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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074032
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】歪ゲージ式トルクセンサ構造
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G01L3/10 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185078
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】横浜 智明
(57)【要約】      (修正有)
【課題】機械的強度が高く、特別な気密保持手段が不要で、気密性が必要な用途にもそのままで使用可能な歪ゲージ式のトルク検出方式を提供すること。
【解決手段】歪ゲージ式トルクセンサ構造10は、固定部1、可動部2、固定部1と可動部2間の溝部3、溝部3に設けられた二個以上の歪ゲージ4a、4b、・・・、および歪検出部5を備えてなり、固定部1には各歪ゲージ4a等と接続する固定部側端子6が、また可動部2には各歪ゲージ4a等にそれぞれ接続する歪ゲージ個数分の可動部側端子7、7、・・・が設けられており、各端子6、7は歪検出部5に接続している構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、可動部と、該固定部と該可動部間の溝部と、該溝部に設けられた二個以上の歪ゲージと、歪検出部を備えてなり、
該固定部には各歪ゲージと接続する固定部側端子が、また
該可動部には各歪ゲージにそれぞれ接続する歪ゲージ個数分の可動部側端子が設けられており、
各端子は該歪検出部に接続していることを特徴とする、歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項2】
前記可動部のねじれによって本センサ装着物におけるトルクが検出されることを特徴とする、請求項1に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項3】
前記歪ゲージ二個により、前記可動部側には二接点、前記固定部側には一接点を有する構造を歪ゲージ構造とし、該歪ゲージ構造が複数組用いられていることを特徴とする、請求項2に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項4】
二組の前記歪ゲージ構造が本センサ装着物において対向して配置されている歪ゲージ構造ペアが形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項5】
前記歪ゲージ構造ペアが二組以上設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項6】
回転体の軸の一部が前記可動部となっていることを特徴とする、請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【請求項7】
前記回転体が角度センサであることを特徴とする、請求項6に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歪ゲージ式トルクセンサ構造に係り、特に機械的強度が高く、また気密性が必要な用途にも使用可能な、歪ゲージ式トルクセンサ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の歪ゲージ式トルクセンサの構成例(図中(a))およびその作用(図中(b))を示す説明図である。図示する従来例の歪ゲージ式トルクセンサ910は、装着対象に固定するための中心固定部91と、その外側の外側回転部92と、中心固定部91-外側回転部92間を繋ぐ4本の梁部93と、各梁部93上に配置された歪ゲージ94a、94b等により構成される(図では歪ゲージの一部のみを表示)。外側回転部92に回転力を加えることで梁部93が微小に変形し、歪ゲージ94a等に歪が生じる。この歪を検知してトルクに変換するのだが、回転方向によって歪ゲージ94a等の伸縮の方向が変化するため、トルクの印加方向も知ることができる。
【0003】
トルクセンサについては従来、特許出願等も多くなされている。たとえば後掲特許文献1には、部品点数が少なく、小型化容易、組付簡単、かつ高感度のトルクセンサとして、応力により磁気特性が変化する磁気歪み効果を有する磁歪材がシャフトの中心軸線に対して45度傾斜するように配置固定されており、その両端固定部間に検出用コイルが、検出用コイルの外周に励磁用コイルが巻回されてなる構成が開示されている。電流印加によって磁歪材→シャフト→磁歪材といった磁気回路が形成され、検出用コイルの出力端子間に誘導起電力が出力される、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-285706号公報「トルクセンサ及び歪み検出素子」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、従来の歪ゲージを用いたトルクセンサは梁構造を有し、梁の圧縮及び延伸時に生じる歪ゲージの抵抗値変化をトルクとして検出している。しかし、梁構造を有する場合、必然的に対象物は肉抜き状態となり、機械的強度が低下するという問題がある。また、完全な梁構造の場合、たとえば減速器のギヤオイルや摺動部の潤滑油が充填される際のように気密性が必要な用途において、気密を保つための手段を特別に用いる必要が生じる。機械的強度が高く、また特別に気密保持手段を必要としない方式が望まれる。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点をなくし、機械的強度が高く、また、特別な気密保持手段が不要で、気密性が必要な用途にもそのままで使用可能な、歪ゲージ式のトルク検出方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は上記課題について検討した結果、歪ゲージを用いるトルク検出機構を梁構造ではなく、単純な溝構造のみを用いることによって歪ゲージに対して伸縮を与え、トルクの大きさおよび方向を検出可能とする構成に想到した。たとえば軸構造の場合、周方向などに溝を設けることによって、溝を挟んだ両側の面には溝による部分的強度低下の影響で歪が生じる。発生した歪を、歪ゲージを用いて検出することで、軸に加わるトルクを歪ゲージの変化としてとらえることが可能となり、トルクセンサとして成立する。
【0008】
また、溝部分は、従来の梁部を備えた方式のように軸部分の肉厚部位を貫通する箇所を設ける必要が無く、気密を必要とする用途においても別段の対処を要せずに使用できる。以上の考察結果に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0009】
〔1〕 固定部と、可動部と、該固定部と該可動部間の溝部と、該溝部に設けられた二個以上の歪ゲージと、歪検出部を備えてなり、該固定部には各歪ゲージと接続する固定部側端子が、また該可動部には各歪ゲージにそれぞれ接続する歪ゲージ個数分の可動部側端子が設けられており、各端子は該歪検出部に接続していることを特徴とする、歪ゲージ式トルクセンサ構造。
〔2〕 前記可動部のねじれによって本センサ装着物におけるトルクが検出されることを特徴とする、〔1〕に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
〔3〕 前記歪ゲージ二個により、前記可動部側には二接点、前記固定部側には一接点を有する構造を歪ゲージ構造とし、該歪ゲージ構造が複数組用いられていることを特徴とする、〔2〕に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【0010】
〔4〕 二組の前記歪ゲージ構造が本センサ装着物において対向して配置されている歪ゲージ構造ペアが形成されていることを特徴とする、〔3〕に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
〔5〕 前記歪ゲージ構造ペアが二組以上設けられていることを特徴とする、〔4〕に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
〔6〕 回転体の軸の一部が前記可動部となっていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔3〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
〔7〕 前記回転体が角度センサであることを特徴とする、〔6〕に記載の歪ゲージ式トルクセンサ構造。
【発明の効果】
【0011】
本発明の歪ゲージ式トルクセンサ構造は上述のように構成されるため、これらによれば、機械的強度が高く、特別な気密保持手段が不要で気密性が必要な用途にもそのままで使用可能な、歪ゲージ式のトルクセンサ、トルク検出方式を提供することができる。すなわち梁構造を有さないという本発明によれば、従来のように梁を設けることによる肉抜き状態形成で機械的強度が低下することを低減できる。また、減速器のギヤオイルや摺動部の潤滑油が充填される際のように気密性が必要な用途において、特別に気密保持手段を必要としない。
【0012】
なお、軸構造での例について上述したが、本発明はかかる場合に限定されない。たとえば、平面上に溝を構成し、溝を挟む形で歪ゲージを配置する構成のトルクセンサ構造、トルクセンサとすることも可能である。また、梁の圧縮による変位は、梁の形状が複雑になるほど加工精度によるばらつきが大きくなり、これにより検出結果の信頼性が低下する。しかし、溝を用いる本発明によれば、溝は単純な機械加工で構成可能であるため、加工精度による影響を低減でき、検出結果の信頼性を高めることができる。
【0013】
また、回転体の軸の一部が可動部となっている構成の本発明によれば、たとえばブラシレスレゾルバやエンコーダといった既存の回転センサの軸を小変更することで、角度およびトルクを検出できる複合センサを構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の基本構成を概念的に示す説明図である。
図2】本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の構成例を示す説明図である。
図3図2に示す本発明構成例における動作を示す説明図である。
図4】複数組の歪ゲージ構造を有する本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の構成を示す説明図である。
図4-2】複数組の歪ゲージ構造の配置例を示す概念的な点を含む説明図である。
図5】本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の応用例(その1)の要部構成を示す上面視の説明図である。
図6】本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の応用例(その2)の要部構成を示す上面視の説明図である。
図7】回転体と一体となっている本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の基本構成を概念的に示す説明図である。
図8】角度センサ(レゾルバ)と一体となっている本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の構成例を示す説明図である。
図9】従来の歪ゲージ式トルクセンサの構成例およびその作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本歪ゲージ式トルクセンサ構造10は、固定部1と、可動部2と、固定部1と可動部2間の溝部3と、溝部3に設けられた二個以上の歪ゲージ4a、4b、・・・と、歪検出部5を備えてなり、固定部1には各歪ゲージ4a等と接続する固定部側端子6が、また可動部2には各歪ゲージ4a等にそれぞれ接続する歪ゲージ個数分の可動部側端子7、7、・・・が設けられており、各端子6、7は歪検出部5に接続していることを基本的構成とする。歪ゲージ4a等は、図示するように二個単位でV字状に配置する構成とする。
【0016】
かかる構成により本歪ゲージ式トルクセンサ構造10では、溝部3を挟んで固定部1と対向する可動部2において、固定部1に対してのねじれ(トルク)が発生すると、溝部3における部分的強度低下の影響で歪が生じる。発生した歪は歪ゲージ4a等の変化、つまり歪として捉えられ、その信号は固定部1側の固定部側端子6、および可動部2側の歪ゲージ個数分の可動部側端子7、7、・・・を介して歪検出部5へと送られ、歪検出部5での処理により変換されて、トルクとして検出される。
【0017】
図示する二個の歪ゲージを用いた構成に即して説明する。
溝3を挟み固定部1と可動部2において歪ゲージ4a、4bの固定を行い、トルクが印加されてひねられた際に生じる微小な変位を、V字状に配置された二個の歪ゲージ4a、4bの変位で検出する。印加されるトルクの方向によって、V字状を構成する左右の各歪ゲージ4a、4bが相反する変位で増減する。たとえば、右から左へのひねりを加えた場合、左側の歪ゲージ4aは縮み、右側の歪ゲージ4bは伸びることとなる。伸縮の量によってトルクの大小を検出できるとともに、伸縮の差異を用いて、ひねりの方向つまりトルクの方向を検出することができる。
【0018】
一般的に抵抗値の変位は微小であるため、4系統の歪ゲージを準備し、ホイートストンブリッジ回路を採用することもできるが、基本的に一本以上の溝と二個以上の歪ゲージを有することで、トルクの方向および力を得ることができる。なお、溝部3の具体的な構造は特に限定されないが、たとえば直線状であることに限定される必要はなく、単純に、断面が凹状の構造であればよい。溝部3の幅や深さなども適宜に設計可能である。
【0019】
図2は、本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の構成例を示す説明図である。また図3は、図2に示す本発明構成例における動作を示す説明図である。本構成例に示すように歪ゲージ式トルクセンサ構造210は、固定部21と、可動部22と、固定部21と可動部22間の溝部23と、溝部23に設けられた二個の歪ゲージすなわち第一歪ゲージ24a、第二歪ゲージ24bと、歪検出部25を備えてなり、固定部21には各歪ゲージ24a、24bと接続する固定部側端子26が、また可動部22には各歪ゲージ24a、24bにそれぞれ接続する歪ゲージ個数分の可動部側端子27、27が設けられており、各端子26、27、27は歪検出部25に接続している構成である。なお、固定部側端子26、可動部側端子27は絶縁層NC上に設けられている。
【0020】
かかる構成により本歪ゲージ式トルクセンサ構造210では、溝部23を挟んで固定部21と対向する可動部22に対して、図3に示すような矢印方向のねじりTwを加えた場合、歪の影響による移動Mvによって第一歪ゲージ24aは伸び、第二歪ゲージ24bは縮む。各歪ゲージ24a、24bにおける伸び縮みの量、および伸び縮みの方向―――前者では「伸び」、後者では「縮み」―――に係る信号が、固定部側端子26、および可動部側端子27、27を介して歪検出部25へと送られる。この信号に基づく処理によって歪検出部25ではトルクが検出される。すなわち、伸び縮みの量が計算されてトルクの力が、また伸び縮みの方向によりトルクの向きが得られる。
【0021】
図4は、本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造における歪ゲージ構造の構成を示す説明図である。また、図4-2は複数組の歪ゲージ構造の配置例を示す概念的な点を含む説明図である。図4に示すように本歪ゲージ式トルクセンサ構造410においては、二個の歪ゲージ44a、44bにより、可動部42側には二接点、固定部41側には一接点を有する構造を歪ゲージ構造48とし、この歪ゲージ構造48が複数組用いられている構成とすることができる。
【0022】
複数組の歪ゲージ構造配置方法としては、図4-2中の(i)に示すように、それぞれの歪ゲージ構造48を離隔して配置する方法の他、(ii)に示すように、V字状をなす歪ゲージ構造48における可動部側端子47を共有して歪ゲージ構造48を追加して連続的に繋げる形態とする配置方法もあり得る。ただしこの配置は、伸び縮みの関係が等しい歪ゲージ構造の連続であるため、得られる情報は冗長な情報に留まる可能性がある。
【0023】
図5は、本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の応用例(その1)の要部構成を、図6は応用例(その1)の要部構成をそれぞれ模式的に示す上面視の説明図であり、上面視円形の装着対象または本歪ゲージ式トルクセンサ構造における歪ゲージ構造の平面配置を示す。また、いずれも図4-2中の(a)で示した複数の歪ゲージ構造を離隔して配置する例に係る。まず、図5に示すように応用例(その1)は、二組の歪ゲージ構造58、58が、本センサ装着物において対向して配置されている歪ゲージ構造ペア59が形成されている構成である。
【0024】
かかる歪ゲージ構造ペア59の構成を採ることにより、二組の歪ゲージ構造58、58の出力差を検出することで、トルク検出精度向上を図ることができる。それに加えて、本歪ゲージ式トルクセンサ構造510に倒れ等の姿勢の変化が生じた場合、その影響を把握することも可能である。図では、歪ゲージ構造ペア59を構成する二組の歪ゲージ構造58、58をその配置された位置により「1」、「2」としているが、たとえば本歪ゲージ式トルクセンサ構造510が「2」の歪ゲージ構造58側に倒れた場合は、「1」側が伸びる方向、「2」側が縮む方向に変化することを検出できるからである。なお、図中の両方向矢印は、倒れの方向を示す。
【0025】
次に、図6に示すように応用例(その2)は、歪ゲージ構造ペア69が二組以上設けられている構成である。つまり、二組の歪ゲージ構造68、68を本センサ装着物において対向して配置してなる歪ゲージ構造ペア69が、二組(歪ゲージ構造ペア69、69)以上用いられている構成である。図では、二組の歪ゲージ構造ペアを有する例を示しており、上下に配置された歪ゲージ構造68、68はその配置された位置によりそれぞれ「1」、「2」とし、一方、左右に配置された歪ゲージ構造68、68はその配置された位置によりそれぞれ「3」、「4」としている。説明の便宜上、「1」および「2」からなるペアを歪ゲージ構造ペア69V、「3」および「4」からなるペアを歪ゲージ構造ペア69Hとする。
【0026】
図示するように、歪ゲージ構造ペア69を交差させて二組(歪ゲージ構造68を四組)用いることにより、二組の歪ゲージ構造68、68の出力差検出によるトルク検出精度向上効果を、二つの方向において得ることができる。それに加えて、本歪ゲージ式トルクセンサ構造610に倒れ等の姿勢の変化が生じた場合、その影響を二つの方向において把握することが可能である。たとえば本歪ゲージ式トルクセンサ構造610が「2」の歪ゲージ構造68側に倒れた場合は、歪ゲージ構造ペア69Vにおいて「1」側が伸びる方向、「2」側が縮む方向に変化することを検出でき、同様に歪ゲージ構造ペア69Hにおいて「4」の歪ゲージ構造68側に倒れた場合は、「3」側が伸びる方向、「4」側が縮む方向に変化することを検出でき、二方向における姿勢変化検知が可能である。
【0027】
以上、図示した二組の歪ゲージ構造ペア69、69に即して説明したが、本発明はこれに限定されず、三組以上の歪ゲージ構造ペアを有する構成としてもよい。それによってさらに、姿勢変化検知可能な方向を増やすことができる。しかしながら、実用的には、二組の歪ゲージ構造ペア69、69を有する構成で十分な効果が得られる。
【0028】
図7は、回転体と一体となっている本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように本歪ゲージ式トルクセンサ構造710は、回転体Rの軸Xの一部が可動部72となっている構成とすることができる。かかる構成により、歪ゲージ式トルクセンサ710を備えた回転体Rとすることができる。
【0029】
図8は、角度センサと一体となっている本発明歪ゲージ式トルクセンサ構造の構成例を示す説明図である。すなわち、図7で示した構成において、回転体Rを角度センサASとしたものである。なお、図では、角度センサASの例としてレゾルバを示している。角度センサASの軸AX部分に溝部83を設けて、それを挟んで固定部81および可動部82が形成された構造とし、溝部83に歪ゲージ84a、84b等を配置することにより、歪ゲージ式トルクセンサ構造810が形成されている。これにより、角度センサおよびトルクセンサを兼ね備えた構造とすることができ、角度センサASにおいてトルクセンサの機能をも得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の歪ゲージ式トルクセンサ構造によれば、機械的強度が高く、特別な気密保持手段が不要で気密性が必要な用途にもそのままで使用可能な、歪ゲージ式のトルクセンサ、トルク検出方式を提供することができる。したがって、トルクセンサ製造・使用分野、FA分野、およびこれらに関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0031】
1、21、41、71、81…固定部
2、22、42、72、82…可動部
3、23、43、73、83…溝部
4a、4b、44a、44b、74a、74b、84a、84b…歪ゲージ
5、25…歪検出部
6、26、46…固定部側端子
7、27、47…可動部側端子
10、210、410、410b、510、610、710、810…歪ゲージ式トルクセンサ構造
24a…第一歪ゲージ
24b…第二歪ゲージ
48、58、68、78…歪ゲージ構造
59、69、69H、69V…歪ゲージ構造ペア
AS…角度センサ
AX、X…回転体の軸
Mv…歪の影響による移動
NC…絶縁層
R…回転体
Tw…ねじり
(以下は従来技術に係る)
91…中心固定部
92…外側回転部
93…梁部
94a、94b…歪ゲージ
910…従来例の歪ゲージ式トルクセンサ
図1
図2
図3
図4
図4-2】
図5
図6
図7
図8
図9