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特開2024-74009情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
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  • 特開-情報処理方法、プログラム及び情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074009
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20240523BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185045
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】吉野 敬亮
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 聡孝
(72)【発明者】
【氏名】天辰 恵一
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】ラウンド業務を好適に支援することができる情報処理方法等を提供する。
【解決手段】情報処理方法は、入院中の各患者に関する患者情報を取得し、前記患者情報に基づき、各患者の下を巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成し、前記巡回計画を看護師の携帯端末に出力する処理をコンピュータが実行する。好適には、前記患者情報に基づき、各患者の急変リスクを特定し、特定した急変リスクが高い患者から順に巡回する前記巡回計画を生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入院中の各患者に関する患者情報を取得し、
前記患者情報に基づき、各患者のもとを巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成し、
前記巡回計画を看護師の携帯端末に出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記患者情報に基づき、各患者の急変リスクを特定し、
特定した急変リスクが高い患者から順に巡回する前記巡回計画を生成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
患者の呼吸数の測定を最優先測定項目とする前記巡回計画を生成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
所定時間帯の巡回時に非接触型呼吸測定装置を用いて患者の呼吸数を測定する前記巡回計画を生成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記患者の識別子である患者ID、該患者の入院病棟の識別子である病棟ID、該患者の入院病室の識別子である病室ID、及び前記看護師の識別子である看護師IDを読み取った読取結果を前記携帯端末から取得し、
前記読取結果を取得した場合、前記測定項目を前記携帯端末に出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
読み取られた前記患者IDが示す前記患者の順序が前記巡回計画で規定する順序と一致しない場合、前記携帯端末に警告を出力する
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
読み取られた前記病棟ID又は病室IDの順序が前記巡回計画で規定する順序と一致しない場合、前記携帯端末に警告を出力する
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記患者の生体情報を測定する測定装置の識別子である測定装置IDを読み取った読取結果を前記携帯端末から取得し、
読み取られた前記測定装置IDが示す測定装置が前記巡回計画で規定する測定順序と異なる測定項目の測定装置である場合、前記携帯端末に警告を出力する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項9】
所定のタイミングで、各測定項目の生体情報の測定値を前記携帯端末から取得し、
取得した前記測定値を記憶部に記憶する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項10】
入院中の各患者に関する患者情報を取得し、
前記患者情報に基づき、各患者のもとを巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成し、
前記巡回計画を看護師の携帯端末に出力する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
制御部を備える情報処理装置であって、
前記制御部が、
入院中の各患者に関する患者情報を取得し、
前記患者情報に基づき、各患者の下を巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成し、
前記巡回計画を看護師の携帯端末に出力する
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関では、看護師等の医療従事者が患者のもとを巡回して患者の状態を確認する業務(以下では「ラウンド業務」と呼ぶ)が一般的に行われており、これを支援する技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1では、看護師が予め設定された看護手順に従って看護を実施しているか否かを判定し、看護手順に従って看護が実施されていない場合は警告を発すると共に、緊急性を要する処置を行っていた場合はその理由の登録を要求する看護手順判定装置等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-224697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る発明では、各患者のもとを巡回する手順を自動的に生成するに至っていない。
【0006】
一つの側面では、ラウンド業務を好適に支援することができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの側面では、情報処理方法は、入院中の各患者に関する患者情報を取得し、前記患者情報に基づき、各患者のもとを巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成し、前記巡回計画を看護師の携帯端末に出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、ラウンド業務を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ラウンド業務支援システムの構成例を示す説明図である。
図2】サーバの構成例を示すブロック図である。
図3】患者DB、看護師DB、測定記録DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
図4】端末の構成例を示すブロック図である。
図5】端末の表示画面例を示す説明図である。
図6】サーバが実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7】巡回計画生成のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、ラウンド業務支援システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、看護師が各患者のもとを巡回する順序及び患者毎の生体情報の測定項目を規定する巡回計画を生成するラウンド業務支援システムについて説明する。ラウンド業務支援システムは、情報処理装置1、端末2、呼吸測定装置3を含む。情報処理装置1及び端末2は、ネットワークNを介して通信接続されている。
【0011】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。後述するように、サーバ1は、患者に関する患者情報に基づき、各患者のもとを巡回する巡回計画を生成して、端末2に出力する。
【0012】
端末2は、看護師が所持する携帯端末であり、例えばスマートフォン型の専用端末である。なお、端末2はスマートフォン等の汎用端末であってもよい。端末2は、後述するようにサーバ1から送信される情報に基づいて、各患者のもとを巡回するルート、患者毎の生体情報の測定項目等を表示し(図5参照)、看護師に巡回計画を提示する。また、端末2には呼吸測定装置3を含む各種生体情報の測定装置(呼吸測定装置3以外は不図示)が無線又は有線で接続されており、端末2は、各種生体情報の測定値を各測定装置から取得する。
【0013】
呼吸測定装置3は、患者の呼吸数を非接触で測定する非接触呼吸測定装置である。具体的には、呼吸測定装置3はミリ波レーダを備えた測定装置であり、自装置から放射した電波(ミリ波)の反射波を検知することで患者の呼吸数を測定する。このような測定装置として、特許第7086441号に記載の携帯型非接触生体信号検出装置を採用することができる。
【0014】
なお、本実施の形態では呼吸測定装置3としてミリ波レーダを備えた測定装置を採用するが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば呼吸測定装置3は、音響を検知(呼吸時の上気道の乱流による音響信号を検知)することで呼吸数を測定するものであってもよい。すなわち、呼吸測定装置3は呼吸数を測定可能なデバイスであればよく、その測定原理はミリ波レーダに限定されない。また、呼吸測定装置3は、非接触型に限られず、パルスオキシメータ等を利用した接触型の呼吸検知装置であってもよい。
【0015】
また、本実施の形態では端末2及び各測定装置が別個であるものとして説明するが、両者は一体の装置であってもよい。
【0016】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理、制御処理等を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0017】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、レイアウトデータL、患者DB141、看護師DB142、測定記録DB143を記憶している。レイアウトデータLは、患者が入院している病棟のレイアウトデータである。患者DB141は、各患者の情報を格納するデータベースである。看護師DB142は、各看護師の情報を格納するデータベースである。測定記録DB143は、患者の生体情報の測定記録を格納するデータベースである。
【0018】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0019】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、CD(Compact Disk)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の可搬型記憶媒体1aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体1aからプログラムP1を読み取って実行するようにしても良い。
【0020】
図3は、患者DB141、看護師DB142、測定記録DB143のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【0021】
患者DB141は、患者ID列、氏名列、病棟ID列、病室ID列、患者情報列を含む。患者ID列は、各患者の識別子である患者IDを記憶している。氏名列、病棟ID列、病室ID列、及び患者情報列はそれぞれ、患者IDと対応付けて、患者の氏名、入院病棟の識別子である病棟ID、入院病室の識別子である病室ID、及び患者情報を記憶している。患者情報列には、例えば患者の年齢、性別、体重、病名、状況、容態、点滴の有無、投薬の種類といったデータが記憶されている。
【0022】
看護師DB142は、看護師ID列、氏名列、勤務病棟列を含む。看護師ID列は、各看護師の識別子である看護師IDを記憶している。氏名列、及び勤務病棟列はそれぞれ、看護師IDと対応付けて、看護師の氏名、及び勤務病棟の病棟IDを記憶している。
【0023】
測定記録DB143は、番号列、患者ID列、病棟ID列、病室ID列、看護師ID列、測定日時列、測定項目列を含む。番号列は、看護師が各患者の下を巡回する順序を表す番号が記憶されている。患者ID列、病棟ID列、病室ID列、看護師ID列、測定日時列、及び測定項目列はそれぞれ、番号と対応付けて、巡回対象とする患者の患者ID、当該患者の入院病棟の病棟ID、当該患者の入院病室の病室ID、巡回を担当する看護師の看護師ID、生体情報の測定日時、及び生体情報の測定項目(測定値)を記憶している。測定項目列には、例えば各測定項目の測定順序を表す番号と対応付けて、測定項目名、及び測定値が記憶されている。
【0024】
図4は、端末2の構成例を示すブロック図である。制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、読取部26、及び補助記憶部27を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサを有し、補助記憶部27に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、タッチパネル等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。読取部26は、例えば赤外線光を利用したバーコードリーダであり、後述するように各種IDを読み取る。補助記憶部27は、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2(プログラム製品)、その他のデータを記憶している。
【0025】
なお、端末2は、CD-ROM等の可搬型記憶媒体2aを読み取る読取部を備え、可搬型記憶媒体2aからプログラムP2を読み取って実行するようにしても良い。
【0026】
図5は、端末2の表示画面例を示す説明図である。図5に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0027】
既に述べたように、看護師は各患者のもとを巡回し、患者の生体情報を測定するラウンド業務を行う。本実施の形態においてサーバ1は、当該ラウンド業務を支援すべく、各患者のもとを巡回する順序と、患者毎の生体情報の測定項目及び当該測定項目の測定順序とを規定する巡回計画を生成する。
【0028】
具体的には、サーバ1は、各患者に関する患者情報に基づき、巡回計画を生成する。患者情報は、例えば医師からのオーダ(指示)、年齢、性別、体重、病名、状況、容態、点滴の有無、投薬の種類のほか、当日の気温、天候といった情報を含む。例えばサーバ1は、患者DB141等からこれらの患者情報を取得し、巡回計画の生成に用いる。
【0029】
サーバ1はまず、患者情報に含まれる医師からのオーダ、病名、容態等に基づき、各患者の急変リスクを特定する。例えばサーバ1は、患者情報(オーダ、病名、容態等)と急変リスクとを対応付けたテーブル(不図示)を参照して、急変リスクを特定する。そしてサーバ1は、急変リスクが高い患者から順に巡回するよう、各患者の順序を決定する。
【0030】
サーバ1は、決定した順序で看護師に巡回を行わせるべく、病棟のレイアウトデータLを参照して、各患者のもとを巡回するルート(マップ)を生成し、端末2に表示させる。図5左側に、巡回ルートの表示例を図示する。サーバ1は、患者DB141を参照して各患者の入院病棟、入院病室を特定し、上記で決定した順序で各患者の病室を矢印で繋ぐことで、巡回ルートを生成する。
【0031】
次にサーバ1は、患者情報に含まれる医師からのオーダ、病名等に基づき、測定対象とする各測定項目と、各測定項目の測定順序とを決定する。具体的な決定手順は特に限定されないが、例えばサーバ1は、病名等と対応付けて、当該病名等の患者に対して実施しなければならない測定項目を定めたテーブル(不図示)を用意しておく。サーバ1は当該テーブルを参照して、予め定められた測定項目に、医師から測定を指示された測定項目を加えることで、対象患者の測定項目を決定する。また、例えばサーバ1は、医師から指示された測定項目を他の測定項目よりも優先して測定するよう測定順序を決定する。
【0032】
この場合にサーバ1は、医師からのオーダ等に関わらず、呼吸数の測定を最優先測定項目とする巡回計画を生成する。呼吸数の測定は患者の生存確認のため必須であり、他の測定項目と比べて重要度が高いためである。呼吸数を最優先測定項目とすることで、ラウンド業務をより好適に実施することができる。
【0033】
特に本実施の形態では、サーバ1は、夜間の時間帯(所定時間帯)においては呼吸測定装置3を用いて呼吸数を測定する巡回計画を生成する。本実施形態における呼吸測定装置3は、上述の如く非接触型の呼吸測定装置であり、ミリ波レーダを利用した測定装置である。ミリ波レーダを利用しているため、カーテン越しにでも患者の呼吸数を測定することが可能であり、患者の睡眠を阻害することなく呼吸数を測定することができる。そのため、サーバ1は、夜間の時間帯のラウンド業務の計画をする際には、呼吸数の測定にミリ波レーダを利用した非接触型の呼吸測定装置3を用いるよう指定した巡回計画を生成する。
【0034】
なお、本実施の形態では夜間のみ呼吸測定装置3を用いることとするが、日中も呼吸測定装置3を用いて呼吸数を測定するようにしてもよい。
【0035】
巡回計画を生成した場合、例えばサーバ1は、生成した巡回計画のデータを測定記録DB143に格納する。例えばサーバ1は、各患者の巡回順序を表す番号と対応付けて、対象の患者の患者ID、当該患者の入院病棟の病棟ID、入院病室の病室ID、及び巡回を担当する看護師の看護師IDを測定記録DB143に格納する(図3参照)。また、サーバ1は、各測定項目の測定順序を表す番号と対応付けて、各測定項目の項目名を測定記録DB143に格納する。
【0036】
測定記録DB143に格納された巡回計画は、所定の権限者(例えば医師)のみが修正することができる。
【0037】
サーバ1は、上記のようにして生成された巡回計画を端末2に出力し、表示させる。具体的にはまず、サーバ1は巡回ルートを端末2に出力し、画面左側に表示させる。
【0038】
看護師は当該ルートを参照して巡回を行う。この場合、看護師は呼吸測定装置3を含む各種生体情報の測定装置(呼吸測定装置3以外は不図示)を携帯し、各病室を訪れる。
【0039】
ここで、各患者、病棟、病室、及び看護師にはそれぞれ、バーコード等の形態で、患者ID、病棟ID、病室ID、及び看護師IDが割り当てられている。各患者のもとを訪れて測定を行う場合、看護師は端末2により各IDを読み取る。
【0040】
なお、各IDはバーコード以外にQRコード(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の形態で割り当てられていてもよい。
【0041】
端末2が各IDを読み取った場合、サーバ1は、読み取られた各IDが、巡回計画(測定記録DB143)で規定される各IDと一致するか否かを判定する。一致すると判定した場合、サーバ1は、対象の患者の測定項目を端末2に表示させる。
【0042】
図5右側に、測定項目の表示例を図示する。例えば端末2は、病室番号、患者名等と共に、測定順序が高い測定項目を上から順にして、各測定項目を表示する。
【0043】
なお、読み取られた各IDが一致しないと判定した場合、サーバ1は、所定の警告を端末2に出力する。例えば患者IDが一致しないと判定した場合、すなわち巡回計画で規定する順序とは患者の順序が異なる場合、サーバ1は、正しい順序で巡回すべき旨の警告を出力する。また、病棟ID及び/又は病室IDが一致しないと判定した場合、サーバ1は、正しい病棟、病室に向かうべき旨の警告を出力する。
【0044】
IDが一致した場合、看護師は各測定装置を操作し、患者の生体情報を測定する。測定装置にも患者等と同様に、バーコード等の形態で測定装置IDが割り当てられている。看護師は測定前に、端末2により測定装置IDを読み取り、測定を行う。
【0045】
なお、読み取られた測定装置IDが、巡回計画(測定記録DB143)で規定される測定順序と異なる測定項目の測定装置であった場合、サーバ1は、正しい測定項目を測定すべき旨の警告を出力し、看護師に報知する。
【0046】
このように、看護師は各測定項目に対応する測定装置の測定装置IDを順次読み取り、測定を行う。測定された生体情報の測定値は、端末2に一時的に記憶される。記憶された測定値は、所定のタイミングで端末2からサーバ1に送信され、測定記録DB143に記憶される。所定のタイミングとは、例えば巡回予定の全患者の測定を完了した時点であるが、患者毎に全測定項目の測定を完了した時点、あるいは病室毎に全患者の測定を完了した時点などであってもよい。
【0047】
以上より、本実施の形態によれば、各患者のもとを巡回して各測定項目を測定する巡回計画を自動的に生成し、看護師に提示する。これにより、ラウンド業務を好適に支援することができる。
【0048】
図6は、サーバ1が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。図6に基づき、サーバ1が実行する処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、患者DB141等から、入院中の患者に関する患者情報を取得する(ステップS11)。具体的には、制御部11は患者情報として、医師からのオーダ、患者の年齢、性別、体重、病名、状況、容態、点滴の有無、投薬の種類などのほか、当日の気温、天候といった情報を取得する。
【0049】
制御部11は、取得した患者情報に基づき、看護師が各患者のもとを巡回する順序、及び患者毎の生体情報の測定項目を規定する巡回計画を生成するサブルーチンを実行する(ステップS12)。具体的には、制御部11は、各患者のもとを巡回するルート(マップ)を生成すると共に、各患者の測定項目及びその測定順序を決定する。
【0050】
制御部11は、上記で生成したルートを端末2に出力し、表示させる(ステップS13)。そして制御部11は、看護師が端末2により読み取った患者ID、病棟ID、病室ID、及び看護師IDの読取結果を取得する(ステップS14)。制御部11は、読み取られた各IDが、巡回計画(測定記録DB143)で最初の巡回順序(番号)と対応付けて規定されている各IDと一致するか否かを判定する(ステップS15)。一致しないと判定した場合(S15:NO)、制御部11は、所定の警告を端末2に出力し(ステップS16)、処理をステップS14に戻す。例えば患者IDが一致しない場合、すなわち患者の順序が異なる場合、制御部11は、正しい順序で巡回すべき旨の警告を出力する。また、例えば病棟ID及び/又は病室IDが一致しない場合、制御部11は、正しい病棟、病室に向かうべき旨の警告を出力する。
【0051】
各IDが一致すると判定した場合(S15:YES)、制御部11は、測定項目を端末2に出力し、表示させる(ステップS17)。そして制御部11は、端末2により測定装置IDを読み取った読取結果を取得する(ステップS18)。制御部11は、読み取られた測定装置IDに対応する測定項目が、巡回計画(測定記録DB143)で最初の測定項目(番号)と対応付けて規定される測定項目と一致するか否かを判定する(ステップS19)。一致しないと判定した場合(S19:NO)、制御部11は、正しい測定項目を測定すべき旨の警告を端末2に出力し(ステップS20)、処理をステップS18に戻す。測定項目が一致すると判定した場合(S19:YES)、制御部11は、生体情報の測定を端末2に許可する(ステップS21)。
【0052】
制御部11は、全測定項目の測定が完了したか否かを判定する(ステップS22)。完了していないと判定した場合(S22:NO)、制御部11は処理をステップS18に戻す。この場合、制御部11は測定装置IDの読取結果を再度取得し(ステップS18)、次の測定順序に対応する測定項目と一致するか否かを判定する(ステップS19)。
【0053】
全測定項目の測定が完了したと判定した場合(S22:YES)、制御部11は、巡回予定の全患者について測定が完了したか否かを判定する(ステップS23)。完了していないと判定した場合(S23:NO)、制御部11は処理をステップS14に戻す。この場合、制御部11は患者ID等の読取結果を再度取得し(ステップS14)、次の巡回順序に対応する患者ID等と一致するか否かを判定する(ステップS15)。
【0054】
全患者について測定が完了したと判定した場合(S23:YES)、制御部11は、測定された各測定項目の測定値を端末2から取得し、測定記録DB143に記憶する(ステップS24)。制御部11は一連の処理を終了する。
【0055】
図7は、巡回計画生成のサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。図7に基づき、ステップS12のサブルーチンの処理内容について説明する。
サーバ1の制御部11は、患者情報に基づいて各患者の急変リスクを特定し、急変リスクが高い順に各患者のもとを巡回する順序を決定する(ステップS31)。制御部11は、病棟のレイアウトデータLを参照して、ステップS31で決定した順序で各患者のもとを巡回するルート(マップ)を生成する(ステップS32)。
【0056】
制御部11は、患者情報に含まれる医師からのオーダ、病名等に応じて、、測定対象とする各測定項目と、各測定項目の測定順序とを決定する(ステップS33)。制御部11は、各患者の下を巡回する順序(番号)と対応付けて、巡回対象とする患者の患者ID、当該患者の入院病棟の病棟ID、入院病室の病室ID、及び巡回する看護師の看護師IDを測定記録DB143に格納すると共に、各測定項目の測定順序(番号)と対応付けて、各測定項目の項目名を測定記録DB143に格納する(ステップS34)。制御部11はサブルーチンをリターンする。
【0057】
以上より、本実施の形態によれば、ラウンド業務を好適に支援することができる。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0059】
各実施の形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
L レイアウトデータ
141 患者DB
142 看護師DB
143 測定記録DB
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 読取部
27 補助記憶部
P2 プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7