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特開2024-73951射出成形機、射出成形機システム、射出成形機の制御装置および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073951
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】射出成形機、射出成形機システム、射出成形機の制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184952
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】粟井 藍
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM09
4F206AM22
4F206AM23
4F206AP10
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP11
4F206JP14
4F206JP15
4F206JP27
4F206JP30
4F206JQ88
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】複数の基板を有する制御装置が備えられた射出成形機において、基板に異常が発生した場合の異常発生順序を正しく管理する。
【解決手段】射出成形機100に用いられる制御装置140は、記憶装置202を有する最上位基板M1と、基板M1と通信可能に接続された上位基板A1,B1,C1および下位基板A11,A12,B11,B12,C11,C12とを備える。上位基板および下位基板の各々は、基板M1と同期した時刻情報を有している。上位基板および下位基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を基板M1に送信する。基板M1は、送信されたアラーム情報を記憶装置202に記憶する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機に用いられる制御装置であって、
記憶装置を有する第1基板と、
前記第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを備え、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、前記第1基板と同期した時刻情報を有しており、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を前記第1基板に送信し、
前記第1基板は、送信された前記アラーム情報を前記記憶装置に記憶する、射出成形機用の制御装置。
【請求項2】
前記第2基板および前記第3基板の各々は、
所定期間内における当該基板の内部状態を示すデータを保持する第1メモリと、
不揮発性の第2メモリとを有し、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、
当該基板において異常が発生したことに応答して、前記第1メモリに保持されているデータを前記第2メモリに記憶し、
前記第2メモリに記憶されたデータに異常発生時刻を含む異常状態を示すデータを付与した情報を、前記アラーム情報として前記第1基板に送信する、請求項1に記載の射出成形機用の制御装置。
【請求項3】
前記第2基板および前記第3基板の各々は、
特定期間毎に当該基板の内部状態を示すデータを前記第1基板に送信し、
当該基板に異常が発生した場合に、前記特定期間毎に送信されるデータとともに前記アラーム情報を前記第1基板に送信する、請求項2に記載の射出成形機用の制御装置。
【請求項4】
前記第1基板は、前記第2基板から前記アラーム情報を受信した場合に、前記第3基板に対して前記第1メモリ内のデータを前記第2メモリに記憶させる指令を送信し、
前記第3基板は、前記第1基板から前記指令を受信したことに応答して、前記第1メモリ内のデータを前記第2メモリに記憶するとともに、前記第2メモリに記憶されたデータを前記第1基板に送信し、
前記第1基板は、前記第3基板から送信されたデータを前記記憶装置に記憶する、請求項2または3に記載の射出成形機用の制御装置。
【請求項5】
前記制御装置は、表示装置に接続可能に構成されており、
前記第1基板は、前記記憶装置に記憶された前記アラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の射出成形機用の制御装置。
【請求項6】
射出成形機であって、
制御装置と、
前記制御装置と通信可能に接続された表示装置とを備え、
前記制御装置は、
記憶装置を有する第1基板と、
前記第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを含み、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、前記第1基板と同期した時刻情報を有しており、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を前記第1基板に送信し、
前記第1基板は、送信された前記アラーム情報を前記記憶装置に記憶するとともに、前記記憶装置に記憶された前記アラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に前記表示装置に表示させる、射出成形機。
【請求項7】
以下のステップを含む、記憶装置を有する第1基板と、前記第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板と、表示装置とを備えた射出成形機の制御方法:
(a)前記第2基板および前記第3基板が有する時刻情報を、前記第1基板が有する時刻情報に同期させるステップ;
(b)前記第2基板および前記第3基板の少なくとも一方に異常が発生した場合に、当該異常が発生した基板から前記第1基板に対して、異常発生時刻を含むアラーム情報を送信するステップ;
(c)前記第1基板において、送信された前記アラーム情報を前記記憶装置に記憶するステップ;
(d)前記記憶装置に記憶された前記アラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に前記表示装置に表示するステップ。
【請求項8】
監視装置と、
前記監視装置と通信可能に接続された第1射出成形機および第2射出成形機とを備え、
前記監視装置は、
記憶装置を有する第1基板を備えたサーバと、
前記サーバに接続された表示装置とを含み、
前記第1射出成形機は、前記第1基板と通信可能に接続された第2基板を含み、
前記第2射出成形機は、前記第1基板と通信可能に接続された第3基板を含み、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、前記第1基板と同期した時刻情報を有しており、
前記第2基板および前記第3基板の各々は、対応する射出成形機において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を前記第1基板に送信し、
前記第1基板は、送信された前記アラーム情報を前記記憶装置に記憶するとともに、前記記憶装置に記憶された前記アラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に前記表示装置に表示させる、射出成形機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形機、射出成形機システム、射出成形機の制御装置および制御方法に関し、より特定的には、射出成形機における異常管理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-111298号公報(特許文献1)には、電動射出成形機の制御装置において、制御装置に含まれる親局の基板と複数の子局の基板との間における通信状態を監視する構成が開示されている。特許文献1に開示された射出成形機においては、CPU基板と複数の通信基板とが上位ネットワークで接続されており、各通信基板に対して設けられた下位ネットワークに複数の装置基板が接続されている。上位ネットワークにおいては、CPU基板が親局となり、各通信基板が子局となる。また、下位ネットワークにおいては、通信基板が親局となり、各装置基板が子局となる。特許文献1においては、親局と子局との間でパケット通信が行なわれ、パケットに付加される誤り検出情報に基づいて、各ネットワークの通信状態の判定が行なわれる。判定された通信状態の結果は、CPU基板に接続されたモニタの監視画面に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-111298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された射出成形機の制御装置のように、制御装置内に複数の基板が階層的なネットワークで接続された構成を有する場合、下位ネットワークの装置基板で発生した異常情報は、下位ネットワークにおける親局である通信基板で一旦集約され、その後、各通信基板から上位ネットワークの親局であるCPU基板に情報が伝達される。
【0005】
基板間のパケット通信は、一般的には、所定期間ごとに定期的に実施される。そのため、複数の基板において同時的に異常が発生した場合、あるいは、時間的に隣接するパケット通信とパケット通信との間に複数の異常が連続的に生じた場合には、同一のパケットに複数の異常情報が含まれるため、最上位のCPU基板において、各通信基板から受信した情報から、異常の発生順序を正しく認識することができない場合が生じ得る。そうすると、異常原因の解析および特定が困難となり、異常の復旧に時間を要したり、適切な再発防止対策が実施できなかったりする可能性がある。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の基板を有する制御装置が備えられた射出成形機において、基板に異常が発生した場合の異常発生順序を正しく管理することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に係る射出成形機の制御装置は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを備える。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶する。
【0008】
本開示に他の局面に係る射出成形機は、制御装置と、制御装置と通信可能に接続された表示装置とを備える。制御装置は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを含む。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するとともに、記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示させる。
【0009】
本開示のさらに他の局面に係る射出成形機の制御方法は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板と、表示装置とを備えた射出成形機の制御方法に関する。制御方法は、(a)第2基板および第3基板が有する時刻情報を、第1基板が有する時刻情報に同期させるステップと、(b)第2基板および第3基板の少なくとも一方に異常が発生した場合に、当該異常が発生した基板から第1基板に対して、異常発生時刻を含むアラーム情報を送信するステップと、(c)第1基板において、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するステップと、(d)記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示するステップとを含む。
【0010】
本開示のさらに他の局面に係る射出成形機システムは、監視装置と、監視装置と通信可能に接続された第1射出成形機および第2射出成形機とを備える。監視装置は、記憶装置を有する第1基板を備えたサーバと、サーバに接続された表示装置とを含む。第1射出成形機は、第1基板と通信可能に接続された第2基板を含む。第2射出成形機は、第1基板と通信可能に接続された第3基板を含む。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、対応する射出成形機において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するとともに、記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示による射出成形機によれば、下位基板(第2基板,第3基板)において異常が発生した場合に、異常が発生した基板から、上位基板(第1基板)と同期された時刻情報を含むアラーム情報が上位基板に送信される。このアラーム情報に含まれる時刻情報により、上位基板において下位基板で発生した異常の発生順序を正しく管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に従う射出成形機の全体概要図である。
図2】制御装置における基板構成を説明するための図である。
図3】各基板の内部構成の一例を説明するための図である。
図4】基板間における定期通信の処理を説明するためのフローチャートである。
図5】基板に異常が発生した場合の処理を説明するための図である。
図6】実施の形態2に従う射出成形機システムにおける基板構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
[実施の形態1]
(射出成形機の構成)
図1は、実施の形態に従う射出成形機100の構成を説明するための図である。なお、説明の便宜上、射出成形機100が配置される床面をXY平面とし、当該床面に垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。なお、実施の形態1における射出成形機100は、横型の射出成形機を例として示されているが、横型の射出成形機に限られず、竪型の射出成形機であってもよい。また、以降の説明においては、射出成形機である場合の例について説明するが、本開示の特徴は、たとえば工作機械、プレス装置、押出成形機、レーザ加工機、および/または、産業用ロボットなどの他の産業機械にも適用可能である。
【0015】
図1を参照して、射出成形機100は、金型を型締めするための型締装置110、射出材料を溶融して射出するための射出装置120、操作盤130、および、制御装置140を含んで構成されている。図1においては、型締装置110は、射出装置120に対してX軸の負方向側に配置されている。
【0016】
型締装置110は、ベッド111と、固定盤112と、型締ハウジング113と、可動盤114と、タイバー115と、型締機構116と、金型117,118と、ボールねじ119とを含む。ベッド111は床面に配置されており、その上面に、固定盤112、型締ハウジング113および可動盤114等の機器が搭載されている。
【0017】
固定盤112は、ベッド111上において、射出装置120に近い側(すなわち、X軸の正方向)の端部に固定されている。型締ハウジング113は、ベッド111上におけるX軸の負方向の端部に配置されている。固定盤112と型締ハウジング113とは、複数のバーを含むタイバー115によって連結されている。型締ハウジング113は、ベッド111上において、X軸方向に移動可能である。
【0018】
可動盤114は、ベッド111上において、固定盤112と型締ハウジング113との間に配置されている。可動盤114は、X軸方向に移動可能に構成されている。型締ハウジング113と可動盤114とは、型締機構116によって連結されている。型締機構116はトグル機構を有している。トグル機構には、ボールねじ119が連結されており、型締ハウジング113に配置されるサーボモータ151を駆動して当該ボールねじ119を回転させることによって、型締ハウジング113に対して可動盤114をX軸方向に相対移動させることができる。なお、型締機構116として、油圧によって駆動される直動式のシリンダを用いてもよい。
【0019】
可動盤114および固定盤112には、金型117,118がそれぞれ配置されている。金型117および金型118は、可動盤114と固定盤112との間において互いに対向して配置されている。型締機構116を用いて金型117をX軸方向に移動させることによって、金型117と金型118とを密着させたり、金型117を金型118から離間させたりすることができる。以降の説明においては、金型117および金型118が離間した状態から密着する状態へ移行させる工程を「型締」と称する。また、金型117および金型118が密着している状態から離間した状態へ移行させる工程を「型開」と称する。
【0020】
型締工程によって金型117と金型118とが密着させた状態で、金型内部に溶融材料(樹脂)を充填し、冷却して固化させることによって、所望の形状の製品を成形することができる。製品の成形後、型開工程によって金型117を金型118から離間させた状態で、可動盤114に配置された突出機構(図示せず)を動作させることによって、成形された製品を金型117から取り出すことができる。突出機構は、可動盤114に配置されたサーボモータ152によって駆動される。なお、突出機構を用いて製品を取り出す工程を「突出」工程と称する。
【0021】
射出装置120は、基台121と、加熱シリンダ122と、駆動装置124と、ホッパ125と、ノズルタッチ装置127と、温度センサ128とを含む。基台121は、ベッド111のX軸の正方向側の床面に配置され、その上面に駆動装置124が搭載されている。駆動装置124には、サーボモータ153,154が配置されている。
【0022】
駆動装置124には、X軸方向に延在する加熱シリンダ122が配置されている。加熱シリンダ122は、内部を加熱するためのヒータ(図示せず)と、スクリュ123と、射出ノズル126とを含む。スクリュ123は、駆動装置124内のサーボモータ153によって駆動され、X軸方向を回転軸として回転可能に構成される。また、スクリュ123は、サーボモータ154によってX軸方向に移動可能に構成されている。射出ノズル126は、加熱シリンダ122における型締装置110側の端部(すなわち、X軸の負方向の端部)に配置されている。加熱シリンダ122は、ホッパ125から投入されたビーズ状の樹脂材料を加熱溶融し、スクリュ123を用いて混練することによって溶融材料を生成する。このように、樹脂材料を溶融する工程を「可塑化」工程と称する。
【0023】
ノズルタッチ装置127は、たとえば油圧シリンダを用いた機構、あるいは、ボールねじを用いた機構によって構成されており、駆動装置124と、型締装置110の固定盤112とを連結している。ノズルタッチ装置127がボールねじを用いた機構によって構成されている場合には、ノズルタッチ装置127は、駆動装置124によって駆動され、駆動装置124および加熱シリンダ122をX軸方向に移動させる。ノズルタッチ装置127によって、射出ノズル126を型締装置110における金型118のスプルーブッシュに接触させ、射出ノズル126から溶融材料を射出することによって、金型117,118のキャビティ内に溶融材料が充填される。サーボモータ154は、加熱シリンダ122内のスクリュ123をX軸の負方向に移動させることによって溶融材料に圧力を付与し、金型117,118内への溶融材料の注入、および、注入後の溶融材料の圧力を一定に保持する。
【0024】
なお、ノズルタッチ機構の構成については、上記のように固定盤112と駆動装置124との間に配置されたボールねじによって射出装置全体を移動させる構成には限らず、他の構成であってもよい。たとえば、装置フレームと加熱シリンダ後部の固定部材とをボールねじを用いて連結し、加熱シリンダ自体を金型方向へ移動させる構成であってもよい。あるいは、射出装置が搭載されたスライドベースと装置フレームとをボールねじを用いて連結し、スライドベースとともに射出装置を移動させて射出ノズルを金型へ接触させる構成であってもよい。
【0025】
なお、金型117,118内に溶融材料を注入する工程を「射出」工程と称する。また、射出工程後、金型117,118内に充填された溶融材料を一定圧力に保持して冷却する工程を「保圧」工程と称する。
【0026】
温度センサ128は、加熱シリンダ122における射出ノズル126の近傍に配置されている。温度センサ128は、加熱シリンダ122内部の溶融材料の温度を検出し、制御装置140へ出力する。制御装置140は、温度センサ128の検出値に基づいてヒータを制御して、溶融材料の温度を所望の温度に調整する。
【0027】
保圧工程が完了すると、型開工程および突出工程が実行されて、成形された製品が取り出される。
【0028】
射出成形機100は、型締工程、射出工程、保圧工程、可塑化工程、型開工程および突出工程をサイクリックに繰り返し実行することによって、製品を連続的に形成することができる。
【0029】
制御装置140は、基台121の内部に格納されている。制御装置140は、図2で後述するように、各工程において動作する機器を制御するための複数の基板により構成されている。制御装置140には、代表的に演算装置141と、記憶装置142と、サーボモータ151~154を駆動するためのサーボアンプ143とが含まれる。演算装置141は、CPU(Central Processing Unit)および/またはマイコンである。記憶装置142は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの揮発性あるいは不揮発姓メモリ、ならびに、HDD(Hard Disc Drive)およびSSD(Solid State Drive)などに代表される大容量記憶装置を含む。制御装置140は、射出成形機100に配置された各種センサの検出値を取得するとともに、射出成形機100の各装置を統括的に制御する。
【0030】
操作盤130は、オペレータが射出成形機100を操作するための機器であり、液晶ディスプレイのような表示装置、および、キーボードなどの入力装置を含む。操作盤130は制御装置140に接続されており、射出成形機100の状態を取得して表示したり、入力装置からのユーザ操作信号を制御装置140に出力したりすることができる。操作盤130は、表示装置および入力装置が一体化されたタッチパネルであってもよい。また、操作盤130は、射出成形機100のベッド111あるいは基台121に取り付けられていてもよいし、射出成形機100とは独立した位置に配置されていてもよい。
【0031】
(制御装置の構成)
次に、図2および図3を用いて制御装置140の詳細な構成について説明する。図2は、制御装置140における基板構成を説明するための図である。また、図3は、各基板の内部構成の一例を説明するための図である。
【0032】
図2を参照して、制御装置140は、基板M1と、当該基板M1とネットワーク145を介して通信可能に接続された基板A1,B1,C1とを含む。また、基板A1には、ネットワーク146Aを介して、基板A11,A12が通信可能に接続されている。同様に、基板B1にはネットワーク146Bを介して基板B11,B12が通信可能に接続されており、基板C1にはネットワーク146Cを介して基板C11,C12が通信可能に接続されている。
【0033】
各基板は、ネットワーク145,146A,146B,146Cによって階層的に接続されている。
【0034】
以下の説明においては、基板M1を「最上位基板」と称し、基板A1,B1,C1を総称して「上位基板」と称し、基板A11,A12,B11,B12,C11,C12を総称して「下位基板」と称する場合がある。また、ネットワーク145を「上位ネットワーク145」と称し、ネットワーク146A,146B,146Cを総称して「下位ネットワーク146」とも称する。上位ネットワーク145に接続される上位基板の数、および、各下位ネットワーク146に接続される下位基板の数は一例であり、各ネットワークにはより多くの基板が接続されていてもよい。
【0035】
最上位基板である基板M1は、たとえば、射出成形機100の全体を統括するためのCPU基板である。上位基板である基板A1,B1,C1の各々は、たとえば、基板M1と下位基板との間で情報を伝達する通信基板である。下位基板である基板A11,A12,B11,B12,C11,C12は、射出成形機100に含まれる各装置を動作させるための装置基板である。装置基板には、サーボモータ151~154を駆動するためのサーボアンプ143のドライブ基板、加熱シリンダ122の温度調節を行なうための温調基板、各センサからの検出信号の受信および各アクチュエータへの制御信号の送信を行なうためのI/O基板などが含まれる。
【0036】
なお、図2に示した制御装置140内における複数の基板の階層構造は一例であり、たとえば上位基板がなく、各下位基板が最上位基板と個々に通信する構成であってもよい。また、ネットワークの構造についても、リング方式、バス方式あるいはスター方式のいずれのネットワーク構造であってもよい。
【0037】
最上位基板と各上位基板との間、および、上位基板と各下位基板との間においては、特定期間ごとに定期的にパケット通信によって情報が相互に伝達される。パケット通信は、たとえば各基板に配置される演算装置(CPU,マイコン)の制御周期(たとえば3msec)の間隔で行なわれる。
【0038】
最上位基板から下位基板へのパケット通信には、各装置に対する操作指令が含まれる。また、下位基板から最上位基板へのパケット通信には、各センサの検出値および各装置の内部状態の実績値などのパラメータの情報、ならびに、各基板で異常が発生した場合のアラーム情報などが含まれる。
【0039】
最上位基板である基板M1には、操作盤130(図1参照)に配置された表示装置131が接続されている。表示装置131には、基板M1から送信される各装置のパラメータの設定値および実績値、ならびに、アラーム情報などが表示される。
【0040】
図3に示されるように、各基板には、演算装置および記憶装置が含まれる。基板M1は、CPU201および記憶装置202を含む。上位基板である基板A1は、CPU211および記憶装置212を含む。下位基板である基板A11は、マイコン221と、第1メモリ222と、第2メモリ223とを含む。
【0041】
第1メモリ222は、リングバッファであり、直近の所定期間(たとえば100msec)の情報を記憶することができる。第1メモリ222においては、時間の経過とともに、所定期間よりも前の古い情報は順次削除される。第2メモリ223は、データログ用の不揮発性メモリである。第2メモリ223は、異常発生時などの特定のトリガーに応じて、当該タイミングにおける第1メモリ222内の情報を一括保存する。
【0042】
なお、上位基板の基板A1の記憶装置212についても、下位基板A11と同様に、リングバッファおよび不揮発性メモリを組み合わせた構成としてもよい。
【0043】
(異常発生時のデータロギング)
上述のような制御システムにおいて、各装置あるいは装置を駆動するための各基板に異常が発生した場合に、異常発生時の装置の状態および基板の内部状態の情報を記録しておくことで異常原因を特定しやすくすることができる。
【0044】
一方で、上記の射出成形機のような階層構造の基板構成を有する制御装置の場合、アラーム情報は定期的なパケット通信により上位側の基板へ伝達される。パケット通信は、予め定められた時間間隔で実行されるため、最上位基板におけるアラーム情報の受信タイミングは、実際の異常発生時から遅れてしまうことになる。このとき、複数の異常が同時的に発生した場合、および/または、時間的に隣接するパケット通信タイミングの間に、連続的に複数の異常が発生した場合には、最上位基板においては、同一パケット内に複数の異常情報が含まれるため、異常の発生順序を正しく認識することができない場合が生じ得る。そうすると、異常原因の解析および特定が困難となり、異常の復旧に時間を要したり、適切な再発防止対策が実施できなかったりする可能性がある。
【0045】
特に基板で生じる異常は一過性の異常である場合が少なくなく、システムの再立ち上げ、あるいは、基板交換によって異常が復旧し、異常が再現しない場合があり得る。そのような場合に、当該異常に起因した他の異常発生順序を正しく認識することで、真の異常の要因を解析できる可能性がある。
【0046】
そこで、実施の形態1の射出成形機100の制御装置140においては、上位基板および下位基板の各々における演算装置の時刻を最上位基板の時刻に同期させるとともに、各基板において異常が検出された場合に異常発生時の時刻情報をアラーム情報に付加して、上位側の基板へ伝達する構成とする。このような構成とすることによって、最上位基板におけるアラーム情報の受信順序が実際の異常発生順序と異なっていた場合でも、アラーム情報に含まれる時刻情報に基づいて、正しい異常発生順を認識することができる。
【0047】
図4は、基板間における定期通信の処理を説明するためのフローチャートである。図4のフローチャートに記載された各ステップは、制御装置140内のいずれかの基板において実行される。なお、基板間における定期通信の処理フローの説明において図3も適宜参照する。
【0048】
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す。)100において、最上位基板である基板M1から、他の各基板に対して、当該基板および当該基板で駆動する装置に関する情報を伝達させるための定期送信指令を送信する。より具体的には、最上位基板である基板M1は、各通信基板に対して上記の定期送信指令を送信する。通信基板A1,B1,C1の各々は、対応する下位ネットワークに接続されている各装置基板に対して、基板M1から受信した定期送信指令を転送する。このとき、基板M1から送信される定期送信指令には、基板M1の時計機能が示している時刻情報が含まれる。
【0049】
次に、S110において、各下位基板は、受信した定期送信指令に含まれる時刻情報に基づいて、自身の基板の時刻情報を同期させる。そして、各下位基板は、現時点での最新の基板および装置の状態を表わすパラメータを、現時点での時刻情報とともに、パケット通信にて上位基板へ送信する。
【0050】
上位基板である通信基板A1,B1,C1の各々は、S120にて、対応する下位ネットワークに接続された各下位基板からの情報を一旦集約する。そして、各通信基板は、次回の定期通信タイミングにおいて、集約された情報を基板M1に送信する。このとき、各通信基板は、基板M1への次回の送信タイミングで、各下位基板からの情報に加えて、自身の基板の内部状態を示す情報を時刻情報ととも基板M1に送信してもよい。
【0051】
その後、各通信基板からの情報を基板M1が受信すると、S130にて、基板M1は、受信した情報を記憶装置202に記憶する。基板M1は、必要に応じて、記憶された情報の内容を表示装置131に表示させる。
【0052】
次に、図5を用いて、各基板に異常が発生した場合の処理について説明する。なお、各基板に異常が発生した場合の処理フローの説明において図3も適宜参照する。図5を参照して、ある装置基板において異常が発生あるいは異常を検知すると、当該装置基板は、S200にて、リングバッファである第1メモリ内のデータを、不揮発性メモリである第2メモリ内に保存する。第2メモリに保存するデータは、第1メモリ内のすべてのデータであってもよいし、異常発生時を含む所定期間のデータであってもよい。さらに、当該装置基板は、S210にて、異常発生時刻を含む異常に関する情報を第2メモリに追加して、アラーム情報を生成する。
【0053】
次に、S220にて、当該装置基板は、上位側の基板との定期通信タイミングにて、第2メモリに記憶されたアラーム情報を上位基板へ送信する。対応する上位基板は、次回の定期通信タイミングにて、受信したアラーム情報を最上位基板である基板M1に送信する。このとき、複数の装置基板で同時的に異常が発生した場合、および/または、同じ装置基板において連続的に異常が発生した場合には、複数のアラーム情報が同一およびパケットで上位基板から最上位基板へと送信される。
【0054】
S230にて、基板M1は、受信したアラーム情報を記憶装置202に記憶するとともに、異常発生時刻順に、アラーム情報内のデータを表示装置131に表示する。また、それに続いてまたは並行して、基板M1は、S240にて、異常が発生していない基板に対して、内部状態を示す情報を不揮発性メモリに保存する指令を送信する。当該指令に対応して、異常未発生の各装置基板は、S250にて、第1メモリ内のデータを第2メモリ内に保存するとともに、保存したデータを、対応する通信基板を介して最上位基板である基板M1に送信する。
【0055】
なお、図5には記載されていないが、基板M1は、異常未発生の基板から受信したデータを記憶装置202に記憶する。これによって、異常原因の解析の際に、異常未発生の基板の状態を参照することができる。
【0056】
以上のような処理に従って各基板を制御することによって、各基板で異常が発生した場合に、最上位基板において異常発生時刻を正しく認識することができる。そのため、複数の異常が同時的にあるいは連続的に発生した場合においても、異常発生順序を正しく管理することができるので、異常原因の解析および特定が容易になる。これにより、異常からの復旧時間の短縮、および/または、適切な再発防止対策を考案することが可能となる。
【0057】
なお、実施の形態1における最上位基板の「基板M1」は、本開示における「第1基板」に対応する。実施の形態1における上位基板の「基板A1,B1,C1」および下位基板の「基板A11,A12,B11,B12,C11,C12」の各々は、本開示における「第2基板」あるいは「第3基板」に対応する。
【0058】
なお、たとえば実施の形態1における上位基板の「基板A1,B1,C1」のない構成、すなわち、最上位基板の「基板M1」および下位基板の「基板A11,A12,B11,B12,C11,C12」のみがあり、下位基板の各々が最上位基板と個々に通信する2階層構成の場合、最上位基板の「基板M1」が「第1基板」に対応し、下位基板の「基板A11,A12,B11,B12,C11,C12」のうちの任意の2つが本開示における「第2基板」あるいは「第3基板」に対応する。
【0059】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、1台の射出成形機において、制御装置が複数の基板で構成される場合の、基板の異常管理について説明した。
【0060】
実施の形態2においては、複数の射出成形機についての異常の有無を管理する監視システムに、実施の形態1と同様の特徴を適用した場合について説明する。
【0061】
図6は、実施の形態2に従う射出成形機システム300における基板構成を説明するための図である。図6を参照して、射出成形機システム300は、監視装置310と、ネットワーク315を介して監視装置310と通信可能に接続された複数の射出成形機100A,100B,100Cとを備える。
【0062】
監視装置310は、サーバ311および表示装置312を含む。サーバ311は、各射出成形機から内部状態を示す情報および異常に関する情報を定期的に受信し、各射出成形機における異常の有無を監視する。受信した各射出成形機の状態および異常に関する情報は、表示装置312に表示される。
【0063】
射出成形機100A,100B,100Cの各々は、基本的には、実施の形態1で説明した射出成形機100と同様の構成を有している。図2で説明したように、射出成形機100A,100B,100Cの制御装置は、それぞれネットワーク316A,316B,316Cを介して接続された複数の基板を含んでおり、最上位基板であるCPU基板によって射出成形機の各装置が統括的に制御されている。なお、各射出成形機におけるネットワークは、図2に示されるような階層構造であってもよい。
【0064】
図6の射出成形機システム300においては、監視装置310におけるサーバ311内の基板が、図2における最上位基板である基板M1に対応する。また、各射出成形機におけるCPU基板が、図2における上位基板である基板A1,B1,C1に対応する。そして、各射出成形機における通信基板および装置基板が、図2における下位基板に対応する。
【0065】
このような射出成形機システム300においても、各射出成形機内の基板の時刻情報を、サーバ311の時刻情報と同期させるとともに、基板の異常時に異常発生時刻が付加されたアラーム情報を上位側の基板に送信することによって、特定の射出成形機内で複数の異常が同時的あるいは連続的に発生した場合、および/または、異なる射出成形機において同時期に異常が発生した場合であっても、監視装置310において、複数の射出成形機の基板で発生した異常の発生順序を正しく管理することができる。これにより、異常原因の解析および特定が容易になり、異常からの復旧時間の短縮、および/または、適切な再発防止対策を考案することが可能となる。
【0066】
[態様]
上述した実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0067】
(第1項)一態様に係る射出成形機に用いられる制御装置は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを備えす。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶する。
【0068】
(第2項)第1項に記載の制御装置において、第2基板および第3基板の各々は、所定期間内における当該基板の内部状態を示すデータを保持する第1メモリと、不揮発性の第2メモリとを有する。第2基板および第3基板の各々は、(a)当該基板において異常が発生したことに応答して、第1メモリに保持されているデータを第2メモリに記憶し、(b)第2メモリに記憶されたデータに異常発生時刻を含む異常状態を示すデータを付与した情報を、アラーム情報として第1基板に送信する。
【0069】
(第3項)第2項に記載の制御装置において、第2基板および第3基板の各々は、(a)特定期間毎に当該基板の内部状態を示すデータを第1基板に送信し、(b)当該基板に異常が発生した場合に、特定期間毎に送信されるデータとともにアラーム情報を第1基板に送信する。
【0070】
(第4項)第2項または第3項に記載の制御装置において、第1基板は、第2基板からアラーム情報を受信した場合に、第3基板に対して第1メモリ内のデータを第2メモリに記憶させる指令を送信する。第3基板は、第1基板から指令を受信したことに応答して、第1メモリ内のデータを第2メモリに記憶するとともに、第2メモリに記憶されたデータを第1基板に送信する。第1基板は、第3基板から送信されたデータを記憶装置に記憶する。
【0071】
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の制御装置において、制御装置は、表示装置に接続可能に構成されている。第1基板は、記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示させる。
【0072】
(第6項)一態様に係る射出成形機は、制御装置と、制御装置と通信可能に接続された表示装置とを備える。制御装置は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板とを含む。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、当該基板において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するとともに、記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示させる。
【0073】
(第7項)一態様に係る射出成形機の制御方法は、記憶装置を有する第1基板と、第1基板と通信可能に接続された第2基板および第3基板と、表示装置とを備えた射出成形機の制御方法に関する。制御方法は、(a)第2基板および第3基板が有する時刻情報を、第1基板が有する時刻情報に同期させるステップと、(b)第2基板および第3基板の少なくとも一方に異常が発生した場合に、当該異常が発生した基板から第1基板に対して、異常発生時刻を含むアラーム情報を送信するステップと、(c)第1基板において、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するステップと、(d)記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示するステップとを含む。
【0074】
(第8項)一態様に係る射出成形機システムは、監視装置と、監視装置と通信可能に接続された第1射出成形機および第2射出成形機とを備える。監視装置は、記憶装置を有する第1基板を備えたサーバと、サーバに接続された表示装置とを含む。第1射出成形機は、第1基板と通信可能に接続された第2基板を含む。第2射出成形機は、第1基板と通信可能に接続された第3基板を含む。第2基板および第3基板の各々は、第1基板と同期した時刻情報を有している。第2基板および第3基板の各々は、対応する射出成形機において異常が発生した場合に、異常発生時刻を含むアラーム情報を第1基板に送信する。第1基板は、送信されたアラーム情報を記憶装置に記憶するとともに、記憶装置に記憶されたアラーム情報に含まれるデータを、異常発生時刻の順に表示装置に表示させる。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【符号の説明】
【0076】
100,100A~100C 射出成形機、110 型締装置、111 ベッド、112 固定盤、113 型締ハウジング、114 可動盤、115 タイバー、116 型締機構、117,118 金型、119 ボールねじ、120 射出装置、121 基台、122 加熱シリンダ、123 スクリュ、124 駆動装置、125 ホッパ、126 射出ノズル、127 ノズルタッチ装置、128 温度センサ、130 操作盤、131,312 表示装置、140 制御装置。141 演算装置、142,202,212 記憶装置、143 サーボアンプ、145,146,146A~146C,315 ネットワーク、151~154 サーボモータ、201,211 CPU、221 マイコン、222,223 メモリ、300 射出成形機システム、310 監視装置、311 サーバ、A1,A11,A12,B1,B11,B12,C1,C11,C12,M1 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6