(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073831
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】図形商標調査の支援装置、図形商標調査の支援方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20240523BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184753
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】300010899
【氏名又は名称】NGB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】金山 英嗣
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC16
5L050CC16
(57)【要約】
【課題】ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる図形商標調査の支援装置、図形商標調査の支援方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するための入力部21と、入力部21に入力された画像データと、入力部21に入力された分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、分類情報ごとに一致度スコアを算出する算出部223と、一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得する取得部23と、を備える、図形商標調査の支援装置20。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出する算出部と、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する取得部と、を備える、図形商標調査の支援装置。
【請求項2】
前記基準図形は、一つの前記分類情報にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形である、請求項1に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項3】
前記基準図形は、ユーザによって任意に設定された図形である、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項4】
前記入力部に入力された複数の前記分類情報のうち前記取得部によって取得された前記先願商標に含まれる複数の前記分類情報に基づいて、前記取得部によって取得された前記先願商標と前記図形商標の類似度を示す類似度情報を、前記取得部によって取得された前記先願商標ごとに生成する生成部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記先願商標と、前記先願商標に係る前記類似度と、を含む表示用データを生成し、
前記類似度は第二所定値以上である、請求項4に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項6】
前記取得部は、前記一致度スコアが前記第一所定値以上の二つの前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項7】
前記分類情報は、少なくとも大分類を含み、
前記取得部は、前記大分類が異なる複数の前記分類情報を含む前記先願商標を商標データベースから取得する、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項8】
前記分類情報ごとに対応付けられた前記基準図形が記憶された記憶部をさらに備え、
前記算出部は、前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記分類情報に対応する前記記憶部に記憶された前記基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに前記一致度スコアを算出する、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項9】
前記入力部には、前記画像データと、複数の前記分類情報と、前記分類情報に対応する前記基準図形と、が、入力され、
前記算出部は、前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに前記一致度スコアを算出する、請求項1または請求項2に記載の図形商標調査の支援装置。
【請求項10】
コンピュータによって実行される図形商標調査の支援方法であって、
少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するステップと、
入力された前記画像データと、入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出するステップと、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得するステップと、を含む、図形商標調査の支援方法。
【請求項11】
図形商標調査の支援装置のプロセッサにより実行される少なくとも一つの命令を含むコンピュータプログラムであって、
少なくとも一つの前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記支援装置に、
前記支援装置の入力部に入力された画像データと、前記入力部に入力された複数の分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出させ、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載されたコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、図形商標調査の支援装置、図形商標調査の支援方法、コンピュータプログラムおよび当該コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、新規の商標を学習済みモデルに入力することでウィーン分類コード(分類情報の一例)を自動で付与する類似画像検索装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、出願予定の図形商標について同一または類似の先願商標があるかどうか調査する場合、ウィーン分類コードを用いて当該調査を行う。一般的に、一つのウィーン分類コードのみを用いて図形商標の調査をすると、膨大な数の先願商標が検出されることが多い。この場合、当該検出された先願商標の中には、出願予定の図形商標とは一瞥して非類似と思われる先願商標が多数含まれていることもあるため、好ましくない。一方で、多くのウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査をすると、検出される先願商標の数は減る。しかし、必要以上に多くのウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査をすると、調査漏れが発生する可能性が高くなってしまう。このため、図形商標の調査を行う場合、ユーザは、出願予定の図形商標に関連すると思われるウィーン分類コードを複数選択した後、その中から数個のウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査を行う。つまり、図形商標の調査においては、内容的にかつ数量的に適切な複数のウィーン分類コードを用いて調査を行う必要がある。また、特許文献1に係る装置のように、ウィーン分類コードを自動で付与する装置を用いて図形商標の調査を行うことが考えられるが、このような装置ではユーザの調査観点を反映させた調査を行うことが難しい。特に、このような装置では、ウィーン分類コードの自動付与等の内部処理がブラックボックス化していることが多いため、当該装置が行った調査の調査観点がどのような観点であったのかをユーザが認識することは難しい。
【0005】
本開示は、ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる図形商標調査の支援装置、図形商標調査の支援方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための一態様に係る図形商標調査の支援装置は、
少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出する算出部と、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する取得部と、を備える。
【0007】
また、上記の目的を達成するための一態様に係る図形商標調査の支援方法は、
コンピュータによって実行される図形商標調査の支援方法であって、
少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するステップと、
入力された前記画像データと、入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出するステップと、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得するステップと、を含む。
【0008】
また、上記の目的を達成するための一態様に係るコンピュータプログラムは、
図形商標調査の支援装置のプロセッサにより実行される少なくとも一つの命令を含むコンピュータプログラムであって、
少なくとも一つの前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記支援装置に、
前記支援装置の入力部に入力された画像データと、前記入力部に入力された複数の分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出させ、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得させる。
【0009】
また、上記の目的を達成するための一態様に係るコンピュータ可読媒体には、
上記のコンピュータプログラムが記憶されている。
【0010】
上記構成に係る図形商標調査の支援装置によれば、入力された複数の分類情報に対応する基準図形に基づいて分類情報ごとに一致度スコアを算出し、一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する。つまり、上記構成に係る支援装置が算出する一致度スコアはユーザによって入力された複数の分類情報に基づいており、かつ先願商標を商標データベースから取得する際に用いる複数の分類情報に係る一致度スコアは第一所定値以上である。したがって、このような図形商標調査の支援装置によれば、ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる。また、上記構成に係る情報処理方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体においても、同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる図形商標調査の支援装置、図形商標調査の支援方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、基準図形データベースを例示する図である。
【
図3】
図3は、本実施形態において支援装置が実行する処理を例示するフローチャート図である。
【
図5】
図5は、入力されたウィーン分類コードと各ウィーン分類コードに係る一致度スコアを例示する図である。
【
図6】
図6は、表示用データが支援装置の表示部またはユーザ端末装置の表示部に表示された状態を例示する図である。
【
図7】
図7は、表示用データが支援装置の表示部またはユーザ端末装置の表示部に表示された状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1および
図2を参照しつつ、本実施形態の支援システム1について説明する。
図1は、本開示の一実施形態に係る支援システム1のブロック図である。なお、支援システム1は、図形商標調査に関する支援システムである。
図2は、基準図形データベース40を例示する図である。
図1に例示するように、支援システム1は、商標データベース10と、支援装置20と、ユーザ端末装置30と、を含む。商標データベース10と支援装置20は、例えば、インターネット等を介して、通信可能である。支援装置20とユーザ端末装置30は、有線または無線により通信可能である。
【0015】
商標データベース10は、例えば、日本国特許庁のデータベース、アメリカ特許商標庁のデータベース、世界知的所有権機関(World Intellectual Property Organization:WIPO)のデータベース、商標に関するサービスプロバイダーが提供する商用データベース等である。商標データベース10には、少なくとも一つの国における商標に関する出願情報および登録情報が記憶されている。なお、本実施形態において「国」という用語は、独立国のみならず、国際的には承認されていない国や欧州連合のような複数の国からなる組織も含む概念である。また、商標に関する出願情報とは、例えば、商標登録出願、国際登録出願、商標登記出願等に関する情報である。なお、本実施形態において、商標登録出願には、国際商標登録出願も含まれる。つまり、本実施形態において「商標登録出願」という用語は、各国の特許庁や商標局等の所定官庁に対して直接手続された出願のみならず、国際商標出願により各国の所定官庁に対して間接的に手続された出願も含む概念である。例えば、日本国特許庁のデータベースには、日本国特許庁に対して行われた商標登録出願に係る出願および登録に対応する商標、区分、指定商品役務、類似群コード、ウィーン分類コード、出願人名、権利者名、出願番号、登録番号、出願日、登録日等が記憶されている。なお、ウィーン分類コードは、分類情報の一例である。
【0016】
支援装置20は、入力部21と、制御部22と、取得部23と、表示部24と、出力部25と、を備えている。これらはバス26を介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
入力部21は、支援装置20に対するユーザの入力操作を受け付けると共に、当該入力操作に対応する要求信号を生成するように構成されている。入力部21は、例えば、表示部24上に重ねて配置されたタッチパネルや、支援装置20に電気的に接続されたキーボード等の入力装置等である。入力部21には、例えば、調査対象である図形商標の画像データと、図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、が入力される。ただし、入力部21には、調査対象である図形商標の画像データおよび図形商標の調査に用いる複数の分類情報以外の他の情報が入力されてもよい。入力部21に調査対象である図形商標の画像データと、図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、が入力されると、入力部21は、入力された画像データおよび複数の分類情報を制御部22に送信する。
【0018】
制御部22は、ハードウェア構成として、メモリと、プロセッサと、を備えている。メモリは、例えば、各種コンピュータプログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種コンピュータプログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成される。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、ROMに組み込まれた各種コンピュータプログラムから指定されたコンピュータプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。制御部22は、記憶部221と、特定部222と、算出部223と、決定部224と、生成部225と、を備えている。
【0019】
なお、本実施形態においては、コンピュータ可読媒体が利用されうる。コンピュータ可読媒体は、プロセッサが読み取ることのできる情報やデータを記憶しうる、あらゆるタイプの物理メモリ(RAM、ROM等)を指す。コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによる実行処理に関する命令を記憶しうる。なお、「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形の品目を包含し、かつ搬送波や一時的な信号は除外する(すなわち、非一時的なものを指す)。非一時的コンピュータ可読媒体とは、例えば、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM)である。
【0020】
記憶部221には、分類情報ごとに対応付けられた基準図形が記憶されている。本実施形態において、記憶部221には、
図2に例示する基準図形データベース40が記憶されている。なお、基準図形は、ウィーン分類コードに対応する図形であれば、ユーザによって任意に設定されうる。つまり、基準図形は、各国の特許庁や商標局等の所定官庁が実際に出願された商標に付与したウィーン分類コードに対応する図形ではなく、ユーザによって任意に設定された図形である。なお、ユーザによって設定される基準図形の寸法、向き、大きさ等は任意である。また、ここでいう「ユーザ」には、各国の特許庁や商標局等の所定官庁および商標に関するサービスプロバイダーは含まれない。したがって、本実施形態において、基準図形は、各国の特許庁や商標局等の所定官庁および商標に関するサービスプロバイダーによっては設定されない。また、基準図形は、実際に出願された商標に付与されたウィーン分類コードに基づいて設定されなくてもよい。さらに、基準図形は、例えば、一つのウィーン分類コード(分類情報の一例)にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形でありうる。図形の構成が簡単な構成であればあるほど、その図形に付与されるウィーン分類コードの数は減少する傾向がある。このため、一つのウィーン分類コードにのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形のみからなる商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と評価されやすい。極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標は識別力がないので、一つのウィーン分類コードにのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形は識別力がない図形である可能性が高い。本実施形態において、ウィーン分類コード1.7.6に対応する基準図形は、例えば、
図2の領域R1内にある図形D1である。図形D1は三日月状の図形である。なお、説明の都合上、
図2では、各ウィーン分類コードに対応する基準図形は一つだけ示されているが、各ウィーン分類コードに対応する基準図形は複数あってもよい。
【0021】
分類情報は、例えば、ウィーン分類コードである。本実施形態において、分類情報は、大分類、中分類および小分類を含む。ただし、分類情報は少なくとも大分類を含んでいればよく、例えば、中分類および小分類は含んでいなくてもよい。例えば、分類情報がウィーン分類コードである場合、ウィーン分類コードは、大分類、中分類、小分類の木構造を有しており、それぞれ29、144、1887の分類から構成されている。例えば、大分類1は、天体、自然現象、地図に関する分類である。中分類1.7は、月に関する分類である。小分類1.7.6は三日月、半月に関する分類である。
【0022】
図1に戻り、特定部222について説明する。特定部222は、入力部21に入力された複数の分類情報に対応する基準図形を、分類情報ごとに特定する。例えば、入力部21にウィーン分類コード1.7.6が入力された場合、特定部222は、領域R1内にある基準図形(図形D1)を特定する。なお、入力部21に入力されたウィーン分類コードに対応する基準図形が複数ある場合(例えば、領域R1内に複数の基準図形がある場合)、特定部222は、当該複数の基準図形を特定する。
【0023】
算出部223は、入力部21に入力された画像データと、入力部21に入力された分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、入力された分類情報ごとに一致度スコアを算出する。算出部223は、入力部21に入力された画像データに係る図形商標の中から基準図形と同一の図形(以下、同一図形ともいう)または基準図形に近似する図形(以下、近似図形ともいう)を探索する。なお、本実施形態において、同一図形とは基準図形との一致率が100%である図形であり、近似図形とは基準図形との一致率が20%以上100%未満の図形である。ただし、近似図形の定義はこれに限られない。例えば、基準図形との一致率が50%以上100%未満の図形を近似図形と定義してもよい。算出部223は、探索した同一図形または近似図形と基準図形との一致率に基づいて、入力された分類情報ごとに一致度スコアを算出する。なお、一致度スコアとは、入力部21に入力された画像データに係る図形商標の全部または一部の図形と基準図形との一致度を示す指標である。例えば、両者が同一である場合(すなわち、一致率が100%の場合)、一致度スコアは100である。また、両者の一致率が50%の場合、一致度スコアは50である。このように、一致度スコアは、両者が似ているほど(すなわち、一致率が高いほど)、高くなる。
【0024】
決定部224は、算出部223が算出した一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を用いた組み合わせを決定する。なお、本実施形態において、第一所定値は、50である。ただし、第一所定値は0以上100以下であればよく、50に限られない。決定部224は、大分類が異なる二以上のウィーン分類コードを組み合わせる。つまり、決定部224は、ウィーン分類コード26.3.2とウィーン分類コード26.3.2のように、大分類が同じウィーン分類コードは組み合わせない。決定部224は、決定した分類情報の組み合わせを取得部23に送信する。
【0025】
取得部23は、決定部224から受信した組み合わせに基づいて、一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得する。取得部23は、取得した先願商標に関する先願商標情報を生成部225に送信する。なお、先願商標情報は、少なくとも、先願商標に係る出願番号、登録番号およびウィーン分類コードを含む。ただし、先願商標情報は、先願商標に係る商標、区分、指定商品役務、類似群コード、出願人名、権利者名、出願日、登録日、ステータス等の他の情報を含んでいてもよい。なお、本実施形態において、先願商標情報は、先願商標に係る出願人名、権利者名、出願番号、登録番号、商標およびウィーン分類コードを含む。
【0026】
生成部225は、入力部21に入力された複数の分類情報のうち取得部23によって取得された先願商標に含まれる分類情報(本実施形態では、ウィーン分類コード)に基づいて、取得部23によって取得された先願商標と入力部21に入力された画像データに係る図形商標の類似度を示す類似度情報を、取得部23によって取得された先願商標ごとに生成する。換言すると、生成部225は、取得部23が先願商標の取得時に用いた組み合わせに含まれる複数の分類情報に基づいて、取得部23によって取得された先願商標ごとに、類似度情報を生成する。なお、本実施形態において、生成部225は、一致度スコアが算出された分類情報に係る一致度スコアのみに基づいて、類似度情報を生成する。一例として、取得部23がウィーン分類コード1.7.6およびウィーン分類コード23.1.5からなる組み合わせに基づいて取得した先願商標に係る類似度情報について説明する。なお、この場合において、ウィーン分類コード1.7.6の一致度スコアは80で、ウィーン分類コード23.1.5の一致度スコアは50であるとする。この場合、生成部225は、取得された先願商標と調査対象である図形商標の類似度が65(=(80+50)/2)であることを示す類似度情報を生成する。このように、本実施形態における類似度は、取得部23が先願商標の取得時に用いた組み合わせに含まれる複数の分類情報に係る複数の一致度スコアの平均値である。ただし、類似度は、取得部23が先願商標の取得時に用いた組み合わせに含まれる複数の分類情報に係る複数の一致度スコアの平均値に限られない。なお、本実施形態において、生成部225は、指定商品役務の類似度については考慮せずに類似度情報を生成する。これは、例えば、出願前調査の段階では、指定商品役務が必ずしも確定しているとは限らないからである。ただし、生成部225は、指定商品役務の類似性も考慮して類似度情報を生成してもよい。
【0027】
生成部225は、取得部23から受信した先願商標情報と、生成部225が生成した類似度情報と、に基づいて、表示用データを生成する。生成部225によって生成された表示用データには、取得部23から受信した先願商標情報に係る先願商標と、当該先願商標に係る類似度と、が含まれる。生成部225は、生成した表示用データを表示部24または出力部25に送信する。
【0028】
表示部24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のタッチスクリーン型のディスプレイ等である。表示部24は、例えば、生成部225から受信した表示用データを表示するように構成されている。
【0029】
出力部25は、生成部225から受信した表示用データをユーザ端末装置30に出力する。
【0030】
ユーザ端末装置30は、支援装置20のユーザによって操作される端末装置である。ユーザ端末装置30は、例えば、デスクトップタイプのPC、ノートPC、タブレット端末、スマートフォン等の電子機器である。ユーザ端末装置30は、表示部31を備えている。表示部31は、例えば、液晶ディスプレイ等である。表示部31は、例えば、出力部25から出力された表示用データを表示するように構成されている。
【0031】
次に、
図3から
図6を参照しつつ、支援装置20が実行する図形商標調査の支援方法に係る処理について説明する。なお、ユーザの調査観点が図形商標の調査に反映されやすくするために、本実施形態における基準図形は、ユーザによって任意に設定された図形である。また、図形商標の調査の調査観点を明確にするために、本実施形態における基準図形は、一つの分類情報(ウィーン分類コード)にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形である。
図3は、本実施形態において支援装置20が実行する処理を例示するフローチャート図である。
【0032】
図3に例示するように、ユーザは、調査対象の図形商標の画像データと、複数の分類情報と、を入力部21に入力する(STEP01)。ここで、
図4は本実施形態における入力画面の一例を示す図である。
図4に例示するように、本実施形態において、ユーザは、図形商標100の画像データと、複数の分類情報(ウィーン分類コード1.7.6、23.1.5、26.3.2、26.4.2および26.4.3)と、を入力する。なお、図形商標100は、三日月状の月図形110および菱形状の菱形図形120を含む。菱形図形120は、第一の三角形図形121および第二の三角形図形122を含む。入力部21は、入力された画像データおよび複数の分類情報を制御部22に送信する。
【0033】
図3に例示するように、特定部222は、入力部21から受信した複数の分類情報に対応する基準図形を、分類情報ごとに特定する(STEP02)。本実施形態では、入力部21にウィーン分類コード1.7.6、23.1.5、26.3.2、26.4.2および26.4.3が入力されているので、特定部222は、これらのウィーン分類コードに対応する基準図形(例えば、
図2に例示する図形D1等)を、ウィーン分類コードごとに特定する。なお、入力部21に入力された分類情報(ウィーン分類コード)に対応する基準図形が複数ある場合、特定部222は、複数の基準図形を特定する。
【0034】
図3に例示するように、算出部223は、入力部21に入力された画像データと、特定部222によって特定された基準図形と、に基づいて、入力部21に入力された分類情報ごとに一致度スコアを算出する(STEP03)。なお、ある一つに分類情報について複数の基準図形が特定されている場合、算出部223は、各基準図形について一致度スコアを算出し、そのうち最も高い一致度スコアをその分類情報に対応する一致度スコアとして算出する。
【0035】
例えば、ウィーン分類コード1.7.6について説明すると、算出部223は、図形商標100の中から月図形110を探索する。算出部223は、月図形110と図形D1を比較し、月図形110と図形D1の外形の一致度を判断する。なお、本実施形態において、月図形110と図形D1の一致度は80%であるとする。月図形110と図形D1の一致度は80%であるため、月図形110は近似図形である。算出部223は、
図5に例示するように、ウィーン分類コード1.7.6に係る一致度スコアとして、80という一致度スコアを算出する。
【0036】
また、例えば、ウィーン分類コード26.3.2について説明すると、算出部223は、図形商標100の中から第一の三角形図形121および第二の三角形図形122を含む菱形図形120を探索する。算出部223は、菱形図形120と図形D3(
図2参照)を比較し、菱形図形120と図形D3の外形の一致度を判断する。なお、本実施形態において、菱形図形120と図形D3の一致度は90%であるとする。菱形図形120と図形D3の一致度は90%であるため、菱形図形120は近似図形である。算出部223は、
図5に例示するように、ウィーン分類コード26.3.2に係る一致度スコアとして、90という一致度スコアを算出する。これと同様の原理で、算出部223は、ウィーン分類コード23.1.5、26.4.2および26.4.3に係る一致度スコアも算出する。なお、本実施形態において、ウィーン分類コード23.1.5に係る一致度スコアは50である。ウィーン分類コード26.4.2に係る一致度スコアは40である。ウィーン分類コード26.4.3に係る一致度スコアは60である。算出部223は、算出した一致度スコアを決定部224に送信する。
【0037】
図3に例示するように、決定部224は、一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を用いた組み合わせを決定する(STEP04)。なお、本実施形態において、決定部224は、二つの分類情報(ウィーン分類コード)からなる組み合わせを決定する。また、本実施形態において、第一所定値は50であるので、決定部224は、ウィーン分類コード1.7.6、23.1.5、26.3.2および26.4.3を用いた組み合わせを決定する。また、決定部224は、大分類が異なる複数のウィーン分類コードを組み合わせる。したがって、本実施形態における組み合わせは、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード23.1.5の組み合わせ、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード26.3.2の組み合わせ、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード26.4.3の組み合わせ、ウィーン分類コード23.1.5とウィーン分類コード26.3.2の組み合わせおよびウィーン分類コード23.1.5とウィーン分類コード26.4.3の組み合わせである。決定部224は、決定したウィーン分類コードの組み合わせを取得部23に送信する。
【0038】
取得部23は、決定部224から受信したウィーン分類コードの組み合わせに基づいて、各組み合わせに係るウィーン分類コードを含む先願商標を商標データベース10から取得する(STEP05)。取得部23は、例えば、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード26.3.2の組み合わせに基づいて、先願商標を日本国特許庁のデータベースから取得する場合、日本国特許庁のデータベースに記憶されている先願商標の中から、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード26.3.2の両方を含む先願商標を取得する。取得部23は、取得した先願商標に関する先願商標情報を生成部225に送信する。
【0039】
生成部225は、取得部23から受信した先願商標情報に含まれるウィーン分類コード(分類情報の一例)に基づいて、取得部23によって取得された先願商標と調査対象である図形商標の類似度を示す類似度情報を、取得部23によって取得された先願商標ごとに生成する(STEP06)。生成部225は、例えば、ウィーン分類コード1.7.6とウィーン分類コード26.3.2からなる組み合わせに基づいて取得された先願商標について、当該先願商標に係る類似度は85(=(80+90)/2)であることを示す類似度情報を生成する。
【0040】
生成部225は、取得部23から受信した先願商標情報と、生成した類似度情報と、に基づいて、取得部23が取得した先願商標と、取得部23が取得した先願商標に係る類似度と、を含む表示用データを生成する(STEP07)。生成部225は、生成した表示用データを表示部24または出力部25に送信する。なお、生成部225が、表示用データを出力部25に送信する場合、出力部25は、生成部225から受信した表示用データをユーザ端末装置30に出力する。
【0041】
表示用データが表示部24に送信またはユーザ端末装置30に出力されると、支援装置20の表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に、表示用データが表示される(STEP08)。
図6に例示するように、本実施形態では、表示用データが、一覧表形式で、支援装置20の表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に表示される。
図6に例示する一覧表には、三つの先願商標が含まれている。なお、
図6に例示する一覧表では、先願商標の出願番号または登録番号と、出願人または権利者と、商標と、ウィーン分類コードと、類似度と、が表示されているが、例えば、これらの一部のみが表示されていてもよいし、これらに加えて他の情報(例えば、区分等)が表示されていてもよい。ユーザは、支援装置20の表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31に表示された表示用データを視認することで、調査対象である図形商標と同一または類似の商標に該当しうる先願商標を一覧的に確認することができる。
【0042】
ところで、例えば、出願予定の図形商標について同一または類似の先願商標があるかどうか調査する場合、ウィーン分類コードを用いて当該調査を行う。一般的に、一つのウィーン分類コードのみを用いて図形商標の調査をすると、膨大な数の先願商標が検出されることが多い。この場合、当該検出された先願商標の中には、出願予定の図形商標とは一見して非類似と思われる先願商標が多数含まれていることもあるため、好ましくない。一方で、多くのウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査をすると、検出される先願商標の数は減る。しかし、必要以上に多くのウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査をすると、調査漏れが発生する可能性が高くなってしまう。このため、図形商標の調査を行う場合、ユーザは、出願予定の図形商標に関連すると思われるウィーン分類コードを複数選択した後、その中から数個(例えば、二個)のウィーン分類コードを組み合わせて図形商標の調査を行う。つまり、図形商標の調査においては、内容的にかつ数量的に適切な複数のウィーン分類コードを用いて調査を行う必要がある。また、出願予定の図形商標に係る画像データを入力するだけでウィーン分類コードを自動で付与する装置を用いて図形商標の調査を行うことが考えられるが、このような装置ではユーザの調査観点を反映させた調査を行うことが難しい。特に、このような装置では、ウィーン分類コードの自動付与等の内部処理がブラックボックス化していることが多いため、当該装置が行った調査の調査観点がどのような観点であったのかをユーザが認識することは難しい。
【0043】
上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、入力された複数の分類情報に対応する基準図形に基づいて分類情報ごとに一致度スコアを算出し、一致度スコアが第一所定値以上の複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得する。つまり、支援装置20が算出する一致度スコアはユーザによって入力された複数の分類情報に基づいており、かつ先願商標を商標データベース10から取得する際に用いる複数の分類情報に係る一致度スコアは第一所定値以上である。したがって、支援装置20によれば、ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる。また、上記構成に係る情報処理方法、コンピュータプログラムおよびコンピュータ可読媒体においても、支援装置20による効果と同様の効果を奏することができる。
【0044】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、基準図形は、一つの分類情報にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形である。したがって、基準図形に紐づく分類情報(ウィーン分類コード)は一つだけであり、複数の分類情報は紐づいていない。このため、支援装置20によれば、明確な調査観点で図形商標の調査を行うことを支援することができる。
【0045】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、基準図形は、ユーザによって任意に設定された図形であるので、実際に出願された商標に付与されたウィーン分類コードに基づいて設定されなくてもよい。このため、支援装置20は、ユーザの調査観点が反映された調査を行うことを支援することができる。
【0046】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、算出部223は、入力部21に入力された複数の分類情報のうち取得部23によって取得された先願商標に含まれる複数の分類情報に基づいて、取得部23によって取得された先願商標と図形商標の類似度を示す類似度情報を、取得部23によって取得された先願商標ごとに生成する。したがって、ユーザは類似度情報を用いることで、調査対象の図形商標と同一または類似の商標である可能性が高い先願商標を直感的に認識することができる。
【0047】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、取得部23は、一致度スコアが第一所定値以上の二つの分類情報を含む先願商標を取得する。一般的に、図形商標の調査に用いる分類情報が一つであると取得される先願商標の数が膨大となり好ましくないが、図形商標の調査に用いる分類情報が必要以上に多すぎると調査漏れが発生する虞がある。本実施形態ではこのような事情を考慮して、取得部23は、一致度スコアが第一所定値以上の二つの分類情報を含む先願商標を取得するように構成されている。したがって、支援装置20によれば、一瞥して非類似と思われる先願商標を含む膨大な数の先願商標が取得される虞と調査漏れが発生する虞の双方を抑制することができる。
【0048】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20によれば、取得部23は、大分類が異なる複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得する。したがって、支援装置20によれば、より適切な複数の分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる。
【0049】
また、上記構成に係る図形商標調査の支援装置20は、分類情報ごとに対応付けられた基準図形が記憶された記憶部221を備えている。また、算出部223は、入力部21に入力された画像データと、入力部21に入力された分類情報に対応する記憶部221に記憶された基準図形と、に基づいて、分類情報ごとに一致度スコアを算出する。したがって、支援装置20は、入力部21に基準図形が入力されなくても、入力部21に調査対象となる図形商標の画像データおよび複数の分類情報が入力されるだけで、図形商標の調査を行うことを支援することができる。このため、支援装置20によれば、ユーザの入力負担を軽減することができる。
【0050】
上記の実施形態は本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されうる。
【0051】
本実施形態において、生成部225が生成した表示用データには取得部23が取得した全ての先願商標が含まれているが、類似度が第二所定値以上の先願商標のみが含まれていてもよい。したがって、この場合に生成部225が生成する表示用データに含まれる先願商標に係る類似度は第二所定値以上である。なお、第二所定値は、例えば、60である。ただし、第二所定値は60に限られないことは言うまでもない。第二所定値が60である場合、支援装置20の表示部24またはユーザ端末装置30の表示部31には、
図7に例示する表示用データが表示される。
図7に例示する表示用データは、類似度が55である商標登録第3452689号に係る先願商標が表示されていない点で、
図6に例示する表示用データと異なる。このように、この例において、生成部225は、類似度が第二所定値以上の先願商標のみを含む表示用データを生成する。このため、生成部225が生成する表示用データには、調査対象の図形商標との類似度がある程度高い先願商標、すなわち、注意深く確認する必要がある先願商標しか含まれていない。したがって、このような支援装置20によれば、ユーザは調査対象の図形商標との類似度がある程度高い先願商標のみを確認すればよいので、ユーザが取得された先願商標を確認する際にユーザに与える負担を低減することと、ユーザが取得された先願商標を効率よく確認することと、を実現することができる。
【0052】
本実施形態において、入力部21には、調査対象となる図形商標の画像データおよび複数の分類情報が入力されているが、
図8に例示するように、入力部21には、画像データと、複数の分類情報と、当該分類情報に対応する基準図形と、が、入力されてもよい。つまり、
図3に例示するSTEP01において、ユーザは、調査対象の図形商標の画像データと、複数の分類情報と、当該分類情報に対応する基準図形と、を入力部21に入力してもよい。この場合、算出部223は、入力部21に入力された画像データと、入力部21に入力された基準図形と、に基づいて、分類情報ごとに一致度スコアを算出する。したがって、基準図形データベース40が記憶部221に記憶されていない場合でも、支援装置20は、ユーザの調査観点を反映させつつも、複数の適切な分類情報を用いて図形商標の調査を行うことを支援することができる。
【0053】
上記の実施形態において、
図6に例示する一覧表には三つの先願商標が含まれているが、一覧表に含まれる先願商標の数は三つ未満であってもよいし、四つ以上であってもよい。
【0054】
上記の実施形態では、分類情報として、ウィーン分類コードを用いる例を用いて説明したが、ウィーン分類コード以外の分類情報を用いてもよい。
【0055】
上記の実施形態において、決定部224は二つのウィーン分類コードからなる組み合わせを決定しているが、決定部224は三つ以上のウィーン分類コードからなる組み合わせを決定してもよい。
【0056】
上記の実施形態において、生成部225は、取得部23によって取得された先願商標と調査対象の図形商標の類似度を示す類似度情報を生成しているが、類似度情報を生成しなくてもよい。
【0057】
上記の実施形態において、取得部23は、大分類が異なる複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得するが、大分類が同じ複数の分類情報を含む先願商標を商標データベース10から取得してもよい。
【0058】
上記の実施形態において、支援装置20は、
図1において破線で示すように、記憶装置27を備えていてもよい。記憶装置27は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の記憶装置(ストレージ)である。記憶装置27は、プログラムや各種データを格納するように構成されており、基準図形データベース40が記憶されていてもよい。記憶装置27に基準図形データベース40が記憶されている場合、記憶装置27は記憶部の一例である。この場合、記憶部221には基準図形データベース40が記憶されていなくてもよい。また、基準図形データベース40は、外部データベースに記憶されていてもよい。この場合、支援装置20は、入力部21に入力された複数の分類情報に対応する複数の基準図形を当該外部データベースから取得する。
【0059】
上記の実施形態において、基準図形は、ユーザによって任意に設定された図形であるが、ユーザ以外の者によって設定された図形であってもよい。ユーザ以外の者とは、例えば、商標に関するサービスプロバイダー等である。なお、この場合においても、基準図形は、各国の特許庁や商標局等の所定官庁以外の者によって設定されるのが好ましい。
【0060】
上記の実施形態において、基準図形は、一つの分類情報にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形であるが、二つ以上の分類情報に紐付けられる図形要素を含む図形であってもよい。
【0061】
上記の実施形態において、取得部23は、先願商標を日本国特許庁のデータベースから取得しているが、アメリカ特許商標庁のデータベース等の他の商標データベースから先願商標を取得してもよい。
【0062】
以上説明したように、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するための入力部と、
前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出する算出部と、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する取得部と、を備える、図形商標調査の支援装置。
(2)前記基準図形は、一つの前記分類情報にのみ紐付けられる図形要素のみを含む図形である、(1)に記載の図形商標調査の支援装置。
(3)前記基準図形は、ユーザによって任意に設定された図形である、(1)または(2)に記載の図形商標調査の支援装置。
(4)前記入力部に入力された複数の前記分類情報のうち前記取得部によって取得された前記先願商標に含まれる複数の前記分類情報に基づいて、前記取得部によって取得された前記先願商標と前記図形商標の類似度を示す類似度情報を、前記取得部によって取得された前記先願商標ごとに生成する生成部をさらに備える、(1)から(3)のいずれか一つに記載の図形商標調査の支援装置。
(5)前記生成部は、前記先願商標と、前記先願商標に係る前記類似度と、を含む表示用データを生成し、
前記類似度は第二所定値以上である、(4)に記載の図形商標調査の支援装置。
(6)前記取得部は、前記一致度スコアが前記第一所定値以上の二つの前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得する、(1)から(5)のいずれか一つに記載の図形商標調査の支援装置。
(7)前記分類情報は、少なくとも大分類を含み、
前記取得部は、前記大分類が異なる複数の前記分類情報を含む前記先願商標を商標データベースから取得する、(1)から(6)のいずれか一つに記載の図形商標調査の支援装置。
(8)前記分類情報ごとに対応付けられた前記基準図形が記憶された記憶部をさらに備え、
前記算出部は、前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記分類情報に対応する前記記憶部に記憶された前記基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに前記一致度スコアを算出する、(1)から(7)のいずれか一つに記載の図形商標調査の支援装置。
(9)前記入力部には、前記画像データと、複数の前記分類情報と、前記分類情報に対応する前記基準図形と、が、入力され、
前記算出部は、前記入力部に入力された前記画像データと、前記入力部に入力された前記基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに前記一致度スコアを算出する、(1)から(7)のいずれか一つに記載の図形商標調査の支援装置。
(10)コンピュータによって実行される図形商標調査の支援方法であって、
少なくとも、調査対象となる図形商標の画像データと、前記図形商標の調査に用いる複数の分類情報と、を入力するステップと、
入力された前記画像データと、入力された前記分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出するステップと、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得するステップと、を含む、図形商標調査の支援方法。
(11)図形商標調査の支援装置のプロセッサにより実行される少なくとも一つの命令を含むコンピュータプログラムであって、
少なくとも一つの前記命令が前記プロセッサにより実行されると、前記支援装置に、
前記支援装置の入力部に入力された画像データと、前記入力部に入力された複数の分類情報に対応する基準図形と、に基づいて、前記分類情報ごとに一致度スコアを算出させ、
前記一致度スコアが第一所定値以上の複数の前記分類情報を含む先願商標を商標データベースから取得させる、コンピュータプログラム。
(12)(11)に記載されたコンピュータプログラムが記憶された、コンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0063】
1:支援システム
10:商標データベース
20:支援装置
21:入力部
22:制御部
23:取得部
24:表示部
25:出力部
26:バス
27:記憶装置
30:ユーザ端末装置
31:表示部
221:記憶部
222:特定部
223:算出部
224:決定部
225:生成部