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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007389
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】体脂肪低減度の予測方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20240110BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023100666
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2022106874
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大里 直樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 亨
(72)【発明者】
【氏名】春日 大輔
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、対象者のポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度を予測する技術に関する。
【解決手段】本発明の一形態に係る体脂肪低減度の予測方法は、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する方法であって、ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測するステップと、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する方法であって、
ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得し、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する
体脂肪低減度の予測方法。
【請求項2】
前記摂取情報に基づいて、前記対象者におけるビタミンB12の摂取量が高いほど、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度が高いと予測する
請求項1に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項3】
前記摂取情報は、前記対象者における、前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と相関するビタミンB12以外の食品成分の摂取量に関する情報をさらに含み、
前記ビタミンB12の摂取量に関する情報と、前記食品成分の摂取量に関する情報とに基づいて、前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する
請求項1又は2に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項4】
前記摂取情報に基づいて前記対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が所定の基準値以上である場合、前記対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値に基づいて前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測し、
前記摂取情報に基づいてビタミンB12の摂取量を示す値が前記所定の基準値未満である場合、前記食品成分の摂取量に関する情報に基づいて、前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する
請求項3に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項5】
前記食品成分は、ビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸から選択された少なくとも一つの成分を含む
請求項3又は4に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項6】
複数の被験者におけるビタミンB12を含む前記食品成分の摂取量に関するデータと、前記複数の被験者における前記ポリフェノールによる体脂肪低減度を示すデータと、を含む学習データにより生成された予測モデルに対して、前記対象者における前記摂取情報を適用し、前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する
請求項1から5のいずれか一項に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項7】
前記ポリフェノールは、非重合体カテキン類を含む
請求項1から6のいずれか一項に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項8】
体脂肪低減度として、内臓脂肪の低減度を予測する
請求項1から7のいずれか一項に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項9】
対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する情報処理装置であって、
ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得する取得部と、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する予測部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項10】
対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測するためのプログラムであって、情報処理装置に、
ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測するステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項11】
対象者のビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する方法であって、
ポリフェノールの摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得し、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する
体脂肪低減度の予測方法。
【請求項12】
前記摂取情報に基づいて前記ポリフェノールの摂取量を示す値が所定の基準値以上である場合、ビタミンB12の摂取量が高いほど、前記対象者の体脂肪低減度が高いと予測する
請求項11に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項13】
前記摂取情報は、前記ポリフェノールの摂取量に関する情報と、前記ビタミンB12の摂取量に関する情報と、を含み、
前記ポリフェノールの摂取量に関する情報と、ビタミンB12の摂取量に関する情報と、に基づいて、前記対象者の体脂肪低減度を予測する
請求項11又は12に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項14】
前記ポリフェノールの摂取量に関する情報と、ビタミンB12の摂取量を仮定する仮定値と、に基づいて、前記対象者の体脂肪低減度を予測する
請求項11から13のいずれか一項に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項15】
複数の被験者における前記ポリフェノール及びビタミンB12の摂取量に関するデータと、前記複数の被験者における体脂肪低減度を示すデータと、を含む学習データにより生成された予測モデルに対して、前記対象者における前記摂取情報を適用し、前記ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する
請求項11から14のいずれか一項に記載の体脂肪低減度の予測方法。
【請求項16】
対象者のビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する情報処理装置であって、
ポリフェノールの摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得する取得部と、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する予測部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項17】
対象者のビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測するためのプログラムであって、情報処理装置に、
ポリフェノールの摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体脂肪低減度の予測方法、並びにそれを実行可能な情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣病を予防して健康を維持する観点から、効率よく体脂肪を低減する方法が模索されている。その一つとして、多様な生理活性を有するポリフェノールの体脂肪低減作用が知られている。例えば特許文献1には、非重合体カテキン類を含有する体脂肪燃焼のための容器詰飲料が開示されている。また、特許文献2には、カカオポリフェノールとカテキンとを質量比5:1~5:8の割合で含有することを特徴とする体脂肪低減剤が開示されている。また、特許文献3には、体脂肪の低減及び/又は蓄積の抑制に有効なホップ由来のポリフェノールを有効成分とする体脂肪調整剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-77026号公報
【特許文献2】特開2012-171916号公報
【特許文献3】国際公開第2005/074961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、データ解析技術の発達等により、個人に即した健康サービスや医療を提供するパーソナライズド・ヘルスケア(Personalized Health Care)が浸透しつつある。そこで、ポリフェノールの摂取に関しても、体脂肪低減度の個人差に着目し、対象者毎の体脂肪低減度を予測できることが好ましい。
【0005】
本発明は、対象者のポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度を予測する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係る体脂肪低減度の予測方法は、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する方法であって、
ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測するステップと、を含む。
【0007】
本発明の他の形態に係る体脂肪低減度の予測方法は、対象者のビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する方法であって、
ポリフェノールの摂取量に関する情報を含む、前記対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、
取得された前記対象者の前記摂取情報に基づいて、前記対象者の前記ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対象者のポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度を予測することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度の予測方法を実現可能な情報処理装置を備えたシステムの構成例を示した図である。
図2】上記情報処理装置のハードウェア構成を示した図である。
図3】上記情報処理装置の機能的構成を示した図である。
図4】上記情報処理装置による、体脂肪低減度の予測処理の流れを示したフローチャートである。
図5】食品成分の摂取量とカテキンの摂取による体脂肪低減度との関係性を示すデータを得るための試験例の結果を示す図であり、カテキン含有飲料を摂取した前後の内臓脂肪変化量(Δ内臓脂肪)と相関を有する食事因子を抽出した結果を示す図である。
図6】上記試験例において、カテキン含有飲料を摂取したアクティブ群の被験者を、ビタミンB12の摂取量を基準として分割したグループ1~4各々におけるΔ内臓脂肪の平均値を示すグラフである。同グラフにおいて、白いバーはアクティブ群の各グループにおける結果を示し、黒いバーはプラセボ群の結果を示す。
図7】上記試験例において、被験者集団のうち、ビタミンB12の一日当たりの平均摂取量が3μg未満のグループIにおいて、Δ内臓脂肪と相関を有する食事因子を抽出した結果を示す図である。
図8】上記試験例において、被験者集団のうち、ビタミンB12の一日当たりの平均摂取量が11μg以上のグループIIにおいて、Δ内臓脂肪と相関を有する食事因子を抽出した結果を示す図である。
図9】上記試験例において、図6のグループ1の被験者を、ビタミンB6の摂取量を基準として分割したグループ1A,1B,1C,1D各々におけるΔ内臓脂肪の平均値を示すグラフである。同グラフにおいて、白いバーはアクティブ群のグループ1における結果を示し、グレーのバーはグループ1A,1B,1C,1D各々における結果を示し、黒いバーはプラセボ群の結果を示す。
図10】本発明の第2実施形態に係る体脂肪低減度の予測処理の流れを示したフローチャートである。
図11】本発明の他の実施形態に係る情報処理装置の機能的構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0011】
<本発明の概要>
本発明は、情報処理装置により、対象者のポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度を予測する技術に関する。従来、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減作用は知られていたが(例えば特許文献1~3参照)、本発明者らは、ポリフェノールの摂取についての介入試験の結果を解析し、実際の体脂肪低減作用にばらつきがあることに着目した。そこで、本発明者らは、後述する試験例において示すように、ポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度と相関を有する食品成分を見出し、本発明を完成するに到った。
【0012】
本発明において、ポリフェノールとは、同一分子内に2個以上のフェノール性水酸基(ベンゼン環,ナフタリン環などの芳香族環に結合した水酸基)をもつ化合物をいい、特に体脂肪を低減する作用を有するものをいう。ポリフェノールの具体例としては、非重合体カテキン類(特許文献1参照)、カカオポリフェノール(特許文献2参照)、ホップ由来のポリフェノール(特許文献3参照)、クロロゲン酸、イソフラボン、オレウロペイン、ヒドロキシチロソール、チロソール、及びフラボノール配糖体、並びにこれらの塩又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。これらのポリフェノールは、体脂肪を低減する作用を有するため、β酸化の活性化に寄与する可能性が示唆されている。
【0013】
本発明の一実施形態において、ポリフェノールは、体脂肪低減作用を十分に得る観点から、非重合体カテキン類を含むことが好ましい。非重合体カテキン類は、体脂肪の燃焼作用、及び当該作用に関するβ酸化遺伝子の発現促進作用が知られている(特許文献1参照)。本発明において、非重合体カテキン類は、例えば、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート等の非エピ体非重合体カテキン類、及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート等のエピ体非重合体カテキン類から選択された少なくとも一種を含む。
【0014】
体脂肪低減のためのポリフェノールの摂取は、所定の期間(例えば2週間以上)における継続的な摂取であることが好ましい。ポリフェノールは、ポリフェノールを含有する一種類の食品から摂取されてもよいし、ポリフェノールを含有する複数の食品を組み合わせて摂取されてもよい。また、ポリフェノールが非重合体カテキン類である場合、体脂肪低減のための1日当たりの摂取量は、好ましくは100mg以上、より好ましくは200mg以上、さらに好ましくは300mg以上、より一層好ましくは400mg以上である。
【0015】
本発明において、体脂肪とは、ヒトを含む哺乳類の体内に蓄えられた脂肪を意味する。体脂肪は、皮膚の下に位置する皮下脂肪と、内臓の周囲に位置する内臓脂肪とを含む。本発明の一実施形態では、体脂肪低減度として内臓脂肪低減度を予測してもよい。生活習慣病と関連性の高い内臓脂肪の低減度を予測することで、生活習慣病の予防により貢献することができる。
【0016】
本発明において、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と相関を有する食品成分は、ビタミンB12を少なくとも含む。ビタミンB12は、シアノコバラミンとも呼ばれ、水溶性ビタミンの一種である。ビタミンB12はβ酸化に関与しており、ビタミンB12の不足によりβ酸化が抑制されることが知られている。ビタミンB12は、魚類、貝類、レバー、卵、畜肉等の動物性食品に多く含まれている。
【0017】
さらに本発明の一実施形態において、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と相関する食品成分は、ビタミンB12以外の食品成分を含んでいることが好ましい。当該食品成分は、例えば、ビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸から選択された少なくとも一つの成分を含んでいるとよいが、これらに限定されない。これらの食品成分は、後述する試験例で示すように、ポリフェノールを摂取した介入試験の被験者集団におけるデータから、統計学的な処理によって抽出されたものであることが好ましい。
【0018】
<第1実施形態>
[システムの構成例]
本発明の第1実施形態に係る情報処理装置は、本発明に係る体脂肪低減度の予測方法を実現可能に構成され、一例として、以下のようなインターネット50を介したシステムを構成する。図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、インターネット50上のサーバ100と、複数のユーザ端末200とを含む。
【0019】
サーバ100は、例えば、ポリフェノールの摂取に関する体脂肪低減度予測サービスを提供可能なウェブサイトの運営者によって運営されるウェブサーバ(情報処理装置)とすることができる。サーバ100は、例えば、複数のユーザ端末200とインターネット50を介して接続されている。
【0020】
ユーザ端末200(200A,200B,200C...)は、体脂肪低減度予測サービスのユーザである対象者により使用される端末とすることができ、例えばスマートフォン、携帯電話、タブレットPC(Personal Computer)、ノートブックPC、デスクトップPC等である。ユーザ端末200は、例えば、サーバ100へアクセスし、サーバ100により生成されたウェブページ等を受信してブラウザ等により画面に表示する。
【0021】
本実施形態では、サーバ100は、ユーザ端末200を使用する対象者から提供された食品成分の摂取情報を基に、各対象者におけるポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する。さらに、本実施形態において、サーバ100は、予測されたポリフェノールの摂取による体脂肪低減度に関する情報を、ユーザ端末200に提供することができる。なお、サーバ100による上記摂取情報の取得方法の例については、後述する。
【0022】
[情報処理装置のハードウェア構成]
図2に示すように、サーバ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0023】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながらサーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータ等のファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0024】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0025】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。
【0026】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。操作受付部17がタッチパネルである場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0027】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ(SSD;Solid State Drive)、その他の固体メモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データが記憶される。
【0028】
本実施形態において、記憶部18は、後述する体脂肪低減度の予測処理に必要なプログラム等の他、対象者情報データベース等のデータベースを有していてもよい。対象者情報データベースは、体脂肪低減度の予測処理において、必要に応じて参照される。
対象者情報データベースは、摂取情報を提供した対象者の属性情報を対象者毎に記憶している。対象者の属性情報としては、特に限定されないが、例えば、氏名(ニックネーム)、対象者を識別するための対象者ID、年齢(年代)、職業、住所(居住エリア)、性別、メールアドレス、といった一般的な情報の他、身長、体重、体脂肪率、BMI等の身体情報や、飲酒量、喫煙習慣、運動習慣等の生活習慣に関する情報を含んでいてもよい。また、対象者情報データベースは、対象者ID毎に、取得された食品成分の摂取情報、又はそれを用いて生成された体脂肪低減度の予測データの少なくとも一方を記憶していてもよい。
なお、対象者情報データベース等のデータベースは、記憶部18ではなくサーバ100に外部接続された記憶装置やサーバに記憶されていてもよい。
【0029】
通信部19は、例えばEthernet用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記ユーザ端末200との間の通信処理を担う。
【0030】
なお、図示しないが、ユーザ端末200の基本的なハードウェア構成も上記サーバ100のハードウェア構成と略同様であり得る。
【0031】
[サーバの機能的構成]
図3に示すように、本実施形態に係るサーバ100は、上記ハードウェア構成によって実現される機能的構成として、取得部101と、予測部102と、情報出力部103と、を有する。取得部101、予測部102、及び情報出力部103の各構成については、ROM12が記憶する情報処理プログラムをRAM13にロードしてCPU11が実行することにより構成される。これらの各部の機能については、後述するサーバ100の動作例において詳細に説明する。
【0032】
[サーバの動作例]
次に、以上のように構成されたサーバ100の動作例について説明する。以下で説明するサーバ100の動作は、サーバ100のCPU11及び通信部19等のハードウェアと、記憶部18に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。本動作例では、サーバ100が、ビタミンB12及びそれ以外の食品成分の摂取量に関する情報に基づいて、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する例について説明する。
【0033】
(取得ステップ(ST01))
図4に示すように、まず取得部101が、対象者における食品成分の摂取情報を取得する(ST01)。具体的に、当該摂取情報は、対象者における体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量に関する情報であり、本動作例においては、対象者におけるビタミンB12の摂取量に関する情報と、ビタミンB12以外の食品成分の摂取量に関する情報とを含む。
【0034】
食品成分の摂取情報は、例えば、食品成分の摂取量を示す値についての情報、又は食品成分の摂取量を推定できる情報のうち、少なくとも一つを含んでいることが好ましい。なお、「食品成分の摂取量」は、所定の期間又は所定の食事回数において摂取する食品成分の摂取量とする。所定の期間又は所定の食事回数の例としては、例えば、1日、1食、1週間等が挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
食品成分の摂取量を示す値についての情報は、例えば、食品成分の摂取量(例えば質量)を直接的に示す情報、又は食品成分の摂取量と相関を有する指標の値についての情報のうち、少なくとも一つを含んでいることが好ましい。食品成分の摂取量と相関を有する指標は、食品成分の摂取量と有意に相関を有することが確認されている指標であって、例えば、当該食品成分と関連する他の食品成分の摂取量、対象者の属性情報若しくは生活習慣に関する指標等であり得る。
【0036】
食品成分の摂取量を推定できる情報は、例えば、対象者の摂取した食品や献立についての情報を含み、例えば、食品や献立の名称及び摂取量、又は食品や献立が認識可能な画像等を含んでいることが好ましい。この場合、サーバ100は、食品や献立中の食品成分量の情報を含む食品成分データベース等を参照することで、当該食品や献立に含まれる食品成分の量を推定することができる。摂取情報として食品や献立についての情報を用いることで、対象者による食品成分の摂取量の算出や入力の負担を軽減することができる。
【0037】
食品成分の摂取情報は、例えば、サーバ100により提供される体脂肪低減予測サービスのウェブページ等を介して、対象者のユーザ端末200からサーバ100に直接入力されてもよい。あるいは、食品成分の摂取情報は、ユーザ端末200以外の情報処理装置からサーバ100に入力されてもよい。この場合、ユーザ端末200以外の情報処理装置は、例えば、上記体脂肪低減予測サービス以外のウェブサービス等に係るサーバであって、ユーザの摂取した食品や献立についての情報から食品成分の摂取量を推定可能に構成されたものでもよい。サーバ100がこのような情報処理装置と連携することにより、既存のアプリケーションを利用して食品成分の摂取量についての情報を容易に取得することができる。
【0038】
(予測ステップ(ST02))
続いて図4に示すように、予測部102が、取得された対象者の摂取情報に基づいて、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する(ST02)。本発明者らは、後述する試験例で示すように、非重合体カテキン類の摂取による体脂肪低減度がビタミンB12の摂取量と正に相関することを見出した。さらに、本発明者らは、ビタミンB12の摂取量が低い場合は、当該体脂肪低減度が他の食品成分とも相関を有することを見出した。これらの結果に基づいて、本動作例における予測部102は、ビタミンB12の摂取量に関する情報と、ビタミンB12以外の体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量に関する情報とに基づいて、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測することができる。複数の食品成分の摂取量を参照することで、予測精度を高めることができる。但し、後述するように、予測部102は、ビタミンB12の摂取量に関する情報のみに基づいて体脂肪低減度を予測することも可能である。なお、本実施形態におけるプログラムは、コンピュータに図4に示すステップを実行させるプログラムであれば良く、図4に示すステップ以外のステップを含むプログラムであっても良い。
【0039】
本実施形態において予測される体脂肪低減度とは、所定の量のポリフェノールを所定の期間継続して摂取した場合の、体脂肪低減量又はその指標を意味する。また、「体脂肪低減度が高い」とは、ポリフェノール摂取後の体脂肪量からポリフェノール摂取前の体脂肪量を減じた体脂肪の変化量がより低くなる、つまり、体脂肪の変化量が負の値で、かつその絶対値がより大きくなることを意味する。例えば、体脂肪低減量は、低減する体脂肪量を示す値で表される。体脂肪量を示す値としては、例えば、体脂肪の体積、所定の断面部位の体脂肪の面積、体脂肪の質量、体脂肪率等が挙げられる。なお、体脂肪の体積及び質量は、所定の部位(例えば腹部周辺)における値であってもよく、全身における合計の値であってもよい。体脂肪低減量の指標は、例えば、体脂肪の低減しやすさを段階的に表した指標であってもよく、例えば、段階的に区切られた体脂肪量を示す値の範囲と対応するものであってもよい。
【0040】
ここで、本ステップの予測処理に用いられる食品成分の摂取量に関する情報は、食品成分の摂取量を示す値についての情報であることが好ましい。このため、取得部101が摂取情報として食事や献立などの情報を取得した場合、予測部102は、この情報に基づいて食品成分の摂取量を推定し、この推定された値を予測処理に用いることができる。
取得部101が取得した摂取情報が対象者の摂取した食品や献立などの情報である、あるいは食品や献立の情報を含んでいる場合、予測部102は、上述のように食品成分データベース等を参照することで、食品成分の摂取量を推定することができる。
【0041】
予測部102による予測処理は、食品成分の摂取量を示す値を所定の基準値と比較する判定処理によって行われてもよい。あるいは、予測部102による予測処理は、被験者集団から得られたデータを用いた機械学習等により生成された予測モデルに基づいて行われてもよい。あるいは、予測部102による予測処理は、判定処理と予測モデルによる処理とを組み合わせて行われてもよい。
【0042】
まず、判定処理による予測処理の例について説明する。例えば、予測部102は、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が所定の基準値以上である場合、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値に基づいてポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測することができる。一例として、ビタミンB12の摂取量を示す値が一日当たりのビタミンB12の摂取量である場合、上記所定の基準値は、好ましくは3μg以上、より好ましくは4μg以上であり、好ましくは6μg以上、より好ましくは11μg以上である。上記基準値の好ましい範囲は、一日当たりのビタミンB12の摂取量におけるものであるが、摂取量測定の単位時間(例えば所定の時間、日、週、月等への変更)や数値の単位等の表現方法の変更に伴って、適宜対応する数値範囲で表現されてもよい。
【0043】
対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が所定の基準値以上である場合、予測部102は、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が高いほど、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度が高いと予測することができる。具体例としては、各体脂肪低減度に対してビタミンB12の摂取量を示す値の範囲が設定されており、当該値が高くなるほど、段階的に体脂肪低減度が高くなるように設定される。この場合、予測部102は、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値がどの体脂肪低減度に属するか判定することで、体脂肪低減度を予測することができる。
【0044】
一方で、予測部102は、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が所定の基準値未満である場合、ビタミンB12以外の食品成分の摂取量に関する情報に基づいて、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測することができる。例えば、ビタミンB12以外の食品成分として体脂肪低減度と正に相関する食品成分を用いる場合、予測部102は、当該食品成分の摂取量を示す値が高いほど、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度が高いと予測することができる。体脂肪低減度と正に相関する食品成分としては、例えばビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸が挙げられる。一方で、ビタミンB12以外の食品成分として体脂肪低減度と負に相関する食品成分を用いる場合は、予測部102は、当該食品成分の摂取量を示す値が低いほど、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度が低いと予測することができる。これらの場合も、例えば、各体脂肪低減度に対して食品成分の摂取量を示す値の範囲が設定されており、予測部102は、対象者における食品成分の摂取量を示す値がどの体脂肪低減度に属するか判定することで、体脂肪低減度を予測することができる。
【0045】
このような判定処理に用いられる判定基準は、例えば、予め被験者集団から得られた、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を示すデータと、食品成分の摂取量を示す値のデータと、の関係性を示すデータに基づいて定めることができる。これらのデータを得るためには、例えば、以下のような試験を行う。まず、所定量のポリフェノールを所定の期間摂取した被験者集団から、摂取期間前後の体脂肪低減度のデータと、体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量を示す値のデータと、を取得する。取得したデータを統計学的に処理することによって、上記関係性を示すデータを生成する。
【0046】
あるいは、予測部102による予測処理は、上記被験者集団から得られたデータを用いた機械学習等により生成された予測モデルに基づいて行われてもよい。具体的に、予測部102は、複数の被験者における、ビタミンB12を含む体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量に関するデータと、複数の被験者における体脂肪低減度を示すデータとを含む学習データにより生成された予測モデルに対して、対象者における摂取情報を適用し、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測することができる。なお、ここで用いる食品成分の摂取量に関するデータは、食品成分の摂取量の値を示すデータが好ましいが、食品成分の摂取量を推定可能なデータであってもよい。予測処理に用いられる機械学習の手法としては、例えば、重回帰分析又はロジスティック回帰分析等の回帰分析、多層パーセプトロン、CNN(Convolutional Neural Network)及びRNN(Recurrent Neural Network)などのニューラルネットワーク、ガウシアンカーネル等の任意のカーネル関数を用いるサポートベクターマシーン、回帰木としてモデル化したランダムフォレスト、隠れマルコフモデルなどを利用したモデル等から選択された少なくとも一つの手法を選択することができる。
【0047】
また、予測部102による予測処理に用いられる予測モデルは、被験者集団に対する試験によって得られたデータに加えて、予測処理において各対象者から得られたデータを用いて生成されたものでもよい。つまり、対象者に対する予測処理によって、予測モデルが更新されるように構成されてもよい。
【0048】
また、予測部102による予測処理が上記判定処理と予測モデルとを組み合わせた手法により行われる場合は、例えば以下のように予測処理を行うことができる。例えば、予測部102は、対象者におけるビタミンB12の摂取量を示す値が所定の基準値以上であるか否かについては上述のような判定処理を行い、その後の体脂肪低減度を予測する処理については、上述のような予測モデルを用いて行うことができる。
【0049】
(情報出力ステップ(ST03))
続いて、図4に示すように、情報出力部103が、対象者における体脂肪低減度の予測結果に関する情報を出力する(ST03)。本ステップにより得られた情報を、摂取情報の提供元の対象者に対して提供しても良い。興味の対象である体脂肪低減度の予測結果に関する情報を提供することによって、対象者の満足度やポリフェノールの摂取に対する信頼感を高めることができる。
【0050】
具体的な動作例として、情報出力部103は、例えば、摂取情報の提供元の各ユーザ端末200へ予測結果に関する情報を送信することができる。情報の送信方法は、例えば電子メールや各種メッセンジャーアプリケーション、又は上記体脂肪低減度予測サービスを提供するウェブサイト上の通知機能等を用いて行うことができる。あるいは、情報出力部103は、予測結果に関する情報をプリンタ等の外部機器に出力してもよい。これにより、対象者に対し、ダイレクトメール等の紙媒体を介して予測結果に関する情報を提供することもできる。
【0051】
情報出力部103により出力される情報は、体脂肪低減度の予測結果に関する情報であれば特に限定されないが、例えば、予測部102による予測結果を示す情報、又は予測結果に関連する情報から選択された少なくとも一つの情報を含んでいることが好ましい。また、当該出力される情報は、上述の情報を表示するウェブページへのアクセス情報を含んでいてもよい。なお、当該出力される情報は、疾病の治療又は診断に関する情報を含まない。
【0052】
予測結果を示す情報としては、例えば、各対象者におけるポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を直接的又は間接的に伝える情報が挙げられる。例えば、予測結果を示す情報は、体脂肪低減量の予測値を示す情報であってもよいし、体脂肪低減量の予測値を段階的に表す体脂肪低減度(例えば、「とても低減しやすい」、「低減しやすい」、「低減しにくい」等)を示す情報であってもよい。
【0053】
予測結果に関連する情報としては、例えば、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と関連する食品成分に関する情報、ポリフェノールに関する情報、体脂肪低減に関するサービスについての情報から選択された少なくとも一つの情報を含んでいてもよい。以下、具体例について説明する。なお、情報出力部103により出力される情報が特定の食品成分、製品及び/又はこれらに関するサービス等の情報を含む場合には、対象者により選択可能な複数の選択肢を含むことが好ましい。
【0054】
ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と関連する食品成分に関する情報としては、例えば、当該食品成分の種類、対象者における当該食品成分の推奨摂取量、当該食品成分を含む食品の種類や製品、それらを推奨する情報等が挙げられる。当該食品成分に関する情報を提供することで、対象者に対し、ポリフェノールと当該食品成分の摂取によって体脂肪が低減するという安心感を与えるとともに、体脂肪低減へのモチベーションを高めることができる。
ポリフェノールに関する情報としては、対象となるポリフェノールの種類、各対象者における当該ポリフェノールの推奨摂取量、当該ポリフェノールが含まれる食品の種類や製品、それらを推奨する情報等が挙げられる。
体脂肪低減に関するサービスは、ポリフェノール及び/又は上記食品成分を含有する食品の摂取プログラムや、それを含む減量プログラム等についての情報を含む。
なお、情報出力部103は、これらの情報をポリフェノールと関係の無い食品の摂取プログラムや、生活改善提案と併せて対象者に提供してもよい。
【0055】
このように、情報出力部103は、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を安定して維持する、又は高めるための情報を提供することができる。これにより、多様な対象者に対して、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減への信頼感やモチベーションを高めることができる。
【0056】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、サーバ100は、従来個人差として認識されてきたポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を客観的に予測することができる。さらに、サーバ100は、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と相関を有する食品成分に関する新たな知見に基づいて、体脂肪の低減をサポートするための情報を提供することもできる。したがって、本実施形態によれば、体脂肪の低減を希望するユーザ(対象者)に対して、効率的で、かつ安定的な体脂肪の低減をサポートでき、生活習慣病の予防及び健康寿命の向上にも貢献することができる。
【0057】
[試験例]
以下、本発明の予測処理に用いられる、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度と、当該体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量と、の関係性を示すデータを得るための試験例について説明する。本試験例において、ポリフェノールは茶に含まれる非重合体カテキン類(以下、「カテキン」)とする。
【0058】
本試験例では、カテキン含有飲料の継続的な摂取を伴う7件の介入試験(比較対象試験)の結果を統計学的に分析し、体脂肪低減量と相関する食品成分の抽出を行った。この介入試験は、いずれもヒトを対象とした臨床試験であり、試験期間は3か月とした。被験者集団は、合計1615名の健常な男女であり、アクティブ群(746名)とプラセボ群(869名)の2群に分割された。アクティブ群は、1本当たり540mgのカテキン含有飲料を摂取する群とした。プラセボ群は、カテキンを含まないカテキン非含有飲料を摂取する群とした。カテキン非含有飲料のカテキン以外の組成は、カテキン含有飲料と実質的に同一とした。被験者は、各飲料を1日1本、3か月間毎日摂取した。
【0059】
試験期間中、各被験者が試験飲料以外に摂取した食事内容を、アンケート調査によって聞き取り、記録した。記録された食事内容の情報に基づいて、各被験者が摂取した食事に含まれる約60種の栄養素及び食品成分の摂取量を、食品成分データベース等を参照して算出した。
【0060】
試験期間の前後で、各被験者の内臓脂肪の変化量を算出した。内臓脂肪量は、CTスキャンによって撮像された呼気時の腹部断層画像を用いて、内臓の周囲に蓄積された脂肪の体積を算出することにより求められた。そして、試験後の内臓脂肪量から、試験前の内臓脂肪量を減じることで、各被験者の内臓脂肪の変化量(Δ内臓脂肪)を算出した。プラセボ群とアクティブ群とのそれぞれのΔ内臓脂肪の平均値を比較すると、アクティブ群の方がΔ内臓脂肪が小さい(つまり内臓脂肪の減少量が大きい)傾向が見られたものの、アクティブ群の被験者の中でもΔ内臓脂肪にばらつきが見られた。
【0061】
そこで、カテキンの他に、Δ内臓脂肪と相関する食事因子を抽出するため、各食品成分及び栄養素の摂取量とΔ内臓脂肪との相関関係を算出した。その結果を図5に示す。図5からわかるように、グレーの背景で示したビタミンB12(VB12)は、相関係数Rが-0.1088,p値が0.0157であり、Δ内臓脂肪と有意に相関する食事因子であることがわかった。
【0062】
さらに、ビタミンB12とΔ内臓脂肪との関係を解析するため、ビタミンB12の摂取量を基準としてアクティブ群の被験者を4つのグループ(グループ1~4)に分割し、各グループにおけるΔ内臓脂肪の平均値と95%信頼区間を算出した。その結果を図6に示す。図6のグラフにおいて、縦軸はΔ内臓脂肪の値を示す。Δ内臓脂肪が正の値の場合は、介入試験により内臓脂肪量が増えたことを表し、Δ内臓脂肪が負の値の場合は、介入試験により内臓脂肪量が減ったことを表す。また、エラーバーは95%信頼区間を示す。アクティブ群のうち、グループ1におけるビタミンB12の一日当たりの摂取量の平均値は2.5μg、グループ2における当該摂取量の平均値は4.8μg、グループ3における当該摂取量の平均値は7.6μg、グループ4における当該摂取量の平均値は14.2μgであった。
【0063】
図6に示すように、アクティブ群のグループ1~4のΔ内臓脂肪は、プラセボ群のΔ内臓脂肪よりも有意に小さくなり、アクティブ群では介入試験によって内臓脂肪が減少したことがわかった。さらに、アクティブ群のグループ1~4では、ビタミンB12の摂取量が多いグループほど、Δ内臓脂肪の絶対値(内臓脂肪の減少量)が大きくなる傾向が見られた。このアクティブ群の各グループの結果に対して傾向検定を行ったところ、P for trendが0.014となった。このことから、グループ1から4に進むに従い、Δ内臓脂肪が単調減少(内臓脂肪の減少量が単調増加)する傾向が確認された。
【0064】
図5及び図6の結果から、ビタミンB12の摂取量がΔ内臓脂肪と有意に相関を有し、カテキンの摂取による内臓脂肪低減度を予測するための重要な指標となることがわかった。つまり、ビタミンB12は、カテキンによるβ酸化の活性化を補助する主要因子であると考えられる。一方で、ビタミンB12の摂取量が少ないグループ1も、プラセボ群と有意差を有する。このことから、ビタミンB12の摂取量が少ない場合は、ビタミンB12以外の因子が内臓脂肪の低減に関与していると考えられる。
【0065】
そこで、被験者集団を、ビタミンB12の一日当たりの平均摂取量が3μg未満のグループIと、当該平均摂取量が11μg以上のグループIIとに分割した。そして、各グループについて、各食品成分及び栄養素の摂取量とΔ内臓脂肪との相関関係を算出し、統計的に有意なものに関しては、重回帰分析を実施した。重回帰分析する際には、目的変数をΔ内臓脂肪、説明変数を、各栄養素の摂取量、性、年齢、ベースライン時の内臓脂肪量とした。グループIの結果を図7に、グループIIの結果を図8に示す。
【0066】
図7に示すように、ビタミンB12の摂取量が少ないグループIでは、Δ内臓脂肪と有意に相関する食事因子として、グレーの背景で示すビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸等が抽出された。一方で、図8に示すように、ビタミンB12の摂取量が多いグループIIでは、Δ内臓脂肪と有意に相関する食事因子が抽出されなかった。このことから、ビタミンB12の摂取量が少ない場合は、ビタミンB12以外の、ビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸といった食品成分が内臓脂肪の低減に寄与していることが示唆された。また、ビタミンB12の摂取量が多い場合は、ビタミンB12以外の食品成分による内臓脂肪低減への寄与は低いと考えられる。
【0067】
さらに、グループIにおいて抽出された食事因子のうち、ビタミンB6を例に挙げ、ビタミンB6の摂取量とΔ内臓脂肪との関係性について確認した。まず、図6におけるグループ1の被験者を、ビタミンB6の一日平均摂取量を基準としてさらに4つのグループ(グループ1A,1B,1C,1D)に分割した。グループ1AにおけるビタミンB6の一日当たりの摂取量の平均値は0.7mg、グループ1Bにおける当該摂取量の平均値は0.9mg、グループ1Cにおける当該摂取量の平均値は1.1mg、グループ1Dにおける当該摂取量の平均値は1.5mgであった。そして、図6と同様の手法により、各グループにおけるΔ内臓脂肪の平均値と95%信頼区間を算出した。その結果を、図9に示す。
【0068】
図9に示すように、ビタミンB6の一日平均摂取量が少ないグループ1AにおけるΔ内臓脂肪の絶対値は、ビタミンB6の一日平均摂取量がより大きいグループ1B,1C,1DのΔ内臓脂肪の絶対値よりも小さくなった。また、グループ1A,1B,1Cでは、ビタミンB6の摂取量が多いグループほど、Δ内臓脂肪の絶対値が大きくなる傾向が見られた。これらの結果から、ビタミンB12及びビタミンB6の一日平均摂取量が少ないと、カテキンの摂取による内臓脂肪低減効果が低いことが確認された。
【0069】
以上の結果から、ビタミンB12がカテキンの摂取による内臓脂肪低減度と有意に相関し、ビタミンB12の摂取量が多いほどカテキンの摂取による内臓脂肪低減度が高くなることがわかった。また、ビタミンB12の摂取量が少ないと、ビタミンB12以外の食品成分(例えばビタミンB6、マグネシウム、リン、パントテン酸、コレステロール、アスパラギン酸)がカテキンの摂取による内臓脂肪低減度と相関を有することがわかった。つまり、ビタミンB12の摂取量のみに基づいて、カテキンの摂取による内臓脂肪低減度を予測することも可能だが、それ以外の食品成分の摂取量を参照することで、内臓脂肪低減度をより精度よく予測できることがわかった。
【0070】
また、本試験例のようなデータに基づいて、カテキン摂取による対象者の内臓脂肪低減度の予測処理における判定基準を決定することもでき、かつ、上記データを学習データとして予測モデルを生成することもできる。
【0071】
<第2実施形態>
[本実施形態の概要]
上述の第1実施形態では、ビタミンB12の摂取量に関する情報を含む摂取情報を取得し、所定の量のポリフェノールを所定の期間継続して摂取した場合の、体脂肪低減量又はその指標を体脂肪低減度として予測する態様について説明した。一方で、試験例で示したような、ポリフェノール及びビタミンB12の摂取量と体脂肪低減度との関係を利用することで、ポリフェノールの摂取量に関する情報を取得して、この情報とビタミンB12の摂取量を示す実測値や仮定値などを用いて、対象者の体脂肪低減度を予測することもできる。なお、本実施形態において、上述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0072】
本発明の第2実施形態に係るシステムは、第1実施形態と同様に、サーバ100と、複数のユーザ端末200と、を含む(図1参照)。サーバ100とユーザ端末200のハードウェア構成は、第1実施形態と同様であり得る(図2参照)。
【0073】
また、サーバ100は、第1実施形態と同様に、上記ハードウェア構成によって実現される機能的構成として、取得部101と、予測部102と、情報出力部103と、を有する(図3参照)。本実施形態では、第1実施形態と、これらの各部の具体的な機能が異なる。
【0074】
[動作例]
次に、本実施形態のサーバ100の動作例について説明する。本動作例では、サーバ100が、ポリフェノールの摂取量に関する情報を含む摂取情報に基づいて、対象者のビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する例について説明する。
【0075】
(取得ステップ(ST11))
図10に示すように、まず取得部101が、対象者における食品成分の摂取情報を取得する(ST11)。具体的に、本動作例において、当該摂取情報は、ポリフェノールの摂取量に関する情報を少なくとも含む。また、当該摂取情報は、ポリフェノール以外のビタミンB12等の食品成分の摂取量を含んでいてもよい。食品成分の摂取情報は、第1実施形態と同様に、例えば、食品成分の摂取量を示す値についての情報、又は食品成分の摂取量を推定できる情報のうち、少なくとも一つを含んでいることが好ましい。
【0076】
例えば、ポリフェノールの摂取量に関する情報は、ポリフェノールを含有する食品(例えばカテキン含有飲料など)の摂取量を示す値についての情報を含んでいてもよい。例えば、当該情報は、所定のポリフェノール含有食品又は飲料の所定期間当たりの摂取量を示す値(例えば所定期間当たりに摂取した食品又は飲料の量、容器数、個数など)を含んでいることが好ましい。また、ポリフェノール以外の食品成分の摂取量に関する情報は、ポリフェノールの摂取量に関する情報と同一の手段で取得されてもよいし、別の手段で取得されてもよい。一例として、ポリフェノールの摂取量に関する情報は、ユーザ端末200から入力され、その他の食品成分の摂取量に関する情報は、栄養管理アプリケーション等を提供する他のサーバから入力されてもよい。
【0077】
(予測ステップ(ST12))
続いて、図10に示すように、予測部102が、取得された対象者の摂取情報に基づいて、ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測する(ST12)。本実施形態において予測される体脂肪低減度は、摂取情報から導出される量のポリフェノールを継続して摂取する場合の、体脂肪低減量又はその指標であることが好ましい。このような観点からは、予測部102が予測する体脂肪低減度は、ポリフェノール及びビタミンB12の摂取による体脂肪低減度とも言い換えることができる。
【0078】
一方で、本実施形態の予測処理に用いられるビタミンB12の摂取量を示す値は、以下に説明するように、摂取情報から算出又は推定されてもよいし、当該摂取量の仮定値を用いてもよい。
【0079】
具体的に、摂取情報がポリフェノールの摂取量に関する情報とビタミンB12の摂取量に関する情報とを含む場合、予測部102は、ポリフェノールの摂取量に関する情報と、ビタミンB12の摂取量に関する情報と、に基づいて、対象者の体脂肪低減度を予測することができる。この場合において、ポリフェノール及びビタミンB12の摂取量を示す値は、それぞれ、摂取情報から算出又は推定することができる。これにより、対象者の実際の食品成分の摂取状況に応じた体脂肪低減度を予測することができる。
【0080】
また本実施形態において、予測部102は、ポリフェノールの摂取量に関する情報と、ビタミンB12の摂取量を仮定する仮定値と、に基づいて、対象者の体脂肪低減度を予測することができる。ビタミンB12の摂取量の仮定値は、摂取量を示す仮の値として設定された値であり、例えば予め記憶された値などを用いることができる。予測部102は、複数の仮定値を用いて、それぞれに対応する複数の体脂肪低減度を予測してもよい。これにより、ビタミンB12の摂取量の変化による体脂肪低減度の変化を予測することができる。
【0081】
仮定値を用いる場合において、摂取情報は、ビタミンB12の摂取量に関する情報を含まなくてもよいし、当該情報を含んでいてもよい。後者の場合、予測部102は、摂取情報から導出されるビタミンB12の摂取量を示す値と、それとは異なる仮定値と、を用いて体脂肪低減度の変化を予測するができる。
【0082】
予測部102による予測処理は、第1実施形態と同様に、食品成分の摂取量を示す値を所定の基準値と比較する判定処理、機械学習等により生成された予測モデル、又はこれらを組み合わせた処理などによって行うことができる。
【0083】
例えば、上述の試験例で図6を用いて説明したように、ポリフェノール(例えば非重合カテキン類)を所定量以上摂取している場合、ビタミンB12の摂取量と体脂肪低減度は正に相関する。このため、予測部102は、摂取情報に基づいて、ポリフェノールの摂取量を示す値が所定の基準値以上である場合、ビタミンB12の摂取量が高いほど、対象者の体脂肪低減度が高いと予測することができる。例えば、ポリフェノールが非重合体カテキン類である場合、当該基準値は、好ましくは250mg以上、より好ましくは300mg以上、さらに好ましくは400mg以上、より一層好ましくは540mg以上であり、好ましくは1500mg以下、より好ましくは1000mg以下、さらに好ましくは750mg以下である。一方、予測部102は、ポリフェノールの摂取量を示す値が所定の基準値未満である場合、例えば、対象者の体脂肪低減度が相対的に低いと予測することができる。
【0084】
予測モデルを用いた例について、予測部102は、例えば、複数の被験者におけるポリフェノール及びビタミンB12の摂取量に関するデータと、これら複数の被験者における体脂肪低減度を示すデータと、を含む学習データにより生成された予測モデルに対して、対象者における摂取情報を適用し、ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測することができる。予測処理に用いられる機械学習の手法は、第1実施形態で例示したような各種の手法を用いることができる。
【0085】
(情報出力ステップ(ST13))
続いて、図10に示すように、情報出力部103が、対象者における体脂肪低減度の予測結果に関する情報を出力する(ST13)。本ステップは、第1実施形態の情報出力ステップ(ST03)と同様の動作により行われ得る。
【0086】
情報出力部103により出力される情報は、第1実施形態と同様に、体脂肪低減度の予測結果に関する情報であれば特に限定されず、例えば、予測部102による予測結果を示す情報、予測結果に関連する情報、及びこれらの情報を表示するウェブページへのアクセス情報から選択された少なくとも一つの情報を含んでいることが好ましい。なお、当該出力される情報は、疾病の治療又は診断に関する情報を含まない。
【0087】
予測結果を示す情報は、例えば、各対象者におけるビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を直接的又は間接的に伝える情報であることが好ましく、第1実施形態で例示した各種の情報を含んでいてもよい。さらに本実施形態において、ビタミンB12の摂取量を仮定する仮定値を用いて予測処理を行った場合、予測結果を示す情報は、ビタミンB12の摂取量の変化に応じた体脂肪低減度の変化の予測を示す情報を含んでいてもよい。これにより、ビタミンB12の摂取量が多いほど体脂肪低減度が高まることを示すことができ、ビタミンB12の摂取を促すことができると考えられる。特に、摂取情報からポリフェノールを継続的に摂取していると考えられる対象者に対しては、ポリフェノールによる体脂肪低減効果を最大化するための情報を提供することができる。
【0088】
予測結果に関連する情報は、第1実施形態で例示した各種の情報を含んでいてもよい。さらに、本実施形態において、予測結果に関連する情報は、ビタミンB12に関する情報を含んでいることが好ましく、例えば、当該ビタミンB12が含まれる食品の種類や製品、それらを推奨する情報等を含んでいてもよい。これによっても、ビタミンB12の摂取を促すことができる。
【0089】
[本実施形態の作用効果]
以上のように、本実施形態によっても、体脂肪の低減を希望するユーザ(対象者)に対して、効率的で、かつ安定的な体脂肪の低減をサポートでき、生活習慣病の予防及び健康寿命の向上にも貢献することができる。特に、本実施形態では、身近な食品に含まれるビタミンB12の摂取をより効果的に促すことができ、体脂肪の低減をサポートすることができる。
【0090】
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0091】
上述の第1実施形態の動作例では、予測部102が、ビタミンB12の摂取量に関する情報と、ビタミンB12以外の体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量に関する情報とに基づいて、ポリフェノールの摂取による体脂肪低減度を予測する例について説明した。但し、予測部102は、ビタミンB12の摂取量に関する情報のみに基づいて体脂肪低減度を予測してもよい。この場合、予測部102は、摂取情報に基づいて、対象者におけるビタミンB12の摂取量が高いほど、対象者のポリフェノールの摂取による体脂肪低減度が高いと予測することができる。
【0092】
またあるいは、第2実施形態においても、予測部102が、ビタミンB12以外の体脂肪低減度と相関する食品成分の摂取量に関する情報とに基づいて、ビタミンB12の摂取による体脂肪低減度を予測してもよい。この場合、第1実施形態と同様に、予測部102は、ビタミンB12の摂取量を示す値又は仮定値が所定の基準値以上である場合、ビタミンB12の摂取量を示す値又は仮定値に基づいて体脂肪低減度を予測し、ビタミンB12の摂取量を示す値又は仮定値が所定の基準値未満である場合、上記食品成分の摂取量に関する情報に基づいて体脂肪低減度を予測することができる。
【0093】
上述の実施形態では、サーバ100がインターネット50を介して直接ユーザ端末200に接続されるシステムの例を示したが、これに限定されない。例えば、サーバ100は、他の情報処理装置を介して間接的にユーザ端末200と接続されていてもよい。例えば、当該他の情報処理装置は、エンドユーザである対象者向けのサービスの運営者が使用する情報処理装置(サーバ)とすることができ、本発明のサーバ100は、この運営者に対して体脂肪低減度の予測サービスを提供する者の使用するサーバとすることができる。この場合、上記運営者のサーバが、対象者から食品成分の摂取量のデータを取得し、サーバ100にそのデータを送信する。これにより、サーバ100が、特定の食品成分の摂取による対象者の体脂肪低減度を予測し、予測結果のデータを上記運営者のサーバに出力することができる。
【0094】
上述の実施形態では、サーバ100が情報出力部103を備えていたが、これに限定されない。例えばサーバ100は、対象者毎の予測結果を出力せずに、予測結果のデータを記憶部18に記憶し、対象者集団における体脂肪低減度の解析等に用いてもよい。この例において、図11に示すように、サーバ100は、取得部101と、予測部102と、を備え、対象者に対して情報を提供する情報出力部103を有していなくてもよい。
【0095】
さらに、上述の実施形態において、予測処理の対象者は、ユーザ端末200の使用者であったが、これに限定されない。例えば、当該対象者は、ユーザ端末200を使用しない、乳幼児、高齢者、ヒト以外の動物(イヌ、ネコ等の愛玩動物、牛、馬、豚等の家畜等)であってもよい。この場合には、例えば、ユーザ端末200の使用者が、対象者における食品成分の摂取量に関するデータをサーバ100に送信する。また、当該使用者は、サーバ100による予測結果を知ることで、対象者の健康管理に役立てることができる。
【0096】
上述の実施形態では、上記サーバ100は1台のみ示したが、上記サーバ100が実行する処理は、複数のサーバで分散して実行されても構わない。例えば、体脂肪低減度の予測処理と情報出力処理とが別個のサーバで実行されても構わない。
【0097】
さらに、本発明は、ポリフェノール等の摂取による体脂肪低減度の予測方法のみならず、体脂肪の減少を伴う特定のダイエット行為による体脂肪低減度の予測方法を提供することもできる。つまり、本発明の一実施形態に係る、対象者の特定のダイエット行為による体脂肪低減度を予測する方法は、ビタミンB12及び/又はポリフェノールの摂取量に関する情報を含む、対象者における食品成分の摂取情報を取得するステップと、取得された対象者の摂取情報に基づいて、対象者の特定のダイエット行為による体脂肪低減度を予測するステップとを含んでいてもよい。特定のダイエット行為は、β酸化の活性化による体脂肪の減少を伴うものであればよく、例えば、ポリフェノール又はビタミンB12以外の特定の食品成分の摂取、食事制限及び/又は運動行為を含む。特定の食品成分としては、体脂肪の燃焼作用(β酸化の活性作用)が知られているL-カルニチン、その他の成分が挙げられる。食事制限としては、例えば、摂取カロリー制限、糖質制限、脂質制限等が挙げられる。運動行為としては、例えば、ウォーキング、ランニング、水泳、ヨガ等の有酸素運動が挙げられる。
【0098】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「体脂肪低減度の予測方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の少なくとも1つの装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「体脂肪低減度の予測方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる体脂肪低減度の予測方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。
【符号の説明】
【0099】
100 情報処理装置(サーバ)
101 取得部
102 予測部
103 情報出力部
200 ユーザ端末
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