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」、及び目標9「強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの促進を図る」に貢献することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態のロータ9は、ロータコア32に形成する連通孔70が、突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部59とコア本体32Aの内周側空間66とを連通している。このため、連通孔70内で固化したボンドマグネット75は、隣接する磁石収容部59内の磁石ブロック同士を連結すると同時に、これらの磁石ブロックをコア本体32Aの内周側空間66の磁石ブロックとも連結することになる。
したがって、本構成を採用した場合には、ロータコア32の磁石収容部59に配置される永久磁石33をより安定してロータコア32に位置固定することができる。
ただし、本実施形態では、一の連通孔70が、突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部59とコア本体32Aの内周側空間66とを連通しているが、連通孔70の構成はこれに限定されない。連通孔70は、例えば、突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部59同士のみを連通するものであっても良く、各磁石収容部59とコア本体32Aの内周側空間66のみを連通するものであっても良い。
【0058】
また、本実施形態のロータ9は、コア本体32Aの内周面のうちの、連通孔70の開口する位置に、コア本体32Aの軸方向に沿って延びる抜け規制溝58が設けられている。 このため、溶融したボンドマグネット75が抜け規制溝58内で固化すると、抜け規制溝58内で固化してできた磁石ブロックが、磁石収容部59内の磁石ブロック(永久磁石33)の径方向外側への抜けや、周方向や径方向、軸方向の位置ずれを確実に規制するようになる。
したがって、本構成を採用した場合には、永久磁石33をより安定してロータコア32に位置固定することができる。
【0059】
さら、本実施形態のロータ9は、抜け規制溝58が各突極32Bの径方向内側に延長した領域に配置されている。このため、抜け規制溝58内で固化した磁石ブロックが、突極32Bを挟んで隣接する磁石収容部59内の磁石ブロック(永久磁石33)の間を流れる磁束の磁路として有効に機能するようになる。
したがって、本高構成を採用した場合には、ロータコア32内を磁束がスムーズに流れるようになり、電動モータ2のモータ特性を向上させることが可能になる。
【0060】
また、本実施形態のロータ9は、複数のコアプレート60が軸方向に積層されることによってロータコア32が構成されている。そして、コアプレート60は、全域が一体に形成された第1コアプレート61と、複数のプレート片から成り複数のプレート片の間に分離隙間65a,65bが確保される第2コアプレート62と、を備え、連通孔70は、第1コアプレート61と第2コアプレート62に囲まれた分離隙間65a,65bによって構成されている。このため、各磁石収容部59と分離隙間65a,65bにボンドマグネット75が充填され、そのボンドマグネット75が固化すると、磁石収容部59内の磁石ブロックが分離隙間65a,65b内の磁石ブロックを通して他の部分の磁石ブロックと連結されることになる。
したがって、本構成を採用した場合には、複数のコアプレート60(第1コアプレート61、及び、第2コアプレート62)を軸方向に積層した構造にすることによってロータコア32の磁気特性を向上させることが可能になるとともに、ロータコア32に連通孔70を容易に形成することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態のロータ9は、各コアプレート60が、コア本体32Aを形成する本体形成部61a,62aと、突極32Bを形成する突極形成部61b,62bと、を備え、第2コアプレート62の分離隙間65a,65bが、本体形成部62aを周方向で分離し、かつ突極形成部62bを本体形成部62aから分離する隙間とされている。
したがって、本構成を採用した場合には、突極32Bを間に挟む二つの磁石収容部59と、コア本体32Aの内周側空間66とを連通させる構造(連通孔70を持つ構造)を容易に形成することが可能になる。
【0062】
また、本実施形態のロータ9は、第2コアプレート62が、本体形成部62aを構成する複数の略円弧状の本体プレート片63と、突極形成部62bを構成する複数の矩形状の突極プレート片64と、を備えている。このため、同形状の本体プレート片63と突極プレート片64を夫々複数用意し、これらを所定の形状に配置することにより、第2コアプレート62を構成することができる。
したがって、本構成を採用した場合には、ロータコア32を効率良く生産することが可能になり、ロータ9の生産性を高めることが可能になる。
【0063】
また、本実施形態のロータ9は、第2コアプレート62の各本体プレート片63と突極プレート片64に、積層方向で隣接する第1コアプレート61、若しくは、第2コアプレート62と凹凸嵌合するボス部68が設けられている。このため、本体プレート片63と突極プレート片64の各ボス部68を、積層方向で隣接する他のコアプレートに凹凸嵌合することにより、各プレート片63,64を他のコアプレートに対して容易に位置固定することができる。
したがって、本構成を採用した場合には、ロータコア32を組み付けた状態で、安定してボンドマグネット75の射出を行うことができる。
【0064】
さらに、本実施形態のロータ9は、複数の第2コアプレート62がロータコア32の軸方向の中央領域に纏まって配置されている。このため、複数の第2コアプレート62の分離隙間65a,65bによって形成される連通孔70の断面積が大きくなる。この結果、磁石収容部59と連通孔70にボンドマグネット75を充填する際に、ボンドマグネット75の流動性が良好になる。
したがって、本構成を採用した場合には、ロータ9の生産性がより高まる。
【0065】
<他の実施形態>
図9は、本実施形態のロータ109の斜視図である。
本実施形態のロータ109は、基本構成は上記の実施形態とほぼ同様であるが、第1コアプレート61と第2コアプレート62の積層の仕方が上記の実施形態のものと異なっている。第1コアプレート61と第2コアプレート62の夫々形状は、上記の実施形態のものと同様とされている。
【0066】
本実施形態のロータ109は、ロータコアの第1コアプレート61と第2コアプレート62が軸方向に沿って交互に配置されている。このため、第2コアプレート62の分離隙間65a,65b(
図7参照)によって形成される連通孔70がロータコアの軸方向の広い範囲に分散して配置されることになる。
したがって、本実施形態のロータ109を採用した場合には、永久磁石33をロータコアにより強固に固定することが可能になるとともに、ロータコアの磁気特性を軸方向の全域においてほぼ均一にすることが可能になる。
【0067】
<変形例1>
図10は、本変形例の第2コアプレート262の平面図である。
本変形例の第2コアプレート262は、隣接する略扇状(略円弧状)の本体プレート片63の端部の間に、抜け規制溝58と分離隙間265aが形成されている。分離隙間265aは、本体プレート片63と突極プレート片64の間の分離隙間265bに連通し、かつ、分離隙間265bから径方向内側の抜け規制溝58に向かって幅が漸減するように形成されている。この変形例の場合も、上記の実施形態と同様の機能を得ることができる。
また、本体プレート片63の端部の分離隙間265aを成す面は湾曲面によって形成するようにしても良い。この場合、磁石収容部と連通孔にボンドマグネットを充填する際にボンドマグネットの流動性が良好となる。
【0068】
<変形例2>
図11は、本変形例の第2コアプレート362の平面図である。
本変形例の第2コアプレート362は、略扇状(略円弧状)の本体プレート片63の周方向の端部に、径方向外側に突出して突極の基部を形成する突片77が延設されている。また、隣接する本体プレート片63の端部(突片77も含む)の間には、抜け規制溝58と分離隙間365aが形成されている。分離隙間365aは、隣接する一対の本体プレート片63の突片77と突極プレート片64の間の分離隙間365bに連通し、かつ、分離隙間365bから径方向内側の抜け規制溝58に向かって直線状に延出している。この変形例の場合も、上記の実施形態と同様の機能を得ることができる。
【0069】
<変形例3>
図12は、本変形例の第2コアプレート462の平面図である。
本変形例の第2コアプレート462は、略扇状(略円弧状)の本体プレート片63の周方向の端部に、変形例2と同様に径方向外側に突出して突極の基部を形成する突片77が延設されている。隣接する本体プレート片63の端部(突片77も含む)の間には、抜け規制溝58と分離隙間465aが形成されている。隣接する一対の本体プレート片63の突片77と突極プレート片64の間には、中央が径方向内側に向かって突出する略L字形状の分離隙間465bが形成されている。分離隙間465bの頂部は、隣接する本体プレート片63間の分離隙間465aに連通している。この変形例の場合も、上記の実施形態と同様の機能を得ることができる。
本変形例では、分離隙間465bが、中央が径方向内側に向かって突出する略L字形状に形成されているため、磁石収容部と連通孔にボンドマグネットを充填する際にボンドマグネットの流動性が良好となる。
また、本変形例では、分離隙間465bが略L字状に形成されているが、分離隙間465bの形状は湾曲形状等の他の形状であっても良い。この場合も、分離隙間465bを径方向内側に向かって凸に膨出する湾曲形状にすれば、連通孔に対するボンドマグネットの流動性を良好にすることができる。
【0070】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、連通孔70が突極32Bの径方向内側の延長位置において、コア本体32Aの内周側空間66に連通しているが、連通孔70のコア本体32Aの内周側の開口位置は、必ずしも、突極32Bの径方向内側の延長位置でなくても良い。連通孔70の開口位置は、突極32Bの延長位置から周方向にずれた位置であっても良い。
【0071】
また、上記の実施形態では、コア本体32Aの内周面に軸方向に沿う抜け規制溝58が形成されているが、抜け規制溝58は必ずしも無くても良い。
【0072】
また、上記の実施形態では、ロータコア32が軸方向に積層された複数のコアプレート60から構成されているが、ロータコア32は、必ずしも、複数のコアプレート60から構成しなくても良い。ロータコア32は、例えば、一体構造のブロックによって構成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0073】
1…モータユニット、2…電動モータ、3…減速部、4…コントローラ、5…モータケース、6…第1モータケース、6a…開口部、7…第2モータケース、7a…開口部、8…ステータ、9,109…ロータ、10…底部、11…コネクタ、16,17…外フランジ部、20…ステータコア、21…コア本体部、22…ティース、24…コイル、31…回転軸、32…ロータコア、32A…コア本体、32B…突極、33…永久磁石、34…軸孔、40…、40a…開口部、40b…側壁、40c…上壁、41…ウォーム減速機構、42…ギヤ収容部、43…開口部、44…ウォーム軸、45…ウォームホイール、46,47…軸受、48…出力軸、48a…スプライン、49…軸受ボス、50…磁気検出素子、51…コントローラ基板、52…リブ、53…カバー、58…抜け規制溝、59…磁石収容部、60…コアプレート、61…第1コアプレート、61a…本体形成部、61b…突極形成部、61c…溝形成部、62,262,362,462…第2コアプレート、62a…本体形成部、62b…突極形成部、63…本体プレート片、64…突極プレート片、65a,65b…分離隙間、66…内周側空間、67…U字溝、68…ボス部、68a…貫通孔、70…連通孔、75…ボンドマグネット、77…突片、265a,265b…分離隙間、365a,365b…分離隙間、465a,465b…分離隙間