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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074013
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 29/08 20060101AFI20240523BHJP
   B43K 29/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B43K29/08 Z
B43K29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185052
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】神田 元
(57)【要約】
【課題】筆記具内のスペースを効率的に活用すると共に、耐久性の高いスイッチを備える筆記具を提供する。
【解決手段】筆記具1は、軸筒17と、軸筒17内に配置される配線基板22と、配線基板22の主面22a上に設置され、配線基板22における通電のON/OFFを切り替える押釦24aを有するスイッチ24と、スイッチ24の押釦24aを軸筒17の外側から内側に向かう方向に押し込む構成である周壁33(スイッチ操作部)を有するスイッチカバー30と、を備える。スイッチ24は、押釦24aのON/OFF切り替えのための押し込み方向が配線基板22の主面22aに沿った方向となるように、配線基板22に取り付けられる。スイッチカバー30は、周壁33がスイッチ24を押し込む際に、筆記具1の一部に当接し、スイッチカバー30の押し込み方向の移動を規制する。
【選択図】図7

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端及び後端を有する軸筒と、
前記軸筒内に配置される配線基板と、
前記配線基板の主面上に設置され、前記配線基板における通電のON/OFFを切り替える押釦を有するスイッチと、
前記スイッチの前記押釦を前記軸筒の外側から内側に向かう方向に押し込む構成であるスイッチ操作部を有するスイッチカバーと、を備えた筆記具であって、
前記スイッチは、前記押釦のON/OFF切り替えのための押し込み方向が前記配線基板の前記主面に沿った方向となるように、前記配線基板に取り付けられ、
前記スイッチカバーは、前記スイッチ操作部が前記スイッチを押し込む際に、前記筆記具の一部に当接し、前記スイッチカバーの前記押し込み方向の移動を規制するように構成されている、筆記具。
【請求項2】
前記スイッチカバーは、前記スイッチ操作部が前記スイッチを押し込む際に、前記軸筒及び前記配線基板の少なくとも一方に当接し、前記スイッチカバーの前記押し込み方向の移動を規制するように構成されている、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記スイッチは、前記主面に交差する前記配線基板の端面と前記押し込み方向とが交差するように前記主面に設けられ、
前記スイッチ操作部が前記スイッチを押し込む際に、前記スイッチ操作部が前記端面と当接し、前記スイッチカバーの前記押し込み方向の移動を規制する、請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
前記スイッチカバーは、操作面と、前記操作面の内面と交差する方向に前記内面から前記軸筒の内側に向かって延在する周壁と、を有し、
前記スイッチ操作部は、前記周壁から構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項5】
前記周壁は、互いに対向する第1先端部及び第2先端部を有し、
前記スイッチカバーは、前記第1先端部が前記スイッチの前記押釦に当接し且つ前記第2先端部が前記配線基板の端面に当接するように、前記軸筒に取り付けられている、請求項4に記載の筆記具。
【請求項6】
前記配線基板の前記端面に取り付けられ、前記スイッチカバーを前記押し込み方向に沿って前記軸筒の内側から外側に向けて付勢する弾性部材を更に備え、
前記スイッチカバーは、前記周壁の外側であって前記内面から前記軸筒の内側に向かって延在する側壁を有し、前記側壁には突起が設けられており、
前記弾性部材が前記スイッチカバーを付勢する際に、前記突起が前記軸筒と当接して前記スイッチカバーの前記軸筒の外側への移動が規制される、請求項5に記載の筆記具。
【請求項7】
前記スイッチカバーは、操作面と、前記操作面の内面と交差する方向に前記内面から前記軸筒の内側に向かって延在する周壁と、前記周壁の外側であって前記内面から前記軸筒の内側に向かって延在する側壁と、を有し、
前記スイッチ操作部は、前記周壁から構成され、
前記スイッチカバーの一部には突起が設けられており、
前記スイッチ操作部が前記スイッチを押し込む際に、前記突起が前記軸筒と当接し、前記スイッチカバーの前記押し込み方向の移動を規制する、請求項1に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筆記の際の筆圧を検出可能な筆記具が開示されている。この筆記具は、筆記具による筆記の際にペン先に加わる筆圧を検出する検出ユニットと、検出ユニットに電気的に接続された基板と、基板に設けられ検出ユニットの電源のON/OFFを操作するスライドスイッチとを有している。この筆記具では、外部からスライドスイッチを操作し、検出ユニットの電源をONとした状態で筆記を行うことで、筆記の際の筆圧を検出する。特許文献2には、電源スイッチを備えたホットスタンピング用のペンが開示されている。このペンでは、押し込み方向が回路基板に対して垂直となるように電源スイッチが回路基板に取り付けられている。特許文献3には、筆記動作とカウント動作とを同時に行うカウンター付筆記具であって、カウントをリセットするスイッチを備えた筆記具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-049681号公報
【特許文献2】実用新案登録第3034704号公報
【特許文献3】特開平9-24696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の筆記具では、軸筒の長手方向に沿ってスライドスイッチのON/OFFを切り替えることにより、検出センサ等の電子部品を制御している。一方、軸筒の外から内に向かって押し込むことでON/OFFを切り替える押し込みスイッチ(プッシュスイッチ)を用いた同様の筆記具も望まれている。この場合、特許文献2に記載のように、押し込み方向(操作方向)を基板に対して垂直にする、即ちスイッチへの押し込み力を基板が全て受けるようにスイッチを設置することが考えられる。しかし、この構成では筆記具内の狭いスペースを有効に活用することが難しい。そこで、スイッチの押し込み方向が基板の主面に沿うようにスイッチを基板に取り付けることが考えられる。これにより、基板の上方に有効なスペースを確保しやすくなる。しかしながら、筆記具内に設置できるスイッチは小型のものであり、その分、基板への設置面積も小さくなる。このため、このような取付け構成をそのまま適用すると、基板の側方からの押し込みによって押し込みスイッチが基板から外れたり、スイッチ自体が破損したりするおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するために為されたものであり、筆記具内のスペースを効率的に活用すると共に、耐久性の高いスイッチを備える筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、一側面として、筆記具に関する。この筆記具は、前端及び後端を有する軸筒と、軸筒内に配置される配線基板と、配線基板の主面上に設置され、配線基板における通電のON/OFFを切り替える押釦を有するスイッチと、スイッチの押釦を軸筒の外側から内側に向かう方向に押し込む構成であるスイッチ操作部を有するスイッチカバーと、を備える。この筆記具では、スイッチは、押釦のON/OFF切り替えのための押し込み方向が配線基板の主面に沿った方向となるように、配線基板に取り付けられ、スイッチカバーは、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、筆記具の一部に当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動を規制するように構成されている。
【0007】
この筆記具では、スイッチは、スイッチの押釦の押し込み方向が配線基板の主面に沿った方向となるように、配線基板に取り付けられている。この場合、押釦を押し込むスイッチカバーを配線基板の主面に沿った方向に取り付けることができる。すなわち、スイッチカバーを配線基板の上方に取り付けなくて済む。よって、配線基板の上方のスペースは空き、筆記具内のスペースを効率的に活用できる。しかも、この筆記具では、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、スイッチカバーが筆記具の一部と当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動が規制される。この場合、スイッチ操作部がスイッチを過度に押し込むことを防ぐことができる。よって、スイッチが配線基板から外れる又は破損することを防ぐことができ、スイッチの耐久性を高くすることができる。以上より、この筆記具によれば、筆記具内のスペースを効率的に活用すると共に、スイッチの耐久性を高くすることができる。
【0008】
[2]上記[1]の筆記具では、スイッチカバーは、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、軸筒及び配線基板の少なくとも一方に当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動を規制するように構成されていてもよい。この場合、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、スイッチカバーが軸筒及び配線基板の少なくとも一方と当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動が規制される。よって、スイッチ操作部がスイッチを過度に押し込むことを防ぐことができる。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]の筆記具では、スイッチは、主面に交差する配線基板の端面と押し込み方向とが交差するように主面に設けられ、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、スイッチ操作部が端面と当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動を規制してもよい。この場合、端面と押し込み方向とが交差しているため、スイッチを押し込む際に、スイッチ操作部を端面と当接させることができる。よって、スイッチカバーの押し込み方向の移動が規制される。
【0010】
[4]上記[1]から[3]のいずれかの筆記具では、スチッチカバーは、操作面と、操作面の内面と交差する方向に内面から軸筒の内側に向かって延在する周壁と、を有し、スイッチ操作部は、周壁から構成されてもよい。この場合、スイッチカバーを押し込んで周壁と押釦とが当接した際に、押釦から周壁に働く力を内面がすべて受けるようにすることができる。よって、スイッチ(押釦)に押し込み力を確実に働かせることができ、確実にスイッチを押し込むことができる。
【0011】
[5]上記[4]の筆記具では、周壁は、互いに対向する第1先端部及び第2先端部を有し、スイッチカバーは、第1先端部がスイッチの押釦に当接し且つ第2先端部が配線基板の端面に当接するように、軸筒に取り付けられてもよい。この場合、周壁の先端部がスイッチの押釦又は端面と当接することから、スイッチを押し込む際のスイッチカバーの移動は少なくて済む。よって、スイッチを容易に操作することができる。
【0012】
[6]上記[4]又は[5]の筆記具は、配線基板の端面に取り付けられ、スイッチカバーを押し込み方向に沿って軸筒の内側から外側に向けて付勢する弾性部材を更に備えてもよい。スイッチカバーは、周壁の外側であって内面から軸筒の内側に向かって延在する側壁を有し、側壁には突起が設けられていてもよい。この筆記具では、弾性部材がスイッチカバーを付勢する際に、突起が軸筒と当接してスイッチカバーの軸筒の外側への移動が規制されてもよい。この場合、スイッチを押し込んだ後に、弾性部材がスイッチカバーをスイッチから離れる方向に移動させると共に、突起が軸筒と当接することでスイッチカバーが所定の位置に留まる。よって、使用者は連続してスイッチカバーを押し込んで通電のON/OFFを切り替えることができ、スイッチを容易に操作することができる。
【0013】
[7]上記[1]の筆記具では、スイッチカバーは、操作面と、操作面の内面と交差する方向に内面から軸筒の内側に向かって延在する周壁と、を有してもよい。スイッチ操作部は、周壁から構成され、スイッチカバーの一部には突起が設けられていてもよい。この筆記具では、スイッチ操作部がスイッチを押し込む際に、突起が軸筒と当接し、スイッチカバーの押し込み方向の移動が規制されてもよい。この場合、突起が軸筒と当接することでスイッチカバーの押し込み方向の移動が規制され、スイッチ操作部がスイッチを過度に押し込むことを防ぐことができる。よって、スイッチが配線基板から外れる又は破損することを防ぐことができ、スイッチの耐久性を高くすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筆記具内のスペースを効率的に活用すると共に、耐久性の高いスイッチを備える筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る筆記具を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す筆記具の分解斜視図である。
図3図3は、筆記具に用いられる基板ケースを前方側から視た斜視図である。
図4図4は、筆記具に内蔵される検出ユニットを示す図であり、(a)は、検出ユニットの側面図であり、(b)は、検出ユニットの上面図である。
図5図5は、筆記具に用いられるスイッチカバーを示す図であり、(a)は、スイッチカバーを上方から視た斜視図であり、(b)は、スイッチカバーを下方から視た斜視図である。
図6図6は、図1に示す筆記具のVI-VI線に沿った断面図であり、スイッチカバーが後筒に取り付けられている状態を示す断面図である。
図7図7は、図1に示す筆記具のVII-VII線に沿った断面図であり、(a)は、スイッチを押し込む前の状態を示す断面図であり、(b)は、スイッチを押し込んだ状態を示す断面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る筆記具において図6に相当する断面図であり、スイッチカバーを押し込んだ状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る筆記具について説明する。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いる場合があり、重複する説明は省略する。また、「前/前方」は、筆記具の軸方向の一方側であって筆記具の先端側(ペン先が位置する側)を意味し、「後/後方」は、筆記具の軸方向の他方側であって筆記具の先端とは逆の後端側(ノック操作部が位置する側)を意味する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る筆記具を示す斜視図である。図2は、図1に示す筆記具の分解斜視図である。筆記具1は、筆記の際の筆圧を検出可能な筆記具であって、図1及び図2に示すように、グリップ2、前筒3、継手4、ノックスプリング5、シャープメカ6、芯タンク7、中芯ホルダースプリング8、中芯ホルダー9、センサスプリング10、スライド駒11、後筒12、基板ケース13、基板スプリング14、尾栓15、ノック16、検出ユニット20、スイッチカバー30、及び、スイッチスプリング40(弾性部材)を備えて構成されている。前筒3と後筒12とにより、筆記具1の軸筒17が構成され、上述したその他の部材や部品は、軸筒17内に収納される。前筒3には、軸筒17の前端17a(前筒3の前端3a)が設けられ、前端17aにはシャープメカ6のペン先6aが突出する開口3cが形成されている。また、後筒12には、軸筒17の後端17b(後筒12の後端12b)が設けられ、後端17bには、ノック16等の部材を後筒12内に導入するための開口12dが形成されている。
【0018】
前筒3は、図2に示すように、略円筒形状の樹脂部材であり、軸筒17の前端17aである前端3aと、逆側の後端3bとを有する。前筒3の前端3a側には開口3cが設けられ、後端3b側には開口3dが設けられている。開口3cと開口3dとは、前筒3の中を軸方向に貫通する貫通孔3eによって結ばれている。開口3cからは、前筒3内に収納されるシャープメカ6のペン先6aが外側に突出するようになっている。また、前筒3の前端3a側から中央にかけては凹部3fが設けられている。筆記する際に使用者によって把持されるグリップ2は、この凹部3fを覆うように配置される。前筒3の中央部付近の貫通孔3e内には、継手4の外周面に形成された雄ネジ部4aに螺合する雌ネジ部(不図示)が形成されている。この螺合構成により、後筒12内に収納されて継手4により後筒12と一体化される中芯ホルダー9等の一体化ユニットが、前筒3に対して取り付け可能となる。
【0019】
継手4は、略円筒形状の樹脂製部材であり、雄ネジ部4aをその外周中央に有し、雄ネジ部4aにより前筒3の内側に取り付けられる。継手4は、その内部に、軸方向にスライド移動可能な状態で、芯タンク7の中央部分、中芯ホルダースプリング8、中芯ホルダー9の先端部、及び、スライド駒11の先端部を収納する。また、継手4は、雄ネジ部4aの後方に一対の突起4bを有し、各突起4bが後筒12の前端にある一対のスライド孔12fそれぞれの内側に配置される。そして、継手4は、スライド孔12fの軸方向の長さ分だけ後筒12に対してスライド移動可能な状態で後筒12に係合される。なお、継手4及び前筒3は、継手4の後端4cと後筒12の内周面に設けられる凸部(不図示)との間に配置されるノックスプリング5により、前端17a側に付勢されている。
【0020】
シャープメカ6は、ペン先6aを有するシャープペンシル構成を有する中芯部材であり、ペン先6aが軸筒17の前端17aから外に突出しているように軸筒17内に配置されている。シャープメカ6は、ペン先6aの他に、基部6b、スプリング6c及び先端部6dを有し、基部6bに対してスプリング6cにより前端17a側に付勢されている先端部6dを、スプリング6cの付勢力に抗して後端17b側に相対的に移動させることにより、内部に収納されたシャープペンシル用の芯体(不図示)をペン先6aから外に繰り出す部材である。このような繰り出し操作は、使用者が後述するノック16等を前方側に押し込むことにより実施される。
【0021】
また、シャープメカ6は、基部6bに設けられた嵌め込み孔6eに芯タンク7の前端7aを挿入することにより、芯タンク7に連結される。シャープメカ6は、芯タンク7に取り外し可能に連結されており、芯タンク7から取り外すことにより、嵌め込み孔6eからシャープメカ6内に芯体を補充できる。
【0022】
芯タンク7は、管状の金属製部材であり、その後端側が中芯ホルダー9に圧入されて、中芯ホルダー9と一体化されて動く部材である。芯タンク7は、シャープメカ6と共に筆記具1の中芯を構成する。芯タンク7の外周面と継手4の内周面との間には中芯ホルダースプリング8が配置されており、中芯ホルダースプリング8により、中芯ホルダー9が継手4に対して後方に付勢される。
【0023】
中芯ホルダー9は、軸筒17内に配置され、芯タンク7及び芯タンク7に連結されるシャープメカ6からなる中芯を保持するための部材である。中芯ホルダー9は、略円筒形状の樹脂製部材であり、前端9aと後端9bとを有する。中芯ホルダー9の内部は、前端9aから後端9bに向けて伸びる中空構造を呈しており、芯タンク7の後方部分7bが当該中空構造に圧入される。これにより、中芯ホルダー9と芯タンク7とは一体化される。
【0024】
中芯ホルダー9は、フランジ9cを更に有する。フランジ9cは、中芯ホルダースプリング8の後端を支持する部分であり、フランジ9cと継手4の内周部の段差(不図示)との間に中芯ホルダースプリング8を収納する。中芯ホルダースプリング8により、中芯ホルダー9は、後端17b側に軽く付勢されており、筆記具1の後端を押し込んだ際に中芯ホルダー9が中芯ホルダースプリング8の付勢力に抗して前方に移動可能となっている。
【0025】
中芯ホルダー9は、軸方向の中央から前端9a寄りの外周に一対の突起9dを更に有する。一対の突起9dは、中芯ホルダー9をその内部に収納するスライド駒11のスライド孔11cに配置され、一対の突起9dとスライド孔11cとにより、中芯ホルダー9のスライド駒11に対するスライド移動がガイドされる。また、中芯ホルダー9は、後端9bに、後述する検出ユニット20の検出部21の検出面21aを押圧するための押圧面9eを有している。シャープメカ6のペン先6aに加えられた筆圧は、シャープメカ6及び芯タンク7を介して中芯ホルダー9に伝達され中芯ホルダー9が加圧されることにより、押圧面9eから検出部21の検出面21a(センサ面)にその力が伝えらえる。これにより、ペン先に加わる筆圧を検出することができる。
【0026】
スライド駒11は、中芯ホルダー9をその内側に収納し、中芯ホルダー9をスライド駒11に対して軸方向に沿ってスライド移動させることが可能な部材である。スライド駒11は、略円筒形状の樹脂製部材であり、前端11aと後端11bとを有する。スライド駒11の内部には、中芯ホルダー9がスライド移動可能な状態で収納される。スライド駒11は、前端11a寄りに一対のスライド孔11c(一方は不図示)を有しており、スライド孔11cには中芯ホルダー9の各突起9dが配置される。これにより、スライド孔11cの縁に突起9dが当接することにより、スライド駒11に対する中芯ホルダー9の前方への移動が規制される。
【0027】
スライド駒11の後端11bには、フランジ11dが更に設けられており後筒12の内周面に設けられる凸部(不図示)とフランジ11dとの間にセンサスプリング10が収納される。スライド駒11のフランジ11dには、一対の取付孔11eが更に設けられており、各取付孔11eは、フランジ11dを後端11bから前端11aに向けて貫通している。後述するノック16の一対のアーム16bの先端に設けられた各ラッチ16cが各取付孔11eに連結される。これにより、スライド駒11は、ノック16と一体化されて軸方向に沿って移動できるようになる。一体化されたスライド駒11とノック16との間には、後述する基板ケース13、基板スプリング14、尾栓15、及び、検出ユニット20等が収納される。
【0028】
後筒12は、前筒3と共に筆記具1の軸筒17を構成する略円筒形状の樹脂部材である。後筒12は、前端12aと、軸筒17の後端17bである後端12bとを有する。後筒12の前端12a側には開口12cが設けられ、後端12b側には開口12dが設けられている。開口12cと開口12dとは後筒12内を軸方向に貫通する貫通孔12eによって結ばれている。後筒12の内側には、継手4の後方部分、ノックスプリング5、中芯ホルダー9、センサスプリング10、及びスライド駒11等が収納されている。そして、前端12a近傍に設けられた一対のスライド孔12f(一方は不図示)内には、継手4の各突起4bが位置している。後筒12には、後端12b寄りの箇所に開口12gが設けられており、検出ユニット20のON/OFFを操作するスイッチ24のためのスイッチカバー30が開口12gに位置するように配置されている。
【0029】
基板ケース13は、後述する配線基板22の前方部分をその内側に収納する部材である。図3は、筆記具1に用いられる基板ケース13を前方側から視た斜視図である。基板ケース13は、図3に示されるように、側面が切り欠かれた略円筒形状の樹脂製部材であり、前端13aと後端13bとを有する。基板ケース13は、検出部21を取り付ける取付部13cを前端13aに有する。基板ケース13の取付部13cの中央には、検出部21を収納するための開口部13dが設けられている。検出部21は、取付部13cの取付面13eに検出部21の底面21bが位置するように、開口部13dに収納されて取り付けられる。開口部13dには、検出部21と配線基板22とを電気的且つ機械的に連結するフレキシブル基板23が挿通される。取付部13cと配線基板22の凹部22c(図4も参照)との間には基板スプリング14が配置されており、配線基板22が基板ケース13に対して軸方向に移動可能である。基板ケース13は、取付部13cの上下方向の縁付近に一対の貫通孔13fを更に有している。貫通孔13fは、スライド駒11に連結されるノック16の一対のアーム16bが挿通されて軸方向に沿った移動が可能となるように設けられた孔であり、ノック16の軸方向の動作と、基板ケース13に搭載される検出部21に対する動作とが連動しない構成となっている。
【0030】
図2に戻り、尾栓15の詳細を説明する。尾栓15は、配線基板22の後方部分をその内側に収納する部材である。尾栓15は、側面が切り欠かれた略円筒形状の樹脂製部材である。尾栓15は、ノック16の操作部16aを収納する収納部15aを後端15bに有する。また、尾栓15は、収納部15aの縁から軸方向に沿って前方に伸びる一対の円弧部15cを更に有する。尾栓15の収納部15aには、その中央付近に開口15dが設けられている。開口15dは、尾栓15内に収納される配線基板22の後方に配置されるUSBコネクタ25(図4も参照)を外部に露出させるための孔である。収納部15aには、開口15dの上下方向の位置に一対の貫通孔15e(一方は不図示)が設けられている。貫通孔15eは、スライド駒11に連結されるノック16の一対のアーム16bが挿通されて軸方向に沿った移動が可能となるように設けられた孔である。
【0031】
ノック16は、ノック操作を行う為の部材であり、スライド駒11に連結されて筆記具1の軸方向に沿って一体移動可能で、筆記具1による筆記開始前に中芯であるシャープメカ6を後端17bから前端17aに向かう方向に繰り出すための部材である。ノック16は、操作部16a、及び、操作部16aから前端17aに向けて伸びる一対のアーム16bを有している。各アーム16bの先端にはラッチ16cが設けられている。ラッチ16cがスライド駒11の取付孔11eに挿入されて係合することにより、ノック16がスライド駒11に連結され、一体として軸方向に移動可能となる。ノック16の操作部16aには開口16dが設けられており、尾栓15の開口15dに対応し、USBコネクタ25が開口16dから露出できるように構成されている。なお、上述した構成を有する筆記具1における筆記や筆圧検出の動作等については、特開2021-049681号公報等に記載されているため、詳細な説明は省略する。
【0032】
次に、図4図5及び図6を参照して、検出ユニット20、スイッチカバー30、及び、スイッチスプリング40について詳細に説明する。図4は、筆記具1に内蔵される検出ユニット20を示す図であり、(a)は、検出ユニット20の側面図であり、(b)は、検出ユニット20の上面図である。図5は、筆記具1に用いられるスイッチカバー30を示す図であり、(a)は、スイッチカバー30を上方から視た斜視図であり、(b)は、スイッチカバー30を下方から視た斜視図である。図6は、図1に示す筆記具1のVI-VI線に沿った断面図であり、スイッチカバー30が後筒12に取り付けられている状態を示す断面図である。
【0033】
検出ユニット20は、筆圧の検出と、筆圧の検出に必要な所定の通電操作とを実行する電子部品ユニットである。検出ユニット20は、図4に示すように、検出部21と配線基板22とを有しており、検出部21と配線基板22とがフレキシブル基板23を介して電気的及び機械的に接続されている。検出ユニット20は、配線基板22に設けられた、スイッチ24、USBコネクタ25、バッテリー26、及び、モジュール27を更に有している。
【0034】
検出部21は、筆圧を検出する電子部品であり、例えば圧力センサである。検出部21は、筆記時に中芯ホルダー9の押圧面9eと当接する検出面21aと、検出面21aの反対側に位置する底面21bとを有する。検出部21は、筆記時に押圧面9eと当接して検出面21aの位置が変化することにより、筆圧を検出する。検出部21は、検出面21aが前端17a側を向くように且つ基板ケース13の取付面13eに底面21bが位置するように、開口部13dに収納されて取り付けられる。
【0035】
配線基板22は、電子部品を搭載し、電子部品同士を電気的に接続する略矩形形状の基板である。配線基板22は、主面22aと、主面22aと垂直を為し且つスイッチ24がその近くに設けられる端面22bと、前端17a側に設けられた凹部22cとを有する。凹部22cと取付部13cとの間には、基板スプリング14が配置され、配線基板22が基板ケース13に対して軸方向に移動可能である。配線基板22の前方は基板ケース13に収納され、配線基板22の後方は尾栓15に収納される。配線基板22は、フレキシブル基板23を介して検出部21と電気的及び機械的に接続される。
【0036】
スイッチ24は、配線基板22における通電のON/OFFを切り替えることで検出ユニット20(検出部21)のON/OFFを操作するスイッチであり、スイッチカバー30がその上に被せられる。スイッチ24は、配線基板22における通電のON/OFFを切り替える押釦24aと、押釦24aの一部をその内部に配置するスイッチ本体24bとを有する。スイッチ本体24bは、略直方体形状を呈している。スイッチ24は、押釦24aを押し込むことで通電をON状態とし、ON状態から押釦24aを再度押し込むことで通電をOFF状態とすることができる。押釦24aの押し込みは、スイッチカバー30によってなされる。スイッチ24は、押釦24aのON/OFF切り替えのための押し込み方向Xが配線基板22の主面22aに沿った方向となるように、且つ、押し込み方向Xと配線基板22の端面22bとが垂直を為すように、主面22aの端面22b寄りの部分に設けられている。スイッチ24は、スイッチ本体24bの底面(不図示)が主面22aと向かい合うように、主面22aに取り付けられている。押釦24aは、図4の(b)に示すように、配線基板22の上方から視た場合、端面22bの外側に突出している。
【0037】
USBコネクタ25は、バッテリー26の充電等を行うための部品である。USBコネクタ25は、図4の(b)に示すように、主面22aの後方部分、且つ、スイッチ24の上側に設けられている。USBコネクタ25の一部は、尾栓15の開口15dから外部に露出する。
【0038】
バッテリー26は、検出部21やモジュール27等を駆動させるための電源であり、一例としてUSBコネクタ25を介して充電される。バッテリー26は、軸方向に延在する略円柱形状を呈している(図2も参照)。バッテリー26は、図4の(b)に示すように、配線基板22の上方から視た場合、主面22aの中央部分、且つ、スイッチ24の左側に設けられている。
【0039】
モジュール27は、検出部21で検出される筆圧データ等を処理するCPU、及び、筆圧データ等の送受信を行うBluetooth(登録商標)を備えたモジュールである。モジュール27は、その他のデータを処理してもよい。モジュール27は、図4の(b)に示すように、配線基板22の上方から視た場合、主面22aのスイッチ24(バッテリー26)とUSBコネクタ25との間の部分に設けられ、略直方体形状を呈している。
【0040】
スイッチカバー30は、スイッチ24の押釦24aを押し込むと共に、スイッチ24を保護する部材である。スイッチカバー30は、後述するように後筒12に取り付けられ押し込み方向Xに移動することができる。スイッチカバー30は、例えば樹脂製である。スイッチカバー30は、図5に示すように、操作面31と、内面32と、周壁33(スイッチ操作部)と、側壁34とを有している。操作面31は、略矩形状を呈しつつ緩やかな丸みを帯びている。操作面31は、スイッチカバー30を押し込む際に、使用者が触れる部分である。スイッチカバー30は、操作面31を軸筒17の内側に押し込むことで、押し込み方向Xに移動することができる。操作面31の内面32は、図5の(b)に示すように、操作面31の反対側に位置している。
【0041】
周壁33は、後述するスイッチ24の押し込み操作の際に、スイッチ24の押釦24aを軸筒17の外側から内側に向かう方向に押し込む部材である。周壁33は、内面32と交差する方向に内面32から軸筒17の内側に向かって延在する略円筒形状の部材でもある。周壁33は、図5の(b)に示すように、その先端に互いに対向する第1先端部33a及び第2先端部33bを有する。第1先端部33a及び第2先端部33bは、スイッチカバー30を後筒12に取り付けた際に、主面22aと垂直を為す方向に対向している。これにより、第1先端部33a及び第2先端部33bは、スイッチ24の押し込み操作の際に、それぞれ押釦24a及び端面22bと当接する(図7も参照)。
【0042】
側壁34は、図5に示すように、スイッチカバー30の側部を形成する壁である。側壁34は、周壁33の外側であって内面32から軸筒17の内側に向かって延在している。側壁34には、互いに対向する一対の凹部34aが形成されている。スイッチカバー30を、後筒12に取り付けた際に、凹部34aが端面22bの上方に位置する(図7も参照)。側壁34には、凹部34aを挟み込むように、突起34bが形成されている。
【0043】
スイッチカバー30は、周壁33がスイッチ24の押釦24aを押し込む際に、筆記具1の一部に当接し、スイッチカバー30の押し込み方向Xの移動を規制するように構成されている。第1実施形態においては、後述するように、スイッチカバー30が配線基板22に当接することにより、押し込み方向Xのスイッチカバー30の移動が規制されている。
【0044】
ここで、図6を参照して、スイッチカバー30が後筒12(軸筒17)に取り付けられている状態を説明する。スイッチカバー30は、図6に示すように、主面22aに沿った方向(押し込み方向X)において後筒12の開口12gに位置している。スイッチカバー30は、スイッチスプリング40に付勢されることで、後筒12に取り付けられる。スイッチスプリング40は、図6に示すように、端面22bに取り付けられ、端面22bと内面32との間に位置している。スイッチスプリング40の内側には、押釦24aと周壁33とが位置している。スイッチスプリング40は、後筒12の開口12gに位置するスイッチカバー30を押し込み方向Xに沿って軸筒17の外側に向かって付勢する。これにより、スイッチカバー30は押し込み方向Xに沿って移動できる。付勢されたスイッチカバー30では突起34bが後筒12の内面12hと当接し、スイッチカバー30の軸筒17の外側への移動が規制される。これにより、スイッチカバー30の操作面31を含む一部が軸筒17の外側に位置しつつ、スイッチカバー30が後筒12に取り付けられている状態を維持することができる。
【0045】
次に、図7を参照して、スイッチ24の押し込み操作の際の各部材の動作を説明する。図7は、図1に示す筆記具1のVII-VII線に沿った断面図であり、(a)は、スイッチ24を押し込む前の状態を示す断面図であり、(b)は、スイッチ24を押し込んだ状態を示す断面図である。図7の(a)に示すように、軸方向から視た場合、押釦24aが端面22bよりも外側に突出している。
【0046】
図7の(a)及び(b)に示すように、スイッチカバー30を押し込むことで、スイッチカバー30が押し込み方向Xに沿って軸筒17の内側へ移動する。この際に、まず第1先端部33aが押釦24aと当接することで、押釦24a(スイッチ24)が押し込まれ、配線基板22における通電のON/OFFが切り替えられる。第1先端部33aが押釦24aを押し込んだ後、第2先端部33bは、端面22bと当接する。これにより、スイッチカバー30の押し込み方向Xの移動が規制される。すなわち、第1先端部33aが押釦24aを押し込んで通電のON/OFFを切り替えた後、第1先端部33aが押釦24aを過度に押し込まなくなるため、スイッチ24の破損又は配線基板22からの脱落を防ぐことができる。スイッチカバー30は、スイッチカバー30を押し込んだ後、スイッチスプリング40に付勢されることで、図7の(a)に示すように、後筒12に取り付けられた状態に戻る。
【0047】
図7の(a)に示すように、押釦24aが端面22bよりも外側に突出していることから、周壁33(スイッチ操作部)がスイッチ24を押し込む際に、上述に示すように周壁33が押釦24aと当接した後、周壁33が端面22bと当接してスイッチカバー30の移動が規制される。よって、スイッチカバー30の移動が規制される前に、スイッチ24を確実に押し込むことができる。
【0048】
なお、図7の(b)に示すように、スイッチカバー30を押し込んだ状態では、凹部34aの底と端面22bとが対向するように、配線基板22が凹部34aの内側に位置している。すなわち、スイッチカバー30を押し込む際には、側壁34と端面22bとが当接せず、スイッチカバー30の押し込み操作が阻害されない。
【0049】
次に、図7を参照して、各部材の配置関係について説明する。筆記具1では、図7の(a)に示すように、スイッチ24の押釦24aの押し込み方向Xが配線基板22の主面22aに沿った方向であるから、スイッチカバー30を主面22aと垂直を為す方向における配線基板22の上方に取り付けなくて済んでいる。これにより、筆記具1の他の部材である尾栓15及びノック16が配線基板22の上方を通過するように配置することができる。また、スイッチ24に対して主面22aに沿った方向の一方側(図7においてはスイッチ24の上側)にスイッチカバー30を取り付けることで、主面22aに沿った方向の他方側にバッテリー26を配置することができる。この際、スイッチカバー30を押し込むと、押釦24aを押し込むまでにスイッチカバー30が尾栓15、ノック16及びバッテリー26と当接せず、押釦24aを押し込むまでのスイッチカバー30の移動が阻害されない。よって、筆記具1では、同一断面上に尾栓15、ノック16、バッテリー26及びスイッチカバー30を配置することができている。仮に、スイッチカバー30を主面22aと垂直を為す方向における配線基板22の上方に取り付けた場合、スイッチカバー30の押釦24aを押し込むまでの移動が阻害されることなく同一断面上に尾栓15、ノック16、バッテリー26及びスイッチカバー30を配置することは難しい。したがって、筆記具1では、スイッチ24の押釦24aの押し込み方向Xを配線基板22の主面22aに沿った方向とすることで、筆記具1内のスペースを効率的に活用することができている。
【0050】
[第2実施形態]
次に、図8を参照して、第2実施形態に係る筆記具1Aについて説明する。図8は、第2実施形態に係る筆記具1Aにおいて図6に相当する断面図であり、スイッチカバー30Aを押し込んだ状態を示す断面図である。以下では、第1実施形態に係る筆記具1と相違する点を主に説明し、その他の説明は省略することがある。
【0051】
筆記具1Aは、第1実施形態に係る筆記具1と同様に、グリップ2、前筒3、継手4、ノックスプリング5、シャープメカ6、芯タンク7、中芯ホルダースプリング8、中芯ホルダー9、センサスプリング10、スライド駒11、後筒12、基板ケース13、基板スプリング14、尾栓15、ノック16、検出ユニット20、及び、スイッチスプリング40を備えて構成されている(例えば、図1及び図2を参照)。筆記具1Aは、スイッチカバー30とは構成が異なるスイッチカバー30Aを備える点において、第1実施形態と相違している。
【0052】
図8に示すように、第2実施形態に係るスイッチカバー30Aでは、軸筒17の外側に位置する一部に一対の突起35が設けられている。スイッチカバー30Aを押し込み方向Xに押し込むと、周壁33が押釦24aと当接して押釦24a(スイッチ24)を押し込む。スイッチ24を押し込む際には、一対の突起35が後筒12の外面12iと当接することで、スイッチカバー30Aの押し込み方向Xの移動が規制される。すなわち、スイッチカバー30Aでは、スイッチカバー30Aが軸筒17と当接することで、スイッチカバー30Aの押し込み方向Xの移動が規制される。一対の突起35は、三角形形状を呈しているが、他の形状であってもよい。突起35は、1つであってもよい。
【0053】
以上、本実施形態に係る筆記具1,1Aでは、スイッチ24は、スイッチ24の押釦24aの押し込み方向Xが配線基板22の主面22aに沿った方向となるように、配線基板22に取り付けられている。これにより、押釦24aを押し込むスイッチカバー30,30Aを配線基板22の主面22aに沿った方向に取り付けることができる。すなわち、スイッチカバー30,30Aを配線基板22の上方に取り付けなくて済む。よって、配線基板22の上方のスペースは空き、筆記具1,1A内のスペースを効率的に活用できる。また、本実施形態に係る筆記具1,1Aでは、周壁33(スイッチ操作部)がスイッチ24を押し込む際に、スイッチカバー30,30Aが軸筒17又は配線基板22と当接し、スイッチカバー30,30Aの押し込み方向Xの移動が規制される。これにより、周壁33がスイッチ24を過度に押し込むことを防ぐことができる。よって、スイッチ24が配線基板22から外れる又は破損することを防ぐことができ、スイッチ24の耐久性を高くすることができる。以上より、本実施形態に係る筆記具1,1Aによれば、筆記具1,1A内のスペースを効率的に活用すると共に、スイッチ24の耐久性を高くすることができる。
【0054】
また、筆記具1では、スイッチ24は、主面22aに交差する配線基板22の端面22bと押し込み方向Xとが交差するように、主面22aに設けられ、周壁33がスイッチ24を押し込む際に、周壁33が端面22bと当接し、スイッチカバー30の押し込み方向Xの移動を規制される。このように、端面22bと押し込み方向Xとが交差しているため、スイッチ24を押し込む際に、周壁33(スイッチ操作部)を端面22bと当接させることができる。よって、スイッチカバー30の押し込み方向Xの移動を規制することができる。
【0055】
また、筆記具1では、スイッチカバー30は、操作面31と、操作面31の内面32と交差する方向に内面32から軸筒17の内側に向かって延在する周壁33と、を有し、スイッチ操作部は、周壁33から構成されている。これにより、スイッチカバー30を押し込んで周壁33と押釦24aとが当接した際に、押釦24aから周壁33に働く力を内面32がすべて受けるようにすることができる。よって、スイッチ24(押釦24a)に押し込み力を確実に働かせることができ、確実にスイッチ24を押し込むことができる。
【0056】
また、筆記具1では、周壁33は、互いに対向する第1先端部33a及び第2先端部33bを有し、スイッチカバー30は、第1先端部33aがスイッチ24の押釦24aに当接し且つ第2先端部33bが配線基板22の端面22bに当接するように、軸筒17に取り付けられている。これにより、周壁33の先端部がスイッチ24の押釦24a又は端面22bと当接することから、スイッチ24を押し込む際のスイッチカバー30の移動は少なくて済む。よって、スイッチ24を容易に操作することができる。
【0057】
また、筆記具1,1Aでは、配線基板22の端面22bに取り付けられ、スイッチカバー30,30Aを押し込み方向Xに沿って軸筒17の内側から外側に向けて付勢するスイッチスプリング40(弾性部材)を更に備え、スイッチカバー30,30Aは、周壁33の外側であって内面32から軸筒17の内側に向かって延在する側壁34を有し、側壁34には突起34bが設けられており、スイッチスプリング40がスイッチカバー30,30Aを付勢する際に、突起34bが軸筒17と当接してスイッチカバー30,30Aの軸筒17の外側への移動が規制されている。これにより、スイッチ24を押し込んだ後に、スイッチスプリング40がスイッチカバー30,30Aをスイッチ24から離れる方向に移動させると共に、突起34bが軸筒17と当接することでスイッチカバー30,30Aが所定の位置に留まる。よって、使用者は連続してスイッチカバー30,30Aを押し込んで通電のON/OFFを切り替えることができ、スイッチ24を容易に操作することができる。
【0058】
また、筆記具1Aでは、スイッチカバー30Aは、操作面31と、操作面31の内面32と交差する方向に内面32から軸筒17の内側に向かって延在する周壁33と、を有し、スイッチ操作部は、周壁33から構成され、スイッチカバー30Aの一部には突起35が設けられており、周壁33がスイッチ24を押し込む際に、突起35が軸筒17と当接し、スイッチカバー30Aの押し込み方向Xの移動を規制されている。これにより、突起35が軸筒17と当接することでスイッチカバー30の押し込み方向Xの移動が規制され、周壁33(スイッチ操作部)がスイッチ24を過度に押し込むことを防ぐことができる。よって、スイッチ24が配線基板22から外れる又は破損することを防ぐことができ、スイッチ24の耐久性を高くすることができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく様々な実施形態に適用することができる。筆記具1,1Aでは、スイッチカバー30,30Aのそれぞれは、配線基板22及び軸筒17のそれぞれと当接していたが、スイッチカバーは筆記具の一部と当接して押し込み方向Xの移動が規制されればよく、例えばスイッチカバーは、押釦24aを押し込んだ後に尾栓15と当接して押し込み方向Xの移動が規制されてもよい。
【0060】
また、筆記具1では、周壁33が押釦24aと端面22bとの双方に当接していたが、周壁33と同じような形状の周壁を別に設けて、周壁33が押釦24aと当接し、別の周壁が端面22bと当接することで、スイッチ24の押し込みとスイッチカバー30の移動の規制がなされてもよい。この場合、周壁33と別の周壁との押し込み方向Xにおける長さは異なっていてもよく、押釦24aは、軸方向から視た場合、端面22bよりも外側に突出していなくてもよい(端面22bよりも内側に位置していてもよい。)。これにより、配線基板22の主面22aに沿った方向における全体の長さを短くすることができる。
【0061】
また、筆記具1,1Aでは、スイッチ操作部は周壁33から構成されていたが、スイッチ操作部の形状は他の形状であってもよく、例えば円柱形状であってもよい。また、筆記具1,1Aでは、中芯としてシャープメカを有するものを例示したが、中芯としてノック式のボールペンを採用したものに本発明を適用してもよい。また、筆記具1,1Aでは、筆記具1,1Aは筆圧検出機能を有していたが、配線基板と、配線基板(検出部)の通電のON/OFFを切り替えるスイッチと、スイッチカバーとを備えていれば、他の機能を有していてもよい。また、スイッチスプリング40は、スプリング以外の弾性を有する部材であってもよい。
【0062】
筆記具1,1Aでは、図6及び図8に示すように、スイッチカバー30,30Aのそれぞれの一部が軸筒17の外側に位置していたが、スイッチカバー30,30Aの操作面31が軸筒17の外面(外面12i)と同一面上、または、軸筒17の内側に位置していてもよい。これにより、筆記具1,1Aの径方向における長さが短くなるので、筆記具1,1Aを小型化することができる。
【0063】
検出ユニット20における各部材の配置構成は、筆圧データ等の送受信及びバッテリー26の充電ができるように適宜変更してもよく、例えばUSBコネクタ25によって筆圧データ等の送受信を行ってもよく、モジュール27をCPUを搭載したモジュールとBluetooth(登録商標)を搭載したモジュールとに分けてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1,1A…筆記具
2…グリップ
3…前筒
3a…前端
3b…後端
3c…開口
3d…開口
3e…貫通孔
3f…凹部
4…継手
4a…雄ネジ部
4b…突起
4c…後端
5…ノックスプリング
6…シャープメカ
6a…ペン先
6b…基部
6c…スプリング
6d…先端部
6e…嵌め込み孔
7…芯タンク
7a…前端
7b…後方部分
8…中芯ホルダースプリング
9…中芯ホルダー
9a…前端
9b…後端
9c…フランジ
9d…突起
9e…押圧面
10…センサスプリング
11…スライド駒
11a…前端
11b…後端
11c…スライド孔
11d…フランジ
11e…取付孔
12…後筒
12a…前端
12b…後端
12c…開口
12d…開口
12e…貫通孔
12f…スライド孔
12g…開口
12h…内面
12i…外面
13…基板ケース
13a…前端
13b…後端
13c…取付部
13d…開口部
13e…取付面
13f…貫通孔
14…基板スプリング
15…尾栓
15a…収納部
15b…後端
15c…円弧部
15d…開口
15e…貫通孔
16…ノック
16a…操作部
16b…アーム
16c…ラッチ
16d…開口
17…軸筒
17a…前端
17b…後端
20…検出ユニット
21…検出部
21a…検出面
21b…底面
22…配線基板
22a…主面
22b…端面
22c…凹部
23…フレキシブル基板
24…スイッチ
24a…押釦
24b…スイッチ本体
25…USBコネクタ
26…バッテリー
27…モジュール
30,30A…スイッチカバー
31…操作面
32…内面
33…周壁
33a…第1先端部
33b…第2先端部
34…側壁
34a…凹部
34b…突起
35…突起
40…スイッチスプリング
X…押し込み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8