(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024073999
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】面状温度調整装置
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20240523BHJP
E04H 9/16 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
E01H5/10 A
E04H9/16 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185031
(22)【出願日】2022-11-18
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】598019738
【氏名又は名称】鎌田 文彦
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 文彦
【テーマコード(参考)】
2D026
2E139
【Fターム(参考)】
2D026CL01
2D026CL03
2D026CM03
2E139AA03
2E139AB03
2E139AB11
2E139AC04
2E139AD04
2E139DA04
2E139DB01
2E139DB09
2E139DC08
(57)【要約】
【課題】大掛かりな設置工事が不要で、任意の場所に容易に設置可能な面状温度調整装置を提供する。
【解決手段】ロードヒーター2は、X方向に沿った第一端縁13Aを有する第一本体部13と、X方向に沿った第二端縁17Aを有する第二本体部17と、第一本体部13と第二本体部17とを連結し、かつ、X方向に沿った回動軸を中心に第一本体部13に対して第二本体部17を回動可能にするヒンジ部20と、第一本体部13の平面に沿って蛇行して設けられて、流体が導入される第一入口141、及び流体が排出される第一出口142を有する第一パイプ14と、第二本体部17の平面に沿って蛇行して設けられて、第一出口142から流出した流体が導入される第二入口181、及び流体が排出される第二出口182を有する第二パイプ18と、第一出口142及び第二入口181を連結する可撓性の連結パイプ21と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状に形成され、第一方向に沿った直線状の第一端縁を有する第一本体部と、
平面状に形成され、前記第一方向に沿った直線状の第二端縁を有する第二本体部と、
前記第一本体部の前記第一端縁の側と、前記第二本体部の前記第二端縁の側とを連結し、かつ、前記第一方向に沿った回動軸を中心に前記第一本体部に対して前記第二本体部を回動可能にするヒンジ部と、
前記第一本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、流体が導入される第一入口、及び前記流体が排出される第一出口を有する第一パイプと、
前記第二本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、前記第一出口から流出した前記流体が導入される第二入口、及び前記流体が排出される第二出口を有する第二パイプと、
前記第一出口及び前記第二入口を連結する可撓性の連結パイプと、を備え、
前記第一入口から温度調節用の前記流体を導入し、前記第一パイプ、前記連結パイプ、前記第二パイプを介して前記第二出口から排出させることで、前記第一本体部及び前記第二本体部の周囲の温度を調整する、面状温度調整装置。
【請求項2】
前記第一本体部、及び前記第二本体部は、平面視において略矩形状に形成され、矩形角部が面取りされている、請求項1に記載の面状温度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状の設置場所に広げて設置可能な面状温度調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路等に積雪した雪や氷を溶解させるために、道路等に平面状の面状温度調整装置(ロードヒーター)を設置することがある(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の面状温度調整装置(融雪装置)は、融雪パネル部の表面に蛇行する溝部が設けられ、当該溝部に循環パイプを配設する。また、融雪パネル部の表面には、放熱板材を介して、ブロックまたはアスファルトまたはゴムチップからなる肉厚のマット部材を配置する。このような融雪装置では、ボイラーで熱せられた温水を循環パイプに流すことでマット部材上の雪を融解させる。
このような温水を用いるヒーターでは、例えば電熱線を路面に設置して路面上の雪や氷を融解させる場合に比べて、電力消費量を抑えることができ、省エネルギー化を促進できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の積雪装置のような従来の面状温度調整装置では、ブロックやアスファルト、ゴムチップなどのマット部材の下側に配置、つまり、地面に埋設される。
このため、面状温度調整装置の設置には大掛かりな工事が必要となり、設置に係るコストも高くなる。また、別の路面の雪や氷を溶かしたい場合には、当該別の路面に再び面状温度調整装置の設置工事を行う必要も生じる。
【0005】
本発明の目的は、大掛かりな設置工事が不要で、任意の場所に容易に設置可能な面状温度調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係る面状温度調整装置は、平面状に形成され、第一方向に沿った直線状の第一端縁を有する第一本体部と、平面状に形成され、前記第一方向に沿った直線状の第二端縁を有する第二本体部と、前記第一本体部の前記第一端縁の側と、前記第二本体部の前記第二端縁の側とを連結し、かつ、前記第一方向に沿った回動軸を中心に前記第一本体部に対して前記第二本体部を回動可能にするヒンジ部と、前記第一本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、流体が導入される第一入口、及び前記流体が排出される第一出口を有する第一パイプと、前記第二本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、前記第一出口から流出した前記流体が導入される第二入口、及び前記流体が排出される第二出口を有する第二パイプと、前記第一出口及び前記第二入口を連結する可撓性の連結パイプと、を備え、前記第一入口から温度調節用の前記流体を導入し、前記第一パイプ、前記連結パイプ、前記第二パイプを介して前記第二出口から排出させることで、前記第一本体部及び前記第二本体部の周囲の温度を調整する。
【0007】
第一態様の面状温度調整装置において、前記第一本体部、及び前記第二本体部は、平面視において略矩形状に形成され、矩形角部が面取りされていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る温度調節システムの概略構成を示す模式図。
【
図3】本実施形態のロードヒーターのヒンジ部の近傍の構成を示す概略斜視図であり、(A)は、ロードヒーターを展開させた状態、(B)は折り畳んだ状態を示す図。
【
図4】本実施形態の温度制御ユニットの概略構成を示す断面図。
【
図5】変形例1に係るロードヒーターのヒンジ部近傍の概略構成を示す図。
【
図6】変形例2に係るロードヒーターにおけるパイプの配設例を示す図。
【
図7】変形例5に係るロードヒーターにおけるパイプの配設例を示す図。
【
図8】
図7において、第一主パイプと第一副パイプの交差部分の斜視図。
【
図9】変形例6に係るロードヒーターにおけるパイプの配設例を示す図。
【
図10】変形例7に係るロードヒーターにおけるパイプの配設例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係る温度調節システムの構成について説明する。本発明の温度調節システム1は、省エネルギー化を図りながら、本発明の面状温度調整装置であるロードヒーターを使用して空間の温度を調節するシステムである。温度調節システム1の熱媒体は流体であり、例えば水や不凍液である。
【0010】
[温度調節システムの全体構成]
図1は、本実施形態の温度調節システム1の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の温度調節システム1は、加熱された第一液体(本開示の流体)の熱により周囲の温度を調節するロードヒーター2と、ロードヒーター2に供給する液体の温度を一定温度に制御する温度制御ユニット3と、温度制御ユニット3及びロードヒーター2の間で液体を循環させる液体循環装置4と、温度調節システム1をコントロールするコントローラ5と、を備えている。
【0011】
[ロードヒーター2の構成]
まず、本実施形態の面状温度調整装置であるロードヒーター2について説明する。
図2は、ロードヒーター2の概略構成を示す模式図であり、ロードヒーター2を展開させた状態を示している。
図3は、ロードヒーター2のヒンジ部20の近傍の構成を示す概略斜視図であり、(A)は、ロードヒーター2を展開させた状態、(B)は折り畳んだ状態を示している。
ここで述べる面状温度調整装置は、温度制御ユニット3により温度が制御された第一液体を利用して対象物の温度を制御する装置である。本実施形態では、面状温度調整装置として、道路などの地面に設置可能な面状のロードヒーター2を例示するが、これに限定されるものではない。例えば、室内の床上に設置する室内用の冷暖房装置として利用してもよく、家屋の屋根に設置して屋根への積雪を抑制する防雪装置等として利用してもよく、面状温度調整装置上に砂を敷き詰めることで砂風呂として利用することもできる。
【0012】
本実施形態のロードヒーター2は、温度制御ユニット3により温度が制御されて加熱された温かい不凍液などの液体を利用して路上の雪を溶かす。また、本実施形態のロードヒーター2は、持ち運び時に折り畳み可能な折り畳み式であり、利用者が任意の設置位置に容易にロードヒーター2を持ち運んで設置することができる。
【0013】
具体的には、
図2に示すように、ロードヒーター2は、互いに重ねることができる第一ロードヒーター片11および第二ロードヒーター片12を有している。なお、
図2に示すように、ロードヒーター2の展開時において、第一ロードヒーター片11と第二ロードヒーター片12の並び方向をY方向とし、Y方向に直交する方向をX方向とし、Y方向及びX方向に直交する方向をZ方向とする。
第一ロードヒーター片11は、平面状の第一本体部13と、第一本体部13の内部を蛇行する第一パイプ14と、を有している。
第一本体部13は、熱伝導率が高く、かつ軽量な素材で形成されることが好ましく、例えば炭化ケイ素、窒化アルミやアルミナの他、銅板等を用いることができる。上記のような熱伝導率の高い素材により第一本体部13を形成することで、第一パイプ14からの熱を良好に周囲に伝達させることができる。なお、本実施形態では、熱伝導率の高い素材により形成することが好ましが、例えば、可搬性を重視するべくより軽量なプラスチック素材により第一本体部13を形成してもよく、コストを重視するべく木製の板材により第一本体部13が形成されてもよい。
【0014】
本実施形態の第一本体部13は、
図3に示すように、路上に対向する下面131、下面131に対向する上面132が平面状(XY平面)となる略直方体の箱状に形成される。つまり、平面視で、下面131及び上面132が略矩形状となる。また、下面131及び上面132を連結する側面133は、曲面であってもよい。さらに、第一本体部13の±Y側端部には側面133が設けられていなくてもよく、例えば、
図3に示す例では、第一本体部13の-Y側端部において、側面133を構成する板材が設けられていない。
【0015】
第一本体部13の具体的な寸法は特に限定されないが、持ち運びに適した大きさとすることが好ましく、例えば、下面131及び上面132の一辺の長さ(X方向及びY方向の長さ)を500mm以上2200mm以下とすることが好ましい。なお、下面131から上面132までの高さ(Z方向の長さ)は、第一パイプ14が内部に配置可能な高さであれば十分であり、100~200mm程度とすることができる。
【0016】
また、第一本体部13の-Y側の端縁(第一端縁13A)には、ヒンジ部20が設けられており、このヒンジ部20を介して、第一本体部13に、第二ロードヒーター片12の第二本体部17が接続される。
ヒンジ部20についての説明は後述する。
【0017】
さらに、第一本体部13の角部には、面取り部15が設けられている。つまり、下面131(上面132)の法線方向から見た平面視で、矩形の隣り合う辺の間の角部が面取りされて、面取り部15が形成される。本実施形態では、面取り部15は、隣り合う側面133に対して傾斜する平面となるが、曲面状(丸面取り)に形成されていてもよい。
なお、
図2に示す例では、第一本体部13の+Y側端部に面取り部15が設けられる例を示しているが、さらに、第一本体部13の-Y側端部、つまり、第一端縁13Aの両端にも面取り部15を設ける構成としてもよい。
【0018】
第一パイプ14は、温度制御ユニット3により温度が制御された第一液体が流通する管部材である。第一パイプ14としては、例えば加工性が良好であり、軽量、かつ耐摩耗性、耐薬品性、耐冷性に優れた架橋ポリエチレン管を用いることができるが、その他の素材を用いてもよく、例えば、熱伝導率が高く、比較的軽量なアルミ管等を用いてもよい。
第一パイプ14の太さは、特に限定されず、第一本体部13の内部に収納可能であればよい。
第一パイプ14は、
図2に示すように、XY平面内で第一本体部13の内部を蛇行しているが、隣り合う第一パイプ14同士の間隔G1は、150mm以上300mm以下とすることが好ましい。間隔G1は、第一パイプ14の太さなどに応じて、最も効率がよくなるように適宜調整することができる。
【0019】
本実施形態では、第一本体部13の+Y側の側面から、第一パイプ14の一端が露出し第一入口141を構成する。第一入口141には、後述する液体送り配管41が接続され、温度制御ユニット3から送られる第一液体が導入される。
また、第一本体部13の-Y側、つまり、第一端縁13Aには、第一パイプの他端が露出し、第一出口142を構成する。この第一出口142には、連結パイプ21が接続される。第一出口142は、連結パイプ21を介して第二パイプ18の第二入口181に接続され、第一パイプ14を流れた第一液体は、第二パイプ18に導入される。
なお、第一本体部13の±Y側に側面133がある場合は、当該側面133に第一入口141や第一出口142を挿通する孔部を設け、当該孔部に第一入口141や第一出口142を挿通して外部に露出させればよい。
【0020】
本実施形態では、第一本体部13の内部には、第一パイプ14のみが蛇行して配置される例を示しているが、第一本体部13の内部において、第一パイプ14が配置されていない場所に、木材チップなどの蓄熱材を充填してもよい。また、第一パイプ14と第一本体部13の上面132(または下面131)との間に、第一パイプ14からの熱を第一本体部13に効率よく伝達させる伝熱シートを介在させてもよい。
【0021】
第二ロードヒーター片12は、第一ロードヒーター片11と同様の構造を有する。すなわち、第二ロードヒーター片12は、第二本体部17と、第二本体部17の内部を蛇行する第二パイプ18と、を有する。
第二本体部17は、第一本体部13と同様の素材により、略同形状に形成することができ、下面171、上面172、及び側面173を有する平面視矩形状の直方体に形成されている。第二本体部17の+Y側端縁(第二端縁17A)は、ヒンジ部20を介して第一ロードヒーター片11の第一本体部13に接続される。
また、第一本体部13と同様、第二本体部17には、面取り部19が設けられる。なお、
図2には、第二本体部17の-Y側に面取り部19が設けられるが、+Y側、つまり第二端縁17Aの両端にさらに面取り部19が設けられてもよい。
【0022】
第二パイプ18は、第一パイプ14と同様の素材により、略同形状に形成することができる。
本実施形態では、第二本体部17の+Y側の側面133、つまり、第二端縁17Aには、第二パイプ18の一端が露出し第二入口181を構成する。第二入口181には、上述したように連結パイプ21が接続され、連結パイプ21を介して第一パイプに接続される。
また、第二本体部17の-Y側の側面133には、第二パイプ18の他端が露出し、第二出口182を構成する。この第二出口182には、後述する液体戻し配管42が接続され、第一パイプ14及び第二パイプ18を流れた第一液体を温度制御ユニット3に送る。
【0023】
本実施形態では、第二本体部17の内部には、第二パイプ18のみが蛇行して配置される例を示しているが、第二本体部17の内部において、第二パイプ18が配置されていない場所に、木材チップなどの蓄熱材を充填してもよい。また、第二パイプ18と第二本体部17の上面172(または下面171)との間に、第二パイプ18からの熱を第二本体部17に効率よく伝達させる伝熱シートを介在させてもよい。
【0024】
ヒンジ部20は、第一本体部13に対して第二本体部17を回動自在に接続する。
ヒンジ部20の構成としては、第一本体部13に対して第二本体部17が回動可能となる構成であれば特に限定はされない。例えば
図2、及び
図3に示す例では、第一本体部13の±X側の側面133と、第二本体部17の±X側の側面173との間に、コ字形状のフック22を接続する。
フック22は、連結部221と第一係合部222と第二係合部223とを有する。なお、
図3においては、-X側のフック22のみを図示するが、+X側に配置されるフック22も同様の構成である。
連結部221は、ロードヒーター2の展開時にY方向に沿って配置される。
第一係合部222は、連結部221の一端(第一本体部13側)に設けられ、連結部221からX方向(
図2の左側のフック22では+X側、右側のフック22では-X側)に側面133に向かって延出する。また、第一係合部222は、第一本体部13の側面133(
図2の左側のフック22では-X側の側面133、右側のフック22では+X側の側面133)に対して、X方向に平行な回転軸を中心に回動自在に連結される。
第二係合部223は、連結部221の他端(第二本体部17側)に設けられ、連結部221からX方向(
図2の左側のフック22では+X側、右側のフック22では-X側)に側面173に向かって延出する。また、第二係合部223は、第二本体部17の側面173(
図2の左側のフック22では-X側の側面173、右側のフック22では+X側の側面173)に対して、X方向に平行な回転軸を中心に回動自在に連結される。
【0025】
これにより、ヒンジ部20は、X方向に沿った回転軸を中心に、第一本体部13に対して第二本体部17を回動可能に連結する。よって、
図3(A)に示すような展開状態から、容易に、
図3(B)に示すような折り畳み状態とすることができ、第一本体部13の上面132と、第二本体部17の上面172を重ね合わせて(または、第一本体部13の下面131に第二本体部17の下面171を重ね合わせて)、ロードヒーター2を折り畳むことができる。
【0026】
また、本実施形態において、第一パイプ14の第一出口142と、第二パイプ18の第二入口181とを接続する連結パイプ21は、可撓性を有する。
例えば、連結パイプ21として、可撓性を有し、伸縮が可能なゴム管を用いてもよい。または、連結パイプ21として、周面が蛇腹形状となった蛇腹管を用いてもよい。これにより、ロードヒーター2を折り畳む際に、連結パイプ21が引っ張られた場合でも、連結パイプ21が破損することがない。
【0027】
上記のように、本実施形態のロードヒーター2は折り畳み式であるため、アスファルトの通路、タイル仕上げの通路など、所望の通路に持ち運んで設置することができる。
また、本実施形態のロードヒーター2の第一本体部13及び第二本体部17には、面取り部15,19が設けられているため、角部に人が躓くことがない。
【0028】
本実施形態では、一例として、ロードヒーター2が、第一ロードヒーター片11と第二ロードヒーター片12とを有する2分割構成である例を示したが、これに限定されない。例えば、第二ロードヒーター片12の第一ロードヒーター片11とは反対側に、第三ロードヒーター片を、ヒンジ部を介して接続する構成などとし、3つ以上のロードヒーター片を備える構成としてもよい。
【0029】
[温度制御ユニット3の構成]
次に、ロードヒーター2で使用される液体を一定の温度範囲に維持するための温度制御ユニット3について説明する。
この温度制御ユニット3は、例えば地表から所定の深さ位置(例えば2~3mの位置)に埋設して設けられている。例えば、
図1に示すように、温度調節システム1は、温度制御ユニット3を設置するための設置室61を備える。この設置室61は、例えば、コンクリート等により形成でき、少なくとも一部が地中に埋設される。
設置室61の底部には、温度制御ユニット3が設けられ、当該温度制御ユニット3は、設置室61の底部よりも深く地中に埋設されている。
また、設置室61の側方には、ロードヒーター2と温度制御ユニット3との間で液体を循環させる液体循環装置4が設けられている。
図1に示す例では、液体循環装置4が設置室61の側方に設けられる例を示すが、これに限定されない。例えば、設置室61の外部に設けられていてもよく、温度制御ユニット3に一体的に設けられていてもよい。
【0030】
図4は、温度制御ユニット3の概略構成を示す断面図である。
温度制御ユニット3は、
図4に示すように、タンク31と、タンク31内に収納される内部室32と、内部室32内に配置される加熱装置33と、を備えている。また、上述したように、温度制御ユニット3に、液体循環装置4を一体的に設ける構成としてもよい。
【0031】
タンク31は、中空箱状に形成されて内部が密閉空間となり、上述したように、設置室61の底部から地中内に埋設させることで、例えば地表から2~3m以内の深さで地中に配置される。
具体的には、本実施形態のタンク31は、中心軸が鉛直方向に沿う有底筒状に形成されており、鉛直上端部が開放されるタンク本体311を備える。本実施形態では、タンク本体311は、内径が例えば300mmに形成される。タンク本体311は、例えばコンクリートまたは樹脂等により形成することができる。
タンク本体311の鉛直上端部には、タンク蓋部312が設けられており、当該タンク蓋部312はタンク本体311に接続されている。このタンク蓋部312には、タンク31の中心軸を中心とした開口313が設けられ、当該開口313には、後述する内部室32が挿通されている。
【0032】
また、タンク31の内部には、第二液体314が導入されて満たされている。この第二液体314は、水や不凍液などを用いることができ、タンク31の内壁と、内部室32の外壁との間に充填されている。この第二液体314は、使用時に外部に流出されるものではなく、常時、タンク31内に充填される。なお、タンク蓋部312に、第二液体314を導入または導出するための第二液体導入口が別途設けられてもよく、この場合、第二液体314を交換することも可能である。
【0033】
さらに、タンク31の外周には、例えば発泡材等の断熱材により構成された保温部315が配置されている。保温部315は、タンク本体311の円筒外周面に沿って地中との間に設けられていてもよく、さらに、タンク本体311の底部と地中との間に設けられていてもよい。保温部315の厚みとしては特に限定されないが、保温効果を向上させるために、6cm以上の厚みとすることが好ましい。
【0034】
内部室32は、中空箱状に形成されて内部が密閉空間となり、タンク31の内部に収納される。具体的には、内部室32は、タンク蓋部312の開口313からタンク本体311の内部に挿通される鋼管321と、鋼管321の上端に接続される第二蓋部322と、第二蓋部322の上部に設けられるコネクタ部323と、を備える。
ここで、本実施形態では、第二蓋部322が、タンク蓋部312に接合されることで、タンク蓋部312の開口313が閉塞され、タンク31の内部が密閉される。タンク蓋部312への第二蓋部322の接合方法としては特に限定されず、例えば、ねじ等の締結部材により第二蓋部322をタンク蓋部312に固定する構成等が例示できる。また、タンク蓋部312と第二蓋部322との間には、適宜パッキン等の封止部材を配置してもよい。
【0035】
鋼管321は、例えば、有底筒状に形成され、上端部が第二蓋部322によって閉塞されることで、内部が密閉される。例えば、鋼管321の水平方向の幅寸法は、タンク本体311の水平方向の幅寸法よりも小さく、上述のように、開口313からタンク31の内部に挿通可能な寸法となる。例えば、本実施形態では、タンク本体311及び鋼管321は、有底円筒状に形成されており、タンク本体311の筒内周径が300.0mmであり、鋼管321の筒外周径が約114.3mmである。また、タンク31内に鋼管321が挿通された状態で、鋼管321の外周面の底部と、タンク本体311の内周面の底部との間には、所定寸法の隙間が設けられている。
上述のようにタンク31の内部には、第二液体314が満たされている。つまり、鋼管321は、タンク31内で第二液体314に浸漬される構成となる。
【0036】
また、鋼管321の内部には、加熱装置33が設けられている。加熱装置33の構成としては特に限定されないが、例えば、第二蓋部322の下面から鋼管321の内部に挿通され、鋼管321の円筒中心軸に沿って長手となるシーズヒーター等を例示できる。
具体的には、第二蓋部322には、加熱装置33を装着可能な装着孔が第二蓋部322を貫通するように設けられており、当該装着孔にシーズヒーター等の加熱装置33が螺合等されて固定される。また、加熱装置33のヒーター端子331は、コネクタ部323から露出しており、当該ヒーター端子331はコントローラ5に接続される。これにより、コントローラ5から供給される電力によって、加熱装置33が駆動される。
【0037】
また、コネクタ部323には、液体導入部323A、及び液体導出部323Bが設けられている。これらの液体導入部323A及び液体導出部323Bは、それぞれ、コネクタ部323から鋼管321内部に接続されており、鋼管321の内部において、加熱装置33の外周面に沿って螺旋状に配置される螺旋状のパイプである液体螺旋加熱部332に接続されている。つまり、鋼管321内に配置される液体螺旋加熱部332の一端は、液体導入部323Aに接続され、他端は液体導出部323Bに接続される。
また、液体導入部323A及び液体導出部323Bは、それぞれコネクタ部323から液体循環装置4に接続されている。
このような構成では、ロードヒーター2を流通することで、冷やされた第一液体は、液体循環装置4によって、液体導入部323Aに送られる。液体導入部323Aに送られた第一液体は、液体螺旋加熱部332を通って、液体導出部323Bに向かって流されるが、この際、加熱装置33が駆動されることで、加熱される。そして、加熱された第一液体は、液体導出部323Bから液体循環装置4を介してロードヒーター2に再度送られる。
【0038】
また、図示は省略するが、温度制御ユニット3に温度センサーが設けられていてもよい。例えば、コネクタ部323において、液体導入部323Aに温度センサーが設けられ、液体導入部323Aから内部室32の内部に流れる第一液体の温度を測定してもよい。または、コネクタ部323において、液体導出部323Bに温度センサーが設けられて、内部室32から送り出される第一液体の温度を測定してもよい。或いは、液体導入部323A及び液体導出部323Bの双方に温度センサーが設けられる構成などとしてもよい。
【0039】
[液体循環装置4の構成]
液体循環装置4は、上述したように、ロードヒーター2と、温度制御ユニット3を接続して、第一液体を循環させるポンプである。
つまり、液体循環装置4は、温度制御ユニット3から送られる第一液体をロードヒーター2へ送る液体送り配管41と、ロードヒーター2で利用された第一液体を温度制御ユニット3に戻す液体戻し配管42と、を有している。第一パイプ14の第一入口141と接続される液体送り配管41は、コネクタ部323の液体導出部323Bに接続され、第二パイプ18の第二出口182と接続される液体戻し配管42は、コネクタ部323の液体導入部323Aに接続されている。
【0040】
[コントローラ5の構成]
コントローラ5は、利用者の指示を受け付けて、温度調節システム1のモードを、暖房モードと冷房モードとの間で切り替えたり、ロードヒーター2に送る第一液体の温度を監視したりする装置である。コントローラ5は、例えば、温度センサーの測定値に基づいて制御を行う。
これにより、温度制御ユニット3で暖められた第一液体がロードヒーター2に導入され、ロードヒーター2により路上の温度を上昇させることができる。
【0041】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の面状温度調整装置であるロードヒーター2は、第一本体部13及び第一パイプ14により構成される第一ロードヒーター片11と、第二本体部17及び第二パイプ18により構成される第二ロードヒーター片12と、ヒンジ部20と、連結パイプ21とを備える。
第一本体部13は、少なくとも上面132が平面状に形成され、X方向に沿った直線状の第一端縁13Aを有する。
第二本体部17も同様に、少なくとも上面172が平面状に形成され、X方向に沿った直線状の第二端縁17Aを有する。
ヒンジ部20は、第一端縁13A及び第二端縁17Aの間に設けられ、かつ、X方向に沿った回動軸を中心に第一本体部13に対して第二本体部17を回動可能に連結する。
第一パイプ14は、第一本体部13の平面に沿って蛇行して設けられて、第一液体が導入される第一入口141、及び第一液体が排出される第一出口142を有する。
第二パイプ18は、第二本体部17の平面に沿って蛇行して設けられて、第一液体が導入される第二入口181、及び第一液体が排出される第二出口182を有する。
そして連結パイプ21は、第一パイプ14の第一出口142と、第二パイプ18の第二入口181を連結する。
そして、このロードヒーター2は、第一入口141から温度調節用の第一流体を導入し、第一パイプ14、連結パイプ21、第二パイプ18を介して第二出口182から排出させることで、第一本体部13及び第二本体部17の周囲の温度を調整する。
【0042】
このようなロードヒーター2では、路上等に載置することでロードヒーター2の第一本体部13や第二本体部17の周囲(例えば上面132,172)の温度を調整することができ、従来のロードヒーターのように地中に埋め込む必要がない。このため、工事などが不要であり、設置に係るコストを大きく削減できる。また、ヒンジ部20を介して第一本体部13と第二本体部17とが重なり合うように折り畳むことができる。したがって、折り畳むことでロードヒーター2のサイズを小さくでき、可搬性を向上させることができ、ユーザーが任意の場所にロードヒーター2を持ち運んで設置することができる。
【0043】
本実施形態のロードヒーター2では、第一本体部13、及び第二本体部17は、平面視において略矩形状に形成され、矩形角部が面取りされた面取り部15,19を備えている。
これにより、路上にロードヒーター2を設置した場合に、角部によって通行人が躓く等の不都合を抑制することができる。
【0044】
〔変形例〕
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良、および各実施形態を適宜組み合わせる等によって得られる構成は本発明に含まれるものである。
[変形例1]
例えば、上記実施形態のロードヒーター2では、ヒンジ部20として、フック22を例示したがこれに限定されず、上述したように、様々な形態を採用することができる。
図5は、変形例1に係るロードヒーター2Aのヒンジ部近傍の概略構成を示す図である。
例えば、
図5に示すように、ヒンジ部としては、第一本体部13の側面133から外方に突出する第一ピン231と、第二本体部17の側面173から外方に突出する第二ピン232と、第一ピン231及び第二ピン232を係合する溝部234を有するピンロック部233とを備える構成が例示できる。
本例では、ピンロック部233の溝部234は、第一ピン231を係合してロックする第一ロック溝234A、第二ピン232を係合してロックする第二ロック溝234B、第一ロック溝234Aと連通して直線状となる第一ピン移動部234C、及び第二ロック溝234Bと連通して直線状となる第二ピン移動部234Dとを備える。ロードヒーター2Aの展開時において、第一ピン移動部234C及び第二ピン移動部234Dの直線方向が、Y方向(第一本体部13と第二本体部17の並び方向)に沿うように配置される。
【0045】
また、上記実施形態では、フック22の回動時に第一本体部13と第二本体部17との干渉を防ぐために、第一端縁13Aと第二端縁17Aとの間に所定の隙間(マージン)を開けている。これに対して、変形例1の場合、
図5(A)に示すような展開状態のロードヒーター2Aにおいて、第一本体部13の下面131と、第二本体部17の下面171とが連続面となるように、第一端縁13A及び第二端縁17Aを当接させることができる。
また、ロードヒーター2Aの展開時では、第一ピン231は、第一ロック溝234Aに係合されてロックされ、第二ピン232は、第二ロック溝234Bに係合されてロックされる。これにより、第一本体部13及び第二本体部17の相対距離が維持される。
【0046】
ロードヒーター2Aを折り畳む場合、ピンロック部233を、例えば-Z側に移動させて、第一ピン231及び第二ピン232のロックを解除する。これにより、
図5(B)に示すように、第一ピン231が第一ピン移動部234Cの範囲で移動可能となり、第二ピン232が第二ピン移動部234Dの範囲で移動可能となる。第二本体部17を第一本体部13から離す方向に移動させることで、第一本体部13と第二本体部17とが干渉することなく、第一本体部13を、第一ピン231を中心に回動させることができ、第二本体部17を、第二ピン232を中心に回動させることができる。
これにより、
図5(C)に示すように、第二本体部17を第一本体部13に重ねるように折り畳むことができる。
【0047】
その他、ヒンジ部としては、第一本体部13の上面132と、第二本体部の上面172とに亘って設けられる蝶番等であってもよい。
【0048】
[変形例2]
上記実施形態では、ロードヒーター2を展開させた状態で、第一本体部13の+Y側端部に第一液体を導入する第一パイプ14の第一入口141を設け、第二本体部17の-Y側端部に第二パイプ18の第二出口182を設ける構成とした。
これに対して、例えば、第一パイプ14の第一入口141と、第二パイプ18の第二出口182をより近接させて配置する構成としてもよい。
図6は、変形例2に係るロードヒーター2Bにおけるパイプの配設例である。
例えば、
図6に示すように、第一本体部13の+X側の側面133の-Y側端部(第一端縁13Aに近接する位置)に、第一パイプ14の第一入口141を設け、第二本体部17の+X側の側面173の+Y側端部(第二端縁17Aに近接する位置)に、第二パイプ18の第二出口182を設ける構成としてもよい。
或いは、第一本体部13の第一端縁13Aに、第一パイプ14の第一入口141及び第一出口142が配置され、第二本体部17の第二端縁17Aに第二パイプ18の第二入口181及び第二出口182が配置されるように構成してもよい。
このような場合、ロードヒーター2Bに対する液体送り配管41及び液体戻し配管42の接続位置が近くなり、液体循環装置4とロードヒーター2Bとの接続作業をより容易に行える。
【0049】
[変形例3]
上記実施形態では、第一本体部13及び第二本体部17が、下面131,171及び上面132,172を備える構成としたが、例えば下面131,171が設けられず、路上に第一パイプ14や第二パイプ18が直接載置される構成などとしてもよい。
【0050】
[変形例4]
上記実施形態では、第一本体部13及び第二本体部17において、下面131,171と上面132,172とが、側面133,173に連結される構成を例示したが、これに限定されない。例えば、蛇行配置される第一パイプ14や第二パイプ18の隙間にスペーサを設け、スペーサによって下面131,171と上面132,172とが連結されてもよく、第一パイプ14や第二パイプ18により下面131,171と上面132,172とが連結されてもよい。これらの場合、板材により構成される側面133、173が設けられていなくてもよい。
【0051】
[変形例5]
上記実施形態では、第一入口141から第一出口142までを1本の蛇行する第一パイプ14により接続する例を示した。これに対して、第一入口141から第一出口142までの複数の管により接続する構成としてもよい。
図7は、変形例5に係るロードヒーター2C(面状温度調整装置)のパイプの配設例を示す図である。
図7に示す例では、第一パイプ14は、第一入口141の近傍で2分岐し、第一主パイプ14Aと、第一副パイプ14Bとに分かれて第一液体が流通する。これらの第一主パイプ14A及び第一副パイプ14Bは、第一実施形態と同様、加工性が良好であり、軽量、かつ耐摩耗性、耐薬品性、耐冷性に優れた架橋ポリエチレン管等を用いることができる。
【0052】
ここで、第一主パイプ14Aは、第一実施形態の第一パイプ14と同様、第一本体部13の内部をXY平面内で蛇行するように配置されている。また、第一副パイプ14Bも同様に、第一本体部13の内部をXY平面内で蛇行するように配置されるが、第一副パイプ14Bは、蛇行によって隣り合って配置される第一主パイプの間(隙間G1)に沿って配置される。つまり、本例では、第一主パイプ14Aの隙間を埋めるように、第一副パイプ14Bが配置される。
【0053】
図8は、第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとが交差する位置の概略斜視図である。
第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとが交差する位置では、第一主パイプ14A及び第一副パイプ14Bのいずれか一方が他方の下方に潜り込むように湾曲することで互いの干渉が抑制される。例えば、
図8の例では、第一副パイプ14Bが第一主パイプ14Aの下方に潜り込むように迂回して配置される。これにより、第一主パイプ14A及び第一副パイプ14Bの双方を第一本体部13の上面132側に近接して配置することができる。
【0054】
第一副パイプ14Bは、第一本体部13の-Y側において、第一主パイプ14Aに接続されて、2分岐されて流通していた第一液体が合流し、第一出口142から第二入口181に第一液体が導入される。
【0055】
また、第二パイプ18に関しても第一パイプ14と同様であり、第二主パイプ18Aと第二副パイプ18Bとに分岐し、蛇行する第二主パイプ18Aの間に第二副パイプ18Bが配置される。
このような構成により、面状温度調整装置における熱量の伝搬効率が向上し、第一本体部13及び第二本体部17の周囲の温度をより効率よく上昇させることができる。
【0056】
なお、
図7に示すロードヒーター2Cの例は、第一パイプ14及び第二パイプ18を2分岐させる例であるが、さらに3以上の導入管に分岐させる構成としてもよい。また、
図7の例では、第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとが合流して第一出口142に接続されるが、これに限定されない。
例えば、第一主パイプ14A及び第一副パイプ14Bは、第一本体部13内で合流せず、第一主パイプ14Aが主連結パイプを介して第二主パイプ18Aに接続され、第一副パイプ14Bが副連結パイプを介して第二副パイプ18Bに接続される構成としてもよい。これらの主連結パイプ、副連結パイプは、上記実施形態の連結パイプ21と同様の構成を用いることができる。
また、
図7では、第一パイプ14は、第一入口141の後の第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとに分岐される例を示したが、第一入口141において第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとに分岐される構成としてもよい。
同様に、
図7では、第二主パイプ18Aと第二副パイプ18Bとが合流した後第二出口182に接続される例を図示しているが、第二主パイプ18A及び第二副パイプ18Bがそれぞれ第二出口182に接続され、当該第二出口182で第二主パイプ18A及び第二副パイプ18Bを流れた第一液体が合流するように構成されてもよい。
【0057】
[変形例6]
上記変形例5では、隣り合う第一主パイプ14Aの間に第一副パイプ14Bが配置されることで、熱量の伝熱効率を向上させる構成例である。
これに対して、複数に分岐したパイプによって、それぞれ異なる領域を加熱する構成としてもよい。
図9は、変形例6に係るロードヒーター2D(面状温度調整装置)のパイプの配設例を示す図である。なお、
図9では、第一ロードヒーター片11のみ例示するが、第二ロードヒーター片12も同様の構成とすることができる。
本例では、第一本体部13がY方向に沿って複数の領域に区分され、各区分に対して、第一パイプ14から分岐した第一分岐パイプが配置される。例えば、
図9の例では、第一本体部13は、+Y側の第一領域Ar1と、-Y側の第二領域Ar2とに区分される。そして、第一パイプ14から分岐した1つの第一分岐パイプ14C1が第一領域Ar1内を蛇行し、第一パイプ14から分岐したもう1つの第一分岐パイプ14C2が第二領域Ar2内を蛇行して配置される。
これにより、ロードヒーター2Dの温度分布の偏りをなくすことができる。すなわち、第一パイプ14を流れる第一液体は、下流型に向かうほど熱量が放出されて温度が低下する。第一液体の流速(流量)により温度低下を抑制できるが、第一パイプ14や第二パイプ18の長さが長い場合、第一液体の上流側温度と下流側温度との差は大きくなる。これに対して、変形例6の構成とすることで、第一領域Ar1と第二領域Ar2との温度差を小さくすることができる。
なお、第一入口141に近い第一領域Ar1を、第二領域Ar2よりも広い面積としてもよい。つまり、第二領域Ar2は、第一入口141からの距離が長く、第一入口141から第二領域Ar2まで第一液体が流通する間に若干温度が低下する。これを考慮して、第一領域Ar1を第二領域Ar2より広い面積とすることで、これらの領域間における温度差をより小さくすることができる。好ましくは、第一分岐パイプ14C1、14C2の分岐位置から第二領域Ar2までの第一分岐パイプ14C2の長さ、及び第二領域Ar2内に配置される第一分岐パイプ14C2の長さの合計が、第一領域Ar1内に配置される第一分岐パイプ14C1の長さとする。
【0058】
また、
図9の例は、Y方向に沿って複数の領域を区分する例であるが、X方向に沿って複数の領域を区分する構成としてもよい。いずれの場合でも、各領域に配置される第一分岐パイプの長さが短くできるので各領域での温度分布のばらつきを低減でき、かつ、各領域間での温度のばらつきも低減できる。
【0059】
[変形例7]
上記変形例5において、第一副パイプ14Bを第一主パイプ14Aの下流側から上流側に向かって配置する構成としてもよい。
図10は、変形例7に係るロードヒーター2Eの(面状温度調整装置)のパイプの配設例を示す図である。この変形例7では、変形例6と同様に、第一パイプ14が第一主パイプ14Aと第一副パイプ14Bとに分岐する。しかしながら、本例では、第一副パイプ14Bは、第一入口141側の分岐点から-Y側に引き出されたうえで、第一主パイプ14Aの下流側から上流側に向かって、隣り合う第一主パイプ14Aの間に蛇行するように配置される。
このような構成では、第一液体の温度が低い第一主パイプ14Aの下流側の位置に、温度がより高い第一液体が導入される第一副パイプ14Bの上流部分が配置される。同様に、第一副パイプ14Bの下流側が、第一主パイプ14Aの上流部分に配置される。このため、第一ロードヒーター片11の全体で温度分布を均一にすることができる。
なお、第二ロードヒーター片12に配置される第二主パイプ18A、第二副パイプ18Bも同様である。
【0060】
[変形例8]
上記実施形態では、ロードヒーター2を用いた温度調節システム1として、液体循環装置4によって、ロードヒーター2と温度制御ユニット3との間で第一液体が循環する構成を例示した。このような構成とすることで、第一液体を繰り返し利用することができ、かつ、温度制御ユニット3により、第一液体の温度低下を抑制することができるため、省エネルギー化を図ることができる。一方、本発明のロードヒーター2は、このような温度調節システム1以外でも適用することができる。例えば、給湯器から供給された温水をロードヒーター2、2A,2Bに供給し、ロードヒーター2,2A,2Bから排出された温水をそのまま下水管等に排出する構成、つまり、ロードヒーター2,2A,2Bに流す流体が再利用されない構成などとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
2,2A,2B…ロードヒーター(面状温度調整装置)、11…第一ロードヒーター片、12…第二ロードヒーター片、13…第一本体部、13A…第一端縁、14…第一パイプ、15,19…面取り部、17…第二本体部、17A…第二端縁、18…第二パイプ、20…ヒンジ部、21…連結パイプ、22…フック、131,171…下面、132,172…上面、133,173…側面、141…第一入口、142…第一出口、181…第二入口、182…第二出口、221…連結部、222…第一係合部、223…第二係合部、231…第一ピン、232…第二ピン、233…ピンロック部、234…溝部、234A…第一ロック溝、234B…第二ロック溝、234C…第一ピン移動部、234D…第二ピン移動部。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状に形成され、第一方向に沿った直線状の第一端縁を有する第一本体部と、
平面状に形成され、前記第一方向に沿った直線状の第二端縁を有する第二本体部と、
前記第一本体部の前記第一端縁の側と、前記第二本体部の前記第二端縁の側とを連結し、かつ、前記第一方向に沿った回動軸を中心に前記第一本体部に対して前記第二本体部を回動可能にするヒンジ部と、
前記第一本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、流体が導入される第一入口、及び前記流体が排出される第一出口を有する第一パイプと、
前記第二本体部の平面に沿って蛇行して設けられて、前記第一出口から流出した前記流体が導入される第二入口、及び前記流体が排出される第二出口を有する第二パイプと、
前記第一出口及び前記第二入口を連結する可撓性の連結パイプと、を備え、
前記第一本体部、及び前記第二本体部は、平面視において略矩形状に形成され、矩形角部が面取りされ、
前記第一入口から温度調節用の前記流体を導入し、前記第一パイプ、前記連結パイプ、前記第二パイプを介して前記第二出口から排出させることで、前記第一本体部及び前記第二本体部の周囲の温度を調整する、面状温度調整装置。