(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007397
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】発光分光分析装置用のスパークスタンドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01N 21/67 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
G01N21/67 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102432
(22)【出願日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】22182557.3
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522168534
【氏名又は名称】ヒタチ ハイ-テク アナリティカル サイエンス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ペーテルス、アンドレ
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA01
2G043EA08
2G043EA09
2G043EA10
2G043JA01
2G043LA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プラズマチャンバのガス気密性を確保する確実で強固な方法を容易にするスパークスタンドアセンブリを提供する。
【解決手段】発光分光分析(OES)装置用のスパークスタンドアセンブリ120が提供され、このスパークスタンドアセンブリは、OES装置のメインハウジングにスパークスタンドアセンブリを取付けることを可能にする取付けフランジ122に取付けられたスパークスタンド本体121と、スパークスタンド本体の上面に配置された凹部に配置された励起器123aと、取付けフランジに隣接するスパークスタンド本体121の上面に配置された隆起部と、スパークスタンド本体の上面前記凹部がプラズマチャンバから前記経路への光伝送経路を形成し、ノッチ125が、前記プラズマチャンバから前記経路への光伝送経路の一部を形成するように配置される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光分光分析(OES)装置(100)のためのスパークスタンドアセンブリ(120)であって、前記スパークスタンドアセンブリ(120)は、
OES装置(100)のメインハウジング(110)に前記スパークスタンドアセンブリ(120)を取付けることを可能にする取付けフランジ(122)に取付けられたスパークスタンド本体(121)と、
前記スパークスタンド本体(121)の上面に配置された凹部に配置された励起器(123、123a)と、
前記取付けフランジ(122)に隣接する前記スパークスタンド本体(121)の上面に配置された隆起部(124)と、
前記スパークスタンド本体 (121) の上面に配置され、前記隆起部(124)を通る経路に前記凹部を接続する細長いノッチ(125)と、
前記凹部と、前記ノッチ(125)と、前記隆起部(124)の少なくとも一部とを覆うようにスパークスタンド本体(121)の上面に着脱自在に取付けられることで、前記凹部はプラズマチャンバから前記経路への光伝送経路の一部を形成するスパークスタンドプレート(130)であって、前記スパークスタンドプレート(130)は、前記励起器(123、123a)からの励起のために開口(131)に配置される試料(140)の一部を露出するための前記開口(131)を備え、前記開口(131)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたときに、前記励起器(123、123a)と空間的に整列されるように配置される、スパークスタンドプレート(130)と、
前記凹部と前記ノッチ(125)とを囲うように、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面と前記スパークスタンドプレート(130)との間に配置され、前記隆起部(124)を超えて配索される、シール部材(127)と、
を備える、スパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項2】
前記凹部及び前記ノッチ(125)を囲うように、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面及び前記隆起部(124)に配置されたシール部材溝(126)を備え、前記シール部材(127)は、少なくとも部分的に、前記シール部材溝(126)に埋め込まれる、請求項1に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項3】
前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面に配置されたシール部材溝(126)を備え、前記シール部材(127)は、少なくとも部分的に、前記シール部材溝(126)に埋め込まれており、前記シール部材溝(126)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたときに、前記シール部材(127)が前記凹部および前記ノッチ(125)を囲い、前記隆起部(124)を超えて配索されるように配置される、請求項1に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項4】
前記スパークスタンドプレート130は、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に、前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けることを介して取付け可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項5】
前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けるように配置される取付け機構を含む、請求項4に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項6】
前記取付け機構は、前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けるための1セットのクランプを備える、請求項5に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項7】
前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面は、前記凹部及び前記ノッチ(125)から離れて、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面の形状に実質的に対応する形状を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項8】
前記スパークスタンド本体(121)の前記上面は、前記凹部と前記ノッチ(125)と前記隆起部(124)とから離れて、実質的に平面であり、前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する前記対向面は、前記隆起部(124)に当接することを意図した部分から離れて実質的に平面である、請求項7に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項9】
前記光伝送経路は、前記光伝送経路の少なくとも一部を前記プラズマチャンバから隔離するための結合レンズまたは窓を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項10】
前記励起器(123)は、前記試料(140)の一部をプラズマ状態に変換するスパーク励起を生成するために配置される電極(123a)を備え、それによって、前記電極(123a)の起動時に前記電極(123a)の先端と前記試料(140)の表面との間に円錐プラズマ(132)を生成する、請求項1~9のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項11】
前記スパークスタンドプレート(130)は、前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面から突出し、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に前記スパークスタンドプレート(130)が取付けられたとき、前記ノッチ(125)と空間的に整列する位置に配置される空間マスク(133a、133b)を備え、それによって、前記空間マスク(133a、133b)は、前記プラズマチャンバから前記経路への前記光伝送経路を部分的に遮断する、請求項1~10のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項12】
前記空間マスク(133a、133b)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたとき、前記ノッチ(125)の中に突出する前記スパークスタンドプレート(130)の厚くされた部分として設けられたマスキング部(133a)を備える、請求項11に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項13】
前記空間マスク(133a、133b)は、着脱可能に前記スパークスタンドプレート(130)に取付けられたマスキング部材(133b)を備え、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたとき、前記マスキング部材(133b)は前記ノッチ(125)の中に突出する、請求項11に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項14】
前記スパークスタンドプレート(130)の外側表面から測定される前記空間マスク(133a、133b)の高さは、前記励起器(123、123a)の先端と前記スパークスタンドプレート(130)の前記外側表面との間の距離の25~70%である、請求項11~13のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項15】
メインハウジング(110)と請求項1~14のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)とを含む発光分光分析(OES)装置(100)であって、前記メインハウジング(110)は、光分光検出アセンブリ(114)と、前記スパークスタンドアセンブリ(120)を前記メインハウジング(110)に取付けるための取付けインタフェースとを備え、前記取付けインタフェースは、前記スパークスタンドアセンブリ(120)の前記光伝送経路を前記光分光検出アセンブリ(114)に接続するための光インタフェースを備える、発光分光分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例および非限定的態様は、発光分光分析装置、特に、そのような装置のためのスパークスタンドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
金属のような材料の高精度での分析に適用可能な分析器装置は、典型的には、発光分光分析(OES)技術に依存する。スパークOES技法に依存する分析器装置は、正確で信頼性の高い材料分析が重要な産業と同様に、研究所での使用を見出す。業務用の産業用途を対象とした高性能スパークOES装置は、典型的にはデスクトップ(またはベンチトップ)装置として提供されるか、または車輪を備えて提供されるか、分析装置を輸送するために調整された車輪付きトロリーに搭載される移動装置である複雑な装置である。
【0003】
OES技術の基本的な動作原理は、試料の断片をプラズマ状態に変換するために、適切な励起手段を用いて試料を励起し、捕捉された試料スペクトルの、既知の元素組成の1つまたは複数の試料のそれぞれの参照スペクトルとの比較を介して、プラズマの励起原子またはイオンのエネルギー準位間の遷移から放出される光を、試料の元素組成の分析のための分光器に伝達することを含む。アーク、スパーク、レーザ、誘導結合プラズマ(ICP)及び直流プラズマ(DCP)のような種々の励起手段が公知であり、この場合、励起のタイプは、多くの場合、それぞれのOES技術、例えばスパークOES又はレーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS)を指定するために適用される。
【0004】
OES装置の光学システムによってカバーされるべき波長範囲に応じて、紫外線(UV)透過性雰囲気が、光学システムで、かつプラズマ発生のスポットから分光器インタフェースへの透過経路に沿って必要とされ得る。雰囲気は、特にプラズマ発生のスポット及びその近傍において、通常、アルゴンのような不活性ガスを含み、この不活性ガスは、プラズマ発生を容易にし、雰囲気中でプラズマを発生させる場合に形成しやすい酸化物、炭化物及び窒化物のような望ましくない物質の形成を防止する。
【0005】
プラズマ発生のスポット及びその近傍における特定の雰囲気のこの要件のために、OES装置は、典型的には、励起のために開口に対して置かれた試料のスポットを露出させるための開口を備えたプラズマチャンバを含み、一方、開口に試料を配置することは、典型的には、ガス気密方式でプラズマチャンバをシールする。プラズマチャンバは、試料の露出したスポットを励起する励起手段と、チャンバに不活性ガスを注入してプラズマ生成のスポットをパージすることを可能にするガス入口と、プラズマ生成中に形成された不活性ガスおよびプラズマ生成中に形成されたデブリをプラズマチャンバから除去するための出口とをさらに含む。プラズマチャンバにはさらに、プラズマから放射された光をプラズマチャンバから出て分光器に伝送するための(光学)窓が設けられている。スパーク励起を利用するOES装置(すなわち、スパークOES装置)では、プラズマチャンバは、スパークチャンバとも呼ばれ得る。
【0006】
一般性を失うことなく、プラズマチャンバ(例えばスパークチャンバ)を含むOES装置の要素は、スパークスタンドと呼ばれ得る。スパークスタンドは、典型的には、励起手段と、ガス入口を介して不活性ガスをプラズマチャンバに注入するためのガス注入手段と、出口を介して不活性ガスおよび破片をプラズマチャンバから伝送するための排出手段と、プラズマチャンバの光学窓を介してプラズマから放出された光を分光器に向けて伝送するための伝送経路とをさらに備える。プラズマチャンバへの開口は、典型的には、スパークスタンドのハウジングを通る開口として提供され、その結果、試料は、スパークスタンドのハウジングを通る開口に対してそれを配置することによって、測定のために提供されてもよい。
【0007】
スパークスタンドは、例えば分光器を含むOES装置のメインハウジングとは別体の要素として設けられてもよく、スパークスタンドは、固定された方法でメインハウジングに取付けられてもよく、またはメインハウジングに対して着脱可能であってもよい。後者のアプローチは、試料の測定を行うためにスパークスタンドをOES装置のメインハウジングに取付けることができ、洗浄及び/又は保守のためにメインハウジングから取外すことができるアプローチを可能にする。スパークスタンドのOES装置のメインハウジングへの取付けのタイプ(固定または着脱可能)にかかわらず、スパークスタンドには、スパークスタンドとOES装置のメインハウジングとの間の「インタフェース」として働く取付けフランジが設けられてもよく、この場合、スパークスタンドに設けられる伝達の経路は、取付けフランジを介して、メインハウジングに設けられる伝達の経路に結合し、さらに、メインハウジングに設けられる分光器に結合する。さらに、スパークスタンドの或る構成要素の動作に必要であり得るOES装置のメインハウジングへの電気的結合は、同様に、取付けフランジを通して配置されてもよい。
【0008】
スパークスタンドの重要な特性は、その内部に設けられたプラズマチャンバのガス気密性を確保し、その内部の伝送経路を介してプラズマチャンバで生成されたプラズマから分光器に向かう光の制御された伝送を確実かつ堅牢に行うことを含み、その結果、この点に関し、いかなる改善も、スパークスタンドを利用するOES装置の動作を介して、試料の元素組成の分析の精度および信頼性をさらに向上させるのに役立つ。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、プラズマチャンバのガス気密性を確保する確実で強固な方法を容易にするスパークスタンドアセンブリを提供することである。これに加えて又はこれに代えて、本発明の目的は、プラズマチャンバで生成されたプラズマから分光器に向かう光の制御された伝送を容易にするスパークスタンドアセンブリを提供することである。
【0010】
一実施形態によると、発光分光分析(OES)装置用のスパークスタンドアセンブリが提供され、このスパークスタンドアセンブリは、OES装置のメインハウジングにスパークスタンドアセンブリを取付けることを可能にする取付けフランジに取付けられたスパークスタンド本体と、スパークスタンド本体の上面に配置された凹部に配置された励起器と、取付けフランジに隣接するスパークスタンド本体の上面に配置された隆起部と、スパークスタンド本体の上面に配置され、凹部を貫通する経路に接続する細長いノッチと、スパークスタンド本体の上面に、凹部を覆うようにスパークスタンド本体の上面に取外し可能に取付け可能であるスパークスタンドプレートであって、前記ノッチと、前記隆起部の少なくとも一部がプラズマチャンバを形成し、前記ノッチがプラズマチャンバから前記経路への光伝送経路の一部を形成し、前記 スパークスタンドプレートがスパークスタンド本体の上面に取付けられたときに、前記開口が励起器と空間的に整列するように配置された開口と、スパークスタンド本体の上面とスパークスタンドプレートとの間に配置され、前記凹部と前記ノッチとを囲い、隆起部にルーティングされるシール部材と、を備える。
【0011】
一例において、シール部材溝は、スパークスタンド本体の上面に、そしてそれが前記凹部および前記ノッチを囲うように隆起部に配置され、前記シール部材は、少なくとも部分的に前記シール部材溝に埋め込まれている。別の例では、シール部材溝がスパークスタンドプレートのスパークスタンド本体に対向する表面に配置され、シール部材は少なくとも部分的にシール部材溝に埋め込まれ、シール部材溝は、スパークスタンドプレートがスパークスタンド本体の上面に取付けられたときに、シール部材が、前記凹部および前記ノッチを囲い、かつ前記隆起部に配置されるように配置される。
【0012】
別の実施形態によれば、前述の例示的な実施形態によるメインハウジングおよびスパークスタンドアセンブリを備えるOES装置が提供され、メインハウジングは、光分光器アセンブリと、スパークスタンドアセンブリをメインハウジングに取付けるための取付けインタフェースとを備え、取付けインタフェースは、スパークスタンドアセンブリの前記光伝送経路を分光器アセンブリに接続するための光インタフェースを備える。
【0013】
本特許出願に提示された発明の例示的実施形態は、特許請求範囲の適用性に制限をもたらすものと解釈されるべきではない。動詞「具備すべき」及びその派生語は、引用されていない特徴の存在を排除するものではない開放的な限定として本特許出願に使用されている。以下に述べる特徴は、明示的に別段の規定がない限り、相互に自由に組み合わせ可能である。
【0014】
本発明の或る特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。しかしながら、本発明の態様は、その構造およびその作動方法の両方に関して、さらなる目的およびその利点とともに、添付図面に関連して読まれるときに、或る実施形態の以下の説明から最も良く理解されるであろう。
【0015】
本発明の実施形態を、限定としてではなく例として、添付図面の図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一例による発光分光分析(OES)装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、一例によるOES装置の或る要素のブロック図を示す。
【
図3A】
図3Aは、一例によるスパークスタンドアセンブリを概略的に示す。
【
図3B】
図3Bは、一例によるスパークスタンドアセンブリを概略的に示す。
【
図3C】
図3Cは、一例によるスパークスタンドアセンブリを概略的に示す。
【
図4】
図4は、一例に係るスパークスタンドアセンブリの使用を介して測定するために配置された試料を概略的に示す。
【
図5】
図5は、一例によるスパークスタンドアセンブリの或る詳細を概略的に示す。
【
図6A】
図6Aは、一例によるスパークスタンドアセンブリの或る詳細を概略的に示す。
【
図6B】
図6Bは、一例に基づくスパークスタンドアセンブリの或る詳細を概略的に示す。
【
図6C】
図6Cは、一例に基づくスパークスタンドアセンブリの或る詳細を概略的に示す。
【
図6D】
図6Dは、一例に基づくスパークスタンドアセンブリの或る詳細を概略的に示す。
【
図6E】
図6Eは、一例に従う、スパークスタンドアセンブリの或る詳細を図式的に示す。
【
図6F】
図6Fは、一例に従うスパークスタンドアセンブリの或る詳細を図式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、一例に係るOES装置100を概略的に示しており、OES装置100のメインハウジング110と、メインハウジング110に取付けられたスパークスタンドアセンブリ120とを含んでいる。スパークスタンドアセンブリ120は、1つ以上の試料についての測定を実施するために、メインハウジング110に取付けられてもよく、洗浄および/または維持のために、メインハウジング110から取付けられなくてもよい。換言すれば、スパークスタンドアセンブリ120は、メインハウジング110に対して取外し可能に取付け可能である。
図2は、一例に係るOES装置100の或る(論理)要素のブロック図を示しており、この要素は、コントローラ112、励起器123、光分光検出アセンブリ114及びユーザインタフェース(UI)116を含む。OES装置は、金属を含むまたは金属からなる試料など、導電性表面を有する任意の試料の分析に適していてもよい。
【0018】
メインハウジング110は、OES装置100の1つ又は複数の構成部品を収容する働きをし、メインハウジング110は、例えば、OES装置100を動作させるために適用可能である付属品及び/又は材料のための格納スペースを更に含むことができる。この点に関し、メインハウジング110は、スパークスタンドアセンブリ120とメインハウジング110との間の機械的取付けを可能にし、スパークスタンドアセンブリ120の構成要素とメインハウジング110に設けられるか又はそれに連結される構成要素との間の光学的及び電気的インタフェースを提供する、スパークスタンドアセンブリ120を取付けるための取付けインタフェースを含むことができる。メインハウジング110は、OES装置100の少なくとも或る態様を操作するためのUI116を備える(またはそれに結合されている)ことができ、ここで、UI116は、OES装置100の操作に関連する様々な態様を制御するためのユーザ入力を提供するための1つまたは複数のユーザ入力デバイス(キーボード、マウス、タッチパネル、タッチスクリーン、1つまたは複数のキー、ボタン、スイッチなどの配置)と、OES装置100の操作状況に関する情報および測定結果などの情報をユーザに表示するための表示装置とを備えることができる。OES装置100は、スパークOESおよび/またはアークOESなどの1つ以上のOES技術を使用して、試料の元素組成の分析を可能にしてもよい。
【0019】
メインハウジング110は、光分光器114aおよび光検出アセンブリ114bを含む光分光検出アセンブリ114をさらに備えるのに対して、メインハウジング110は、取付けインタフェースの光インタフェースを光分光検出アセンブリ114の光分光器114aに光学的に結合する第1の伝達経路をさらに提供し、第1の伝達経路は、したがって、取付けインタフェースの光インタフェースを介してスパークスタンドアセンブリ120から受光される光の光分光検出アセンブリ114への伝達を可能にする。光分光器114aは、光検出インタフェースを介して受け取られた光を1セットの波長に分光させることができるが、光検出アセンブリ114bは、例えば、それぞれの波長における1つ以上の発光ピークとして現れ得る、異なる波長における発光分光の相対光強度を記述する1つ以上の測定信号を生成することができる。この点に関し、一例として、光検出アセンブリ114bは、狭い波長帯のみを通過させるそれぞれの矩形の開口の背後に取付けられた光電子増倍管の配列のような、複数の光検出器を含む光検出器アレイを備えることができる。別の例によれば、光検出アセンブリ114bはイメージセンサを含むことができ、その場合、イメージセンサは、電荷結合素子(CCD)として、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサとして、又は、一般に、任意の(シリコンベースの)ソリッドステートセンサとして提供することができ、光検出アセンブリ114bは、それによって、光分光器114aから受け取った分光した光の1つ以上の画像を実質的に捕捉する。
【0020】
メインハウジング110は、光分光検出アセンブリ114のUI116および光検出アセンブリ114bに通信接続されるコントローラ112をさらに備えることができ、コントローラ112とUI116との間の制御情報およびデータ(測定結果など)の転送を可能にし、コントローラ112が光検出アセンブリ114bから1つ以上の測定信号を受信することを可能にする。コントローラ112は、装着インタフェースの電気的インタフェースにさらに通信可能に結合されてもよく、これにより、装着インタフェースを介してメインハウジング110に装着される際に、スパークスタンドアセンブリ120に設けられた励起器123への電気的結合が可能となり、それによって、コントローラ112の動作を介した励起器123の活性化が可能となる。コントローラ112とUI116の間、およびコントローラ112と装着インタフェースの電気的インタフェースとの間のそれぞれの通信結合は、例えば、それぞれの1つ以上の電線を介して搬送されるそれぞれの電気信号を使用して提供されてもよい。
【0021】
OES装置100の動作の特定の例として、コントローラ112は、測定手順を行って、研究中の試料の元素組成の少なくとも或る態様を決定することができ、測定手順は、それに応じてUI116を動作させるユーザに応答して受信することができるトリガ信号に応答して行うことができる。測定手順は、コントローラ112が励起器123を所定の時間起動して、研究中の試料の断片をプラズマ状態に変換する励起を発生させ、プラズマから放射され、光分光器114aを介して光検出アセンブリ114bで受け取られた光に応答して、光検出アセンブリで生成された1つ以上の測定信号を記録し、記録された1つ以上の測定信号に基づいて(例えば、既知の元素組成の1つ以上の試料のそれぞれの参照スペクトルとの比較を介して)、研究中の試料の元素組成の分析を実施することを含むことができる。上述した種類の測定手順は、当該技術分野でよく知られており、本明細書では、説明を完全にするために概説する。
【0022】
図3A~
図3Cは、一例に従った、スパークスタンドアセンブリ120の或る構成要素を概略的に示す。
図3Aに示す構成要素は、取付けフランジ122に取付けられたスパークスタンド本体121と、スパークスタンド本体121の上面に形成された凹部に配置された励起器123としての電極123aと、取付けフランジ122に隣接してスパークスタンド本体121の上面に配置された隆起部124と、スパークスタンド本体121の上面に配置された細長いノッチ125と、隆起部124を通る経路に凹部を接続する細長いノッチ125と、スパークスタンド本体121の上面に配置されたシール部材溝126とを含み、シール部材溝126は、凹部を囲い(例えば周囲に)、隆起部124を超えて配索されている。取付けフランジ122には、そこを通る開口部が設けられ、その開口は、隆起部124および細長いノッチ125を通る経路と整列される。シール部材溝126は、弾性材料からなるシールリング(例えば、Oリング)のようなシール部材127(
図3Aの図示では示されていないが、
図3Cの図示では示されている)を受容するように配置される。スパークスタンドアセンブリ120は、シール部材溝126に少なくとも部分的に埋め込まれたシール部材127を更に含んでもよい。シール部材溝126の断面は、その中に配置されたシール部材127をその位置に保持することを容易にする形状を有することができる。
【0023】
スパークスタンド本体121の上面は、少なくとも凹部、細長いノッチ125、および隆起部124(少なくとも一部)を覆うスパークスタンドプレート130の受け止めのために配置される。この点に関わる例として、
図3Bの図示は、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面を覆うように取付けられたスパークスタンドアセンブリ120への概略斜視図を示す。これに対し、
図3Cは、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面を覆うように取付けられたスパークスタンドアセンブリ120の断面を示す。スパークスタンドプレート130は、スパークスタンド本体121の上面にスパークスタンドプレート130を固定し、スパークスタンド本体121からスパークスタンドプレート130を解放することを可能にする1セットのクランプ128によって、
図3A~
図3Cのそれぞれの図に表される、スパークスタンド本体121の上面に対してスパークスタンドプレート130を保持する(例えば押す)ために設けられる取付け機構の使用を介して、スパークスタンド本体121の上面に着脱可能に取付けられる。
【0024】
スパークスタンド本体121の上面に取付けられると、スパークスタンドプレート130は、プラズマチャンバが形成され、第2の伝送経路が形成されるようにノッチ125を覆うように、凹部を覆う。第2の伝送経路は、取付けフランジ122を通して開口からプラズマチャンバに生成される(予定の)プラズマにビューを提供し、したがって、第2の伝送経路は、ノッチ125を介して、隆起部124を通る経路を介して、さらに、取付けフランジ122を通る開口を介してメインハウジング110に設けられた取付けインタフェースの光学的インタフェースまで、プラズマからの光の伝送を可能にする。これに関して、スパークスタンド本体121の上面に対向することを意図したスパークスタンドプレート130の表面は、内面またはスパークスタンド本体対向表面と称されることがあるが、スパークスタンドプレート130の反対側の表面は、外面と称されることがある。スパークスタンドプレート130の内面は、その中に配置された凹部およびノッチ125から離れて、スパークスタンド本体121の上面の形状に実質的に対応する形状を有し得る。この点に関し、一例として、スパークスタンド本体121の上面は、凹部、その中に配置されたノッチ125およびシール部材溝126、ならびにその上に配置された隆起部124から離れて実質的に平面であってもよく、これに対して、スパークスタンドプレート130の内面は、隆起部124をスパークスタンド本体121の上面に当接させるための部分から離れて実質的に平面であってもよい。したがって、スパークスタンド本体121の上面で隆起部124に面することを意図したスパークスタンドプレート130の一部は、隆起部124の形状に実質的に対応する形状を有することができ、これにより、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面に対して正しく配置されるとき、隆起部124を収容することができる。
【0025】
スパークスタンドプレート130は、そこを通る開口131を備え、その開口131は、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面のその位置に固定される場合に、電極123aと実質的に空間的に整列される。この点に関し、空間的な整列は、スパークスタンドプレート130の表面に垂直な線に沿った開口131の突起が、例えば電極の先端が突起のほぼ中央に存在するような電極の先端を囲うことを意味する。さらに、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面のその位置に固定されると、シール部材127は、スパークスタンド本体121およびノッチ125に配置された凹部を、スパークスタンドプレート130を介して開口131から離れてガス気密方式でシールすることを容易にし、それによって、プラズマチャンバおよび前述の光路を形成する。
【0026】
OES装置100の動作の一部としてスパークスタンドアセンブリ120を動作させる場合、
図4に概略的に図示されるように、試料140が開口131を覆うように、試料140がスパークスタンドプレート130に位置付けられてもよい。この点に関して、開口131に位置付けられた試料140は、電極123aの起動を介して励起を生成するために、開口131の位置に試料140の一部を露出させながら、ガス気密方式でプラズマチャンバをシールする。これにより、電極123aの起動を介して試料140の表面にプラズマを生成することが可能となる。気密シールは、試料140の適切な調製(例えば、粉砕または粉砕)によって、および/または開口131の封止および/または開口131に対する試料140の正しい配置を確実にするアダプタ要素の適用を介して、開口に試料140を配置することによって容易になり得る。測定手順中のプラズマチャンバのガスシールは、一般に、測定の信頼性および反復性の点で有利であるが、一方、窒素または酸素などの特定の要素を検出するため、ならびにUV透過雰囲気がプラズマチャンバへの不活性ガス(アルゴンなど)の注入を介して生成される測定のために、決定的な特性であり得る。
【0027】
前述のように、スパークスタンドプレート130によって覆われると、スパークスタンド本体121の上面の細長いノッチ125は、隆起部124を通る経路を介して配置される第2の伝達経路の一部として働く。したがって、取付けフランジ122に隣接して配置され、そこを通る経路が設けられた隆起部124は、スパークスタンド本体121の上面に配置されたブリッジ構造とみなすことができる。スパークスタンドアセンブリ120がメインハウジング110に取付けられると、スパークスタンドアセンブリ120に設けられる第2の伝達経路は、メインハウジング110に設けられる第1の伝達経路と整列され、それによって、プラズマから放射された光を、スパークスタンド本体121の上面およびスパークスタンドプレート130の内面に平行である平面に実質的に沿って光分光検出アセンブリ114に伝達することを可能にする伝達経路を形成し、それによって、プラズマに対して実質的に0°(すなわちゼロ度)の視野角を提供する。
【0028】
スパークスタンド本体121の上面に配置される細長いノッチ125は、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面に配置される場合、プラズマチャンバを形成する凹部からの距離とともに変化する深さを有してもよい。この点に関わる例として、ノッチ125の深さは、凹部におけるノッチ125の第1の端部から、隆起部124を通る経路におけるノッチ125の第2の端部まで、定常的に減少することができ、ここで、その第1の端部におけるノッチ125の底は、凹部の底と実質的に整列することができる。このような形のノッチ125は、測定の過程で発生した汚染物および/または破片を、ノッチ125から、および/または不活性ガスの流れを注入することを介して凹部から除去することを容易にする。一例によれば、ノッチの断面は、ノッチ125の底に向かって狭くなる形状(例えば、U字形状またはV字形状)を有し得、これは、同様に、不活性ガスの流れを注入することを介して、ノッチ125および/または凹部からの汚染物および/または破片の除去を容易にし得る。
【0029】
伝送経路は、光分光検出アセンブリ114からプラズマへの視界が窓または結合レンズを通して提供されるように配置された窓または結合レンズを備え得る。以下では、この態様は、伝送経路に配置された結合レンズを含む例を介して説明され、一方、説明は、その代わりにウィンドウが適用される別の例にも容易に当てはまるが、相違点は異なる。連結レンズは、プラズマチャンバから入射開口への伝達経路に沿って選択された位置に、例えば、第1の伝送経路の適切な位置、または第2の伝送経路の適切な位置(例えば、隆起部124を通る経路の)、取付けインタフェース(メインハウジング110の)、または取付けフランジ122を通る開口の選択された位置に配置され得る。結合レンズは、光分光検出アセンブリ114に入る測定中にプラズマが生成されることによって生じる汚染および/または破片を防止するために、光分光器114aへの入射開口に関して(例えば、光分光器114a、光分光器114aへの入射開口において、または第1の伝送経路において)選択位置にプラズマの像を形成し、伝送経路、したがって、光分光検出アセンブリ114の少なくとも一部をプラズマチャンバから分離するように機能してもよい。(伝送経路に沿った)結合レンズの特性および/または位置は、例えば第1の伝送経路、第2の伝送経路、および光分光検出アセンブリ114のそれぞれの特性および寸法を考慮して選択されてもよい。典型的には、カップリングレンズをプラズマチャンバからできるだけ遠くに配置して、カップリングレンズのプラズマチャンバ対向面を満たす汚染および/または破片の量を減らすことが有利である。
【0030】
スパークスタンド本体121に対して取外し可能に取付けられているスパークスタンドプレート130の使用は、スパークスタンドアセンブリ120の使用によって実行される測定の過程で、例えばプラズマチャンバ、ノッチ125および連結レンズのそれぞれの表面に必然的に蓄積する破片および/または汚染物を除去するために、測定間のクリーニングのためにプラズマチャンバおよびノッチ125を露出することを可能にするという点で有利である。
【0031】
取付けフランジ122は、OES装置100のメインハウジング110への、メインハウジング110に設けられた取付けインタフェースを介して、取外し可能な方法で、すなわち、保守および洗浄のために、スパークスタンドアセンブリ120をメインハウジング110から取外し、その後の測定のためにスパークスタンドアセンブリ120をメインハウジング110に(再)取付けることができるように、スパークスタンドアセンブリ120の取付けを可能にする。この点に関し、取付けフランジ122および/またはメインハウジング110の取付けインタフェースは、スパークスタンドアセンブリ120とメインハウジング110との間の正確な空間的整列が提供されるようにかつスパークスタンドアセンブリ120をメインハウジングから解放することを可能にするように、スパークスタンドアセンブリ120をメインハウジング110に固定することを可能にするユーザが操作可能な取付け機構を備えることができる。この点に関し、取付けフランジ122という用語は、OES装置100のメインハウジング110の取付けインタフェースに取外し可能に取付け可能な任意の「インタフェース要素」を基本的に包含するように広く解釈されることになる。
【0032】
スパークスタンド本体121およびスパークスタンドプレート130は、プラズマチャンバで生成されるプラズマから生じる熱に耐えることができる耐久性のある材料から作られてもよい。適切な材料の例としては、ステンレス鋼(例えば、EN 1.4305、EN 1.4301、EN 1.0050、EN 1.0760またはEN 2.0376)などの金属が挙げられる。スパークスタンド本体121は、OES装置100がその動作位置にあるときにスパークスタンドアセンブリ120がOES装置100のメインハウジング110に取付けられるときにスパークスタンド本体121の上面が実質的に水平に位置するように、取付けフランジ122に取付けられる。必ずしも必要ではないが、典型的には、取付けフランジ122は、スパークスタンド本体121と同じ材料または類似の材料から作られる。
【0033】
図3A~
図3Cの例における励起器123として電極123aを使用する例では、コントローラ112の制御下でスパーク励起を生成するために電極123aを適用してもよいが、他の例では、励起器123は、プラズマ生成のための当技術分野において既知の他の励起技術を適用してもよい。電極123aは、電極123aの先端が、スパークスタンド本体121の上面に配置された凹部とその上に配置されたスパークスタンドプレート130との間に形成されたプラズマチャンバの内側に存在するのに対して、電極123aの残りの部分がスパークスタンド本体121の中に埋め込まれ得るように、スパークスタンド本体121に対して配置されてもよい。この点に関し、電極123aは、適切なセラミック材料で作ることができる絶縁構成(例えば、絶縁スリーブ)を介してスパークスタンド本体121に取付けることができる。この点に関わる例として、絶縁構成は、電極123aの先端がスパークスタンド本体121の上面に設けられた凹部に露出されるように、電極123aを囲むセラミック材料から成るシースを備えてもよいが、シースの「上」端は、プラズマチャンバを形成する凹部の「底」として働いてもよい。換言すれば、電極123aの先端を、絶縁配置に設けられた開口を介してプラズマチャンバを形成する凹部に持っていくことができる。
【0034】
電極123aが起動され、スパークスタンドプレート130を介して開口131を介して露出された試料140の表面にプラズマを生成すると、電極123aの先端と試料140の表面との間に生成されたプラズマが形成される。この点に関し、
図5は、一例に係るスパークスタンドアセンブリ120の選択された詳細の断面を概略的に示しており、また、スパークスタンドプレート130を通して開口131を介して露出された電極123aの先端と試料140の表面との間の電極123aの起動時に形成される円錐プラズマ132を示している。その結果、円錐プラズマ132から放射された光は、スパークスタンドアセンブリ120に形成された第2の伝送経路を介して、開口へ向けて、取付けフランジ122を介して、さらにメインハウジング110の第1の伝送経路を介して光分光検出アセンブリ114に伝送される。
【0035】
その上のスパークスタンドプレート130の配置を介した、ノッチ125およびスパークスタンド本体121の上面の凹部の気密シールは、クランプ128のセットなどの取付け機構によって、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面に押し付けられるときに、シール部材溝126に少なくとも部分的に埋め込まれ得る、シール部材127を介して確実にされ得る。この点に関し、シール部材溝126、すなわちシール部材127の、隆起部124によって形成されたブリッジ構造上のルーティングは、配置を提供し、スパークスタンドプレート130をスパークスタンド本体121の上面に押し付けることは、プラズマチャンバからOES装置100のメインハウジング110の取付けインタフェースの光学的インタフェースに向かう第2の伝送経路の一部として機能する、プラズマチャンバとノッチ125の両方のガスシールを確実にするのに十分である。これとは対照的に、従来知られている解決策では、それぞれ別のシールリングが、通常、スパークスタンドプレートの第1の表面とスパークスタンド本体の上面との間に適用されて、プラズマチャンバをシールし、スパークスタンドプレート130の第2の表面(これは、第1の表面に対して実質的に垂直である)と、装着インタフェースの光学的インタフェースに向かってプラズマチャンバから光路をシールする装着フランジとの間に適用され、それによって、スパークスタンドプレートを、互いに実質的に垂直である2つの表面に対して別々にシールする。これは、今度は、スパークスタンドプレートを互いに実質的に垂直な2方向に正しく配置することを必要とし、このことは、シール性を損なうリスクをもたらす面倒な手順であり、また、スパークスタンドプレートの繰り返しの着脱に伴って、シールリングが磨耗および破損する可能性もある。
【0036】
前述の線に沿って、一例によれば、スパークスタンドプレート130の内面は、スパークスタンド本体121にスパークスタンドプレート130が取付けられたときに隆起部124に当接することを意図する部分とは別に、実質的に平面であってもよい。その結果、円錐プラズマ132から取付けフランジ122を通る開口に向かう第2の伝送経路は、
図5の概略図にも示されるように、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面に位置付けられるときに、ノッチ125を覆うスパークスタンドプレート130の一部分の非ゼロ厚さのために、本質的に部分的に妨げられる。逆に、スパークスタンドプレート130の非ゼロ厚さは、スパークスタンドプレート130によって提供される固有のマスキング(非ゼロ厚さ)と呼ばれ得る、開口から取付けフランジ122を通る円錐プラズマ132の小部分への視界を部分的に遮断する。それにもかかわらず、スパークスタンドプレート130の比較的小さな厚さのために、このような構成は、装着インタフェースの光学的インタフェースを介して、さらに光分光検出アセンブリ114に向かう第1の伝送経路を介して、第2の伝送経路を経由して(
図5に示される線Aに一致する)中心軸に沿った円錐プラズマ132の高さ全体にわたって、円錐プラズマ132から放射された光の伝送を実質的に可能にする。
【0037】
或るシナリオでは、円錐プラズマ132のそれぞれの部分から放出された光を光分光検出アセンブリ114に透過させないように、光分光検出アセンブリ114から円錐プラズマ132の所定の部分までの視界を制御できることが有益であることが証明されている。この点に関し、円錐プラズマ132の容積は、円錐プラズマ132の利用可能な強度の良好な近似を提供する。円錐プラズマ132の幾何学的特性は、その体積の大部分が、スパークスタンドプレート130を通って開口131に位置する試料140に直ぐ隣接するその基部付近に存在するようなものである。したがって、円錐プラズマ132から放射される光の目立った量は、円錐プラズマ132の高さの比較的小さな部分をマスクすることによってマスクすることができる。特に、円錐プラズマ132に対する実質的に0°の視野角に関しては、このようなマスキングは、円錐プラズマ132の温度分布関連特性を利用することによって達成することができる。この点に関し、特別の関心事の態様は、電極123aの先端とプラズマスタンドプレート130を介して開口131を介して励起に曝される試料140の表面との間の円錐プラズマ132の中心軸(
図5の図中の線A)に沿ったプラズマの温度勾配を伴う。この点に関し、円錐プラズマ132の温度分布は、円錐プラズマ132の基部に実質的に平行(したがって、円錐プラズマ132の中心軸に実質的に垂直)である等温線(それぞれの破線として示される)を介して示される。基部およびその基部に近い円錐プラズマ132の部分は最も熱い領域であり、一方、プラズマ132の温度は、円錐プラズマ132の先端に向かって(したがって、電極123aの先端に向かって)低下し、基部の温度は、(明らかに)摂氏12000度を上回る場合がある一方、先端の温度は、(明らかに)摂氏3400度を下回る場合がある。円錐プラズマ132の高さは、電極123aの先端とスパークスタンドプレート130の外面との間の距離(すなわち、開口131の位置で外面に配置された試料140の表面)と実質的に等しく、一方、円錐プラズマ132の基部の直径は、円錐プラズマ132の高さと実質的に等しくてもよい。
【0038】
或るシナリオでは、円錐プラズマ132の最も熱い部分のマスキングは、測定手順の精度および信頼性の点から有利であり得る。イオンスペクトル線および熱バックグラウンド放射は、主に、試料140の表面に最も近い、円錐プラズマ132の最も熱い部分から生じ、これは、これらのスペクトル線を励起するエネルギーの量が、円錐プラズマ132のこの部分においてのみ利用可能であるためである。イオンスペクトル線および熱バックグラウンド放射は、典型的には、OES装置100によって実施される分析を乱す態様として考慮されるため、最も高温の部分から放射される光が第2の伝送経路を介して光分光検出アセンブリ114に伝達されることを妨げられるような円錐プラズマ132のマスキングが有利であり得る。このようなマスキングは、例えば、試料140の表面近くの円錐プラズマ132容積から生じる摂動するイオン化線をマスクすることを可能にし、したがって、マスクすることなく、不十分なマスキングを用いて、または0度よりも大きなプラズマ視野角の適用を介して生じるスペクトル干渉を除去するので、鉄またはニッケルマトリックス中の炭素、蛍光体および硫黄などの特定の元素を検出することを目的とする測定において特に有用であり得る。電極123aを活性化する際に適用される励起パラメータは、マトリクスごとに変化してもよく、例えば、アルミニウム合金が、これらの材料の異なる融点のために、鋼やチタン合金とは異なる励起パラメータ(例えば、異なる励起エネルギー)を必要とするようにしてもよい。より高い励起エネルギーが電極123aを介して供給されると、試料140の表面における温度が励起エネルギーの増加と共に増加するにつれて円錐プラズマ132の温度分布が変化し、それによって軸Aに沿って等温線のそれぞれの位置がシフトする。従って、印加された励起エネルギーで変化しない励起特性を有する摂動スペクトル線を排除するためには、電極123aからの異なる励起エネルギーを必要とする異なるマトリックスもまた異なる量のマスキングを必要とする。
【0039】
前述の線に沿って、スパークスタンドプレート130を通して開口131のリムの任意の、比較的小さな厚さによってもたらされる固有のマスキングは、円錐プラズマ132への視界を妨げるという点で実質的な効果を有さないことがあるが、円錐プラズマ132の真の空間マスキングは、スパークスタンドプレート130の内部表面から突出する空間マスクをスパークスタンドプレート130に提供することによって達成することができる。ここで、空間マスクは、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121のその位置に固定されるときに、ノッチ125と空間的に一致するスパークスタンドプレート130の一部に配置される。その結果、空間マスクを適用して、取付けフランジ122を介してプラズマチャンバと開口との間の第2の伝送経路を部分的に遮断し、それによって、光分光検出アセンブリ114からプラズマチャンバで生成される(そうであるべき)円錐プラズマ132までの視界を部分的に遮断し、特に、その基部およびその近傍において円錐プラズマ132の最も高温の部分までの視界を遮断することができる。提供される空間マスキングの範囲は、空間マスクの形状およびサイズに依存し、マスキングの範囲は、スパークスタンドプレート130の外側表面から測定される空間マスクの高さ(または深さ)を介して画定されてもよい。空間マスクの高さ(または深さ)は、マスキング高さ(またはマスキング深さ)と呼ばれることがある。マスキング高さ(またはマスキング深さ)は、電極123aの先端とスパークスタンドプレート130の外面との間の距離の所定のパーセンテージを介して規定されてもよい。制限しない例として、予め規定されたパーセンテージは、25%から70%の範囲、例えば50%から選択された値であり得る。しかしながら、最も適切なマスキング高さ(またはマスキング深さ)は、状況に従って、例えば、電極123aを活性化する際に適用される励起パラメータを考慮して選択されてもよい。
【0040】
一例によれば、励起パラメータは、マトリクスの依存性および/または測定のために適用される分析サブプログラムの依存性において選択されてもよい。この点での例は、鉄マトリックス(Feマトリックス)とアルミニウムマトリックス(Alマトリックス)の間の差に提供される。一方、最適化された励起パラメータのセットは、比較的広範囲の異なる材料に適用し得るが、特定の材料は、それらの金属学的特性のために専用の励起パラメータを必要としてもよい。例えば、アルミニウム合金中の蛍光体含有量を決定するとき、蛍光体ライン(Pライン)は、試料140の表面に近い円錐プラズマ132の体積に由来する連続的なバックグラウンド放射線によって重ね合わされ得るので、そのような材料依存特性を考慮に入れる必要があり得る。しかしながら、アルミニウムマトリクス試料の場合、この円錐プラズマ132の体積は、鉄マトリクス試料の場合よりも試料140の表面から(円錐プラズマ132の中心軸に沿って)さらに離れて延在し、したがって、鉄マトリクス試料の場合よりもアルミニウムマトリクス試料の場合のスペクトルバックグラウンドを排除するために、より高い程度の空間マスキングが必要とされる。
【0041】
空間マスクをスパークスタンドプレート130に設ける一例として、
図6Aは、スパークスタンドプレート130の一体部として設けられ、空間マスクとして機能するマスキング部133aを備えるスパークスタンドプレート130を概略的に示す。マスキング部133aは、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121のその位置に固定されたときにノッチ125と空間的に一致するスパークスタンドプレート130の一部に設けられた、スパークスタンドプレート130の内面から延在する突出部から構成することができる。換言すれば、マスキング部133aは、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121のその位置に固定されるときに、ノッチ125と空間的に一致するスパークスタンドプレート130の一部に位置する、厚くされた部分として、またはスパークスタンドプレート130の厚くされた領域として考えることができる。その結果、スパークスタンド本体121の上面にスパークスタンドプレート130を配置する際には、マスキング部133aは、スパークスタンド本体121の上面に配置されたノッチ125の中に突出することができ、それによって、部分的に(取付けフランジ122を通る開口からの)円錐プラズマ132への視界を妨げる空間マスクとして機能する。
【0042】
図6Bは、別の例に従ったマスキング部133aとして提供される空間マスクを図式的に示し、ここでマスキング部133aは、
図6Aの例のものと比較して、より高いマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する。
図6Cおよび6Dは、空間マスクをそれぞれのマスキング高さ(またはマスキング深さ)でマスキング部133aとして提供するそれぞれのさらなる例を概略的に示す。ここで、マスキング部133aは、
図6Aおよび6Bのそれぞれの例の形状とは異なる形状を有する。
【0043】
一例では、スパークスタンドアセンブリ120に、2つ以上のスパークスタンドプレートを設けてもよく、この場合、一定の測定のために適用されるスパークスタンドプレートは、研究中の試料140の(予想される)特性に鑑みて選択されてもよい。この点に関し、一例として、2つ以上のスパークスタンドプレートは、空間マスクを伴わずに設けられた第1のスパークスタンドプレートと、空間マスクを備える第2のスパークスタンドプレートとを備えることができ、その結果、第1および第2のスパークスタンドプレートは、例えば、第2のスパークスタンドプレートが、円錐プラズマ132の最も高温の部分のマスキングが有利であると考えられる測定に適用されるようなものであり、第1のスパークスタンドプレート130は、そのようなマスキングが不必要または不利であると考えられる測定に適用されるものであるように、互換的に使用することができる。この例の変形例では、2つ以上のスパークスタンドプレートは、2つ以上の第2のスパークスタンドプレートを備えることができ、この第2のスパークスタンドプレートには、それぞれ、2秒以上のスパークスタンドプレートのうちの他のもののそれぞれのマスキング高さ(またはマスキング深さ)とは異なるマスキング高さ(またはマスキング深さ)を有する空間マスクが設けられる。
【0044】
別の例では、スパークスタンドアセンブリ120の2つ以上のスパークスタンドプレートは、第1のマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する空間マスクとともに提供される第1のスパークスタンドプレートと、第1のスパークスタンドプレート(例えば、
図6Aおよび6Bのそれぞれの例による)の第1のマスキング高さ(またはマスキング深さ)とは異なる第2のマスキング高さ(またはマスキング深さ)を有する第2の空間マスクを提供する第2のスパークスタンドプレートとを備え得る。非限定的な例として、第1マスキング高さ(またはマスキング深さ)は25%であってもよく、第2マスキング高さ(またはマスキング深さ)は50%であってもよい。その結果、第1および第2のスパークスタンドプレートは、例えば、検討中の測定により適したマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する第1および第2のスパークスタンドプレートのうちの1つが選択されるように、交換可能に使用されてもよい。鉄マトリクス試料およびアルミニウムマトリクス試料の異なる特性を伴う上述の例を考慮すると、25%のマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する第1のスパークスタンドプレートは、鉄マトリクス試料の測定のために適用されてもよいが、50%のマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する第2のスパークスタンドプレートは、アルミニウムマトリクス試料の測定のために適用されてもよい。この例の変形例では、2つ以上のスパークスタンドプレートは、3つ以上のスパークスタンドプレートを備えることができ、これらのスパークスタンドプレートは、それぞれ、3秒以上のスパークスタンドプレートのうちの他のもののそれぞれのマスキング高さ(またはマスキング深さ)とは異なるマスキング高さ(またはマスキング深さ)を有する空間マスクを備える。
【0045】
空間マスクをスパークスタンドプレート130に設けるさらなる例として、
図6Eは、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121のその位置に固定される場合に、スパークスタンドプレート130のノッチ125と空間的に一致する部分のスパークスタンドプレート130の内面に取付けられるマスキング部材133bを備えるスパークスタンドプレート130を概略的に示す一例を示す。その結果、スパークスタンド本体121の上面にスパークスタンドプレート130を配置する際には、スパークスタンドプレート130の内面から延在するマスキング部材133bは、スパークスタンド本体121の上面に配置されたノッチ125の中に突出することができ、それによって、(取付けフランジ122を通る開口からの)視界を部分的に妨げる空間マスクとして、円錐プラズマ132に作用する。
図6Fは、別の例に従ったマスキング部材133bとして提供される空間マスクを概略的に示し、ここで、マスキング部材133bは、
図6Eの例のものと比較して、より高いマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供する。
【0046】
一例では、マスキング部材133bは、スパークスタンドプレート130の内面に着脱自在に取付けられてもよい。その結果、スパークスタンドプレート130は、検討中の測定に従って、空間マスクとして機能するマスキング部材133bの有無にかかわらず適用され得る。この例の変形例では、スパークスタンドアセンブリ120は、2つ以上のマスキング部材133b(例えば、
図6Eおよび6Fのそれぞれの例による)を備えることができ、それぞれは、2つ以上のマスキング部材のうちの他の1つのマスキング高さ(またはマスキング深さ)とは異なるマスキング高さ(またはマスキング深さ)を提供し、それによって、マスキング部材133bなしでスパークスタンドプレートを使用するか、または検討中の測定に最も適切と考えられるマスキング高さ(またはマスキング深さ)を有する2つ以上のマスキング部材133bのうちの1つを使用するかの選択をユーザに提供する。
【0047】
図6A~
図6Fを介して図示された例では、空間マスクは、スパークスタンドプレート130を介して開口131のリムに少なくともまたはすぐ隣接して設けられている。これは、入射スリットが光分光器114aへの入射開口として適用され得る、円錐プラズマ132の中心軸に対する入射スリットの配置を選択する際のさらなる自由度を可能にする点で有利である。開口131のリムに位置するか、またはその直近に隣接する空間マスクは、入射スリットが円錐プラズマ132の中心軸と平行であるか、または実質的に平行であるシナリオを含めて、入射スリットの配置にかかわらず所望の空間マスクを提供することを保証する。他の例では、空間マスクは、基本的に凹部と取付けフランジ122との間のノッチ125に沿った任意の位置で、開口のリムからさらに離れた位置に設けることができるが、その一方で、空間マスクのそのような配置は、入射スリットが円錐プラズマ132の中心軸に対して垂直または実質的に垂直であるシナリオにおいて、所望の空間マスキングを確実にすることができる一方で、他の入射スリット配置に対して少なくとも部分的に合わせたマスキング性能を提供することができる。
【0048】
前述の実施例では、スパークスタンド本体121の上面とスパークスタンドプレート130との間にシールリング127を設けることを容易にするために、スパークスタンド本体121の上面に配置されたシール部材溝126を含み、これにより、シールリング127が、上面に配置された凹部および細長いノッチ125を囲い、上面に設けられた隆起部124を超えてに配索される。他の例では、シール部材溝126はスパークスタンド本体121の上面から省略されてもよいが、シール部材溝126は代わりにスパークスタンドプレート130の内面に配置されてもよい。このようなアプローチでは、シール部材溝126は、スパークスタンドプレート130の内面に配置することができ、それにより、シール部材127は、その中に少なくとも部分的に埋め込まれた凹部およびスパークスタンド本体121の上面に配置された細長いノッチ125を囲い、スパークスタンドプレート130がスパークスタンド本体121の上面のその位置に配置されたときに、隆起部124に配置される。
【0049】
前述の実施例では、スパークスタンドアセンブリ120をOES装置100のメインハウジング110に、取付けフランジ122をメインハウジング110に設けられた取付けインタフェースに取外し可能に取付けることを介して、取外し可能に取付けることを前提としている。他の例では、スパークスタンドアセンブリ120は、スパークスタンドアセンブリ120の第2の伝達経路とメインハウジング110の第1の伝達経路との間の正しい空間的整列が提供されるように、固定された方法でメインハウジング110に取付けることができる。このようなシナリオでは、スパークスタンドアセンブリ120は、OES装置100の製造、設置、または構成プロセスの一部として、取付けフランジ122を介してメインハウジング110の取付けインタフェースに取付けることができるが、ユーザによるスパークスタンドアセンブリ120のその後の取外しは、提供しないようにしてもよい。さらに、代わりにまたは付加的に、OES装置100のメインハウジング110へのスパークスタンドアセンブリ120の取付けは、たとえばスパークスタンドアセンブリ120がメインハウジング110の上部に取付けられるように、
図1の概略図で図示されたものとは異なってもよい。さらなる実施例では、スパークスタンドアセンブリ120は、OES装置100のメインハウジング110に少なくとも部分的に埋め込まれておよび/または一体化されてもよい。
【0050】
これまでに提供された例は、本開示によるスパークスタンドアセンブリ120の構造および特性に関する特定の側面を説明するが、他方の説明は、スパークスタンドアセンブリ120の有利な側面の説明には、当技術分野で既知のOES装置との関連で適用される、スパークスタンドに共通して適用され得る構造および/または動作の多くの側面を、説明の簡潔さおよび明瞭さの点で、直接的には関連しない。そのような態様の例は、不活性ガスをプラズマチャンバに伝送することを可能にするために、およびプラズマチャンバおよび/またはプラズマチャンバのUV透過性雰囲気を生成するために、および/または測定を行うためにノッチ125を設けることができる、プラズマチャンバおよび/またはノッチ125からの出口(複数可)へのガス入口および出口(複数可)、および/または測定間のプラズマチャンバおよび/またはノッチ125のパージのために、および/または測定を行う際に、スパークスタンドプレート130を介して開口131を介して暴露される試料140の一部をパージするために設けることができる。この点に関して、スパークスタンド本体121は、パージのための不活性ガス(アルゴンなど)をプラズマチャンバに注入するための1つ以上のガス入口と、プラズマチャンバからプラズマ生成中に形成される不活性ガスおよびあらゆる破片を除去するための1つ以上の出口とを備えることができる。さらに、スパークスタンドアセンブリ120は、不活性ガスを、1つ以上のガス入口を介してプラズマチャンバおよび/またはノッチ125に注入し、不活性ガスおよび破片を、プラズマチャンバおよび/またはノッチ125からの1つ以上の出口を介して受け入れるためのそれぞれの構成をさらに備えることができる。
【0051】
前述の実施例では、少なくともスパークOES分析への暗黙の言及と共にOES装置100の構造および特性について説明しているが、本開示で提供される実施例は、アークOESまたはレーザ誘起ブレークダウン分光法(LIBS)等の異なるOES技術を使用する分析装置への適用に容易に一般化される。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光分光分析(OES)装置(100)のためのスパークスタンドアセンブリ(120)であって、前記スパークスタンドアセンブリ(120)は、
OES装置(100)のメインハウジング(110)に前記スパークスタンドアセンブリ(120)を取付けることを可能にする取付けフランジ(122)に取付けられたスパークスタンド本体(121)と、
前記スパークスタンド本体(121)の上面に配置された凹部に配置された励起器(123、123a)と、
前記取付けフランジ(122)に隣接する前記スパークスタンド本体(121)の上面に配置された隆起部(124)と、
前記スパークスタンド本体 (121) の上面に配置され、前記隆起部(124)を通る経路に前記凹部を接続する細長いノッチ(125)と、
前記凹部と、前記ノッチ(125)と、前記隆起部(124)の少なくとも一部とを覆うようにスパークスタンド本体(121)の上面に着脱自在に取付けられることで、前記凹部はプラズマチャンバから前記経路への光伝送経路の一部を形成するスパークスタンドプレート(130)であって、前記スパークスタンドプレート(130)は、前記励起器(123、123a)からの励起のために開口(131)に配置される試料(140)の一部を露出するための前記開口(131)を備え、前記開口(131)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたときに、前記励起器(123、123a)と空間的に整列されるように配置される、スパークスタンドプレート(130)と、
前記凹部と前記ノッチ(125)とを囲うように、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面と前記スパークスタンドプレート(130)との間に配置され、前記隆起部(124)を超えて配索される、シール部材(127)と、
を備える、スパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項2】
前記凹部及び前記ノッチ(125)を囲うように、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面及び前記隆起部(124)に配置されたシール部材溝(126)を備え、前記シール部材(127)は、少なくとも部分的に、前記シール部材溝(126)に埋め込まれる、請求項1に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項3】
前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面に配置されたシール部材溝(126)を備え、前記シール部材(127)は、少なくとも部分的に、前記シール部材溝(126)に埋め込まれており、前記シール部材溝(126)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたときに、前記シール部材(127)が前記凹部および前記ノッチ(125)を囲い、前記隆起部(124)を超えて配索されるように配置される、請求項1に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項4】
前記スパークスタンドプレート(130)は、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に、前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けることを介して取付け可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項5】
前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けるように配置される取付け機構を含む、請求項4に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項6】
前記取付け機構は、前記スパークスタンドプレート(130)を前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に押し付けるための1セットのクランプを備える、請求項5に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項7】
前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面は、前記凹部及び前記ノッチ(125)から離れて、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面の形状に実質的に対応する形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項8】
前記スパークスタンド本体(121)の前記上面は、前記凹部と前記ノッチ(125)と前記隆起部(124)とから離れて、実質的に平面であり、前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する前記対向面は、前記隆起部(124)に当接することを意図した部分から離れて実質的に平面である、請求項7に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項9】
前記光伝送経路は、前記光伝送経路の少なくとも一部を前記プラズマチャンバから隔離するための結合レンズまたは窓を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項10】
前記励起器(123)は、前記試料(140)の一部をプラズマ状態に変換するスパーク励起を生成するために配置される電極(123a)を備え、それによって、前記電極(123a)の起動時に前記電極(123a)の先端と前記試料(140)の表面との間に円錐プラズマ(132)を生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項11】
前記スパークスタンドプレート(130)は、前記スパークスタンドプレート(130)の前記スパークスタンド本体(121)に対向する対向面から突出し、前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に前記スパークスタンドプレート(130)が取付けられたとき、前記ノッチ(125)と空間的に整列する位置に配置される空間マスク(133a、133b)を備え、それによって、前記空間マスク(133a、133b)は、前記プラズマチャンバから前記経路への前記光伝送経路を部分的に遮断する、請求項1~10のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項12】
前記空間マスク(133a、133b)は、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたとき、前記ノッチ(125)の中に突出する前記スパークスタンドプレート(130)の厚くされた部分として設けられたマスキング部(133a)を備える、請求項11に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項13】
前記空間マスク(133a、133b)は、着脱可能に前記スパークスタンドプレート(130)に取付けられたマスキング部材(133b)を備え、前記スパークスタンドプレート(130)が前記スパークスタンド本体(121)の前記上面に取付けられたとき、前記マスキング部材(133b)は前記ノッチ(125)の中に突出する、請求項11に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項14】
前記スパークスタンドプレート(130)の外側表面から測定される前記空間マスク(133a、133b)の高さは、前記励起器(123、123a)の先端と前記スパークスタンドプレート(130)の前記外側表面との間の距離の25~70%である、請求項11に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)。
【請求項15】
メインハウジング(110)と請求項1~3のいずれか一項に記載のスパークスタンドアセンブリ(120)とを含む発光分光分析(OES)装置(100)であって、前記メインハウジング(110)は、光分光検出アセンブリ(114)と、前記スパークスタンドアセンブリ(120)を前記メインハウジング(110)に取付けるための取付けインタフェースとを備え、前記取付けインタフェースは、前記スパークスタンドアセンブリ(120)の前記光伝送経路を前記光分光検出アセンブリ(114)に接続するための光インタフェースを備える、発光分光分析装置。