IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工サーマルシステムズ株式会社の特許一覧

特開2024-73828制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム
<>
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図1
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図2
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図3
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図4
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図5
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図6
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図7
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図8
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図9
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図10
  • 特開-制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073828
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20240523BHJP
   F28D 21/00 20060101ALI20240523BHJP
   F28F 23/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F28D20/00 A
F28D21/00 Z
F28F23/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184746
(22)【出願日】2022-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】崔 林日
(72)【発明者】
【氏名】坂井 正頌
(72)【発明者】
【氏名】三原 伸治
(72)【発明者】
【氏名】竹中 悠
(72)【発明者】
【氏名】磯野 隼佑
(57)【要約】
【課題】蓄えた温熱が不足しにくい制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御装置は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、機器から得られた温熱を温水井戸に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部と、第一モードに代えて、地中熱利用システムを、冷水井戸に蓄えた冷熱を蓄熱補助設備に供給し、蓄熱補助設備から得られた温熱を温水井戸に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部と、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部と、
を備える
制御装置。
【請求項2】
前記排熱回収機構が、工場の排熱を回収する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記蓄熱補助設備の出口における媒体の温度が一定になるように、前記地中熱利用システムを制御する出口温度制御部をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記温水井戸への注水温度が一定になるように、前記地中熱利用システムを制御する注水温度制御部をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第二モード制御部が、前記地中熱利用システムを、夏期に前記第二モードで制御する
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記熱源井戸設備が、
前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する配管と、
前記配管内の水と前記機器側及び前記蓄熱補助設備側の媒体との間で、熱交換を行う熱交換器と、
をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の制御装置と、
前記熱源井戸設備と、
前記蓄熱補助設備と、
を備える
地中熱利用システム。
【請求項8】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、
制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、
ことを実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地中に蓄えた蓄熱を利用する地中熱利用システムが提案されている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、特許文献1には、建物から排出された熱を地中に蓄える地中熱利用システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-071949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された地中熱利用システムは、蓄熱槽に蓄えた温熱を建物の暖房用熱源や給湯用熱源として利用し、別の蓄熱槽に蓄えた冷熱を建物の冷房用熱源として利用している。
しかし、例えば寒冷地などのように、夏期に蓄える温熱が少ない場合、冬期において蓄えた温熱が不足することがある。
【0006】
本開示は、蓄えた温熱が不足しにくい制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る制御装置は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部と、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部と、を備える。
【0008】
本開示に係る地中熱利用システムは、前記制御装置と、前記熱源井戸設備と、前記蓄熱補助設備と、を備える。
【0009】
本開示に係る制御方法は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する。
【0010】
本開示に係るプログラムは、コンピュータに、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、排熱回収機構、冷却塔、または空冷ヒートポンプを含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、ことを実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の制御装置、地中熱利用システム、制御方法、及びプログラムによれば、蓄えた温熱が不足しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの概略図である。
図2】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの系統図である。
図3】本開示の実施形態に係る制御装置のブロック図である。
図4】本開示の実施形態に係る制御方法のフローチャートである。
図5】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第一モードの動作を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第二モード(排熱利用モード)の動作を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第二モード(冷却塔利用モード)の動作を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第二モード(空冷ヒートポンプ利用モード)の動作を示す図である。
図9】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第三モードの動作を示す図である。
図10】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第二モード(冷却塔利用モード)の変形例の動作を示す図である。
図11】本開示の実施形態に係る地中熱利用システムの第二モード(空冷ヒートポンプ利用モード)の変形例の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において同一または相当する構成には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
<実施形態>
本開示に係る地中熱利用システムの実施形態について、図1図9を参照して説明する。
(地中熱利用システムの構成)
図1及び図2に示すように、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10と、蓄熱補助設備20と、ヒートポンプ30と、熱交換器40と、制御装置50とを備える。
機器AA(例:空調負荷)において暖房を利用している時、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10に温水として蓄えられた温熱を暖房に利用すると同時に、機器AAからの排冷熱を、熱源井戸設備10に冷水として蓄える。
機器AAにおいて冷房を利用している時、地中熱利用システム1は、熱源井戸設備10に冷水として蓄えられた冷熱を冷房に利用すると同時に、機器AAからの排温熱を、熱源井戸設備10に温水として蓄える。
【0015】
(熱源井戸設備の構成)
熱源井戸設備10は、温水井戸11と、冷水井戸12と、配管13とを備える。
【0016】
温水井戸11及び冷水井戸12は、それぞれ、地上から帯水層LY内に延びている。
温水井戸11及び冷水井戸12は、それぞれスクリーンを有するケーシング等を備え、帯水層LYの地下水を取り込んだり、温水井戸11及び冷水井戸12の内部から帯水層LYへ地下水を戻したりできるように構成されている。
地中熱利用システム1の定常運転時において、温水井戸11周辺の帯水層LYには温水が蓄えられ、冷水井戸12周辺の帯水層LYには冷水が蓄えられている。
温水井戸11と冷水井戸12とは、蓄えられた温水と冷水とが混ざらない程度に互いに十分離れた距離に設けられている。
【0017】
地中熱利用システム1において、熱源井戸設備10は、地下水を、温水井戸11及び冷水井戸12のうちの一方から地上にくみ上げ、熱利用及び補助蓄熱のために地上で熱交換を行い、温水井戸11及び冷水井戸12のうちの他方に注入する。つまり、熱源井戸設備10は、温水井戸11から地下水をくみ上げて冷水井戸12に注入する場合と、冷水井戸12から地下水をくみ上げて温水井戸11に注入する場合の、2つの運転モードを有する。
【0018】
配管13は、温水井戸11と冷水井戸12とを接続する。
図1に示すように、配管13の一端である第一端131は、温水井戸11の内部に延びており、温水井戸11の内部の地下水に浸漬されている。
配管13の他端である第二端132は、冷水井戸12の内部に延びており、冷水井戸12の内部の地下水に浸漬されている。
【0019】
第一端131及び第二端132の各々には、ポンプPP、注水弁VA、逆止弁VB等が設けられており、各井戸内から配管13内に揚水したり、配管13内から各井戸内に注水したりできるように構成されている。
ポンプPPは、制御装置50からの指令により、インバータ制御により出力を変更できる。
【0020】
図2に示すように、熱源井戸設備10は、整流部14と、注水温度計15と、調整弁16と、をさらに備える。
【0021】
整流部14は、温水井戸11及び冷水井戸12と熱交換器40との間に設けられている。
整流部14は、逆止弁CV1~CV4を含む接続回路で、配管13の途中において配管13と接続される。整流部14は、配管13内の水が熱交換器40に向かって流れるように、水の流れを整流している。そのため、温水井戸11、冷水井戸12のどちらからくみ上げられても、配管13内の水は、熱交換器40に向かって流れる。ここで図2に示す各逆止弁CV1~CV4は、矢印方向に水を流し、矢印の逆方向に水を流さない。
【0022】
注水温度計15は、熱交換器40から整流部14に向かう配管13の途中であって、熱交換器40から整流部14に水が流れる配管13に設けられている。
注水温度計15は、熱交換器40から整流部14に流れる水の温度を計測し、計測結果を制御装置50に出力する。
【0023】
調整弁16は、整流部14から熱交換器40に向かう配管13の途中であって、整流部14から熱交換器40に水が流れる配管13に設けられている。
調整弁16は、制御装置50の指令に応じて、整流部14から熱交換器40へ流れる水の流量を調整し、温水井戸11及び冷水井戸12の各井戸への注水量を制御する。
【0024】
(熱交換器の構成)
熱交換器40は、配管13内の水とヒートポンプ30側及び蓄熱補助設備20側の媒体との間で熱交換する。
具体的には、熱交換器40は、配管13内の水として、温水井戸11からくみ上げられて配管13内を流れる地下水と、ヒートポンプ30側及び蓄熱補助設備20側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、熱交換器40から配管13内を流れ、冷水井戸12に注入される。
逆に、熱交換器40は、配管13内の水として、冷水井戸12からくみ上げられて配管13内を流れる地下水と、ヒートポンプ30側及び蓄熱補助設備20側の媒体との間で熱交換する。熱交換が行われた後の地下水は、熱交換器40から配管13内を流れ、温水井戸11に注入される。
熱交換器40は、地上で延びる配管13の途中に設けられている。
【0025】
熱交換器40を経た水が温水の場合、温水井戸11では温水蓄熱を行う。
熱交換器40を経た水が冷水の場合、冷水井戸12では冷水蓄熱を行う。
ここで「温水」とは、帯水層LYの地下水の初期地中温度より高い温度の水のことであり、「冷水」とは、帯水層LYの地下水の初期地中温度より低い温度の水のことである。
例えば、帯水層LYの地下水の初期地中温度は18℃である。
【0026】
(ヒートポンプの構成)
ヒートポンプ30は、コンデンサ、エバポレータ、コンプレッサ等を備え、熱交換器40を介して、機器AAと配管13との間に設けられている。
ヒートポンプ30は、熱交換器40で配管13内の水と熱交換を行った媒体を冷却したり、加熱したりする。これにより、ヒートポンプ30は、配管13内の水から得られた温熱又は冷熱を機器AAに利用する一方、機器AAから排出される排温熱又は排冷熱を、熱交換器40を介して、配管13内の水に蓄える。
本実施形態では、ヒートポンプ30として、ターボヒートポンプを用いている。
【0027】
地中熱利用システム1は、複数の切替弁61と、ポンプ62とをさらに備え、ヒートポンプ30と熱交換器40との間に流れる媒体の流れを制御している。
複数の切替弁61と、ポンプ62とは、ヒートポンプ30と熱交換器40との間に設けられている。
【0028】
地中熱利用システム1は、ヒートポンプ30と機器AAとの間にポンプ70をさらに備え、ヒートポンプ30と機器AAとの間で媒体を流している。
【0029】
(蓄熱補助設備の構成)
蓄熱補助設備20は、媒体を介して熱交換器40において配管13内の冷水を加熱し、温水井戸11への蓄熱を補助する。
本実施形態において、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と、冷却塔202と、空冷ヒートポンプ203とを備える。
【0030】
排熱回収機構201は、機器AAが設置される工場における各工程で発生する排熱を回収し、蓄熱補助設備20の媒体を加熱する。
排熱回収機構201で回収した排熱は、温水井戸11への補助蓄熱に利用される。
【0031】
冷却塔202は、水を大気と接触させて気化させるときの気化熱を利用し、蓄熱補助設備20の媒体を冷却する通常の機能を有すると共に、本実施形態では、加熱塔としての機能も有する。すなわち、冷却塔202は、大気の温度が低い、例えば冬期において、蓄熱補助設備20の媒体を冷却できるが、大気の温度が高い、例えば夏期において、蓄熱補助設備20の媒体を加熱することができる。
このため、冷却塔202は、冷水井戸12への補助蓄冷のための設備として利用できるだけではなく、温水井戸11への補助蓄熱のための設備として利用することもできる。
例えば、冷却塔202は、外気温度が設定した注水温度より高い時、蓄熱補助設備20の媒体を加熱できるように構成されてもよい。
【0032】
空冷ヒートポンプ203は、コンデンサ、エバポレータ、コンプレッサ等を備え、蓄熱補助設備20の媒体を加熱する。
空冷ヒートポンプ203は、年間を通じて暖房運転ができる。
空冷ヒートポンプ203で媒体を加熱した熱は、温水井戸11への補助蓄熱に利用される。他方、空冷ヒートポンプ203で媒体を加熱した熱は、機器AAにおける暖房にも利用される。
【0033】
蓄熱補助設備20は、複数の切替弁204と、ポンプ205と、熱交換器206と、出口温度計207とをさらに備える。
熱交換器206の一次側は、熱交換器40との間で媒体が流れるように、ポンプ62を介して、熱交換器40と接続されている。
【0034】
蓄熱補助設備20は、制御装置50の指令に応じて、複数の切替弁204を切り替えることにより、熱交換器206と冷却塔202との間で媒体を流す回路と、熱交換器206と排熱回収機構201との間で媒体を流す回路とを、切り替えることができる。
これにより、蓄熱補助設備20は、熱交換器206の二次側と、冷却塔202又は排熱回収機構201との間で媒体が流れるように、熱交換器206の二次側と、冷却塔202又は排熱回収機構201とを接続できる。
したがって、蓄熱補助設備20は、熱交換器40を介して、冷却塔202で得られた熱を配管13内の水に蓄える動作と、排熱回収機構201で得られた熱を配管13内の水に蓄える動作と、を切り替えることができる。
【0035】
出口温度計207は、熱交換器206の一次側における熱交換器40に向かう媒体の出口に設けられる。
【0036】
蓄熱補助設備20は、複数の切替弁208をさらに備える。
空冷ヒートポンプ203は、複数の切替弁208及びポンプ62を介して、熱交換器40と接続されている。
蓄熱補助設備20は、制御装置50の指令に応じて、複数の切替弁208を切り替えることができる。これにより、蓄熱補助設備20は、ポンプ62を介して、空冷ヒートポンプ203と熱交換器40との間で媒体が流れるように、熱交換器40と接続する動作と、空冷ヒートポンプ203と熱交換器40との間で媒体が流れないように、熱交換器40と接続を切断する動作と、を切り替えることができる。
【0037】
地中熱利用システム1は、空冷ヒートポンプ203と機器AAとの間に複数の切替弁80をさらに備える。これにより、地中熱利用システム1は、空冷ヒートポンプ203と機器AAとの間で媒体が流れるように、空冷ヒートポンプ203と機器AAとを接続する動作と、空冷ヒートポンプ203と機器AAとの間で媒体が流れないように、空冷ヒートポンプ203と機器AAと接続を切断する動作と、を切り替えることができる。
【0038】
(制御装置の構成)
図3に示すように、制御装置50は、第一モード制御部511と、第二モード制御部512と、第三モード制御部513と、出口温度制御部514と、注水温度制御部515と、を機能的に備える。
【0039】
制御装置50は、ハードウェア構成として、CPU51と、メモリ52、通信インタフェース53と、記録媒体54とを備える。
【0040】
CPU51は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮するプロセッサである。CPU51の機能については後述する。
【0041】
メモリ52は、CPU51の動作に必要な記憶領域を有する。
【0042】
通信インタフェース53は、通信線等を介して他の装置と通信可能に接続するための接続インタフェースであり、他の装置に指令を送信したり、他の装置からの応答を受信したりできるように構成されている。
【0043】
記録媒体54は、制御装置50の筐体内に設けられたローカルの記録媒体であって、HDDやSSDなどの大容量記憶デバイスである。
【0044】
次に、制御装置50のCPU51の機能について説明する。
CPU51は、予め用意されたプログラムに従って動作することで、上述のように、第一モード制御部511、第二モード制御部512、第三モード制御部513、出口温度制御部514、及び注水温度制御部515としての機能を発揮する。
【0045】
第一モード制御部511は、地中熱利用システム1を、第一モードで制御する。
第一モードは、主に夏期に実施されるモードであって、冷水井戸12に蓄えた冷熱を機器AAに供給し、機器AAから得られた温熱を温水井戸11に蓄えるモードである。
【0046】
第二モード制御部512は、第一モードに代えて、地中熱利用システム1を、第二モードで制御する。
第二モードは、冷水井戸12に蓄えた冷熱を蓄熱補助設備20に供給し、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えるモードである。
例えば、第二モード制御部512は、夏期に、地中熱利用システム1を第二モードで制御する。
【0047】
第三モード制御部513は、地中熱利用システム1を、第三モードで制御する。
第三モードは、主に冬期に実施されるモードであって、温水井戸11に蓄えた温熱を機器AAに供給し、機器AAから得られた冷熱を冷水井戸12に蓄えるモードである。
【0048】
出口温度制御部514は、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度として、出口温度計207が計測する媒体の温度が一定になるように、地中熱利用システム1を制御する。
【0049】
注水温度制御部515は、温水井戸11又は冷水井戸12への注水温度として、注水温度計15が計測する注水温度が一定になるように、地中熱利用システム1を制御する。
【0050】
(制御装置の動作)
本実施形態の制御装置50の動作について説明する。
制御装置50の動作は、制御方法の実施形態に相当する。
制御装置50は、図4に示す各ステップを実施する。
【0051】
まず、第一モード制御部511は、地中熱利用システム1を、第一モードで制御する(ST01:第一モード制御ステップ)。
第一モードは、主に夏期において実施される。
第一モードは、機器AAが冷房を利用しているときの動作である。
第一モードにおいて、第一モード制御部511は、冷水井戸12のポンプPPに作動するように指令を送り、温水井戸11の注水弁VAに開放するように指令を送る。さらに、第一モードにおいて、第一モード制御部511は、機器AAに媒体が流れ、蓄熱補助設備20に媒体が流れないように、切替弁61、204、208を切り替える。
これにより、図5に示すように、地中熱利用システム1は、冷水井戸12に貯められた冷水を配管13内に揚水し、熱交換器40に供給することにより、ヒートポンプ30側の媒体を冷却する。冷却された媒体は、機器AAにおいて冷房のための冷媒として機能する。
他方、熱交換器40に供給された冷水は、ヒートポンプ30側の媒体を冷却することにより温水となり、温水井戸11に向かって配管13内を通して排出され、温水井戸11に注水される。これにより、温水井戸11に温水が貯められる。
さらに、注水温度制御部515は、温水井戸11への注水温度が一定になるように、冷水井戸12のポンプPPのインバータ制御、調整弁16の制御等を行う。
【0052】
ST01の実施に続いて、第二モード制御部512は、地中熱利用システム1を、第一モードに代えて、第二モードで制御する(ST02:第二モード制御ステップ)。
例えば、第二モードは、夏期において実施される。その際、第二モード制御部512は、年月日、外気の平均温度、オペレータの入力等を取得することにより夏期であることを検出し、夏期に地中熱利用システム1を第二モードで制御する。
第二モードは、寒冷地などのように、冬期に温水が不足することが予測される場合に利用されるモードであって、例えば冬期に備えて夏期に、蓄熱補助設備20で冷水井戸12から揚水した冷水を温めることにより、第一モードとは別に、温水井戸11に温水を貯めるための動作である。
第二モードにおいて、第二モード制御部512は、冷水井戸12のポンプPPに作動するように指令を送り、温水井戸11の注水弁VAに開放するように指令を送る。さらに、第二モードにおいて、第二モード制御部512は、蓄熱補助設備20に媒体が流れ、機器AAに媒体が流れないように、切替弁61、204、208に指令を送る。
これにより、地中熱利用システム1は、冷水井戸12に貯められた冷水を配管13内に揚水し、熱交換器40に供給する。他方、図6から図8に示すように、熱交換器40の蓄熱補助設備20側には、蓄熱補助設備20で温められた媒体が供給され、冷水井戸12から熱交換器40に供給された冷水を温めて温水にする。温められた温水は、温水井戸11に向かって配管13内を通して排出され、温水井戸11に注水される。これにより、第一モードで貯められた温水に加えて、温水井戸11に温水が貯められる。
【0053】
ST02の実施において、出口温度制御部514は、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度が一定になるように、地中熱利用システム1を制御すると共に、注水温度制御部515は、温水井戸11への注水温度が一定になるように、地中熱利用システム1を制御する。
ST02の実施において、制御装置50は、機器AAにおける冷暖房負荷及び外気温度等を考慮して、地中熱利用システム1の動作モードを、以下の排熱利用モード、冷却塔利用モード、空冷ヒートポンプ利用モードのいずれかのモードに自動的に切り替える。
【0054】
<排熱利用モード>
機器AAが設置される工場における各工程で発生する排熱がある場合に、排熱利用モードとして、制御装置50は、排熱を利用して、温水井戸11に蓄熱するモードで地中熱利用システム1を動作させる。
排熱利用モードにおいて、注水温度制御部515は、温水井戸11への注水温度が一定になるように冷水井戸12のポンプPPのインバータ制御を行うと同時に、排熱回収機構201で得られた熱を配管13内の水に蓄えることができるようにバイパス制御を行う。
具体的には、注水温度制御部515は、図6に示すように排熱回収機構201と熱交換器206との間で媒体が流れるように、切替弁204に指令を送るバイパス制御と同時に、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度が一定になるように、ポンプ205のインバータ制御及び調整弁16の制御を行う。
【0055】
<冷却塔利用モード>
機器AAが設置される工場における各工程で発生する排熱がない又は足りない場合に、冷却塔利用モードとして、制御装置50は、冷却塔202を運転して、温水井戸11に蓄熱するモードで地中熱利用システム1を動作させる。本モードの運転条件は、外気湿球温度が設定注水温度より高い場合である。
冷却塔利用モードにおいて、注水温度制御部515は、温水井戸11への注水温度が一定になるように冷水井戸12のポンプPPのインバータ制御を行うと同時に、冷却塔202で得られた熱を配管13内の水に蓄えることができるようにバイパス制御を行う。
具体的には、注水温度制御部515は、図7に示すように冷却塔202と熱交換器206との間で媒体が流れるように、切替弁204に指令を送るバイパス制御と同時に、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度が一定になるように、ポンプ205のインバータ制御及び調整弁16の制御を行う。
【0056】
<空冷ヒートポンプ利用モード>
排熱利用モード及び冷却塔利用モードだけでは冬期暖房用の温水が足りない場合に、空冷ヒートポンプ利用モードとして、制御装置50は、空冷ヒートポンプ203を運転して、温水井戸11に蓄熱するモードで地中熱利用システム1を動作させる。その際、注水温度制御部515は、図8に示すように空冷ヒートポンプ203と熱交換器40との間で媒体が流れるように切替弁208に指令を送る。
本モードの特徴は、いつでも必要な温水蓄熱ができると共に、夏期に暖房運転を行うため、空冷ヒートポンプ203のCOP(Coefficient Of Performance:成績係数)が高く、システム全体のCOPを向上できることである。
【0057】
ST02の実施終了後、再びST01を実施し、以降、例えば夏期に亘って、ST01とST02とを繰り返す。
【0058】
ST01及びST02の実施に続いて、第三モード制御部513は、地中熱利用システム1を、第三モードで制御する(第三モード制御ステップ:ST03)。
第三モードは、主に冬期において実施される。
第三モードは、機器AAが暖房を利用しているときの動作である。
第三モードにおいて、第三モード制御部513は、温水井戸11のポンプPPに作動するように指令を送り、冷水井戸12の注水弁VAに開放するように指令を送る。さらに、第三モードにおいて、第三モード制御部513は、機器AAに媒体が流れ、蓄熱補助設備20に媒体が流れないように、切替弁61、204、208に指令を送る。
これにより、図9に示すように、地中熱利用システム1は、温水井戸11に貯められた温水を配管13内に揚水し、熱交換器40に供給することにより、ヒートポンプ30側の媒体を加熱し、加熱された媒体は、機器AAにおいて暖房のための熱媒として機能する。他方、熱交換器40に供給された温水は、ヒートポンプ30側の媒体を加熱することにより冷水となり、冷水井戸12に向かって配管13内を通して排出され、冷水井戸12に注水される。これにより、冷水井戸12に冷水が貯められる。
ST03において、注水温度制御部515は、冷水井戸12への注水温度が一定になるように、温水井戸11のポンプPPのインバータ制御、調整弁16の制御等を行う。
【0059】
第三モードにおいて、温水井戸11に貯められた温水が足りない場合、地中熱利用システム1は、複数の切替弁80を切り替えることにより、機器AAと空冷ヒートポンプ203との間で媒体が流れるように、空冷ヒートポンプ203と機器AAとを接続し、機器AAにおける暖房に空冷ヒートポンプ203を利用する。
【0060】
(作用及び効果)
本実施形態によれば、制御装置50は、機器AAから得られた温熱に加えて、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、蓄えた温熱が不足しにくい。
【0061】
また、本実施形態によれば、排熱回収機構201が、工場の排熱を回収するため、排熱を有効に利用することができる。
このため、環境負担が軽減される。
【0062】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度を一定に制御できる。
このため、蓄熱補助設備20は、温水井戸11への蓄熱を安定して補助することができる。
【0063】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、温水井戸11への注水温度を一定に制御できるため、温水井戸11の温度を一定に保つことができる。
【0064】
また、本実施形態によれば、制御装置50は、夏期に第二モードで制御することにより、夏期に蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、地中熱利用システム1は、寒冷地でも温熱を蓄えやすく、継続して地熱を利用することができる。
【0065】
一般に、帯水層を利用した地中熱利用システムでは、長期間運用に当たり、年間の熱量バランスと揚水・還水体積バランスを維持する必要がある。
夏期と冬期の空調負荷(熱量)の違いを考慮せず、単純に地中熱利用を行うだけでは、冷水と温水との熱量アンバランスまたは体積アンバランスとなる。
そのため、冷排熱あるいは温排熱の蓄熱塊が拡大し続けることで効率的な地中熱利用ができなくなり、地中の環境にも悪影響を及ぼす可能性がある。
例えば西日本のように夏期冷房負荷が冬期暖房負荷より多い場合、冬期の通常運転以外に冷凍機蓄冷.冷却塔蓄冷によって熱と物質のバランスを維持することは可能である。
しかし、東日本のように、冬期暖房負荷が夏期冷房負荷より多い場合は、冷蓄熱過多となるため、夏期に温水熱量を蓄熱する必要がある。
このように、夏期に温水熱量を蓄熱する手段が検討されていないと、寒冷地では、地中熱利用システムの導入が難しいことがある。
比較例として、オランダでは冷房負荷に合わせて地中熱利用システムを使用する例があるが、北海道のような寒冷地では、夏期冷房負荷が少ない地域では地中熱利用システムの利用ができなくなる。
これに対し、本実施形態の制御装置50によれば、夏期に蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができるため、地中熱利用システム1を寒冷地に導入しやすい。
【0066】
また、本実施形態によれば、配管13内の水と機器AA側及び蓄熱補助設備20側の媒体との間で熱交換が行われるため、熱源井戸設備10と機器AAとの間、及び熱源井戸設備10と蓄熱補助設備20との間での熱収受がしやすい。
【0067】
また、本実施形態によれば、蓄熱補助設備20が、冷却塔202を含むため、自然エネルギーを有効に利用できると共に省エネを実現でき、カーボンニュートラルに貢献できる。
【0068】
また、本実施形態によれば、蓄熱補助設備20が、排熱回収機構201、冷却塔202、及び空冷ヒートポンプ203を含むため、ユーザの用途に合わせてシステムを構築できる。
【0069】
<変形例>
上述の実施形態では、第二モード制御部512は、地中熱利用システム1を、夏期に第二モードで制御しているが、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができるなら、どのように制御してもよい。
第一の変形例として、第二モード制御部512は、地中熱利用システム1を、夏期に加え、夏期以外の春期、秋期、又は冬期に第二モードで制御してもよい。
第二の変形例として、第二モード制御部512は、地中熱利用システム1を、季節に関わらず第二モードで制御してもよい。
第三の変形例として、第二モード制御部512は、外気温度が設定した注水温度より高い時、第二モードで制御してもよい。
【0070】
上述の実施形態では、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と、冷却塔202と、空冷ヒートポンプ203とを備えるが、温水井戸11への蓄熱を補助できるならどのように構成されてもよい。
変形例として、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と、冷却塔202とを備え、空冷ヒートポンプ203を備えなくてもよい。
他の変形例として、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と、冷却塔202、空冷ヒートポンプ203の少なくとも一つを備えてもよい。
【0071】
上述の実施形態では、ST02の冷却塔利用モードにおいて、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201、冷却塔202、空冷ヒートポンプ203のうち、冷却塔202のみを利用しているが、温水井戸11への蓄熱を補助できるならどのように利用されてもよい。
変形例として、冷却塔利用モードにおいて、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と冷却塔202とを同時に利用してもよい。例えば、注水温度制御部515が、図10に示すように、冷却塔202と熱交換器206との間、及び排熱回収機構201と熱交換器206との間に媒体を流れるようにバイパス制御を行ってもよい。これにより、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と冷却塔202とを並行して同時に利用できる。
【0072】
上述の実施形態では、ST02の空冷ヒートポンプ利用モードにおいて、排熱回収機構201、冷却塔202、空冷ヒートポンプ203のうち、空冷ヒートポンプ203のみを利用しているが、温水井戸11への蓄熱を補助できるならどのように利用されてもよい。
変形例として、空冷ヒートポンプ利用モードにおいて、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と冷却塔202と空冷ヒートポンプ203とを同時に利用してもよい。例えば、制御装置50は、図11に示すように、空冷ヒートポンプ203と熱交換器40との間、冷却塔202と熱交換器206との間、及び排熱回収機構201と熱交換器206との間に媒体を流れるようにバイパス制御を行ってもよい。これにより、蓄熱補助設備20は、排熱回収機構201と冷却塔202と空冷ヒートポンプ203とを並行して同時に利用できる。
【0073】
なお、上述の各実施形態においては、制御装置50の各種機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各種処理を行うものとしている。ここで、コンピュータシステムのCPU51の各種処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信線等によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0074】
<その他の実施形態>
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、本開示の範囲とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0075】
<付記>
上述の実施形態に記載の制御装置50、地中熱利用システム1、制御方法、及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0076】
(1)第1の態様に係る制御装置50は、温水井戸11と冷水井戸12とを含む熱源井戸設備10と、排熱回収機構201、冷却塔202、または空冷ヒートポンプ203を含む蓄熱補助設備20と、を備える地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を機器AAに供給し、前記機器AAから得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部511と、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備20に供給し、前記蓄熱補助設備20から得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部512と、を備える。
【0077】
本態様によれば、制御装置50は、機器AAから得られた温熱に加えて、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、蓄えた温熱が不足しにくい。
【0078】
(2)第2の態様に係る制御装置50は、前記排熱回収機構201が、工場の排熱を回収する(1)の制御装置50である。
【0079】
本態様によれば、排熱回収機構201が、排熱を有効に利用することができる。
このため、環境負担が軽減される。
【0080】
(3)第3の態様に係る制御装置50は、前記蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度が一定になるように、前記地中熱利用システム1を制御する出口温度制御部514をさらに備える(1)又は(2)の制御装置50である。
【0081】
本態様によれば、制御装置50は、蓄熱補助設備20の出口における媒体の温度を一定に制御できる。
このため、蓄熱補助設備20は、温水井戸11への蓄熱を安定して補助することができる。
【0082】
(4)第4の態様に係る制御装置50は、前記温水井戸11への注水温度が一定になるように、前記地中熱利用システム1を制御する注水温度制御部515をさらに備える(1)から(3)のいずれか一つの制御装置50である。
【0083】
本態様によれば、制御装置50は、温水井戸11への注水温度を一定に制御できるため、温水井戸11の温度を一定に保つことができる。
【0084】
(5)第5の態様に係る制御装置50は、前記第二モード制御部512が、前記地中熱利用システムを、夏期に前記第二モードで制御する(1)から(4)のいずれか一つの制御装置50である。
【0085】
本態様によれば、制御装置50は、夏期に蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、地中熱利用システム1は、寒冷地でも温熱を蓄えやすく、継続して地熱を利用することができる。
【0086】
(6)第6の態様に係る制御装置50は、前記熱源井戸設備10が、前記温水井戸11と前記冷水井戸12とを接続する配管13と、前記配管13内の水と前記機器AA側及び前記蓄熱補助設備20側の媒体との間で、熱交換を行う熱交換器40と、をさらに備える(1)から(5)のいずれか一つの制御装置50である。
【0087】
本態様によれば、配管13内の水と機器AA側及び蓄熱補助設備20側の媒体との間で熱交換が行われるため、熱源井戸設備10と機器AAとの間、及び熱源井戸設備10と蓄熱補助設備20との間での熱収受がしやすい。
【0088】
(7)第7の態様に係る地中熱利用システム1は、(1)から(6)のいずれか一つの制御装置50と、前記熱源井戸設備10と、前記蓄熱補助設備20と、を備える。
【0089】
本態様によれば、地中熱利用システム1は、機器AAから得られた温熱に加えて、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、蓄えた温熱が不足しにくい。
【0090】
(8)第8の態様に係る制御方法は、温水井戸11と冷水井戸12とを含む熱源井戸設備10と、排熱回収機構201、冷却塔202、または空冷ヒートポンプ203を含む蓄熱補助設備20と、を備える地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を機器AAに供給し、前記機器AAから得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備20に供給し、前記蓄熱補助設備20から得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第二モードで制御する。
【0091】
本態様によれば、制御方法は、機器AAから得られた温熱に加えて、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、蓄えた温熱が不足しにくい。
【0092】
(9)第9の態様に係るプログラムは、コンピュータに、温水井戸11と冷水井戸12とを含む熱源井戸設備10と、排熱回収機構201、冷却塔202、または空冷ヒートポンプ203を含む蓄熱補助設備20と、を備える地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を機器AAに供給し、前記機器AAから得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システム1を、前記冷水井戸12に蓄えた冷熱を前記蓄熱補助設備20に供給し、前記蓄熱補助設備20から得られた温熱を前記温水井戸11に蓄える第二モードで制御する、ことを実行させる。
【0093】
本態様によれば、プログラムは、機器AAから得られた温熱に加えて、蓄熱補助設備20から得られた温熱を温水井戸11に蓄えることができる。
このため、蓄えた温熱が不足しにくい。
【符号の説明】
【0094】
1 地中熱利用システム
11 温水井戸
12 冷水井戸
13 配管
14 整流部
15 注水温度計
16 調整弁
20 蓄熱補助装置
30 ヒートポンプ
40 熱交換器
50 制御装置
51 CPU
52 メモリ
53 通信インタフェース
54 記録媒体
61 切替弁
62 ポンプ
70 ポンプ
80 切替弁
131 第一端
132 第二端
201 排熱回収機構
202 冷却塔
203 空冷ヒートポンプ
204 切替弁
205 ポンプ
206 熱交換器
207 出口温度計
208 切替弁
511 第一モード制御部
512 第二モード制御部
513 第三モード制御部
514 出口温度制御部
515 注水温度制御部
AA 機器
CV1 逆止弁
CV2 逆止弁
CV3 逆止弁
CV4 逆止弁
LY 帯水層
PP ポンプ
VA 注水弁
VB 逆止弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部と、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部と、
を備える
制御装置。
【請求項2】
前記排熱回収機構が、工場の排熱を回収する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記蓄熱補助設備の出口における媒体の温度が一定になるように、前記地中熱利用システムを制御する出口温度制御部をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記温水井戸への注水温度が一定になるように、前記地中熱利用システムを制御する注水温度制御部をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第二モード制御部が、前記地中熱利用システムを、夏期に前記第二モードで制御する
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記熱源井戸設備が、
前記温水井戸と前記冷水井戸とを接続する配管と、
前記配管内の水と前記機器側及び前記蓄熱補助設備側の媒体との間で、熱交換を行う熱交換器と、
をさらに備える
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の制御装置と、
前記熱源井戸設備と、
前記蓄熱補助設備と、
を備える
地中熱利用システム。
【請求項8】
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、
制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、
温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、
前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、
ことを実行させる
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る制御装置は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御する第一モード制御部と、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する第二モード制御部と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示に係る制御方法は、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本開示に係るプログラムは、コンピュータに、温水井戸と冷水井戸とを含む熱源井戸設備と、少なくとも排熱回収機構又は冷却塔含む蓄熱補助設備と、を備える地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を機器に供給し、前記機器から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第一モードで制御し、前記第一モードに代えて、前記地中熱利用システムを、前記冷水井戸に蓄えた冷熱を前記機器には供給せずに前記蓄熱補助設備に供給し、前記蓄熱補助設備から得られた温熱を前記温水井戸に蓄える第二モードで制御する、ことを実行させる。