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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074010
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ジェル状染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240523BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/06
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/73
A61K8/41
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185047
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】堀江 俊貴
(72)【発明者】
【氏名】原田 智広
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC101
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC642
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD282
4C083BB04
4C083BB24
4C083BB32
4C083BB34
4C083BB60
4C083CC36
4C083DD27
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】 本発明は、塩基性染料を含むシャンプー剤型およびトリートメント剤型における染毛力の劣化および染めムラなどを防止することができる染毛料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 塩基性染料を含むジェル状染毛料におけるエタノール配合量を低減することによって、地肌汚れも改善され、さらに染毛力、染めムラおよびかぶりが良好となることを見出した。本発明は、ジェル状染毛料組成物であって、(A)塩基性染料、(B)エタノールおよび(B)ゲル化剤を含み、ジェル状染毛料組成物中に含まれるエタノールが14質量%以下である、ジェル状染毛料組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェル状染毛料組成物であって、
(A)塩基性染料および/またはHC染料、および
(B)ゲル化剤
を含み、
前記ジェル状染毛料組成物中に含まれるエタノールが14質量%以下である、ジェル状染毛料組成物。
【請求項2】
前記ゲル化剤は、カチオン性ポリマーおよび/またはノニオン性ポリマーである、請求項1に記載のジェル状染毛料組成物。
【請求項3】
前記ゲル化剤は、ポリクオタニウム-37である、請求項2に記載のジェル状染毛料組成物。
【請求項4】
前記ジェル状染毛料組成物は、(C)25℃で液状のノニオン性界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のジェル状染毛料組成物。
【請求項5】
前記ジェル状染毛料組成物は、低級アルコールを含み、
前記エタノールおよび前記低級アルコールの合計含有量は、前記ジェル状染毛料組成物中において14質量%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のジェル状染毛料組成物。
【請求項6】
前記ジェル状染毛料組成物に含まれる水の含有量は、80質量%以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のジェル状染毛料組成物。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載のジェル状染毛料組成物を毛髪に適用する工程を含む、染毛方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジェル状染毛料組成物に関する。より詳細には、本発明は、塩基性染料および/またはHC染料を含むジェル状染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーリング製品は、一般に永久染毛剤、半永久染毛料、一時染毛料および脱色剤に分類される。このうちの半永久染毛料では、酸性染料および塩基性染料などの直接染料によって毛髪が染色される。半永久染毛料のうちの塩基性染料を含む製品には、カラーシャンプーおよびカラートリートメントなどがある。しかし、塩基性染料を含む製品は、シャンプー剤型だと染毛力が劣り、またトリートメント剤型だと染めムラができやすいといった問題があった。
【0003】
一方、染毛料は、シャンプー剤型およびトリートメント剤型の他の剤型として、ジェル状剤型が知られている。たとえば、特許文献1には、直接染料、長鎖第4級アンモニウム化合物、カチオンポリマー、ノニオンポリマーまたは両性ポリマー、低級アルコールおよび水を含む染毛料組成物が開示されている。
【0004】
ジェル状染毛料組成物として、エタノールを多く配合するものが知られているが、エタノールを多く配合すると地肌汚れが悪くなってしまう。加えて、エタノールは、引火性が高いことも難点である。さらに、エタノールを多く配合すると、仕上がり後の毛髪の感触が劣るといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-249419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、塩基性染料を含むシャンプー剤型およびトリートメント剤型における染毛力が高く、染めムラなどを防止することができ、かつ地肌汚れ抑制および感触向上効果とジェル製剤の安定性とを両立でき、エタノールの配合が少量であるもののジェル製剤を保つことができる染毛料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々の剤型および成分を検討した。本発明者らは、塩基性染料を含むジェル状染毛料におけるエタノール配合量を低減することによって、地肌汚れも改善され、感触も良好であり、さらに染毛力、染めムラなどが生じず、均染性および製剤安定性も良好となることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
【0008】
本発明は、ジェル状染毛料組成物であって、(A)塩基性染料および/またはHC染料および(B)ゲル化剤を含み、前記ジェル状染毛料組成物中に含まれるエタノールが14質量%以下である、ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、ゲル化剤がカチオン性ポリマーおよび/またはノニオン性ポリマーである、上記ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、ゲル化剤がポリクオタニウム-37である、上記ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、(C)25℃で液状のノニオン性界面活性剤を含む、上記ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、さらに低級アルコールを含み、エタノールおよび低級アルコールの合計含有量がジェル状染毛料組成物中において14質量%以下である、上記ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、ジェル状染毛料組成物に含まれる水の含有量が80質量%以上である、上記ジェル状染毛料組成物を提供する。
【0014】
さらに、本発明は、上記染毛料組成物を毛髪に適用する工程を含む、染毛方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のジェル状染毛料組成物によれば、塩基性染料を含む染毛料による地肌汚れおよび感触が改善される。さらに、本発明のジェル状染毛料組成物によれば、塩基性染料を含む染毛料における染毛力、均染性及び製剤安定性が良好となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のジェル状染毛料組成物について、その一態様の詳細を説明する。本発明のジェル状染毛料組成物は、(A)塩基性染料および/またはHC染料および(B)ゲル化剤を含む。
【0017】
本明細書において、「ジェル状」とは、水とゲル化剤とを含有し、粘性また弾性を有する半固体から固体であり、かつ外観が透明から半透明である状態を示し、液体のような柔軟性と応力を付加した場合に元の形状に戻ろうとする弾力性とを有し、とろみ状よりも高粘度の状態を意図する。係る粘度としては、次のものに限定されるものではないが、具体的には剪断速度が限りなく0s-1に近いところの粘度、すなわち静置粘度に関し、「とろみ状」は、ブルックフィールド粘度計を用いた測定による粘度値が100mPa・s未満の静置粘度であるのに対し、「ジェル状」の静置粘度は、1000mPa・s以上、5000mPa・s以上および100000mPa・s以下(30℃)の範囲と規定することができる。好ましくは、ジェル状は、ブルックフィールド粘度計を用いた測定による粘度値が1000mPa・s以上から100000mPa・s以下(30℃)である状態を含む。ジェル状染毛料組成物は、高級アルコールや界面活性剤を多く含むクリームとは異なり、また直鎖の高級アルコールを含まない方が好ましい。また、ジェル状染毛料組成物は、乳化していない状態であることが好ましい。このようなジェル状染毛料組成物は、染毛力を向上することができる。
【0018】
本発明のジェル状染毛料組成物において、(A)塩基性染料は、当該技術分野において公知の任意の塩基性染料を使用することができる。また、塩基性染料は、たとえば塩基性青124、塩基性青75、塩基性紫2、塩基性黄87、塩基性橙31、赤色213号、赤色214号、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青9、塩基性青26、塩基性青41、塩基性茶1、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性橙1、塩基性橙2、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性赤118、塩基性紫10、塩基性紫11:1、塩基性紫16、塩基性黄11、塩基性黄28、塩基性黄57および塩基性黄87などを含み、特に好ましくは塩基性青124、塩基性青75、塩基性紫2、塩基性黄87および塩基性橙31を含む。塩基性染料は、1種類または複数種類を組み合わせて使用することができる。
【0019】
塩基性染料は、ジェル状染毛料組成物において、任意の量で含有することができる。塩基性染料は、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上および1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下で含有することができる。
【0020】
本発明のジェル状染毛料組成物において、(A)HC染料は、当該技術分野において公知の任意の塩基性染料を使用することができる。また、HC染料は、たとえばHC青2、HC青4、HC青5、HC青6、HC青9、HC青10、HC青11、HC青12、HC青13、HC橙1、HC橙2、HC橙3、HC赤1、HC赤3、HC赤7、HC赤10、HC赤11、HC赤13、HC赤14、HC紫1、HC紫2、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄6、HC黄9、HC黄10、HC黄11、HC黄12、HC黄13、HC黄14、HC黄15、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノ-ル、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノ-ルが挙げられる。これらのHC染料の中でも、本発明の色調変化抑制効果が高いという点で、特にHC青2、HC青12、HC紫2の1種以上が好ましい。
【0021】
HC染料は、ジェル状染毛料組成物において、任意の量で含有することができる。HC染料、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上および3質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下で含有することができる。
【0022】
本発明のジェル状染毛料組成物において、(B)ゲル化剤は、当該技術分野において公知の任意のゲル化剤を使用することができる。ゲル化剤の例には、たとえばカチオン性ポリマーおよび/またはノニオン性ポリマーを含み、均染性、地肌汚れ抑制および感触の面から好ましくはカチオン性ポリマーを含む。
【0023】
カチオン性ポリマーは、公知のカチオン性の増粘性ポリマーを使用することができ、また天然または合成ポリマーのいずれも使用することができ、好ましくは製剤安定性の点からセルロース誘導体ではないカチオン化ポリマー、特に好ましくはポリクオタニウム-37:ポリ(2-メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド)を使用することができる。ゲル化剤としてポリクオタニウム-37を適量配合することにより、ジェル剤型の染毛料において感触および安定性を向上させることができる。
【0024】
カチオン性ポリマーのポリクオタニウム-37以外の具体例としては、たとえばカチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム、ジアリル4級アンモニウム塩の重合体または共重合体、4級化ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0025】
カチオン化セルロース誘導体の具体例としては、たとえばヒドロキシエチルセルロースに塩化グリシジルトリメチルアンモニウムを付加して得られる4級アンモニウム塩の重合体(ポリクオタニウム-10(INCI名称):たとえばレオガードG、同GP(ライオン社製)、ポリマーJR-125、同JR-400、同JR-30M、同LR-400、同LR-30M(Amerchol社製)、セルコートSC-230M(アクゾノーベル社製))、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド共重合体(ポリクオタニウム-4:たとえばセルコートH-100、同L-200(アクゾノーベル社製))等が挙げられる。
【0026】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体または共重合体の具体例としては、たとえばジメチルジアリルアンモニウムクロリド重合体(ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム)(ポリクオタニウム-6:たとえばマーコート100(ルーヴリゾール社製))、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド/アクリル酸共重合体(ポリクオタニウム-22:たとえばマーコート280(ルーヴリゾール社製))、アクリル酸/ジアリル第四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体等が挙げられる。好ましくは、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0027】
4級化ポリビニルピロリドンの具体例としては、たとえばビニルピロリドンとメタクリル酸ジメチルアミノエチルの共重合体と硫酸ジエチルから得られる4級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-11:たとえばガフコート734、同755(アイエスピー・ジャパン社製))等が挙げられる。
【0028】
ノニオン性ポリマーは、公知のノニオン性の増粘性ポリマーを使用することができ、天然または合成ポリマーのいずれも使用することができる。ノニオン性ポリマーの具体例としては、ポリビニルカプロラクタム、ポリビニルピロリドン(PVP)、(PVP/VA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、デキストリン、グアーガム、デンプン、プルラン等が挙げられ、好ましくはセルロース誘導体、より好ましくはヒドロキシエチルセルロースである。
【0029】
ゲル化剤は、ジェル状染毛料組成物において、任意の量で含有することができる。ゲル化剤は、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.1質量%以上、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上および6質量%以下、好ましくは4質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下で含有することができる。本発明のジェル状染毛料組成物にゲル化剤を含有することにより、仕上がり時の毛髪の感触向上とジェル状の製剤安定性向上の両立ができる。
【0030】
本発明のジェル状染毛料組成物は、(C)25℃で液状のノニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。25℃で液状のノニオン性界面活性剤を含むことにより、製剤安定性を改善することができる。25℃で液状のノニオン性界面活性剤は、当該技術分野において公知の任意の界面活性剤を使用することができ、好ましくはHLB13以下のノニオン性界面活性剤を使用することができる。HLB13以下のノニオン性界面活性剤を含むことにより、良好な染毛力を維持することができる。常温で液状のHLB13以下のノニオン性界面活性剤は、たとえばヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、PEG-40水添ヒマシ油イソステアリン酸ポリグリセリル、ラウリン酸ソルビタンおよびポリソルベート85であることができる。特に、HLB13以下のノニオン性界面活性剤は、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルが最も好ましい。一方、HLB13を超えるC)25℃で液状のノニオン性界面活性剤の例としては、たとえばPEG-20ソルビタンココエート、PEG-40水添ヒマシ油イソステアリン酸ポリグリセリルおよびラウリン酸ポリグリセリル-10であることができる。
【0031】
25℃で液状のノニオン性界面活性剤は、ジェル状染毛料組成物において、任意の量で含有することができる。25℃で液状のノニオン性界面活性剤は、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.5質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上および15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましく10質量%以下で含有することができる。
【0032】
25℃で液状のノニオン性界面活性剤がHLB13以下のノニオン性界面活性剤である場合、HLB13以下のノニオン性界面活性剤は、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.5量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上および10質量%以下、好ましくは7.5質量%以下、より好ましく5質量%以下で含有することができる。
【0033】
(C)25℃で液状のノニオン性界面活性剤によって、(B)ゲル化剤の分散性を向上することができ、また製剤の安定性を向上することができる。本発明のジェル状染毛料組成物において、(B)ゲル化剤および(C)25℃で液状のノニオン性界面活性剤の両者の含有比、(B)/(C)は、たとえば0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上および5以下、好ましくは、3以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下であることができる。さらに、(B)/HLB13以下の(C)の上限値は、製剤安定性の面から、好ましくは1,より好ましくは0.7、さらに好ましくは0.6である
【0034】
本発明のジェル状染毛料組成物は、25℃で固体のノニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。ノニオン性界面活性剤としては、たとえばPEG-3ラウラミド、コカミドMEAが挙げられる。
【0035】
25℃で固体のノニオン性界面活性剤は、ジェル状染毛料組成物において、任意の量で含有することができる。ノニオン性界面活性剤は、たとえばジェル状染毛料組成物の総量の0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上および10質量%以下、好ましくは7.5質量%以下、より好ましく5質量%以下で含有することができる。
【0036】
本発明のジェル状染毛料組成物は、エタノールを含んでいてもよい。本発明のジェル状染毛料組成物において、エタノールは、ジェル状染毛料組成物の総量の14質量%以下で含有される。エタノールは、ジェル状染毛料組成物において、たとえば0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%、より好ましくは0.5質量%以上および10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは5質量%以下で含有することができる。
【0037】
エタノールは、ジェル剤型の染毛料組成物に含有される場合、含有量が多すぎると染毛料自体のテクスチャーが悪くなったり、染毛後に毛髪がきしんだり、毛髪の感触が悪くなってしまう。さらに、エタノールは、ジェル剤型の染毛料組成物に含有される場合、含有量が多すぎると地肌汚れが悪くなってしまう。また、含有量が多すぎると引火性も高く危険でもある。一方、本願発明のジェル状染毛料組成物には、エタノールが総量の14質量%以下で含有されるため、このような問題が生じず、ジェル製剤であっても染毛後の毛髪の感触がよい。
【0038】
本発明のジェル状染毛料組成物は、上記エタノールの他、低級アルコールを含んでいてもよい。低級アルコールは、上記のエタノールの他、当該技術分野において公知の任意の低級アルコールを使用することができ、各種の低級アルコールおよびそれらの誘導体が含まれる。低級アルコールとしては、メタノール、イソプロパノール等の1価アルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコール、ジグリセリン、ペンタエリスリトール等の4価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール、あるいは、たとえば多価アルコールのアルキレンオキシド付加重合体のような各種の多価アルコール誘導体が例示される。以上の(E)成分の1種または2種以上を選択して用いることができる。以上の内でも、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0039】
本発明のジェル状染毛料組成物に含まれるエタノールを含む低級アルコールおよび合計含有量は、ジェル状染毛料組成物中において14質量%以下である。低級アルコールは、ジェル状染毛料組成物において、たとえば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%および14質量%以下、好ましくは10質量%および以下、より好ましくは5質量%以下で含有することができる。本願発明のジェル状染毛料組成物には、エタノールおよび低級アルコールが総量の14質量%以下で含有されるため、テクスチャーが悪くなったり、きしんだり等、感触が悪くなってしまうという問題が生じない。
【0040】
本発明のジェル状染毛料組成物に含まれる水の含有量は、ジェル状染毛料組成物において、80質量%以上である。水は、ジェル状染毛料組成物において、たとえば70質量%以上、75質量%以上、好ましくは77.5質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上および95質量%以下、好ましくは90質量%以下で含有することができる。本発明のジェル状染毛料組成物に含まれる水は、含有量が高いほど染毛力および均染性が向上する。
【0041】
本発明のジェル状染毛料組成物は、上記成分(A)、(B)および(C)の他、任意の成分を含有することができる。本発明のジェル状染毛料組成物は、たとえば油性成分、pH調整剤、上記成分(B)ゲル化剤以外の糖、キレート化剤、アミノ酸、冷感剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、動植物または微生物の抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。これらの成分のうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
油性成分は、たとえば毛髪にうるおい感を付与する目的で染毛料組成物に配合してもよい。油性成分としては、たとえば、油脂、ロウ類、炭化水素、エステル油、高級アルコール、シリコーン、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル等が挙げられる。シリコーンは、たとえば(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマーであることができる。シリコーンを配合することにより、感触をよくすることができ、また染毛性も高めることができる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0043】
pH調整剤は、染毛料組成物のpHを調整するために染毛料組成物に配合してもよい。pH調整剤としては、アルカリ剤、無機酸、有機酸および無機酸または有機酸の塩類等が挙げられ、特にアルギニンおよび酒石酸が挙げられる。アルカリ剤としては、たとえばアンモニア、アルカノールアミン、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。無機酸としては、たとえばリン酸、ケイ酸、メタケイ酸、炭酸等が挙げられる。リン酸には、オルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸としては、たとえばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等が挙げられる。塩類としては、たとえば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。なお、炭酸の塩類には、炭酸塩および炭酸水素塩が含まれる。pH調整剤の中でも、アルカノールアミン、および炭酸の塩類が好ましい。染毛料組成物中におけるpH調整剤の含有量は適宜設定されるが、たとえば0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上および5質量%以下、好ましくは3質量%以下である。なお、これらのpH調整剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0044】
糖としては、単糖、二糖、糖アルコール等が挙げられる。キレート化剤としては、たとえば、エデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸およびその塩類、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸およびその塩類、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)およびその塩類等が挙げられる。アミノ酸としては、たとえばトレオニン、アルギニン、テアニン、タウリン等が挙げられる。冷感剤としては、たとえば1-メントール等が挙げられる。これらの成分のうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0045】
防腐剤および抗菌剤としては、メチルパラベン、サリチル酸およびフェノキシエタノール等が上げられる。フェノキシエタノールを含有させることにより、抗菌性だけで無く外観の透明性も高めることができる。
【0046】
その他、毛髪強化を目的としてグルコン酸亜鉛等を染毛料組成物に配合してもよい。
【0047】
本発明のジェル状染毛料組成物は、ジェル剤型として提供される。本発明のジェル状染毛料組成物は、ジェル剤型であるため毛髪への浸透性もよい。
【0048】
本発明は、上記ジェル状染毛料組成物を毛髪に適用する工程を含む、染毛方法を提供する。また、ジェル状染毛料組成物は、任意の手段によって毛髪に適用することができる。たとえば、ジェル状染毛料組成物は、手袋をした手に取って手で毛髪に適用してもよく、またコーム等に取って毛髪上でコーム等を用いて適用してもよい。さらに、複数のジェル状染毛料組成物同士を混合することで、混色を楽しむこともできる。
【実施例0049】
(染毛料組成物の製造)
以下の表1に示す配合にて各実施例の染毛料組成物を、それぞれ常法にしたがってジェル状組成物として製造した。表1において、左列には、本願発明の成分(A)~(C)を示した。成分の列には、配合成分名を示してある。また、実施例1~実施例20、並びに比較例1および2の各列に示す数値は、配合量(質量%)を示す。また、実施例1~実施例15、並びに比較例1および2の染毛力、均染性、地肌汚れ抑制、感触および製剤安定性の効果の各行に示す数値は、専門パネリストによる評価を示す。
【0050】
製造した実施例1~実施例20、並びに比較例1および2のジェル状染毛料組成物について、下記の手順で染毛処理し、染毛力、均染性、地肌汚れ抑制、感触および製剤安定性を評価した。
(染色処理)
実施例に係る染毛料組成物1gを人毛毛束1gに対して刷毛で塗布し、30℃で10分間放置した。その後、毛束をビゲントリートメントシャンプー(ホーユー社製)で洗浄し、染毛料組成物を洗い落した。次に、毛束にビゲントリートメントリンス(ホーユー社製)を塗布した。毛束をすすいでビゲントリートメントリンスを洗い流した後、毛束の水分をタオルで拭き取り、最後にドライヤーで乾燥した。
【0051】
以下、染毛力、均染性、地肌汚れ抑制、感触および製剤安定性について、評価方法を示す。
【0052】
(染毛力)
上記のとおり染毛処理した毛束について、染毛状態を10名の専門パネリストが目視にて観察した。目視評価においては、以下の評価基準で染毛力を評価し専門パネリスト10名の評価点の平均値を四捨五入した値をそれぞれの染毛料組成物の評価点とした。染毛力の評価においては、比較例3の染毛力を「1:非常に低い」として評価した。そして、以下の評価基準で染毛力を評価し、専門パネリスト10名の評価点の平均値を四捨五入した値をそれぞれの染毛力の評価点とした。その評価結果は、表1の「染毛力」の欄に示してある。
5:染毛力が非常に高い。
4:染毛力が高い。
3:染毛力がやや高い。
2:染毛力が低い。
1:染毛力が非常に低い。
【0053】
(均染性)
上記のとおり染毛処理した毛束について、10名の専門パネリストが目視にて均染性を評価することにより、以下の評価基準で均染性を評価し、専門パネリスト10名の評価点の平均値を四捨五入した値をそれぞれの染毛力の評価点とした。その評価結果は、表1の「均染性」の欄に示してある。
5:均染性が特に優れる。
4:均染性が優れる。
3:均染性が良好。
2:均染性がやや悪い。
1:均染性が悪い。
【0054】
(感触)
上記のとおり染毛処理した毛束をヘアドライヤーで乾燥させた後、10名の専門パネリストが毛束への指通りの付与の度合いを手触りにより、以下の評価基準で感触を評価した。各専門パネリストの採点結果の平均値を少数点第1位で四捨五入した値をそれぞれの感触の評価点とした。その評価結果は、表1の「感触」の欄に示してある。
5:非常に優れるものである。
4:非常に良好である。
3:良好である。
2:やや悪い。
1:悪い。
【0055】
(地肌汚れ)
実施例1~実施例15、並びに比較例1および2のジェル状染毛料組成物0.1gを、実験者の腕の内側部分に直径1cmの円形状に塗布し、10分間放置した後、水洗いした。そして、腕の内側部分を5名の専門パネリストが目視で観察し、地肌汚れがどの程度生じているかを評価した。以下の評価基準で染毛力を評価した。専門パネリスト5名の評価点の平均値を算出し、平均点が4.6以上を「5」、3.6以上4.6点未満を「4」、2.6以上3.6未満を「3」、1.6以上2.6点未満を「2」、1.6点未満を「1」とする評価を下した。その評価結果は、表1の「地肌汚れ」の欄に示してある。
5:地肌が全く汚れていない。
4:地肌がほとんど汚れていない。
3:地肌があまり汚れていない。
2:地肌が少し汚れている。
1:地肌がかなり汚れている。
【0056】
(製剤安定性)
実施例1~実施例15、並びに比較例1および2のジェル状染毛料組成物をそれぞれ20g調製した後、24mlのガラスビンに入れ、50℃の恒温槽にて1ヶ月間保存した。その後、染毛料組成物の粘度の低下具合を5名の専門のパネラーが目視で観察することにより製剤としての安定性が良いか否かを評価した。専門パネリスト5名の評価点の平均値を算出し、平均点が4.6以上を「5」、3.6以上4.6点未満を「4」、2.6以上3.6未満を「3」、1.6以上2.6点未満を「2」、1.6点未満を「1」とする評価を下した。その評価結果は、表1の「製剤安定性」の欄に示してある。なお、製剤安定性については、2以上を実施例評価とする。
5:粘度を保ち、透明であり、ジェル状態を保っている。
4:粘度がわずかに低下しているが、透明であり、ジェル状態を保っている。
3:粘度の低下は見られるが、透明であり、ジェル状態を保っている。
2:ジェルは形成するが、ダマが発生しており、均一ではない。
1:そもそもジェルを形成できない。
【0057】
実施例1~実施例20のいずれのジェル状染毛料組成物も、シャンプー剤型およびトリートメント剤型の染毛料組成物と比較して、地肌汚れが少なく、染毛力および均染性が向上し、毛髪への浸透性も高まった。
【0058】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明のジェル状染毛料組成物は、染毛料として使用することができる。