(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073869
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ロボット、棚、倉庫システム、物品積み下ろし方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 18/02 20060101AFI20240523BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B25J18/02
B65G1/04 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184828
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】岡田 高幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】中林 達彦
(72)【発明者】
【氏名】長岡 秀和
(72)【発明者】
【氏名】上野 里江子
(72)【発明者】
【氏名】武藤 裕美
(72)【発明者】
【氏名】和田 啄茉
(72)【発明者】
【氏名】山崎 夏実
【テーマコード(参考)】
3C707
3F022
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS01
3C707BS10
3C707BS15
3C707BS24
3C707BT14
3C707CS08
3C707CV08
3C707CW08
3C707DS01
3C707ES19
3C707JS03
3C707KS08
3C707KT01
3C707KT05
3C707KT18
3C707LV15
3C707WA16
3F022EE02
3F022FF02
3F022KK18
3F022KK20
3F022LL38
3F022MM01
(57)【要約】
【課題】 水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を、上から物品を把持するロボットを用いて積み下ろす。
【解決手段】 本発明のロボットは、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームと、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入し、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出し、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろし、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納するようにアームを制御する制御手段とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームと、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入し、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出し、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろし、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納するように
前記アームを制御する制御手段と
を備えるロボット。
【請求項2】
前記物品の画像を取得するカメラを備え、
前記制御手段は、
前記画像に基づいて前記可動パレットを引き出さずに、前記物品を上から把持可能か否かを判定し、
上から把持可能な場合、前記可動パレットを引き出さずに、前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろす
請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記アームの動作の指示を受信する通信手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記指示に基づいて、前記アームを制御する
請求項1又は2に記載のロボット。
【請求項4】
水平方向から物品を積み下ろす棚板の上を、前記物品を載せて水平方向に移動し、
スライダーを備えるアームを備えるロボットが、前記アームを制御して、前記スライダーがスライドするように前記アームを水平回転させて可動パレットを引き出し及び収納するために、前記スライダーを上から挿入してスライドさせる、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を、引き出し方向の前面の近傍に備える
可動パレットと、
前記可動パレットが前記棚板から落下することを防止するガードと、
を備える棚。
【請求項5】
前記可動パレットは、前記長孔の位置を示すマーカー、及び、前記可動パレットを識別するためのコードの少なくとも一方を備える
請求項4に記載の棚。
【請求項6】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、
前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームと、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入し、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出し、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろし、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納するように
前記アームを制御する制御手段と
を備えるロボットと
を備える倉庫システム。
【請求項7】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームを備えるロボットが、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入し、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出し、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろし、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納する
物品積み下ろし方法。
【請求項8】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、
前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームを備えるロボットと
を備える倉庫システムにおいて、
ロボットが、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入し、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出し、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろし、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納する
物品積み下ろし方法。
【請求項9】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームを備えるロボットに、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入する処理と、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出す処理と、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろす処理と、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項10】
物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、
前記長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、
上から前記物品を把持するハンドと、
備えるアームを備えるロボットと
を備える倉庫システムにおいて、
ロボットに、
前記アームを制御して、前記スライダーを上から前記長孔に挿入する処理と、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを引き出す処理と、
前記アーム及び前記ハンドを用いて前記可動パレットに前記物品を積み、又は、前記可動パレットから前記物品を下ろす処理と、
前記スライダーが前記長孔をスライドするように前記アームを水平回転させて、前記可動パレットを収納する処理と
実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関し、特に、物品を積み下ろすロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡単かつ確実にたばこを個別に提供するたばこ提供器具が開示されている。特許文献2には、ロボットを用いる倉庫における省スペース化が可能な荷物受け渡しシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-042218号公報
【特許文献2】特開2019-006517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロボット専用倉庫に限らず、人が物品を積み下ろす棚を備えた倉庫においても、ロボットの導入が望まれている。ただし、人が物品を積み下ろす棚は、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備えている。一方、一般的なロボットは、上から物品を把持する。そのため、上から物品を把持するロボットを用いて、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を積み下ろし可能とすることが必要である。しかし、特許文献1は、たばこを提供する器具を開示している。特許文献2は、省スペース化に関連する技術を開示している。このように、特許文献1及び2はどちらも、上から物品を把持するロボットが水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を積み下ろすことに関連するものではない。
【0005】
本発明の目的は、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を、上から物品を把持するロボットを用いて積み下ろすことが可能な倉庫システムなどを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態におけるロボットは、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームと、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入し、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出し、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろし、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納するようにアームを制御する制御手段とを含む。
【0007】
本発明の一形態における棚は、水平方向から物品を積み下ろす棚板の上を、物品を載せて水平方向に移動し、スライダーを備えるアームを備えるロボットが、アームを制御して、スライダーがスライドするようにアームを水平回転させて可動パレットを引き出し及び収納するために、スライダーを上から挿入してスライドさせる、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を、引き出し方向の前面の近傍に備える可動パレットと、可動パレットが棚板から落下することを防止するガードとを備える。
【0008】
本発明の一形態における倉庫システムは、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームと、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入し、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出し、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろし、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納するようにアームを制御する制御手段とを備えるロボットとを備える。
【0009】
本発明の一形態における物品積み下ろし方法は、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームを備えるロボットが、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入し、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出し、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろし、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納する。
【0010】
本発明の一形態における物品積み下ろし方法は、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームを備えるロボットとを備える倉庫システムにおいて、ロボットが、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入し、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出し、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろし、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納する。
【0011】
本発明の一形態におけるプログラムは、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットの長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームを備えるロボットに、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入する処理と、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出す処理と、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろす処理と、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納する処理とを実行させる。
【0012】
本発明の一形態におけるプログラムは、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える可動パレットと、長孔の内壁面に沿って移動するスライダーと、上から物品を把持するハンドと、備えるアームを備えるロボットとを備える倉庫システムにおいて、ロボットに、アームを制御して、スライダーを上から長孔に挿入する処理と、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを引き出す処理と、アーム及びハンドを用いて可動パレットに物品を積み、又は、可動パレットから物品を下ろす処理と、スライダーが長孔をスライドするようにアームを水平回転させて、可動パレットを収納する処理と実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を、上から物品を把持するロボットを用いて積み下ろすことが可能な倉庫システムなどを提供できるとの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態にかかる倉庫システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】可動パレットが引き出された状態の一例を示す図である。
【
図6】その他の構成を備えるロボットの一例を示す図である。
【
図7】ロボットが物品を積み下ろす動作の一例を示すフロー図である。
【
図8】ロボットが可動パレットを引き出す場合の初期状態を示す平面図である。
【
図9】可動パレットの引き出し途中状態を示す図である。
【
図10】可動パレットの引き出し終了状態を示す図である。
【
図12】可動パレットに積まれている物品の把持を説明する図である。
【
図13】
図8のロボットの反対方向から可動パレットを引き出す場合のロボットの一例を示す図である。
【
図14】2台のロボットが並列的に物品を積み下ろしている状態を示す図である。
【
図16】可動パレット及びロボットを含む構成の一例を示す図である。
【
図17】制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ロボット専用倉庫に限らず、人が物品を積み下ろす棚を備えた倉庫においても、ロボットの導入が望まれている。しかし、人が物品を積み下ろしている棚は、人の作業が容易な構造である。例えば、人が物品を積み下ろしている棚は、水平方向から物品を積み下ろす構造である。そして、このような棚で物品を積み下ろす場合、人は、例えば、横又は下から物品を把持して、水平方向から物品を積み下ろす。そのような棚を備えた倉庫にロボットを導入する場合、ロボットは、人と同様に、横又は下から物品を把持して、水平方向から物品を積み下ろすことが可能な構造、例えば、人の腕と同様な動作を実現できる複雑な構造のアームを備える必要がある。しかし、複雑な構造のアームを備えたロボットは、高価である。さらに、複雑な構造を備えたロボットは、操作できる人材の確保が難しく、導入にも多くの工数を必要とする。あるいは、棚の構造を、人及びロボットの両方の作業に適した構造に変更することで、対応可能な場合がある。しかし、この場合、棚の変更のために多くの費用が掛かる。さらに、棚の変更の期間は、業務を停止する必要がある。
【0016】
一方、例えば、工場の生産ラインなどで広く用いられているロボットは、真空式の吸着ハンドのような、上から物品を把持するハンドを備えている。そこで、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を、真空式の吸着ハンドのような、上から物品を把持するロボットを用いて積み下ろし可能な倉庫システムが望まれている。特に、人とロボットとが協働する倉庫の場合、このような要望が高い。そこで、以下で説明するように、本発明における実施形態は、水平方向から物品を積み下ろす棚板を備える棚の物品を、上から物品を把持するロボットを用いて積み下ろすことが可能な倉庫システムなどを提供する。以下、本発明における実施形態について図面を参照して説明する。ただし、実施形態は、図面の記載に限られるわけではない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる棚10及びロボット20を備える倉庫システム30の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、棚10及びロボット20は、一つであるが、倉庫システム30は、複数の棚10、又は、複数のロボット20を備えていてもよい。
【0018】
棚10は、倉庫などにおいて物品を保管する場所である。棚10は、物品を載せるために水平方向から物品を積み下ろす一枚又は複数枚の棚板110を備えている。
図1において、棚10は、二枚の棚板110を備えているが、これは例示である。棚10は、一枚、又は、三枚以上の棚板110を備えてもよい。さらに、棚10は、可動パレット120と、ガード130とを備える。
【0019】
可動パレット120は、物品を載せて棚板の上を水平方向に移動する。さらに、可動パレット120は、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える。
図2は、可動パレット120の外形の一例を示す図である。
図2の可動パレット120は、水平方向の移動手段として、車輪を備えている。ただし、可動パレット120は、スライドレールなど、車輪とは異なる移動手段を備えていてもよい。あるいは、可動パレット120は、収納位置及び引き出された位置の少なくとも一方において、位置を固定するロック機構を備えていてもよい。
【0020】
さらに、可動パレット120は、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔121を備える。長孔121は、引き出し方向の幅として、後ほど説明するスライダー220が挿入可能な幅を備える。さらに、長孔121は、引き出し方向に垂直な方向の長さとして、スライダー220が可動パレット120を引き出す際に移動可能な長さを備える。スライダー220が可動パレット120の引き出す動作については、後ほど説明する。
【0021】
図2において、長孔121は、垂直方向に貫通している孔である。ただし、長孔121は、スライダー220が挿入可能であれば、貫通していない穴でもよい。あるいは、長孔121は、垂直な孔に限られず、例えば、孔幅が変化する孔でもよい。後ほど説明するように、スライダー220は、上から長孔121に挿入される。そこで、スライダー220の挿入が容易なように、可動パレット120は、例えば、上部の幅が下部の幅より広い長孔121を備えていてもよい。あるいは、可動パレット120は、倉庫の作業者が可動パレット120を引き出す場合にも使用可能な位置に、長孔121を備えていてもよい。あるいは、可動パレット120を二方向に引き出し可能とするため、可動パレット120は、
図2の前面の反対側など、複数の位置に長孔121を備えていてもよい。あるいは、複数のスライダー220を使用可能とするため、可動パレット120は、幅及び長さが異なる複数の長孔121を備えていてもよい。可動パレット120は、長孔121の位置を示すマーカー、又は、可動パレット120を識別するためのコードなど、その他の構成を備えていてもよい。
【0022】
ガード130は、可動パレット120が棚板110から落下することを、防止する。
図3は、ガード130の構造の一例を示す図であり、
図1においてA方向から見た棚10を示す図である。
図3において、物品などは省略している。
図3に示されているように、ガード130は、可動パレット120の車輪の上部において棚10に固定された平板であり、車輪の上方向への移動を制限する。
図4は、
図1において、上側の可動パレット120が引き出された状態の一例を示す図である。
図4は、可動パレット120の状態が分かりやすいように、ロボット20を省略している。
図4に示されているように、上側の可動パレット120は、物品の重量のため、中央の車輪の左側において、下方の力を受けている。そして、物品の重量による力は、可動パレット120を、中央の車輪を中心とした反時計回りに回転する力となり、右側の車輪を上方に押し上げる力となる。この力の反力として、ガード130は、右側の車輪に対して下方の力を発生している。つまり、ガードの反力は、可動パレット120を、中央の車輪を中心とした時計回りの反力となる。その結果、ガード130は、可動パレット120が引き出された状態で、物品の重さのために傾いて、棚板110から落下することを防止する。このように、ガード130は、簡易な構造で、可動パレット120の落下を防止する。なお、ガード130は、可動パレット120の落下防止に加え、棚板110からの抜き抜かれることを防止する構造を備えていてもよい。なお、スライドレールは、移動手段であるとともに、落下防止及び引き抜き防止の手段ともなる。そのため、可動パレット120が、スライドレールのような落下防止の機能を備えた移動手段を用いる場合、棚10は、物理的構成として、ガード130を省略してもよい。
【0023】
ロボット20は、可動パレット120を引き出し、物品を積み下ろし、可動パレット120を収納する。
図5は、ロボット20の構成の一例を示す図である。ロボット20は、アーム210と、制御部260とを備える。アーム210は、スライダー220と、ハンド230とを備える。制御部260は、ロボット20のアーム210を制御する。具体的には、制御部260は、次のような制御を実行する。制御部260は、アーム210の設けられているモーターなどの動力を制御して、スライダー220又はハンド230のいずれかを使用状態とする。
図5の左側は、スライダー220の使用状態を示す。
図5の右側は、ハンド230の使用状態を示す。さらに、制御部260は、アーム210の設けられているモーターなどの動力を制御してアーム210の形状及び向きなどを変更して、スライダー220及びハンド230の位置を変更する。以下、「アーム210の設けられているモーターなどの動力を制御する」ことを単に、「アーム210を制御する」と呼ぶ場合もある。スライダー220は、上から、可動パレット120の長孔121に挿入される。そして、アーム210が水平方向に回転すると、スライダー220は、長孔121の内壁面に沿って移動しながら、可動パレット120を、引き出し方向又は収納方向に水平移動する。このように、スライダー220は、長孔121の内壁に沿って移動できる構造であればよい。例えば、スライダー220は、丸棒のような簡易な構造物でよい。ハンド230は、物品を把持する。ただし、ハンド230は、引き出された可動パレット120の物品を積み下ろすため、物品を上から把持できればよい。そのため、ハンド230は、例えば、真空式の吸着ハンドのような簡易な構造のハンドでもよい。なお、ハンド230は、把持ハンドなど他の構造のハンドでもよい。
【0024】
そして、制御部260は、次のような制御を実行する。制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を長孔121に挿入する。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を引き出す。そして、制御部260は、アーム210及びハンド230を用いて、可動パレット120に物品を積む。あるいは、制御部260は、アーム210及びハンド230を用いて、可動パレット120から物品を下ろす。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を収納する。
このように、制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220の使用状態(
図5の左側)にし、スライダー220を上から可動パレット120に挿入し、アーム210を水平回転させて可動パレット120を引き出す。そして、制御部260は、ハンド230の使用状態(
図5の右側)にしてから、アーム210及びハンド230を用いて、上から物品を把持して積み下ろす。
【0025】
図5において、ロボット20は、2本のアームで構成された垂直多関節型のアーム210を備えている。しかし、ロボット20は、1本又は3本以上のアームを備えた多関節型のアーム210を備えていてもよいし、スカラー型、パラレルリンク型、又は、直行型などその他の構造のアーム210を備えていてもよい。また、ロボット20は、一つに限らず複数のアーム210を備えていてもよい。例えば、ロボット20は、スライダー220を備えるアーム210と、ハンド230を備えるアーム210とを備えていてもよい。
【0026】
ロボット20は、他の構成を備えていてもよい。
図6は、その他の構成を備えるロボット20の一例を示す図である。アーム210は、物品の画像を取得するカメラ240を備えている。そして、ロボット20は、無線を用いて、映像を送信する通信部250を備えている。さらに、通信部250は、無線を用いて、操作者から、制御部260がアーム210の動作を制御するための指示を受信する。制御部260は、指示に基づいてアーム210を制御する。ロボット20は、車輪及びモーターなど移動手段を備えていてもよい。この場合、制御部260は、通信部250を介して取得した移動手段の指示に応じて、移動手段を制御してもよい。ロボット20は、アーム210の全体を昇降する機構を備えていてもよい。
図6において、通信部250、制御部260、及び、車輪などの移動手段は、一例として、アーム210を搭載した本体部に内蔵されている。このように、ロボット20は、自動搬送機(AGV: Automated Guided Vehicle)のような移動可能な装置に搭載され、操作者から遠隔操作されてもよい。ただし、ロボット20は、製造ラインの工作機械など固定された設備に設置されてもよい。あるいは、ロボット20は、自立的に動作してもよい。例えば、制御部260は、カメラ240の画像を用いて自立的に、アーム210の動作を制御してもよい。
【0027】
[動作の説明]
図7は、ロボット20が物品を積み下ろす動作の一例を示すフロー図である。まず、ロボット20の制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を長孔121に挿入する(ステップS301)。例えば、制御部260は、まず、アーム210を制御して、スライダー220の使用状態にする。そして、制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を、長孔121の上部に移動する。そして、制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220の位置を下げて、長孔121に挿入する。
【0028】
制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするように、可動パレット120の引き出し方向にアーム210を水平回転させて、可動パレット120を引き出す(ステップS302)。
【0029】
図8ないし11を参照して、ステップS302の可動パレット120を引き出す動作を説明する。
図8は、ロボット20が可動パレット120を引き出す場合の初期状態を示す平面図である。
図8に示されているように、制御部260は、まず、アーム210を制御して、スライダー220を長孔121に挿入する。
図9は、可動パレット120の引き出し途中状態を示す図である。
図9において、アーム210は、
図8の位置から反時計回りに回転している。
図10は、可動パレット120の引き出し終了状態を示す図である。
図10において、アーム210は、
図9の位置から、さらに反時計回りに回転している。
図11は、アーム210の回転運動を示す図である。具体的には、
図11は、
図8ないし
図10におけるアーム210の位置を重ね合わせた図である。
図11に示されているように、可動パレット120を引き出す場合、制御部260は、アーム210を反時計回りに水平回転させる。そして、アーム210が水平方向に回転すると、
図8ないし10に示すように、スライダー220は、長孔121をスライドしながら、可動パレット120を引き出す。
【0030】
そして、制御部260は、アーム210及びハンド230を用いて、可動パレット120に物品を積む、又は、可動パレット120から物品を下ろす(ステップS303)。例えば、制御部260は、まず、アーム210を制御して、スライダー220を長孔121から抜き抜く。そして、制御部260は、アーム210を制御して、ハンド230の使用状態に切り替える。なお、ロボット20がスライダー220を備えたアーム210と、ハンド230を備えたアーム210とを備える場合、制御部260は、スライダー220を長孔121から引き抜く動作と、使用状態を切り替える動作とを省略してもよい。そして、制御部260は、例えば、次のようにして、物品を可動パレット120に積む、又は、物品を可動パレット120から下ろす。次に、棚10とかご台車との間で物品を積み下ろす場合の詳細な動作例を説明する。
【0031】
(1)棚10に物品を積む場合
制御部260は、アーム210を制御して、かご台車上の物品の位置に、ハンド230を移動する。そして、制御部260は、ハンド230に物品を把持させる。そして、制御部260は、アーム210を制御して、可動パレット120における物品を積む位置に、ハンド230を移動する。そして、制御部260は、ハンド230の把持を解除して、物品を可動パレット120に積む。
【0032】
(2)棚10から物品を下ろす場合
制御部260は、アーム210を制御して、可動パレット120における物品の位置に、ハンド230を移動する。そして、制御部260は、ハンド230に物品を把持させる。そして、制御部260は、アーム210を制御して、かご台車上の物品を置く位置に、ハンド230を移動する。そして、制御部260は、ハンド230の把持を解除して、物品を下ろす。
【0033】
図12は、可動パレット120に積まれている物品の把持を説明する図である。
図12に示されているように、制御部260は、アーム210を制御して、ハンド230の使用状態にしてから、物品の上にハンド230を移動し、上から物品を把持させる。
【0034】
物品の積み下ろしが完了すると、制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を長孔121に挿入する。なお、ステップS303の動作において、スライダー220を長孔から引き抜いていない場合、制御部260は、スライダー220を長孔121に挿入する動作を省略する。例えば、ロボット20がスライダー220を備えたアーム210と、ハンド230を備えたアーム210とを備える場合、制御部260は、スライダー220を長孔121に挿入する動作を省略する。
【0035】
そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を収納する(ステップS304)。例えば、制御部260は、
図8ないし11を用いて説明した動作と逆に動作するように、アーム210などを制御すればよい。そして、制御部260は、スライダー220を引き抜いて、物品の積み下ろしを終了する。
【0036】
このように、ロボット20は、
図5に示すように、アーム210と、制御部260とを備える。アーム210は、スライダー220と、ハンド230を備える。スライダー220は、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔121を備える可動パレット120の長孔121の内壁面に沿って移動する。ハンド230は、上から物品を把持する。制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を上から長孔121に挿入する。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を引き出す。そして、制御部260は、アーム210及びハンド230を用いて可動パレット120に物品を積み、又は、可動パレット120から物品を下ろす。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を収納する。
【0037】
棚10は、可動パレット120と、ガード130とを備える。可動パレット120は、水平方向から物品を積み下ろす棚板の上を、物品を載せて水平方向に移動する。さらに、可動パレット120は、引き出し方向の前面の近傍に、長孔121を備える。なお、長孔121は、ロボット20が利用する。ロボット20は、スライダー220を備えるアーム210を備える。そして、ロボット20は、スライダー220を長孔121に挿入してスライドさせる。詳細には、ロボット20は、アーム210を制御して、挿入したスライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて可動パレットを引き出し及び収納する。ガード130は、可動パレット120が棚板110から落下することを防止する。
図15は、棚10の構成の一例を示す図であり、棚10を明確にするため、ロボットを波線とした図である。
【0038】
倉庫システム30は、少なくとも、可動パレット120と、ロボット20とを備える。可動パレット120は、物品を載せて棚板の上を水平方向に移動する。さらに、可動パレット120は、引き出し方向の前面の近傍に、引き出し方向に直角な方向が長い長孔を備える。ロボット20は、アーム210と、制御部260とを備える。アーム210は、スライダー220と、ハンド230を備える。スライダー220は、物品を載せて水平方向に移動し、引き出し方向の前面の近傍に引き出し方向に直角な方向が長い長孔121を備える可動パレット120の長孔121の内壁面に沿って移動する。ハンド230は、上から物品を把持する。制御部260は、アーム210を制御して、スライダー220を上から長孔121に挿入する。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を引き出す。そして、制御部260は、アーム210及びハンド230を用いて可動パレット120に物品を積み、又は、可動パレット120から物品を下ろす。そして、制御部260は、スライダー220が長孔121をスライドするようにアーム210を水平回転させて、可動パレット120を収納する。
図16は、この場合の倉庫システム30の構成を示す図であり、可動パレット120及びロボット20を含む構成の一例を示す図である。
図16は、可動パレット120とロボット20との関係を明確とするため、棚10の他の構成を波線とした図である。
【0039】
ロボット20は、スライダー220及びハンド230とし、丸棒及び真空式吸着ハンドなど、簡易な構成を用いて、可動パレット120の引き出し及び収納、並びに、物品の積み下ろしを実行できる。可動パレット120は、
図2に示すように、車輪など水平方向に移動可能な構造と、引き出し方向の前面の近傍に長孔121を備えた簡易な構造である。ガード130は、
図1、3及び4に示すように、板など簡易な構造物である。そのため、ガード130の追加は、棚10の構造の変更が不要である。また、ガード130が簡易な構造のため、ガード130の追加工事は、容易な工事である。つまり、棚10は、簡易な構造の追加により、ロボット20における物品の積み下ろしを実現できる。このように、倉庫システム30は、簡易な構造を用いて、水平方向から物品を積み下ろす棚板110を備える棚10の物品を、上から物品を把持するロボット20を用いて積み下ろすことが可能な倉庫システムである。
【0040】
[バリエーション]
図8ないし10において、ロボット20は、図の下方の位置から可動パレット120を引き出している。しかし、ロボット20は、異なる方向又は位置から、可動パレット120を引き出してもよい。例えば、ロボット20は、
図8のロボットの向きとは反対方向から、可動パレット120を引き出してもよい。
図13は、
図8のロボット20の反対方向から可動パレット120を引き出す場合のロボット20の一例を示す図である。
図13は、参考として、波線を用いて、
図8のロボット20も示している。
図13に示す方向に限らず、ロボット20は、任意の方向から可動パレット120を引き出してよい。
【0041】
さらに、引き出された可動パレット120から物品を積み下ろす際、複数のロボット20が、並列的に、可動パレット120に物品を積み下ろしてもよい。
図14は、2台のロボット20が並列的に物品を積み下ろしている状態を示す図である。
【0042】
ロボット20は、少なくとも一部の棚板110において、可動パレット120を引き出さなくても物品を把持できる場合は、可動パレット120を引き出す動作及び収納する動作を省略してもよい。例えば、
図1において、棚10の天板を棚板110として使用する場合、ロボット20は、天板に置かれた物品を上方から把持できる。天板を使用する場合、ロボット20は、例えば、次のように動作する。ロボット20は、カメラ240を備えるとする。そして、制御部260は、カメラ240の画像に基づいて、物品の置かれている状態が、可動パレット120を引き出さずに上から把持可能か否かを判定する。そして、上から把持可能な場合、制御部260は、可動パレット120を引き出さずに、アーム210及びハンド230を用いて可動パレット120に物品を積み下ろす。可動パレット120を引き出すことが必要な場合、制御部260は、上記で説明したように、可動パレット120を引き出して、物品を積み下ろす。このように、制御部260は、物品の位置又は状態に応じて、動作を切り替えてもよい。なお、棚10は、天板のように上方から物品を把持できる棚板110については、可動パレット120及びガード130を備えていなくてもよい。ただし、棚10は、上方から物品を把持できる棚板110についても、可動パレット120及びガード130を備えていてもよい。
【0043】
[ロボットの制御部のハードウェア構成]
図面を参照して、アーム210の動作を制御する制御部260の構成について説明する。制御部260は、一つ又は複数のハードウェア回路で構成されてもよい。あるいは、制御部260は、中央処理装置(CPU: Central Processing Unit)と、読み取り専用メモリ(ROM: Read Only Memory)と、ランダム・アクセス・メモリ(RAM: Random Access Memory)と、ネットワークインターフェースとを含むコンピュータ装置として実現されてもよい。この場合、制御部260は、ソフトウェアと組み合わせて、ハードウェアを動作させる。このように、ロボット20は、ハードウェアとソフトウェアとの組合せとして、機能を実現してもよい。
図17は、制御部260のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御部260は、CPU610と、ROM620と、RAM630と、記憶装置640と、ネットワークインターフェース650とを含む。ネットワークインターフェース650は、制御部260の外部の装置でもよい。
【0044】
CPU610は、ROM620及び記憶装置640の少なくとも一方からプログラムを読み込む。そして、CPU610は、読み込んだプログラムに基づいて、RAM630と、記憶装置640と、ネットワークインターフェース650とを制御する。そして、CPU610は、これらの構成を制御して、アーム210などの動作を制御する制御部260としての機能を実現する。CPU610は、USB(Universal Serial Bus)メモリのような、コンピュータで読み取り可能にプログラムを記憶した記録媒体690が含むプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。あるいは、CPU610は、NIF650を介して、図示しない外部の装置からプログラムを受け取り、RAM630又は記憶装置640に保存して、保存したプログラムに基づいて動作してもよい。
【0045】
ROM620は、CPU610が実行するプログラム及び固定的なデータを記憶する。ROM620は、例えば、プログラマブルROM(P-ROM: Programmable-ROM)又はフラッシュROMである。RAM630は、CPU610が実行するプログラム及びデータを一時的に記憶する。RAM630は、例えば、ダイナミックRAM(D-RAM: Dynamic-RAM)である。記憶装置640は、制御部260が長期的に保存するデータ及びプログラムを記憶する。記憶装置640は、CPU610の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置640は、例えば、ハードディスク装置、又は、ソリッド・ステート・ドライブ(SSD: Solid State Drive)である。
【0046】
ROM620及び記憶装置640は、不揮発性(non-transitory)の記録媒体である。一方、RAM630は、揮発性(transitory)の記録媒体である。そして、CPU610は、ROM620、記憶装置640、及び、RAM630に記憶されているプログラムに基づいて動作可能である。つまり、CPU610は、不揮発性記録媒体及び揮発性記録媒体のどちらを用いても動作可能である。CPU610は、各機能を実現する際に、RAM630及び記憶装置640の少なくとも一方を、プログラム及びデータの一時的な記憶媒体として使用してもよい。
【0047】
ネットワークインターフェース650は、上記の通信部としての機能を実現する。ネットワークインターフェース650は、例えば、ネットワークを介した図示しない外部の装置とのデータのやり取りを中継する。ネットワークインターフェース650は、例えば、アーム210に設置されたカメラが撮影した画像を出力してもよい。あるいは、ネットワークインターフェース650は、ロボット20の操作者からのアーム210の動作の指示を取得してもよい。ネットワークインターフェース650は、例えば、無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN: Local Area Network)の子機、又は、移動通信システムのユーザー機器である。ロボット20が固定された設備に設置されている場合、ネットワークインターフェース650は、有線を用いて通信してもよい。
【0048】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成及び詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0049】
10 棚
20 ロボット
30 倉庫システム
110 棚板
120 可動パレット
121 長孔
130 ガード
210 アーム
220 スライダー
230 ハンド
240 カメラ
250 通信部
260 制御部
610 CPU
620 ROM
630 RAM
640 記憶装置
650 ネットワークインターフェース
690 記録媒体