(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073894
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/26 20060101AFI20240523BHJP
B29C 45/03 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B22D17/26 H
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184868
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 悠生
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博成
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AJ08
4F206AR07
4F206JA07
4F206JL02
4F206JM02
4F206JN32
4F206JQ83
4F206JT33
(57)【要約】
【課題】タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めを容易に行うことが可能な成形装置を提供する。
【解決手段】成形装置100は、型締用溝部10aを含むタイバー10と、移動ダイプレート12と、凸状の突出部30を含み、金型Mを閉じた状態で突出部30が型締用溝部10aに噛み合うことによってタイバー10に対する移動ダイプレート12の移動を規制するように構成され、移動ダイプレート12に設けられた一対の型締用割ナット3と、を備え、突出部30は、タイバー10に直交する方向から視て、突出部30の中ではじめに型締用溝部10aの内側に導入される部分である先端部31がタイバー10が延びる方向の両側において先細りするように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状の型締用溝部を含むタイバーと、
移動金型を保持した状態で前記タイバーに沿って移動する移動ダイプレートと、
凸状の突出部を含み、金型を閉じた状態で前記突出部が前記型締用溝部に噛み合うことによって前記タイバーに対する前記移動ダイプレートの移動を規制するように構成され、前記移動ダイプレートに設けられた一対の型締用割ナットと、を備え、
前記突出部は、前記タイバーに直交する方向から視て、前記突出部の中ではじめに前記型締用溝部の内側に導入される部分である先端部が前記タイバーが延びる方向の両側において先細りするように形成されている、成形装置。
【請求項2】
前記型締用割ナットの前記突出部は、前記先端部が弧状に形成されることにより、前記タイバーが延びる方向の両側において先細りするように形成されている、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記型締用割ナットの前記突出部は、前記タイバーに直交する方向から視て、前記先端部の両側に設けられたナット側テーパー面を有し、前記ナット側テーパー面によって前記先端部に向けて先細りするように形成され、
前記タイバーの前記型締用溝部は、前記ナット側テーパー面に対向して略平行に配置されるタイバー側テーパー面を有する、請求項1に記載の成形装置。
【請求項4】
前記タイバーの径方向に対する前記ナット側テーパー面および前記タイバー側テーパー面の各々の傾斜角度は、0度よりも大きく、かつ、10度よりも小さい、請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記タイバーに直交する方向から視て、前記型締用割ナットの前記突出部および前記型締用溝部の各々は、前記型締用割ナットの前記突出部および前記型締用溝部の各々の前記タイバーが延びる方向の中心線に対して、前記タイバーが延びる方向の一方側部分と、他方側部分とが対称となるように形成されている、請求項3に記載の成形装置。
【請求項6】
前記型締用割ナットは、前記タイバーに直交する方向から視て、隣接する前記突出部の間に設けられ、底部分が弧状に形成された凹部を含み、
前記タイバーは、前記タイバーの外周端部に設けられ、前記タイバーに直交する方向から視て、前記型締用割ナットの前記凹部との間に空間部を形成する平坦面を含む、請求項1に記載の成形装置。
【請求項7】
前記タイバーに直交する方向から視て、前記タイバーの前記平坦面の縁部分には、面取部が設けられている、請求項6に記載の成形装置。
【請求項8】
前記型締用割ナットが前記型締用溝部に噛み合う噛合状態において、前記タイバーが延びる方向における前記型締用割ナットの前記突出部と前記型締用溝部との前記突出部の両側の合計の隙間は、0.2mm以上で、かつ、0.5mm以下である、請求項1に記載の成形装置。
【請求項9】
前記型締用割ナットが前記型締用溝部に噛み合う噛合状態において、前記タイバーが延びる方向における前記型締用割ナットの前記突出部と前記型締用溝部との前記突出部の両側の合計の隙間は、前記タイバーの径方向における前記型締用割ナットの前記突出部と前記型締用溝部との隙間よりも小さい、請求項1に記載の成形装置。
【請求項10】
サーボモータと、前記サーボモータにより駆動されて、前記移動ダイプレートとともに前記型締用割ナットを前記タイバーが延びる方向に移動させる移動機構とを含むダイプレート駆動装置と、
前記サーボモータおよび前記移動機構により前記型締用割ナットと前記型締用溝部とが前記タイバーの径方向において対向する所定の位置に前記型締用割ナットを移動させた後、前記サーボモータをオフにした状態で、前記型締用割ナットを前記型締用溝部に噛み合わせる制御を行う制御部とをさらに備える、請求項1に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、型締用割ナットを備える成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、型締用割ナットを備える成形装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、移動金型が取り付けられるプラタンに設けられた一対の割ナットと、溝部を有するタイロッドとを備える成形装置が開示されている。上記割ナットは、溝部に噛み合う突出部を有している。プラタンは、突出部が溝部に噛み合うことによって、タイロッドに対する移動が規制されるように構成されている。突出部は、タイロッドに直交する方向から視て、タイバーが延びる方向の一方側の部分が、突出部の根元の位置から先端部まで、タイバーが延びる方向に直交する方向(タイバーの径方向)に延びている。また、上記溝部は、突出部に対応する凹状に形成されている。すなわち、突出部および溝部の各々は、互いに噛合状態において対向して配置される面であり、タイバーが延びる方向に直交する方向に延びる面を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の成形装置では、突出部および溝部の各々が、互いに噛合状態において対向して配置される面でありタイバーが延びる方向に直交する方向に延びる面を有している。このことから、非噛合状態から噛合状態に移行する際に、突出部が溝部に干渉することがないように、タイバーが延びる方向において突出部を溝部に対して位置決めすることに高い精度が要求される。このため、従来よりタイバーが延びる方向における溝部に対する突出部の位置決めを容易に行えるようにすることが求められている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めを容易に行うことが可能な成形装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における成形装置は、凹状の型締用溝部を含むタイバーと、移動金型を保持した状態でタイバーに沿って移動する移動ダイプレートと、凸状の突出部を含み、金型を閉じた状態で突出部が型締用溝部に噛み合うことによってタイバーに対する移動ダイプレートの移動を規制するように構成され、移動ダイプレートに設けられた一対の型締用割ナットと、を備え、突出部は、タイバーに直交する方向から視て、突出部の中ではじめに型締用溝部の内側に導入される部分である先端部がタイバーが延びる方向の両側において先細りするように形成されている。
【0008】
この発明の一の局面による成形装置では、上記のように、凸状の突出部を含み、金型を閉じた状態で突出部が型締用溝部に噛み合うことによってタイバーに対する移動ダイプレートの移動を規制するように構成され、移動ダイプレートに設けられた一対の型締用割ナットを設け、突出部を、タイバーに直交する方向から視て、先端部がタイバーが延びる方向の両側において先細りするように形成する。これによって、タイバーが延びる方向の両側において突出部の先端部が先細りするように形成されていることから、タイバーが延びる方向の片側においてタイバーが延びる方向に直交する方向に延びる面を突出部が有する従来構成と比較して、突出部が型締用溝部に噛み合わせの際の噛み合いが可能となるタイバーが延びる方向の許容範囲(いわゆる遊び)を大きく確保することができる。すなわち、タイバーが延びる方向において、型締用溝部に対する突出部の噛合位置が目的の位置からずれていたとしても、突出部の先細りするタイバーが延びる方向のいずれの面であってもタイバーに接触させながら噛み合わせを行うことによって、突出部を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。したがって、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めを容易に行うことができる。また、突出部の先細りするタイバーが延びる方向のいずれか一方の面をタイバーに接触させながら噛み合わせを行うことによって、突出部を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができることから、タイバーが延びる方向における突出部と型締用溝部との隙間を小さくすることができる。そのため、噛合状態になった後においてタイバーが延びる方向において突出部の両側にある隙間のうちの一方を詰める際に、タイバーに対して、突出部をほとんど移動(加速)させる必要がないので、隙間が詰められた際に突出部がタイバーに接触した際の衝撃を小さく抑えることができる。なお、上記の通り突出部を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができるので、噛み合わせの際に突出部がタイバーの隣接する型締用溝部の間の凸部分に衝突することを回避することができる。
【0009】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、型締用割ナットの突出部は、先端部が弧状に形成されることにより、タイバーが延びる方向の両側において先細りするように形成されている。このように構成すれば、弧状の先端部によって、タイバーが延びる方向において、噛み合わせの際に突出部を目的の位置により容易に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めをより容易に行うことができる。また、突出部の先端部が尖っている場合と比較して、弧状の先端部によって、突出部の亀裂や割れなどによる破損を抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、型締用割ナットの突出部は、タイバーに直交する方向から視て、先端部の両側に設けられたナット側テーパー面を有し、ナット側テーパー面によって先端部に向けて先細りするように形成され、タイバーの型締用溝部は、ナット側テーパー面に対向して略平行に配置されるタイバー側テーパー面を有する。このように構成すれば、突出部の先端部だけでなく、突出部の先端部に向けて先細りするナット側テーパー面によっても、タイバーが延びる方向において、噛み合わせの際に突出部を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めをより容易に行うことができる。また、互いに略平行なナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面により、型締用割ナットの突出部とタイバーの型締用溝部との接触面積を大きく確保することができる。このため、型締用割ナットおよびタイバーに大きな応力が作用して亀裂や割れなどの破損が発生するのを抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、タイバーの径方向に対するナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面の各々の傾斜角度は、0度よりも大きく、かつ、10度よりも小さい。このように構成すれば、ナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面の各々が比較的小さい傾斜角度に形成されるので、金型への溶湯の射出時において、移動ダイプレートが固定ダイプレートから離れる方向の力を受けた際に、一対の型締用割ナットに対して作用する開き方向の力の成分を小さくすることができる。
【0012】
上記型締用割ナットの突出部がナット側テーパー面を有し、タイバーの型締用溝部がタイバー側テーパー面を有する構成において、好ましくは、タイバーに直交する方向から視て、型締用割ナットの突出部および型締用溝部の各々は、型締用割ナットの突出部および型締用溝部の各々のタイバーが延びる方向の中心線に対して、タイバーが延びる方向の一方側部分と、他方側部分とが対称となるように形成されている。このように構成すれば、タイバーが延びる方向の一方側および他方側のいずれにおいても、噛み合わせの際に突出部を目的の位置に安定して導く(滑り込ませる)ことができる。
【0013】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、型締用割ナットは、タイバーに直交する方向から視て、隣接する突出部の間に設けられ、底部分が弧状に形成された凹部を含み、タイバーは、タイバーの外周端部に設けられ、タイバーに直交する方向から視て、型締用割ナットの凹部との間に空間部を形成する平坦面を含む。このように構成すれば、空間部によって、隣接する突出部の間において、型締用割ナットの突出部とタイバーの型締用溝部とを、ラフに噛み合わせることができる。このため、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めをより容易に行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、タイバーに直交する方向から視て、タイバーの平坦面の縁部分には、面取部が設けられている。このように構成すれば、突出部の先端部だけでなく、タイバーの面取部によっても、タイバーが延びる方向において、噛み合わせの際に突出部を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めをより一層容易に行うことができる。
【0015】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間は、0.2mm以上で、かつ、0.5mm以下である。このように構成すれば、タイバーが延びる方向における突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を比較的小さくすることができるので、金型への溶湯の射出前に行う上記隙間を詰める作業を比較的短い時間で行うことができる。
【0016】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間は、タイバーの径方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との隙間よりも小さい。このように構成すれば、タイバーが延びる方向における突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を比較的小さくすることができるので、金型への溶湯の射出前に行う上記隙間を詰める作業を比較的短い時間で行うことができる。また、噛合状態において、タイバーの径方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との隙間を比較的大きくすることができるので、タイバーの径方向において突出部と型締用溝部とが衝突することを回避することができる。
【0017】
上記一の局面による成形装置において、好ましくは、サーボモータと、サーボモータにより駆動されて、移動ダイプレートとともに型締用割ナットをタイバーが延びる方向に移動させる移動機構とを含むダイプレート駆動装置と、サーボモータおよび移動機構により型締用割ナットと型締用溝部とがタイバーの径方向において対向する所定の位置に型締用割ナットを移動させた後、サーボモータをオフにした状態で、型締用割ナットを型締用溝部に噛み合わせる制御を行う制御部とをさらに備える。このように構成すれば、サーボモータをオフにすることによって、タイバーが延びる方向において突出部の位置が拘束されない状態で噛み合わせを行うことができるので、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めをより容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上記のように、タイバーが延びる方向におけるタイバーの型締用溝部に対する型締用割ナットの突出部の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態による成形装置の全体構成を示した模式的な側面図である。
【
図2】実施形態による成形装置のタイバーおよび型締装置の型締用割ナットを示した斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[実施形態]
図1~
図3を参照して、実施形態による成形装置100の構成について説明する。実施形態による成形装置100は、ダイカストマシンにより構成されている。
【0022】
各図では、タイバー10が延びる方向をX方向により示す。X方向のうち、移動金型M2から固定金型M1を向く方向をX1方向により示し、その反対方向をX2方向により示す。
【0023】
各図では、型締用割ナット3の移動方向をZ方向により示す。Z方向は、X方向に直交する方向であり、上下方向でもある。Z方向のうち、上方をZ1方向により示し、下方をZ2方向により示す。
【0024】
各図では、X方向およびZ方向の両方向に直交する方向をY方向により示す。
【0025】
各図では、タイバー10の径方向(タイバー10に直交する方向)をRにより示す。すなわち、タイバー10の中心線C1に直交する方向をRにより示す。
【0026】
各図では、タイバー10の周方向をROにより示す。
【0027】
(成形装置の概略構成)
図1に示す成形装置100は、固定金型M1に対して移動金型M2を水平方向に往復移動させて成形を行う横型の成形機である。成形装置100は、金型M内のキャビティに溶湯を射出して凝固させることにより成形品を製造するように構成されている。
【0028】
成形装置100は、射出装置101と、金型Mが取り付けられる成形装置本体102と、型締用割ナット3を有する型締装置103と、制御部104とを備えている。
【0029】
型締装置103は、各タイバー10に対して1つずつ設けられている。各型締装置103は、一対の型締用割ナット3を有している。一対の型締用割ナット3は、金型Mを閉じた状態でタイバー10の型締用溝部10aに噛み合うことによってタイバー10に対する移動ダイプレート12の移動を規制するように構成されている。
【0030】
(射出装置の構成)
射出装置101は、筒状のスリーブ101aと、プランジャ101bと、プランジャ駆動装置(図示せず)とを備えている。
【0031】
スリーブ101aは、上部に注湯口101cを有している。スリーブ101aは、金型Mが閉じた状態で、ラドルなどを含む注湯装置によって注湯口101cを介して溶湯が注がれるように構成されている。
【0032】
プランジャ101bは、スリーブ101a内で進退移動可能に構成されている。プランジャ101bは、プランジャ駆動装置によって移動される。プランジャ101bは、スリーブ101aに溶湯が注がれた状態で前進(X2方向に移動)することにより、溶湯を金型M内のキャビティに射出するように構成されている。
【0033】
(成形装置本体の構成)
成形装置本体102は、複数のタイバー10と、固定ダイプレート11と、移動ダイプレート12と、移動ダイプレート12のダイプレート駆動装置13と、離型剤の塗布装置14とを備えている。
【0034】
タイバー10は、凹状の型締用溝部10aを含んでいる。型締用溝部10aは、タイバー10のX2方向の端部に形成されている。型締用溝部10aは、X方向に並ぶように複数設けられている。型締用溝部10aは、タイバー10の周方向に延びている。
【0035】
一例ではあるが、タイバー10の半径r1は80mmである。すなわち、タイバー10の中心線C1からタイバー10の外周面10bまでの距離(r1)は80mmである。
【0036】
固定ダイプレート11は、固定金型M1を保持するように構成されている。一例ではあるが、固定金型M1は、クランプ部材により固定ダイプレート11に固定される。固定ダイプレート11には、上記の射出装置101が設けられている。また、固定ダイプレート11には、型締シリンダ15のシリンダ部15bが一体的に設けられている。また、タイバー10には、型締シリンダ15のピストン部15aが一体的に設けられている。
【0037】
詳細には、型締シリンダ15は、各タイバー10に対して1つずつ設けられている。一例ではあるが、型締シリンダ15は、油圧式のシリンダである。型締シリンダ15は、ピストン部15aと、ピストン部15aを覆う筒状のシリンダ部15bとを有している。ピストン部15aは、タイバー10自体により構成されている。ピストン部15aのヘッド部分は、タイバー10の型締用溝部10a側とは逆側であるX1方向側の端部付近に配置されている。シリンダ部15bは、固定ダイプレート11自体により構成されている。
【0038】
型締シリンダ15は、金型Mを閉じて、一対の型締用割ナット3をZ方向に移動させてタイバー10に噛み合わせた後に、ピストン部15aをX1方向に移動させることによって、金型Mを型締めするように構成されている。詳細には、型締シリンダ15は、ピストン部15aおよび型締用溝部10aを有するタイバー10をX1方向に移動させるように構成されている。これによって、型締シリンダ15は、型締用溝部10aにより一対の型締用割ナット3(移動ダイプレート12)をX1方向に押圧して、溶湯の射出時において、型締用溝部10aにより、固定金型M1から離間する方向に移動ダイプレート12が移動することを規制するように構成されている。
【0039】
移動ダイプレート12は、移動金型M2を保持した状態でタイバー10に沿って移動するように構成されている。一例ではあるが、移動金型M2は、クランプ部材により移動ダイプレート12に固定される。移動ダイプレート12には、型締装置103が設けられている。詳細には、移動ダイプレート12のX2方向側の面には、型締装置103がボルトなどの固定部材により固定されている。
【0040】
ダイプレート駆動装置13は、制御部104によって駆動が制御される。ダイプレート駆動装置13は、移動ダイプレート12を下方から支持しており、タイバー10に沿って移動ダイプレート12をX方向に進退移動させるように構成されている。
【0041】
ダイプレート駆動装置13は、サーボモータ13aと、サーボモータ13aにより駆動される移動機構13bとを備えている。移動機構13bは、上方から移動ダイプレート12が設置されており、移動ダイプレート12とともに型締用割ナット3をタイバー10が延びる方向(X方向)に移動させるように構成されている。移動機構13bは、ボールネジを含んでおり、型締用割ナット3(ダイプレート駆動装置13)をX方向に送る送り機構である。移動機構13bは、サーボモータ13aにより駆動されて、X方向において型締用割ナット3(ダイプレート駆動装置13)を精度よく位置決めすることが可能に構成されている。移動ダイプレート12は、ダイプレート駆動装置13により、
図1に示す型開き位置と、移動金型M2と固定金型M1とが接触または近接する型閉じ位置との間で移動される。
【0042】
ダイプレート駆動装置13は、サーボモータ13aおよび移動機構13bにより、型締用割ナット3と型締用溝部10aとがタイバー10の径方向において対向する所定の位置に、型締用割ナット3を移動させるように構成されている。その後、サーボモータ13aをオフにした状態で、型締装置103は、割ナット駆動部2により型締用割ナット3をZ方向に移動させて型締用溝部10aに噛み合わせるように構成されている。
【0043】
塗布装置14は、ダイプレート駆動装置13によって開かれた状態の金型Mに離型剤を塗布するように構成されている。塗布装置14は、離型剤を噴出する噴射ノズルと、噴射ノズルを移動させるノズル移動装置とを備えている。
【0044】
(型締装置の構成)
型締装置103は、割ナット駆動部2と、一対の型締用割ナット3とを備えている。
【0045】
図2および
図3に示す割ナット駆動部2は、制御部104によって駆動が制御される。一例ではあるが、割ナット駆動部2は、流体駆動式または電気モータ駆動式のシリンダを含んでおり、シリンダの伸縮に伴い割ナット駆動部2をZ方向に移動させるように構成されている。
【0046】
型締用割ナット3は、移動ダイプレート12に一対設けられている。したがって、型締用割ナット3は、ダイプレート駆動装置13によって移動ダイプレート12とともにX方向に移動する。一対の型締用割ナット3は、タイバー10を挟んでZ方向に向かい合うように配置されている。型締用割ナット3は、凸状の突出部30(歯部)を含んでいる。
【0047】
詳細には、突出部30は、タイバー10の外周面10bに向かい合う面に設けられている。突出部30は、タイバー10の中心線C1に向けて突出している。突出部30は、タイバー10の型締用溝部10aと同じピッチPでX方向に並ぶように複数設けられている。ピッチPは、タイバー10が延びる方向(X方向)において隣接する突出部30が繰り返し配置される間隔を意味する。一例ではあるが、ピッチPは、25mmである。
【0048】
突出部30は、タイバー10との噛合状態において、タイバー10の周方向に延びている。型締用割ナット3は、金型Mを閉じた状態で突出部30が型締用溝部10aに噛み合うことによってタイバー10に対する移動ダイプレート12の移動を規制するように構成されている。
【0049】
図3を参照して、突出部30は、タイバー10に直交する方向から視て、突出部30の中ではじめに型締用溝部10aの内側に導入される部分である先端部31が、タイバー10が延びる方向(X方向)の両側において先細りするように形成されている。
【0050】
型締用割ナット3の突出部30は、先端部31が弧状に形成されることにより、タイバー10が延びる方向の両側において先細りするように形成されている。詳細には、型締用割ナット3の突出部30は、先端部31が円弧状に形成されている。「円弧状」とは、真円形状だけではなく、真円に沿った真円に近い形状(楕円状など)も含む。
【0051】
一例ではあるが、突出部30の円弧状の先端部31の半径r2は、6.0mmである。なお、タイバー10に直交する方向(R方向)から視て、突出部30の先端部31は、最もタイバー10の中心線C1に近い位置である先端位置に、中心線C1と平行となるストレート面を僅かに有している。なお、突出部は、ストレート面を有していなくてもよい。
【0052】
突出部30が噛み合うタイバー10の型締用溝部10aは、突出部30と略相似状に形成されている。詳細には、型締用溝部10aは、突出部30の先端部31と同様に円弧状の凹部として形成されている。一例ではあるが、円弧状の型締用溝部10aの半径r3は、5.8mmである。なお、半径r3は、半径r2よりも大きくてもよい。
【0053】
型締用割ナット3の突出部30は、タイバー10に直交する方向(R方向)から視て、先端部31の両側に設けられたナット側テーパー面32を有している。突出部30は、ナット側テーパー面32によって先端部31に向けて先細りするように形成されている。タイバー10の径方向に対するナット側テーパー面32の傾斜角度θは、0度よりも大きく、かつ、10度よりも小さい。具体的な一例ではあるが、傾斜角度θは、2度である。
【0054】
また、タイバー10の型締用溝部10aは、噛合状態において、ナット側テーパー面32に対向して略平行に配置されるタイバー側テーパー面10cを有している。タイバー10の径方向(R方向)に対するタイバー側テーパー面10cの傾斜角度は、ナット側テーパー面32の傾斜角度θと同様である。
【0055】
タイバー10に直交する方向(R方向)から視て、型締用割ナット3の突出部30は、型締用割ナット3の突出部30のタイバー10が延びる方向の中心線C2に対して、タイバー10が延びる方向(X方向)の一方側部分A1と、他方側部分A2とが対称となるように形成されている。要するに、
図3に示すように、X方向が左右に延びる図において、突出部30は、左右均等な凸状に形成されている。
【0056】
同様に、タイバー10に直交する方向(R方向)から視て、型締用溝部10aは、型締用溝部10aのタイバー10が延びる方向(X方向)の中心線C2に対して、タイバー10が延びる方向の一方側部分B1と、他方側部分B2とが対称となるように形成されている。要するに、
図3に示すように、X方向が左右に延びる図において、型締用溝部10aは、左右均等な凹状に形成されている。
【0057】
タイバー10の隣接する突出部30の間には、空間部Sが形成されている。詳細には、型締用割ナット3は、タイバー10に直交する方向(R方向)から視て、隣接する突出部30の間に設けられ、底部分が円弧状に形成された凹部33を含んでいる。タイバー10は、タイバー10の外周端部に設けられ、タイバー10に直交する方向から視て、型締用割ナット3の凹部33との間に空間部Sを形成する平坦面10dを含んでいる。
【0058】
タイバー10に直交する方向から視て、タイバー10の平坦面10dの縁部分(X方向の両端部分)には、面取部10eが設けられている。一例ではあるが、面取部10eは、R面取りにより形成されている。一例ではあるが、面取部10eの半径r4は、0.5mmである。
【0059】
型締用割ナット3が型締用溝部10aに噛み合う噛合状態において、型締用割ナット3と型締用溝部10aとの間には隙間が形成される。
【0060】
詳細には、一例ではあるが、噛合状態において、タイバー10が延びる方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1(=L1a+L1b)は、0.2mm以上で、かつ、0.5mm以下である。具体的な一例ではあるが、隙間L1は0.3mmである。
【0061】
また、噛合状態において、タイバー10が延びる方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1は、タイバー10の径方向(R方向)における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの隙間L2よりも小さい。具体的な一例ではあるが、隙間L1が0.3mmである場合、隙間L2は0.5mmである。
【0062】
(制御部の構成)
一例ではあるが、制御部104は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリなどを含んでおり、制御盤として構成されている。制御部104は、ダイプレート駆動装置13および型締装置103の駆動を制御するように構成されている。
【0063】
詳細には、制御部104は、ダイプレート駆動装置13のサーボモータ13aおよび移動機構13bにより型締用割ナット3と型締用溝部10aとがタイバー10の径方向(R方向)において対向する所定の位置に型締用割ナット3を移動させた後、サーボモータ13aをオフにした状態で、型締装置103の割ナット駆動部2により型締用割ナット3を型締用溝部10aに噛み合わせる制御を行うように構成されている。
【0064】
(型締用割ナットと型締用溝部との噛み合わせの方法)
図1および
図3を参照して、型締用割ナット3と型締用溝部10aとを噛み合わせる際の手順について説明する。
【0065】
まず、型締用割ナット3と型締用溝部10aとが噛み合っていない非噛合状態において、ダイプレート駆動装置13により、移動ダイプレート12とともに型締装置103がX方向に移動される。その結果、タイバー10の径方向(R方向)において、型締用割ナット3と型締用溝部10aとが対向する所定の位置に型締用割ナット3が配置される。
【0066】
次に、ダイプレート駆動装置13のサーボモータ13aがオフ状態にされる。すなわち、サーボモータ13aによって型締用割ナット3のX方向の位置が拘束される状態を解除して、サーボフリーの状態にする。
【0067】
次に、割ナット駆動部2により、非噛合状態から噛合状態に移行する。すなわち、型締用割ナット3(突出部30)をタイバー10の型締用溝部10aに向けてZ方向に移動させる。この際、突出部30は、型締用溝部10aに対して突出部30を配置すべき所定の位置からX方向にずれていたとしても、円弧状の先端部31やX方向両側のナット側テーパー面32を、型締用溝部10aの間の凸部分に接触させることによって、タイバー10が延びる方向において、型締用溝部10aに噛み合う所定の位置に導かれる(滑り込む)。
【0068】
次に、型締シリンダ15により、タイバー10に対して型締用割ナット3がX1方向に僅かに移動されて、隙間L1bが詰められる。この状態で金型Mへの溶湯の射出が行われる。なお、隙間L1bは極めて小さい。このため、型締用割ナット3は型締用溝部10aにほとんど接触している状態であることから、隙間L1bを詰めて隙間L1bがゼロになった際に、型締用割ナット3および型締用溝部10aに加わる衝撃は極めて小さい。
【0069】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0070】
本実施形態では、上記のように、凸状の突出部30を含み、金型Mを閉じた状態で突出部30が型締用溝部10aに噛み合うことによってタイバー10に対する移動ダイプレート12の移動を規制するように構成され、移動ダイプレート12に設けられた一対の型締用割ナット3を設け、突出部30を、タイバー10に直交する方向から視て、先端部31がタイバー10が延びる方向の両側において先細りするように形成する。これによって、タイバー10が延びる方向の両側において突出部30の先端部31が先細りするように形成されていることから、タイバーが延びる方向の片側においてタイバーが延びる方向に直交する方向に延びる面を突出部が有する従来構成と比較して、突出部30が型締用溝部10aに噛み合わせの際の噛み合いが可能となるタイバー10が延びる方向の許容範囲(いわゆる遊び)を大きく確保することができる。すなわち、タイバー10が延びる方向において、型締用溝部10aに対する突出部30の噛合位置が目的の位置からずれていたとしても、突出部30の先細りするタイバー10が延びる方向のいずれの面であってもタイバー10に接触させながら噛み合わせを行うことによって、突出部30を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。したがって、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めを容易に行うことができる。また、突出部30の先細りするタイバー10が延びる方向のいずれか一方の面をタイバー10に接触させながら噛み合わせを行うことによって、突出部30を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができることから、タイバー10が延びる方向における突出部30と型締用溝部10aとの隙間を小さくすることができる。そのため、噛合状態になった後においてタイバー10が延びる方向において突出部30の両側にある隙間L1a、L1bのうちの一方を詰める際に、タイバー10に対して、突出部30をほとんど移動(加速)させる必要がないので、隙間L1bが詰められた際に突出部30がタイバー10に接触した際の衝撃を小さく抑えることができる。なお、上記の通り突出部30を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができるので、噛み合わせの際に突出部がタイバー10の隣接する型締用溝部10aの間の凸部分に衝突することを回避することができる。
【0071】
本実施形態では、上記のように、型締用割ナット3の突出部30は、先端部31が弧状に形成されることにより、タイバー10が延びる方向の両側において先細りするように形成されている。これによって、弧状の先端部31によって、タイバー10が延びる方向において、噛み合わせの際に突出部30を目的の位置により容易に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めをより容易に行うことができる。また、突出部の先端部が尖っている場合と比較して、弧状の先端部31によって、突出部30の亀裂や割れなどによる破損を抑制することができる。
【0072】
本実施形態では、上記のように、型締用割ナット3の突出部30は、タイバー10に直交する方向から視て、先端部31の両側に設けられたナット側テーパー面32を有し、ナット側テーパー面32によって先端部31に向けて先細りするように形成され、タイバー10の型締用溝部10aは、ナット側テーパー面32に対向して略平行に配置されるタイバー側テーパー面10cを有する。これによって、突出部30の先端部31だけでなく、突出部30の先端部31に向けて先細りするナット側テーパー面32によっても、タイバー10が延びる方向において、噛み合わせの際に突出部30を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めをより容易に行うことができる。また、互いに略平行なナット側テーパー面32およびタイバー10側テーパー面により、型締用割ナット3の突出部30とタイバー10の型締用溝部10aとの接触面積を大きく確保することができる。このため、型締用割ナット3およびタイバー10に大きな応力が作用して亀裂や割れなどの破損が発生するのを抑制することができる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、タイバー10の径方向に対するナット側テーパー面32およびタイバー側テーパー面10cの各々の傾斜角度θは、0度よりも大きく、かつ、10度よりも小さい。これによって、ナット側テーパー面32およびタイバー側テーパー面10cの各々が比較的小さい傾斜角度θに形成されるので、金型Mへの溶湯の射出時において、移動ダイプレート12が固定ダイプレート11から離れる方向の力を受けた際に、一対の型締用割ナット3に対して作用する開き方向の力の成分を小さくすることができる。
【0074】
本実施形態では、上記のように、タイバー10に直交する方向から視て、型締用割ナット3の突出部30および型締用溝部10aの各々は、型締用割ナット3の突出部30および型締用溝部10aの各々のタイバー10が延びる方向の中心線C2に対して、タイバー10が延びる方向の一方側部分A1、B1と、他方側部分A2、B2とが対称となるように形成されている。これによって、タイバー10が延びる方向の一方側および他方側のいずれにおいても、噛み合わせの際に突出部30を目的の位置に安定して導く(滑り込ませる)ことができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、型締用割ナット3は、タイバー10に直交する方向から視て、隣接する突出部30の間に設けられ、底部分が弧状に形成された凹部33を含み、タイバー10は、タイバー10の外周端部に設けられ、タイバー10に直交する方向から視て、型締用割ナット3の凹部33との間に空間部Sを形成する平坦面10dを含む。これによって、空間部Sによって、隣接する突出部30の間において、型締用割ナット3の突出部30とタイバー10の型締用溝部10aとを、ラフに噛み合わせることができる。このため、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めをより容易に行うことができる。
【0076】
本実施形態では、上記のように、タイバー10に直交する方向から視て、タイバー10の平坦面10dの縁部分には、面取部10eが設けられている。これによって、突出部30の先端部31だけでなく、タイバー10の面取部10eによっても、タイバー10が延びる方向において、噛み合わせの際に突出部30を目的の位置に導く(滑り込ませる)ことができる。このため、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めをより一層容易に行うことができる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、型締用割ナット3が型締用溝部10aに噛み合う噛合状態において、タイバー10が延びる方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1は、0.2mm以上で、かつ、0.5mm以下である。これによって、タイバー10が延びる方向における突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1を比較的小さくすることができるので、金型Mへの溶湯の射出前に行う上記隙間L1を詰める作業を比較的短い時間で行うことができる。
【0078】
本実施形態では、上記のように、型締用割ナット3が型締用溝部10aに噛み合う噛合状態において、タイバー10が延びる方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1は、タイバー10の径方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの隙間L2よりも小さい。これによって、タイバー10が延びる方向における突出部30と型締用溝部10aとの突出部30の両側の合計の隙間L1を比較的小さくすることができるので、金型Mへの溶湯の射出前に行う上記隙間L1を詰める作業を比較的短い時間で行うことができる。また、噛合状態において、タイバー10の径方向における型締用割ナット3の突出部30と型締用溝部10aとの隙間L2を比較的大きくすることができるので、タイバー10の径方向において突出部30と型締用溝部10aとが衝突することを回避することができる。
【0079】
本実施形態では、上記のように、サーボモータ13aと、サーボモータ13aにより駆動されて、移動ダイプレート12とともに型締用割ナット3をタイバー10が延びる方向に移動させる移動機構13bとを含むダイプレート駆動装置13と、サーボモータ13aおよび移動機構13bにより型締用割ナット3と型締用溝部10aとがタイバー10の径方向において対向する所定の位置に型締用割ナット3を移動させた後、サーボモータ13aをオフにした状態で、型締用割ナット3を型締用溝部10aに噛み合わせる制御を行う制御部104とをさらに備える。これによって、サーボモータ13aをオフにすることによって、タイバー10が延びる方向において突出部30の位置が拘束されない状態で噛み合わせを行うことができるので、タイバー10が延びる方向におけるタイバー10の型締用溝部10aに対する型締用割ナット3の突出部30の位置決めをより容易に行うことができる。
【0080】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0081】
たとえば、上記実施形態では、成形装置を、ダイカストマシンにより構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、成形装置を、樹脂を射出する射出成形装置などにより構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、成形装置を横型の成形装置として構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、成形装置を縦型の成形装置として構成してもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、突出部の先端部を円弧状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、突出部の先端部を楕円形の弧状などに形成してもよい。この他、突出部の先端部を弧状ではなく、傾斜面などとしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、隣接する突出部の間の凹部を円弧状に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、隣接する突出部の間の凹部を楕円形の弧状などに形成してもよい。この他、隣接する突出部の間の凹部を弧状ではなく、傾斜面などとしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、タイバーの径方向に対するナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面の各々の傾斜角度を、0度よりも大きく、かつ、10度よりも小さくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、タイバーの径方向に対するナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面の各々の傾斜角度を、10度以上としてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を、0.2mm以上で、かつ、0.5mm以下とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を、0.2mm未満、または、0.5mmよりも大きくしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を、タイバーの径方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との隙間よりも小さくした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、型締用割ナットが型締用溝部に噛み合う噛合状態において、タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の隙間を、タイバーの径方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との隙間よりも大きく、または、隙間と同じ大きさにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、タイバーに直交する方向から視て、型締用割ナットの突出部および型締用溝部の各々を、中心線C2(
図3参照)に対して、タイバーが延びる方向の一方側部分と、他方側部分とが対称となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、タイバーに直交する方向から視て、型締用割ナットの突出部および型締用溝部の各々を、中心線C2(
図3参照)に対して、非対称としてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、面取部をR面取りにより形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、面取部をC面取りにより形成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
3 型締用割ナット
10 タイバー
10a 型締用溝部
10c タイバー側テーパー面
10e 面取部
10d 平坦面
12 移動ダイプレート
13 ダイプレート駆動装置
13a サーボモータ
13b 移動機構
30 突出部
31 先端部
32 ナット側テーパー面
33 凹部
100 成形装置
104 制御部
A1 (型締用割ナットのタイバーが延びる方向の)一方側部分
A2 (型締用割ナットのタイバーが延びる方向の)他方側部分
B1 (型締用溝部のタイバーが延びる方向の)一方側部分
B2 (型締用溝部のタイバーが延びる方向の)他方側部分
C2 (タイバーの)中心線
L1 (タイバーが延びる方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との突出部の両側の合計の)隙間
L2 (タイバーの径方向における型締用割ナットの突出部と型締用溝部との)隙間
M 金型
M2 移動金型
S 空間部
θ (タイバーの径方向に対するナット側テーパー面およびタイバー側テーパー面の)傾斜角度