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特開2024-73989工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉
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  • 特開-工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉 図1
  • 特開-工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉 図2
  • 特開-工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉 図3
  • 特開-工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073989
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】工業炉用のボルト及びナット並びにボルト及びナットが使用された工業炉
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/00 20060101AFI20240523BHJP
   F27D 11/02 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
F16B37/00 Z
F27D11/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185017
(22)【出願日】2022-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-22
(71)【出願人】
【識別番号】521387040
【氏名又は名称】ネクサスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129676
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
(72)【発明者】
【氏名】眞畑 進
【テーマコード(参考)】
4K063
【Fターム(参考)】
4K063AA04
4K063AA12
4K063CA05
4K063FA25
4K063FA27
(57)【要約】
【課題】工業炉において伝導熱や輻射熱等によって200℃以上の高温となる部位に用いても、ボルト塑性変形を防止することができ、ナットを外した際にかじりや焼付きを効果的に防止することができるボルト及びナットの組み合わせ及びこうしたボルト及びナットで固定された工業用炉を提供する。
【解決手段】
本発明にかかるボルト及びナットは、工業炉において、輻射熱や伝導熱によって200℃以上になる部位に使用されボルト及びナットであって、
ボルトの雄ねじにナットを締め付けた場合に、ボルトの雄ねじのねじをすべて覆うことが可能な長さのナットで締め付けてあることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業炉において、輻射熱や伝導熱によって200℃以上になる部位に使用されボルト及びナットであって、
ボルトの雄ねじにナットを締め付けた場合に、ボルトの雄ねじのねじをすべて覆うことが可能な長さのナットで締め付けてあることを特徴とするボルト及びナット。
【請求項2】
前記ナットは、ボルトに嵌めた場合に、ねじ山が1山から3山程度残る長さであることを特徴とする請求項1に記載のボルト及びナット。
【請求項3】
前記請求項1又は2に記載のボルト及びナットを使用して、200℃以上となる高温ヒーターの端子盤に圧着端子を取り付けてあることを特徴とする工業炉。
【請求項4】
前記請求項1又は2に記載のボルト及びナットを使用して、200℃以上となる高温ヒーターの端子盤に圧着端子を取り付けてあることを特徴とする竪型ストーカ式の焼却炉。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業炉において、伝導熱や輻射熱によって200℃以上の高温となる部位に用いられるボルト及びナット並びにこれらボルト及びナットが使用された工業用炉に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融炉や焼却炉等の工業用炉において、例えばヒーターによる高温部等の近傍では伝導熱や輻射熱によって200℃以上の高温となる部位がある。このような位置において、ヒーター等の電気設備の端子盤に電線接続する場合、ハンダでは熱溶融や劣化が激しいため用いることができず、圧着端子を使用して配線接続がされる場合が多い。しかしながら、図3に示すように、圧着端子40を通常のボルト10及びナット20で固定すると、ナット20の雌ねじで覆われていないボルト10の出しろの雄ねじ部分10aが工業炉の熱で、図4に示すように、ピッチゲージ50で測ると、ピッチが広がるように塑性変形を起こしてしまうという問題があった。この塑性変形したボルトに対してナットを外そうと強引にナットを回すと、ナットのかじりや焼付きが起きやすいという問題があった。
【0003】
このナットのかじりや焼付きを防止するには、ボルトの雄ねじをナットから露出させないことが必要となる。しかし、ボルトの雄ねじ部の長さを短くすると、ねじ部のかかりが少なくなり、固定力が低下してしまうという問題があった。
【0004】
これに対し、袋ナットを使用するということも考えられるが。袋ナットを使用すると、雄ねじの出しろの管理が複雑になるという問題があった。
【0005】
さらに、ダブルナットを採用するという手段も考えられるが、ダブルナットにすると、ナットとナットの間の境で雄ねじに伸ばす力が加わるため、高温で使用すると伸ばす力によって塑性変形が起きやすくなるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、工業炉において伝導熱や輻射熱等によって200℃以上の高温となる部位に用いても、ボルト塑性変形を防止することができ、ナットを外した際にかじりや焼付きを効果的に防止することができるボルト及びナットの組み合わせ及びこうしたボルト及びナットで固定された工業用炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明にかかるボルト及びナットは、工業炉において、輻射熱や伝導熱によって200℃以上になる部位に使用されボルト及びナットであって、
ボルトの雄ねじ部にナットを締め付けた場合に、ボルトの雄ねじのねじ部をすべて覆うことが可能な長さのナットで締め付けてあることを特徴とする。
【0009】
本発明にかかるボルト及びナットによれば、ボルトの雄ねじのねじ部がナットですべて覆われているため、ボルトの伸びをすべてナットで矯正することができ、ナットによるかじりつきや焼付きを防止することができる。
【0010】
また、本発明にかかるボルト及びナットにおいて、前記ナットは、ボルトに嵌めた場合に、ねじ山が2山から4山程度残る長さであることを特徴とするものであってもよい。かかる構成を採用することによって、雄ねじの長さの誤差や、圧着端子の厚さの誤差による出しろの管理も容易となり、雄ねじのかかりしろも確実に確保することができる。
【0011】
さらに、本発明にかかる竪型ストーカ式の焼却炉は、前述したボルト及びナットで200℃以上となる高温ヒーターに取り付けるための圧着端子を取り付けてあることを特徴とする。かかる構成を採用することよって、メンテナンス作業のしやすい工業炉とすることができる。
【0012】
さらに、工業炉のうちでも、竪型ストーカ式の焼却炉は、300℃以上の一次燃焼空気を送入することから、非常に高温になりやすくいため、本発明にボルト及びナットを効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態にかかるボルト10及びナット20の一部断面図である。
図2図1は、実施形態にかかるボルト10及びナット20の変形例を示す一部断面図である。
図3図3は、従来のボルト10及びナット20を示す一部断面図である。
図4図4は、従来のボルト10及びナット20の不具合状態を示す一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明にかかるボルト10とナット20の実施形態について、図を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態及び図面は、本発明の実施形態の一部を例示するものであり、これらの構成に限定する目的に使用されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。
【0015】
本発明にかかるボルト10及びナット20が図1に示されている。本発明にかかるボルト10及びナット20は、使用されるボルト10及びナット20が、工業炉の輻射熱や伝導熱によって200℃以上になる部位に使用されるものである。例えば、図1に示すように、炉を加熱する高温ヒーターの端子盤30に圧着端子40を用いて電線接続する場合等が挙げられる。200℃以上としたのは、様々な部位で使用されるボルト10とナット20を調査した結果、特にボルト10とナット20の温度が200℃以上となる部位に使用されたものが特にかじりや焼付きが起こしやすいことがわかったからである。
【0016】
こうした200℃以上となる領域で使用されるボルト10とナット20のうち、ボルト10は、従来同様の部位で使用されていたボルトと同様の既知のボルトを使用することができる。
【0017】
ナット20は、図1に示すように、ボルト10に螺合させた際に、出しろがナット20から突出しないような長さを有するものが使用される。すなわち、ボルト10の雄ねじのすべてを雌ねじで覆うことができるナット20を使用する。これにより、ボルト10及びナット20が高温になっても、螺合している部分は、雄ねじと雌ねじが互いに矯正し合うため、いずれも同様の塑性変形を行うことになる。このため、いずれか一方のピッチが異なるように変形することが防止される。そのため、雄ねじと雌ねじのピッチが異なることがないため、ナット20を外す際にナット20のかじりや焼付きを防止することができる。ナット20は、ボルト10の雄ねじをすべて覆うことが可能な長さであれば、その長さは限定するものではない。図1に示すように、出しろと同様の長さのナットであってもよいが、好ましくは、図2に示すように、雌ねじ山20aが1山から3山程度残るような長さにするとよい。かかる構成を採用することによって、ボルト10の雄ねじの長さの誤差や、圧着端子40の厚さの誤差等による出しろの管理も容易となり、雄ねじのかかりしろも確実に確保することができるからである。雌ねじのねじ山のピッチは塑性変形してもナット20を外す際に、影響を与えることがないので、雌ねじ側は複数の山が残るように形成しても問題はない。
【0018】
こうしたボルト10及びナット20の組み合わせは、前述したように工業炉において200℃以上となる領域で使用すると効果的である。特に、竪型ストーカ式の焼却炉の高温ヒーターに取り付ける圧着端子40の固定に使用されるボルト10及びナット20に使用するとよい。かかる部位は、高温の一次燃焼空気を送入することから、非常に高温になりやすく電線をハンダ等で接続するとハンダが劣化又は溶解するために使用することができず。ボルト及びナットで固定するしか方法がないからである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
上述した実施の形態で示すように工業炉において、200℃以上となる領域で使用されるボルト及びナットして、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0020】
10…ボルト
20…ナット
20a…雌ねじ山
30…端子盤
40…圧着端子



図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-07-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトを、工業炉の輻射熱や伝導熱によって200℃以上になる部位に、被締結部材を挟み込んでナットを用いて締め付けた場合に、前記部位から突出する前記ボルトの雄ねじのねじをすべて覆うことが可能であり、かつ前記ナットのねじ山が1山から3山程度残る長さの前記ナットで締め付けてあることを特徴とする締結構造。
【請求項2】
請求項1に記載の締結構造を使用して、200℃以上となる高温ヒーターの端子盤に圧着端子を取り付けてあることを特徴とする工業炉。
【請求項3】
請求項1に記載の締結構造を使用して、200℃以上となる高温ヒーターの端子盤に圧着端子を取り付けてあることを特徴とする竪型ストーカ式の焼却炉。