(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073984
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/04 20060101AFI20240523BHJP
D06F 58/20 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
D06F58/04
D06F58/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185008
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡凜
(72)【発明者】
【氏名】塚本 和寛
(72)【発明者】
【氏名】額賀 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 崇博
(72)【発明者】
【氏名】曽我 丈
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA04
3B166AB22
3B166AB30
3B166AB33
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3B166ED05
3B166GA12
3B166GA22
3B166GA45
(57)【要約】
【課題】
本発明は、流路の圧力損失の増加を抑制することができる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の洗濯乾燥機は、衣類を出し入れする開口を有する外槽と、外槽の内側に回転自在に配置され洗濯物が収容される洗濯槽と、温風を生成するヒータ及び送風ファンと、ヒータ及び送風ファンによって生成した温風を洗濯槽の内側に向かって吐出するノズルと、を備える。ノズル300は、ノズル入口301の側における流路断面の形状が台形であり、吐出口302における流路断面の形状が矩形となっている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を出し入れする開口を有する外槽と、
前記外槽の内側に回転自在に配置され洗濯物が収容される洗濯槽と、
温風を生成するヒータ及び送風ファンと、
前記ヒータ及び前記送風ファンによって生成した温風を前記洗濯槽の内側に向かって吐出するノズルと、を備え、
前記ノズルは、ノズル入口の側における流路断面の形状が台形であり、吐出口における流路断面の形状が矩形となっていることを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯乾燥機であって、
前記ノズルの上流に、流れの転向部が設けられ、
前記ノズルにおける前記台形の底辺となる2つのノズル流路面のうち前記転向部における転向の外側に配置されるノズル流路面の幅方向寸法が、転向の内側に配置されるノズル流路面の幅方向寸法よりも大きい洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項2に記載の洗濯乾燥機であって、
ノズル入口と前記吐出口との間に流路の曲がり部を有し、
前記ノズルの流路を構成するノズル流路面のうち前記台形の脚となる2つのノズル流路面は、当該2つのノズル流路面の間隔が前記曲がり部から前記吐出口に向かって縮小される洗濯乾燥機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯乾燥機であって、
前記台形の脚となる2つのノズル流路面は、前記ノズルの流路の中心軸線を含み前記台形の底辺となる2つのノズル流路面に垂直な仮想平面に対して、面対称に形成される洗濯乾燥機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯乾燥機であって、
前記ノズルは、前記ノズル入口から前記曲がり部の上流側端部まで、前記ノズル入口の流路断面の形状を維持する洗濯乾燥機。
【請求項6】
請求項5に記載の洗濯乾燥機であって、
前記台形の脚となる2つのノズル流路面は、前記曲がり部の下流側において、前記転向部における転向の外側に配置される前記ノズル流路面に接続される側の側縁が、転向の内側に配置される前記ノズル流路面に接続される側の側縁に対して、幅方向外側に位置するように傾斜し、この傾斜を修正しながら前記吐出口に向かって延設されて前記吐出口に接続される洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾燥時に内部が乾燥室となる外槽と、外槽内に回転自在に配置され洗濯物を収容する内槽(洗濯槽)と、内槽を駆動するモータと、外槽を支持し外装を成す筐体と、内槽に温風を送風する送風手段と、送風する空気を加熱する加熱手段と、を備えた洗濯乾燥機において、送風手段による風量Q(m3/min)と内槽内へ吹き出される空気の風速v(m/s)との積が90以上120以下となるようにした洗濯乾燥機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗濯乾燥機は、風量と風速の積を90以上、120以下とすることで、衣類のシワを伸ばすのに効果的な風量と風速を得ることができるとしている。しかしながら、特許文献1には、その温風が吐出される流路構造について具体的な記載がない。
洗濯乾燥機では、温風を内槽(洗濯槽)内の洗濯物に向かって吐出するノズルの上流側に、温風の流れを転向する転向部が存在する。転向部が存在すると、温風の流路内で流量の偏りが生じ、流路の圧力損失が大きくなる。
【0005】
本発明は、流路の圧力損失の増加を抑制することができる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗濯乾燥機は、
衣類を出し入れする開口を有する外槽と、
前記外槽の内側に回転自在に配置され洗濯物が収容される洗濯槽と、
温風を生成するヒータ及び送風ファンと、
前記ヒータ及び前記送風ファンによって生成した温風を前記洗濯槽の内側に向かって吐出するノズルと、を備え、
前記ノズルは、前記ノズル入口の側における流路断面の形状が台形であり、前記吐出口における流路断面の形状が矩形となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、流路の圧力損失の増加を抑制すると共に、流れの拡散を抑制することで、吐出口から出た温風が衣類に到達するまでの風速の低下を抑制することができ、衣類のシワを伸ばし性能を向上した洗濯乾燥機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例に係る洗濯乾燥機の外観斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る洗濯乾燥機の内部構造を右側から見た概略断面図である。
【
図3】本発明との比較例に係るノズルの斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るノズルの斜視図である。
【
図5】比較例のノズルと本発明の実施例に係るノズルとについて、吐出口からの距離毎に流速を比較した流体解析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
洗濯から乾燥まで連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風機(送風ファン)と加熱手段により高温かつ低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹き込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。このとき、衣類のシワを伸ばしながら乾燥するためには、衣類にあてる空気の風量や風速が高いことが望ましい。
【0010】
しかし、内槽内に吹き出された瞬間の風速が最適であっても、本体の奥行寸法の如何によっては、衣類に到達するまでに流れが拡散することで減速してしまい、効果的な風量や風速が得られなくなる虞がある。
【0011】
また、衣類に到達するまでの風速を増加させるには、温風が内槽内に吐き出される出口である吐出口の面積を小さくし、吐出口から出る瞬間の風速を増加させることが考えられるが、その場合、流路の圧力損失が増加してしまい、洗濯乾燥機の消費電力が増加してしまう。
【0012】
本発明に係る実施例では、流路の圧力損失の増加を抑制すると共に、衣類に到達するまでの流れの拡散を抑制することで、衣類のシワ伸ばし効果を向上する。
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお以下の説明において、左右方向は洗濯乾燥機1を正面側から見たときの左右に基づいて定義する。すなわち、正面側から見たときの洗濯乾燥機1の左側に位置する側面を左側面、右側に位置する側面を右側面とする。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る洗濯乾燥機1の外観斜視図である。
図1に示すように、ドラム式の洗濯乾燥機1の筐体10は、板金(金属、カラー鋼板)にプレス加工等を施すことによって形成された、正面に配置される前面パネル11と、左右の側面に配置される側面パネル14と、背面に配置される背面パネル16と、底側に配置されるベース17と、上方に配置される上面パネル18と、を有している。
【0015】
前面パネル11は、正面上部に配置される前面上パネル12と、正面下部に配置される前面下パネル13と、を有している。前面上パネル12には、ヒンジを介してドアガラス25が取り付けられている。前面下パネル13には、糸くずフィルタ222(
図2参照)のフィルタ部材を出し入れするためのフタ13aが取り付けられている。
【0016】
側面パネル14は、前面パネル11と同じ高さに形成され、運搬時に使用される手掛け部14aが上下に複数箇所形成され、また補強用の凹部14bが複数形成されている。
ベース17は、例えば合成樹脂製であり、内側に格子状のリブが形成されて補強が施されている。また、ベース17には、側面パネル14の下端がそれぞれネジなどで固定されている。
【0017】
上面パネル18は、例えば合成樹脂を成形することで形成され、上面視において略矩形状に形成されている。また、上面パネル18は、1枚の板状に構成され、前面パネル11と側面パネル14と背面パネル16とが連結されることによって形成される上面開口を塞ぐように構成されている。
【0018】
また、上面パネル18には、前後方向の手前左側に洗剤投入部20、手前右側に操作パネル22が取り付けられている。
【0019】
図2は、本発明の一実施例に係る洗濯乾燥機1の内部構造を右側から見た概略断面図である。
【0020】
図2に示すように、筐体10の内側には、ほぼ中央部に外槽2が配置されている。外槽2は下部の複数個のダンパ5により支持されている。外槽2の内側には、洗濯槽3が回転可能に設けられている。洗濯槽3には、前面上パネル12に設けられたドア25を開けて洗濯物207を投入する。すなわち洗濯槽3は、外槽2の内側に回転自在に配置され、洗濯物が収容される。洗濯槽3の開口部の外周には、脱水時の洗濯物207のアンバランスによる振動を低減するための、流体バランサー(図示せず)が必要に応じて設けられる。
【0021】
また、洗濯槽3の内側には洗濯物207を持ち上げる複数個のリフター209が設けられている。洗濯槽3は金属製フランジに連結された主軸(図示せず)を介して、洗濯槽駆動用のモータ30に直結されている。洗濯槽3の駆動方式は、主軸に固定されたプーリと外槽に固定したモータとをベルトを介して連結して洗濯槽3を駆動する、いわゆるベルト駆動方式でもよい。
【0022】
また外槽2の開口部には弾性体からなるゴム製のベローズ40が取付けられている。ベローズ40は、外槽2内とドア25との水密性を維持する役割を果たす。これにより、洗い、すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。洗濯槽3は、側壁である円筒部に遠心脱水兼通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。
【0023】
送風手段である送風ファン20は、外槽2から離して筐体10に固定されている。一方、ノズル300及び熱交換ダクト81は外槽2に固定されている。このため外槽2のノズル300及び熱交換ダクト81は送風ファン20の上流と下流においてゴム製の蛇腹管212a、212bを介して接続されており、外槽2の振動が送風ファン20に伝わるのを防止している。
【0024】
乾燥工程においては、送風ファン20により空気の流れを発生させ、送風ファン20の下流に配置されたヒータ213によって加熱され、温風となる。その後、温風は蛇腹管212aとノズル300を流通し、洗濯槽3内の洗濯物207に向かって吐出される。これにより、衣類の水分が蒸発される。蒸発により、高湿となった空気は、熱交換ダクト81に流入し、熱交換ダクト81の壁の一部に設けたリブ89に沿って滴下された冷却水によって除湿される。除湿された空気は蛇腹管212bを通り、再度送風ファン20に流れ込む。この循環を繰り返すことにより洗濯物207の乾燥を行う。
【0025】
除湿によって発生する凝縮水は、水受け部54の底面に設けられた排水口(図示せず)から、糸くずフィルタ222を介して、排水ホース26を通り、排水孔39から排水される。
【0026】
次に、
図3及び
図4を参照して、比較例のノズル400と本実施例に係るノズル300とを比較して説明する。
図3は、本発明との比較例に係るノズル400の斜視図である。
図4は、本発明の一実施例に係るノズル300の斜視図である。
【0027】
比較例のノズル400は、ノズル流路面403a,403b,403c,403dによって、ノズル流路410を形成する。ノズル流路410は上流側に、蛇腹管212a(
図2参照)に接続されるノズル入口401を有し、下流側に、洗濯槽3に向かって開口した吐出口402を有する。
【0028】
ノズル入口401と吐出口402との間には、略直角の曲がり部404が形成されている。この曲がり部404によって、ノズル400に筐体下方向に向かって流入する流れを筐体後側(洗濯槽側)に転向している(
図2参照)。
【0029】
比較例のノズル入口401はその流路断面が矩形の形状をしており、吐出口402の流路断面も矩形形状である。流路断面は流路の流れに垂直な断面であり、ノズル入口401及び吐出口402においてはその開口面のことである。ノズル入口401及び吐出口402が成す矩形形状は、長手方向を有する長方形であり、長辺と短辺を有する。
【0030】
ノズル流路面403a,403bは、ノズル入口401及び吐出口402が成す矩形の短辺に接続され、平行な流路面を構成する。一方、ノズル流路面403c,403dは、ノズル入口401及び吐出口402が成す矩形の長辺に接続され、平行な流路面を構成する。
【0031】
ノズル流路面403a,403b,403c,403dは、ノズル入口401及び吐出口402に対して垂直に接続される。この場合、ノズル流路面403dについては、ノズル流路面403dを形成している部材(ノズル形成部材)の板厚で、曲がり部404に対して下流側のノズル流路面403dが形成されている。
【0032】
ノズル流路面403c,403dは、ノズル入口401と吐出口402との間に略直角の曲がり部404が形成されているため、曲がり部404の上流側において、吐出口402の流路断面(開口面)に対して平行な面となる。なお、ノズル流路面403a,403bは、曲がり部404の上流側においても、吐出口402の流路断面(開口面)に対して垂直である。また、ノズル流路面403a,403bとノズル流路面403c,403dとは、垂直に接合される面となる。
【0033】
図4に示す本実施例のノズル300は、ノズル流路面303a,303b,303c,303dによって、ノズル流路310を形成する。ノズル流路310は上流側に、蛇腹管212a(
図2参照)に接続されるノズル入口301を有し、下流側に、洗濯槽3に向かって開口した吐出口302を有する。
【0034】
ノズル入口301と吐出口302との間には、略直角の曲がり部304が形成されている。この曲がり部304によって、ノズル300に筐体下方向に向かって流入する流れを筐体後側(洗濯槽側)に転向している(
図2参照)。
【0035】
ノズル流路面303c,303dは比較例のノズル400のノズル流路面403c,403dと同様に形成される。ノズル流路面303a,303bは、曲がり部304の下流側において、吐出口302の流路断面(開口面)に対して、鈍角な角度を持つ面で形成されている。すなわち、ノズル流路面303a,303bは、吐出口302から上流側に向かって流路断面が拡大されるように形成されており、言い換えると、曲がり部304から吐出口302に向かって流路断面が縮小されるように形成されている。このために、ノズル流路面303a,303bは、ノズル流路面303aとノズル流路面303bとの幅方向における間隔が、吐出口302から上流側に向かって拡大するように形成されており、言い換えると、ノズル流路面303aとノズル流路面303bとの幅方向における間隔が、曲がり部304から吐出口302に向かって縮小されるように形成されている。
【0036】
ノズル入口401では、ノズル流路面303cの幅寸法W303cのほうが、ノズル流路面303dの幅寸法W303dよりも大きくなっている。ここで、ノズル入口301、吐出口302及び各ノズル流路面303c,303dの幅方向は、ノズル入口301及び吐出口302が成す矩形の長辺に沿う方向である。
【0037】
本実施例では、ノズル流路面303cの幅寸法W303cがノズル流路面303dの幅寸法W303dよりも大きく、ノズル流路面303cとノズル流路面303dとが平行であるため、ノズル入口401は台形形状となっている。ノズル流路面303a,303bは台形の脚となる面であり、ノズル流路面303cは台形の下底(底辺)となる面であり、ノズル流路面303dは台形の上底(底辺)となる面である。ノズル流路面303a,303b,303c,303dは、ノズル入口301の流路断面の形状を維持したまま、ノズル入口301から曲がり部304の上流側端部まで延設される。
【0038】
ノズル流路面303a,303bは、曲がり部304の下流側において、ノズル流路面303cに接続される側の側縁が、ノズル流路面303dに接続される側の側縁に対して幅方向外側に位置するように傾斜している。吐出口302の断面形状は矩形形状(長方形)であり、ノズル流路面303a,303bは、この傾斜(傾斜角度)を修正しながら吐出口302に向かって延設されて吐出口302に接続される。このため、ノズル流路310の流路断面の面積(流路断面積)は、曲がり部304の上流側端部から吐出口302に向かって、次第に縮小する。
【0039】
本実施例のノズル300の効果について説明する。
図3及び
図4には、それぞれのノズルの場合の空気の流れを矢印で図示している。比較例のノズル400では、ノズル入口401から流入した流れが、曲がり部404によって吐出口402方向に転向され、そのまま洗濯槽3内に吐出される。
【0040】
一方で、本実施例のノズル300では、ノズル入口301から流入した流れは、流路中央部においては比較例と同様であるが、ノズル流路面303a,303b付近の流れは、曲がり部304において転向される際に、ノズル流路面303a,303bによって、吐出口302の中央方向に流れが導かれる。
【0041】
これにより、吐出口302から洗濯槽3内に吐出される流れは、吐出口302の中央に収束された流れとなり、洗濯槽3内に至った後も流れの拡散が抑制される。
【0042】
このとき、ノズル流路面303a,303bの角度は同一の値とすることが望ましい。すなわち、ノズル流路面303a,303bは、ノズル300(ノズル流路310)の中心軸線300Axを含みノズル流路面303c,303dに垂直な仮想平面300Sxに対して面対称に形成されることが好ましい。これにより、吐出口302の中央を基準とした、流れの対称性が保たれ、流れの拡散がより抑制される。
【0043】
図5は、比較例のノズル400と本発明の実施例に係るノズル300とについて、吐出口402,302からの距離毎に流速を比較した流体解析結果である。
図5では、吐出口402,302での流速を100%とした場合に、流速が70%以上の領域の面積を、吐出口402,302からの距離毎に比較した流体解析結果を示す。
【0044】
図5に示すように、比較例のノズル400は吐出口302から遠ざかるほど流れが拡散し、流速が高い領域の面積が低下しているが、本実施例のノズル300とすることにより、流速の高い領域が増加しており、流れの拡散が抑制されていることがわかる。
【0045】
これにより、本実施例のノズル300は、衣類に到達するまでの風速を維持することができ、衣類のシワを伸ばす性能が向上する。
【0046】
また、本実施例のノズル300では、吐出口302の開口面積は、比較例のノズル400と同等であるため、流路面積が狭まることによる損失の増加は発生させずに、流れの拡散を抑制することが可能となっている。
【0047】
また、
図2に示すように、ノズル300の上流には、筐体10の後側から下方向への略直角な流れの転向部220が存在する。この転向により、ノズル入口301に流入する流れは均一ではなく、転向の内側のノズル流路面303d側よりも、外側のノズル流路面303c側の流量が多くなる。本実施例では、転向部220における転向の外側に配置されるノズル流路面303cの幅方向寸法W303cが、転向の内側に配置されるノズル流路面303dの幅方向寸法W303dよりも大きい。これにより、本実施例のノズル300は、ノズル流路面303c側のほうが流路断面積が広く、流量の偏りに対応した面積比となっているため、流路の損失を低減することができる。更に、ノズル流路面303c側の流量が多いため、ノズル流路面303a,303bの流れを中央に導く効果をより高めることができる。
【0048】
また、ノズル300は、ノズル入口301から曲がり部304の上流側端部まで、ノズル入口301の流路断面の形状を維持することにより、圧力損失の増加する部位を曲がり部304に限定することで、ノズル300全体での圧力損失の増加を抑制することができる。
【0049】
本実施例に係る洗濯乾燥機1は、少なくとも下記の特徴を有する。
(1)衣類を出し入れする開口を有する外槽2と、
外槽2の内側に回転自在に配置され洗濯物が収容される洗濯槽3と、
温風を生成するヒータ213及び送風ファン20と、
ヒータ213及び送風ファン20によって生成した温風を洗濯槽3の内側に向かって吐出するノズル300と、を備え、
ノズル300は、ノズル入口301の側における流路断面の形状が台形であり、吐出口302における流路断面の形状が矩形となっている。
【0050】
(2)ノズル300の上流に、流れの転向部220が設けられ、
台形の底辺となる2つのノズル流路面303c,303dのうち転向部220における転向の外側に配置されるノズル流路面303cの幅方向寸法W303cが、転向の内側に配置されるノズル流路面303dの幅方向寸法W303dよりも大きい。
【0051】
(3)ノズル入口301と吐出口302との間に流路の曲がり部304を有し、ノズル300の流路310を構成するノズル流路面303a,303b,303c,303dのうち前記台形の脚となる2つのノズル流路面303a,303bは、当該2つのノズル流路面303a,303bの間隔W302が曲がり部304から吐出口302に向かって縮小される。
【0052】
(4)台形の脚となる2つのノズル流路面303a,303bは、ノズル300の流路310の中心軸線300Axを含み台形の底辺となる2つのノズル流路面303c,303dに垂直な仮想平面300Sxに対して、面対称に形成される。
【0053】
(5)ノズル300は、ノズル入口301から曲がり部304の上流側端部まで、ノズル入口301の流路断面の形状を維持する。
【0054】
(6)台形の脚となる2つのノズル流路面303a,303bは、曲がり部304の下流側において、転向部220における転向の外側に配置されるノズル流路面303cに接続される側の側縁が、転向の内側に配置されるノズル流路面303dに接続される側の側縁に対して、幅方向外側に位置するように傾斜し、この傾斜を修正しながら吐出口302に向かって延設されて吐出口302に接続される。
【0055】
なお、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…洗濯乾燥機、2…外槽、3…洗濯槽、20…送風ファン、213…ヒータ、220…流れの転向部、300…ノズル、301…ノズル入口、302…吐出口、
303a,303b,303c,303d…ノズル流路面、303a,303b…台形の脚となる2つのノズル流路面、303c,303d…台形の底辺となる2つのノズル流路面、304…流路の曲がり部、300Ax…ノズル300の流路310の中心軸線、300Sx…中心軸線300Axを含み台形の底辺となる2つのノズル流路面303c,303dに垂直な仮想平面。