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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073911
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A63F5/04 601C
A63F5/04 699
A63F5/04 601A
A63F5/04 601B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184894
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100217984
【弁理士】
【氏名又は名称】川條 英明
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 益治
(72)【発明者】
【氏名】島津 春道
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182DA12
2C182DA40
2C182DA42
2C182DB08
(57)【要約】
【課題】遊技機に収容されている基板に実装されているコネクタに対して、遊技機の背面側から行われる不正行為を防止しうる遊技機を提供する。
【解決手段】遊技機は、特定の基板に実装され、基板ケースから露出しており、長手方向を有する第一コネクタ(コネクタCN25)と、基板ケースの背面側に設けられた板状部材に設けられ、長手方向を有する第一孔(孔部AN1)と、を備え、第一コネクタは、第一孔から所定の距離D1内に配置されており、第一孔の長手方向(ベクトルB1)と第一コネクタの長手方向(ベクトルB3)とが背面視で交差している、ことを特徴とする。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を実行した結果として特典が付与され得る遊技機であって、
前記遊技機の内部に設けられた複数の基板と、
前記複数の基板のうち特定の基板を保護する基板ケースと、
前記特定の基板に実装され、前記基板ケースから露出しており、長手方向を有する第一コネクタと、
前記基板ケースの背面側に設けられた板状部材と、
前記板状部材に設けられ、長手方向を有する第一孔と、
を備え、
前記第一コネクタは、前記第一孔から所定の距離内に配置されており、
前記第一孔の長手方向と前記第一コネクタの長手方向とが背面視で交差している、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機であって、
前記第一コネクタとは異なり、長手方向を有する第二コネクタと、
前記板状部材において、前記第一孔とは異なる位置に設けられ、長手方向を有する第二孔と、
を備え、
前記第二コネクタは、前記第二孔から前記所定の距離内に配置されており、
前記第二コネクタの長手方向と前記第二孔の長手方向とが背面視で成す角度が、前記第一コネクタの長手方向と前記第一孔の長手方向とが背面視で成す角度に比べて小さい、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項2に記載の遊技機であって、
前記第一コネクタの長手方向は、前記第一孔の長手方向及び前記第二孔の長手方向のいずれに対しても背面視で交差している、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の遊技機であって、
前記第一コネクタと前記第一孔との距離が、前記第二コネクタと前記第二孔との距離に比べて大きい、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回胴式遊技機及びパチンコ遊技機等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
回胴式遊技機に代表される遊技機は、複数の基板を収容しており、それぞれの基板が配線ケーブルによって接続されていることが一般的である。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-84435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、遊技機に収容されている基板は基板ケースの中に封入されており、基板に対して直接に接触できないような構造になっており、不正行為の防止が図られている。しかしながら、基板間を接続する配線ケーブルにつながるコネクタは基板ケースから露出しており、そのようなコネクタは、他の部材に比べて不正行為にさらされやすい。
従って、上記のようなコネクタには、不正な接触を防止する為の工夫が別途必要である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、遊技機に収容されている基板に実装されているコネクタに対して、遊技機の背面側から行われる不正行為を防止しうる遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、遊技を実行した結果として特典が付与され得る遊技機であって、前記遊技機の内部に設けられた複数の基板と、前記複数の基板のうち特定の基板を保護する基板ケースと、前記特定の基板に実装され、前記基板ケースから露出しており、長手方向を有する第一コネクタと、前記基板ケースの背面側に設けられた板状部材と、前記板状部材に設けられ、長手方向を有する第一孔と、を備え、前記第一コネクタは、前記第一孔から所定の距離内に配置されており、前記第一孔の長手方向と前記第一コネクタの長手方向とが背面視で交差している、ことを特徴とする遊技機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊技機に収容されている基板に実装されているコネクタに対して、遊技機の背面側から行われる不正行為を防止しうる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】遊技機の正面図である。
図2図1において破線で囲って示す手元領域IIの斜視図である。
図3】前面扉を開放した状態の遊技機を示す図である。
図4】メイン基板等に設けられたコネクタの配置を示す図である。
図5】遊技機の背面図である。
図6】遊技機の電気構成を示すブロック図である。
図7】遊技機の機能構成を示す機能ブロック図である。
図8】右中継基板に実装されているコネクタに関する回路図である。
図9】右中継基板に実装されているコネクタに関する回路図である。
図10】右中継基板に実装されているコネクタに関する回路図である。
図11】右中継基板に実装されているコネクタに関する回路図である。
図12】右中継基板に実装されているコネクタに関する回路図である。
図13】複数の孔と複数のコネクタの位置関係を背面視した場合の模式図である。
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、図1で示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
なお、以降の説明における「有利(有利度)」とは、遊技者に対して有利であることを指し、さらに、特に断りがない限り、いわゆるプレミア画像等の演出上の特典を除き、遊技媒体の獲得量に関して有利であることを指す。ここで、本実施形態における遊技機10は現実の遊技メダル(以下、単に「メダル」と称する)を使用することを前提として説明するので、「遊技媒体」とはメダルのことを意味する。しかしながら、メダルレスの回胴式遊技機(いわゆるスマスロ)によって本発明を実施する場合、「遊技媒体」とは遊技者が保有している持ちメダルを計数した電子データを意味する。
【0010】
<概要>
本実施形態に係る遊技機10の詳細を説明する前に、本実施形態の特徴の概要を説明する。
遊技機10は、遊技を実行した結果として特典が付与され得るものであり、本実施形態では回胴式遊技機を実施例として挙げる。なお、本発明は、パチンコ遊技機によって実施されてもよい。
ここで「特典」とは、遊技媒体の獲得に関して有利な状態をいい、回胴式遊技機においてはビッグボーナスやATモードなどに相当し、パチンコ遊技機においては大当りや確変モードなどに相当する。
【0011】
遊技機10は、以下の構成を備える。
複数の基板は、遊技機10の内部に設けられており、例えば、本実施形態におけるメイン基板100やサブ基板200に相当する。
基板ケースは、上記の複数の基板のうち特定の基板を保護する部材であり、例えば、本実施形態におけるメイン基板100に設けられた基板ケース100Cに相当する。
第一コネクタは、上記の特定の基板に実装され、基板ケースから露出しており、長手方向を有し、例えば、本実施形態におけるメイン基板100に実装されるコネクタCN25等に相当する。
板状部材は、基板ケースの背面側に設けられる部材であり、例えば、本実施形態における背面板97に相当する。
第一孔は、板状部材に設けられ、長手方向を有する孔であり、例えば、本実施形態における背面板97に空けられた孔部AN1に相当する。
【0012】
なお、上記の「長手方向」とは、短手方向の対義語である。
上記の「第一コネクタ」及び「第一孔」は、いずれも長手方向を有する形状であるが、それぞれの形状は必ずしも長方形である必要はなく、孔部AN1のように端部が丸みを帯びている形状や楕円形状であったとしても、おおよそ長手と短手を認識できる形状であれば、それぞれの方向を長手方向及び短手方向である、ものと解釈してよい。
また、上記の「基板ケースの背面側」とは、基板ケース(特定の基板)の位置を基準として、遊技機10の背面側(遊技機10の後方)に存在することを意図した表現であり、基板ケース自体に正面と背面があり、その背面側を指すものではない。
【0013】
上記の第一コネクタは、第一孔から所定の距離内に配置されており、遊技機10は、第一孔の長手方向(図13に図示するベクトルB1)と第一コネクタの長手方向(同図に図示するベクトルB3)とが背面視で交差している、ことを特徴とする。
言い換えれば、第一コネクタは、第一孔との距離が所定の距離を下回るほどに近しく、第一孔から器具等を用いて不正に接触することが可能とも言える。しかしながら、第一孔の長手方向と第一コネクタの長手方向とが背面視で交差している(第一孔と第一コネクタの位置関係がねじれている)ので、それぞれの長手方向が一致している(第一孔と第一コネクタとが沿っている)場合に比べて、第一孔を介する第一コネクタに不正な改変を行うことが困難である。これにより、本実施形態における遊技機10は、第一コネクタに対する不正行為の防止を図っている。
【0014】
上述の特徴を有する遊技機10について、以下の実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0015】
<遊技機10の構造>
まず、図1から図5を用いて、遊技機10の構造について説明する。なお、図1は、遊技機10の正面図であり、図2は、図1において破線で囲って示す手元領域IIの斜視図であり、図3は、前面扉20を開放した状態の遊技機10を示す図である。図4は、メイン基板100等に設けられたコネクタの配置を示す図である。図5は、遊技機10の背面図である。
なお、図3図4では図示省略するが、各基板に設けられたコネクタには、実際には配線コードが付いている。また、図3図4で図示されている各基板に実装されている部品は、本発明の説明に必要なものに限ってその配置を簡略的に示している。従って、図3図4は、各基板に実装されている部品の全てを図示するものではなく、且つ、各基板に実装されている部品の形状を正確に図示するものではない。
【0016】
遊技機10は、図3に示すように、前方側に開口部を有している枠体(以下、外枠90と称する)と、その開口部に対して開閉可能となるように、外枠90の左縁側に対して回動開閉可能に軸支された前面扉20と、を備えている。
【0017】
前面扉20の前面側には、図1または図2で示すように、ベットボタン23と、メニュー選択ボタン24と、状態表示LED25と、スタートレバー26と、ストップボタン27と、メダル投入口31と、精算ボタン32と、メダル返却ボタン33と、ドア錠34と、メダル排出口35と、装飾LED36と、下皿37と、スピーカ口38と、が設けられている。
【0018】
また、前面扉20を開扉するためには、ドア錠34にドアキー(図示省略)を差し込んで、前面扉20と外枠90とをロックさせるロック機構(図示省略)を解除する必要があり、前面扉20を開扉すると、図3で示すように、外枠90の下方空間に備えられた電源装置91が確認できる。なお、本実施形態では、前面扉20が開扉されているか否かを判定するための開扉センサ50が設けられている。
【0019】
外枠90の中央空間に、リール65(65L、65C、65R)を内包している回胴部60が収容されている。
外枠90の上方空間(回胴部60の上方)に、メイン基板100と、右中継基板410と、左中継基板420と、中継基板連結部430と、が収容されている。
また、前面扉20の裏面上方(リール枠64の上方)に、サブ基板200が設けられる。
【0020】
右中継基板410は、主としてメイン基板100とリール65を中継する基板である。
左中継基板420は、主としてサブ基板200とリール65とを中継する基板である。
中継基板連結部430は、右中継基板410及び左中継基板420と連結するドッキングコネクタが設けられた部材であり、当該ドッキングコネクタにより外枠90に設けられている各種装置(例えば、電源装置91やホッパー93等)と、右中継基板410及び左中継基板420と、を電気的に接続する。
【0021】
従って、遊技機10は、遊技機10の内部に設けられた複数の基板(メイン基板100、サブ基板200、右中継基板410及び左中継基板420)を備える、ものと言える。
【0022】
図4に示すとおり、右中継基板410には、少なくともコネクタCN1~CN7とコンデンサC1とが実装されており、左中継基板420には、少なくともコネクタCN11~CN15が実装されており、メイン基板100には、少なくともコネクタCN21~CN25が実装されている。
【0023】
右中継基板410のコネクタCN1は、中継基板連結部430のドッキングコネクタに連結し、外枠90に設けられている装置(電源装置91等)に接続する配線に係るコネクタである。
右中継基板410のコネクタCN2は、メイン基板100のコネクタCN24に接続する配線に係るコネクタである。
右中継基板410のコネクタCN3は、メイン基板100のコネクタCN25に接続する配線に係るコネクタである。
右中継基板410のコネクタCN4~CN6は、それぞれリール65L、リール65C、リール65Rに接続する配線に係るコネクタである。
右中継基板410のコネクタCN7は、開扉センサ50に接続する配線に係るコネクタである。
右中継基板410の配線については、後で改めて説明する。
【0024】
左中継基板420のコネクタCN11は、中継基板連結部430のドッキングコネクタに連結し、外枠90に設けられている装置(電源装置91等)に接続する配線に係るコネクタである。
左中継基板420のコネクタCN12は、前面扉20の裏面に設けられているサブ基板200に接続する配線に係るコネクタである。
左中継基板420のコネクタCN13~15は、それぞれリール65L、リール65C、リール65Rに接続する配線に係るコネクタである。
【0025】
メイン基板100のコネクタCN21~CN23は、前面扉20の裏面に設けられているサブ基板200に接続する配線に係るコネクタである。
メイン基板100のコネクタCN24は、右中継基板410のコネクタCN2に接続する配線に係るコネクタである。
メイン基板100のコネクタCN25は、右中継基板410のコネクタCN3に接続する配線に係るコネクタである。
【0026】
メイン基板100の一部領域は、基板ケース100Cに覆われており、その一部領域に実装されている各種部品(後述するCPU101、RAM102、ROM103、乱数回路104等)が保護されている。
図4に示すとおり、メイン基板100のコネクタCN21~CN25は、基板ケース100Cによって覆われている領域外に配置され、基板ケース100Cから露出している。
【0027】
従って、遊技機10は、複数の基板のうち特定の基板(メイン基板100)を保護する基板ケース(基板ケース100C)と、特定の基板に実装され、基板ケースから露出しており、長手方向を有する第一コネクタ(コネクタCN25等)と、を備えるものと言える。
【0028】
前面扉20の裏面側に設定変更装置48が設けられている。設定変更装置48は、予め定められた設定値のうち一の設定値を設定する設定変更処理、および既に設定されている設定値を確認するための設定確認処理を実行可能である。
ここで、設定値とは、遊技に使用したメダルの数に対して払い出されるメダルの数の期待値を示す出玉率が異なるものであり、本実施形態では、1~6の6段階が存在する。なお、一般的には、設定される設定値が大きくなるほど出玉率が高くなる傾向にあり、本実施形態も同様に、設定値が1から6になるにつれて出玉率が高くなる。
【0029】
遊技機10は、その前面上部に演出表示領域62が形成されており、その前面下部にリール枠64が形成されている。
【0030】
演出表示領域62は、遊技機10に内蔵された演出表示装置63の表示画面であり、遊技機10の遊技に関する演出や情報を表示することができる。なお、演出表示装置63としては、例えば、液晶ディスプレイ型の表示装置等を採用することができ、演出表示領域62に表示される演出は、スピーカ49からの音声出力や装飾LED36の発光と連動しており、遊技者の興趣を好適に喚起させることができる。
【0031】
リール枠64は、遊技機10に内蔵されたリール65(65L、65C、65R)の前面側に形成された窓枠で、内部領域と外部領域とに区画されている。リール枠64の内部領域は空洞または透明部材によって形成されており、当該内部領域を介してリール65のそれぞれの一部が視認可能になっている。
【0032】
ここで、リール65は、リール65L、リール65Cおよびリール65Rから構成され、これらのリールはステッピングモータによって回動可能に構成されている。本実施形態におけるリール65が回動する場合、原則としてリール65は上から下へと回転し、リール65の上から下へ回転する方向を「順方向」、下から上へ回転する方向を「逆方向」と称する場合がある。
また、リール65のそれぞれには、複数種類の図柄が施されており、回転させることによってリール65に施されている図柄が変動表示し、回転しているリール65を停止させることによって図柄が停止表示する。
【0033】
リール65のそれぞれには、リールの回転に伴って移動する検知片(図示省略)が基準位置に対応する位置(後述するブレーキ制御状態における移動分だけ順方向の上流側の位置)に設けられるとともに、リールの回転に伴って移動せず、当該検知片を検知するリールセンサ66が設けられている。
【0034】
リール65の内側には、リール照明基板67が設けられており、リール照明基板67に搭載されているLEDの点灯によってリール65に表している各図柄の視認を容易にしている。すなわち、リール照明基板67に搭載されているLEDは、リール65による図柄表示のバックライトとして機能している。
【0035】
スタートレバー26は、遊技を開始させる契機として遊技者の操作を受け付けることができる。ここで、スタートレバー26に対する遊技者の操作とは、初期状態において前面扉20に対して略垂直に設けられているスタートレバー26をいずれかの方向に倒すことである。
【0036】
スタートレバーセンサ44は、スタートレバー26がオン状態であるかオフ状態であるかを検知することができる。より具体的には、スタートレバーセンサ44は、前面扉20に対して略垂直であるスタートレバー26をオフ状態として検知し、いずれかの方向に倒されているスタートレバー26をオン状態として検知する。
【0037】
なお、本実施形態では、当該遊技で使用されるメダルの数(以下、賭け数)が最大数(本実施形態では、3)に達していない場合、スタートレバー26が操作されたとしても遊技が開始されない。よって、賭け数を最大数に到達させるため、メダル投入口31からメダルを投入して賭け数を増やしたり、遊技機10に貯留されているメダル(以下、クレジット)をベットボタン23の押下によって減算させて賭け数を増やしたりする必要がある。
なお、前回の遊技においてリプレイ役に入賞した場合には、当該遊技において再遊技が作動して前回の遊技における賭け数が今回の遊技における賭け数として設定され、メダル投入口31からのメダル投入や、ベットボタン23の押下によって新たなメダルを賭け数に設定することなく遊技を開始することができる。
また、本実施形態では、賭け数が最大数の状態でスタートレバー26が操作された場合にのみ遊技を開始するが、賭け数が最大数よりも小さくかつ1以上の状態でスタートレバー26が操作された場合に遊技を開始するようにしてもよい。この場合、後述する内部抽選部111において当該賭け数に対応する内部抽選テーブルを使用すればよい。
【0038】
ここで、メダルの貯留とは、遊技者の所有するメダルの一部または全部に代えて、その数に相当する数値(クレジット)を遊技機10の内部で記憶する機能をいう。メダルが貯留される(クレジットが加算される)場合は、例えば、所定数を超えてメダル投入口31からメダルが投入された場合や、払出のある役に入賞した場合等が挙げられる。
なお、クレジットの上限値を超えてメダルが付与された場合、付与されたメダル数のうちの上限値を超えた分に相当する数のメダルがメダル排出口35から下皿37に排出される。
【0039】
また、遊技機10は、上記のベットボタン23として、最大ベットボタン23aと単一ベットボタン23bとを有する。最大ベットボタン23aに対して最大ベットボタンセンサ45a、単一ベットボタン23bに対して単一ベットボタンセンサ45bが設けられ、これらのセンサによってそれぞれのボタンに対する操作を個別に検知される。
最大ベットボタン23aは、1回の操作でクレジットを最大で賭け数の最大数(本実施形態では、3)分減算し、かつ当該減算分を賭け数に加算することで、賭け数を最大数にするボタンである。単一ベットボタン23bは、1回の操作でクレジットを1減算し、かつ賭け数を1加算するボタンである。なお、賭け数が最大数に達している場合には、ベットボタン23のいずれを操作しても、クレジットを減算させて賭け数を加算させることはできない。
【0040】
最大ベットボタン23aは、上記のように操作に応じてクレジットを減算して賭け数を増やす用途(ベットボタン)として用いられる他に、演出の実行契機(演出ボタン)としても用いられる場合がある。
なお、最大ベットボタン23aがベットボタンとして用いられる場合は、賭け数を加算させることが可能な状態に限られるが、最大ベットボタン23aが演出ボタンとして用いられる場合は、当該状態に限らず、例えば、遊技開始前の再遊技作動中や、遊技中等、いずれの状態を採用してもよい。
最大ベットボタン23aが演出ボタンとして用いられる場合に最大ベットボタン23aの押下を検知する演出ボタンセンサ45cが設けられており、最大ベットボタンセンサ45aによる検知とは区別される。
最大ベットボタンセンサ45aがメイン基板100に直接接続されているのに対して、演出ボタンセンサ45cはサブ基板200に直接接続されている点が異なる。
【0041】
また、遊技機10は、上記のベットボタン23の左側に、メニュー選択ボタン24を備える。メニュー選択ボタン24は、十字キーボタン24aと、十字キーボタン24aの中央に位置する決定ボタン24bとで構成されている。
【0042】
メニュー選択ボタン24は、メニュー画面に係る操作を受け付ける構成要素である。ここで、メニュー画面とは、演出表示領域62に表示される遊技機10の操作方法や遊技の解説情報等を示す画面を指す。
遊技者はメニュー選択ボタン24を操作することによってメニュー画面を閲覧することができる。例えば、待機状態(全リールが停止している状態)において決定ボタン24bが押下されると、メニューの一覧とカーソルが演出表示領域62に表示される。遊技者が十字キーボタン24aを操作することによって任意のメニューを示す位置までカーソルを移動し、カーソルがいずれかのメニューを示している場合に遊技者が決定ボタン24bを押下すると当該メニューが演出表示領域62に表示される。
【0043】
十字キーボタン24aに対する操作は十字キーボタンセンサ46aによって検知され、決定ボタン24bに対する操作は決定ボタンセンサ46bによって検知される。より詳細には、十字キーボタンセンサ46aは、十字キーボタン24aがいずれの方向(決定ボタン24bの中心を基準として上下左右のいずれかの方向)に押下されたのかを検知することができる。また、決定ボタンセンサ46bは、決定ボタン24bが押下された旨を検知することができる。
なお、十字キーボタンセンサ46a及び決定ボタンセンサ46bは、上述の演出ボタンセンサ45cと同様に、サブ基板200に直接接続されている。
【0044】
また、遊技機10は、上記のベットボタン23の右側に、投入されたメダル数や貯留されているメダル数等の遊技機10に関する情報を表示する状態表示LED25を備える。状態表示LED25は、状態表示LED基板42に搭載されている複数のLEDまたは7セグメントディスプレイによって構成され、以下の8種類のLEDで構成されている。
1つ目の投入枚数表示LED25aは、3つのLEDによって構成されており、賭け数が一枚増えるごとに、点灯するLEDの数が一つずつ増える。
2つ目の貯留枚数表示LED25bは、2つの7セグメントディスプレイによって構成されており、貯留されているメダルの数(クレジット)を数字で表す。
3つ目の獲得枚数表示LED25cは、2つの7セグメントディスプレイによって構成されており、入賞によって獲得したメダルの数を数字で表す。
4つ目の指示表示LED25dは、2つの7セグメントディスプレイによって構成されており、後述する正解の押し順を特定可能な態様で表示する。なお、指示表示LED25dの態様の詳細は後述する。
5つ目の再遊技表示LED25eは、1つのLEDによって構成されており、遊技においてリプレイが停止表示されると点灯する。
6つ目の遊技開始表示LED25fは、1つのLEDによって構成されており、当該LEDの点灯によって遊技の開始可能条件が成立している旨を表す。
7つ目の投入可能表示LED25gは、1つのLEDによって構成されており、当該LEDの点灯によってメダルの投入が可能である旨を表す。
8つ目の有利モード表示LED25hは、1つのLEDによって構成されており、後述する遊技モード(有利モードの滞在の有無)に対応して点灯する。
【0045】
ストップボタン27は、回転しているリール65が停止するための契機となる遊技者の操作(停止操作)を、遊技者から受け付ける。なお、ストップボタン27は、リール65が回転を開始した後に成立する停止可能条件の成立を契機として、停止操作を受け付けることができる(有効化される)。
ストップボタン27に対する遊技者の操作とは、ストップボタン27を押下することである。また、停止可能条件は、遊技における停止表示を行うための前提条件であり、具体的には、リール65(65L、65C、65R)のすべての回転速度が所定速度に到達し、かつリール65のそれぞれにおける基準位置を検知した場合に成立する条件である。
【0046】
ストップボタン27(27L、27C、27R)のそれぞれは、リール65のそれぞれに対して一つずつ設けられている。具体的には、ストップボタン27Lは、リール65Lを停止させるための停止操作を受け付け、ストップボタン27Cは、リール65Cを停止させるための停止操作を受け付け、ストップボタン27Rは、リール65Rを停止させるための停止操作を受け付ける。
【0047】
ストップボタン27L、ストップボタン27C、ストップボタン27Rが押下された旨を個別に検知するストップボタンセンサ43(43L、43C、43R)が設けられており、ストップボタンセンサ43の検知に応じてリール65のそれぞれに対して回転を停止させる制御が行われる。すなわち、ストップボタン27とストップボタンセンサ43によって、リール65の回転を停止させる契機となる停止操作を検知する。
【0048】
本実施形態におけるストップボタン27は、停止可能表示LED27aを内包し、その周囲を光透過性の部材で覆う構成となっている。そして、ストップボタン27は、停止可能表示LED27aの点灯色で停止可能条件の成立の可否を遊技者に報知する仕様となっている。このように、ストップボタン27の色によって停止可能条件の成立の可否を判断できるので、遊技者は円滑に停止操作を順次行うことができる。
【0049】
また、本実施形態において、リール65の停止位置は、ストップボタン27の押下時におけるリール65の位置を基準として最大引き込みコマ数(最大引き込み範囲と称する場合があり、本実施形態では、4)まで移動しうる。ここで、ストップボタン27を押下してからリール65が停止するまでの制御を、一般的には引き込み制御という。
【0050】
リール枠64のリール65のそれぞれに対応する内部領域は、上下方向に3コマ分の寸法となっている。また、リール65のそれぞれはリール枠64の内部領域の上下方向に3個の図柄が収まるように停止制御され、遊技者は当該3個の図柄をリール枠64の内部領域を介して視認できるようになっている。すなわち、リール65では、リールが左右方向に3つ配置されているので、リール65が停止している場合において、遊技者が3個の図柄×3リール=9個の図柄を視認可能になっている。
【0051】
ここで、リール65のそれぞれにおける上段・中段・下段の内部領域が形成する略直線(図1において一点鎖線で示す)をそれぞれラインL1・ラインL2・ラインL3と称す。
さらに、リール65Lにおける上段の内部領域と、リール65Cにおける中段の内部領域と、リール65Rにおける下段の内部領域が形成する略直線(図1において一点鎖線で示す)をラインL4と称し、リール65Lにおける下段の内部領域と、リール65Cにおける中段の内部領域と、リール65Rにおける上段の内部領域が形成する略直線(図1において一点鎖線で示す)をラインL5と称す。
【0052】
なお、本実施形態では、内部領域におけるラインとして略直線のラインのみを採用しているが、直線に限らず、屈曲したラインを採用してもよい。また、隣接しない領域(例えば、リール65Lにおける上段とリール65Cにおける下段)を含んで形成されるラインを採用してもよい。すなわち、リール65のそれぞれから一図柄分の内部領域を任意に選択して形成されるラインであればどのようなラインを採用してもよい。
【0053】
本実施形態における有効ラインは、ラインL2のみである。ここで、有効ラインとは、当該ライン上に停止された図柄組合せに対して後述する入賞判定が行われるラインである。
なお、有効ラインは、本実施形態のように単一のラインであってもよいし、複数のラインであってもよい。
【0054】
リール65の回転中(遊技の実行中)は、遊技者の関心を惹きつけて遊技興趣を喚起させるため、演出表示領域62に表示される画像、スピーカ49から出力される音声または装飾LED36の点灯や滅灯等によって構成される多様な演出が行われる。
【0055】
各スピーカ49の前方にはスピーカ口38が設けられている。
より具体的には、遊技機の正面から見て右上に位置するスピーカ49aの前方には、スピーカ口38aが設けられ、遊技機の正面から見て左上に位置するスピーカ49bの前方には、スピーカ口38bが設けられ、遊技機の正面から見て左下に位置するスピーカ49cの前方には、スピーカ口38cが設けられ、遊技機の正面から見て右下に位置するスピーカ49dの前方には、スピーカ口38dが設けられている。なお、各スピーカ口38には多数の空洞が設けられており、スピーカ49から出力される音声を適切に出力することができる。
【0056】
装飾LED36は、演出表示領域62またはリール枠64の周囲に以下のように配置されている。
演出表示領域62の右上側には装飾LED36aと装飾LED36bとが配置され、演出表示領域62の左上側には装飾LED36gと装飾LED36hとが配置されている。
演出表示領域62の右下側には装飾LED36cが配置され、演出表示領域62の左下側には装飾LED36fが配置されている。
リール枠64の右下側には装飾LED36dが配置され、リール枠64の左下側には装飾LED36eが配置されている。
演出表示領域62とリール枠64の間には、リール65Rの上方に装飾LED36jが配置され、リール65Cの上方に装飾LED36kが配置され、リール65Lの上方に装飾LED36mが配置されている。
なお、各装飾LED36は、単色で点灯してもよいし、複数色で点灯可能であってもよい。
【0057】
遊技機10は、入賞に対応する図柄の組合せが有効ライン上に停止表示された結果として付与されたメダルの払出処理の実行中にクレジットが上限値に達した場合、上限値を超える分に相当する枚数のメダルをホッパー93から払い出す。また、遊技機10は、精算ボタン32を押下した場合、押下した時点におけるクレジットに相当する枚数のメダルをホッパー93から払い出す。
ここで、ホッパー93に収容されているメダルのメダル排出口35への払い出しは、ホッパー93に内蔵されている払出機構(図示省略)によって実現される。
より具体的には、払出機構は、回動することでメダルを排出するディスク、ディスクを回動させるディスクモータ、ホッパー93から払い出されるメダルに追従して動作するアーム、およびディスクからメダルが払い出される際のアームを検知するアームセンサで構成され、アームセンサで払出枚数に到達するまでディスクモータを回動させることで、払出枚数に相当するメダルをメダル排出口35へ払い出す。
なお、払出枚数に到達していない状態で、アームセンサがメダルを検知してからあらかじめ定められた時間が経過するまでアームセンサがアームを検知しない場合には、ディスクの回動を停止させ、遊技機10はホッパーエラー状態となる。
【0058】
なお、メダルレスの回胴式遊技機(いわゆるスマスロ)によって本発明を実施する場合、上記のホッパー93やメダル排出口35は不要な構成であり、当該回胴式遊技機はこれらの構成が省かれる。
【0059】
図5に示すとおり、遊技機10の背面側(外枠90の後方)には、背面板97が設けられており、遊技機10の内部に収容している各構成を保護している。当然ながら、背面板97は、メイン基板100及びそれを保護する基板ケース100Cの位置を基準とすると、当該基準の背面側に位置する。
背面板97には、主に排熱を目的として、複数の孔(孔部AN1~孔部AN6)が設けられている。背面板97に設けられた孔部AN1~孔部AN6は、いずれも細長い形状になっており、長手方向を有するものと言える。
【0060】
従って、遊技機10は、基板ケースの背面側に設けられた板状部材(背面板97)と、板状部材に設けられ、長手方向を有する第一孔(孔部AN1)及び板状部材において第一孔とは異なる位置に設けられた第二孔(孔部AN2等)と、を備えるものと言える。
【0061】
<遊技機10の電気構成及び機能構成>
次に、図6図7を用いて、本実施形態における遊技機10の電気構成及び機能構成について説明する。ただし、先に説明した図1から図4に図示される構成要素についても言及するので適宜参照されたい。
図6は、遊技機10の電気構成を示すブロック図であり、図7は、遊技機10の機能構成を示すブロック図である。なお、図6及び図7は、説明の便宜上、上記の右中継基板410、左中継基板420、及び中継基板連結部430の記載を省いている。
【0062】
遊技機10は、主要な構成要素としてメイン基板100とサブ基板200とを内蔵している。図6においてメイン基板100またはサブ基板200は単一の電子基板であるかのように図示しているが、必ずしも単一の電子基板である必要はない。すなわち、メイン基板100またはサブ基板200は、複数の電子基板を組み合わせて実現されてもよい。
【0063】
メイン基板100には、CPU101、RAM102、ROM103、および乱数回路104等の電子部品が実装されており、センサや基板等の他の電子部品との接続状況は、図6に示す通りである。メイン基板100は、これらの電子部品や各種センサ40a等の間で授受するデータや制御信号に基づく処理の実行により、主として、遊技の進行に係る制御を実現している。
ここで、各種センサ40aには、上述のスタートレバーセンサ44、ストップボタンセンサ43、最大ベットボタンセンサ45a、単一ベットボタンセンサ45b、リールセンサ66等が含まれる。
【0064】
また、サブ基板200には、CPU201、RAM202、ROM203、および乱数回路204等の電子部品が実装されており、センサや基板等の他の電子部品との接続状況は、図6に示す通りである。サブ基板200は、メイン基板100から一方向通信で接続され、メイン基板100から送信された制御コマンドに基づいて装飾LED基板41、スピーカ49、および演出表示装置63等を制御し、主として、遊技に係る演出の制御(メニュー画面に係る制御を含む)を実現している。
なお、各種センサ40bには、演出ボタンセンサ45c、十字キーボタンセンサ46a、決定ボタンセンサ46b等が含まれる。
【0065】
なお、メイン基板100は、不正改造等の不正行為に対するセキュリティを高めるため、ROMの容量およびRAMの容量に制限が設けられている。一方、サブ基板200には、同様の制限が設けられていない。
【0066】
次に図7を用いてメイン基板100およびサブ基板200の機能構成について説明する。なお、以下の機能構成および各機能構成が有する機能は例示であり、以下に記載されていない機能構成を有していてもよいし、各機能構成において、以下に記載されていない機能を有していてもよい。なお、同図では、説明の便宜上、図6で示したセンサや基板等のメイン基板100およびサブ基板200の外の電子部品も図示している。
【0067】
まず、メイン基板100が有する機能構成には、大別すると、遊技の進行を管理する遊技進行管理部110、遊技に係る状態を管理する状態管理部120、およびメイン通信部130がある。
さらに、遊技進行管理部110は、内部抽選部111、リール制御部112、入賞判定部113、メダル管理部114、および状態表示LED制御部115で構成され、状態管理部120は、設定変更管理部121、遊技状態管理部122、リプレイタイム管理部123、遊技モード管理部124、およびエラー管理部125で構成され、メイン通信部130は、制御コマンド送信部131および外部信号送信部132で構成される。
【0068】
内部抽選部111は、遊技が開始された際に、複数種類の役から当選する役(以下、「当選役」と称する場合がある)を抽選により決定する。
より具体的には、内部抽選部111は、遊技が開始された際に乱数回路104で更新している乱数(本実施形態では2バイト乱数を使用し、その範囲は0~65535)を取得し、取得した乱数に対してROM103に記憶されている内部抽選テーブル(不図示)の抽選値を順次加算し、キャリーが発生した抽選値に対応する役を当選役として決定する。なお、内部抽選部111において「当選役が抽選により決定される」ことを、単に、「当選役が導出される」と表現する場合がある。
【0069】
リール制御部112は、遊技が開始されたことを契機に、前回の遊技におけるリール65の回転開始から当該遊技におけるリール65の回転開始までの時間が所定の遅延時間、いわゆるウェイト時間(本実施形態では、4.1s)の経過を待ってリール65のそれぞれの回転を開始させ、その後、停止操作がなされるごとにリール65のうちの当該停止操作に対応するリールを停止させる等、リール65の回転を個別に制御する。
より具体的に説明すると、リール制御部112は、遊技の進行に応じてリール制御状態(加速制御状態、定速制御状態、引き込み制御状態、ブレーキ制御状態、停止制御状態)をリール65のそれぞれに対して設定し、ROM103に記憶された励磁パターンから現在設定されているリール制御状態に対応する励磁パターンを取得し、取得した励磁パターンに従ってパルス信号を出力する制御を、リールモータ68(ステッピングモータ)のそれぞれに対して行うことで、リール65の回転を個別に制御している。
上記リール制御状態を具体的に説明すると、加速制御状態は、回転が開始されてから所定の速度まで加速させるための励磁パターンに従ってパルス信号が出力される制御状態である。定速制御状態は、加速制御状態が終了してから停止操作がなされるまでの制御状態であって、当該制御状態では、所定の速度を維持するための励磁パターンに従ってパルス信号が出力される。引き込み制御状態は、停止操作がなされてから停止位置まで対応するリールを回転させる制御状態であり、当該制御状態では、定速制御状態と同様に、所定の速度を維持するための励磁パターンに従ってパルス信号が出力される。ブレーキ制御状態は、当該停止位置に到達してから対応するリールを停止させるための励磁パターンに従ってパルス信号が出力される制御状態である。停止制御状態は、対応するリールを現在の位置で維持する制御状態である。
なお、上記リール制御状態の切り替えは、後述するメイン基板100のメインフローにおいて行われ、上記パルス信号の出力は、メイン基板100において所定の間隔(本実施形態では、約2ms)ごとに行われるタイマ割込み処理(図示省略)において行われる。
また、リール制御部112は、リール65のそれぞれを停止させる(引き込み制御状態からブレーキ制御状態に切り替える)にあたり、ROM103に記憶されている停止データから停止させる図柄番号の候補を導出し(または、読み込み)、当該停止操作がなされたタイミングの当該リールの位置(基準ライン上の図柄番号)から最大引き込み範囲(本実施形態では、4コマ)にある図柄番号の候補から一の図柄番号を停止位置として決定する。
ここで、リール65のそれぞれにおける基準ライン上の図柄番号は、タイマ割込み処理においてリールセンサ66によって検知片が検知されるごとに基準位置の図柄番号に補正され、その後のパルス信号の切替回数によって更新される。
また、リール制御部112は、定速制御状態において、前回基準ライン上の図柄番号が補正されてから、所定の時間が経過するまで(所定の回数のパルス信号の切り替えが行われるまで)に基準ライン上の図柄番号が補正されなかった場合には、対応するリールが脱調したと判定し(以下、脱調チェックと称する)、リール制御状態を加速制御状態に設定し、当該リールを再加速させる。
【0070】
入賞判定部113は、当該遊技において有効ライン上に停止表示された図柄の組合せによって役の入賞を判定する入賞判定を行う。
なお、入賞判定を行うにあたり、有効ライン上に停止表示された図柄の組み合わせに加え、当該図柄の組み合わせと当該遊技で導出された役とが一致するか否かの判定を行い、役の入賞を判定するようにしてもよい。
【0071】
メダル管理部114は、上述したクレジットの増減の管理や、上述したホッパー93(払出機構)の制御を行う。
【0072】
状態表示LED制御部115は、上述した状態表示LED25の制御を行う。
【0073】
設定変更管理部121は、設定変更処理、および設定確認処理を行う。
具体的に説明すると、設定変更処理は、電源装置91からの電源供給がOFFの状態からONの状態となる際に設定キースイッチ48aが操作された状態であれば開始され、設定変更スイッチ48bが操作されるごとに、設定値を一定の順序(本実施形態では、1、2、3、4、5、6、1、2・・・)に従って変更し、スタートレバー26が操作された時点での設定値を今回の設定値として確定する処理である。なお、当該処理は、変更中の設定値を設定表示LED48cに表示させる処理も行う。また、設定変更処理では、電源供給がOFFの状態となる前に保持していた情報のすべてを初期化するようにしてもよいし、当該情報の一部のみを維持するようにしてもよい。
また、設定確認処理は、電源供給がONの状態で設定キースイッチ48aが操作されることで開始され、既に設定されている設定値を設定表示LED48cに表示させる処理である。なお、以降の説明では、特に説明がない限り、「既に設定されている設定値」を単に「設定値」として説明する。
なお、本実施形態において、設定変更処理が開始される条件、および設定確認処理が開始される条件のそれぞれに対し、開扉センサ50による前面扉20の開扉を追加してもよい。このようにすることで、不正な設定値の変更や不正な設定値の確認を抑止することができる。
【0074】
遊技状態管理部122は、複数種類の遊技状態の中で移行条件に従って遊技状態を移行させる制御を行う。
なお、本実施形態の説明において、遊技状態、遊技モード、演出モード等について、一の状態(又はモード)から他の状態(又はモード)に切り替わることを、「遷移」と呼称する場合と「移行」と呼称する場合とがあるが、これらは概ね同義として扱う。
【0075】
リプレイタイム管理部123は、複数種類のリプレイタイムの中で移行条件に従って遊技状態を移行させる制御を行う。
【0076】
遊技モード管理部124は、複数種類の遊技モードの中で移行条件に従って遊技モードを移行させる制御を行う。遊技モード管理部124によって管理される遊技モードには、少なくとも通常モード、高確モードおよびATモードの3種類がある。
通常モードは、正解の押し順の報知が実行されない遊技モードである。
高確モードは、滞在中に押し順ベルに対応する正解の押し順の報知が最大1回行われる遊技モードである。
ATモードは、AT役(押し順ベルを含む)に対応する正解の押し順の報知が滞在中に常時実行される遊技モードである。
高確モードにおけるATモード移行抽選に当選する期待度は通常モードにおけるATモード移行抽選よりも高く、高確モードにおいて押し順ベルに対応する正解の押し順が実行可能に構成されている。そのため、ATモードへの移行し易さおよび押し順ベルが導出された遊技におけるベルの入賞し易さのそれぞれの観点から、高確モードは通常モードよりも有利であると言える。
なお、本実施形態では、高確モード及びATモードが有利モードに該当し、いずれかの遊技モードに滞在しているとき、有利モード表示LED25hが点灯するようになっている。
【0077】
エラー管理部125は、上述した各種エラー状態とするか否かの判定に加え、各種センサ40a等の検知結果を利用したエラー状態とするか否かの判定を行い、エラー状態とする旨を決定した場合には、必要に応じて遊技の進行を停止させ、遊技機10をエラー状態とする。
なお、エラー状態とする場合、当該エラー状態の発生を示す制御コマンドの送信準備を行い、制御コマンド送信部131に当該制御コマンドを送信させ、演出デバイス(演出表示領域62、装飾LED36、スピーカ49等)を用いて当該エラー状態の発生を報知するようにしてもよい。
【0078】
本実施形態において、エラー管理部125によって判定されるエラー状態には、例えば、メイン基板100の乱数回路104の更新異常によるメイン基板エラー、不正な電波を検知したことによる電波エラー、収納庫エラーセンサがメダルを検知したことによる満タンエラー、などがある。
【0079】
制御コマンド送信部131は、送信準備がなされた制御コマンドをサブ基板200に向けて送信する処理を行う。
なお、制御コマンドには、エラー状態となった場合に送信される制御コマンドに加え、遊技の進行に合わせて送信される制御コマンド等が存在し、各制御コマンドは、当該制御コマンドの種別を特定可能な情報に加え、当該種別に対応する情報を有している。なお、制御コマンドの具体例については、必要に応じて後述のフローにおける説明で説明する。
また、以降の説明では、制御コマンドの送信準備を行い、制御コマンド送信部131に当該制御コマンドを送信させることを、単に、制御コマンドを送信すると表現する場合がある。
【0080】
外部信号送信部132は、遊技機10の外部にある外部装置(例えば、ホールコンピュータやデータ表示器)に対して遊技機10の内部の状態を示す信号(外端信号)を送信する。
外端信号で送信される情報を具体的に説明すると、当該情報には、一の遊技が開始されたことを示す情報、有利モードが開始されたこと、または有利モードに滞在していることを示す情報、およびエラーが発生したことを示す情報等が挙げられる。
【0081】
次に、サブ基板200が有する機能構成には、大別すると、サブ通信部210、および遊技に係る演出を管理する演出管理部220と、がある。
さらに、サブ通信部210は、制御コマンド受信部211で構成され、演出管理部220は、演出モード管理部221、演出制御部222、演出表示制御部223、音声制御部224、および、装飾LED制御部225で構成される。これらの機能構成の詳細は、以下の通りである。
【0082】
制御コマンド受信部211は、メイン基板100から送信された制御コマンドを受信し、受信した制御コマンドを分析し、当該制御コマンドに含まれている情報を用いてRAM202に記憶されている情報を更新する。
【0083】
演出モード管理部221は、メイン基板100から送信された制御コマンド等に基づいて、連続する複数回の遊技に跨がって滞在しうる複数種類の演出モードを制御する。
本実施形態における演出モードは、主に遊技モード管理部124によって制御される遊技モードに基づいて遷移するものであり、滞在中の遊技モードと演出モードとは原則として対応している。演出モードの遷移は、原則として、演出表示領域62に表示される背景表示の変更を伴うことが多い。
【0084】
演出モード管理部221によって制御される演出モードは、一の遊技モードに対して複数の演出モードが対応付いてもよく、複数の遊技モードに対して一の演出モードが対応付いてもよい。
但し、通常モードに対応付いている演出モードと、有利モード(高確モード及びATモード)に対応付いている演出モードと、は区別されることが好ましい。
【0085】
演出制御部222は、メイン基板100から送信された制御コマンドに加えて、演出モード管理部221により制御される演出モードに基づいて、演出デバイス(演出表示領域62、装飾LED36、スピーカ49等)に行わせる演出の内容を決定する処理を行う。
【0086】
演出表示制御部223は、演出表示装置63に行わせるべき演出がある場合には、ROM203から当該演出に対応するデバイスデータを読み込み、当該デバイスデータを用いて演出表示装置63に演出を行わせる。
【0087】
音声制御部224は、スピーカ49に行わせるべき演出がある場合には、ROM203から当該演出に対応するデバイスデータを読み込み、当該デバイスデータを用いてスピーカ49に演出を行わせる。
【0088】
装飾LED制御部225は、装飾LED基板41に行わせるべき演出がある場合には、ROM203から当該演出に対応するデバイスデータを読み込み、当該デバイスデータを用いて装飾LED基板41に演出を行わせる。
【0089】
<右中継基板410の電気回路>
次に、右中継基板410の電気回路について、図8図12を用いて説明する。また、当該電気回路の説明の為に、上述の図1図7を用いて図示した各構成要素及びその配置に言及することがある。
【0090】
図8は、右中継基板410に実装されているコネクタCN1に関する回路図である。上述したように、コネクタCN1は、中継基板連結部430のドッキングコネクタに接続するコネクタである。
コネクタCN1は、外枠90の内部後方(中継基板連結部430)に設けられたドッキングコネクタに連結するコネクタであり、外枠90や前面扉20に設けられた被制御素子に接続するためのものである。
コネクタCN1は、以下の電気信号を被制御素子から入力するピンを有し、入力した電気信号をメイン基板100に中継する。
(イ)メダル払出の検知センサ(図示省略)に関する電気信号
(ロ)ベットボタン23、スタートレバー26、ストップボタン27の操作に関する電気信号
また、コネクタCN1は、メイン基板100から入力された以下の電気信号を、被制御素子に出力するピンを有する。
(ハ)メダルの払出機構(ホッパー93を含む)を制御する電気信号
(ニ)状態表示LED25や停止可能表示LED27aを制御する電気信号
更に、コネクタCN1は、電源装置91からの電力供給を受けるピン、及び、メイン基板100や回胴部60に対して電力供給するピンを有する。
【0091】
図9は、右中継基板410に実装されているコネクタCN2に関する回路図である。上述したように、コネクタCN2は、メイン基板100(コネクタCN24)に接続されるコネクタである。
コネクタCN2は、メイン基板100のCPU101に供給する電源(5V)のバックアップの為に設けられたものである。
右中継基板410には、上記のバックアップ用のコンデンサC1が実装されており、コネクタCN2は、コンデンサC1とメイン基板100(CPU101)とを接続するピンを有する。
【0092】
図10は、右中継基板410に実装されているコネクタCN3に関する回路図である。上述したように、コネクタCN3は、メイン基板100(コネクタCN25)に接続されるコネクタである。
コネクタCN3は、以下の電気信号をメイン基板100から入力するピンを有し、入力した電気信号を回胴部60や被制御素子に中継する。
(イ)リール65の回転を制御する電気信号
(ロ)メダルの払出機構(ホッパー93を含む)を制御する電気信号
(ハ)状態表示LED25や停止可能表示LED27aを制御する電気信号
また、コネクタCN3は、回胴部60や被制御素子から入力された以下の電気信号を、メイン基板100に出力するピンを有する。
(ニ)リール65の停止位置(リールセンサ66の検知)に関する電気信号
(ホ)メダル払出の検知センサ(図示省略)に関する電気信号
(へ)ベットボタン23、スタートレバー26、ストップボタン27の操作に関する電気信号
【0093】
図11は、右中継基板410に実装されているコネクタCN4に関する回路図である。上述したように、コネクタCN4は、本発明に係る第三コネクタに相当する。
コネクタCN4は、以下の電気信号を回胴部60(リール65L)から入力するピンを有し、入力した電気信号をメイン基板100に中継する。
(イ)リール65の停止位置(リールセンサ66の検知)に関する電気信号
また、コネクタCN4は、メイン基板100から入力された以下の電気信号を、回胴部60(リール65L)に出力するピンを有する。
(ロ)リール65の回転を制御する電気信号
なお、図11に示すとおり、右中継基板410は、メイン基板100によって生成されたリール65の回転を制御する電気信号を、回胴部60で用いる形式に変換するドライバIC1を有している。すなわち、リール65の回転を制御する電気信号は、メイン基板100、コネクタCN3、ドライバIC1、コネクタCN4、回胴部60(リール65L)の順に伝送される。
【0094】
右中継基板410に実装されているコネクタCN5又はコネクタCN6は、概ねコネクタCN4と同様の電気信号の入出力に関するものであり、その接続先がリール65Lであるか、リール65C又はリール65Rであるか、の差異があるのみなので、詳細な説明は割愛する。
【0095】
図12は、右中継基板410に実装されているコネクタCN7に関する回路図である。
コネクタCN7は、開扉センサ50の検知信号を伝送する為に設けられたものである。図3に示すとおり、開扉センサ50は、他の被制御素子と異なり、外枠90の上部空間(回胴部60より上方)に設けられており、他の被制御素子と接続するコネクタCN1とは個別になっている。
【0096】
ここで、図3及び図4に戻って、右中継基板410の構成と、右中継基板410に実装されている各コネクタの配置について整理する。
【0097】
図3に示すとおり、右中継基板410は、外枠90の前後方向に延在しており、略水平になっている。また、右中継基板410は、外枠90の上下方向について回胴部60より上方に延在している。
また、図4に示すとおり、右中継基板410は、外枠90の内部空間の後方(開口部より後方)に設けられている中継基板連結部430のドッキングコネクタに連結する。
ここで、当該ドッキングコネクタと連結されるコネクタCN1は、この連結によって、外枠90に収容されるメダルの払出機構(ホッパー93等)や前面扉20に設けられる状態表示LED25等の被制御素子と電気的に接続される。
【0098】
<背面板97に設けられた孔と各コネクタとの位置関係>
次に、背面板97に設けられた孔と各コネクタとの位置関係について説明する。
図13は、複数の孔(孔部AN1、孔部AN2)と複数のコネクタ(コネクタCN24、コネクタCN25、コネクタCN7)の位置関係を背面視した場合の模式図である。なお、本実施形態における背面板97は不透明な素材であるため、実際に背面板97を背面視したとしても、図13のように見えることはない。
また、図13は、背面板97を背面視した場合を描いたものであり、背面板97に対する垂直方向に関する各構成の間隔(遊技機10の奥行き方向の間隔)は無視したものである。
【0099】
図13に示すとおり、孔部AN1の長手方向であるベクトルB1とコネクタCN25の長手方向であるベクトルB3とは交差する。ベクトルB1とベクトルB3とが成す角度は90度である。すなわち、ベクトルB1とベクトルB3とは直交する。
一方、孔部AN1の長手方向であるベクトルB1とコネクタCN24の長手方向であるベクトルB4とは平行であり、互いに交差しない。
孔部AN1とコネクタCN25の距離D1と、孔部AN1とコネクタCN24の距離D1と、は等しい。なお、本実施形態の説明において、或る部材と他の部材の距離について言及するとき、それぞれの部材の間隔が最短となる位置どうしを比較した際の長さ寸法のことをいう。
従って、第一コネクタ(コネクタCN25)は、第一孔(孔部AN1)から所定の距離D1内に配置されており、第一孔の長手方向(ベクトルB1)と第一コネクタの長手方向(ベクトルB3)とが背面視で交差している、ものと言える。
上記のように、孔部AN1とコネクタCN25とは、互いにねじれの位置関係にあるので、孔部AN1を介したコネクタCN25への接触がより困難になる。特に、同じ距離関係にある孔部AN1を介したコネクタCN24への接触と比較したとき、孔部AN1を介したコネクタCN25への接触の方が、より困難である。
【0100】
図13に示すとおり、孔部AN2の長手方向であるベクトルB2とコネクタCN7の長手方向であるベクトルB5とは交差する。ベクトルB2とベクトルB5とが成す角度は約45度である。
孔部AN2とコネクタCN7の距離D2は、孔部AN1とコネクタCN25の距離D1に比べて短い。
従って、遊技機10は、第一コネクタ(コネクタCN25)とは異なり、長手方向を有する第二コネクタ(コネクタCN7)と、板状部材(背面板97)において、第一孔(孔部AN1)とは異なる位置に設けられ、長手方向を有する第二孔(孔部AN2)と、を備えるものと言える。
そして、第二コネクタは、第二孔から所定の距離内(距離D1より短い距離D2)に配置されており、第二コネクタの長手方向(ベクトルB5)と第二孔の長手方向(ベクトルB2)とが背面視で成す角度(45度)が、第一コネクタの長手方向(ベクトルB3)と第一孔の長手方向(ベクトルB1)とが背面視で成す角度(90度)に比べて小さい、ものと言える。
【0101】
図13に示すとおり、孔部AN1の長手方向であるベクトルB1とコネクタCN24の長手方向であるベクトルB4とはほぼ平行であり、ベクトルB1とベクトルB4とが成す角度は約0度である。
従って、第三コネクタ(コネクタCN24)は、第一孔から所定の距離内(距離D1)に配置されており、第三コネクタの長手方向(ベクトルB4)と第一孔の長手方向(ベクトルB1)とが背面視で成す角度(約0度)が、第一コネクタの長手方向(ベクトルB3)と第一孔の長手方向(ベクトルB1)とが背面視で成す角度(90度)に比べて小さい、ものと言える。
【0102】
本発明は、不正行為の防止を目的として、コネクタの近傍に位置する孔と当該コネクタとをねじれの位置関係とする構造的な特徴により実現されるものであるが、全てのコネクタと孔との関係にこれを適用すると、遊技機10の構造設計が著しく制約され、基板の面積が無用に大きくなったり、背面板97に十分な放熱口を設けることができなくなったり、という弊害が生じうる。
このような弊害を解消するべく、対策不要な孔とコネクタとの関係(孔部AN2とコネクタCN7との関係、並びに、孔部AN1とコネクタCN24の関係)については、互いの長手方向の成す角度が小さくなること(鋭角に交差すること、又は、平行になること)を許容している。これにより、構造設計の自由度を向上させることができる。
【0103】
図13に示すとおり、コネクタCN25の長手方向であるベクトルB3は、孔部AN1の長手方向であるベクトルB1に対しても交差し、孔部AN2の長手方向であるベクトルB2に対しても交差する。
従って、第一コネクタの長手方向(ベクトルB3)は、第一孔の長手方向(ベクトルB1)及び第二孔の長手方向(ベクトルB2)のいずれに対しても背面視で交差している、ものと言える。
上記のように、一部のコネクタ(第二コネクタ)と一部の孔(第二孔)との関係については、互いの長手方向の成す角度が小さくなることを許容するが、特に、不正行為の防止を図る必要があるコネクタ(本実施形態ではコネクタCN25)に対しては、第一コネクタ、第二コネクタの如何に関わらず、ねじれの位置関係にすることによって、不正行為の防止を図ることが望ましい。
【0104】
既に述べたとおり、第一コネクタ(コネクタCN25)と第一孔(孔部AN1)との距離D1が、第二コネクタ(コネクタCN7)と第二孔(孔部AN2)との距離D2に比べて大きい。
上記のように、第一コネクタと第一孔との距離をより大きくとることによって、第一コネクタへの不正行為の防止効果をより高めることができる。
【0105】
図13に示すとおり、孔部AN1とコネクタCN25の距離D1は、孔部AN2とコネクタCN25の距離D3に比べて小さい。また、孔部AN1とコネクタCN25の距離D1は、孔部AN1とコネクタCN7の距離D4に比べて小さい。
従って、第一コネクタ(コネクタCN25)と第一孔(孔部AN1)との距離が、第一コネクタと第二孔(孔部AN2)との距離に比べて小さい、ものと言える。そして、第一コネクタと第一孔との距離が、第二コネクタ(コネクタCN7)と第一孔との距離に比べて小さい、ものと言える。
上記のように、第一コネクタとの距離がより近い第一孔との関係に本発明を適用しているので、本発明をより好適に実施できる。
【0106】
なお、本実施形態において、孔部AN1とコネクタCN25の距離D1は、本発明に係る「所定の距離」に相当する。従って、孔部AN2とコネクタCN25の距離D3、並びに、孔部AN1とコネクタCN7の距離D4は、いずれも本発明に係る「所定の距離」を超えるものである。
本発明に係る「所定の距離」は、本発明の目的に照らして、不正行為が可能な距離以下であれば足りるが、所定の孔からヒトが肉眼で覗き込んだとき、当該孔から対象となるコネクタが視認可能であることがより好ましい。逆に言えば、所定の孔から対象となるコネクタまでの距離が、本発明に係る「所定の距離」を超えるとき、当該孔から当該コネクタを視認することが比較的困難であることが好ましい。
以上を整理すると、第一コネクタ(コネクタCN25)は、第一孔(孔部AN1)を介して視認可能に配置されている一方、第二孔(孔部AN2)を介して視認すると第一孔を介して視認するときより視認困難に配置されている、ものと言える。
そして、第二コネクタ(コネクタCN7)は、第二孔を介して視認可能に配置されている一方、第一孔を介して視認すると第二孔を介して視認するときより視認困難に配置されている、ものと言える。
【0107】
図13に示すとおり、孔部AN1のサイズ(孔部AN1の面積)は、孔部AN2のサイズ(孔部AN2の面積)に比べて大きくなっている。
従って、第一孔(孔部AN1)のサイズが、第二孔(孔部AN2)のサイズに比べて大きく、第一孔を介して近傍のコネクタ(例えば、コネクタCN25)に不正行為を行う方が、第二孔を介して近傍のコネクタ(例えば、コネクタCN7)に不正行為を行うのに比べて容易とも言える。このようになっている第一孔について、本発明を適用しているので、本発明をより好適に実施できる。
【0108】
以上説明したように、本実施形態における遊技機10は、背面板97に設けられた複数の孔と各コネクタとが、上記のような関係になっている。これにより、近接している孔を介してコネクタに不正行為を行うことを防止することができると共に、その不正行為対策に伴って生じる基板設計上の制約とのバランスを図ることができる。
【0109】
<他の変形例>
上述の実施形態は、上述の説明に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
以上の説明で記載されていない変形例について、以下に列挙する。
【0110】
本発明は、遊技を実行した結果として特典が付与され得る遊技機によって実施されればよく、上述したように回胴式遊技機によって実施されてもよく、その変形例としてパチンコ遊技機によって実施されてもよい。
本発明がパチンコ遊技機によって実施される場合、本発明に係る「板状部材」に相当する要素は、いわゆる背面板である必要はなく、対象となる基板(特定の基板)の基板ケースの位置を基準として、パチンコ遊技機の背面側に設けられるカバー部材であってもよい。
【0111】
本発明の実施において、本発明に係る「板状部材」は、必ずしも不透明な素材(遊技機を背面視して、内側に収容されている基板が視認できないもの)である必要はなく、透過性の素材(遊技機を背面視して、内側に収容されている基板が視認可能であるもの)であってもよい。
【0112】
上述の実施形態では、本発明に係る「特定の基板」に相当する要素として、メイン基板100を挙げたが、本発明の実施はこれに限られない。本発明に係る「特定の基板」は、メイン制御(遊技進行に係る制御)を行うものであってもよいし、サブ制御(演出に係る制御)を行うものであってもよいし、基板どうしを接続する配線ケーブルの中継基板であってもよい。
【0113】
上述の実施形態では、背面板97に設けられた複数の孔(孔部AN1と孔部AN2)と、これらの孔の近傍に位置する複数のコネクタ(コネクタCN24、コネクタCN25、及びコネクタCN7)と、の位置関係に基づいて、本発明の特徴を説明した。しかしながら、本発明を適用する孔とコネクタは、上記に限られない。
【0114】
例えば、上述の実施形態では、メイン基板100又は右中継基板410に実装されるコネクタについて本発明を適用する実施例を説明したが、サブ基板200又は左中継基板420に実装されるコネクタに本発明を適用してもよい。
上記の変形例において、本発明の実施において、より厳格に不正行為が防止される第一コネクタに接続異常が生じたとしても、遊技の実行が可能であることも想定される。このとき、他のコネクタ(第二コネクタ)は、接続異常が生じると遊技の実行が不能になるものであってもよい。接続異常が生じた状態で遊技の実行が可能である第一コネクタの方が、接続異常が生じた状態で遊技の実行が不能になる第二コネクタに比べて、より不正防止対策を図る意義が大きいからである。
【0115】
或いは、上述の実施形態では、開扉センサ50に接続する配線に係るコネクタCN7を第二コネクタに相当するものとして説明したが、コネクタCN7を第一コネクタとして本発明が実施されてもよい。コネクタCN7の接続異常は、開扉センサ50に関するエラー状態(前面扉20の開放エラー)の検知を誘発するので、そのような異常状態の誘発をより厳格に防ぐ必要がある、とも考えられるからである。
言い換えれば、遊技機10は、特定の異常状態を検知可能なセンサ(開扉センサ50)を備え、第一コネクタ(コネクタCN7)における接続異常が生じると、センサが特定の異常状態を検知し、第二コネクタ(コネクタCN7以外のコネクタ)における接続異常が生じても、センサが特定の異常状態を検知しない、ものにしてもよい。
【0116】
<付記>
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)遊技を実行した結果として特典が付与され得る遊技機であって、前記遊技機の内部に設けられた複数の基板と、前記複数の基板のうち特定の基板を保護する基板ケースと、前記特定の基板に実装され、前記基板ケースから露出しており、長手方向を有する第一コネクタと、前記基板ケースの背面側に設けられた板状部材と、前記板状部材に設けられ、長手方向を有する第一孔と、を備え、前記第一コネクタは、前記第一孔から所定の距離内に配置されており、前記第一孔の長手方向と前記第一コネクタの長手方向とが背面視で交差している、ことを特徴とする遊技機。
(2)(1)に記載の遊技機であって、前記第一コネクタとは異なり、長手方向を有する第二コネクタと、前記板状部材において、前記第一孔とは異なる位置に設けられ、長手方向を有する第二孔と、を備え、前記第二コネクタは、前記第二孔から前記所定の距離内に配置されており、前記第二コネクタの長手方向と前記第二孔の長手方向とが背面視で成す角度が、前記第一コネクタの長手方向と前記第一孔の長手方向とが背面視で成す角度に比べて小さい、ことを特徴とする遊技機。
(a)(2)に記載の遊技機であって、前記第一コネクタは、前記第一孔を介して視認可能に配置されている一方、前記第二孔を介して視認すると前記第一孔を介して視認するときより視認困難に配置されており、前記第二コネクタは、前記第二孔を介して視認可能に配置されている一方、前記第一孔を介して視認すると前記第二孔を介して視認するときより視認困難に配置されている、ことを特徴とする遊技機。
(3)(2)に記載の遊技機であって、前記第一コネクタの長手方向は、前記第一孔の長手方向及び前記第二孔の長手方向のいずれに対しても背面視で交差している、ことを特徴とする遊技機。
(4)(2)又は(3)に記載の遊技機であって、前記第一コネクタと前記第一孔との距離が、前記第二コネクタと前記第二孔との距離に比べて大きい、ことを特徴とする遊技機。
【符号の説明】
【0117】
10 遊技機
20 前面扉
23 ベットボタン
23a 最大ベットボタン
23b 単一ベットボタン
24 メニュー選択ボタン
24a 十字キーボタン
24b 決定ボタン
25 状態表示LED
25a 投入枚数表示LED
25b 貯留枚数表示LED
25c 獲得枚数表示LED
25d 指示表示LED
25e 再遊技表示LED
25f 遊技開始表示LED
25g 投入可能表示LED
25h 有利モード表示LED
26 スタートレバー
27(27L、27C、27R) ストップボタン
27a 停止可能表示LED
31 メダル投入口
32 精算ボタン
33 メダル返却ボタン
34 ドア錠
35 メダル排出口
36(36a~36m) 装飾LED
37 下皿
38(38a~38d) スピーカ口
40a、40b 各種センサ
41 装飾LED基板
42 状態表示LED基板
43 ストップボタンセンサ
44 スタートレバーセンサ
45a 最大ベットボタンセンサ
45b 単一ベットボタンセンサ
45c 演出ボタンセンサ
46a 十字キーボタンセンサ
46b 決定ボタンセンサ
48 設定変更装置
48a 設定キースイッチ
48b 設定変更スイッチ
48c 設定表示LED
49(49a~49d) スピーカ
50 開扉センサ
51 投入メダル通路
60 回胴部
62 演出表示領域
63 演出表示装置
64 リール枠
65(65L、65C、65R) リール
66 リールセンサ
67 リール照明基板
68 リールモータ
90 外枠
91 電源装置
93 ホッパー
97 背面板
100 メイン基板
100C 基板ケース
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 乱数回路
110 遊技進行管理部
111 内部抽選部
112 リール制御部
113 入賞判定部
114 メダル管理部
115 状態表示LED制御部
120 状態管理部
121 設定変更管理部
122 遊技状態管理部
123 リプレイタイム管理部
124 遊技モード管理部
125 エラー管理部
130 メイン通信部
131 制御コマンド送信部
132 外部信号送信部
200 サブ基板
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204 乱数回路
210 サブ通信部
211 制御コマンド受信部
220 演出管理部
221 演出モード管理部
222 演出制御部
223 演出表示制御部
224 音声制御部
225 装飾LED制御部
410 右中継基板
420 左中継基板
430 中継基板連結部
CN1~CN7、CN11~CN15、CN21~CN25 コネクタ
AN1~AN6 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13