(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073873
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】添加システム及び処理システム
(51)【国際特許分類】
C02F 11/148 20190101AFI20240523BHJP
B01D 21/01 20060101ALI20240523BHJP
C02F 11/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
C02F11/148 ZAB
B01D21/01 102
B01D21/01 105
C02F11/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184835
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西澤 ▲祥▼太
【テーマコード(参考)】
4D015
4D059
【Fターム(参考)】
4D015BA12
4D015BA19
4D015BB09
4D015BB12
4D015CA12
4D015DA12
4D015DB01
4D015DC06
4D015EA08
4D059AA04
4D059AA05
4D059BA11
4D059BB00
4D059BC02
4D059BE00
4D059BE49
4D059BE55
4D059BE58
4D059BE61
4D059BF01
4D059BJ00
4D059BK12
4D059DA22
4D059DB11
(57)【要約】
【課題】脱水ろ液の水質悪化を抑制することを可能とする添加システム及び処理システムを提供する。
【解決手段】少なくとも有機性成分を含む処理対象を供給する供給装置と、供給装置から供給された処理対象に対して両性凝集剤を添加する第1添加装置と、両性凝集剤が添加された処理対象に対して無機凝集剤を添加する第2添加装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも有機性成分を含む処理対象を供給する供給装置と、
前記供給装置から供給された前記処理対象に対して両性凝集剤を添加する第1添加装置と、
前記両性凝集剤が添加された前記処理対象に対して無機凝集剤を添加する第2添加装置と、を備えた、添加システム。
【請求項2】
前記供給装置は、前記処理対象と前記両性凝集剤とを撹拌する撹拌装置を有し、
前記第2添加装置は、前記撹拌装置内の前記処理対象に対して、または、前記撹拌装置において撹拌が行われた後の前記処理対象に対して前記無機凝集剤を添加する、請求項1に記載の添加システム。
【請求項3】
前記供給装置によって供給される前記処理対象を可溶化する可溶化装置を備えた、請求項1に記載の添加システム。
【請求項4】
少なくとも有機性成分を含む処理対象に対して凝集剤を添加する添加装置と、
前記凝集剤が添加された前記処理対象を濃縮する濃縮装置と、
濃縮された前記処理対象を可溶化し、可溶化した前記処理対象に含まれる前記有機性成分を消化する消化システムと、
前記消化システムから排出される消化液を脱水する脱水装置と、
前記濃縮装置において濃縮が行われる前の前記処理対象に対して、または、前記濃縮装置において濃縮が行われた後の前記処理対象に対して、前記脱水装置において前記消化液から脱水された脱水ろ液を供給する供給装置と、を備えた、処理システム。
【請求項5】
さらに、前記消化システムから前記脱水装置に対して前記処理対象を供給する他の供給装置と、
前記他の供給装置から供給された前記処理対象に対して両性凝集剤を添加する第1添加装置と、
前記両性凝集剤が添加された前記処理対象に対して無機凝集剤を添加する第2添加装置と、を備えた、請求項4に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、添加システム及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
有機性成分を含む処理対象(例えば、汚泥を含む廃水)を処理する設備では、例えば、処理対象に対して凝集剤を添加することにより、処理対象に含まれる有機性成分を凝集させてフロックを形成する。そして、このような設備では、例えば、フロックが形成された後の処理対象について脱水を行う(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記のような設備では、エネルギーの消費量を削減することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における添加システムは、少なくとも有機性成分を含む処理対象を供給する供給部と、前記供給部から供給された前記処理対象に対して両性凝集剤を添加する第1添加装置と、前記両性凝集剤が添加された前記処理対象に対して無機凝集剤を添加する第2添加装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示における添加システムによれば、エネルギーの消費量を削減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。
【
図2】
図2は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態における処理システム100の構成について説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態における処理システム100の構成について説明する図である。
【
図5】
図5は、第1の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態における処理システム100の変形例について説明する図である。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態における処理システム200の構成について説明する図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態における処理システム200の変形例について説明する図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態における処理システム200の変形例について説明する図である。
【
図11】
図11は、第3の実施の形態における発電システム300の構成について説明する図である。
【
図12】
図12は、第3の実施の形態における発電方法について説明するフローチャート図である。
【
図13】
図13は、変換装置39の第1の具体例について説明する図である。
【
図14】
図14は、変換装置39の第2の具体例について説明する図である。
【
図15】
図15は、変換装置39の第2の具体例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
[比較例における処理システム900]
初めに、比較例における処理システム900について説明を行う。
図1及び
図2は、比較例における処理システム900の構成について説明する図である。以下、処理システム900における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。
【0010】
本比較例における処理システム900は、
図1に示すように、例えば、濃縮装置91と、可溶化装置93と、槽94(以下、消化槽94とも呼ぶ)と、脱水装置95とを有する。
【0011】
濃縮装置91は、例えば、下水等の被処理液体を処理する水処理システムにおける最初沈殿池(図示しない)から排出された初沈汚泥や最終沈殿池(図示しない)から排出された余剰汚泥を濃縮する。以下、初沈汚泥や余剰汚泥を総称して単に汚泥とも呼ぶ。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置91から可溶化装置93に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置91から最初沈殿池等に返送される。
【0012】
可溶化装置93は、例えば、濃縮装置91から供給された汚泥の可溶化を行う。そして、可溶化が行われた汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって可溶化装置93から消化槽94に供給される。
【0013】
消化槽94は、例えば、撹拌機能を有する。消化槽94内においては、例えば、可溶化装置93から供給された汚泥に含まれる有機性成分(以下、単に有機物とも呼ぶ)が、消化槽94内の嫌気性細菌によって嫌気性消化(分解)される。そして、この消化の過程においてメタン等の消化ガス(以下、単に消化ガスとも呼ぶ)が生成される。そして、消化槽94において消化された汚泥を含む液体(以下、消化液とも呼ぶ)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽94から脱水装置95に配管L91を介して供給される。
【0014】
脱水装置95は、例えば、消化槽94からの消化液に含まれる汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置95から焼却炉(図示しない)等の後段設備に供給される。また、汚泥から脱水された液体(以下、脱水ろ液とも呼ぶ)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置95から最初沈殿池等に返送される。
【0015】
また、処理システム900では、
図1に示すように、例えば、消化槽94から脱水装置95に対して消化液を供給する配管L91に、消化液に含まれる有機物を凝集させてフロックを形成するための凝集剤(以下、単に凝集剤とも呼ぶ)を、配管L92を介して添加する。
【0016】
すなわち、本比較例における処理システム900では、例えば、可溶化装置93において可溶化された汚泥を消化槽94において消化する。
【0017】
これにより、処理システム900では、消化が行われやすい状態の汚泥を消化槽94に供給することで、例えば、消化槽94における汚泥の消化率を向上させることが可能になり、消化ガスの発生量を増加させることが可能になる。また、処理システム900では、可溶化によって汚泥に含まれる植物、菌類及び細菌類の細胞の細胞壁や、細胞膜(以下、細胞壁及び細胞膜を総称して細胞壁等とも呼ぶ)を破壊することで、例えば、汚泥の脱水性を向上させることが可能になり、脱水装置95において脱水された後の汚泥の減容化を行うことが可能になる。
【0018】
しかしながら、処理システム900では、この場合、可溶化によって細胞壁等が破壊されることで、例えば、細胞内の有機物等が細胞外に溶存性固形物として排出される。そのため、処理システム900では、例えば、脱水前の汚泥に溶存性固形物が多く含まれるため、脱水装置95で発生する脱水ろ液に溶存性固形物が移行し、脱水ろ液の水質が悪化する場合がある。
【0019】
また、処理システム900では、可溶化装置93において熱加水分解を行う場合、例えば、可溶化装置93に供給する前の汚泥を予め脱水する場合がある。具体的に、処理システム900では、
図2に示すように、例えば、濃縮装置91と可溶化装置93との間において脱水装置92を有し、濃縮装置91から供給された濃縮汚泥を脱水装置92において脱水してから可溶化装置93に供給する。これにより、処理システム900では、例えば、可溶化装置93に供給される汚泥(すなわち、可溶化対象の汚泥)の含水率を低下させることが可能になり、可溶化装置93における汚泥の可溶化を効率的に行うことが可能になる。
【0020】
しかしながら、処理システム900では、この場合、脱水装置92において脱水を行わない場合と比較して、汚泥における固形物の濃度が上昇することになり、汚泥の量に対する凝集剤の添加量を増加させる必要性が生じる。汚泥の量に対する凝集剤の添加量が多い条件では、汚泥に含まれる固形物と凝集剤との接触効率が低下するため、脱水装置95における固液分離が不十分となり、脱水ろ液の水質がより悪化する場合がある。そして、水質が悪化した脱水ろ液をそのまま水処理に返送すると、水処理側の消費電力(エネルギー消費量)が増加する。また、脱水ろ液そのものを処理しようとすると、この処理に必要なエネルギーの消費量が増える。具体的に、例えば、脱水ろ液の水質を改善するために脱水ろ液をろ過する場合や脱水ろ液に薬剤を注入する場合、ろ過処理や注入処理にエネルギーが必要になり、エネルギーの消費量が増える。
【0021】
そこで、第1の実施の形態における処理システム100では、例えば、消化液に含まれる有機物を効果的に凝集させて強固なフロックを形成することにより、汚泥の可溶化により生じる有機物に起因する脱水ろ液の水質悪化を抑制する。以下、第1の実施の形態における処理システム100について説明を行う。
【0022】
[第1の実施の形態における処理システム100]
図3及び
図4は、第1の実施の形態における処理システム100の構成について説明する図である。また、
図5は、第1の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。以下、処理システム100における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。
【0023】
本実施の形態における処理システム100は、
図3に示すように、例えば、濃縮装置1と、可溶化装置3と、槽4(以下、消化槽4とも呼ぶ)と、脱水装置5とを有する。以下、可溶化装置3と消化槽4とを総称して消化システム8とも呼ぶ。
【0024】
濃縮装置1は、
図1で説明した濃縮装置91と同様に、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池(図示しない)から排出された汚泥を濃縮する。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置1から可溶化装置3に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置1から最初沈殿池等に返送される。
【0025】
可溶化装置3は、
図1で説明した可溶化装置93と同様に、例えば、濃縮装置1から供給された汚泥の可溶化を行う。具体的に、可溶化装置3は、例えば、汚泥に対して水蒸気を供給して加熱するとともに加圧することによって熱加水分解を行う。なお、可溶化装置3は、例えば、汚泥に対してオゾン等を添加することによって加水分解を行う。そして、可溶化が行われた汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって可溶化装置3から消化槽4に供給される。
【0026】
消化槽4は、
図1で説明した消化槽94と同様に、例えば、撹拌機能を有する。消化槽4内においては、例えば、可溶化装置3から供給された汚泥に含まれる有機物が、消化槽4内の嫌気性細菌によって嫌気性消化(分解)される。そして、この消化の過程において消化ガスが生成される。そして、消化槽4において消化された消化液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽4から脱水装置5に供給される。
【0027】
脱水装置5は、
図1で説明した脱水装置95と同様に、例えば、消化槽4からの消化液に含まれる汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置5から焼却炉等の後段設備に供給される。また、汚泥から脱水された脱水ろ液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置5から最初沈殿池等に返送される。
【0028】
ここで、処理システム100では、例えば、消化槽4と脱水装置5とを連通する配管L1において、両性凝集剤(両性ポリマー)を汚泥に添加し、さらに、ポリ鉄等のカチオン性の無機凝集剤(以下、単に無機凝集剤とも呼ぶ)を汚泥に添加する。
【0029】
具体的に、ポンプP2(以下、第1添加装置P2とも呼ぶ)は、
図4に示すように、例えば、槽7aに貯留された両性凝集剤を配管L2から撹拌装置6に供給する。撹拌装置6は、例えば、スタティックミキサーやダイナミックミキサー等のインラインミキサーであってよい。また、ポンプP3(以下、第2添加装置P3とも呼ぶ)は、例えば、槽7bに貯留された無機凝集剤を配管L3から撹拌装置6に供給する。そして、撹拌装置6は、例えば、消化槽4から撹拌装置6に対して汚泥を供給する配管L1aに設けられたポンプP1によって配管L1(以下、配管L1aとも呼ぶ)を介して供給された汚泥と、配管L2を介してポンプP2から供給された両性凝集剤とを撹拌する。さらに、撹拌装置6は、例えば、両性凝集剤と撹拌された汚泥と、配管L3を介してポンプP3から供給された無機凝集剤とをさらに撹拌する。その後、撹拌装置6は、例えば、無機凝集剤と撹拌された汚泥を配管L1(以下、配管L1bとも呼ぶ)から脱水装置5に供給する。以下、ポンプP1と配管L1aと撹拌装置6とを総称して供給装置SP1とも呼ぶ。また、供給装置SP1とポンプP2とポンプP3とを総称して添加システム10とも呼ぶ。
【0030】
なお、処理システム100は、例えば、配管L1bの途中において、撹拌装置6と異なる他の撹拌装置(図示しない)を有するものであってもよい。そして、処理システム100では、例えば、撹拌装置6において撹拌された汚泥(両性凝集剤及び無機凝集剤と撹拌された汚泥)を他の撹拌装置においてさらに撹拌することにより、フロックの形成を促進させるものであってもよい。具体的に、他の撹拌装置は、槽を有し、この槽内において、例えば、急速撹拌と緩速撹拌とを順に行う撹拌装置であってよい。また、他の撹拌装置は、槽を有し、この槽内において、例えば、垂直方向における下側にて急速撹拌を行い、垂直方向における上側にて緩速撹拌を行うなど、急速撹拌及び緩速撹拌を同時に行うものであってもよい。
【0031】
また、処理システム100では、例えば、配管L1bにおいて無機凝集剤を汚泥に添加するものであってもよい。そして、処理システム100では、例えば、両性凝集剤と撹拌が行われた後の汚泥と無機凝集剤との撹拌を他の撹拌装置において行うものであってもよい。
【0032】
このように、本実施の形態における添加システム10は、例えば、少なくとも有機性成分を含む汚泥を供給する供給装置SP1と、供給装置SP1から供給された汚泥に対して両性凝集剤を添加する第1添加装置P2と、両性凝集剤が添加された汚泥に対して無機凝集剤を添加する第2添加装置P3と、を備える。
【0033】
具体的に、本実施の形態における供給装置SP1は、例えば、汚泥と両性凝集剤とを撹拌する撹拌装置6を有し、第2添加装置P3は、撹拌装置6内の汚泥に対して、または、撹拌装置6において撹拌が行われた後の汚泥(すなわち、例えば、配管L1bを流れる汚泥)に対して無機凝集剤を添加するものであってよい。
【0034】
これにより、本実施の形態における処理システム100は、例えば、比較例における処理システム900と比較して、消化液に含まれる固形物と凝集剤とを確実に反応させて、効果的に固形物を凝集させてフロックを形成することが可能になる。すなわち、本実施の形態における処理システム100によれば、凝集剤の種類、凝集剤の添加タイミングや撹拌を工夫することで、単に、凝集剤を添加し撹拌する場合と比較して、効果的に消化液に含まれる固形物を凝集することができる。そのため、処理システム100は、例えば、可溶化装置3において汚泥が可溶化されて、脱水ろ液の水質悪化の一因である溶存性固形物が増加しても、脱水装置5における溶存性固形物の脱水ろ液への移行を防止することが可能になる。すなわち、脱水装置5から排出される脱水ろ液の水質の悪化を抑制することが可能になる。このように脱水ろ液の水質の悪化を抑制することで、返送先である下水処理で脱水ろ液に含まれる固形物を処理するためのエネルギー、または、脱水ろ液の水質改善に要するエネルギーを削減することができる。この削減できるエネルギーとして、例えば、下水処理の反応槽で曝気に要するエネルギーが挙げられる。また、この削減できるエネルギーとして、例えば、脱水ろ液の水質を改善するために脱水ろ液をろ過する場合や脱水ろ液に薬剤を注入する場合における、ろ過処理や注入処理に必要なエネルギーが挙げられる。
【0035】
[第1の実施の形態における処理方法]
次に、第1の実施の形態における処理方法について説明を行う。
【0036】
濃縮装置1は、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池等の前段設備から供給された汚泥を濃縮する(
図5のステップS1)。
【0037】
そして、可溶化装置3は、例えば、ステップS1において濃縮された汚泥を可溶化する(
図5のステップS2)。続いて、消化槽4では、例えば、ステップS2において可溶化が行われた汚泥が消化される(
図5のステップS3)。次に、ポンプP2は、例えば、ステップS3において消化槽4から後段設備(例えば、脱水装置5)に供給される消化液に対して両性凝集剤を添加する(
図5のステップS4)。
【0038】
そして、ポンプP3は、例えば、ステップS4において両性凝集剤が添加された消化液に対して無機凝集剤をさらに添加する(
図5のステップS5)。その後、脱水装置5は、例えば、ステップS5において無機凝集剤が添加された消化液に含まれる汚泥を脱水する(
図5のステップS6)。そして、脱水装置5は、例えば、脱水された汚泥を焼却炉等の後段設備に供給するとともに、汚泥から脱水された脱水ろ液を最初沈殿池等に返送する(
図5のステップS7)。
【0039】
[第1の実施の形態における処理システム100の変形例]
次に、第1の実施の形態における処理システム100の変形例について説明を行う。
図6は、第1の実施の形態における処理システム100の変形例について説明する図である。
【0040】
処理システム100では、
図2で説明した処理システム900と同様に、可溶化装置3において熱加水分解を行う場合、例えば、可溶化装置3に供給する前の汚泥を予め脱水するものであってよい。具体的に、処理システム100では、
図6に示すように、例えば、濃縮装置1と可溶化装置3との間において脱水装置2を有し、濃縮装置1から供給された汚泥を脱水装置2において脱水してから可溶化装置3に供給するものであってよい。
【0041】
これにより、本変形例における処理システム100では、例えば、可溶化装置3に供給される汚泥(すなわち、可溶化対象の汚泥)の含水率を低下させることが可能になり、可溶化装置3における汚泥の可溶化を効率的に行うことが可能になる。
【0042】
また、本変形例における処理システム100では、
図3等で説明したように凝集剤と、汚泥に含まれる浮遊性固形物及び可溶化によって増加した溶存性固形物とを十分に反応させて強固なフロックを形成することが可能になる。
【0043】
[第2の実施の形態における処理システム200]
次に、第2の実施の形態における処理システム200について説明を行う。
図7は、第2の実施の形態における処理システム200の構成について説明する図である。また、
図8は、第2の実施の形態における処理方法について説明するフローチャート図である。以下、処理システム200における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。
【0044】
本実施の形態における処理システム200は、
図7に示すように、例えば、濃縮装置11と、可溶化装置13と、槽14(以下、消化槽14とも呼ぶ)と、脱水装置15とを有する。以下、可溶化装置13と消化槽14とを総称して消化システム18とも呼ぶ。
【0045】
濃縮装置11は、
図3等で説明した濃縮装置1と同様に、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池から排出された汚泥を濃縮する。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置11から可溶化装置13に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置11から最初沈殿池等に返送される。
【0046】
可溶化装置13は、
図3等で説明した可溶化装置3と同様に、例えば、濃縮装置11から供給された汚泥の可溶化を行う。そして、可溶化が行われた汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって可溶化装置13から消化槽14に供給される。
【0047】
消化槽14は、
図3等で説明した消化槽4と同様に、例えば、撹拌機能を有する。消化槽14内においては、例えば、可溶化装置13から供給された汚泥に含まれる有機物が、消化槽14内の嫌気性細菌によって嫌気性消化(分解)される。そして、この消化の過程において消化ガスが生成される。そして、消化槽14において消化された消化液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽14から脱水装置15に供給される。
【0048】
脱水装置15は、
図3等で説明した脱水装置5と同様に、例えば、消化槽14からの消化液に含まれる汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置15から焼却炉等の後段設備に供給される。
【0049】
また、処理システム200では、
図7に示すように、例えば、消化槽14と脱水装置15とを連通する配管L11において凝集剤を汚泥に添加する。具体的に、槽(図示しない)に貯留された凝集剤は、例えば、配管L11に合流する配管L12に設けられたポンプ(図示しない)によって配管L11に供給される。なお、処理システム200では、
図3等で説明した処理システム100と同様に、例えば、配管L11において両性凝集剤と無機凝集剤とを順に汚泥に添加するものであってもよい。すなわち、処理システム200は、例えば、
図4で説明した添加システム10と同様の機能を有する添加システムを有するものであってもよい。
【0050】
また、本実施の形態における脱水装置15において汚泥から脱水された脱水ろ液は、
図3等で説明した脱水装置5と異なり、例えば、配管L13に返送される。配管L13は、例えば、濃縮装置11に対して汚泥を供給する配管である。具体的に、脱水装置15において汚泥から脱水された脱水ろ液は、
図7に示すように、例えば、配管L14に設けられたポンプP11によって配管L14を介して配管L13に返送される。配管L14は、例えば、脱水装置15と配管L13とを連通する配管である。以下、ポンプP11と配管L14とを総称して供給装置SP2とも呼ぶ。そして、濃縮装置11は、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池から排出された汚泥と、脱水装置15から供給された脱水ろ液とを併せて濃縮する。
【0051】
さらに、処理システム200では、例えば、配管L13においても凝集剤を汚泥に添加する。具体的に、槽(図示しない)に貯留された凝集剤は、例えば、配管L13に合流する配管L15に設けられたポンプP12によって配管L13に供給される。以下、ポンプP12と配管L15とを総称して添加装置ADとも呼ぶ。
【0052】
このように、本実施の形態における処理システム200は、例えば、少なくとも有機性成分を含む汚泥に対して凝集剤を添加するポンプP12と、凝集剤が添加された汚泥を濃縮する濃縮装置11と、濃縮された汚泥を可溶化し、可溶化した汚泥に含まれる有機性成分を消化する消化システム18と、消化システム18から排出される消化液を脱水する脱水装置15と、濃縮装置11において濃縮が行われる前の汚泥に対して、脱水装置15において消化液から脱水された脱水ろ液を供給する供給装置SP2と、を備える。
【0053】
これにより、本実施の形態における処理システム200では、例えば、脱水装置15から供給された脱水ろ液に含まれる固形物を、最初沈殿池や最終沈殿池から排出された汚泥(濃縮が行われる前の汚泥)に吸着させることが可能になる。そのため、処理システム200では、例えば、脱水装置15で生じた脱水ろ液を配管L13に供給した場合に濃縮装置11で発生した濃縮分離液に含まれる固形物の方が、脱水装置15で生じた脱水ろ液を配管L13に供給しなかった場合に濃縮装置11で発生した濃縮分離液及び脱水装置15で生じた脱水ろ液に含まれる固形物の合計量よりも小さくなるため、最初沈殿池等に返送する返流水の水質悪化を抑制することが可能になり、反応槽等における処理負担の増加を抑制することが可能になる。また、処理システム200では、例えば、濃縮装置11の前段において脱水装置15からの脱水ろ液に凝集剤を添加することで、可溶化により生じた固形物を凝集させてフロックを形成することができる。そして、かかるフロックは、濃縮装置11において濃縮汚泥として後段の装置(例えば、可溶化装置13)に供給されるので、濃縮分離液に含まれる固形物の量を減らすことができ、最初沈殿池等に返送する返送水の水質悪化を抑制することが可能になる。
【0054】
また、本実施の形態における処理システム200では、例えば、処理システム100と同様に、消化システム18から脱水装置15に対して汚泥を供給する供給装置(以下、他の供給装置とも呼ぶ)と、他の供給装置から供給された汚泥に対して両性凝集剤を添加するポンプと、両性凝集剤が添加された汚泥に対して無機凝集剤を添加するポンプと、を備えるものであってもよい。
【0055】
これにより、本実施の形態における処理システム200は、例えば、処理システム100と同様に、例えば、凝集剤と、汚泥に含まれる浮遊性固形物及び可溶化によって増加する溶存性固形物とを十分に反応させて、脱水装置15で生じる脱水ろ液に含まれる固形物の量を低減することが可能になる。そのため、固形物の含有量が少ない脱水ろ液が濃縮装置11の前段に供給されることとなり、結果として、濃縮装置11で発生する分離液に含まれる固形物の量も低減することが可能になる。すなわち、処理システム200に処理システム100の構成を追加することにより、返流水の負荷をより一層低減することが可能になる。
【0056】
なお、処理システム200は、例えば、
図3等で説明した処理システム100と同様に、消化槽14と脱水装置15との間(配管L11の途中)において撹拌装置(図示しない)を有するものであってもよい。すなわち、処理システム200は、例えば、
図4で説明した撹拌装置6と同様の機能を有する撹拌装置を有するものであってもよい。そして、この撹拌装置は、例えば、消化槽14から供給された消化液と凝集剤とを撹拌し、凝集剤との撹拌が行われた後の消化液を脱水装置15に供給するものであってもよい。
【0057】
また、処理システム200は、例えば、濃縮装置11の前段(配管L13の途中)において撹拌装置(図示しない)をさらに有するものであってもよい。そして、この撹拌装置は、例えば、配管L13を介して供給された汚泥と配管L14を介して供給された消化液と凝集剤とを撹拌し、撹拌が行われた後の汚泥(脱水ろ液を含む汚泥)を濃縮装置11に供給するものであってもよい。
【0058】
[第2の実施の形態における処理方法]
次に、第2の実施の形態における処理方法について説明を行う。
【0059】
濃縮装置11は、例えば、最初沈殿池や最終沈殿池等の前段設備から供給された汚泥を濃縮する(
図8のステップS11)。
【0060】
そして、可溶化装置13は、例えば、ステップS11において濃縮された汚泥を可溶化する(
図8のステップS12)。続いて、消化槽14では、例えば、ステップS12において可溶化が行われた汚泥が消化される(
図8のステップS13)。次に、配管L12に設けられたポンプ(図示しない)は、例えば、ステップS13において消化槽14から後段設備(例えば、脱水装置15)に供給される消化液に対して凝集剤を添加する(
図8のステップS14)。具体的に、配管L12に設けられたポンプは、例えば、配管L11において凝集剤を汚泥に添加する。
【0061】
さらに、脱水装置15は、例えば、ステップS14において凝集剤が添加された消化液に含まれる汚泥を脱水する(
図8のステップS15)。
【0062】
その後、脱水装置15は、例えば、脱水された汚泥を焼却炉等の後段設備に供給するとともに、汚泥から脱水された脱水ろ液を濃縮装置11に返送する(
図8のステップS16)。
【0063】
そして、濃縮装置11は、例えば、ステップS16において返送された脱水ろ液を含む汚泥(ポンプP12によって凝集剤が添加された汚泥)を濃縮する。
【0064】
[第2の実施の形態における処理システム200の変形例]
次に、第2の実施の形態における処理システム200の変形例について説明を行う。
図9及び
図10は、第2の実施の形態における処理システム200の変形例について説明する図である。
【0065】
処理システム200では、
図3で説明した処理システム100と同様に、可溶化装置13において熱加水分解を行う場合、例えば、可溶化装置13に供給する前の汚泥を予め脱水するものであってよい。具体的に、処理システム200では、
図9に示すように、例えば、濃縮装置11と可溶化装置13との間において脱水装置12を有し、濃縮装置11から供給された汚泥を脱水装置12において脱水してから可溶化装置13に供給するものであってよい。
【0066】
これにより、本変形例における処理システム200では、
図3で説明した処理システム100と同様に、例えば、可溶化装置3に供給される汚泥(すなわち、可溶化対象の汚泥)の含水率を低下させることが可能になり、可溶化装置3における汚泥の可溶化を効率的に行うことが可能になる。
【0067】
なお、本変形例における処理システム200では、
図10に示すように、例えば、脱水装置15から供給された脱水ろ液を脱水装置12に返送するものであってもよい。具体的に、本変形例における処理システム200では、
図10に示すように、例えば、濃縮装置11と脱水装置12とを連通する配管L16に対して、脱水装置15から供給された脱水ろ液を返送するものであってもよい。
【0068】
これにより、本変形例における処理システム200では、
図9で説明した場合と同様に、例えば、脱水装置15から供給された脱水ろ液に含まれる固形物を、濃縮後の汚泥に吸着させることが可能になり、最初沈殿池等に返送する返流水の水質の悪化を抑制することが可能になる。
【0069】
この点、脱水装置15において汚泥から脱水された脱水ろ液を配管L13(濃縮装置11に対して汚泥を供給する配管)に返送する場合、脱水ろ液を配管L16(脱水装置12に対して汚泥を供給する配管)に返送する場合と比較して、濃縮装置11から脱水装置12に対して供給される被脱水物の量を抑えることが可能になる。そのため、処理システム200では、脱水装置15において汚泥から脱水された脱水ろ液を配管L13に返送する場合、例えば、配管L16に返送する場合と比較して、脱水装置12の容量を抑えることが可能になる。
【0070】
[第3の実施の形態における発電システム300]
次に、第3の実施の形態における発電システム300について説明を行う。
図11は、第3の実施の形態における発電システム300の構成について説明する図である。また、
図12は、第3の実施の形態における発電方法について説明するフローチャート図である。
【0071】
本実施の形態における発電システム300は、
図11に示すように、例えば、濃縮装置31と、消化槽34と、脱水装置35と、圧縮装置36と、分離装置37と、発電装置38と、変換装置39とを有する。以下、消化槽34と脱水装置35とを総称して消化システム33とも呼ぶ。また、以下、消化システム33における処理対象が汚泥であるものとして説明を行う。さらに、以下、圧縮装置36と分離装置37とを総称して気体供給システム30とも呼ぶ。なお、発電システム300は、
図6等で説明した脱水装置2や可溶化装置3と同様の機能を有する脱水装置や可溶化装置をさらに有するものであってもよい。
【0072】
濃縮装置31は、
図3等で説明した濃縮装置1と同様に、例えば、最初沈殿池等から排出された汚泥を濃縮する。そして、濃縮された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置31から消化槽34に供給される。また、濃縮によって汚泥から分離した液体は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって濃縮装置31から最初沈殿池等に返送される。
【0073】
消化槽34は、
図3等で説明した消化槽4と同様に、例えば、攪拌機能を有する。消化槽34内においては、例えば、濃縮装置31から供給された汚泥に含まれる有機物が、消化槽34内の嫌気性細菌によって嫌気性消化される。この消化の過程において消化ガスが生成される。そして、消化槽34において消化された汚泥を含む液体(消化液)は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって消化槽34から脱水装置35に供給される。また、消化槽34において発生した消化ガスは、例えば、ブロワ(図示しない)等によって消化槽34から圧縮装置36に供給される。
【0074】
脱水装置35は、
図3等で説明した脱水装置5と同様に、例えば、消化槽34からの消化液に含まれる汚泥を脱水する。そして、脱水された汚泥は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置35から焼却炉(図示せず)等の後段設備に供給される。また、脱水装置35から脱水された脱水ろ液は、例えば、ポンプ(図示しない)等によって脱水装置35から最初沈殿池等に返送される。
【0075】
また、消化システム33では、
図3等で説明した消化システム8と同様に、例えば、消化槽34と脱水装置35とを連通する配管において凝集剤を消化液に添加してもよい。
【0076】
圧縮装置36は、例えば、消化槽34において発生した消化ガスを圧縮する。そして、圧縮装置36は、例えば、圧縮した消化ガスを分離装置37に供給する。
【0077】
分離装置37は、例えば、圧縮装置36から供給された消化ガスの膜分離を行うことによって、消化ガスをメタンと二酸化炭素とに分離する。
【0078】
発電装置38は、例えば、ガスエンジンやガスタービン等の発電装置であり、分離装置37において消化ガスから分離したメタンを燃焼させることによって発電を行う。
【0079】
変換装置39は、例えば、発電装置38から供給された流体(発電装置38における発電に伴って発生した温水または蒸気)が有する熱エネルギー(廃熱の熱エネルギー)を圧縮装置36の駆動エネルギーに変換する。そして、変換装置39は、例えば、熱エネルギーから変換した駆動エネルギーを圧縮装置36に供給する。その後、圧縮装置36は、例えば、変換装置39から供給された駆動エネルギーを用いて駆動することによって、消化槽34から供給された消化ガスを圧縮する。
【0080】
このように、本実施の形態における気体供給システム30は、例えば、メタン(可燃性気体)を含む消化ガス(混合気体)を圧縮する圧縮装置36と、圧縮装置36から供給された消化ガスからメタンを分離する分離装置37と、を備え、圧縮装置36は、分離されたメタンを燃焼させて生じる熱エネルギーによって発電する発電装置38から排出される流体が有する熱エネルギーによって消化ガスを圧縮する。
【0081】
また、本実施の形態における発電システム300は、例えば、メタンを含む消化ガスを圧縮する圧縮装置36と、圧縮装置36から供給された消化ガスからメタンを分離する分離装置37と、分離させたメタンを燃焼させて生じる熱エネルギーによって発電する発電装置38と、を備え、圧縮装置36は、発電装置38から排出される流体が有する熱エネルギーによって消化ガスを圧縮する。
【0082】
具体的に、気体供給システム30は、例えば、発電装置38から排出される流体が有する熱エネルギーを圧縮装置36の駆動エネルギーに変換する変換装置39を有し、圧縮装置36は、変換装置によって変換された駆動エネルギーによって消化ガスを圧縮する。
【0083】
すなわち、本実施の形態における気体供給システム30(発電システム300)は、例えば、発電装置38における発電に伴って発生した温水または蒸気が有する熱エネルギーを用いることによって、圧縮装置36を駆動させる。
【0084】
これにより、本実施の形態における気体供給システム30(発電システム300)は、例えば、圧縮装置36における消化ガスの圧縮においてエネルギーを有効利用することが可能になる。具体的に、気体供給システム30(発電システム300)は、例えば、発電装置38において得られた電力を用いることによって圧縮装置36を駆動させる必要がなくなり、他の用途に活用することができる電力量の減少を抑制することが可能になる。
【0085】
なお、分離装置37において消化ガスから分離されたメタンは、発電装置38における発電の他、例えば、都市ガスの代替燃料や自動車の燃料等として用いられるものであってもよい。
【0086】
また、分離装置37において消化ガスから分離された二酸化炭素は、例えば、メタネーションの原料等として用いられるものであってもよい。そして、メタネーションによって生成されたメタンは、例えば、発電装置38に供給されて発電に用いられるものであってもよい。すなわち、メタネーションによって生成されたメタンは、例えば、分離装置37において消化ガスから分離されたメタンとともに発電に用いられるものであってよい。
【0087】
[第3の実施の形態における発電方法]
次に、第3の実施の形態における発電方法について説明を行う。
【0088】
圧縮装置36は、例えば、消化システム33において発生した消化ガス(混合気体)を圧縮する(
図12のステップS21)。具体的に、圧縮装置36は、例えば、後述するステップS23における発電に伴って排出された蒸気(流体)が有する熱エネルギーによって消化ガスを圧縮する。さらに具体的に、圧縮装置36は、例えば、変換装置39が熱エネルギーから変換した駆動エネルギーを用いることによって消化ガスを圧縮する。
【0089】
そして、分離装置37は、例えば、ステップS21で圧縮した消化ガスからメタン(可燃性気体)を分離する(
図12のステップS22)。
【0090】
その後、発電装置38は、例えば、ステップS22で分離したメタンを燃焼させて生じる熱エネルギーによって発電する(
図12のステップS23)。以下、変換装置39の具体例について説明を行う。
【0091】
[変換装置39の具体例(1)]
図13は、変換装置39の第1の具体例について説明する図である。
【0092】
変換装置39は、
図13に示すように、例えば、圧縮装置36と回転軸36aを介して連結されたタービン39(以下、タービン39aとも呼ぶ)であってもよい。
【0093】
具体的に、タービン39aは、この場合、例えば、発電装置38から供給された蒸気が有する熱エネルギー(発電による廃熱の熱エネルギー)を利用して回転軸36aを回転させる。そして、圧縮装置36は、例えば、タービン39aによる回転軸36aの回転に伴って駆動することにより、消化槽34から供給された消化ガスを圧縮し、圧縮した消化ガスを分離装置37に供給する。
【0094】
このように、本実施の形態における変換装置39は、例えば、発電装置38から排出される流体が有する熱エネルギーによって回転するタービン39aであり、圧縮装置36は、タービン39aの回転に伴って駆動するものであってもよい。
【0095】
これにより、本実施の形態における気体供給システム30は、例えば、タービン39aの回転に伴って発生した駆動エネルギーを活用することで、発電装置38において得られた電力の使用量を低減し消化ガスの圧縮を行うことが可能になる。
【0096】
[変換装置39の具体例(2)]
次に、変換装置39の第2の具体例について説明する図である。
図14及び
図15は、変換装置39の第2の具体例について説明する図である。
【0097】
変換装置39は、
図14に示すように、例えば、発電装置38から供給された蒸気が有する熱エネルギーを利用して発電を行う発電装置39(以下、廃熱発電装置39bとも呼ぶ)であってもよい。
【0098】
廃熱発電装置39bは、
図15に示すように、例えば、発電装置38から供給された蒸気が有する熱エネルギーを回収して電力に変換する機能を有し、例えば、蒸発器51と、タービン52と、発電機53(以下、他の発電機53とも呼ぶ)と、再生器54と、凝縮器55と、ポンプPとを有するものであってよい。そして、蒸発器51、タービン52、再生器54、凝縮器55及びポンプPは、例えば、作動媒体Lを循環させるランキンサイクルやカリーナサイクル等の熱サイクル(以下、単にサイクルとも呼ぶ)を形成するものであってよい。この場合、作動媒体Lは、例えば、水より低沸点のフロン、代替フロン、アンモニアまたはアンモニアと水との混合流体等の低沸点媒体であってよい。
【0099】
ポンプPは、例えば、蒸発器51、蒸気タービン52、再生器54、凝縮器55、再生器54及び蒸発器51から構成されるサイクル内において作動媒体Lを循環させるポンプである。
【0100】
蒸発器51は、例えば、発電装置38から供給された蒸気または温水が有する熱エネルギーによって作動媒体Lを蒸発させる。
【0101】
タービン52は、例えば、蒸気タービンであり、蒸発器51によって生成された作動媒体Lの蒸気によって回転する。そして、蒸気タービン52の回転軸に接続された発電機53は、例えば、蒸気タービン52の回転によって発電を行う。
【0102】
凝縮器55は、例えば、ポンプ(図示しない)によって供給された冷却水によって、タービン52から出力された作動媒体Lの蒸気を凝縮する。そして、凝縮器55は、例えば、凝縮した作動媒体LをポンプPによって再生器54を経由して蒸発器51に供給する。具体的に、再生器54は、この場合、例えば、タービン52から出力された作動媒体Lの蒸気と、凝縮器55によって凝縮済の作動媒体Lとの熱交換を行うことによって、タービン52から出力された作動媒体Lの蒸気を冷却してから凝縮器55に供給する。そして、凝縮器55は、例えば、ポンプ(図示しない)によって供給された冷却水によって、再生器54から供給された作動媒体Lの蒸気を凝縮する。
【0103】
このように、本実施の形態における変換装置39は、例えば、発電装置38から排出される流体が有する熱エネルギーによって発電する廃熱発電装置39bであり、圧縮装置36は、廃熱発電装置39bが発電した電力によって駆動するものであってもよい。
【0104】
これにより、本実施の形態における気体供給システム30は、例えば、廃熱発電装置39bにおいて発電された電力を活用することで、発電装置38において得られた電力の使用量を低減し消化ガスの圧縮を行うことが可能になる。
【0105】
なお、以上説明した第1から第3の実施形態を適宜組み合わせてもよい。また、各種変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1:濃縮装置 2:脱水装置
3:可溶化装置 4:消化槽
5:脱水装置 6:撹拌装置
7a:槽 7b:槽
8:消化システム 10:添加システム
11:濃縮装置 12:脱水装置
13:可溶化装置 14:消化槽
15:脱水装置 18:消化システム
30:気体供給システム 31:濃縮装置
33:消化システム 34:消化槽
35:脱水装置 36:圧縮装置
36a:回転軸 37:分離装置
38:発電装置 39:変換装置
39a:タービン 39b:廃熱発電装置
51:蒸発器 52:タービン
53:発電機 54:凝縮器
55:再生器 100:処理システム
200:処理システム 300:発電システム
AD:添加装置 L:作動媒体
L1:配管 L1a:配管
L1b:配管 L2:配管
L3:配管 L11:配管
L12:配管 L13:配管
L14:配管 L15:配管
L16:配管 P:ポンプ
P1:ポンプ P2:ポンプ
P3:ポンプ P11:ポンプ
P12:ポンプ SP1:供給装置
SP2:供給装置