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  • 特開-二酸化炭素削減インテリア 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073860
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】二酸化炭素削減インテリア
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240523BHJP
   C12N 1/12 20060101ALN20240523BHJP
【FI】
C12M1/00 C
C12N1/12 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184812
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196106
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 一直
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小口 美津夫
(72)【発明者】
【氏名】角田 隆志
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB04
4B029CC01
4B029DA04
4B029GB04
4B029GB07
4B065AA85X
4B065BC05
4B065BC25
4B065CA54
4B065CA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】デザインの自由度が高く、維持管理が簡単となる二酸化炭素削減インテリアを提供する。
【解決手段】藻類培養液L1が貯留される培養容器10は、環状に設けられる内壁と、内壁の外部領域に環状に設けられる外壁と、を有するとともに、開口部が形成されている。また、内壁に向かって光を照射する光源装置20を備えており、光源装置20から発せられる光は、内壁、藻類培養液L1、および外壁を透過して視認することができる。外気導入ノズル41から藻類培養液L1に吹き込まれる外気EAは、藻類培養液L1の中を上昇する過程で、藻類培養液L1に存する藻類の光合成の効果によって、二酸化炭素が削減されるとともに酸素が発生して、開口部から排出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に設けられる内壁と、前記内壁の外部領域に環状に設けられる外壁と、を有するとともに、開口部が形成される培養容器と、
前記培養容器に貯留される藻類培養液と、
前記培養容器に装着される外気導入ノズルと、
前記内壁に向かって光を照射する光源装置と、を備え、
前記光は、前記内壁、前記藻類培養液、および前記外壁を透過して視認することができ、
前記外気導入ノズルから前記藻類培養液に吹き込まれる気泡は、前記藻類培養液の中を上昇する過程で、前記藻類培養液に存する藻類の光合成の効果によって、二酸化炭素が削減されるとともに酸素が発生して、前記開口部から排出されることを特徴とする二酸化炭素削減インテリア。
【請求項2】
前記光源装置は、前記内壁が延びる方向に沿って延びる中空筒と、前記中空筒の外面の周方向に環状に設けられる光源と、を有することを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項3】
前記培養容器に装着されて、前記藻類培養液に渦巻き状の水流を発生させるための培養液循環ノズルを備えることを特徴とする請求項2に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項4】
前記藻類培養液を循環させる循環装置と、
前記培養容器に接続して前記中空筒の内部を貫通する貫通管と、を備え、
前記循環装置は、一端が前記貫通管を介して前記培養容器に着脱可能に接続し、他端が前記培養液循環ノズルに着脱可能に接続することを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項5】
前記循環装置は、高濃度の藻類を含む藻類培養液を回収する回収容器と、培養液を前記培養容器に供給する培養液ボトルと、を有することを特徴とする請求項4に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項6】
前記開口部は、着脱可能な蓋で塞がれており、前記蓋は酸素リッチな気泡を排出するための排出口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項7】
前記藻類培養液は、藻類であるスピルリナと、前記スピルリナを培養するための培養液と、を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、藻類の光合成の作用によって外気の二酸化炭素を削減するとともに、インテリアとして使用できる二酸化炭素削減インテリアに関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、特許文献1で、藻類の一種であるスピルリナを利用して、効果的に空気浄化が行え、かつ良好な外観を得ることができる空気浄化装置を提供している。
【0003】
発明者が以前に提供した空気浄化装置は、スピルリナ、およびスピルリナの培養液を循環する循環系の一部を陳列用容器とし、この循環系に外気を取り込む取込み口、および酸素を分離する酸素分離装置を設けている。陳列用容器内には発光体が挿入されている。取込み口から取り込まれた外気は、当該外気中に含まれる二酸化炭素が酸素に変換されると共に汚染物質が培養液中に溶解する。従って、酸素分離装置から分離される気体は、汚染物質が除去され且つ二酸化炭素が酸素に変換されたものとなる。以前に提案した、空気浄化装置は、空気浄化作用ばかりでなく、発光体が陳列用容器内で発光することにより見た目もきれいなものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-206434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明はそれがなされたからといって終わりではなく、よりよいものを求めるために改良がくわえられるべきものである。
【0006】
例えば、循環系内のスピルリナによる光合成を促進する発光体として、末尾に光源が設けられて表面には傷が付けられた光ファイバーが透明なチューブに通されたものを用いている。光源からの光は、表面には傷が付けられた光ファイバーで散乱されて陳列用容器内を照射する構成となっていた。このような構成であるため、照射する光を強くすることは困難であった。また、照射する光量に制約を受けることから、光合成を促進するために必要な光を確保するために、外形寸法等については、所定の大きさ以上とすることは困難であった。すなわち機能を確保するためにデザイン上の制約を受けるものとなっていた。さらに、構造が複雑となることから、培養液の取り替え等に手間取っていた。
【0007】
本発明はこれらの問題点に着目してなされたものであり、デザインの自由度が高く、維持管理が簡単となる二酸化炭素削減インテリアを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための発明は、二酸化炭素削減インテリアであって、環状に設けられる内壁と、内壁の外部領域に環状に設けられる外壁と、を有するとともに、開口部が形成される培養容器と、培養容器に貯留される藻類培養液と、培養容器に装着される外気導入ノズルと、内壁に向かって光を照射する光源装置と、を備え、光源装置から発せられる光は、内壁、藻類培養液、および外壁を透過して視認することができ、外気導入ノズルから藻類培養液に吹き込まれる気泡は、藻類培養液の中を上昇する過程で、藻類培養液に存する藻類の光合成の効果によって、二酸化炭素が削減されるとともに酸素に変換されて、開口部から排出されることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、光源装置から内壁に向かって照射された光は、内壁、藻類培養液、外壁を透過して視認できるので、光源装置、内壁、外壁の外形を適宜に選択することで所定の光量を視認できる。すなわち、径の大きな内壁、外壁とすることも可能であり、内壁と外壁の離隔距離を任意に選定することもできる。また、光源装置は内壁の内部領域に設けられているので、藻類培養液に水没することを回避できる。
【0010】
好ましくは、光源装置は、内壁が延びる方向に沿って延びる中空筒と、中空筒の外面の周方向に環状に設けられる光源と、を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、光源装置は、内壁が延びる方向に沿って延びる中空筒と、中空筒の外面の周方向に環状に設けられる光源と、を有するので、内壁のほぼ全範囲に渡って均一に光を照射することができる。これにより、インテリア性を高めることができるとともに、藻類の効率的な光合成が可能となる。
【0012】
好ましくは、培養容器に装着されて、藻類培養液に渦巻き状の水流を発生させるための培養液循環ノズルを備えることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、外気導入ノズルから藻類培養液に吹き込まれる気泡は渦巻き状の水流に同期して渦巻き状に藻類培養液中を上昇するので、藻類培養液中の滞留時間を長くすることができる。これにより、藻類のより一層の効率的な光合成が可能となる。また、渦巻き状の気泡が視認できることからインテリア性をより一層高めることができる。
【0014】
好ましくは、藻類培養液を循環させる循環装置と、培養容器に接続して中空筒の内部を貫通する貫通管と、を備え、循環装置は、一端が貫通管を介して培養容器に着脱可能に接続し、他端が培養液循環ノズルに着脱可能に接続することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、貫通管は中空筒の内部を貫通するので、視認できない構成とすることができる。また、循環装置は、一端が貫通管を介して培養容器に着脱可能に接続し、他端が培養液循環ノズルに着脱可能に接続するので、培養容器および貫通管を一体化した状態で、容易に、培養容器と接続、分離することができる。これにより、培養容器を循環装置と分離して取り外し、藻類培養液を入れ替える、培養容器を清掃する等のメンテナンスが容易になる。
【0016】
好ましくは、循環装置は、高濃度の藻類を含む藻類培養液を回収する回収容器と、培養液を培養容器に供給する培養液ボトルと、を有することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、循環装置は、高濃度の藻類を含む藻類培養液を回収する回収容器と、培養液を培養容器に供給する培養液ボトルと、を有するので、藻類培養液中の藻類の濃度を所定期間、所定濃度に維持できる。また、長期間にわたって藻類の良好な生育環境を維持できる。
【0018】
好ましくは、開口部は、着脱可能な蓋で塞がれており、蓋は酸素リッチな気泡を排出するための排出口が設けられることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、開口部は、着脱可能な蓋で塞がれているので、蓋を外すことで藻類培養液を培養容器に、容易に流入、排出することができる。
【0020】
好ましくは、藻類培養液は、藻類であるスピルリナと、スピルリナを培養するための培養液と、を有することを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、藻類をアルカリ性の培養液で好適に増殖するスピルリナとしているので、酸性の培養液で生育できる他の藻類の混入を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態における二酸化炭素削減インテリアのブロック図である。
図2】同、部分正面断面図である。
図3】光源装置の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1~3を参照して本発明の二酸化炭素削減インテリア1の実施形態を詳述する。
【0024】
図1に示す通り、藻類培養液L1が貯留される培養容器10は、循環装置30、および送気装置40の二つの装置が、コネクタC1、C2、C3を介して着脱可能に接続されている。
【0025】
本実施形態では、藻類培養液L1中の、藻類はスピルリナが例示される。また、スピルリナを培養するための培養液の成分として、例えば、表1に示すものが例示されるが、これに限られるものではない。
【0026】
【表1】
【0027】
表中のA5-solutionについては、ホウ酸から酸化モリブデンまでの成分を表に示す含有量で含むA5-solutionが、藻類培養液1L中に1mL含まれることを意味する。
【0028】
表1で例示する培養液はアルカリ性であるため、硝酸塩や硫酸塩などの空気中の酸性汚染物質を吸収し易く、汚染物質の除去に効果的である。スピルリナはアルカリ性の培養液で好適に培養されるため、酸性の液中で増殖する他の藻類は生育し難い環境となる。そのため、他の藻類の混入を回避できる。
【0029】
光源装置20から発せられる光は、培養容器10、藻類培養液L1を通過して視認できる構成となっている。藻類培養液L1に照射されることで、藻類の光合成が促進される。また、緑色に発光する藻類培養液L1を視認することで、リラックス効果を高めることができる。
【0030】
循環装置30は、循環ポンプP1を動作して、培養容器10に貯留される藻類培養液L1を循環させる装置であり、一端がコネクタC1を介して貫通管50に着脱可能に接続している。また、他端はコネクタC2を介して培養液循環ノズル35に着脱可能に接続している。循環ポンプP1を動作すると、培養容器10に貯留されている藻類培養液L1は、貫通管50に取込まれ、貫通管50に取込まれた藻類培養液L1はコネクタC1、循環ポンプP1、切替バルブV1、ヒーター34、コネクタC2を経由して培養液循環ノズル35から藻類培養液L1に噴射される。噴射方向を適宜に選択(例えば周方向に沿って上方に噴射する)することで、培養容器10の中の藻類培養液L1は、渦巻き状の流れが形成される。
【0031】
循環装置30は、藻類培養液L1の温度を測定する温度センサーS1、藻類培養液L1のpHを測定するpHセンサーS2が取付けられている。また、藻類培養液L1の温度を上昇させるためのヒーター34が装着されている。温度センサーS1で測定された藻類培養液L1の温度が所定の閾温度を下回るとき、ヒーター34は動作して藻類培養液L1を所定範囲の温度に保つ。これにより、藻類の生存を維持するとともに、適正な生育環境を形成し得る。
【0032】
送気装置40の先端に外気導入ノズル41が取付けられている。外気導入ノズル41は、培養容器10に装着されている。エアポンプP2を動作することで、エアフィルター42を通過した外気は、外気導入ノズル41を経由して、微細な気泡となって藻類培養液L1に吹き込まれ、拡散し、上昇する。気泡は渦巻き状の流れに沿って上昇する。これにより、気泡が藻類培養液L1に滞留する時間をより長くすることができる。
【0033】
藻類培養液L1中の藻類は、光合成をする中で増殖し濃度が上昇する。同時に、培養液は、藻類が増殖するために必要となる栄養成分が次第に枯渇してくる。これを回避するために、送液ポンプP3を動作して培養液ボトル32に貯留される新鮮な培養液を藻類培養液L1に補充する構成としている。
【0034】
回収容器31は、高濃度化した藻類培養液L1を貯留するための容器である。切替バルブV1を動作することで、循環している高濃度化した藻類培養液L1を回収容器31に取込むことができる。
【0035】
本実施形態では、培養液ボトル32の容量として2リットル、回収容器31の容量として2リットルが例示されるが、これに限定されるわけではない。
【0036】
図2に示す通り、光源装置20、培養容器10はそれぞれ別々に台座60と嵌合している。培養容器10は、内壁11、外壁12、底板13および上板14を有しており、上端部に上方に向かって開口する開口部15aが設けられている。下端部は、台座60にスライドできる状態で貫入している。内壁11および外壁12は、透明の円筒であり、外壁12は内壁11の外部領域に同心に配置されている。内壁11、外壁12、および底板13で画定される空間に藻類培養液L1が貯留されている。また、上端部は、開口部15aを塞ぐための蓋15が取付けられている。蓋15は、Oリング16を介して培養容器10に着脱可能に接続している。培養容器10の容量として6~8リットルが例示されるが限定されるわけではない。
【0037】
台座60に収容空間60aが設けられ、循環装置30(図1参照)、およびエアポンプP2(図1参照)が収容されている。すなわち、循環装置30、およびエアポンプP2は外部から視認できない構成となっている。これにより、台座60、培養容器10、光源装置20などの外形を適宜に選択することで、二酸化炭素削減インテリア1のデザインバリエーションを決定づけることができる。
【0038】
蓋15は、排出口17が設けられている。外気導入ノズル41から拡散される気泡は、藻類培養液L1を上昇し、排出口17を経由して外部空間に排出される。排出口17には、排出される気体の酸素濃度を測定する酸素濃度計S3(図1参照)が取付けられている。計測した酸素濃度の値は、表示スクリーン(図示略)に表示される。
【0039】
光源装置20は台座60にスライドできる状態で貫入しており、内部空間10aに配置されている。また、光源装置20は台座60に嵌合接着で固定されていてもよい。ここで内部空間10aとは、台座60、内壁11、および蓋15で画定される空間であって、藻類培養液L1は充填されていない空間である。光源装置20から発せられる光は内壁11、藻類培養液L1、および外壁12を透過することで、緑の発光体として視認でき、見た目も美しいものとなる。なお、視認できる緑色は藻類の色であり、緑色は癒し、再生、回復、健康、リラックス、安心という心理効果のある色であるため、心地よい美観を得ることができる。
【0040】
光源装置20は、中空筒21と光源22を有している。中空筒21は、円筒であり、下端部が台座60に貫入した状態で固定されている。また、取付位置は、内壁11、外壁12と同心となっている。光源22は、中空筒21が延びる方向に沿って延びる8個の帯状のLED光源23で構成されている、LED光源23は、中空筒21の周方向に所定の間隔で取り付けられている(図3参照)。LED光源23の個数として、8個が例示されるが、これに限定されるわけではない。
【0041】
貫通管50は、中空筒21の内部を中空筒21が延びる方向に延びるとともに中空筒21を貫通する断面が円環状の管であり、一端は内壁11の上端部に接続して、培養容器10と構造的に一体化している。また、他端はコネクタC1を介して、循環装置30に接続している。貫通管50が中空筒21の内部に配置されることで、貫通管50が視認されることはない。これにより、藻類のみの色が視認できる状態を実現できる。
【0042】
循環装置30を動作することで、培養容器10に貯留される藻類培養液L1は、貫通管50を通過し、循環装置30、培養液循環ノズル35を経由して、再び培養容器10に循環する。培養液循環ノズル35は、周方向の水流を発生できるように、周方向に噴射できる角度で底板13に取り付けられている。培養液循環ノズル35から還流される藻類培養液L1が周方向に沿って藻類培養液L1に噴出されることで、培養容器10に貯留される藻類培養液L1に渦巻き状の水流が形成される。この渦巻き流によって藻類培養液L1中に含まれる藻類の均質化と、より効果的な二酸化炭素削減を図ることができる。
【0043】
図1を参照して、本実施形態における二酸化炭素削減インテリア1の外気に含まれる二酸化炭素の削減メカニズムを説明する。
【0044】
循環装置30を動作することで、藻類培養液L1は培養容器10と循環装置30との間を循環する。このとき、培養液循環ノズル35から噴出する藻類培養液L1によって、培養容器10に存する藻類培養液L1は、渦巻き状の水流が形成される。
【0045】
エアポンプP2を動作することで、外気EAは、エアフィルター42を通過して外気導入ノズル41に圧送される。外気EAがエアフィルター42を通過する過程で、外気EAに含まれるウイルス、花粉等の微細な物質が除去される。すなわち、外気導入ノズル41に圧送される外気EAはウイルス、花粉等の微細な物質が除去されたクリーンなものとなる。
【0046】
圧送された外気EAは、外気導入ノズル41によって気泡となった状態で藻類培養液L1に拡散される。藻類培養液L1に拡散された気泡は、渦巻き状に拡散した状態で、藻類培養液L1の中を上昇する。気泡が渦巻きを描いて上昇していく様子は、外観的に美しいものとなり、装飾効果をより一層高めることができる。
【0047】
藻類培養液L1は、光源装置20から光が照射されている。光の照射によって、藻類の光合成は促進され、気泡に含まれる二酸化炭素は、藻類培養液L1の中を上昇する過程で、藻類に取込まれ、同時に藻類から酸素が発生する。酸素リッチとなった気泡は、排出口17を経由して外部に放出される。同時に、気泡に含まれる硝酸塩や硫酸塩などの酸性汚染物質は、藻類培養液L1に吸収される。
【0048】
排出口17から排出された気体中の酸素は、人工的に発生したものではなく、藻類の光合成によって発生したものであることから、森林浴のような良好な環境を形成する一助になり得る。さらに、緑色に発光する藻類培養液L1の中を気泡が渦巻き状に上昇する光景を視認することによって、リラックス効果を得ることができる。
【0049】
藻類の光合成が促進され続けると、藻類培養液L1中の藻類濃度が増加して、視認性が悪くなることが懸念される。良好な視認性を確保するために、培養液を入れ替える等の維持管理上の対策が必要となる。このような作業を頻繁に行うことは、使用者にとって大きな負担となる。本実施形態では、所定期間にわたって良好な視認性を確保することで、使用者の維持管理のための負担を軽減する観点から、循環装置30に、回収容器31、および培養液ボトル32を装備している。なお、本実施形態で想定する所定期間は、使用者が維持管理作業を負担に感じない期間、例えば1か月を想定している。
【0050】
所定期間にわたって、良好な視認性を確保するためのシステムについて、図1を参照して説明する。
【0051】
循環装置30を流通する藻類培養液L1は、切替バルブV1を経由して、培養容器10に還流される。この状態で、回収容器31に藻類培養液L1が貯留されることはない。
【0052】
光合成によって藻類が増殖し、藻類培養液L1の藻類濃度が高濃度となったと判断したとき、あるいは酸素発生能力が所定の能力を下回ると判断されたとき、切替バルブV1を切り替えて、高濃度の藻類を含む所定量の培養液を回収容器31に貯留する。切替バルブV1は三方弁であり、電磁式、手動式のいずれであってもよい。
【0053】
高濃度の藻類を含む所定量の培養液が回収容器31に貯留されたことが確認された後に、送液ポンプP3を動作して培養液ボトル32から新しい所定量の培養液を培養容器10に供給する。なお、藻類培養ボトル32に貯留される培養液と、藻類培養液L1の混合を回避するために、送液ポンプP3に、逆止弁(図示略)を装着することが好ましい。
【0054】
所定期間経過後、上記システムでは十分な視認性の確保ができなくなったときなどは、必要に応じて、循環装置30と着脱可能に接続された培養容器10を分離して台座60から取り外し、さらに着脱可能な蓋15を取り外すことで、藻類培養液L1の入れ替えや培養容器10の清掃を容易に行うことができる。
【0055】
本実施形態は例示であり、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で改変できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る二酸化炭素削減インテリアは、密閉空間を形成する必要がある構造物、例えば核シェルターの内部の空気浄化をする浄化装置としても好適に使用できることから、産業用の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0057】
1 :二酸化炭素削減インテリア
10 :培養容器
11 :内壁
12 :外壁
15 :蓋
15a :開口部
20 :光源装置
21 :中空筒
22 :光源
30 :循環装置
31 :回収容器
32 :培養液ボトル
35 :培養液循環ノズル
41 :外気導入ノズル
50 :貫通管
L1 :藻類培養液
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に設けられる内壁と、前記内壁の外部領域に環状に設けられる外壁と、を有するとともに、開口部が形成される培養容器と、
前記培養容器に貯留される藻類培養液と、
前記培養容器に装着される外気導入ノズルと、
前記内壁に向かって光を照射する光源装置と、を備え、
前記光源装置は、前記内壁の内部空間に設けられて、前記内壁が延びる方向に沿って延びる中空筒と、前記中空筒の外面の周方向に環状に設けられる光源と、を有し、
前記光源は、前記中空筒が延びる方向に沿って延びる複数の列状のLED光源を有し、
前記光は、前記内壁、前記藻類培養液、および前記外壁を透過して視認することができ、
前記外気導入ノズルから前記藻類培養液に吹き込まれる気泡は、前記藻類培養液の中を上昇する過程で、前記藻類培養液に存する藻類の光合成の効果によって、二酸化炭素が削減されるとともに酸素が発生して、前記開口部から排出されることを特徴とする二酸化炭素削減インテリア。
【請求項2】
前記培養容器に装着されて、前記藻類培養液に渦巻き状の水流を発生させるための培養液循環ノズルを備えることを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項3】
前記藻類培養液を循環させる循環装置と、
前記培養容器に接続して前記中空筒の内部を貫通する貫通管と、を備え、
前記循環装置は、一端が前記貫通管を介して前記培養容器に着脱可能に接続し、他端が前記培養液循環ノズルに着脱可能に接続することを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項4】
前記循環装置は、高濃度の藻類を含む藻類培養液を回収する回収容器と、培養液を前記培養容器に供給する培養液ボトルと、を有することを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項5】
前記開口部は、着脱可能な蓋で塞がれており、前記蓋は酸素リッチな気泡を排出するための排出口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項6】
前記藻類培養液は、藻類であるスピルリナと、前記スピルリナを培養するための培養液と、を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に設けられる内壁と、前記内壁の外部領域に環状に設けられる外壁と、を有するとともに、開口部が形成される培養容器と、
前記培養容器に貯留される藻類培養液と、
前記培養容器に装着される外気導入ノズルと、
前記内壁に向かって光を照射する光源装置と、
前記培養容器の底板に装着されて、前記藻類培養液に渦巻き状の水流を発生させるための培養液循環ノズルと、を備え、
前記光源装置は、前記内壁の内部空間に設けられて、前記内壁が延びる方向に沿って延びる中空筒と、前記中空筒の外面の周方向に環状に設けられる光源と、を有し、
前記光源は、前記中空筒が延びる方向に沿って延びる複数の列状のLED光源を有し、
前記光は、前記内壁、前記藻類培養液、および前記外壁を透過して視認することができ、
前記外気導入ノズルから前記藻類培養液に吹き込まれる気泡は、前記藻類培養液の中を上昇する過程で、前記藻類培養液に存する藻類の光合成の効果によって、二酸化炭素が削減されるとともに酸素が発生して、前記開口部から排出されることを特徴とする二酸化炭素削減インテリア。
【請求項2】
前記藻類培養液を循環させる循環装置と、
前記培養容器に接続して前記中空筒の内部を貫通する貫通管と、を備え、
前記循環装置は、一端が前記貫通管を介して前記培養容器に着脱可能に接続し、他端が前記培養液循環ノズルに着脱可能に接続することを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項3】
前記循環装置は、高濃度の藻類を含む藻類培養液を回収する回収容器と、培養液を前記培養容器に供給する培養液ボトルと、を有することを特徴とする請求項に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項4】
前記開口部は、着脱可能な蓋で塞がれており、前記蓋は酸素リッチな気泡を排出するための排出口が設けられることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素削減インテリア。
【請求項5】
前記藻類培養液は、藻類であるスピルリナと、前記スピルリナを培養するための培養液と、を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の二酸化炭素削減インテリア。