(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074049
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】買い物バッグ及び商品精算システム、商品精算方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
A45C 3/04 20060101AFI20240523BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240523BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240523BHJP
A45C 15/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A45C3/04 E
G06K7/10 252
G06K7/10 224
G06Q30/0601 340
A45C15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185100
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】398056827
【氏名又は名称】株式会社ファーストリテイリング
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】矢島 宗春
【テーマコード(参考)】
3B045
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3B045AA53
3B045CE07
3B045EA02
3B045GA01
3B045GB01
3B045GC01
3B045GD01
3B045LA10
3B045LB02
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】人の手による商品コードの読み取り作業を必要とせずに商品の情報を精度よく取得することができるとともに、会計後の商品の移し替え作業を必要としない買い物バッグを提供する。
【解決手段】層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成する買い物バッグであって、周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有するシールド層と、シールド層の内側に配され、収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナが周壁部に沿って張り巡らされたアンテナ層と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成する買い物バッグであって、
前記周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有するシールド層と、前記シールド層の内側に配され、前記収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナが前記周壁部に沿って張り巡らされたアンテナ層と、を備えることを特徴とする買い物バッグ。
【請求項2】
前記ワイヤアンテナは、前記買い物バッグの幅wの少なくとも3倍以上の長さで前記周壁部に沿って配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の買い物バッグ。
【請求項3】
前記ワイヤアンテナの形状が、ミアンダ状、スパイラル状、メッシュ状の少なくともいずれかであることを特徴とする、請求項2に記載の買い物バッグ。
【請求項4】
前記ワイヤアンテナとして、同軸ケーブル状のアンテナを用いることを特徴とする、請求項3に記載の買い物バッグ。
【請求項5】
前記アンテナ層のさらに内側に非金属の保護層を備えることを特徴とする、請求項1に記載の買い物バッグ。
【請求項6】
前記ワイヤアンテナと取り外し可能に接続され、前記ワイヤアンテナを介して前記収容空間に収容された商品から前記商品識別情報を取得するとともに、顧客が所有するユーザ端末と通信を行い、前記取得した前記商品識別情報を前記ユーザ端末に送信する精算支援端末を備えることを特徴とする、請求項1に記載の買い物バッグ。
【請求項7】
前記精算支援端末は、
前記買い物バッグの前記収容空間に収容された商品の決済に関する情報を表示するための通知部を有し、
前記ユーザ端末との通信により、前記収容空間に収容された商品の前記決済に関する情報を取得し、
前記通知部により、前記決済の状態に応じた表示を行うことを特徴とする、請求項6に記載の買い物バッグ。
【請求項8】
前記周壁部の最外層である表面層に、前記精算支援端末を収容するための外ポケット部を有し、
前記外ポケット部は、収容された前記精算支援端末の前記通知部による前記表示が前記外ポケット部の外部から視認できるように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載の買い物バッグ。
【請求項9】
前記外ポケット部は、透明な素材で形成されていることを特徴とする、請求項8に記載の買い物バッグ。
【請求項10】
層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成し、前記周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有する素材で構成されたシールド層と、前記シールド層の内側に配され、前記収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナが配設されたアンテナ層と、を備える買い物バッグと、
前記ワイヤアンテナと取り外し可能に接続され、前記ワイヤアンテナを介して前記収容空間に収容された商品から前記商品識別情報を取得する精算支援端末と、
商品を販売する店舗に関する店舗情報及び個々の商品に関する商品情報を管理する店舗サーバと、
顧客が所有し、当該顧客のユーザ識別情報を有するユーザ端末であって、前記精算支援端末及び前記店舗サーバと通信可能に接続され、前記精算支援端末から前記商品識別情報を取得し、取得した前記商品識別情報に紐づいた前記商品情報を前記店舗サーバから取得し、取得した前記商品情報と前記ユーザ識別情報とに基づいて商品の決済処理の実行を指示するユーザ端末と、を備えることを特徴とする、商品精算システム。
【請求項11】
前記精算支援端末は、
前記買い物バッグの前記収容空間に収容された商品の決済に関する情報を表示するための通知部を有し、
前記ユーザ端末との通信により、前記収容空間に収容された商品の前記決済に関する情報を取得し、
前記通知部により、前記決済の状態に応じた表示を行うことを特徴とする、請求項10に記載の商品精算システム。
【請求項12】
層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成し、前記周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有する素材で構成されたシールド層と、前記シールド層の内側に配され、前記収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナと、を備える買い物バッグと、前記ワイヤアンテナを介して前記収容空間に収容された商品から前記商品識別情報を取得する精算支援端末と、個々の商品に関する商品情報を管理する店舗サーバと、用いる商品精算方法であって、
顧客のユーザ端末と前記精算支援端末との間で接続を確立する接続確立工程と、
前記ユーザ端末が、前記精算支援端末が前記収容空間に収容した商品の前記RFタグから取得した前記商品識別情報を取得する識別情報取得工程と、
前記ユーザ端末が、前記取得した前記商品識別情報に紐づいた前記商品情報を前記店舗サーバから受信する商品情報受信工程と、
前記ユーザ端末が、前記商品情報受信工程において取得した前記商品情報に基づき決済処理の実行を指示する決済指示工程と、を有する商品精算方法。
【請求項13】
層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成し、前記周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有する素材で構成されたシールド層と、前記シールド層の内側に配され、前記収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナと、を備える買い物バッグと、前記ワイヤアンテナを介して前記収容空間に収容された商品から前記商品識別情報を取得する精算支援端末と、個々の商品に関する商品情報を管理する店舗サーバと、用いる商品精算方法において、
ユーザ端末に、
前記精算支援端末との間で接続を確立する接続確立工程と、
前記精算支援端末が前記収容空間に収容した商品の前記RFタグから取得した前記商品識別情報を取得する識別情報取得工程と、
前記取得した前記商品識別情報に紐づいた前記商品情報を前記店舗サーバから受信する商品情報受信工程と、
前記商品情報受信工程において取得した前記商品情報に基づき決済処理の実行を指示する決済指示工程と、
を実行させることを特徴とするコンピュータ読取可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの購買を支援する買い物バッグ及び商品精算システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者が店舗等の売り場で商品を購入する際に、個人で所有するスマートフォン等の通信端末を用いて、消費者自身が購入する商品の販売登録を行うことで、その後の会計機による決済処理にかかる時間を短縮する店舗システムが開発されている。例えば特許文献1では、専用のプログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールすることにより、顧客が所有するスマートフォン等の通信端末を買物支援装置として用いる技術が開示されている。この買物支援装置は、商品に付されたバーコードを読み取り、このバーコードの情報に基づき商品の情報を取得し、購入する商品に関する会計情報と関連付けた会計用バーコードを生成する。そして、この会計用バーコードを店舗内の会計機で読み取ることにより、速やかに決済処理に進むことができる。
【0003】
また、RFID(Radio Frequency Identification)リーダを備えた買い物バッグにより、買い物バッグに入れられた商品に付されたRFタグを読み取ることで、顧客が精算を行う前に、購入する商品を特定する技術も開発されている。例えば特許文献2には、RFIDアンテナと無線ネットワーク通信部を備える精算支援端末を(電波遮蔽機能を有する)買い物バッグの内ポケットに入れ、無線通信部がバッグ外部からの無線通信に関する電波強度を監視し、電波強度の強弱に応じて、商品に付されたRFタグの読み取りと、読み取った商品情報の送信とを切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-092948号公報
【特許文献2】特開2019-215719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、バーコードの読み取り作業が顧客にとって負担となる場合がある。一方で特許文献2の技術のように、内ポケットに入れる端末に収められている様な小型のタグ用アンテナを1つ設置するだけでは、買い物バッグの底面4隅などに読み取り困難な領域が生じ、読み取り精度が期待できない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、人の手による商品コードの読み取り作業を必要とせずに商品の情報を精度よく取得することができるとともに、会計後の商品の移し替え作業を必要としない買い物バッグ及び商品精算システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明に係る発明は、層構造を有する周壁部により商品を収容可能な収容空間を構成する買い物バッグであって、周壁部は、少なくとも、電波遮蔽機能を有するシールド層と、シールド層の内側に配され、収容空間に収容された商品に付されたRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナが周壁部に沿って張り巡らされたアンテナ層と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この買い物バッグでは、層構造を有する周壁部が、電波遮蔽機能を有するシールド層と、商品のRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナが周壁部に沿って張り巡らされたアンテナ層と、を備えているので、買い物バッグの収容空間に収容された商品に関する商品識別情報を精度よく収集することができ、ユーザの利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る買い物バッグの外観を示す図であり、(a)は買い物バッグの斜視図、(b)は周壁部の断面を概略的に示す模式図である。
【
図2】(a)は買い物バッグのアンテナ層に配設されるワイヤアンテナを示す図であり、(b)及び(c)は変形例に係るワイヤアンテナを示す図である。
【
図3】精算支援端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る商品精算システムの構成例を示すブロック図である。
【
図5】商品精算システムの動作手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図6】バッグ決済モード起動前後の表示画面の一例を示す図である。
【
図7】仮想カート内の商品の商品情報を表示する画面の一例を示す図である。
【
図9】決済完了後の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の買い物バッグ及び商品精算システムの好ましい実施形態を詳細に説明する。以下に説明する構成は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0011】
<買い物バッグ>
図1は、本発明の一実施形態に係る買い物バッグ10を示す。同図(a)に示すように、この買い物バッグ10には、周壁部11と底面により上部が開口する収容空間Sが形成されており、この収容空間S内にユーザが購入する商品等を収容することができる。周壁部11の高さはh、底面について奥行がd、幅をwと表記している。
【0012】
図1(b)は、買い物バッグ10の周壁部11の断面を概略的に示す模式図である。同図に示すように、周壁部11は多層構造を有しており、内側(収容空間Sに近い側)から順に、保護層11A、アンテナ層11B、絶縁層11C、シールド層11D、表面層11Eとなっている。
【0013】
保護層11Aは、後述するアンテナ層11Bのワイヤアンテナ13を保護するための層であり、収容空間Sに出し入れする商品等がワイヤアンテナ13に引っかかってしまう場合に、ワイヤアンテナ13への応力の集中によりワイヤアンテナ13の破損や断線が生じること、ワイヤアンテナ13が固定されている層から剥離してしまうことを抑制する。保護層11Aは、適度な柔軟性と弾力性によりワイヤアンテナ13を適切に保護することができ、後述するワイヤアンテナ13による収容空間SへのUHF帯の電波を透過し易い素材であれば、任意の素材を採用することができる。例えば、保護層11Aとして、非金属でゴム以外であるPVC、EVA、TPUなどの樹脂素材を採用することができる。
【0014】
アンテナ層11Bは、ワイヤアンテナ13が張り巡らされた層である。ワイヤアンテナ13は、細線形状の導線からなるワイヤをアンテナとして形成したものであり、長さ方向について同心円状に電波を放射する。導線としては、銅、鉄、アルミニウム、その他の金属等を用い、導線の外側には発泡ポリエチレンの絶縁体を、外部被膜(シース)として黒色ポリオレフィン被膜などの非ゴム系を配置することが好ましい。後述する同軸アンテナの場合は、中心から順に銅等の導線、発泡ポリエチレンなどの絶縁体、銅等の金属ラミネートテープ、シースとしてのポリオレフィン被膜を備え、アンテナ端子と逆の端には中心導線と金属ラミネートテープとを繋ぐ終端抵抗(ターミネータ)が配置されている。
【0015】
ワイヤアンテナ13は、例えば
図2(a)に示すように、買い物バッグ10の形状に沿って横方向及び縦方向に交互に折れ曲がったミアンダ形状に張り巡らすことができる。ワイヤアンテナ13は環状に形成されており、その両端部は、アンテナ層11Bよりも外側の層である絶縁層11C、シールド層11D、及び表面層11Eを貫通して、表面層11Eに設けられた外ポケット部12内に露出し収容されており、先端に接続用のアンテナ端子13Aが設けられている。ワイヤアンテナ13は、アンテナ端子13Aが収められた外ポケット部12から、アンテナ層11Bにおいて横方向に一定距離、延在した後、下方に折れ曲がり、再度横方向に折り返して一定距離、延在し、これを繰り返しながら周壁部11の広範囲を網羅するように延在する。
図2には表れていないが、周壁部11の最下方まで到達したワイヤアンテナ13は、そのまま買い物バッグ10の底部を経て反対側の周壁部11まで延び、更に交互に折り返すことを繰り返しながら周壁部11の上部まで到達し、アンテナ端子13Aまで戻ってくる。
図2(b)や
図2(c)に示す変形例のように、アンテナ形状は、ミアンダ状の他にもスパイラル形状にループアンテナ様に配置してもよいし、メッシュ形状にしてもよい。周壁部11に沿って張り巡らすワイヤアンテナ13の長さを長くするほど、買い物バッグ10全体に電波を放射し、ヌル点やシャドウイングの発生を抑制し、一括読み取りの精度向上が期待できるが、アンテナの断線リスクやアンテナコストが増し、買い物バッグ10本体も硬くなる傾向がある。また、同軸ケーブル状(1つのケーブルに2配線)のアンテナ(以降、同軸アンテナと称す)を用いることによって、配線をコンパクトにまとめることもできる。しかし、同軸アンテナをミアンダ状にコンパクトに配置する場合であっても、同軸アンテナの長さは少なくとも買い物バック10のw方向(幅方向)の3倍以上とし、買い物バッグ10本体の中心よりもバック底側にワイヤアンテナ13の重心位置がくるように配置することで、買い物バッグ10に収められた商品等のRFタグを収容空間S全体にわたって読み取れる様にすることが好ましい。収容空間Sの底面4隅は3面がシールド層で囲まれ電波が届き難くなる傾向があるが、上記の様にワイヤアンテナ13を周壁部11に沿って配置することで、精度よく読み取ることが可能である。
【0016】
絶縁層11Cは、アンテナ層11Bのワイヤアンテナ13と、後述するシールド層11Dを電気的に絶縁するための層である。絶縁層11Cは、例えば紙、布、プラスチックフィルムなどの絶縁素材で形成される。アンテナが絶縁素材で被膜等されている場合は絶縁層11Cを省略してもよい。
【0017】
シールド層11Dは、例えば金属箔などの、電波遮蔽機能を有する素材で形成される。シールド層11Dは、ワイヤアンテナ13が発する電波が買い物バッグ10の周壁部11の外部に漏洩することを防止するとともに、周壁部11の外部からの電波が収容空間Sに混入することを防止する。
【0018】
表面層11Eは、周壁部11の最外層であり、買い物バッグ10のデザインに応じて、布、紙、皮、合成繊維、樹脂などの任意の素材で形成することができる。上述のとおり、表面層11Eの上部の位置には、アンテナ端子13Aが収容される外ポケット部12が設けられる。外ポケット部12は、後述するように、精算支援端末200の通知部206による表示を外部から視認できるように構成されている。外ポケット部12は、例えば透明の樹脂素材で形成される。また、別の実施例では、外ポケット部12の通知部206に対応する位置に透明な素材で形成した窓部を設けることもできる。また、窓部を透明な素材で形成せず、単なる開口部としてもよい。
【0019】
外ポケット部12に収容されたアンテナ端子13Aは、精算支援端末200の端子208と接続されるために設けられ、絶縁層11C、シールド層11D、表面層11E、を貫通して、電気的にワイヤアンテナ13と接続している。精算支援端末200は、アンテナ端子13Aと端子208を介してワイヤアンテナ13と取り外し可能に接続され、アンテナ端子13Aと同様に外ポケット部12に収容される。
【0020】
<精算支援端末のハードウェア構成>
図3は、精算支援端末200のハードウェア構成を示す。精算支援端末200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、RFID(Radio Frequency Identification)コントローラ204と、BLE(Bluetooth(商標) Low Energy)モジュール205と、通知部206と、電池部207と、を備える。
【0021】
CPU201は、ROM202に格納されたプログラムに基づいて動作し、精算支援端末200の各部の制御を行う。すなわち、CPU201は、精算支援端末200の制御部211として機能する。ROM202は、精算支援端末200の起動時にCPU201によって実行されるブートプログラムや、精算支援端末200のハードウェアに依存するプログラムや
図5に示すバッグ側の処理を実現するプログラムを格納する。CPU201は、ROM202のプログラムをRAM203上に展開し、展開されたプログラムをCPU201が実行することにより、後述する各部の機能や処理を実現する。
【0022】
RFIDコントローラ204は、接続した買い物バッグ10のワイヤアンテナ13を用いて電波を放射し、放射範囲内に存在するRFタグから情報を読み取る。RFタグ(不図示)は、所定の識別情報を記録するチップ(集積回路)とアンテナとを内部に備えた(埋め込まれた)タグであり、例えば個々の商品の識別情報を記憶し、商品のパッケージに貼付される他、ロックスと呼ばれる部材で商品の一部に固定される。RFタグは、RFIDコントローラ204の指示に基づいてワイヤアンテナ13から送信されたUHF帯(860~960MHz)の電波をタグ内のアンテナで受信すると、当該電波をエネルギー源として起電し、チップ内に保持している情報(EPC:Electronic Product Code)を同様のUHF帯の電波で送信する。RFIDコントローラ204は、RFタグから返ってきた電波をワイヤアンテナ13経由で受信することで、商品識別情報を取得する。
【0023】
BLEモジュール205は、後述するユーザ端末30との間で、近距離無線通信の接続を確立するための組み込みモジュールである。
【0024】
通知部206は、後述するように、買い物バッグ10に入れられた商品の決済に関する情報を表示するものであり、例えば、精算支援端末200の表面部に設けられたLED(発光ダイオード)や液晶ディスプレイパネルなどとして実装される。
【0025】
電池部207は、上述したCPU201やRFIDコントローラ204などの各部の動力源となる電力を提供するバッテリー(リチウムイオンなどの二次電池)である。
【0026】
<商品精算システム>
続いて、本実施形態の買い物バッグ10及び精算支援端末200を用いた商品精算システムの構成例について説明する。
図4に示すとおり、この商品精算システム1は、買い物バッグ10と電気的に接続された精算支援端末200と、顧客が所有するユーザ端末30と、店舗サーバ40と、を含む。ユーザ端末30と店舗サーバ40とはネットワーク100を介して通信可能に接続されている。ネットワーク100は、例えば、インターネットやWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、WiFiなどの無線基地局、プロバイダ装置、専用回線などを含む。この商品精算システム1は、例えば、衣料品店、食料品店、日用品店などにおいて、顧客による購買商品の精算を支援するシステムである。本実施形態では、衣料品店における商品の精算を支援する例について説明する。
【0027】
商品精算システム1において、買い物バッグ10は顧客の所有物であり、顧客は買い物バッグ10を所持した状態で店舗を訪れる。一方、精算支援端末200は、各店舗が保有するものであり、各店舗で充電された状態で来店した顧客(ユーザ)に貸し出され、顧客が所有する買い物バッグ10のワイヤアンテナ13と電気的に接続された状態で使用され、退店時に顧客から店舗へ返却される。
【0028】
精算支援端末200のハードウェア構成については上述のとおりである。精算支援端末200のCPU201は、ROM202に格納されたプログラムを展開して実行することにより、各ハードウェアを用いて制御部211、記憶部212、通信部213、読取部214、通知部206の機能を実現する。
【0029】
CPU201は、精算支援端末200における制御部211として機能する。制御部211は、他の機能部の動作の制御を行う。ROM202及びRAM203は記憶部212として機能し、各種のプログラムやデータを記憶する。
【0030】
通信部213は、BLE(IEEE 802.15.1規格)、WiFi(IEEE802.11規格)などの近距離無線通信方式によりユーザ端末30と接続し、データや指令の送受信を行う。読取部214は、例えば0.1秒などの所定時間ごとにワイヤアンテナ13から電波を放射し、買い物バッグ10の収容空間S内に存在するRFタグの一括スキャンを行う。なお、買い物バッグ10のシールド層11Dにより、ワイヤアンテナ13から放射された電波が外部に漏洩することが抑制されると同時に、外部からの電波が収容空間Sに混入することも抑制されるので、読取部214は、収容空間S内のRFタグを精度よく検出することができる。
【0031】
通知部206は、後述するように、通信部213がユーザ端末30との通信により、買い物バッグ10に入れられた商品の決済に関する情報を受信したとき、決済の状態に応じた表示を行うことで、ユーザや店舗スタッフに決済の状態を通知する。また、通知部206は、決済の状態に関する表示の他、精算支援端末200の稼働状態や、ローバッテリーや接続不良などのエラーを通知するように構成してもよい。通知部206がLEDで構成されている場合、例えば各種の通知や後述の決済ステータスごとにLEDの発光色を異ならせることで、通知内容の把握を容易とすることができる。また、例えば各通知に対応する発光色を日によって変えるように構成することも可能である。
【0032】
ユーザ端末30は、例えば、ユーザである顧客が所有するスマートフォン、タブレット型端末、及び携帯電話機等の情報処理装置である。ユーザ端末30は、制御部31、入力部32、記憶部33、通信部34、表示部35、及び読取部36を備える。ユーザ端末30で動作するアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」とも表現する)は、ユーザ識別情報を登録することで、通信販売(Eコマース、ネット通販等を含む)による購買を支援する通常モードと、実店舗で商品精算システム1を用いた購買を支援するバッグ決済モードとを実行可能である。通常モードでは、インターネットを通じて商品を購入することができる。一方、バッグ決済モードでは、実店舗で商品を購入する際に、買い物バッグ10、精算支援端末200、及びユーザ端末30で動作するアプリを用いて、商品の決済処理を行うことができる。
【0033】
制御部31は、精算支援端末200と同様に不図示のCPUを備えており、ユーザ端末30の上記各部32~36などを制御する。また、制御部31は、ユーザ端末30で動作する上述のアプリについて、通常モードとバッグ決済モードとを切り替える処理や、バッグ決済モードにおける購入商品の決済指示の処理等を行う。
【0034】
入力部32は、例えば、ユーザからの操作入力を受け付けるタッチパネルや入力ボタンである。ユーザが入力部32を用いて指示等の入力を行うことにより、ユーザ端末30はユーザからの指示等を受け付ける。
【0035】
記憶部33は、フラッシュメモリ及びRAMを有し、ユーザ端末30の制御で使用される各種のプログラムが記憶されているとともに、各種データが記憶される。通信部34は、BLEなどの近距離無線通信により精算支援端末200と接続し、データや指令の送受信を行う。
【0036】
表示部35は、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等である。表示部35は、CPUの制御に基づいて所定の画面を表示する。なお、例えば、静電容量方式や圧力感知方式のタッチパネルを採用し表示部35が入力部32としても機能する等、表示部35と入力部32が一体となった構造であってもよい。
【0037】
読取部36は、例えば、ユーザ端末30が備えるカメラである。読取部36は、精算支援端末30に付されたQRコード(商標)などの2次元コードの撮影を行い、所定の手順に沿って解釈することで、2次元コードに含まれるコード情報を抽出する。精算支援端末30に付された2次元コードには、例えば、精算支援端末200と近距離無線通信接続を確立するための識別情報(SSIDと暗号化キー)、精算支援端末200が有するバッテリーの識別情報(個体識別番号)、及び、精算支援端末200を管理する店舗の識別情報(店舗識別番号)などが含まれ得る。
【0038】
店舗サーバ40は、店舗情報データベース(DB)41及び商品情報データベース42を有する。また、不図示のCPU、ROM、RAM等のハードウェアを備え、データベースの管理や、ネットワーク100を介したユーザ端末30との通信を行う。
【0039】
店舗情報データベース41には、各店舗における各商品の在庫情報、各店舗のフロアマップ、及び各店舗における各商品の位置情報等が格納されている。これらの情報は、一つの店舗サーバ41の店舗情報データベース41に一括して保持されるように構成してもよいし、在庫情報やフロアマップ、商品の位置情報ごとに別々のサーバを構成してもよい。
【0040】
商品情報データベース42には、各商品のRFタグに記憶された商品識別情報と紐づけられた商品の詳細情報が格納されている。こうした詳細情報としては、商品の品番、名称、色、サイズ、価格、素材、製造国などの情報が含まれ得る。なお、商品情報データベース42は、必ずしも店舗サーバ40が備えている必要はなく、店舗サーバ40やユーザ端末30とネットワーク100で接続された別のサーバに備えられる構成としてもよい。また、店舗サーバ40の各DBは応答速度を高めるためにハードウェアを店舗近傍に配置してもよいし、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)などの仮想マシンで実現してもよいし、それらを組み合わせて実現してもよい。
【0041】
<商品精算システムの処理>
図5は、商品精算システム1の動作手順の一例を示すシーケンス図である。同図に示す各動作(ステップ)は、買い物バッグ10に接続された精算支援端末200、ユーザ端末30、店舗サーバ40の各々が備えるCPUによる各機能部の制御によって実行される。
【0042】
上述のとおり、顧客であるユーザは、買い物バッグ10とユーザ端末30を所持した状態で店舗を訪れる。ユーザは、店舗への入店の際などに、店舗が管理する精算支援端末200を受け取り、精算支援端末200の端子208に買い物バッグ10のアンテナ端子13Aを接続し、精算支援端末200を買い物バッグ10の外ポケット部12に収容する。これにより、商品精算システム1を利用するための準備が整う。
【0043】
まず、ステップ501(「S501」と図示。以下同じ)において、ユーザ端末30の読取部36を用いて、ユーザが精算支援端末200に付された2次元コードを読み取る。上述のとおり、この2次元コードには、精算支援端末200との間で近距離無線通信の接続を確立するために必要とされる精算支援端末200の識別情報(SSIDと暗号化キー)、精算支援端末200が有するバッテリーの識別情報(個体識別番号)、及び精算支援端末200を管理する店舗の識別情報(店舗識別番号)などが含まれる。また、ユーザ端末30で動作する上述のアプリに対する起動命令を含んでいてもよく、この場合、読取部36で2次元コードを読み取ることで、自動的にアプリを起動させたり、アプリがユーザ端末30にインストールされていない場合にはインストールを促す画面に遷移させたりする。
【0044】
ステップ502では、上述のように2次元コードを読み取ることで自動的に、又はユーザからのアプリ起動指示を受け付けることにより、ユーザ端末30においてアプリが通常モードで起動する。次いで、ステップ503では、読み取った2次元コードに含まれる識別情報を用いて、ユーザ端末30から精算支援端末200に対してペアリング要求を送信する。これに対し、ステップ504では、精算支援端末200からユーザ端末30に対してペアリングが完了した旨の応答が返される。ペアリングの際には、所定の認証処理が行われ、暗号化情報を交換することで、ユーザ端末30と精算支援端末200の間で近距離無線通信の接続が完了する。BLEの場合は、ユーザ端末30がセントラルとして動作し、精算支援端末200はペリフェラルとして動作する。詳細には、精算支援端末200をアンテナ端子13Aに接続したことをトリガとして、ペリフェラルとしての精算支援端末200が自装置の存在を周囲のBLEセントラルに知らせるためのアドバタイズパケットを1秒毎など定期的に発信する。ユーザ端末30が2次元コードを読み取ると、2次元コードに埋め込まれた精算支援端末200の識別情報(デバイス名称)を取得し、同時並行してペリフェラルから発せられたアドバタイズパケットをスキャンして得られたデバイス名称を取得する。アドバタイズパケットから得られたデバイス名称のうち、2次元コードから得られたデバイス名称と一致するペリフェラルに対し、ユーザ端末30が接続要求を発し精算支援端末200との接続を確立する。BLEの場合は2次元コードを読み取らずに、アドバタイズパケットをスキャンして得られたデバイス名称をユーザに提示し、ユーザが接続するデバイス名称をタッチすることで接続要求を発する様にしてもよい。
【0045】
次いで、ステップ505において、精算支援端末200に付された2次元コードに含まれた店舗識別情報を用いて、ユーザ端末30から店舗サーバ40に対して店舗チェックイン要求が送信され、ステップ506において、店舗サーバ40が受信した店舗識別情報を確認することで店舗チェックインが完了する。
【0046】
なお、店舗チェックインは、例えば店舗に敷設された装置から発せられるビーコン信号、Bluetooth(商標)等の近距離無線通信信号、又は店舗内の位置情報、店舗に設定された別の2次元コードの読み取りのいずれか、又は複数を用いて事前に行うようにしてもよい。
【0047】
店舗チェックインの完了後、ユーザ端末30の制御部31は、アプリによるバッグ決済モードを選択する(有効化する)ための画面(バック決済モード選択画面)を表示部35に表示させる。ユーザがバッグ決済モードを選択(有効化)すると、ステップ507において、アプリ内でバッグ決済モードが起動する。
【0048】
図6は、バッグ決済モード起動前後の表示画面の一例を示す図である。
図6(a)は、バッグ決済モード選択画面61の一例を示す図である。バッグ決済モード選択画面61では、チェックインした店舗名62と、バッグ決済モードを選択するためのアイコン63が表示される。
【0049】
図6(b)は、バッグ決済モード起動後のバッグ決済モードの画面の一例を示す図である。バッグ決済モードが起動されると、バッグ決済モードのメニュー画面64が表示される。メニュー画面64には、バッグ決済モードにおける処理をユーザが容易に把握可能なように、ステップ表示65がされている。
【0050】
また、メニュー画面64には、例えば、カートアイコン66、フロアマップアイコン67、及びお気に入りリストアイコン68が含まれる。ユーザがカートアイコン66をタップ等によって選択すると、後述するバッグ内スキャン等の処理により取得された商品情報が表示された仮想カートの表示画面へと遷移する。また、ユーザがフロアマップアイコン67を選択すると、ユーザ端末30は店舗サーバ40からチェックイン店舗のフロアマップを取得し、取得したフロアマップを表示する画面へと遷移する。また、ユーザがお気に入りリストアイコン68を選択すると、事前にユーザがお気に入りリストに登録した商品(お気に入り商品)のリストを表示する画面へと遷移する。
【0051】
バッグ決済モードの起動後は、ステップ508において、精算支援端末200の通知部206による状態表示が更新される。ここでは、精算支援端末200とユーザ端末30がペアリングしていること(もしくはバッグ決済モードが起動状態にあること)、及び買い物バッグ10内に何も商品が入っていないことを示す状態表示が行われる。例えば、通知部206が青色の発光を行うことでこの状態表示が行われるようにしてもよい。
【0052】
次いで、ステップ509において、精算支援端末200の読取部214により、例えば0.1秒などの所定時間ごとにワイヤアンテナ13から電波を放射することにより、買い物バッグ10の収容空間S内に存在するRFタグの一括スキャンが行われる。これにより、ユーザが買い物バッグ10に購入予定の商品を入れた場合に、当該商品のRFタグを検出することができる。精算支援端末200とユーザ端末30がペアリングしていれば読取部214が継続的にスキャンをするようにしてもよい。
【0053】
ステップ509において買い物バッグ10内の商品のRFタグが検出されると、次のステップ510において、読取部214によって当該RFタグから読み取られた商品識別情報(例えば、16進数で24桁のEPC)が、通信部213によりユーザ端末30に送信される。ユーザ端末30が商品識別情報を受信すると、ステップ511において、ユーザ端末30は、受信した商品識別情報を店舗サーバ40に送信する。
【0054】
ユーザ端末30から商品識別情報を受信した店舗サーバ40は、ステップ512において、店舗情報データベース41及び商品情報データベース42を参照し、受信した商品識別情報に紐づけられた商品の詳細情報をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30が商品の詳細情報を受信すると、ステップ513において、仮想カートの内容が更新され、仮想カート内に商品が追加される。
【0055】
仮想カートが更新されると、続くステップ514において、仮想カート内の商品についての決済ステータス情報が精算支援端末200に送信される。ここで送信される決済ステータス情報は、例えば、仮想カート内の商品の少なくとも一部が未決済であることを示す。
【0056】
決済ステータス情報を受信した精算支援装置200は、ステップ515において、通知部206による状態表示を更新する。ここでは、買い物バッグ10内に未決済の商品が入っていることを示す状態表示が行われる。例えば、通知部206が赤色の発光を行うことでこの状態表示が行われるようにしてもよい。
【0057】
図7は、仮想カート内の商品の詳細情報を表示する画面の一例を示す図である。画面71では、仮想カート内の商品の商品名、色、サイズ、価格、サムネイル画像等の商品情報72が表示される。また、画面71では、仮想カート内の商品の合計金額73が表示される。さらに、画面71では決済アイコン74が表示されており、ユーザが決済アイコン74を選択すると、後述する決済処理を実行することが可能となる。
【0058】
このようにして仮想カートが更新され、それに応じた状態表示が通知部206により行われた後、ユーザは、続けて別の商品を購入するか否かを検討することができる。商品精算システム1は、ユーザによる決済要求(ステップ516)が行われるまでの間は、ステップ509のバッグ内スキャンからステップ515の状態表示更新までの処理サイクルを繰り返し実行する。したがって、ユーザにより購入希望の商品が新たに買い物バッグ10に入れられると、次の処理サイクル実行時に、仮想カート及び通知部206による状態表示が更新されることになる。
【0059】
また、ユーザは、購入予定の商品として買い物バッグ10に入れた未決済の商品について、後に考え直して購入を取りやめたいと考えた場合には、いつでも買い物バッグ10から当該商品を取り出して、店舗内の商品棚等に戻すことができる。このような場合、次にステップ509のバッグ内スキャンが実行された際に、当該商品のRFタグが検出されないため、ステップ513の仮想カート更新時に、当該商品が仮想カートから削除されることになる。この際、買い物バッグ10に商品を追加した時に通知部206から第1の通知音を通知することで追加した商品のスキャンができたことがユーザに理解できるようにしてもよいし、買い物バッグ10から商品を取り除いた時に通知部206から第2の通知音を通知することで取り除いた商品がスキャンできなくなったことを通知するようにしてもよい。この様に構成することで、仮想カートの画面を見てスキャンが成功しているかを都度確認しなくて済むのでユーザの利便性が向上する。
【0060】
続いて、ステップ516では、ユーザにより画面71の決済アイコン74が選択されることにより、ユーザ端末30から店舗サーバ40に決済指示を送信する決済要求の処理へと進む。決済要求においては、まず、ユーザにより、入力部32を介して決済方法が選択される。決済方法としては、例えば、クレジット決済、電子マネー決済、即時引落決済、ポイント決済、及びスマートフォン決済とも呼ばれる所定のアプリケーションソフトウェアを用いた決済が選択可能である。スマートフォン決済は、購買支援に関わるアプリケーションソフトウェアの一機能としてユーザ端末30に組み込まれていてもよい。決済において必要とされるユーザ識別情報は、予めユーザによりアプリ内で登録されていてもよいし、決済アイコン74が選択された際にユーザに登録を求め、その場で登録されてもよい。
【0061】
決済方法が選択された後、制御部31により、決済の実行指示と、必要な決済情報(各商品識別情報、合計金額、ユーザ識別情報など)が店舗サーバ40に送信される。店舗サーバ40が決済要求を受け取ると、続くステップ517において、店舗サーバ40が外部の電子決済サーバ(不図示)に必要な決済情報を送信し、決済処理を要求する。決済サーバには、事前にユーザ識別情報と紐づけてクレジット決済情報や電子マネー情報が登録されており、これらの情報と店舗サーバ40から受け取った決済情報とに基づいて支払い処理が実行される。
【0062】
店舗サーバ40は、決済サーバからの応答に基づき、決済が正常に完了したか否かを判断し、決済が正常に完了していない場合には、ユーザ端末30に決済エラーを通知し、ユーザ端末30においてエラー表示等が行われ、再度、決済処理を実行する。決済が正常に完了した場合、店舗サーバ40は、決済が完了した商品の識別情報をユーザ識別情報と紐づけて登録するとともに、ステップ518において、ユーザ端末30に決済が完了した商品の識別情報を通知する。
【0063】
次いで、ステップ519において、ユーザ端末30の制御部31は、仮想カートを更新し、決済が完了した商品に対して「決済済み」の属性を付与する。ユーザ端末30における表示画面においては、仮想カート内の商品情報72に決済済みであることの表示を追加してもよいし、決済済みの商品を、仮想カートから、例えば決済済み商品リストのような別のリストに移動させてもよい。また、店舗サーバ40に記録された、決済が完了した全商品の識別情報や決済完了時刻などを含む決済情報は、例えば退店時に店舗スタッフの求めに応じてユーザ端末30の表示部35に表示できるようにしてもよい。以上のようにして、ユーザが所有するユーザ端末30からの決済指示に基づき商品の決済処理を完了することができるので、ユーザは店舗内の会計機に並ぶ必要がなく、会計に要する時間を短縮することができる。また、また、会計済みの商品について別のショッピングバッグに詰め直す時間や労力が不要になるので、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0064】
商品の決済が完了したことを受けて、続くステップ520では、決済後の仮想カート内の商品についての決済ステータス情報が精算支援端末200に送信される。ここで送信される決済ステータス情報は、例えば、仮想カート内の全ての商品が決済済みであることを示す情報とすることができる。
【0065】
決済ステータス情報を受信した精算支援装置200は、次のステップ521において、通知部206による状態表示を更新する。ここでは、買い物バッグ10内の全ての商品が決済済みであることを示す状態表示が行われる。例えば、通知部206が緑色の発光を行うことでこの状態表示が行われるようにしてもよい。
【0066】
図8は、決済時のユーザ端末30における表示画面の一例を示す図である。表示画面81は、例えば、
図7に示す決済アイコン74が選択されることにより表示される。表示画面81は、決済処理が開始されたときの表示画面であり、現在、使用可能なクーポン情報を表示させてもよい。ユーザは使用するクーポンを選択し、クーポンを使って決済を行うためのアイコン82を選択することにより、クーポンを使用して決済を行うことができる。一方、クーポンを使用しない場合は、クーポンを使用しないで決済を行うためのアイコン83を選択することにより、クーポンを使用しないで決済を行うことができる。ユーザがアイコン82又はアイコン83を選択することで、決済画面84が表示され、決済が実行される。
【0067】
決済が正常に完了すると、支払い完了画面85が表示され、ユーザは、決済が正常に完了したことを確認することができる。支払い完了画面85には、例えば、決済が完了した日時(ご利用日時)86、商品を購入した店舗名(ご利用店舗)87、及び購入商品の合計金額(ご利用金額)88が表示される。そして、次の処理へ進むためのアイコン89をユーザが選択することで、
図9の画面へと遷移する。
【0068】
図9は、決済完了後の表示画面の一例を示す図である。表示画面91では、退店手続きのためのガイド92(説明)が表示される。ユーザは、ガイド92に示されるとおり、モジュール(精算支援端末200)を所定の場所で返却した後、出口付近で待機する店舗スタッフに表示画面91を見せ、買い物バッグ10内の商品の決済が完了していることを示してから退店する。
【0069】
なお、精算支援端末200の返却忘れによる持ち帰りを防止するため、店舗出口に精算支援端末200を検出可能なRFID防犯ゲートを設置し、予めRFIDを付してある精算支援端末200がゲートを通過した際に防犯ゲートから音などで知らせる構成とすることも可能である。また、別の例として、精算支援端末200の回収設備と連動させた退店ゲートを設置し、ユーザが回収設備に精算支援端末200を返却することでゲートが開き、退店できるように構成することも可能である。
【0070】
また、決済完了後に、新たに別の商品を購入することも可能である。表示画面91において、ユーザがガイド92を確認したことを承認するアイコン93を選択すると、再度、
図6(b)に示したメニュー画面64に遷移する。ここで、新たな商品が買い物バッグ10に入れられると、再度、ステップ509のバッグ内スキャンが行われた際に、当該商品のRFタグが検出され、続く処理により、仮想カートの更新(ステップ513)や通知部206による状態表示の更新(ステップ515)が行われる。これに対し、ユーザは再びステップ516以降の決済要求処理を実行することが可能である。
【0071】
以上、詳細に説明したとおり、本実施形態の買い物バッグ10は、収容空間Sを構成する周壁部11が、電波遮蔽機能を有するシールド層11Dと、商品のRFタグから商品識別情報を読み取るためのワイヤアンテナ13を備えているので、ワイヤアンテナ13と接続可能な外付けの精算支援装置200を用いて、買い物バッグ10の収容空間Sに収容された商品に関する商品識別情報を精度よく収集することができる。したがって、ユーザや店舗スタッフ等が手作業でバーコード等の商品コードを読み取る必要がなく、会計処理に要する時間を短縮化することができる。
【0072】
また、商品を、ユーザの所有物である買い物バッグ10に入れた状態で商品識別情報を取得することができるので、取得した商品識別情報に基づいて決済処理を行うことで、ユーザや店舗スタッフの手により購入した商品を持ち帰り用の袋やバッグに移し替える必要がなく、そのまま持ち帰ることができる。これにより、ユーザは会計後に速やかに退店することが可能となり、店舗での買い物の利便性を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、買い物バッグ10は精算支援端末200と接続された状態で使用される。精算支援端末200は、ワイヤアンテナ13と取り外し可能に接続されることで、買い物バッグ10に入れられた商品から商品識別情報を取得し、取得した商品識別情報を顧客が所有するユーザ端末30に送信する。これにより、商品を買い物バッグ10に入れるだけで商品識別情報を取得することができるので、ユーザや店舗スタッフ等が手作業でバーコード等の商品コードを読み取る必要がなく、会計処理に要する時間を短縮化することができる。また、買物バッグ10に入れられた商品の識別情報は、ほぼリアルタイムでユーザ端末30に送信されるので、特許文献2の技術のように、ユーザが会計レーンのような所定位置で商品情報をまとめて送信する作業を行う必要がない。したがって、ユーザは、送信された商品識別情報に基づき、任意のタイミングで、店舗内の任意の場所で、決済要求を行って決済処理を進めることができる。
【0074】
また、本実施形態では、精算支援端末200は、ユーザの店舗への入店時等にユーザに貸し出され、ユーザが所有する買い物バッグ10と接続された状態で使用される。精算支援端末200を買い物バッグ10から取り外し可能とし、店舗で保管するので、買い物バッグ10の本体は、高価な電子部品等が組み込まれていない簡易な構成とすることができる。これにより、買い物バッグ10の本体を低コスト化することができる。また、精算支援端末200は、不使用時は店舗で充電され、保管されるので、ユーザに貸し出されて使用されている最中に充電が切れたり故障したりするというトラブルの発生を最小限に抑えることができる。
【0075】
さらに、本実施形態では、精算支援端末200は、ユーザ端末30との通信により、買い物バッグ10に入れられた商品に関する情報、とりわけ商品の決済に関する情報を取得し、通知部206がその決済の状態に応じた表示を行うので、通知部206の表示を見ることにより、買い物バッグ10内の未決済の商品の有無や、決済済み商品の有無などを知ることができる。特に、精算支援端末200は買い物バッグ10の透明な外ポケット部12に収容されるので、通知部206による表示を外部から容易に視認することができる。したがって、顧客や店舗スタッフが当該表示を確認することで、顧客に決済行動を促したり、万引き等の犯罪の防止に役立てたりすることができる。特許文献2の技術では、買い物バッグを使っている間(精算支援端末を内ポケットに収容している間)ユーザ端末と精算支援端末を協働させることができない。
【0076】
さらに、本実施形態の商品精算システム1では、買い物バッグ10のワイヤアンテナ13と接続した精算支援端末200が取得した収容空間S内の商品の商品識別情報は、ユーザ端末30によって取得され、店舗サーバ40に送信される。店舗サーバ40は、受信した商品識別情報と紐づいた商品情報をユーザ端末30に送信し、ユーザ端末30は、受信した商品情報とユーザによって登録されたユーザ識別情報とに基づき、ユーザ端末において商品の決済処理の実行を指示することができる。したがって、人の手による商品コードの読み取り作業を必要とせずに商品の情報を取得することができる。また、商品を買い物バッグ10に入れたままの状態で、会計から決済までをユーザ端末30で行うことができるので、他の買い物袋やバッグへの移し替え作業を行うことなく、そのまま持ち帰ることが可能となる。
【0077】
なお、上述の実施形態では、精算支援端末200を買い物バッグ10から着脱する例について説明したが、精算支援端末200の各部品のコストが問題にならない場合には着脱式にしなくてもよい。一方で、着脱式であるものの精算支援端末200の機能の一部を買い物バッグ10側に配置してもよい。例えば、通知部を買い物バッグ10側に配置してもよい。その場合は、アンテナ端子13Aはアンテナ線以外に通知部の制御線等の他の配線も電気的に接合できる様にする必要がある。また、ユーザ端末の表示部35に上述の通知部206と同様の表示をさせる様に制御部211が情報を伝達し、表示部35を通知部として機能させる様に構成してもよい。
【0078】
また、上述の実施形態では、精算支援端末200を買い物バッグ10の透明な外ポケット部12に収容していたが、外ポケットではなく買い物バッグ10の内側に配置した内ポケットに収容するようにしてもよい。その場合は、ワイヤアンテナから内ポケットのアンテナ端子13Aまでの配線について絶縁層11C、シールド層11D、表面層11Eを貫通して引き出す必要がない。しかし、内ポケットに配置した通知部の表示は外から視認できなくなるので、バッグ本体側に通知部を設けたり、バッグ10の各層の一部分を透過部材にしたりすることが好ましい。また、ユーザ端末とペアリング可能な様に内ポケットであるものの、周壁の上端に設ける事が好ましい。
【0079】
また、買い物バッグの形状によってアンテナの配置を異ならせるようにしてもよい。例えば、バッグ底面の奥行dが20cm程度であれば、周壁の片側だけにワイヤアンテナを配置してアンテナのコストを抑えるように構成してもよい。しかし底面の奥行dが20cmをこえる場合には底面やもう一方の周壁の少なくとも一方にもワイヤアンテナを配置することが好ましい。
【0080】
また、上述の実施形態では詳細に説明していないが、ヌル点とは反射波による直接波の打ち消しが発生し、読み取れないポイントであることが一般的に知られている。複数の電波放射源を配置することが一般的なヌル点の解決策とされるが、読取対象の商品のパッケージによっては放射される電波が遮蔽・乱反射・吸収等され、予期せぬヌル点が発生する可能性がある。そこで、周壁全域から電波が放射される様に、例えば碁盤目状にコイルアンテナを配置することが好ましい。ただ、その様にアンテナを配置するとコストが増えたり、バッグ10が変形をする場合はアンテナが破損したりする可能性があるのでワイヤアンテナを配置する事が好ましい。また、ワイヤアンテナを配置する場合について、幅方向についてw/2以上にわたって周壁部に沿って配置することが好ましく、高さ方向については底面部から2h/3以上にわたって配置することが好ましい。
【0081】
また、上述の実施形態では、買い物バッグの周壁部と底面部によって水平方向と下方向への電波を抑制しているが、利用環境の天井が低い場合等に上方向への電波漏れを抑制する必要があるなら、電波遮断機能がある内巾着や周壁部の対向する面の上部を係止する部材(ファスナーやスナップボタンなど)を配置してもよい。ユーザが退店後にそのまま持ち帰ることを想定すると、自転車のかごに入れたり、電車や車両の座席に置いたりするとバッグの形状が崩れて、バッグの上方から商品がはみ出てしまう可能性もあるので、こうしたな商品のはみ出し等を抑制する観点からも、この様に構成することも好ましい。
【0082】
上述の実施形態では、買い物バッグの周壁部は、RFIDスキャン機能などがない平素な買い物バッグの様に柔軟であることを想定しているが、買い物カゴやキャリアの様に頑丈な構成を用いてもよい。柔軟な周壁部である方が持ち運びし易く(収容する商品が少ない場合は特に)、頑丈な周壁部である方が収容する商品を保護し易いという利点がある。
【0083】
なお、上述の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。精算支援端末200、ユーザ端末30、および店舗サーバ40における処理をコンピュータによって実現する場合、これらの装置の各部が有すべき機能の処理内容はプログラムに基づいて実行される。上述の処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよい。また、各部の処理は、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより構成することにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 商品精算システム
10 買い物バッグ
11 周壁部
11A 保護層
11B アンテナ層
11C 絶縁層
11D シールド層
11E 表面層
12 外ポケット部
13 ワイヤアンテナ
13A アンテナ端子
100 ネットワーク
200 精算支援端末
206 通知部
30 ユーザ端末
40 店舗サーバ
41 店舗情報データベース
42 商品情報データベース
S 収容空間