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  • 特開-表面検査装置及び表面検査方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073922
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】表面検査装置及び表面検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240523BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240523BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01B11/00 B
G01B11/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184909
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユディティヤ クスマワティ
(72)【発明者】
【氏名】上野 聡一
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 幸基
【テーマコード(参考)】
2F065
2G059
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA51
2F065FF04
2F065GG24
2F065HH18
2F065JJ26
2F065LL04
2F065LL67
2F065MM02
2F065PP12
2F065QQ23
2F065QQ25
2F065SS01
2G059AA01
2G059EE02
2G059EE12
2G059EE13
2G059GG01
2G059JJ01
2G059KK04
(57)【要約】
【課題】様々な表面形状の検査対象に対しその材質を高精度且つ効率的に検査できる。
【解決手段】検査対象1の表面1Aを撮影し且つ分光分析機能を備える光学装置11と、検査対象の表面へ光を照射し且つ設置位置及び照射角度を変更可能な照明手段12と、検査対象の表面と光学装置との検査距離を計測する距離センサと、光学装置からの波長スペクトルに基づき検査対象の化学成分を分析して材質を判定する分析手段と、検査距離、照明手段の設置位置及び照射角度を調整する調整手段15と、を有し、分析手段は、調整手段との協働によって、光学装置からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように検査距離、照明手段の設置位置及び照射角度の各条件を決定し、この条件下で光学装置が再度画像を取得して分光分析し、再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づき、分析手段が検査対象の材質を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の表面を撮影すると共に分光分析機能を備え、この分光分析によって、取得した画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する光学装置と、
前記検査対象の前記表面へ光を照射すると共に設置位置及び光の照射角度を変更可能に設けられた照明手段と、
前記検査対象の前記表面と光学装置との検査距離を計測する距離センサと、
前記光学装置が分光分析して得た波長スペクトルに基づいて前記検査対象の化学成分を分析して材質を判定する分析手段と、
前記検査距離、前記照明手段の前記設置位置及び前記照射角度を調整する調整手段と、を有し、
前記分析手段は、前記調整手段との協働によって、前記光学装置からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように前記検査距離、前記照明手段の設置位置及び照射角度の各条件を決定する機能を更に有し、
この決定された条件下で前記光学装置が再度画像を取得して分光分析し、この再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて、前記分析手段が前記検査対象の材質を判定するよう構成されたことを特徴とする表面検査装置。
【請求項2】
前記距離センサは、検査対象の表面形状を計測可能に設けられ、
前記分析手段は、前記検査対象の前記表面と光学装置との検査距離、前記光学装置のレンズの焦点位置、及び前記検査対象の前記表面形状に基づいて、前記光学装置の有効撮影範囲を決定する機能を更に有するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の表面検査装置。
【請求項3】
前記調整手段が検査対象の表面と光学装置との検査距離、照明装置の設置位置及び光の照射角度を変化させながら、前記光学装置が有効撮影範囲内で画像を取得し分光分析して波長スペクトルを求め、
前記分析手段は、前記波長スペクトルの変化に基づいて前記有効撮影範囲内の前記画像において前記波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域を評価して決定する機能を更に有するよう構成されたことを特徴とする請求項2に記載の表面検査装置。
【請求項4】
前記分析装置は、光学装置の有効撮影範囲について取得された画像における1ピクセル毎の所定の輝度範囲内の波長スペクトルを、データライブラリに格納された参照用波長スペクトルと比較することで分析し、検査対象の材質を判定することを特徴とする請求項2または3に記載の表面検査装置。
【請求項5】
前記分析手段により判定された検査対象の材質判定結果を、光学装置により撮影された画像と位置合せし重畳して表示可能な表示器を、更に有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の請求項1または2に記載の表面検査装置。
【請求項6】
前記検査対象における次の検査領域を光学装置の視野に収めるように、前記検査対象と前記光学装置との水平方向の相対位置を変化させる移動ステージを更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面検査装置。
【請求項7】
検査対象の表面を撮影すると共に分光分析機能を備え、この分光分析によって、取得した画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する光学装置と、
前記検査対象の前記表面へ光を照射すると共に設置位置及び光の照射角度を変更可能に設けられた照明手段と、
前記検査対象の前記表面と光学装置との検査距離を計測する距離センサと、
前記光学装置が分光分析して得た波長スペクトルに基づいて前記検査対象の化学成分を分析して材質を判定する分析手段と、
前記検査距離、前記照明手段の前記設置位置及び前記照射角度を調整する調整手段と、を有して構成された表面検査装置を準備し、
前記分析手段と前記調整手は協働して、前記光学装置からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように前記検査距離、前記照明手段の設置位置及び照射角度の各条件を決定し、
前記光学装置は、上述の決定された条件下で再度画像を取得して分光分析し、
前記分析手段は、上述の再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて前記検査対象の材質を判定することを特徴とする表面検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検査対象の表面の画像を取得して検査対象の材質等を検査する表面検査装置及び表面検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の化学成分を検査する方法の1つとして、材料の表面から反射した光を分光分析することが可能な光学装置を使って、材料の化学成分を波長スペクトルとして取得する方法がある。また、金属等の表面状態を検査する場合、広範囲の波長成分を含むブロードな波長スペクトルを有する光を検査対象の表面に照射し、表面で反射した光を検出器で分光分析して波長スペクトルを取得し、照射光の波長スペクトルと反射光の波長スペクトルとの差異から、検査対象の表面の腐食状態や検査対象の化学組成の異常が検査される。なお、複眼の検出器の適用や検査領域の走査により、上述の検査結果は2次元の画像として出力される場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の検査の場合、検査対象の表面に凹凸があると正反射された光が様々な角度で放射され、その光の一部が検出器に入射して、検出光量が飽和してしまう可能性がある。この信号飽和現象はフレア(白化現象)と呼ばれる。フレアが発生すると、検査対象の化学成分等に依存した反射光の波長スペクトルを正確に取得できないため、正しい検査を行うことができない。
【0005】
一般的なフレア抑制方法として、外部光を板等で遮光する方法が知られているが、上述のように検査対象に光をアクティブに照射する検査方法には適用することができない。また、特許文献1では、複数のレンズを光学系ユニットに組込む際のスペーサを工夫することで、有害光の反射等により発生するフレアを抑制する方法が開示されている。しかしながら、この方法でフレアを効果的に抑制しようとする場合、検査対象に応じて適切なスペーサを設計し、これを光学系ユニットに組み込む必要があるため、様々な表面形状の検査対象に対して効率的な検査を実施することができない。
【0006】
本発明の実施形態は、上述の事情を考慮してなされたものであり、様々な表面形状の検査対象に対してその材質を高精度且つ効率的に検査することができる表面検査装置及び表面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における表面検査装置は、検査対象の表面を撮影すると共に分光分析機能を備え、この分光分析によって、取得した画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する光学装置と、前記検査対象の前記表面へ光を照射すると共に設置位置及び光の照射角度を変更可能に設けられた照明手段と、前記検査対象の前記表面と光学装置との検査距離を計測する距離センサと、前記光学装置が分光分析して得た波長スペクトルに基づいて前記検査対象の化学成分を分析して材質を判定する分析手段と、前記検査距離、前記照明手段の前記設置位置及び前記照射角度を調整する調整手段と、を有し、前記分析手段は、前記調整手段との協働によって、前記光学装置からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように前記検査距離、前記照明手段の設置位置及び照射角度の各条件を決定する機能を更に有し、この決定された条件下で前記光学装置が再度画像を取得して分光分析し、この再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて、前記分析手段が前記検査対象の材質を判定するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の実施形態における表面検査方法は、検査対象の表面を撮影すると共に分光分析機能を備え、この分光分析によって、取得した画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する光学装置と、前記検査対象の前記表面へ光を照射すると共に設置位置及び光の照射角度を変更可能に設けられた照明手段と、前記検査対象の前記表面と光学装置との検査距離を計測する距離センサと、前記光学装置が分光分析して得た波長スペクトルに基づいて前記検査対象の化学成分を分析して材質を判定する分析手段と、前記検査距離、前記照明手段の前記設置位置及び前記照射角度を調整する調整手段と、を有して構成された表面検査装置を準備し、前記分析手段と前記調整手は協働して、前記光学装置からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように前記検査距離、前記照明手段の設置位置及び照射角度の各条件を決定し、前記光学装置は、上述の決定された条件下で再度画像を取得して分光分析し、前記分析手段は、上述の再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて前記検査対象の材質を判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、様々な表面形状の検査対象に対してその材質を高精度且つ効率的に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る表面検査装置の構成を示すブロック図。
図2図1の表面検査装置の検査手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき説明する。
図1は、一実施形態に係る表面検査装置の構成を示すブロック図である。この図1に示す表面検査装置10は、検査対象1の表面1Aの画像を取得して検査対象1の材質等を検査するものであり、光学装置11、照明手段12、距離センサ13、移動ステージ14、調整手段15、分析手段16、データライブラリ17及び表示器18を有して構成される。
【0012】
ここで、検査対象1は、表面1Aが平面形状であっても、凹凸形状等のような3次元形状であってもよい。また、検査対象1は、本実施形態では、移動ステージ14に載置される大きさの例を示している。ところが、この検査対象1は、表面検査装置10に対し大型である場合には固定して設置され、表面検査装置10の光学装置11、照明手段12及び距離センサ13が検査対象1に対して水平方向に移動可能に構成されてもよい。
【0013】
光学装置11は、検査対象1の表面1Aを撮影すると共に分光分析機能を備え、この分光分析によって、取得した画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する。つまり、光学装置11は、分光分析機能を備えると共に、検査対象1の表面1Aにおけるライン上の各位置について、照明手段12からの照射光に対する反射光を取得可能なラインスキャンタイプの光学装置である。特に、光学装置11は、検査対象1の形状や検査面積に応じて、検査対象1の表面1A上の各位置に対して反射光を取得する2次元スキャンタイプの光学装置を用いてもよい。
【0014】
また、光学装置11は、光学素子及びレンズを有して構成される。光学素子は、確定した視野内で撮影を行う際に、光学素子固有の画素数に応じた画像データを出力すると共に、この画像データにおける1ピクセル毎の波長スペクトルも出力する。この波長スペクトルは、光学素子の分光分析性能に応じた波長分解能のスペクトルデータである。このような光学装置11は、例えばハイパースペクトルカメラが好適である。
【0015】
照明手段12は、検査対象1の表面1Aに光を照射すると共に、設置位置及び照射角度を変更可能に少なくとも1つ設けられる。この照明手段12から照射される光は、近紫外線から近赤外線までの波長範囲の光である。このような照明手段12は、ハロゲンランプが好適である。
【0016】
距離センサ13は、検査対象1の表面1Aと光学装置11との距離(検査距離)を計測する。更に距離センサ13は、検査対象1の表面1Aの形状(表面形状)を計測可能に設けられている。このような距離センサ13は、例えばレーザを用いた距離センサが好適である。
【0017】
移動ステージ14は、検査対象1を載置して、この検査対象1を光学装置11に対して水平方向に相対移動させる移動機構である。この移動ステージ14は、特に、検査対象1における次の新たな検査領域を光学装置11の視野に収めるために、検査対象1を光学装置11に対して水平方向に移動させる。本実施形態では、移動ステージ14は、ステッピングモータを用いた高精度な移動ステージであるが、検査精度の要求に応じてより安価な駆動モータを用いたものでもよい。
【0018】
調整手段15は、分析手段16からの指令信号に基づいて光学装置11、照明手段12及び移動ステージ14へ動作信号を出力する。つまり、調整手段15は、光学装置11へ動作信号を出力して、光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離、及び光学装置11内のレンズの焦点位置を調整する。また、調整手段15は、照明手段12へ動作信号を出力して、照明手段12の設置位置及び光の照射角度を調整する。更に、調整手段15は、移動ステージ14へ動作指令を出力して、移動ステージ14に載置された検査対象1の次の検査領域が光学装置11の視野に収まるように移動ステージ14を水平方向に移動させる。
【0019】
分析手段16は、光学装置11の有効撮影範囲を決定する第1の機能と、波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域を決定する第2の機能と、波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域を最小化する第3の機能と、検査対象1の材質を判定する第4の機能とを有する。
【0020】
分析手段16の第1の機能は、検査対象1の表面1Aと光学装置11との検査距離、光学装置11内のレンズの焦点位置、及び検査対象1の表面1Aの形状に基づいて、光学装置11が高い測定精度を保持することが可能な光学装置11の有効撮影範囲を決定する機能である。
【0021】
分析手段16の第2の機能では、まず、調整手段15が検査対象1の表面1Aと光学装置11との検査距離、照明手段12の設置位置及び光の照射角度を変化させながら、光学装置11が、有効撮影範囲内でRGB画素(カラー画像)を取得し、この画像を分光分析して波長スペクトルを求める。そして、分析手段16の第2の機能は、光学装置11が求めた波長スペクトルの変化に基づいて、光学装置11の有効撮影範囲内のRGB画像において波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域を評価して決定するである。ここで、波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域は、例えばフレア及び暗部が発生している領域をいう。
【0022】
分析手段16の第3の機能は、調整手段15との協働によって、光学装置11からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数(領域)を最小化するように、光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離、照明手段12の設置位置及び光の照射角度の各条件を決定する機能である。つまり、この第3の機能では、光学装置11が1回の撮影を行う際に、分析手段16は、まず、撮影されたRGB画像内において、分光分析された波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を把握する。次に分析手段16は、上述の波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数が最も少なくなるように、光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離、照明手段12の設置位置及び光の照射角度の各条件を最適条件として決定する。
【0023】
分析手段16の第4機能は、光学装置11が分光分析して得た波長スペクトルに基づいて検査対象1の化学成分を分析し、検査対象1の材質を判定する機能である。具体的には、分析手段16は、光学装置11の有効撮影範囲内について取得されたRGB画像における1ピクセル毎の所定の輝度範囲内の波長スペクトルを、データライブラリ17に格納された参照用波長スペクトルと比較することで検査対象1の化学成分を分析し、検査対象1の材質を判定する。ここで、データライブラリ17には、所定の輝度範囲内で取得された各種材料の波長スペクトルが参照用波長スペクトルとして格納されている。
【0024】
ところで、この分析手段16の第4の機能は、分析手段16の第3の機能により決定された各条件(光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離、照明手段12の設置位置及び光の照射角度の各条件)下で、光学装置11が検査対象1の表面1AのRGB画像を再度取得し、再度分光分析して得た所定の輝度範囲内の波長スペクトルに対して実施される。即ち、分析手段16は、上述のように再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルを、データライブラリ17に格納された参照用波長スペクトルと比較して検査対象1の化学成分を分析し、検査対象1の材質を判定する。
【0025】
表示器18は、分析手段16により判定された検査対象1の材質判定結果を、光学装置11により撮影されたRGB画像と位置合せし重畳して表示可能に構成される。また、この表示器18は、上記材質判定結果と上記RGB画像とを個別に並列して表示してもよい。
【0026】
表示器18は、具体的には、RGB画像の該当するピクセルに対応する波長スペクトルが、データライブラリ17の参照用波長スペクトルと一致して材質が判定された場合、材質が判定されたピクセルに対して、材質毎に指定された色で表示する。例えば、銅の参照用波長スペクトルに赤色が指定されている場合、RGB画像内の一部の領域が銅であると分析手段16により判定されたとき、表示器18は、上記一部の領域内のピクセルを赤色で表示して、その一部の領域の材質が銅であることを表す。
【0027】
次に、上述のように構成された表面検査装置10による検査手順を、主に図2を参照して説明する。
最初に、検査対象1が移動ステージ14に載置された状態で、距離センサ13が検査対象1の表面1Aと光学装置11との距離である検査距離を測定すると共に、検査対象1の表面1Aの形状を測定する(S1)。次に、分析手段16が、ステップS1で測定された検査距離及び検査対象1の表面1Aの形状、並びに光学装置11内のレンズの焦点位置に基づいて、光学装置11の有効撮影範囲を決定する(S2)。
【0028】
次に、調整手段15が、照明手段12の設置位置及び光の照射角度、並びに光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離を変化させた状態で、光学装置11が、RGB画像を取得し分光分析して、RGB画像の1ピクセル毎に波長スペクトルを取得する(S3)。ステップS3で取得された波長スペクトルの変化に基づいて、分析手段16は、RGB画像の有効撮影範囲内で波長スペクトルが所定の輝度範囲外となる領域を評価し決定する(S4)。
【0029】
分析手段16及び調整手段15は協働して、波長スペクトルがステップS4で決定された所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように、照明手段12の設置位置及び光の照射角度、並びに光学装置11と検査対象1の表面1Aとの検査距離の各条件を決定する(S5)。
【0030】
次に、ステップS5にて決定された条件(照明手段12の設置位置及び光の照射角度、並びに検査距離の各条件)下で、光学装置11は、再度RGB画像を取得し再度分光分析して、所定の輝度範囲内の波長スペクトルを得る(S6)。分析手段16は、ステップS6にて得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルを、データライブラリ17に格納された参照用波長スペクトルと比較して検査対象1の化学成分を分析し、検査対象1の材質を判定する(S7)。
【0031】
次に、光学装置11の有効撮影範囲内において波長スペクトルが所定の輝度範囲外の領域について、光学装置11が所定の輝度範囲内の波長スペクトルを分光分析により取得するまで、ステップS3~S7を繰り返す(S8)。
【0032】
ステップS7において検査対象1の材質を判定した後、検査対象1の次の新たな検査領域を光学装置11の視野に収めるように、調整手段15からの動作指定により、移動ステージ14が検査対象1を水平方向に移動させる(S9)。そして、上述の新たな検査領域に対してステップS1~S9を繰り返す(S10)。ステップS9の後、検査対象1の全ての検査領域に対して検査を実行したか否かを判断し、実行した場合には終了し、実行してない場合にはステップS1~S10を繰り返す(S11)。
【0033】
以上に構成されたことから、本実施形態によれば、次の効果(1)及び(2)を奏する。
(1)分析手段16が、所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて検査対象1の化学成分を分析し、検査対象1の材質を判定することから、検査対象1の材質判定を高精度に実現することができる。
【0034】
(2)分析手段16は、調整手段15との協働によって、光学装置11からの波長スペクトルが所定の輝度範囲外で観測されるピクセル数を最小化するように、検査対象1の表面1Aと光学装置11間の検査距離、照明手段12の設置位置及び光の照射角度の各条件を決定する。そして、この決定された条件下で光学装置11が再度画像を取得して分光分析し、この再度の分光分析により得られた所定の輝度範囲内の波長スペクトルに基づいて、分析手段16が検査対象1の材質を判定している。このため、様々な表面形状の検査対象1に対しても、例えば光学装置11の内部機器等を交換することなく、検査対象1の材質を効率的に判定することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができ、また、それらの置き換えや変更、組み合わせは、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1…検査対象、1A…表面、10…表面検査装置、11…光学装置、12…照明手段、13…距離センサ、14…移動ステージ、15…調整手段、16…分析手段、17…データライブラリ、18…表示器
図1
図2