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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074037
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】画像形成装置に備えられる電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20240523BHJP
   H02M 3/28 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H02M3/00 E
H02M3/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185086
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 尉浩
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA01
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB23
5H730BB43
5H730BB57
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730FD11
5H730FD41
(57)【要約】
【課題】必要なノイズ除去をおろそかにすることなく画像形成装置の省電力化を達成することが可能な電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置10Aは、フィルタ部20と、フィルタ部20を介して供給される交流電力で画像形成部50に電力を供給する主電源部30と、フィルタ部20を介して供給される交流電力で定着ヒーター部51に電力を供給するヒーター用電源部40とを備える。フィルタ部20は、共通ライン21a,21bと、共通ラインと主電源部30とを接続する第1分岐ライン22a,22bと、共通ラインとヒーター用電源部40とを切り離し可能に接続する第2分岐ライン23a,23bと、共通ラインに設けられた第1XコンデンサC1と、第1分岐ラインに切り離し可能に設けられた第2XコンデンサC2と、第2分岐ラインに設けられ、ヒーター用電源部40とともに共通ラインから切り離される第3XコンデンサC3とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と定着ヒーター部とを備えた画像形成装置に備えられる電源装置であって、
フィルタ部と、
前記フィルタ部を介して供給される外部からの交流電力を利用して前記画像形成部に必要な電力を供給する主電源部と、
前記フィルタ部を介して供給される外部からの交流電力を利用して前記定着ヒーター部に必要な電力を供給するヒーター用電源部と、
を備え、
前記フィルタ部は、
外部から交流電力が供給される共通ラインと、
前記共通ラインと前記主電源部とを接続する第1分岐ラインと、
前記共通ラインと前記ヒーター用電源部とを切り離し可能に接続する第2分岐ラインと、
前記共通ラインに設けられた第1Xコンデンサと、
前記第1分岐ラインに切り離し可能に設けられた第2Xコンデンサと、
前記第2分岐ラインに設けられ、前記ヒーター用電源部が前記共通ラインから切り離されると前記ヒーター用電源部とともに前記共通ラインから切り離される第3Xコンデンサと、
を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2Xコンデンサは、前記主電源部が供給する電力が予め設定された第1閾値以上であるときに前記第1分岐ラインに接続され、それ以外のときに前記第1分岐ラインから切り離される
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記ヒーター用電源部および前記第3Xコンデンサは、前記画像形成装置の動作モードが非省電力モードであり、かつ前記画像形成装置に備えられた交換作業用カバーが閉じられているときに前記共通ラインに接続され、それ以外のときに前記共通ラインから切り離される
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記ヒーター用電源部および前記第3Xコンデンサは、前記主電源部が供給する電力が予め設定された第2閾値(ただし、第2閾値>第1閾値)以上であるときに前記共通ラインに接続され、それ以外のときに前記共通ラインから切り離される
ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記フィルタ部は、
前記第2Xコンデンサに直列接続された、予め設定された第3閾値以上の電圧で閉じる第1リレーと、
前記第2分岐ラインに介装された、予め設定された第4閾値(ただし、第4閾値>第3閾値)以上の電圧で閉じる第2リレーと、
をさらに含み、
前記主電源部が供給する電力に比例する電圧が、前記第1リレーおよび前記第2リレーの双方に印加される
ことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記フィルタ部は、
前記第2Xコンデンサに直列接続された第1リレーと、
前記第2分岐ラインに介装された、前記第1リレーと同一の第2リレーと、
予め設定された第5閾値以上の電圧で導通する第1ツェナーダイオードと、
予め設定された第6閾値(ただし、第6閾値>第5閾値)以上の電圧で導通する第2ツェナーダイオードと、
をさらに含み、
前記主電源部が供給する電力に比例する電圧が、前記第1ツェナーダイオードを介して前記第1リレーに印加されるとともに前記第2ツェナーダイオードを介して前記第2リレーに印加される
ことを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
【請求項7】
前記第2Xコンデンサの容量値は、前記第1Xコンデンサの容量値よりも大きく、前記第3Xコンデンサの容量値よりも小さい
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に備えられる電源装置に関し、特に画像形成装置の省電力化に寄与する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ますます厳しくなるエナジースター等の消費電力規制に適合するために、事務機器メーカーは、自社機器の消費電力を下げる努力を続けている。消費電力が低いこと、特に、稼働時だけではなくスリープ時や待機時を含む総合的な消費電力の指標であるTEC値が低いことは、他社機器に対する強みにもなり得る。
【0003】
特許文献1には、このような状況下で開発された画像形成装置(複合機)が開示されている。この画像形成装置は、スリープモードで動作する際に、定着ヒーターに電力を供給する交流電力ラインに設けられたノイズ除去のためのXコンデンサが切り離されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-21764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記画像形成装置は、スリープモードでの動作中に一時的に消費電力が増大した場合に、Xコンデンサが切り離されてしまっているために必要なノイズ除去を行うことができなかった。なお、スリープモードの消費電力は、印刷データを格納したUSBメモリがUSB端子に挿入され、画像形成装置とUSBメモリとの間でデータのやり取りが発生した場合等に一時的に増大する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、必要なノイズ除去をおろそかにすることなく画像形成装置の省電力化を達成することが可能な電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電源装置は、画像形成部と定着ヒーター部とを備えた画像形成装置に備えられるものであって、フィルタ部と、フィルタ部を介して供給される外部からの交流電力を利用して画像形成部に必要な電力を供給する主電源部と、フィルタ部を介して供給される外部からの交流電力を利用して定着ヒーター部に必要な電力を供給するヒーター用電源部とを備え、フィルタ部は、外部から交流電力が供給される共通ラインと、共通ラインと主電源部とを接続する第1分岐ラインと、共通ラインとヒーター用電源部とを切り離し可能に接続する第2分岐ラインと、共通ラインに設けられた第1Xコンデンサと、第1分岐ラインに切り離し可能に設けられた第2Xコンデンサと、第2分岐ラインに設けられ、ヒーター用電源部が共通ラインから切り離されるとヒーター用電源部とともに共通ラインから切り離される第3Xコンデンサとを含む、との構成を有している。
【0008】
この構成では、第1Xコンデンサがフィルタ部の共通ラインに常に接続されている。したがって、この構成によれば、損失低減のために第2Xコンデンサおよび第3Xコンデンサを切り離したときにおいても、必要最小限のノイズ除去を行うことができる。
【0009】
上記電源装置の第2Xコンデンサは、主電源部が供給する電力が予め設定された第1閾値以上であるときに第1分岐ラインに接続され、それ以外のときに第1分岐ラインから切り離されることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、主電源部が供給する電力の増加に伴って増加したノイズを、2つのXコンデンサで強力に除去することができる。
【0011】
上記電源装置の一態様において、ヒーター用電源部および第3Xコンデンサは、画像形成装置の動作モードが非省電力モードであり、かつ画像形成装置に備えられた交換作業用カバーが閉じられているときに共通ラインに接続され、それ以外のときに共通ラインから切り離されるようになっていてもよい。
【0012】
この構成では、画像形成装置の動作モードが非省電力モードであり、かつ画像形成装置に備えられた交換作業用カバーが閉じられているとき、すなわち、ノイズの増加が見込まれるときに第3Xコンデンサが接続される。したがって、この構成によれば、増加したノイズを3つのXコンデンサでより強力に除去することができる。
【0013】
上記電源装置の別の一態様において、ヒーター用電源部および第3Xコンデンサは、主電源部が供給する電力が予め設定された第2閾値(ただし、第2閾値>第1閾値)以上であるときに共通ラインに接続され、それ以外のときに共通ラインから切り離されるようになっていてもよい。
【0014】
この構成によっても、主電源部が供給する電力の増加に伴って増加したノイズを、3つのXコンデンサで強力に除去することができる。
【0015】
上記別の一態様の電源装置のフィルタ部は、第2Xコンデンサに直列接続された、予め設定された第3閾値以上の電圧で閉じる第1リレーと、第2分岐ラインに介装された、予め設定された第4閾値(ただし、第4閾値>第3閾値)以上の電圧で閉じる第2リレーとをさらに含み、主電源部が供給する電力に比例する電圧が、第1リレーおよび第2リレーの双方に印加されるようになっていてもよい。
【0016】
あるいは、上記別の一態様の電源装置のフィルタ部は、第2Xコンデンサに直列接続された第1リレーと、第2分岐ラインに介装された、第1リレーと同一の第2リレーと、予め設定された第5閾値以上の電圧で導通する第1ツェナーダイオードと、予め設定された第6閾値(ただし、第6閾値>第5閾値)以上の電圧で導通する第2ツェナーダイオードとをさらに含み、主電源部が供給する電力に比例する電圧が、第1ツェナーダイオードを介して第1リレーに印加されるとともに第2ツェナーダイオードを介して第2リレーに印加されるようになっていてもよい。
【0017】
第1Xコンデンサの容量値が大きいと省電力モードにおいて損失が増加し、第3Xコンデンサの容量値が小さいと非省電力モードにおいて十分にノイズを除去することができない。これらのことから、上記電源装置の第2Xコンデンサの容量値は、第1Xコンデンサの容量値よりも大きく、第3Xコンデンサの容量値よりも小さいことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、必要なノイズ除去をおろそかにすることなく画像形成装置の省電力化を達成することが可能な電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施例に係る電源装置およびその周辺を示す図である。
図2図1に示す主電源部の具体的構成を示す回路図である。
図3】本発明の第2実施例に係る電源装置およびその周辺を示す図である。
図4】本発明の第3実施例に係る電源装置およびその周辺を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る電源装置の実施例について説明する。
【0021】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る電源装置10Aを示す。電源装置10Aは、フィルタ部20と、主電源部30と、ヒーター用電源部40とを備えている。電源装置10Aは、ローラーで用紙を送りながら該用紙上に画像を転写して定着させる画像形成部50、定着のための定着ヒーター部51、USB端子等からなるインタフェース部52、タッチパネルディスプレイや物理ボタン等からなる操作部53、トナーカートリッジの交換や詰まった用紙を取り除く際に開けられる交換作業用カバー54(以下、単に「カバー」ともいう)、操作部53が受け付けたユーザ指令およびカバー54の開閉状態等に基づいて画像形成部50等を制御する制御部55とともに、複合機と呼ばれる画像形成装置を構成している。画像形成装置の動作モードには、省電力モード(=スリープモード)および非省電力モード(=スリープモード以外のモード。「非スリープモード」ともいう)がある。
【0022】
フィルタ部20は、商用交流電源に接続される入力端子11から主電源部30等において生じたノイズが漏れ出すのを防ぐためのノイズ除去を行うよう構成されたもので、入力端子11に接続された共通ライン21a,21bと、共通ライン21a,21bと主電源部30とを接続する第1分岐ライン22a,22bと、共通ライン21a,21bとヒーター用電源部40とを切り離し可能に接続する第2分岐ライン23a,23bとを含んでいる。
【0023】
また、フィルタ部20は、第1分岐ライン22a,22bに介装されたコモンモードチョークコイルL1,L2と、フィルムコンデンサからなる3つのXコンデンサ、すなわち、第1XコンデンサC1、第2XコンデンサC2および第3XコンデンサC3と、第2XコンデンサC2に直列接続された第1リレーRL1と、第2分岐ライン23bに介装された第2リレーRL2とを含んでいる。
【0024】
第1XコンデンサC1は、一端が共通ライン21aに接続されるとともに他端が共通ライン21bに接続されている。第1XコンデンサC1の容量値は、0.1μFである。
【0025】
第2XコンデンサC2は、コモンモードチョークコイルL1よりも主電源部30側において一端が第1分岐ライン22aに接続されるとともにコモンモードチョークコイルL2よりも主電源部30側において他端が第1リレーRL1を介して第1分岐ライン22bに接続されている。つまり、第2XコンデンサC2は、第1分岐ライン22a,22bに切り離し可能に設けられている。第2XコンデンサC2の容量値は、0.22μFである。
【0026】
第3XコンデンサC3は、一端が第2分岐ライン23aに接続されるとともに第2リレーRL2よりもヒーター用電源部40側において他端が第2分岐ライン23bに接続されている。つまり、第3XコンデンサC3は、ヒーター用電源部40が共通ライン21a,21bから切り離されるとヒーター用電源部40とともに共通ライン21a,21bから切り離されるようになっている。第3XコンデンサC3の容量値は、2μFである。
【0027】
主電源部30は、フィルタ部20の第1分岐ライン22a,22bと、画像形成部50、インタフェース部52および操作部53へと延びる主出力ライン31a,31bとに接続されている。主電源部30は、フィルタ部20を介して供給される交流電力を利用して、画像形成部50、インタフェース部52および操作部53にこれらが必要とする直流電力を供給する。
【0028】
図2に示すように、主電源部30は、交流側が第1分岐ライン22a,22bに接続されるとともに直流側が基準ライン33および直流入力ライン34に接続されたダイオードブリッジDBと、一端が直流入力ライン34に接続されるとともに他端が基準ライン33に接続された平滑コンデンサC4と、一端が直流入力ライン34に接続された1次巻線T1と、ドレインが1次巻線T1の他端に接続されるとともにソースが基準ライン33に接続されたMOSFETからなるスイッチング素子SWとを含んでいる。
【0029】
主電源部30は、一端が主出力ライン31bに接続された2次巻線T2と、アノードが2次巻線T2の他端に接続されるとともにカソードが主出力ライン31aに接続された整流ダイオードD1と、一端が主出力ライン31aに接続されるとともに他端が主出力ライン31bに接続された平滑コンデンサC5とを含んでいる。
【0030】
また、主電源部30は、一端が基準ライン33に接続された補助巻線T3と、アノードが補助巻線T3の他端に接続されるとともにカソードが補助出力ライン32に接続された整流ダイオードD2と、一端が基準ライン33に接続されるとともに他端が補助出力ライン32に接続された平滑コンデンサC6と、基準ライン33-補助出力ライン32間の電圧(以下、「補助電圧」という)を電源電圧として動作するスイッチング制御部35とを含んでいる。
【0031】
1次巻線T1、2次巻線T2および補助巻線T3は、トランスTを構成している。
【0032】
スイッチング制御部35がスイッチング素子SWのゲート-ソース間電圧を変化させることにより該スイッチング素子SWを開閉させると、1次巻線T1に生じる電圧が変化し、これにより2次巻線T2および補助巻線T3に生じる電圧も変化する。2次巻線T2に生じた電圧は、整流ダイオードD1および平滑コンデンサC5によって直流化される。また、補助巻線T3に生じた電圧は、整流ダイオードD2および平滑コンデンサC6によって直流化され、前述の補助電圧となる。補助電圧は、主電源部30が主出力ライン31a,31bを介して画像形成部50等に供給する電力(以下、「主出力電力」という)に概ね比例する。
【0033】
ヒーター用電源部40は、フィルタ部20の第2分岐ライン23a,23bと、定着ヒーター部51とに接続されている。ヒーター用電源部40は、フィルタ部20を介して供給される交流電力を利用して、定着ヒーター部51の温度が所定の温度となるように該定着ヒーター部51に断続的に電力を供給する。
【0034】
主電源部30の補助出力ライン32および基準ライン33は、第1リレーRL1に接続されている。より詳しくは、補助出力ライン32は、第1リレーRL1を構成する制御コイルの一端に接続され、基準ライン33は、第1リレーRL1を構成する制御コイルの他端に接続されている。
【0035】
第1リレーRL1は、基準ライン33-補助出力ライン32間の電圧、すなわち、前述の補助電圧が予め設定された作動電圧以上であるときは閉状態となり、それ以外のときは開状態となるよう構成されている。本実施例では、この作動電圧が“主出力電力が0.5W(=予め設定された第1閾値)であるときの補助電圧”に設定されている。このため、第2XコンデンサC2は、主出力電力が0.5W以上であるときは第1分岐ライン22a,22bに接続され、主出力電力が0.5W未満であるときは第1分岐ライン22a,22bから切り離される。
【0036】
第2リレーRL2には、主電源部30の基準ライン33と、制御部55から延びるリレー制御ライン56とが接続されている。より詳しくは、基準ライン33は、第2リレーRL2を構成する制御コイルの一端に接続され、リレー制御ライン56は、第2リレーRL2を構成する制御コイルの他端に接続されている。
【0037】
第2リレーRL2は、基準ライン33-リレー制御ライン56間の電圧が予め設定された作動電圧以上であるときは閉状態となり、それ以外のときは開状態となるよう構成されている。本実施例では、制御部55は、画像形成装置の動作モードが非スリープモードであり、かつカバー54が閉じられているときにリレー制御ライン56の電位を基準ライン33-リレー制御ライン56間の電圧が上記作動電圧以上となるまで上昇させる。このため、第3XコンデンサC3は、画像形成装置の動作モードが非スリープモードであり、かつカバー54が閉じられているときは第2分岐ライン23a,23bおよび第2リレーRL2を介して共通ライン21a,21bに接続され、それ以外のとき、すなわち、画像形成装置の動作モードがスリープモードであるとき、および画像形成装置の動作モードが非スリープモードであり、かつカバー54が開けられているときは共通ライン21a,21bから切り離される。
【0038】
なお、本実施例では、第1リレーRL1および第2リレーRL2の作動電圧は同一である。
【0039】
整理すると、表1に示すように、第1XコンデンサC1は、画像形成装置の動作モード、カバー54の開閉状態および主出力電力の多寡に関わらず常に共通ライン21a,21bに接続されており、第2XコンデンサC2は、画像形成装置の動作モードおよびカバー54の開閉状態に関わらず主出力電力が0.5W以上であるときに第1分岐ライン22a,22bに接続され、第3XコンデンサC3は、画像形成装置の動作モードが非スリープモードであり、かつカバー54が閉じられているときに共通ライン21a,21bに接続される。
【表1】
【0040】
なお、画像形成装置は、操作部53が操作されないまま一定期間(例えば、5分間)が経過した場合や操作部53に含まれるスリープボタンが押された場合等に、動作モードが非スリープモードからスリープモードに切り替わる。また、画像形成装置は、操作部53が操作された場合等に、スリープモードから非スリープモードに切り替わる。
【0041】
このように、本実施例では、画像形成装置の動作モードがスリープモードであり、かつ主出力電力が0.5W未満である場合に、容量値が0.22μFである第2XコンデンサC2および容量値が2μFである第3XコンデンサC3が切り離された状態となる。言い換えると、本実施例では、このような場合に、容量値が0.1μFである第1XコンデンサC1のみが接続され状態となる。このため、本実施例によれば、Xコンデンサの漏れ電流に起因する損失を最小限に抑えることができる。
【0042】
また、本実施例では、スリープモードでありながら主出力電力が0.5W以上となった場合に、第1XコンデンサC1よりも大容量な第2XコンデンサC2が接続される。このため、本実施例によれば、主出力電力の増加に伴って増加したノイズを2つのXコンデンサC1,C2によって低減することができる。なお、スリープモードの主出力電力は、インタフェース部52にUSBメモリが挿入され、画像形成装置とUSBメモリとの間でデータのやり取りが発生した場合等に、0.5Wを超えることがある。
【0043】
また、本実施例では、動作モードが非スリープモードであり、かつカバー54が閉じられているときに第2XコンデンサC2よりもさらに大容量な第3XコンデンサC3が接続される。このため、本実施例によれば、画像形成部50が用紙上に画像を形成し、定着させる際に生じ得る比較的大きなノイズを3つのXコンデンサC1,C2,C3によって低減することができる。
【0044】
[第2実施例]
図3に、本発明の第2実施例に係る電源装置10Bを示す。電源装置10Bは、第2リレーRL2に補助出力ライン32および基準ライン33が接続されている点(すなわち、第2リレーRL2を構成する制御コイルの一端に補助出力ライン32が接続され、かつ該制御コイルの他端に基準ライン33が接続されている点)と、リレー制御ライン56が存在しない点と、第1リレーRL1の作動電圧が予め設定された第3閾値である点と、第2リレーRL2の作動電圧が予め設定された第4閾値(ただし、第4閾値>第3閾値)である点とにおいて電源装置10Aと相違しているが、その他の点においては電源装置10Aと共通している。
【0045】
第3閾値は、“主出力電力が0.5W(=予め設定された第1閾値)であるときの補助電圧”に設定されている。また、第4閾値は、“主出力電力が10W(=予め設定された第2閾値)であるときの補助電圧”に設定されている。このため、本実施例では、主出力電力が増加して0.5W以上になると第1リレーRL1が閉状態となって第2XコンデンサC2が接続され、主出力電力がさらに増加して10W以上になると第2リレーRL2が閉状態となって第3XコンデンサC3が接続される。
【0046】
これを整理したのが表2である。
【表2】
【0047】
本実施例によれば、第1実施例と同様の効果が得られる。すなわち、本実施例によれば、必要なノイズ除去をおろそかにすることなくXコンデンサの漏れ電流に起因する損失を低減することができる。
【0048】
[第3実施例]
図4に、本発明の第3実施例に係る電源装置10Cを示す。電源装置10Cは、第1リレーRL1および第2リレーRL2の作動電圧が同一である点と、フィルタ部20が2つのツェナーダイオードZD1,ZD2を含んでいる点とにおいて電源装置10Bと相違しているが、その他の点においては電源装置10Bと共通している。
【0049】
第1ツェナーダイオードZD1は、第1リレーRL1の制御コイルに直列接続されるように補助出力ライン32に介装されており、予め設定された第5閾値以上の電圧で導通する。このため、第1リレーRL1は、補助電圧が第1リレーRL1の作動電圧および第5閾値の和電圧以上になると閉状態となる。本実施例では、この和電圧が“主出力電力が0.5W(=予め設定された第1閾値)であるときの補助電圧”に一致するように、作動電圧および第5閾値が設定されている。
【0050】
第2ツェナーダイオードZD2は、第2リレーRL2の制御コイルに直列接続されるように補助出力ライン32に介装されており、予め設定された第6閾値以上の電圧で導通する。このため、第2リレーRL2は、補助電圧が第2リレーRL2の作動電圧および第6閾値の和電圧以上になると閉状態となる。本実施例では、この和電圧が“主出力電力が10W(=予め設定された第2閾値)であるときの補助電圧”に一致するように、作動電圧および第6閾値が設定されている。
【0051】
このため、本実施例では、第2実施例と同様に、主出力電力が増加して0.5W以上になると第1リレーRL1が閉状態となって第2XコンデンサC2が接続され、主出力電力がさらに増加して10W以上になると第2リレーRL2が閉状態となって第3XコンデンサC3が接続される(表2参照)。
【0052】
本実施例によれば、第1実施例および第2実施例と同様の効果が得られる。すなわち、本実施例によれば、必要なノイズ除去をおろそかにすることなくXコンデンサの漏れ電流に起因する損失を低減することができる。
【0053】
以上、本発明に係る電源装置の第1実施例~第3実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
【0054】
[変形例]
例えば、各実施例における第1リレーRL1は、第2XコンデンサC2と第1分岐ライン22aの間に位置していてもよい。
【0055】
また、各実施例における第2リレーRL2は、第2分岐ライン23aに介装されていてもよい。
【0056】
また、各実施例における第1XコンデンサC1、第2XコンデンサC2および第3XコンデンサC3の容量値は単なる一例であり、本発明ではこれらを任意に設定することができる。ただし、第2XコンデンサC2の容量値は、第1XコンデンサC1の容量値よりも大きく、第3XコンデンサC3の容量値よりも小さいことが好ましい。
【0057】
また、各実施例における第1閾値および第2閾値も単なる一例であり、本発明ではこれらを任意に設定することができる。ただし、第2閾値は、第1閾値より大きくなければならない。
【0058】
また、各実施例における主電源部30の具体的構成は、図2に示したものに限定されない。
【0059】
また、各実施例における主電源部30は、画像形成部50のみに必要な電力を供給してもよいし、画像形成部50、インタフェース部52および操作部53に加えて、さらに別の部位に電力を供給してもよい。
【符号の説明】
【0060】
10A,10B,10C 電源装置
11 入力端子
20 フィルタ部
21a,21b 共通ライン
22a,22b 第1分岐ライン
23a,23b 第2分岐ライン
30 主電源部
31a,31b 主出力ライン
32 補助出力ライン
33 基準ライン
34 直流入力ライン
35 スイッチング制御部
40 ヒーター用電源部
50 画像形成部
51 定着ヒーター部
52 インタフェース部
53 操作部
54 カバー
55 制御部
56 リレー制御ライン
C1 第1Xコンデンサ
C2 第2Xコンデンサ
C3 第3Xコンデンサ
C4,C5,C6 平滑コンデンサ
D1,D2 整流ダイオード
DB ダイオードブリッジ
RL1 第1リレー
RL2 第2リレー
SW スイッチング素子
T トランス
T1 1次巻線
T2 2次巻線
T3 補助巻線
ZD1 第1ツェナーダイオード
ZD2 第2ツェナーダイオード
図1
図2
図3
図4