(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073917
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20240523BHJP
F24C 3/00 20060101ALI20240523BHJP
F24C 1/02 20210101ALI20240523BHJP
【FI】
H05B6/12 317
F24C3/00 J
F24C1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184902
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖也
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151BA85
3K151BA87
3K151CA87
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れた加熱調理装置を提供する。
【解決手段】本発明の加熱調理装置100は、筐体1と、天板3と、第1、2加熱コイル5、7と、制御部11と、冷却ファン13とを備えている。筐体1は、前後方向、左右方向及び上下方向に延びている。また、筐体1には、基準線X1が規定されている。冷却ファン13は、基準線X1よりも左右方向の一方、かつ、制御部11よりも後方に位置して制御部11に向けて冷却空気を流通させる。この加熱調理装置100では、筐体1、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却空気が後方から前方に直線状に向かう方向に対して左右方向の他方に90°よりも小さい設定角度θで傾斜しつつ制御部11を流通する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向、左右方向及び上下方向に延びる筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記左右方向で互いに離隔しつつ前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する第1加熱コイル及び第2加熱コイルと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1加熱コイル及び前記第2加熱コイルの作動制御を行う制御部と、
前記筐体の内部に設けられ、冷却空気によって前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル及び前記制御部の冷却を行う冷却ファンとを備え、
前記筐体には、前記左右方向の中央を通って前記前後方向に直線状に延びる仮想の基準線が規定され、
前記制御部は、前記基準線よりも前記左右方向の一方に配置され、
前記冷却ファンは、前記基準線よりも前記左右方向の一方、かつ、前記制御部よりも後方に位置して前記制御部に向けて前記冷却空気を流通させ、
前記筐体及び前記天板の少なくとも一方には、前記基準線よりも前記左右方向の他方、かつ、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル及び前記制御部よりも後方に位置し、前記冷却空気を前記筐体の外部に排出する排気口が設けられ、
前記筐体は、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル、前記制御部及び前記冷却ファンよりも前方に位置し、前記制御部を経た前記冷却空気の流通方向を前記左右方向の他方に変更する壁部を有し、
前記第1加熱コイル及び前記第2加熱コイルの少なくとも一方には、前記壁部によって前記流通方向を前記左右方向の他方に変更した前記冷却空気が流通し、
前記筐体、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル、前記制御部及び前記冷却ファンを平面視した際、前記冷却空気が後方から前方に直線状に向かう方向に対して前記左右方向の他方に90°よりも小さい設定角度で傾斜しつつ前記制御部を流通するように構成されていることを特徴とする加熱調理装置。
【請求項2】
前記設定角度は、20°以上かつ70°以下である請求項1記載の加熱調理装置。
【請求項3】
前記冷却ファンは、ケースと、前記ケースに回転可能に設けられたファン本体と、前記ケースに設けられ、前記ファン本体を回転軸の軸心周りで回転させるモータとを有し、
前記回転軸には、前記軸心から前記回転軸の軸方向に直線状に延びる仮想の回転軸線が規定され、
前記冷却ファンは、前記回転軸線が前記前後方向に対して前記設定角度で傾斜する姿勢で前記筐体の内部に設けられている請求項1又は2記載の加熱調理装置。
【請求項4】
前記冷却ファンは、ケースと、前記ケースに回転可能に設けられたファン本体と、前記ケースに設けられ、前記ファン本体を回転軸の軸心周りで回転させるモータと、前記冷却空気を前記設定角度で傾斜させて前記制御部に流通させる整流部材とを有し、
前記回転軸には、前記軸心から前記回転軸の軸方向に直線状に延びる仮想の回転軸線が規定され、
前記冷却ファンは、前記回転軸線が前記前後方向に対して平行となる姿勢で前記筐体の内部に設けられている請求項1又は2記載の加熱調理装置。
【請求項5】
燃料ガスを燃焼させて前記被加熱物を加熱するガス加熱器を備え、
前記冷却ファンは、前記冷却空気によって前記ガス加熱器の冷却を行う請求項1記載の加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の加熱調理装置が開示されている。この加熱調理装置は、筐体と、天板と、第1加熱コイルと、第2加熱コイルと、制御部と、冷却ファンとを備えている。筐体は、前後方向、左右方向及び上下方向に延びる略矩形状に形成されている。また、筐体は前壁を有している。前壁は筐体の前端に位置しており、左右方向及び上下方向に延びている。前壁は、筐体の内部と筐体の外部とを区画している。天板は筐体の上部に設けられている。天板には被加熱物が載置される。また、天板の後部には給気口と排気口とが設けられている。給気口と排気口とは、筐体における左右方向の中央を挟んで左右方向の一方と他方とに離隔している。
【0003】
第1加熱コイルと第2加熱コイルとは、筐体における左右方向の中央を挟んで左右方向の一方と他方とに離隔した状態で筐体の内部に設けられており、第1加熱コイルが左右方向の一方に位置し、第2加熱コイルが左右方向の他方に位置している。制御部は筐体の内部に設けられている。より具体的には、制御部は、第1加熱コイルに固定されている。これにより、制御部は、筐体の内部において左右方向の一方に配置されている。また、制御部は、上下方向に積層された複数枚の回路基板によって構成されている。各回路基板には複数個の半導体等が配置されている。
【0004】
冷却ファンは、制御部の後部に固定されている。これにより、冷却ファンは、筐体の内部において、左右方向の一方かつ制御部の後方に位置している。
【0005】
この加熱調理装置では、制御部が第1、2加熱コイルに給電を行いつつ、第1、2加熱コイルの作動制御を行う。これにより、第1、2加熱コイルは、天板上に載置された被加熱物を電磁誘導によって加熱する。ここで、第1、2加熱コイルの作動制御を行うことにより、制御部は発熱する。また、第1、2加熱コイルについても電磁誘導を行うことで発熱する。
【0006】
この点、この加熱調理装置では、冷却ファンが作動することにより、筐体の外部の空気が天板の給気口を通じて筐体の内部に流入する。そして、この空気は冷却ファンによって冷却空気として制御部に供給される。この結果、冷却空気による制御部の冷却が行われる。また、この加熱調理装置では、冷却空気によって第1、2加熱コイルも冷却される。これらの制御部及び第1、2加熱コイルの冷却を行った冷却空気は、天板の排気口を通じて筐体の外部に排出される。こうして、この加熱調理装置では、発熱による制御部及び各加熱コイルの劣化が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種の加熱調理装置では、より高い耐久性が要求される。この点、上記従来の加熱調理装置では、筐体、第1、2加熱コイル、制御部及び冷却ファンを平面視した際、制御部を流通する冷却空気は、筐体の左右方向の一方において、筐体の前後方向とほぼ平行で後方から前方に直線状に流通する。このため、制御部の冷却を行った冷却空気は、筐体の前壁に対して後方からほぼ直角に衝突した後、筐体の左右方向の他方にほぼ直角に流通方向を変更しつつ、排気口に向かって筐体の内部を流通する。これにより、この加熱調理装置では、筐体の内部を流通する際の冷却空気の圧力損失が大きくなる。
【0009】
そして、第2加熱コイルに対しては、左右方向の他方に流通方向を変更した後の冷却空気、すなわち圧力損失が大きい状態の冷却空気が流通する。このため、この加熱調理装置では、冷却空気によって第2加熱コイルを十分に冷却し得ず、耐久性を向上させることが難しい。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、耐久性に優れた加熱調理装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加熱調理装置は、互いに直交する前後方向、左右方向及び上下方向に延びる筐体と、
前記筐体の上部に設けられた天板と、
前記左右方向で互いに離隔しつつ前記筐体の内部に設けられ、前記天板上の被加熱物を電磁誘導によって加熱する第1加熱コイル及び第2加熱コイルと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1加熱コイル及び前記第2加熱コイルの作動制御を行う制御部と、
前記筐体の内部に設けられ、冷却空気によって前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル及び前記制御部の冷却を行う冷却ファンとを備え、
前記筐体には、前記左右方向の中央を通って前記前後方向に直線状に延びる仮想の基準線が規定され、
前記制御部は、前記基準線よりも前記左右方向の一方に配置され、
前記冷却ファンは、前記基準線よりも前記左右方向の一方、かつ、前記制御部よりも後方に位置して前記制御部に向けて前記冷却空気を流通させ、
前記筐体及び前記天板の少なくとも一方には、前記基準線よりも前記左右方向の他方、かつ、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル及び前記制御部よりも後方に位置し、前記冷却空気を前記筐体の外部に排出する排気口が設けられ、
前記筐体は、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル、前記制御部及び前記冷却ファンよりも前方に位置し、前記制御部を経た前記冷却空気の流通方向を前記左右方向の他方に変更する壁部を有し、
前記第1加熱コイル及び前記第2加熱コイルの少なくとも一方には、前記壁部によって前記流通方向を前記左右方向の他方に変更した前記冷却空気が流通し、
前記筐体、前記第1加熱コイル、前記第2加熱コイル、前記制御部及び前記冷却ファンを平面視した際、前記冷却空気が後方から前方に直線状に向かう方向に対して前記左右方向の他方に90°よりも小さい設定角度で傾斜しつつ前記制御部を流通するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の加熱調理装置では、筐体、第1加熱コイル、第2加熱コイル、制御部及び冷却ファンを平面視した際、筐体の後方から前方に直線状に向かう方向に対して、冷却空気が筐体の左右方向の他方に設定角度で傾斜しつつ制御部を流通する。ここで、設定角度は90°よりも小さい角度である。これにより、制御部を経た冷却空気、すなわち制御部の冷却を行った冷却空気は、筐体の壁部に対して後方から90°よりも小さい角度で衝突する。このため、この加熱調理装置においても、冷却空気は壁部によって左右方向の他方に流通方向を変更しつつ排気口に向かって筐体の内部を流通するものの、冷却空気の圧力損失を可及的に小さくすることができる。
【0013】
これにより、この加熱調理装置では、例えば第1加熱コイル及び第2加熱コイルのうち、第2加熱コイルについては、壁部によって流通方向を左右方向の他方に変更した冷却空気が流通する場合であっても、この第2加熱コイルを含め、冷却空気によって制御部及び第1、2加熱コイルを十分に冷却することができる。この結果、この加熱調理装置では、発熱による制御部及び第1、2加熱コイルの劣化を好適に防止できる。
【0014】
したがって、本発明の加熱調理装置は耐久性に優れている。
【0015】
設定角度は、20°以上かつ70°以下であることが好ましい。この場合には、壁部への衝突及び流通方向の変更による冷却空気の圧力損失を好適に小さくできる。
【0016】
本発明の加熱調理装置において、冷却ファンは、ケースと、ケースに回転可能に設けられたファン本体と、ケースに設けられ、ファン本体を回転軸の軸心周りで回転させるモータとを有し得る。また、回転軸には、軸心から回転軸の軸方向に直線状に延びる仮想の回転軸線が規定され得る。そして、冷却ファンは、回転軸線が前後方向に対して設定角度で傾斜する姿勢で筐体の内部に設けられていることが好ましい。
【0017】
この場合には、冷却空気を設定角度で傾斜させつつ制御部を流通させるに当たり、冷却ファンや筐体の内部等に専用の部材を設ける必要がないため、製造コストを低廉化できる。
【0018】
また、本発明の加熱調理装置において、冷却ファンは、ケースと、ケースに回転可能に設けられたファン本体と、ケースに設けられ、ファン本体を回転軸の軸心周りで回転させるモータと、冷却空気を設定角度で傾斜させて制御部に流通させる整流部材とを有し得る。さらに、回転軸には、軸心から回転軸の軸方向に直線状に延びる仮想の回転軸線が規定され得る。そして、冷却ファンは、回転軸線が前後方向に対して平行となる姿勢で筐体の内部に設けられていることも好ましい。
【0019】
この場合には、整流部材によって冷却空気を設定角度で好適に流通させることができる。また、この加熱調理装置では、冷却ファンを筐体の内部に容易に設けることができる。
【0020】
本発明の加熱調理装置は、燃料ガスを燃焼させて被加熱物を加熱するガス加熱器を備え得る。そして、冷却ファンは、冷却空気によってガス加熱器の冷却を行うことが好ましい。
【0021】
この場合には、第1加熱コイル及び第2加熱コイルの電磁誘導による加熱が不可能な被加熱物の他、電磁誘導では迅速に加熱を行うことが困難な被加熱物については、ガス加熱器によって加熱を行うことができる。これにより、この加熱調理装置では、利便性を高くすることができる。また、ガス加熱器についても、冷却ファン、より具体的には冷却ファンによる冷却空気で冷却を行うことができるため、発熱によるガス加熱器の劣化も防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の加熱調理装置は耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、実施例1の加熱調理装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1の加熱調理装置に係り、天板を除いた状態で筐体、制御部、第1加熱コイル、第2加熱コイル及び冷却ファン等を上方から見た模式平面図である。
【
図3】
図3は、実施例2の加熱調理装置に係り、
図2と同様の模式平面図である。
【
図4】
図4は、比較例の加熱調理装置に係り、
図2と同様の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0025】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の加熱調理装置100は、筐体1と、天板3と、第1加熱コイル5と、第2加熱コイル7と、ガスバーナ9と、制御部11と、冷却ファン13とを備えている。ガスバーナ9は、本発明における「ガス加熱器」の一例である。
【0026】
本実施例では、
図1に示す矢印によって、加熱調理装置100の前後方向、左右方向及び上下方向を規定している。これらの前後方向、左右方向及び上下方向は互いに直交している。また、前後方向、左右方向及び上下方向は、加熱調理装置100の奥行方向、幅方向及び高さ方向にそれぞれ相当している。そして、
図2以降では、
図1に対応して加熱調理装置100の前後方向及び左右方向を規定している。
【0027】
また、本実施例では、加熱調理装置100の使用者(図示略)が加熱調理装置100に対して前方から正対した際を基準として、使用者の右方を加熱調理装置100の右方とし、使用者の左方を加熱調理装置100の左方としている。加熱調理装置100の右方は本発明における「左右方向の一方」に相当しており、加熱調理装置100の左方は本発明における「左右方向の他方」に相当している。なお、加熱調理装置100の左方を本発明における「左右方向の一方」とし、加熱調理装置100の右方を本発明における「左右方向の他方」としても良い。
【0028】
図1及び
図2に示すように、筐体1は、前壁1aと、後壁1bと、右壁1cと、左壁1dと、底壁1eとを有している。前壁1aは、本発明における「壁部」の一例である。
図2に示すように、前壁1aは、筐体1の前端に位置しており、左右方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしている。後壁1bは、筐体1の後端に位置しており、左右方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしている。筐体1において、前壁1aと後壁1bとは前後方向に離隔しており、左右方向で互いに平行となっている。これにより、前壁1aは筐体1の前部を構成しており、後壁1bは筐体1の後部を構成している。また、前壁1aは、第1、2加熱コイル5、7、ガスバーナ9、制御部11及び冷却ファン13よりも前方に位置している。
【0029】
右壁1cは前壁1aと後壁1bとの間であって、筐体1の右端に位置している。右壁1cは、前後方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしており、前端が前壁1aの右端に接続しているとともに、後端が後壁1bの右端に接続している。左壁1dは前壁1aと後壁1bとの間であって、筐体1の左端に位置している。左壁1dは、前後方向及び上下方向に延びる矩形の板状をなしており、前端が前壁1aの左端に接続しているとともに、後端が後壁1bの右端に接続している。こうして、右壁1c及び左壁1dは、左右方向に離隔しつつ前後方向で互いに平行となっており、それぞれ筐体1の右側部及び左側部を構成している。
【0030】
底壁1eは、前後方向及び左右方向に延びる板状をなしており、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dの間に配置されている。底壁1eは、前端が前壁1aの下部に接続しており、後端が後壁1bの下部に接続しており、右端が右壁1cの下部に接続しており、左端が左壁1dの下部に接続している。これにより、底壁1eは、前壁1a、後壁1b、右壁1c及び左壁1dによって周囲を囲まれつつ、筐体1の底部を構成している。
【0031】
これらの前壁1a、後壁1b、右壁1c、左壁1d及び底壁1eにより、筐体1は、上部が開口する略矩形の箱状をなしている。ここで、筐体1では、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状をなしている。なお、筐体1における前後方向、左右方向及び上下方向の各長さは適宜設計可能である。
【0032】
また、筐体1には、仮想の基準線X1と、仮想の補助線X2とが規定されている。基準線X1は、筐体1の左右方向の中央を通りつつ、筐体1の前後方向と平行で直線状に延びている。補助線X2は、筐体1において、第1加熱コイル5、制御部11及び冷却ファン13よりも右方に位置しており、筐体1の前後方向と平行で直線状に延びている。つまり、基準線X1と補助線X2とは互いに平行をなしている。そして、基準線X1及び補助線X2は、右壁1c及び左壁1dの前後方向と平行である。
【0033】
図1に示すように、筐体1において、前壁1aには第1~3操作部15a~15cが設けられている。第1操作部15aは、前壁1aにおいて右方に配置されている。第2操作部15bは、前壁1aにおいて左方に配置されている。第3操作部15cは、第1操作部15aと第2操作部15bとの間であって、前壁1aにおける左右方向の略中央に配置されている。なお、
図2~
図4では、説明を容易にするため、第1~3操作部15a~15cの図示を省略している。
【0034】
図1に示すように、第1操作部15a及び第2操作部15bは、それぞれ複数の操作ボタン151と一つの液晶パネル152とで構成されている。第1操作部15aは第1加熱コイル5の操作が可能となっている。第2操作部15bは第2加熱コイル7の操作が可能となっている。第3操作部15cは操作ダイヤルによって構成されており、ガスバーナ9の操作が可能となっている。なお、第1~3操作部15a~15cにおける各構成の他、前壁1aにおける位置は適宜設計可能である。また、第1~3操作部15a~15cを天板3に設けても良い。
【0035】
また、
図2に示すように、後壁1bには、第1~3通気口17a~17cが設けられている。第1~3通気口17a~17cは、左右方向に所定の間隔を設けつつ、後壁1bにおける右方、すなわち、後壁1bにおいて、基準線X1よりも右方となる位置に配置されている。第1~3通気口17a~17cは、それぞれ後壁1bを前後方向に貫通しており、筐体1の内部と筐体1の外部とを連通している。なお、第1~3通気口17a~17cの個数や大きさは適宜設計可能である。
【0036】
図1に示すように、天板3は矩形の板状に形成されている。より具体的には、天板3は、筐体1の形状に対応するように、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形の板状をなしている。
【0037】
天板3は、筐体1の上部に固定されており、筐体1の内部を上方から覆っている。また、天板3の左後部には、排気口3aが形成されている。
図2に示すように、排気口3aは、前後方向の長さに比べて左右方向の長さが長い矩形状に形成されており、天板3を上下方向に貫通している。
【0038】
排気口3aは、天板3が筐体1に固定されることにより、筐体1の後方であって、基準線X1よりも左方に配置されている。つまり、第1~3通気口17a~17cと排気口3aとは、基準線X1を挟んで左右方向に離隔している。排気口3aは筐体1の内部と筐体1の外部とを連通している。なお、
図2~
図4では、天板3が筐体1に設けられた際における排気口3a及びガスバーナ9の各位置を二点鎖線で示している。
【0039】
また、
図1に示すように、天板3には、排気カバー30が取り付けられている。排気カバー30は、排気口3aに対応する矩形状をなしており、排気口3aを上方から覆っている。また、排気カバー30には複数個のパンチ孔301が形成されている。なお、排気口3a及び排気カバー30の形状は適宜設計可能である。
【0040】
さらに、天板3には、第1ガイドマーク31及び第2ガイドマーク32が設けられている。第1ガイドマーク31及び第2ガイドマーク32は、同一の円環状をなしており、天板3において、排気口3a及びガスバーナ9よりも前方に位置している。また、第1ガイドマーク31と第2ガイドマーク32とは左右方向に離隔して配置されている。つまり、第1ガイドマーク31は天板3の右前部に配置されており、第2ガイドマーク32は天板3の左前部に配置されている。
【0041】
図2に示すように、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、筐体1の内部に設けられている。より具体的には、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、前壁1aよりも後方であって、第1~3通気口17a~17c及び排気口3aよりも前方に位置している。また、第1加熱コイル5は筐体の内部の右方であって、天板3の第1ガイドマーク31の真下となる位置に配置されている。そして、第2加熱コイル7は筐体の内部の左方であって、第2ガイドマーク32の真下となる位置に配置されている。こうして、第1加熱コイル5と第2加熱コイル7とは、筐体1の内部において基準線X1を挟んで互いに左右方向に離隔しており、天板3の下方から天板3に臨んでいる。
【0042】
第1加熱コイル5と第2加熱コイル7とは同一の構成であり、同一の性能を有している。ここで、これらの第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7は、いずれも公知の加熱コイルと同様の構成であるため構成に関する詳細な説明は省略する。なお、第1加熱コイル5と第2加熱コイル7で大きさが異なっていたり、性能が異なったりしていても良い。また、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の他に加熱コイルが設けられても良い。
【0043】
図1に示すように、ガスバーナ9は天板3に設けられている。より具体的には、ガスバーナ9は、天板3において、第1、2ガイドマーク31、32、ひいては第1、2加熱コイル5、7よりも後方であって、排気口3aよりも前方に位置している。また、ガスバーナ9は、左右方向の中央に位置している。
【0044】
ガスバーナ9は、第1、2加熱コイル5、7よりも小型に形成されている。ガスバーナ9は、筐体1の外部から供給された燃料ガスを燃焼させる。また、天板3には、ガスバーナ9を囲うように五徳9aが設けられている。なお、ガスバーナ9は、公知のガスバーナと同様の構成であるため、構成に関する詳細な説明を省略する。また、ガスバーナ9は、第1、2加熱コイル5、7よりも大型に形成されていても良い。さらに、天板3に複数のガスバーナ9が設けられても良い。また、ガスバーナ9を省略しても良い。
【0045】
また、図示を省略するものの、筐体1の内部には、火力調整弁等の制御弁が設けられている。制御弁は、ガスバーナ9に対する燃料ガスの供給量等を調整可能である。
【0046】
図2に示すように、制御部11は、1枚の回路基板11aと、回路基板11aに設けられた複数の半導体11bによって構成されている。制御部11は、筐体1の内部に設けられており、第1加熱コイル5の下方に配置されている。これにより、制御部11は、筐体1の内部において、前壁1aよりも後方であって、第1~3通気口17a~17c及び排気口3aよりも前方に位置している。また、制御部11は、筐体1の内部において、基準線X1よりも右方に位置している。
【0047】
制御部11は、筐体1の外部に設けられた電源(図示略)と通電可能に接続されている他、前壁1aに設けられた第1操作部15a及び第2操作部15b(
図1参照)と接続している。また、制御部11は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7とそれぞれ通電可能に接続されている。これにより、制御部11は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対して、それぞれ給電を行いつつ、第1操作部15a及び第2操作部15bの操作に応じて第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の作動制御を行う。なお、制御部11は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対して、個別に給電及び作動制御を行うことが可能である。
【0048】
また、制御部11は、第3操作部15c、ガスバーナ9及び制御弁とも接続している。これにより、制御部11は、第3操作部15cの操作に応じて制御弁の制御を行うことにより、ガスバーナ9の作動制御を行う。
【0049】
図2に示すように、冷却ファン13は、ケース21と、ファン本体22と、モータ23と、回転軸24とで構成されている。ケース21は略矩形の箱状に形成されている。詳細な図示を省略するものの、ケース21の後部21aには吸気口が形成されており、ケース21の前部21bには吹出口が形成されている。
【0050】
ファン本体22はケース21の内部に配置されており、ケース21の内部で回転可能となっている。モータ23は、ケース21の内部において、ファン本体22よりも前方に配置されている。モータ23は、制御部11と通電可能に接続されている。これにより、モータ23は、制御部11を介して電源と接続されている。なお、モータ23は、ケース21の内部において、ファン本体22よりも後方に配置されていても良く、ケース21に取り付けられてケース21の外部に位置していても良い。また、モータ23は、制御部11を介さずに、電源と直接接続されていても良い。
【0051】
回転軸24はモータ23に設けられている。回転軸24は、モータ23からファン本体22に向かって直線状に延びており、ファン本体22と接続している。また、回転軸24には仮想の回転軸線L1が規定されている。回転軸線L1は、回転軸24の軸心から回転軸24の軸方向に直線状に延びている。つまり、回転軸線L1は、回転軸24と同軸をなしており、回転軸24の軸心の延長線となっている。
【0052】
冷却ファン13では、モータ23が回転することにより、ケース21の内部でファン本体22が回転軸24の軸心周り、すなわち、回転軸線L1周りで回転可能となっている。なお、冷却ファン13具体的な作動についての説明は後述する。
【0053】
冷却ファン13は、ケース21の後部21aを筐体1の後方に向けるとともに、ケース21の前部21bを筐体1の前方に向けた状態で筐体1の内部に配置されている。また、冷却ファン13は、筐体1の内部において、基準線X1よりも右方であって、前壁1a、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及びガスバーナ9よりも後方に配置されている。こうして、冷却ファン13は、筐体1の内部において右後部に配置されており、基準線X1を挟んで排気口3aの右方に位置している。
【0054】
ここで、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却ファン13は、筐体1の前後方向に対して設定角度θで左方に傾斜した姿勢で筐体1の内部に配置されている。より具体的には、冷却ファン13は、筐体1の後方から前方に向かう方向において、補助線X2と回転軸24の回転軸線L1とがなす角度が設定角度θとなるように左方に傾斜した姿勢で配置されている。
【0055】
そして、この加熱調理装置100では、設定角度θを約40°としている。この設定角度θについては、約40°に限らず、90°以下であれば、冷却ファン13や制御部11の大きさや、筐体1の内部における冷却ファン13と制御部11との距離等に応じて適宜設計可能である。特に、設定角度θは、20°以上かつ70°以下の範囲で設定されることが好ましい。なお、この加熱調理装置100では、説明の便宜のために、補助線X2を用いているが、上述のように、補助線X2は右壁1cの前後方向、ひいては筐体1の前後方向と平行である。このため、補助線X2を省略し、筐体1の後方から前方に向かう方向において、右壁1cと回転軸24の回転軸線L1とで設定角度θを形成しても良い。
【0056】
こうして、冷却ファン13が筐体1の内部に設けられた状態において、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却ファン13は筐体1の前後方向と平行な姿勢とはなっていない。すなわち、冷却ファン13では、ケース21の後部21aが筐体1の右後方に臨んでおり、ケース21の前部21bが筐体1の左前方に臨んでいる。つまり、冷却ファン13では、ケース21の後部21aが後壁1bと前後方向で正対しておらず、また、ケース21の前部21bが前壁1a、第1加熱コイル5及び制御部11と前後方向で正対していない。
【0057】
以上のように構成されたこの加熱調理装置100では、使用者は、加熱調理を行う食材が収容された調理容器(図示略)を天板3の第1ガイドマーク31内又は第2ガイドマーク32内に載置する。食材の他、食材を収容した調理容器は本発明における「被加熱物」の一例である。なお、調理容器としては、IH調理に対応した鍋やフライパン等が挙げられる。
【0058】
そして、第1ガイドマーク31内に調理容器を載置した場合、使用者は、第1操作部15aを操作して加熱温度や加熱時間等を入力する。また、第2ガイドマーク32内に調理容器を載置した場合には、使用者は、第2操作部15bを操作して加熱温度や加熱時間等を入力する。
【0059】
これにより、制御部11は、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7に対して、それぞれ給電を行いつつ、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の作動制御を行う。このため、第1、2加熱コイル5、7は、それぞれ第1、2ガイドマーク31、32内に載置された調理容器に対して天板3を介して誘導加熱を行う。こうして、この加熱調理装置100では、第1、2加熱コイル5、7による誘導加熱によって、調理容器の加熱、ひいては、調理容器内の食材に対する加熱調理が行われる。
【0060】
また、この加熱調理装置100では、使用者は、加熱調理を行う食材が収容された調理容器又は食材自体を五徳9a上に設置することも可能となっている。この際、五徳9a上に設置される調理容器は、IH調理に非対応の調理容器であっても良い。
【0061】
そして、使用者が第3操作部15cを操作することにより、制御部11は制御弁の制御を行うことでガスバーナ9の作動制御、すなわちガスバーナ9の火力制御を行う。これにより、この加熱調理装置100では、ガスバーナ9が燃料ガスを燃焼することによる加熱によっても、食材に対する加熱調理が行うことが可能となっている。ここで、制御部11は、第1加熱コイル5、第2加熱コイル7及びガスバーナ9の作動制御を個別に行う。このため、この加熱調理装置100では、第1、2加熱コイル5、7による誘導加熱と、ガスバーナ9による加熱とを同時に行うことが可能となっている。
【0062】
また、この加熱調理装置100では、第1、2加熱コイル5、7及びガスバーナ9の少なくとも一つが作動している間、制御部11が冷却ファン13を作動させる。このため、冷却ファン13では、ケース21の内部でモータ23が作動し、ファン本体22が回転軸24の軸心周り、すなわち回転軸線L1周りで回転する。これにより、ファン本体22は、
図2の白色矢印で示すように、筐体1の外部の空気を後壁1bの第1~3通気口17a~17cから筐体1の内部に流入し、さらに、ケース21の吸気口からケース21の内部に吸入する。そして、ファン本体22は、ケース21の内部の空気を冷却空気として、吹出口から放出する。こうして、冷却ファン13は、筐体1の内部において自己の前方に向けて冷却空気を流通させる。この結果、この加熱調理装置100では、冷却空気によって、第1、2加熱コイル5、7、ガスバーナ9及び制御部11を冷却することが可能となっている。
【0063】
ここで、この加熱調理装置100では、筐体1の内部を流通する際の冷却空気の圧力損失が小さくなっており、冷却空気によって、第1、2加熱コイル5、7、ガスバーナ9及び制御部11を十分に冷却することが可能となっている。以下、この作用について、比較例の加熱調理装置300との対比を基に具体的に説明する。
【0064】
図4に示すように、比較例の加熱調理装置300についても、実施例1の加熱調理装置100と同様に、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、ガスバーナ9及び制御部11を備えている。また、
図4では図示を省略しているものの、比較例の加熱調理装置300は天板3を備えている。
【0065】
ここで、比較例の加熱調理装置300では、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、回転軸線L1が筐体1の前後方向と平行となる姿勢で冷却ファン13が筐体1の内部に配置されている。比較例の加熱調理装置300における他の構成は、実施例1の加熱調理装置300と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明省略する。
【0066】
このように、比較例の加熱調理装置300では、冷却ファン13が第1加熱コイル5及び制御部11と、後壁1bとの間に位置しつつ、ケース21の後部21aと後壁1bとが正対し、ケース21の前部21bと第1加熱コイル5及び制御部11とが正対している。 このため、比較例の加熱調理装置300では、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、
図4の白色矢印で示すように、冷却ファン13が作動することにより、冷却空気が冷却ファン13から第1加熱コイル5及び制御部11に向かって、筐体1の前後方向と平行で後方から前方に流通する。そして、冷却空気は、第1加熱コイル5及び制御部11を筐体1の前後方向と平行で後方から前方に通過することにより、第1加熱コイル5及び制御部11の冷却を行う。
【0067】
こうして、第1加熱コイル5及び制御部11を経た冷却空気、つまり、第1加熱コイル5及び制御部11の冷却を行った冷却空気は、筐体1の前壁1aに対してほぼ直角に衝突する。そして、この冷却空気は、前壁1a及び右壁1cによって筐体1の左方にほぼ直角に流通方向を変更しつつ、筐体1の内部を右方から左方に向かって流通する。この後、冷却空気は、第2加熱コイル7の冷却を行いつつ、前壁1a及び左壁1dによって筐体1の後方にほぼ直角に流通方向を変更する。そして、冷却空気は、筐体1の内部を前方から後方に向かって流通する過程で、第2加熱コイル7及びガスバーナ9の冷却を行い、天板3の排気口3aを経て筐体1の外部に排出される。
【0068】
このように、比較例の加熱調理装置300では、第2加熱コイル7及びガスバーナ9に対して、前壁1aによって流通方向を左方に変更した冷却空気が流通する。換言すれば、冷却空気の流通方向において、第2加熱コイル7及びガスバーナ9は、前壁1aよりも下流に位置する。
【0069】
そして、比較例の加熱調理装置300では、第1加熱コイル5及び制御部11の冷却を行った冷却空気が前壁1aに対して後方からほぼ直角に衝突しつつ、筐体1の左方にほぼ直角に流通方向を変更するため、これによる冷却空気の圧力損失が大きくなっている。さらに、冷却空気は、左壁1dとの衝突によって筐体1の後方にほぼ直角に流通方向を変更するため、この際にも圧力損失が生じる。これらのため、圧力損失が大きい状態で冷却空気が第2加熱コイル7を通過するため、第2加熱コイル7について、冷却空気による冷却が不十分となり易い。同様に、ガスバーナ9についても冷却空気による冷却が不十分となり易い。また、比較例の加熱調理装置300では、冷却空気がガスバーナ9から離隔した位置を流通するため、この点においても、冷却空気によるガスバーナ9の冷却が不十分となり易い。
【0070】
これに対し、
図2に示すように、実施例1の加熱調理装置100では、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却ファン13は、筐体1の前後方向に対して設定角度θで傾斜した姿勢で筐体1の内部に配置されている。このため、
図2の白色矢印で示すように、実施例1の加熱調理装置100では、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却空気は、冷却ファン13から第1加熱コイル5及び制御部11に向かって、筐体1の前後方向に対して設定角度θで傾斜しつつ、筐体1の右後方から左前方に流通する。そして、冷却空気は、第1加熱コイル5及び制御部11に対して、設定角度θで傾斜しつつ右後方から左前方に通過することにより、第1加熱コイル5及び制御部11の冷却を行う。
【0071】
また、第1加熱コイル5及び制御部11を経た冷却空気は、筐体1の前壁1aによって流通方向を左方に変更する。そして、冷却空気は、第2加熱コイル7及びガスバーナ9を通過することで第2加熱コイル7及びガスバーナ9の冷却を行いつつ、排気口3aから筐体1の外部に排出される。なお、制御部11は、第1、2加熱コイル5、7やガスバーナ9による被加熱物の加熱が終了すると同時に冷却ファン13の作動を停止しても良く、第1、2加熱コイル5、7やガスバーナ9による被加熱物の加熱が終了した後、一定時間が経過するまでは冷却ファン13を引き続き作動させても良い。
【0072】
このように、実施例1の加熱調理装置100においても、第2加熱コイル7に対しては、前壁1aによって流通方向を左方に変更した冷却空気が流通するため、第2加熱コイル7は、前壁1aよりも冷却空気の流通方向における下流に位置することになる。
【0073】
ここで、実施例1の加熱調理装置100では、第1加熱コイル5及び制御部11を経た冷却空気は、前壁1aに対して右後方から設定角度θ、すなわち90°よりも小さい角度で右後方から衝突しつつ、筐体1の左方に流通方向を変更する。このため、比較例の加熱調理装置300に比べて、実施例1の加熱調理装置100では、前壁1aへの衝突及び流通方向の変更による冷却空気の圧力損失が小さくなっている。これにより、実施例1の加熱調理装置100では、筐体1の内部における冷却空気の流通方向において、前壁1aの下流、ひいては第1加熱コイル5及び制御部11の下流に位置する第2加熱コイル7についても、冷却空気によって十分に冷却を行うことができる。
【0074】
また、冷却空気が筐体1の前後方向に対して設定角度θで傾斜しつつ冷却ファン13から第1加熱コイル5及び制御部11に流通するため、第1加熱コイル5及び制御部11に向かう冷却空気の一部は、筐体1の内部において、ガスバーナ9の近傍を通過する。このため、実施例1の加熱調理装置100では、第1加熱コイル5及び制御部11に向かう冷却空気と、排気口3aに向かって筐体1の内部を前方から後方に流通する冷却空気との両方によってガスバーナ9を十分に冷却することができる。この結果、実施例1の加熱調理装置100は、発熱による制御部11、第1、2加熱コイル5、7及びガスバーナ9の劣化を好適に防止することができる。
【0075】
したがって、実施例1の加熱調理装置100は耐久性に優れている。
【0076】
特に、この加熱調理装置100では、回転軸線L1が筐体1の前後方向に対して設定角度θで左方に傾斜する姿勢で冷却ファン13が筐体1の内部に設けられている。このため、この加熱調理装置100では、第1加熱コイル5及び制御部11に対して冷却空気を設定角度θで右後方から左前方に流通させるに当たって、筐体1の内部や制御部11等に対して専用の部材を設ける必要がない。このため、この加熱調理装置100では、製造コストの低廉化も実現している。
【0077】
また、この加熱調理装置100では、設定角度θを約40°とすることにより、設定角度θを90°よりも小さくしつつ、20°以上かつ70°以下の角度範囲に収めている。これにより、この加熱調理装置100では、第1加熱コイル5及び制御部11を通過して第1加熱コイル5及び制御部11の冷却を行う冷却空気の流量を十分に確保しつつ、前壁1aへの衝突及び流通方向の変更による冷却空気の圧力損失を可及的に小さくすることが可能となっている。
【0078】
また、この加熱調理装置100は、ガスバーナ9を備えているため、第1、2加熱コイル5、7の電磁誘導による加熱が不可能な被加熱物の他、電磁誘導では迅速に加熱を行うことが困難な被加熱物についても、ガスバーナ9によって加熱を行うことができる。これにより、この加熱調理装置100は、利便性が高くなっている。
【0079】
また、この加熱調理装置100では、作動時に制御部11が発熱し易く、また、制御部11は高温となり易い。この点、冷却ファン13は、筐体1の内部において、後壁1bと制御部11との間に配置されていることから、制御部11は、冷却空気の流通方向の上流に位置している。これにより、この加熱調理装置100では、冷却空気によって制御部11を十分に冷却することができる。
【0080】
(実施例2)
図3に示すように、実施例2の加熱調理装置200は、冷却ファン13に換えて冷却ファン14を備えている。冷却ファン14は、ケース21と、ファン本体22と、モータ23と、回転軸24と、整流板25とで構成されている。整流板25は、本発明における「整流部材」の一例である。
【0081】
整流板25は略矩形の板状をなしており、ケース21に固定されてケース21の外部に位置している。整流板25は、ケース21の前部21bよりも前方に延びた後、回転軸線L1に近づくように、筐体1の前後方向に対して設定角度θ、つまり約40°で左方に屈曲しつつ延びている。
【0082】
冷却ファン14は、筐体1の内部において、右後方となる位置に設けられており、筐体1の前後方向において、第1加熱コイル5及び制御部11と、後壁1bとの間に位置している。ここで、この加熱調理装置200では、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、冷却ファン14は、回転軸線L1が補助線X2と平行、すなわち、筐体1の前後方向と平行となる姿勢で筐体1の内部に配置されている。
【0083】
これにより、冷却ファン14では、ケース21の後部21aと後壁1bとが正対しており、ケース21の前部21bと第1加熱コイル5及び制御部11とが正対している。また、整流板25は、筐体1の後方から前方に向かうにつれて、補助線X2及び筐体1の右壁1cから左方に離隔するように設定角度θで屈曲した状態となっている。換言すれば、筐体1の後方から前方に向かう方向において、補助線X2と整流板25とがなす角度が設定角度θとなっている。冷却ファン14の他の構成を含め、この加熱調理装置200の他の構成は、実施例1の加熱調理装置100と同様である。
【0084】
この加熱調理装置200では、冷却ファン14から第1加熱コイル5及び制御部11に向かって流通する冷却空気は、整流板25によって流通方向が整流される。これにより、
図3の白色矢印で示すように、この加熱調理装置200でも、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン14を平面視した際、冷却空気は、冷却ファン14から第1加熱コイル5及び制御部11に向かって、筐体1の前後方向に対して設定角度θで傾斜しつつ、筐体1の右後方から左前方に流通する。この結果、実施例1の加熱調理装置100と同様、この加熱調理装置200においても、冷却空気によって、第1、2加熱コイル5、7、ガスバーナ9及び制御部11を十分に冷却することが可能となっている。
【0085】
また、この加熱調理装置200では、整流板25によって冷却空気の流通方向を整流できる。このため、冷却ファン14自体については、回転軸線L1が筐体1の前後方向と平行となる姿勢で筐体1の内部に配置しつつも、第1加熱コイル5及び制御部11に対して冷却空気を設定角度θで右後方から左前方に流通させることが可能となっている。これにより、この加熱調理装置200では、冷却ファン14を筐体1の内部に容易に設けることが可能となっている。また、この加熱調理装置200では、冷却ファン14を筐体1の内部に設けた際に、ケース21の後部21aと後壁1bとの間に生じるスペースを可及的に小さくすることができる。この結果、この加熱調理装置200では、第1加熱コイル5や制御部11等の配置の自由度を高くすること可能となっている。この加熱調理装置200における他の作用は実施例1の加熱調理装置100と同様である。
【0086】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0087】
例えば、実施例1、2の加熱調理装置100、200では、半導体11bが設けられた1枚の回路基板11aによって制御部11を構成している。しかし、これに限らず、制御部11は、半導体11bが設けられた複数枚の回路基板11aが筐体1の上下方向や左右方向に配置されることによって構成されても良い。
【0088】
また、半導体11bに対して放熱フィンを設けても良い。また、この際、冷却ファン13については、回転軸線L1が筐体1の前後方向と平行となる姿勢で筐体1の内部に設けつつ、放熱フィンによって冷却空気の整流を行うことにより、筐体1、第1、2加熱コイル5、7、制御部11及び冷却ファン13を平面視した際、第1加熱コイル5及び制御部11に対して冷却空気が設定角度θで右後方から左前方に流通させても良い。
【0089】
また、ガスバーナ9に換えて、筐体1の内部に設けられた加熱グリル等を本発明における「ガス加熱器」として採用しても良い。また、ガスバーナ9及び加熱グリルの両方を本発明における「ガス加熱器」として採用しても良い。
【0090】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200では、筐体1の後壁1bに第1~3通気口17a~17cを形成し、天板3に排気口3aを形成している。しかし、これに限らず、後壁1bに第1~3通気口17a~17c及び排気口3aの両方を形成したり、天板3に第1~3通気口17a~17c及び排気口3aの両方を形成したりしても良い。また、第1~3通気口17a~17cを省略し、後壁1bと右壁1cとの間に不可避的に生じる隙間等を利用して、筐体1の外部の空気を筐体1の内部に流通させても良い。排気口3aについても同様である。
【0091】
また、実施例1、2の加熱調理装置100、200では、前壁1aを本発明における「壁部」としている。しかし、これに限らず、筐体1は、前壁1aとは別に本発明における「壁部」を有していても良い。
【0092】
また、第1加熱コイル5及び第2加熱コイル7の両方について、前壁1aによって流通方向を左方に変更した冷却空気が流通する構成としても良い。
【0093】
また、前壁1aと第1加熱コイル5との間に制御部11を配置することにより、冷却空気の流通方向において、制御部11が第1加熱コイル5の下流となる構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、単体の加熱調理装置の他、加熱調理装置が一体に設けられたシステムキッチン等に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1…筐体
1a…前壁(壁部)
3…天板
5…第1加熱コイル
7…第2加熱コイル
9…ガスバーナ(ガス加熱器)
11…制御部
13、14…冷却ファン
21…ケース
22…ファン本体
23…モータ
24…回転軸
25…整流板(整流部材)
100、200…加熱調理装置
L1…回転軸線
X1…基準線
θ…設定角度