(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073981
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240523BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G03G15/16 103
G03G15/01 114A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185004
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南里 直耶
(72)【発明者】
【氏名】田中 有周
(72)【発明者】
【氏名】木内 豊
(72)【発明者】
【氏名】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】鴇巣 健太
【テーマコード(参考)】
2H200
2H300
【Fターム(参考)】
2H200FA04
2H200GA12
2H200GA33
2H200GA47
2H200GB22
2H200GB23
2H200HA02
2H200JB16
2H200JB17
2H200JC03
2H200JC09
2H200JC19
2H200PA02
2H300EB01
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC05
2H300EC16
2H300EF03
2H300EF08
2H300EJ47
2H300FF05
2H300GG13
(57)【要約】
【課題】中間転写体の内周面のみに弾性部材を押し付ける場合と比較して、画像濃度ムラの発生を抑制することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置は、異なる色のトナー像を形成する複数の像形成部と、無端状とされると共に周方向に移動可能に設けられ、複数の像形成部からトナー像が順次転写される中間転写体と、複数の像形成部と対向する位置にそれぞれ設けられ、像形成部のトナー像を中間転写体に転写する複数の一次転写部と、中間転写体の移動方向における複数の一次転写部の下流側に設けられ、中間転写体の表面の複数のトナー像を媒体に転写する二次転写部と、中間転写体の移動方向における最下流の一次転写部から二次転写部までの間に設けられ、中間転写体を両面側から把持する把持部材と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる色のトナー像を形成する複数の像形成部と、
無端状とされると共に周方向に移動可能に設けられ、複数の前記像形成部から前記トナー像が順次転写される中間転写体と、
複数の前記像形成部と対向する位置にそれぞれ設けられ、前記像形成部の前記トナー像を前記中間転写体に転写する複数の一次転写部と、
前記中間転写体の移動方向における複数の前記一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写体の表面の複数の前記トナー像を媒体に転写する二次転写部と、
前記中間転写体の移動方向における最下流の前記一次転写部から前記二次転写部までの間に設けられ、前記中間転写体を両面側から把持する把持部材と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記把持部材は、
前記像形成部から前記トナー像が転写される前記中間転写体の外周面と接触しながら回転する第1回転体と、
前記第1回転体に前記中間転写体を介して押し付けられ、前記中間転写体の内周面と接触しながら回転する第2回転体と、
を備える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度と、前記第2回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度が異なる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1回転体は、前記中間転写体の移動速度よりも低速で回転駆動されており、
前記第2回転体は、前記中間転写体に移動に伴って従動する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1回転体は、前記中間転写体における前記トナー像が転写されない非画像領域を前記第2回転体とで把持する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1回転体は、前記中間転写体の幅方向の両側の前記非画像領域と接触する端部と、前記端部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、
前記第2回転体は、前記中間転写体の内周面の幅方向全体を抑える円筒部を備える請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像形成部は、前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の外径は、前記像保持体の外径と同等であり、
前記第2回転体の外径は、前記転写回転体の外径と同等である請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の表面の摩擦力は、前記像保持体の表面の摩擦力より大きく、
前記第2回転体の表面の摩擦力は、前記転写回転体の表面の摩擦力より大きい請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の慣性モーメントは、前記像保持体の慣性モーメントより大きく、
前記第2回転体の慣性モーメントは、前記転写回転体の慣性モーメントより大きい請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体と前記第2回転体との挟持部の荷重は、前記像保持体と前記転写回転体との挟持部の荷重よりも大きい請求項2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、静電電位の差による潜像が無端状の周面に形成される像保持体と、該像保持体にトナーを付着させてトナー像を形成する現像装置と、複数のロール状部材に張架され、前記像保持体に接触して前記トナー像が一次転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトに一次転写されたトナー像を記録シートに転写する二次転写装置と、前記中間転写ベルトの移動方向における前記トナー像の一次転写位置から前記二次転写装置と対向する二次転写位置までの間で該中間転写ベルトの内周面に圧接される弾性部材と、を有する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、中間転写体の内周面のみに弾性部材を押し付ける場合と比較して、画像濃度ムラの発生を抑制することができる画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様に係る画像形成装置は、異なる色のトナー像を形成する複数の像形成部と、無端状とされると共に周方向に移動可能に設けられ、複数の前記像形成部から前記トナー像が順次転写される中間転写体と、複数の前記像形成部と対向する位置にそれぞれ設けられ、前記像形成部の前記トナー像を前記中間転写体に転写する複数の一次転写部と、前記中間転写体の移動方向における複数の前記一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写体の表面の複数の前記トナー像を媒体に転写する二次転写部と、前記中間転写体の移動方向における最下流の前記一次転写部から前記二次転写部までの間に設けられ、前記中間転写体を両面側から把持する把持部材と、を有する。
【0006】
第2態様に係る画像形成装置は、第1態様に記載の画像形成装置において、前記把持部材は、前記像形成部から前記トナー像が転写される前記中間転写体の外周面と接触しながら回転する第1回転体と、前記第1回転体に前記中間転写体を介して押し付けられ、前記中間転写体の内周面と接触しながら回転する第2回転体と、を備える。
【0007】
第3態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記第1回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度と、前記第2回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度が異なる。
【0008】
第4態様に係る画像形成装置は、第3態様に記載の画像形成装置において、前記第1回転体は、前記中間転写体の移動速度よりも低速で回転駆動されており、前記第2回転体は、前記中間転写体に移動に伴って従動する。
【0009】
第5態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記第1回転体は、前記中間転写体における前記トナー像が転写されない非画像領域を前記第2回転体とで把持する。
【0010】
第6態様に係る画像形成装置は、第5態様に記載の画像形成装置において、前記第1回転体は、前記中間転写体の幅方向の両側の前記非画像領域と接触する端部と、前記端部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、前記第2回転体は、前記中間転写体の内周面の幅方向全体を抑える円筒部を備える。
【0011】
第7態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記像形成部は、前記トナー像を保持する像保持体を備え、前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、前記第1回転体の外径は、前記像保持体の外径と同等であり、前記第2回転体の外径は、前記転写回転体の外径と同等である。
【0012】
第8態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、前記第1回転体の表面の摩擦力は、前記像保持体の表面の摩擦力より大きく、前記第2回転体の表面の摩擦力は、前記転写回転体の表面の摩擦力より大きい。
【0013】
第9態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、前記第1回転体の慣性モーメントは、前記像保持体の慣性モーメントより大きく、前記第2回転体の慣性モーメントは、前記転写回転体の慣性モーメントより大きい。
【0014】
第10態様に係る画像形成装置は、第2態様に記載の画像形成装置において、前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、前記第1回転体と前記第2回転体との挟持部の荷重は、前記像保持体と前記転写回転体との挟持部の荷重よりも大きい。
【発明の効果】
【0015】
第1態様に係る画像形成装置によれば、中間転写体の内周面のみに弾性部材を押し付ける場合と比較して、画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0016】
第2態様に係る画像形成装置によれば、中間転写体の表面に回転しないフロック状部材を接触させる場合と比較して、中間転写体の駆動力(すなわち、トルク)の上昇が抑制される。
【0017】
第3態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体が中間転写体と接触する接触部の回転速度と第2回転体が中間転写体に接触する接触部の回転速度が同等の場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0018】
第4態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体をそれぞれ回転駆動する場合と比較して、構造を簡素化できる。
【0019】
第5態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体とが中間転写体におけるトナー像が転写される画像領域を把持する場合と比較して、トナー像が乱されることが抑制される。
【0020】
第6態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体とが同様の形状である場合と比較して、簡単な構成により中間転写体の非画像領域を把持することができる。
【0021】
第7態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体の外径が像保持体の外径と異なり、第2回転体の外径が転写回転体の外径と異なる場合と比較して、各部材の共通化が可能である。
【0022】
第8態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体の表面の摩擦力が像保持体の表面の摩擦力と同等であり、第2回転体の表面の摩擦力が転写回転体の表面の摩擦力と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0023】
第9態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体の慣性モーメントが像保持体の慣性モーメント同等であり、第2回転体の慣性モーメントが転写回転体の慣性モーメントと同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0024】
第10態様に係る画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体との挟持部の荷重が像保持体と転写回転体との挟持部の荷重と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態の画像形成装置の転写体の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態の画像形成装置の定着装置の構成を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態の画像形成装置のブラック色のトナー像形成部及び把持部材を示す構成図である。
【
図5】第1実施形態の画像形成装置の把持部材を示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態の画像形成装置の把持部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、
図1に示す矢印Hに沿った方向を画像形成装置10の上下方向とし、矢印Wに沿った方向を画像形成装置10の幅方向とし、矢印Dに沿った方向を画像形成装置10の前後方向とする。
【0027】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の画像形成装置10を示す概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置10は、一例として、記録媒体Pに画像を形成する電子写真方式とされている。画像形成装置10は、画像形成部12と、搬送部14と、供給搬送部16と、定着装置70と、を備えている。また、画像形成装置10は、画像形成部12に設けられた後述する転写ベルト30を把持する把持部材100を備えている。記録媒体Pは、媒体の一例である。
【0028】
以下、画像形成装置10の供給搬送部16、画像形成部12、搬送部14及び定着装置70について説明し、次いで把持部材100について説明する。
【0029】
[供給搬送部]
供給搬送部16は、記録媒体Pが収容される収容器61と、収容器61から記録媒体Pを1枚ずつ送り出す送出ロール62と、を備えている。図示を省略するが、供給搬送部16は、送出ロール62で送り出された記録媒体Pを後述する転写体40へ搬送する搬送ロールを備えている。
【0030】
[画像形成部]
図1に示すように、画像形成部12は、各色のトナー像(画像の一例)を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的に説明すると、画像形成部12は、各色のトナー画像(画像の一例)を形成するトナー像形成部80と、中間転写体の一例としての転写ベルト30と、駆動ロール22と、張力付与ロール23と、対向ロール24と、を有している。さらに、画像形成部12は、各色のトナー像形成部80によって形成されたトナー像をそれぞれ転写ベルト30に転写する複数の一次転写部77と、転写ベルト30の表面の複数のトナー像を記録媒体Pに転写する二次転写部31と、を有している。トナー像形成部80は、像形成部の一例である。
【0031】
(転写ベルト)
転写ベルト30は、無端状に形成されるとともに、前後方向から見て、逆三角形状の姿勢となるように、駆動ロール22、張力付与ロール23及び対向ロール24に巻き掛けられている。転写ベルト30は、駆動ロール22が回転駆動されることで、矢印A方向へ周回移動するようになっている。張力付与ロール23は、転写ベルト30に張力を付与する。駆動ロール22は、一例として、転写ベルト30の移動方向における複数のトナー像形成部80の上流側、かつ対向ロール24の下流側に配置されている。駆動ロール22は、転写ベルト30の移動方向におけるトナー像形成部80の下流側、かつ対向ロール24の上流側に配置されている。
【0032】
(トナー像形成部)
トナー像形成部80は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。第1実施形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー像形成部80が備えられている。なお、
図1においては、上記各色に対応させて符号80の後にY、M、C、Kの英字を付している。
【0033】
各色のトナー像形成部80(80Y、80M、80C、80K)は、それぞれ一方向(矢印Eに示す方向)に回転する円柱状の感光体82を有しており、各感光体82の周囲には、感光体82の回転方向上流側から順に、帯電器84と、露光装置86と、現像装置88と、が配置されている。感光体82は、像保持体の一例である。
【0034】
各色のトナー像形成部80では、帯電器84が、感光体82の表面を帯電させ、露光装置86が、帯電器84によって帯電された感光体82の表面を露光して、感光体82の表面に静電潜像を形成する。そして、現像装置88が、露光装置86によって感光体82の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0035】
(一次転写部)
一次転写部77には、転写ベルト30の内周面側に配置され、各色のトナー像形成部80における感光体82と転写ベルト30を挟んで対向する一次転写ロール78が設けられている。第1実施形態では、一次転写ロール78は、転写ベルト30の内周面に接触する。一次転写ロール78は、転写回転体の一例である。各色のトナー像形成部80で形成されたトナー像は、一次転写位置T1にて一次転写ロール78により転写ベルト30に順次一次転写されて重ねられ、その重ねられたトナー画像が二次転写部31における二次転写位置T2にて記録媒体Pに二次転写されるようになっている。
【0036】
(二次転写部)
二次転写部31は、転写ベルト30の移動方向における複数の一次転写部77の下流側に設けられている。二次転写部31には、転写体40が設けられている。転写体40は、転写ベルト30の下方側に配置されている。一例として、転写体40は、軸方向が対向ロール24の軸方向と同じになるように配置された転写胴50を有している。転写胴50は、転写ベルト30に対向して配置されており、対向ロール24とで転写ベルト30を挟み込んだ挟込領域が二次転写位置T2となるように構成されている。二次転写位置T2では、対向ロール24と転写胴50との間に転写電圧が印加されることで、転写ベルト30のトナー像が記録媒体Pに二次転写される。
【0037】
なお、
図1において、記録媒体Pの搬送方向を矢印Xにて示す。また、転写ベルト30の移動方向における二次転写位置T2の下流側で、かつトナー像形成部80(80Y、80M、80C、80K)の上流側に、転写ベルト30上に残留したトナーを除去するクリーナを設けてもよい。
【0038】
図2に示すように、転写胴50の外周面の一部には、グリッパ36及び支持部材38が収容される凹部54が形成されている。転写胴50の軸方向両端側には、一対のスプロケット32が設けられている。この一対のスプロケット32は、転写胴50と同軸に配置されており、転写胴50と一体に回転する構成とされている。そして、転写胴50は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される構成になっている。また、一対のスプロケット32には、チェーン34が巻き掛けられている。
【0039】
なお、対向ロール24は、カム等を用いた転写用移動機構(図示略)により、転写胴50に対して接触する接触位置と離間する離間位置との間を移動可能とされている。
【0040】
[定着装置]
図1に示すように、定着装置70は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着する装置である。具体的に説明すると、定着装置70は、搬送部14における記録媒体Pの搬送方向下流側に配置された加圧体42と、加熱ロール72と、を有している。
【0041】
図3に示すように、加圧体42は、軸方向が転写胴50の軸方向と同じになるように配置された加圧ロール44を有しており、加圧ロール44の軸方向両端側には、一対のスプロケット48が設けられている。一対のスプロケット48は、加圧ロール44と同軸に配置されており、加圧ロール44と一体に回転する構成とされている。そして、一対のスプロケット48には、後述するチェーン34が巻き掛けられている。
【0042】
図1に示すように、加熱ロール72と加圧ロール44とは、上下に並んで配置されている。すなわち、加熱ロール72が、加圧ロール44の上方側に配置されている。この加熱ロール72は、内部にハロゲンランプ等の加熱源72Aを有している。なお、以下において、加熱ロール72と加圧ロール44とで記録媒体Pを挟み込む位置を挟込位置NPとする。
【0043】
また、加熱ロール72は、カム等を用いた定着用移動機構(図示略)により、加圧ロール44に対して接触する接触位置と離間する離間位置との間を移動可能とされている。加熱ロール72は、接触位置において、加圧ロール44とで記録媒体Pを挟み込むようになっている。
【0044】
また、加圧ロール44の外周面の一部には、後述するグリッパ36及び支持部材38が収容される凹部46が形成されている。
【0045】
[搬送部]
図1~
図3に示すように、搬送部14は、記録媒体Pを搬送して二次転写位置T2と挟込位置NPとを通過させる機能を有している。搬送部14は、一対のチェーン34と、グリッパ36と、を有している。一対のチェーン34は、転写胴50の回転駆動力を加圧ロール44に伝達する部材である。グリッパ36は、記録媒体Pの先端部を保持する。なお、
図1では、チェーン34及びグリッパ36を簡略化して図示している。
【0046】
図1に示すように、一対のチェーン34は、それぞれ環状に形成されている。そして、
図2に示すように、この一対のチェーン34は、装置奥行方向に間隔をおいて配置されている。すなわち、この一対のチェーン34は、それぞれ転写胴50に同軸的に設けられた一対のスプロケット32と、加圧ロール44に同軸的に設けられた一対のスプロケット48と、に巻き掛けられている。
【0047】
図示されていない駆動部により転写胴50が回転駆動されると、一対のスプロケット32が一体に回転方向B(矢印B方向)へ回転駆動されることで、チェーン34が周回方向C(矢印C方向)へ周回する。また、これにより加圧ロール44が従動回転する。つまり、周回方向C(
図1参照)へ周回移動する一対のチェーン34により、転写胴50の回転駆動力が加圧ロール44へ伝達されるようになっている。
【0048】
また、
図2及び
図3に示すように、一対のチェーン34には、グリッパ36が取り付けられた支持部材38が装置奥行方向に沿って架け渡されている。支持部材38は、複数(
図1に示されるものは3個)設けられており、各支持部材38は、チェーン34の周方向(周回方向C)に沿った予め定められた間隔で、その一対のチェーン34に固定されている。
【0049】
また、グリッパ36は、装置奥行方向に沿った予め定められた間隔で、各支持部材38に複数並んで取り付けられている。つまり、各グリッパ36は、各支持部材38を介して、チェーン34に取り付けられている。そして、各グリッパ36は、記録媒体Pの先端部を保持する保持機能を有している。
【0050】
図示を省略するが、グリッパ36は、複数の爪と複数の爪台とを有している。グリッパ36は、各爪と各爪台との間に記録媒体Pの先端部を挟むことで記録媒体Pを保持する。
【0051】
また、グリッパ36は、記録媒体Pに対する搬送方向の下流側に配置されており、記録媒体Pの搬送方向の下流側から記録媒体Pの先端部を保持するようになっている。
【0052】
このように、搬送部14では、供給搬送部16から送られてきた記録媒体Pの先端部をグリッパ36で保持するようになっている。そして、搬送部14では、グリッパ36が記録媒体Pの先端部を保持した状態でチェーン34が矢印C方向へ周回移動することで、グリッパ36を移動させて記録媒体Pを搬送し、グリッパ36で記録媒体Pを保持したまま、グリッパ36と共に二次転写位置T2を通過させるようになっている。
【0053】
なお、チェーン34がスプロケット32に巻き掛けられた部分では、グリッパ36は、転写胴50の凹部54に収容された状態で、転写胴50と一体に転写胴50の回転方向へ移動するようになっている。同様に、チェーン34がスプロケット48に巻き掛けられた部分では、グリッパ36は、加圧ロール44の凹部46に収容された状態で、加圧ロール44と一体に加圧ロール44の回転方向へ移動するようになっている。
【0054】
搬送部14は、加熱ロール72が離間位置に位置する状態において、挟込位置NPへ向けて、グリッパ36が記録媒体Pの先端部を保持したまま、記録媒体Pを搬送するようになっている。そして、搬送部14は、記録媒体Pを挟込位置NPへ搬送すると、記録媒体Pの先端部の保持を解除するようになっている。すなわち、搬送部14は、グリッパ36が、挟込位置NPを通過した後に、記録媒体Pの先端部の保持を解除するようになっている。
【0055】
このように、定着装置70では、加熱ロール72と加圧ロール44とで記録媒体Pを挟み込んだ状態で搬送しつつ、記録媒体Pを加熱及び加圧することにより、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させるようになっている。
【0056】
[把持部材]
次に、把持部材100について説明する。
【0057】
図1及び
図4に示すように、把持部材100は、転写ベルト30の移動方向(矢印A方向)における最下流の一次転写部77から二次転写部31までの間に設けられている。一例として、把持部材100は、転写ベルト30の移動方向における最下流のブラック色のトナー像形成部80Kの一次転写部77と、張力付与ロール23との間に配置されている。
【0058】
把持部材100は、転写ベルト30を両面側から把持する構成とされている。より具体的には、把持部材100は、第1回転体102と、第2回転体104と、を備えている。第1回転体102と第2回転体104とは、転写ベルト30を両面側から挟んでいる。第1回転体102は、トナー像形成部80からトナー像が転写される転写ベルト30の外周面と接触しながら回転する。第2回転体104は、第1回転体102に転写ベルト30を介して押し付けられ、転写ベルト30の内周面と接触しながら回転する。この把持部材110は、トナー像を形成する機能を有しない。
【0059】
第1回転体102は、転写ベルト30との接触部で転写ベルト30の移動方向(矢印A方向)と同方向(矢印R1方向)に回転する。第2回転体104は、転写ベルト30との接触部で転写ベルト30の移動方向と同方向(矢印R2方向)に回転する。第1実施形態では、第1回転体102が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度と、第2回転体104が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度が異なる。第1回転体102が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度と、第2回転体104が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度との差は、0.4%以上4%以下であることが好ましく、0.6%以上3%以下であることがより好ましく、0.8%以上2%以下であることがさらに好ましい。
【0060】
一例として、第1回転体102には、モータ106が接続されている。第1回転体102は、モータ106により、転写ベルト30の移動速度よりも低速で回転駆動されている。一例として、第2回転体104は、転写ベルト30の周回移動に伴って従動(すなわち、従動して回転)する。すなわち、第1回転体102が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度は、転写ベルト30の移動速度に対して、低速で回転するように設定されている。これにより、転写ベルト30の移動方向における把持部材100と二次転写位置T2との間での転写ベルト30のたるみが抑制される。
【0061】
図5及び
図6に示されるように、第1回転体102は、転写ベルト30におけるトナー像が転写されない非画像領域122(画像領域120よりも幅方向外側の領域)を第2回転体104とで把持する。より具体的には、第1回転体102は、転写ベルト30の幅方向(D方向)の両側の非画像領域122と接触する端部112と、端部112を繋ぐ繋ぎ部114と、を備えている。端部112及び繋ぎ部114は、円形状であり、端部112の外径は、繋ぎ部114の外径よりも大きい。第1回転体102は、端部112の両側から軸方向に延びたシャフト116を備えている(
図5参照)。なお、
図5では軸方向の一方側のシャフト116のみを図示している。シャフト116は、画像形成装置10の筐体(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0062】
第2回転体104は、転写ベルト30の内周面の幅方向全体を抑える円筒部104Aと、円筒部104Aから軸方向の両側に延びたシャフト104Bと、を備えている(
図5参照)。円筒部104Aの外径は、軸方向に沿って等しい。シャフト104Bは、画像形成装置10の筐体(図示省略)に回転可能に支持されている。
【0063】
一例として、第1回転体102における端部112の外径は、感光体82の外径と同等であり、第2回転体104の円筒部104Aの外径は、一次転写ロール78の外径と同等である。ここで同等とは、以下の範囲に含まれる場合を想定している。一次転写ロール78の外径を基準に第2回転体104の円筒部104Aの外径が±10%以内が好ましく、±5%以内がより好ましく、±1%以内がさらに好ましい。
【0064】
一例として、第1回転体102における転写ベルト30と接触する部分である端部112の表面の摩擦力は、感光体82の表面の摩擦力より大きい。また、一例として、第2回転体104における転写ベルト30と接触する部分である円筒部104Aの表面の摩擦力は、一次転写ロール78の表面の摩擦力より大きい。ここで、摩擦力は、以下の式で表される。
摩擦力=摩擦係数×摩擦抗力
例えば、転写ベルト30に対する第1回転体102の端部112又は第2回転体104の円筒部104Aの表面の摩擦係数が大きく、かつ摩擦抗力(ニップ荷重)が大きい構成でもよい。また、例えば、転写ベルト30に対する第1回転体102の端部112又は第2回転体104の円筒部104Aの表面の摩擦係数と摩擦抗力(ニップ荷重)のどちらか一方が大きい構成でもよい。例えば、第1回転体102における転写ベルト30と接触する部分である端部112の表面の摩擦力は、感光体82の表面の摩擦力より30%大きいことが好ましく、50%大きいことがより好ましく、100%大きいことがさらに好ましい。また、例えば、第2回転体104における転写ベルト30と接触する部分である円筒部104Aの表面の摩擦力は、一次転写ロール78の表面の摩擦力より30%大きいことが好ましく、50%大きいことがより好ましく、100%大きいことがさらに好ましい。
【0065】
一例として、第1回転体102の慣性モーメントは、感光体82の慣性モーメントより大きく、第2回転体104の慣性モーメントは、一次転写ロール78の慣性モーメントより大きい。慣性モーメントとは、イナーシャと同じもので、回転体の動きやすさを表わす指標である。すなわち、慣性モーメントは、回転体がそのときの状態を維持しようとする大きさを示す物理量であり、回転の難易さを表わす。イナーシャの値が大きいほど、加減速時に大きなエネルギーが必要となる。例えば、第1回転体102の慣性モーメントは、感光体82の慣性モーメントより50%大きいことが好ましく、100%大きいことがより好ましく、200%大きいことがさらに好ましい。また、例えば、第2回転体104の慣性モーメントは、一次転写ロール78の慣性モーメントより50%大きいことが好ましく、100%大きいことがより好ましく、200%大きいことがさらに好ましい。
【0066】
また、一例として、第1回転体102と第2回転体104との転写ベルト30の挟持部の荷重は、感光体82と一次転写ロール78との転写ベルト30の挟持部の荷重よりも大きい。例えば、第1回転体102と第2回転体104との転写ベルト30の挟持部の荷重は、感光体82と一次転写ロール78との転写ベルト30の挟持部の荷重に対して、1.5倍以上に設定されていることが好ましく。2倍以上に設定されていることが好ましく、3倍以上に設定されていることがさらに好ましい。
【0067】
[比較例の画像形成装置の課題]
ここで、比較例の画像形成装置の課題について説明する。
【0068】
図示を省略するが、比較例の画像形成装置では、転写ベルトの移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの4色のトナー像形成部を備えており、4色のトナー像形成部からトナー像が一次転写位置で転写ベルトに重ねて転写される。さらに、転写ベルトの表面に重ねられたトナー像は、二次転写位置で記録媒体Pに転写される。一次転写位置の構成及び二次転写位置の構成は、第1実施形態の画像形成装置10の一次転写位置の構成及び二次転写位置の構成と同様である。比較例の画像形成装置では、転写ベルトの移動方向における最下流の一次転写位置から二次転写位置までの間に、第1実施形態のような把持部材は設けられていない。
【0069】
比較例の画像形成装置では、二次転写位置で発生した転写ベルトの振動が、転写ベルトの移動方向の上流側の一次転写位置に伝播される場合がある。特に、大型の画像形成装置では、小型の画像形成装置と比べて二次転写位置で発生するインパルス振動が大きく、転写ベルトに伝播する振動も大きくなりやすい。そのため、転写ベルトの移動方向に沿って配置された複数のトナー像形成部のうち最下流の一次転写位置で画像位置変動が発生し、転写ベルトへの転写画像に画像濃度ムラが発生する場合がある。
【0070】
[本実施形態に係る作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0071】
画像形成装置10は、異なる色のトナー像を形成する複数のトナー像形成部80と、無端状とされると共に周方向に移動可能に設けられた転写ベルト30と、を備えている。また、画像形成装置10は、複数のトナー像形成部80と対向する位置に、トナー像形成部80のトナー像を転写ベルト30に転写する複数の一次転写部77を備えている。また、画像形成装置10は、転写ベルト30の移動方向における複数の一次転写部77の下流側に、転写ベルト30の表面の複数のトナー像を記録媒体Pに転写する二次転写部31を備えている。さらに、画像形成装置10は、転写ベルト30の移動方向における最下流のトナー像形成部80Kの一次転写部77から二次転写部31までの間に、転写ベルト30を両面側から把持する把持部材100を備えている。
【0072】
画像形成装置10では、転写ベルト30を両面側から把持する把持部材100により、二次転写部31で発生した転写ベルト30の振動が、転写ベルト30の移動方向の上流側の一次転写部77に伝播されることが抑制される。すなわち、二次転写部31で発生した転写ベルト30の振動が、複数のトナー像形成部80のうちの最下流のトナー像形成部80Kの一次転写部77に伝播されることが抑制される。このため、画像形成装置10では、転写ベルト30の内周面のみに弾性部材を押し付ける場合と比較して、画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0073】
また、把持部材100は、トナー像形成部80からトナー像が転写される転写ベルト30の外周面と接触しながら回転する第1回転体102と、第1回転体102に転写ベルト30を介して押し付けられる第2回転体104と、を備えている。第2回転体104は、転写ベルト30の内周面と接触しながら回転する。このため、画像形成装置10では、転写ベルトの表面に回転しないフロック状部材を接触させる場合と比較して、転写ベルト20の駆動力、すなわちトルクの上昇が抑制される。
【0074】
また、把持部材100は、第1回転体102が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度と、第2回転体104が転写ベルト30に接触する接触部の回転速度が異なる。これにより、画像形成装置10では、第1回転体が転写ベルトと接触する接触部の回転速度と第2回転体が転写ベルトに接触する接触部の回転速度が同等の場合と比較して、第1回転体102と第2回転体104とによる転写ベルト30の把持力(すなわち、グリップ力)が大きくなる。これにより、二次転写部31で生じた転写ベルト30の振動の伝播を把持部材100によって遮断又は抑制することができる。このため、画像形成装置10では、第1回転体が転写ベルトと接触する接触部の回転速度と第2回転体が転写ベルトに接触する接触部の回転速度が同等の場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0075】
また、第1回転体102は、モータ106により転写ベルト30の移動速度よりも低速で回転駆動されており、第2回転体104は、転写ベルト30に移動に伴って従動する。このため、画像形成装置10では、第1回転体と第2回転体をそれぞれ回転駆動する場合と比較して、構造を簡素化できる。
【0076】
また、第1回転体102は、転写ベルト30におけるトナー像が転写されない非画像領域122(画像領域120の幅方向外側の領域)を第2回転体104とで把持する。このため、画像形成装置10では、第1回転体と第2回転体とが転写ベルトにおけるトナー像が転写される画像領域120を把持する場合と比較して、トナー像が乱されることが抑制される。
【0077】
また、第1回転体102は、転写ベルト30の幅方向の両側の非画像領域122(画像領域120の幅方向外側の領域)と接触する端部112と、端部112を繋ぐ繋ぎ部114と、を備えている。また、第2回転体104は、転写ベルト30の内周面の幅方向全体を抑える円筒部104Aを備えている。このため、画像形成装置10では、第1回転体と第2回転体とが同様の形状である場合と比較して、簡単な構成により転写ベルト30の非画像領域122(画像領域120の幅方向外側の領域)を把持することができる。
【0078】
また、第1回転体102における端部112の外径は、感光体82の外径と同等であり、第2回転体104における円筒部104Aの外径は、一次転写ロール78の外径と同等である。このため、画像形成装置では、第1回転体の外径が感光体の外径と異なり、第2転体の外径が一次転写ロールの外径と異なる場合と比較して、各部材の共通化が可能であり、さらに、各部材の駆動伝達部のカップリングの位置を合わせることができる。
【0079】
また、第1回転体102における端部112の表面の摩擦力は、感光体82の表面の摩擦力より大きく、第2回転体104における円筒部104Aの表面の摩擦力は、一次転写ロール78の表面の摩擦力より大きい。これにより、第1回転体102と第2回転体104とによる転写ベルト30の把持力(すなわち、グリップ力)が感光体82と一次転写ロール78とによる転写ベルト30の把持力よりも大きくなる。このため、画像形成装置では、第1回転体の表面の摩擦力が感光体の表面の摩擦力と同等であり、第2回転体の表面の摩擦力が一次転写ロールの表面の摩擦力と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0080】
また、第1回転体102の慣性モーメントは、感光体82の慣性モーメントより大きく、第2回転体104の慣性モーメントは、一次転写ロール78の慣性モーメントより大きい。これにより、第1回転体102と第2回転体104とによる転写ベルト30の把持力(すなわち、グリップ力)が感光体82と一次転写ロール78とによる転写ベルト30の把持力よりも大きくなる。このため、画像形成装置10では、第1回転体の慣性モーメントが感光体の慣性モーメント同等であり、第2回転体の慣性モーメントが一次転写ロールの慣性モーメントと同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0081】
また、第1回転体102の端部112と第2回転体104の円筒部104Aとの挟持部の荷重は、感光体82と一次転写ロール78との挟持部の荷重よりも大きい。これにより、第1回転体102と第2回転体104とによる転写ベルト30の把持力(すなわち、グリップ力)が感光体82と一次転写ロール78とによる転写ベルト30の把持力よりも大きくなる。このため、画像形成装置10では、第1回転体と第2回転体との挟持部の荷重が感光体と一次転写ロールとの挟持部の荷重と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0082】
また、画像形成装置10では、複数のトナー像形成部80は、カラー画像を形成するためのイエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックのトナー像を形成する4色のトナー像形成部80Y、80M、80C、80Kである。このため、画像形成装置10では、カラー画像を形成するための4色のトナー像形成部80Y、80M、80C、80Kを備える場合において、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0083】
<その他>
尚、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0084】
上記実施形態では、把持部材100は、転写ベルト30の移動方向における最下流のブラック色のトナー像形成部80Kの一次転写部77から張力付与ロール23までの間に配置されていたが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、把持部材100は、転写ベルト30の移動方向における張力付与ロール23から二次転写部31までの間に配置される構成でもよい。
【0085】
上記実施形態では、第1回転体102を回転駆動し、第2回転体104を転写ベルト30の周回移動に伴って従動するが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、第1回転体と第2回転体の両方を回転駆動する構成でもよい。また、例えば、第2回転体のみを回転駆動し、第1回転体を転写ベルトの周回移動に伴って従動する構成としてもよい。
【0086】
上記実施形態において、第1回転体の外径や形状、第2回転体の外径や形状などは変更可能である。
【0087】
上記実施形態において、第1回転体における転写ベルトと接触する部分の摩擦力や、第2回転体における転写ベルトと接触する部分の摩擦力は、変更可能である。
【0088】
上記実施形態では、二次転写部31に転写胴50が設けられているが、本開示はこの構成に限定されるものではない。例えば、転写胴50、チェーン34及びグリッパ36等に代えて、転写ベルトを対向ロールに押し付ける二次転写ロールを設ける構成でもよい。この構成では、転写ベルトと二次転写ロールとの間に記録媒体を搬送し、対向ロールと二次転写ロールとの間に印加される転写電圧により転写ベルトのトナー像を記録媒体に転写する。
【0089】
上記実施形態では、転写ベルト30の移動方向に沿って、カラー画像を形成するための4色のトナー像形成部80Y、80M、80C、80Kが設けられていたが、本開示は、この構成に限定されるものではない。例えば、4色のトナー像形成部80Y、80M、80C、80Kの順番は変更してもよい。また、例えば、4色のトナー像形成部80Y、80M、80C、80Kの他に、特色のトナーによりトナー像を形成する特色トナー像形成部を備える構成でもよい。例えば、特色トナー像形成部は、転写ベルト30の移動方向における複数のトナー像形成部のうち最上流側に配置してもよいし、転写ベルト30の移動方向における複数のトナー像形成部のうち最下流側に配置してもよい。例えば、特色トナー像形成部を、転写ベルト30の移動方向における複数のトナー像形成部のうち最上流側に配置する場合、最下流のトナー像形成部の下流側に、トナー像を形成する機能を有しない把持部材を配置してもよい。また、例えば、特色トナー像形成部を転写ベルト30の移動方向における複数のトナー像形成部のうち最下流側に配置する場合、特色トナー像形成部の下流側に、トナー像を形成する機能を有しない把持部材を配置してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、画像の一例としてトナー像を挙げ、乾式の電子写真方式によって形成されたトナー像としているが、これに限定されるものではない。例えば、湿式の電子写真方式によって形成されたトナー像でもよい。
【0091】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0092】
〔付記〕
(((1)))
異なる色のトナー像を形成する複数の像形成部と、
無端状とされると共に周方向に移動可能に設けられ、複数の前記像形成部から前記トナー像が順次転写される中間転写体と、
複数の前記像形成部と対向する位置にそれぞれ設けられ、前記像形成部の前記トナー像を前記中間転写体に転写する複数の一次転写部と、
前記中間転写体の移動方向における複数の前記一次転写部の下流側に設けられ、前記中間転写体の表面の複数の前記トナー像を媒体に転写する二次転写部と、
前記中間転写体の移動方向における最下流の前記一次転写部から前記二次転写部までの間に設けられ、前記中間転写体を両面側から把持する把持部材と、
を有する画像形成装置。
【0093】
(((2)))
前記把持部材は、
前記像形成部から前記トナー像が転写される前記中間転写体の外周面と接触しながら回転する第1回転体と、
前記第1回転体に前記中間転写体を介して押し付けられ、前記中間転写体の内周面と接触しながら回転する第2回転体と、
を備える(((1)))に記載の画像形成装置。
【0094】
(((3)))
前記第1回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度と、前記第2回転体が前記中間転写体に接触する接触部の回転速度が異なる(((2)))に記載の画像形成装置。
【0095】
(((4)))
前記第1回転体は、前記中間転写体の移動速度よりも低速で回転駆動されており、
前記第2回転体は、前記中間転写体に移動に伴って従動する(((3)))に記載の画像形成装置。
【0096】
(((5)))
前記第1回転体は、前記中間転写体における前記トナー像が転写されない非画像領域を前記第2回転体とで把持する(((2)))から(((4)))までのいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0097】
(((6)))
前記第1回転体は、前記中間転写体の幅方向の両側の前記非画像領域と接触する端部と、前記端部を繋ぐ繋ぎ部と、を備え、
前記第2回転体は、前記中間転写体の内周面の幅方向全体を抑える円筒部を備える(((5)))に記載の画像形成装置。
【0098】
(((7)))
前記像形成部は、前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の外径は、前記像保持体の外径と同等であり、
前記第2回転体の外径は、前記転写回転体の外径と同等である(((2)))から(((6)))までのいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0099】
(((8)))
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の表面の摩擦力は、前記像保持体の表面の摩擦力より大きく、
前記第2回転体の表面の摩擦力は、前記転写回転体の表面の摩擦力より大きい(((2)))から(((7)))までのいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0100】
(((9)))
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体の慣性モーメントは、前記像保持体の慣性モーメントより大きく、
前記第2回転体の慣性モーメントは、前記転写回転体の慣性モーメントより大きい(((2)))から(((8)))までのいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0101】
(((10)))
前記像形成部は、前記中間転写体と接触すると共に前記トナー像を保持する像保持体を備え、
前記一次転写部は、前記中間転写体の内周面に接触する転写回転体を備え、
前記第1回転体と前記第2回転体との挟持部の荷重は、前記像保持体と前記転写回転体との挟持部の荷重よりも大きい(((2)))から(((9)))までのいずれか1つに請求項2に記載の画像形成装置。
【0102】
(((1)))に記載の画像形成装置によれば、中間転写体の内周面のみに弾性部材を押し付ける場合と比較して、画像濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0103】
(((2)))に記載の画像形成装置によれば、中間転写体の表面に回転しないフロック状部材を接触させる場合と比較して、中間転写体の駆動力(すなわち、トルク)の上昇が抑制される。
【0104】
(((3)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体が中間転写体と接触する接触部の回転速度と第2回転体が中間転写体に接触する接触部の回転速度が同等の場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0105】
(((4)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体をそれぞれ回転駆動する場合と比較して、構造を簡素化できる。
【0106】
(((5)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体とが中間転写体におけるトナー像が転写される画像領域を把持する場合と比較して、トナー像が乱されることが抑制される。
【0107】
(((6)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体とが同様の形状である場合と比較して、簡単な構成により中間転写体の非画像領域を把持することができる。
【0108】
(((7)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体の外径が像保持体の外径と異なり、第2回転体の外径が転写回転体の外径と異なる場合と比較して、各部材の共通化が可能である。
【0109】
(((8)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体の表面の摩擦力が像保持体の表面の摩擦力と同等であり、第2回転体の表面の摩擦力が転写回転体の表面の摩擦力と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0110】
(((9)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体の慣性モーメントが像保持体の慣性モーメント同等であり、第2回転体の慣性モーメントが転写回転体の慣性モーメントと同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【0111】
(((10)))に記載の画像形成装置によれば、第1回転体と第2回転体との挟持部の荷重が像保持体と転写回転体との挟持部の荷重と同等である場合と比較して、画像濃度ムラの発生が抑制される。
【符号の説明】
【0112】
10 画像形成装置
30 転写ベルト(中間転写体の一例)
31 二次転写部
77 一次転写部
78 一次転写ロール(転写回転体の一例)
80 トナー像形成部(像形成部の一例)
82 感光体(像保持体の一例)
100 把持部材
102 第1回転体
104 第2回転体
104A 円筒部
112 端部
114 繋ぎ部
122 非画像領域
P 記録媒体(媒体の一例)