(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074006
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、医用画像処理方法、およびモデル生成方法。
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A61B6/03 360B
A61B6/03 373
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185040
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正和
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA13
4C093CA18
4C093CA34
4C093EA07
4C093EB12
4C093EB13
4C093FA44
4C093FF03
(57)【要約】
【課題】低線量時においてアーチファクトの低減させた医用画像を生成すること。
【解決手段】実施形態に係る医用画像処理装置は、画像処理部と、出力部とを備える。画像処理部は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する。出力部は、前記第2の画像データに基づく画像データを出力する。前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する画像処理部と、
前記第2の画像データに基づく画像データを出力する出力部と、を有し、
前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される、
医用画像処理装置。
【請求項2】
前記第4の画像データは、前記投影データに対して低カウントシミュレーション処理が適用された後に再構成された、擬似的に生成された低カウントアーチファクトを含む画像データである、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記低カウントシミュレーション処理は、ノイズ付加処理と、前記投影データの負値に対するゼロクリップ処理とを含む、
請求項2に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記機械学習モデルにより、低カウントアーチファクト及びノイズが低減された前記第2の画像データを取得する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記第4の画像データは、前記投影データから再構成された画像データに、予め生成された低カウントアーチファクト画像が付与された画像データである、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記第2の画像データに、少なくともノイズ低減のための訓練された機械学習モデルを適用することにより、ノイズが低減された処理後画像データを取得し、
前記出力部は、前記処理後画像データに基づく画像データを出力する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得し、
前記第2の画像データに基づく画像データを出力すること、
を備える医用画像処理方法であって、
前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される、
医用画像処理方法。
【請求項8】
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データを入力することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する機械学習モデルを生成するモデル生成方法であって、
X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて、訓練前のモデルを訓練することにより、前記機械学習モデルを生成する、
モデル生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置、医用画像処理方法、およびモデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)において、低線量での撮影時、および肩や骨盤などのX線の吸収が多い部位の撮影時に、収集データのカウントが小さくなる場合が(低カウント)ある。これらのような低カウントでのX線CT撮影では、再構成された医用画像上に、ダークバンドアーチファクトやストリークアーチファクトが発生すること、およびCT値の精度が悪くなることがある。このとき、医用画像に対する読影および医用画像を用いた診断に悪影響を与えることがある。
【0003】
また、従来手法として、X線光子のカウントを示す収集データ(カウント数)を減弱データ(attenuation count data)に変換する際、カウント数があるしきい値を下回っている場合、対数曲線ではなく対数曲線の接線(近似式)を用いて、収集データを減弱データに変換する方法がある。ノイズが収集データに混入しない場合、X線CTの収集データ、すなわちカウント数が負の値になることはない。しかしながら、実際のX線CTにより収集された収集データにはノイズが含まれるため、収集データが負の値になる場合がある。「負の値を取らない」という仮定の下、負の値のカウントを0に繰り上げ、もしくは負の値のカウント数の絶対値を取る方法がある。
【0004】
従来手法では、特に超低線量でのX線CT撮影時など、収集データ(カウント数)が0付近、もしくは負の値の場合、十分なアーチファクトの低減やCT値の精度改善を行うことは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、低線量時においてアーチファクトの低減させた医用画像を生成することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る医用画像処理装置は、画像処理部と、出力部とを備える。画像処理部は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する。出力部は、前記第2の画像データに基づく画像データを出力する。前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るPCCT装置の構成例を示す図。
【
図2】
図2は、実施形態に係る第1の画像データの一例を示す図。
【
図3】
図3は、実施形態に係るアーチファクト低減処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、実施形態に係り、アーチファクト低減モデルの適用前の第1の画像データと、アーチファクト低減モデルの適用後の第2の画像データとの一例を示す図。
【
図5】
図5は、実施形態に係り、アーチファクト低減モデルの生成に関する学習装置の構成の一例を示す図。
【
図6】
図6は、実施形態に係り、アーチファクト低減モデルの生成処理とアーチファクト低減処理との概要の一例を示す図。
【
図7】
図7は、実施形態に係る低カウントシミュレーション処理における処理手順の一例を示す図。
【
図8】
図8は、実施形態に係るモデル生成処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図9】
図9は、実施形態の変形例に係り、サイズおよびパターンが異なる2つの低カウントアーチファクト画像の一例を示す図。
【
図10】
図10は、実施形態の変形例に係り、モデル生成処理とアーチファクト低減処理との概要の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、医用画像処理装置、医用画像処理方法、モデル生成方法、および学習データ生成方法について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。また、説明を具体的にするために、実施形態に係る医用画像処理装置は、医用画像撮像装置に搭載されているものとして説明する。なお、実施形態に係る医用画像処理装置は、医用画像処理方法を実現可能なサーバ装置、例えば、医用画像処理方法を実現する医用画像処理プログラムを実行可能なサーバ装置などにより実現されてもよい。
【0010】
医用画像処理装置は、医用画像撮像装置の一例として、光子計数型X線コンピュータ断層撮影装置(以下、PCCT(Photon Counting Computed Tomography)装置と呼ぶ)に搭載されているものとして説明する。なお、本医用画像処理装置が搭載される医用画像撮像装置はPCCT装置に限定されず、積分型のX線CT装置、PET(Positron Emission Tomography)およびSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)などの核医学診断装置、核医学診断装置とX線CT装置との複合装置、X線アンギオ装置(Angiography)、X線診断装置などであってもよい。
【0011】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るPCCT装置1の構成例を示す図である。
図1に示すように、PCCT装置1は、ガントリとも称される架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。本実施形態における医用画像処理装置は、
図1に示すコンソール装置40において、例えば、システム制御機能441と前処理機能442と再構成処理機能443とを除外した構成に相当する。なお、本実施形態における医用画像処理装置は、
図1に示すコンソール装置40における構成要素から適宜不要な構成を除いたものであってもよい。
【0012】
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交しかつ回転中心から回転フレーム13を支持する支柱に向かう方向をX軸、当該Z軸及びX軸と直交する方向をY軸とそれぞれ定義するものとする。
図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のPCCT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
【0013】
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介した操作者からの操作、或いは架台装置10、又は寝台装置30に設けられた操作部を介した操作者からの操作に基づいて動作する。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
【0014】
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線のカウントデータ(以下、フォトンカウントデータ(photon count data)と呼ぶ)を収集する撮影系を有する装置である。架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
【0015】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管11における管球焦点で発生したX線は、X線管11におけるX線放射窓を通過して、コリメータ17を介して例えばコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。X線管11には、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
【0016】
X線検出器12は、X線管11により発生したX線の光子を検出する。具体的には、X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を光子単位で検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。すなわち、X線検出器12は、光子計数型のX線検出器により実現される。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってファン角方向(チャネル方向ともいう)に複数の検出素子(X線検出素子ともいう)が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器12において、複数の検出素子列は、Z軸方向に沿って平坦に配列される。すなわち、X線検出器12は、例えば、当該検出素子列がコーン角方向(列方向、row方向、スライス方向ともいう)に沿って平坦に複数配列された構造を有する。
【0017】
なお、PCCT装置1には、例えば、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
【0018】
X線検出器12は、入射したX線を電荷に変換する半導体素子を有する直接変換型のX線検出器である。本実施形態のX線検出器12は、例えば、少なくとも1つの高電圧電極と、少なくとも1つの半導体結晶と、複数の読出電極とを備える。半導体素子は、X線変換素子ともいう。半導体結晶は、例えば、CdTe(テルル化カドミウム:cadmium telluride)やCdZnTe(テルル化カドミウム亜鉛:cadmium Zinc telluride:CZT)などにより実現される。X線検出器12において、半導体結晶を挟んで対向し、Y方向に直交する2つの面には、電極が設けられる。すなわち、X線検出器12には、複数のアノード電極(読出電極、または画素電極ともいう)とカソード電極(共通電極ともいう)とが、半導体結晶を挟んで設けられる。
【0019】
読出電極と共通電極との間には、バイアス電圧が印加される。X線検出器12では、X線が半導体結晶に吸収されると電子正孔対が生成されて、電子が陽極側(アノード電極(読出電極)側)へと移動し、正孔が陰極側(カソード電極側)に移動することで、X線の検出に関する信号が、X線検出器12からDAS18へ出力される。
【0020】
なお、X線検出器12は、入射したX線を間接的に電気信号に変換する間接変換型の光子計数型のX線検出器であっても構わない。X線検出器12は、X線検出部の一例である。
【0021】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。回転フレーム13は架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム。
図1での図示は省略している)により回転可能に支持される。回転機構は例えば回転駆動力を生ずるモータと、当該回転駆動力を回転フレーム13に伝達して回転させるベアリングとを含む。モータは例えば当該非回転部分に設けられ、ベアリングは回転フレーム13及び当該モータと物理的に接続され、モータの回転力に応じて回転フレーム13が回転する。
【0022】
回転フレーム13と非回転部分にはそれぞれ、非接触方式または接触方式の通信回路が設けられ、これにより回転フレーム13に支持されるユニットと当該非回転部分あるいは架台装置10の外部装置との通信が行われる。例えば非接触の通信方式として光通信を採用する場合、DAS18が生成したフォトンカウントデータは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、さらに送信器により当該非回転部分からコンソール装置40へと転送される。なお通信方式としては、この他に容量結合式や電波方式などの非接触型のデータ伝送の他、スリップリングと電極ブラシを使った接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
【0023】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム側に設けられても構わない。また、X線高電圧装置14は、X線高電圧部の一例である。
【0024】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等のプロセッサにより実現されてもよい。
【0025】
プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、メモリにプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0026】
制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。
【0027】
なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置15は、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。また、制御装置15は、制御部の一例である。
【0028】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ウェッジ16は、例えば、ウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0029】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線をX線照射範囲に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
【0030】
DAS18は、複数の計数回路を有する。複数の計数回路各々は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、X線検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果であるフォトンカウントデータを生成する。計数処理の結果は、エネルギービン(Energy BIN)ごとのX線の光子数を割り当てたデータである。エネルギービンは、所定の幅のエネルギー域に相当する。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別した計数処理の結果を、フォトンカウントデータとして生成する。DAS18はデータ収集部の一例である。
【0031】
DAS18が生成したフォトンカウントデータは、コンソール装置40へと転送される。フォトンカウントデータは、生成元の検出素子のチャンネル番号、列番号、収集されたビュー(投影角度ともいう)を示すビュー番号、及び検出されたX線の線量を示す値のデータのセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例:1~1000)を用いてもよい。DAS18における複数の計数回路各々は、例えば、フォトンカウントデータを生成可能な回路素子を搭載した回路群により実現される。なお、本実施形態において、フォトンカウントデータは、X線検出器12により検出され、前処理が施される前の純生データ(pure raw data)に相当する。なお、フォトンカウントデータは、前処理前データと称されてもよい。
【0032】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0033】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、例えば、バス(BUS)を介して行われる。なお、コンソール装置40は、架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10に、コンソール装置40またはコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
【0034】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク、SSD(Solid State Drive)等により実現される。メモリ41は、例えば、DAS18から出力されたフォトンカウントデータ、前処理機能442により生成された減弱データ、再構成処理機能443により再構成された再構成画像を記憶する。再構成画像は、例えば、3次元的なCT画像データ(ボリュームデータ)、もしくは2次元的なCT画像データなどである。
【0035】
メモリ41は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに適用される機械学習モデルを記憶する。第1の画像データは、低線量(例えば、低カウント)によるCTスキャンによる取得されたフォトンカウントデータ(以下、低カウントデータ呼ぶ)に基づいて再構成された再構成画像のデータに相当する。低カウントデータは、例えば、撮影条件における管電流と管電圧との積が所定の値より小さい範囲で収集されたフォトンカウントデータに相当する。また、低カウントデータは、純生データに対して対数変換を実行する際において、対数変換に用いられる対数関数の近似式の傾き(微分値)が所定の閾値より大きくなる範囲に対応するカウント数の範囲に含まれるフォトンカウントデータであってもよい。当該対数変換は、例えば、X線検出器12に設けられた参照検出器(Ref(Reference)検出器)からの出力と純生データとの比を引数とし、ネイピア数を定とする対数関数を用いた当該引数の変換である。
【0036】
予め訓練され、メモリ41に記憶された機械学習モデルは、第1の画像データに適用され、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを生成する。低カウントアーチファクトは、被検体Pに対する低線量でのCTスキャンにより、再構成画像に現れるアーチファクトである。低カウントアーチファクトは、例えば、被検体Pの臓器依存性がないようなダークバンドアーチファクトおよび/またはストリークアーチファクトである。
【0037】
機械学習モデルは、入力された医用画像に対して、例えば、アーチファクトの低減を実現する学習済みモデルであって、例えば、訓練前の深層ニューラルネットワーク(以下、DNN(Deep Neural Network)と呼ぶ)に対する学習により生成される。なお、学習済みモデルの生成(訓練)の手法によっては、機械学習モデルは、アーチファクトの低減に加えて、入力された医用画像に対して低ノイズ化を実現することも可能である。
【0038】
本実施形態における機械学習モデル(以下、アーチファクト低減モデルと呼ぶ)の生成、すなわち訓練前のDNNに対する訓練(学習)は、例えば、学習装置や、各種サーバ装置、医用データ処理装置が搭載された各種モダリティなどにより実現される。生成されたアーチファクト低減像モデルは、例えば、DNNに対する訓練(学習)を実施した装置(学習装置)から出力されて、メモリ41に記憶される。機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、当該投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される。アーチファクト低減モデルの生成(訓練)については、後ほど説明する。
【0039】
メモリ41は、処理回路44により実行されるシステム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、出力機能445各々の実行に関するプログラムを記憶する。また、メモリ41は、少なくともノイズ低減のための訓練された機械学習モデル(以下、ノイズ低減モデルと呼ぶ)を記憶してもよい。メモリ41は、記憶部の一例である。
【0040】
ディスプレイ42は、出力機能445による制御の下で、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。
【0041】
なお、ディスプレイ42は、架台装置10にさらに設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部の一例である。
【0042】
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、フォトンカウントデータを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像データに対する後処理に関する画像処理条件等を操作者から受け付ける。当該後処理は、コンソール装置40又は外部のワークステーションのどちらで実施することにしても構わない。
【0043】
また、当該後処理は、コンソール装置40とワークステーションの両方で同時に処理することにしても構わない。ここで定義される後処理とは、再構成処理機能443によって再構成された画像に対する処理を指す概念である。後処理は、例えば、再構成画像のMulti Planar Reconstruction(MPR)表示やボリュームデータのレンダリング等を含む。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
【0044】
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0045】
処理回路44は、例えば、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、PCCT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、自身のメモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、画像処理機能444、出力機能445を実行する。なお、各機能441~445は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441~445を実現するものとしても構わない。
【0046】
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。また、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってPCCT装置1の各部を制御する。システム制御機能441は、システム制御部の一例である。
【0047】
前処理機能442は、DAS18から出力されたフォトンカウントデータに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施して、減弱データを生成する。減弱データは、生データと称されてもよい。前処理機能442は、前処理部の一例である。なお、前処理前のフォトンカウントデータ(純生データ)および前処理後の生データを総称して投影データと称する場合もある。
【0048】
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された減弱データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)等を用いた再構成処理を行ってCT画像データ(医用データ)を生成する。再構成処理には、散乱性補正およびビームハードニング補正などの各種補正処理、および再構成条件における再構成関数の適用など、各種処理を有する。なお、再構成処理機能443により実行される再構成処理は、FBP法に限定されず、逐次近似再構成、減弱データの入力により再構成画像を出力するディープニューラルネットワークなど、既知の処理が適宜用いられてもよい。再構成処理機能443は、再構成されたCT画像データをメモリ41に格納する。再構成されたCT画像データは、第1の画像データに対応する。再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
【0049】
図2は、第1の画像データ1IDの一例を示す図である。
図2に示すように、第1の画像データ1IDには、X方向に亘る被検体Pの厚みおよび多くの骨部により、X方向に沿ったダークバンドアーチファクトDBAと、第1の画像データ1IDのX方向に沿った線状のストリークアーチファクトSAとが表れている。
【0050】
画像処理機能444は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練されたアーチファクト低減モデル(機械学習モデル)を適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得(生成)する。このとき、画像処理機能444は、取得(生成)された第2の画像データに、少なくともノイズ低減のための訓練されたアーチファクト低減モデルを適用することにより、ノイズが低減された処理後画像データを取得(生成)する。また、当該アーチファクト低減モデルがノイズ低減効果を有している場合、画像処理機能444は、当該アーチファクト低減モデルに第1の画像データを入力することで、当該アーチファクト低減モデルにより、低カウントアーチファクト及びノイズが低減された第2の画像データを取得する。
【0051】
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、第2の画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行なっても構わない。また、画像処理機能444は、画像処理部の一例である。
【0052】
出力機能445は、第2の画像データに基づく画像データを出力する。当該画像データの出力先は、例えば、メモリ41および/またはディスプレイ42である。なお、画像データの出力先は、これらに限定されず、PACSの画像補間サーバなどであってもよい。第2の画像データに基づく画像データは、例えば、画像処理機能444により、第2の画像データに対して各種の画像処理が実施された画像のデータに対応する。なお、出力機能445は、第2の画像データを、各種出力先に出力してもよい。
【0053】
以上のように構成された本実施形態に係るPCCT装置1におけるアーチファクト低減モデルを用いて、第1の画像データから第2の画像データを生成する処理(以下、アーチファクト低減処理と呼ぶ)について、
図3および
図4を用いて説明する。
【0054】
図3は、アーチファクト低減処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0055】
(アーチファクト低減処理)
(ステップS301)
処理回路44は、再構成処理機能443により、減弱データに基づいて第1の画像データを再構成する。再構成処理機能443は、再構成された第1の画像データを、メモリ41に記憶させてもよい。
【0056】
(ステップS302)
処理回路44は、画像処理機能444により、メモリ41からアーチファクト低減モデルを読み出す。画像処理機能444は、アーチファクト低減モデルに第1の画像データを入力する。
【0057】
(ステップS303)
処理回路44は、画像処理機能444により、アーチファクト低減モデルから第2の画像データを出力する。アーチファクト低減モデルがノイズ低減の機能を有する場合、第2の画像データは、低カウントアーチファクトおよびノイズが低減された画像データとなる。画像処理機能444は、当該第2の画像データをメモリ41に記憶させる。なお、アーチファクト低減モデルがノイズ低減の機能を有さない場合、画像処理機能444は、ノイズ低減モデルをメモリ41から読み出す。このとき、画像処理機能444は、第2の画像データをノイズ低減モデルに入力し、低カウントアーチファクトおよびノイズが低減された画像データを生成する。次いで、画像処理機能444は、当該第2の画像データをメモリ41に記憶させる。
【0058】
図4は、アーチファクト低減モデルARMの適用前の第1の画像データ1IDと、アーチファクト低減モデルARMの適用後の第2の画像データ2IMとの一例を示す図である。
図4に示すように、第1の画像データ1IDには、ダークバンドアーチファクトDBAとストリークアーチファクトSAとが表れている。一方、
図4に示すように、第2の画像データ2IDにおいて、ダークバンドアーチファクトとストリークアーチファクトとは、第1の画像データ1IDに比べて低減されている。さらに、アーチファクト低減モデルARMがノイズ低減機能を有する場合、
図4における第2の画像データに示すように、ノイズも低減されている。
【0059】
(ステップS304)
処理回路44は、画像処理機能444により、第2の画像データ2IDに基づいて、画像データを生成する。出力機能445は、第2の画像データ2IDに基づく当該画像データを各種出力先へ出力する。
【0060】
以上に述べた実施形態に係るPCCT装置1は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDに、訓練された機械学習モデルARMを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得し、前記第2の画像データに基づく画像データを出力する。また、実施形態に係るPCCT装置1は、当該機械学習モデルARMにより、低カウントアーチファクト及びノイズが低減された当該第2の画像データ2IDを取得する。また、実施形態に係るPCCT装置1は、第2の画像データ2IDに、少なくともノイズ低減のための訓練された機械学習モデル(ノイズ低減モデル)を適用することにより、ノイズが低減された処理後画像データを取得し、処理後画像データに基づく画像データを出力する。
【0061】
これらにより、本実施形態に係るPCCT装置1によれば、低線量で取得された第1の画像データに対して、少なくともアーチファクト(低カウント撮影時におけるアーチファクト)の低減を、アーチファクト低減モデル(学習済みモデル)により、実現することができる。加えて、アーチファクト低減モデルがノイズ低減機能を有する場合、アーチファクトの低減に加えてノイズを低減することができる。これらのため、本実施形態に係るPCCT装置1によれば、アーチファクトの低減によるCT値の精度が向上(改善)することで、第2の画像データにおける解剖学的特徴などの物体の視認性を向上させ、かつ画質を向上させた医用画像を生成することができる。
【0062】
以上のことから、本実施形態に係るPCCT装置1によれば、ダークバンドアーチファクトの低減、ストリークアーチファクトの低減、およびCT値の精度改善により、画質向上を期待でき、被検体Pに対する診断精度の向上に貢献することができる。このため、本実施形態に係るPCCT装置1によれば、低線量での第1の画像データの取得により被検体Pに対する被曝を低減させ、かつ被検体Pに関する画像診断のスループットを向上させることができる。
【0063】
以下、実施形態で用いられる機械学習モデル(アーチファクト低減モデル)の生成について説明する。
図5は、アーチファクト低減モデルの生成に関する学習装置5の構成の一例を示す図である。なお、学習装置5によるDNNへの学習を実現する機能は、PCCT装置1などの医用画像撮像装置、または医用データ処理装置などの各種サーバ装置に搭載されてもよい。
【0064】
図6は、アーチファクト低減モデルARMの生成処理(以下、モデル生成処理と呼ぶ)とアーチファクト低減処理との概要の一例を示す図である。
図6に示すアーチファクト低減処理は、
図3での説明に準拠するため、説明は省略する。モデル生成処理において、訓練前のモデル(DNN)は、第3の画像データと第4の画像データとを有する学習データを用いて訓練される。第3の画像データは、X線CTスキャンにより得られる投影データ(フォトンカウントデータ(投影データ)PCD)に基づいて再構成されたデータである。第4の画像データは、投影データ(フォトンカウントデータPCD)に基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む。
【0065】
図6に示すように、第4の画像データは、フォトンカウントデータ(投影データ)PCDに対して低カウントシミュレーション処理LCSが適用された後に再構成された画像データであって、擬似的に生成された低カウントアーチファクトを含む。すなわち、カウントシミュレーション処理LCSは、純生データであるフォトンカウントデータPCDに対して実施される。低カウントシミュレーション処理LCSは、ノイズ付加処理と、フォトンカウントデータ(投影データ)PCDの負値に対するゼロクリップ処理とを含む。低カウントシミュレーション処理LCSについては、後ほど説明する。
【0066】
メモリ51は、処理回路54における学習データ生成機能543により生成された一対の学習データのセットを複数記憶する。学習データのセットは、上記第3の画像データと第4の画像データとのセットである。また、メモリ51は、学習データの生成の元となる元データを記憶する。元データは、例えば、アーチファクト低減モデルARMにおける処理対象のデータに関する医用画像撮像装置から取得される。
【0067】
アーチファクト低減モデルARMの生成における教師画像として用いられる画像(Target画像ともいう)は、第3の画像データに対応し、アーチファクトなく、かつCT値の精度が高いことが求められる。このため、元データは、十分なカウント(例えば数百など)が計測できる通常線量以上の線量で撮影された際のフォトンカウントデータPCDに相当する。第4の画像データの生成では、第3の画像データの生成に用いられたフォトンカウントデータPCD(元データ)と同じデータ用いられる。このため、低カウントシミュレーション処理LCSに入力される元データ(収集データ)も十分なカウントが計測されたデータとなる。
【0068】
また、メモリ51は、訓練対象のDNNおよび生成された学習済みモデル(アーチファクト低減モデル)ARMを記憶する。メモリ51は、処理回路54により実行される学習データ生成機能543、モデル生成機能544各々の実行に関するプログラムを記憶する。メモリ51は、学習装置5における記憶部の一例である。また、メモリ51を実現するハードウェアなどは、実施形態に記載のメモリ41と同様なため、説明は省略する。
【0069】
処理回路54は、自身のメモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、学習データ生成機能543、モデル生成機能544を実行する。処理回路54を実現するハードウェアなどは、実施形態に記載の処理回路44と同様なため、説明は省略する。
【0070】
学習データ生成機能543は、例えば、ファントムなどに対するX線CTスキャンにより得られたフォトンカウントデータ(投影データ)、すなわち元データを、メモリ51から取得する。なお、元データは、メモリ51からの取得に限定されず、ネットワークを介したPCCT装置などから取得されてもよい。学習データ生成機能543は、元データに対して低カウントシミュレーション処理LCSを実行することで、元データにおけるカウント数を低減し、かつノイズをした低カウントデータを生成する。以下、低カウントシミュレー処理LCSについて説明する。
【0071】
図7は、低カウントシミュレーション処理LCSにおける処理手順の一例を示す図である。低カウントシミュレーション処理LCSの実施に当たって、学習データ生成機能543は、元データとしてのフォトンカウントデータPCDを、低カウントシミュレーション処理LCSに入力する。
【0072】
(低カウントシミュレーション処理)
(ステップS701)
学習データ生成機能543は、被検体Pに対する低線量での撮影時、および被検体Pの肩や骨盤などのX線の吸収が多い部位の撮影時のカウントをシミュレートする。具体的には、学習データ生成機能543は、元データをメモリ51から取得する。学習データ生成機能543は、元データに1より係数をかけることで、低線量カウントPlowをシミュレートする。当該計算は、例えば、Plow=a×Pで表される。すなわち、学習データ生成機能543は、フォトンカウントデータPCDにおけるカウントの値を減らすスケーリング処理を実行する。なお、カウントの値に対するスケーリング処理は、上記に限定されず、既知の手法が適宜利用可能である。
【0073】
(ステップS702)
低線量によるCTスキャンでは、低カウントのフォトンカウントデータ(低線量カウント)が得られる。低線量カウントではカウント数が少ないため、カウント数に比べて相対的にノイズが多くなる。すなわち、低線量カウントは、高線量カウントに比べて、ノイズが多く建立することとなる。これらのことから、学習データ生成機能543は、ノイズ付加処理を、低線量カウントに対して実行する。ノイズ付加処理は、例えば、低線量カウントに対するノイズのシミュレーションである。ノイズのシミュレーションは、例えば、低線量カウントPlowと、ノイズを表す関数のパラメータθとを用いて実行される。ノイズを表す関数がガウスノイズである場合、パラメータθは、当該ガウスノイズの標準偏差に相当する。ノイズのシミュレーションの結果(以下、ノイズ付加低線量カウントデータと呼ぶ)Plownoiseは、低線量カウントPlowとパラメータθとを入力とする関数NoiseSimlater(Plow、θ)を用いて、Plownoise=NoiseSimlater(Plow、θ)と表される。なお、ノイズのシミュレーションは、ガウスノイズの付加に限定されず既知のノイズの付加手法が適宜利用可能である。
【0074】
(ステップS703)
学習データ生成機能543は、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseに対してゼロクリップ処理を実行する。ゼロクリップ処理は、例えば、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおける負値を0にする(ゼロにクリッピングする)処理である。具体的には、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるカウント数を区別するインデックス(添え字)をiとし、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるインデックスiのカウント数Plownoise_iが負値(Plownoise_i<0)である場合、学習データ生成機能543は、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるインデックスiのカウント数Plownoise_iをゼロ(Plownoise_i=0)に置き換える(設定する)。
【0075】
換言すれば、学習データ生成機能543は、本ステップにおいて、投影データの負値に対するゼロクリップ処理を実行する。なお、本ステップにおいて、学習データ生成機能543は、ゼロクリップ代わりに、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおける負値に対して絶対値をとる処理を実行してもよい。すなわち、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるインデックスiのカウント数Plownoise_iが負値(Plownoise_i<0)である場合、学習データ生成機能543は、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるインデックスiのカウント数Plownoise_iを、ノイズ付加低線量カウントデータPlownoiseにおけるインデックスiのカウント数Plownoise_iの絶対値(|Plownoise_i|)に置き換えてもよい。
【0076】
以上のステップS701~S703の処理により、第4の画像データの元となる低カウントデータが生成される。低カウントデータに対して対数変換などの各種前処理を実行して再構成することにより、第4の画像データが生成される。学習データ生成機能543は、第3の画像データ3IDと第4の画像データ4IDとを対応付けて、学習データセットとしてメモリ51に記憶させる。
【0077】
以下、モデル生成処理の処理手順について、
図8を用いて説明する。
図8は、モデル生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0078】
(モデル生成処理)
(ステップS801)
処理回路54は、不図示の通信インターフェースを介して、フォトンカウントデータPCDを取得する。処理回路54は、取得したフォトンカウントデータPCDを、メモリ51に記憶させる。当該フォトンカウントデータPCDは、上述のように、十分なカウントが計測できる通常線量以上の線量で撮影された際のフォトンのカウント数を、X線検出素子ごとに有する。
【0079】
(ステップS802)
処理回路54は、不図示の再構成処理機能により、フォトンカウントデータPCDに基づいて、第3の画像データ3IDを生成する。当該再構成処理機能に関する処理は、PCCT装置1における再構成処理機能443と同様なため、説明は省略する。
【0080】
(ステップS803)
処理回路54は、学習データ生成機能543により、
図7に示すように、フォトンカウントデータPCDに対して低カウントシミュレーションを実行し、低カウントデータを生成する。学習データ生成機能543は、生成された低カウントデータをメモリ51に記憶させる。
【0081】
(ステップS804)
処理回路54は、不図示の再構成処理機能により、低カウントデータに基づいて、第4の画像データ4IDを生成する。処理回路54は、第3の画像データ3IDと第4の画像データ4IDとを対応付けて、学習データセットとしてメモリ51に記憶させる。第3の画像データ3IDは、第4の画像データ4IDに対する正解データ(教師データともいう)に相当する。当該再構成処理機能に関する処理は、PCCT装置1における再構成処理機能443と同様なため、説明は省略する。
【0082】
(ステップS805)
処理回路54は、メモリ51に記憶された学習データセットの総数が、所定の数に到達したか否かを判定する。所定の数は、機械学習モデル(アーチファクト低減モデルARM)の生成に関して予め設定される。学習データセットの総数が所定の数に到達している場合(ステップS806のYes)、ステップS807の処理が実行される。学習データセットの総数が、所定の数に到達していない場合(ステップS806のNo)、ステップS801以降の処理繰り返される。
【0083】
(ステップS806)
処理回路54は、モデル生成機能544により、複数の学習データセット各々を用いて、訓練前のモデル(DNN)を訓練することにより、アーチファクト低減モデル(学習済みモデル)を生成する。すなわち、モデル生成機能544は、第3の画像データと第4の画像データとを訓練対象のDNNに適用することで、当該DNNを訓練し、アーチファクト低減モデルARMを生成する。学習データセットにおける第4の画像データはノイズが付加されているため、生成されたアーチファクト低減モデルARMは、アーチファクトの低減に加えて、ノイズ低減も同時に実現することができる。
【0084】
本ステップにおけるDNNに対する訓練(学習)は、既知の手法が適用可能であるため、説明は省略する。モデル生成機能544は、生成されたアーチファクト低減モデルARMをメモリ51に記憶させる。メモリ51に記憶されたアーチファクト低減モデルARMは、例えば、元データを収集した医用画像撮像装置、および/またはアーチファクト低減モデルARMを実行する医用画像処理装置などへ、適宜送信される。
【0085】
以上に述べた実施形態に係る学習装置5により実現されるモデル生成方法は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDを入力することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得する機械学習モデルを生成するモデル生成方法であって、X線CTスキャンにより得られる投影データ(フォトンカウントデータPCD)に基づいて再構成された第3の画像データ3IDと、当該投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データ4IDと、を有する学習データセットを用いて、訓練前のモデルを訓練することにより、機械学習モデル(アーチファクト低減モデルARM、学習済みモデル)を生成する。
【0086】
これらのことから、本学習装置5により実現されるモデル生成方法によれば、低線量で取得されたフォトンカウントデータに基づく第1の画像データに対して、アーチファクトの低減とノイズの低減とを同時に実現可能な一つの機械学習モデル(アーチファクト低減モデルARM)を生成することができる。
【0087】
以上のことから、本モデル生成方法によれば、医用画像における解剖学的特徴などの物体の視認を向上し、かつ画質を向上させた医用画像を生成可能な学習済みモデルを生成することができる。
【0088】
(変形例)
本実施形態におけるモデル生成方法の変形例では、第4の画像データは、第3の画像データに対してアーチファクト画像を加算することにより生成されることにある。このため、本変形例では、低カウントシミュレーション処理は、不要となる。以下、
図9および
図10を用いて、本変形例におけるモデル生成処理を説明する。
【0089】
メモリ51は、複数の低カウントアーチファクト画像を記憶する。複数の低カウントアーチファクト画像各々は、例えば、水ファントムを用いた超低線量スキャンにより生成されたカウントデータなどから再構成された画像である。複数の低カウントアーチファクト画像各々は、様々なパターンおよび様々なサイズの低カウントアーチファクトを有する。
【0090】
図9は、サイズおよびパターンが異なる2つの低カウントアーチファクト画像ATIの一例を示す図である。
図9に示す右側の低カウントアーチファクト画像RATIは、例えば、左右方向に沿った2つのダークバンドアーチファクトとストリークアーチファクトとを有する。また、
図9に示す左側の低カウントアーチファクト画像LATIは、例えば、放射方向に沿ったストリークアーチファクトを有する。
【0091】
図10は、モデル生成処理とアーチファクト低減処理との概要の一例を示す図である。
図10に示すアーチファクト低減処理については、
図3での説明に準拠するため、説明は省略する。
図10に示すように、第4の画像データ4IDは、投影データから再構成された画像データに、予め生成された低カウントアーチファクト画像ATIが付与された画像データである。
【0092】
具体的には、処理回路54は、学習データ生成機能543により、複数の低カウントアーチファクト画像から一つの低カウントアーチファクト画像ATIを選択する。学習データ生成機能543は、選択された低カウントアーチファクト画像ATIを読み出す。学習データ生成機能543は、メモリ51から読み出された低カウントアーチファクト画像ATIを、第3の画像データ3IDに付与する。
【0093】
具体的には、学習データ生成機能543は、低カウントアーチファクト画像ATIと、第3の画像データ3IDとを合成する、例えば、学習データ生成機能543は、低カウントアーチファクト画像ATIを、第3の画像データ3IDに加算する。なお、学習データ生成機能543は、低カウントアーチファクト画像ATIを、第3の画像データ3IDに重畳してもよい。これらにより、学習データ生成機能543は、第4の画像データ4IDを生成する。
【0094】
モデル生成機能544は、第3の画像データ3IDと第4の画像データとを用いて、アーチファクト低減モデルAORMの生成、すなわちDNNを訓練する。アーチファクト低減モデルAORMの生成については、実施形態と同様なため説明は省略する。
【0095】
本変形例における第4の画像データ4IDの元となる減弱データは、実施形態と異なりノイズが付加されていない。このため、本変形例により生成されるアーチファクト低減モデルAORMは、ノイズ低減の効果を有しない。このため、本変形例における第2の画像データ2IDにおけるノイズを低減させるためには、別途、ノイズ低減モデルを、当該第2の画像データ2IDに適用する必要がある。
【0096】
すなわち、本変形例により生成されたアーチファクト低減モデルAORMの使用時(アーチファクト低減処理のステップS303)において、画像処理機能444は、第2の画像データ2IDにノイズ低減モデルを適用することにより、ノイズが低減された処理後画像データを取得する。このとき、ステップS304において、出力機能445は、ノイズが低減された処理後画像データに基づく画像データを出力する。ノイズが低減された処理後画像データに基づく画像データは、例えば、画像処理機能444により、ノイズが低減された処理後画像データに対して各種の画像処理が実施された画像のデータに対応する。
【0097】
本応用例によるモデル生成方法は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDを入力することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得する機械学習モデルを生成するモデル生成方法であって、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データ3IDと、当該投影データから再構成された画像データ(第3の画像データ3ID)に、予め生成された低カウントアーチファクト画像ATIが付与された画像データ(第4の画像データ4ID)と、を有する学習データを用いて、訓練前のモデルを訓練することにより、当該機械学習モデルを生成する。これにより、本変形例に係るモデル生成方法によれば、簡便に学習データのセットを生成することができ、アーチファクト低減モデルを効率よく生成することができる。他の効果は、実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0098】
実施形態における技術的思想を医用画像処理装置で実現する場合、当該医用画像処理装置は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得し、当該第2の画像データ2IDに基づく画像データを出力し、当該機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データ3IDと、当該投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データ4IDと、を有する学習データを用いて訓練される。医用画像処理装置により実行されるアーチファクト低減処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0099】
実施形態における技術的思想を医用画像処理方法で実現する場合、当該医用画像処理方法は、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得し、当該第2の画像データ2IDに基づく画像データを出力し、当該機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データ3IDと、当該投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データ4IDと、を有する学習データを用いて訓練される。医用画像処理方法により実行されるアーチファクト低減処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0100】
本実施形態における技術的思想を医用画像処理プログラムで実現する場合、当該医用画像処理プログラムは、コンピュータに、X線CTスキャンにより得られる第1の画像データ1IDに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データ2IDを取得することと、当該第2の画像データ2IDに基づく画像データを出力することとを実現させ、当該機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データ3IDと、当該投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データ4IDと、を有する学習データを用いて訓練される。医用画像処理プログラムは、例えば、コンピュータが読取可能な非不揮発性記憶媒体に記憶される。
【0101】
例えば、医用画像処理に関する各種サーバ装置(処理装置)に医用画像処理プログラムを非不揮発性記憶媒体からインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、アーチファクト低減処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。医用画像処理プログラムにより実行されるアーチファクト低減処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
【0102】
以上説明した少なくとも1つの実施形態等によれば、低線量時においてアーチファクトの低減させた医用画像を生成することができる。
【0103】
いくつかの実施形態を参照して本開示を説明したが、これらの実施形態は、本開示の原理と用途の例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0104】
以上の実施形態等に関し、発明の一側面および選択的な特徴として以下の付記を開示する。
(付記1)
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する画像処理部と、
前記第2の画像データに基づく画像データを出力する出力部と、を有し、
前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される、
医用画像処理装置。
(付記2)
前記第4の画像データは、前記投影データに対して低カウントシミュレーション処理が適用された後に再構成された、擬似的に生成された低カウントアーチファクトを含む画像データであってもよい。
(付記3)
前記低カウントシミュレーション処理は、ノイズ付加処理と、前記投影データの負値に対するゼロクリップ処理とを含んでもよい。
(付記4)
前記画像処理部は、前記機械学習モデルにより、低カウントアーチファクト及びノイズが低減された前記第2の画像データを取得してもよい。
(付記5)
前記第4の画像データは、前記投影データから再構成された画像データに、予め生成された低カウントアーチファクト画像が付与された画像データであってもよい。
(付記6)
前記画像処理部は、前記第2の画像データに、少なくともノイズ低減のための訓練された機械学習モデルを適用することにより、ノイズが低減された処理後画像データを取得し、
前記出力部は、前記処理後画像データに基づく画像データを出力してもよい。
(付記7)
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データに、訓練された機械学習モデルを適用することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得し、
前記第2の画像データに基づく画像データを出力すること、
を備える医用画像処理方法であって、
前記機械学習モデルは、X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて訓練される、
医用画像処理方法。
(付記8)
X線CTスキャンにより得られる第1の画像データを入力することにより、低カウントアーチファクトが低減された第2の画像データを取得する機械学習モデルを生成するモデル生成方法であって、
X線CTスキャンにより得られる投影データに基づいて再構成された第3の画像データと、前記投影データに基づいており且つ生成された低カウントアーチファクトを含む第4の画像データと、を有する学習データを用いて、訓練前のモデルを訓練することにより、前記機械学習モデルを生成する、
モデル生成方法。
【符号の説明】
【0105】
1 PCCT装置
5 学習装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ウェッジ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)18
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43入力インターフェース
44 処理回路
51 メモリ
54 処理回路
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
444 画像処理機能
445 出力機能
543 学習データ生成機能
544 モデル生成機能