(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074054
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】テクスチャ変換特性を有する非粘着性安定組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240523BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240523BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185108
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB051
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC532
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB21
4C083CC02
4C083CC05
4C083DD33
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に、べたつきのない又は少ない感触をもたらすことができる安定組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のセルロース粒子、(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、並びに(c)水を含む組成物に関する。本発明による組成物は、安定であり且つ塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後、べたつきのない感触又はべたつきの少ない感触をもたらすことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、並びに
(c)水
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物。
【請求項2】
(a)セルロース粒子の粒径が、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)セルロース粒子が、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)セルロース粒子の水の湿潤点/油の湿潤点の比が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)セルロース粒子が、球体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(a)セルロース粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(b)会合性ポリマーが、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(b)会合性ポリマーが、1つ又は複数の、ポリオキシアルキレン化脂肪アルコール由来の単位を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(b)会合性ポリマーの量が、組成物の総重量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
好ましくは25℃で10,000mPa.s以上、より好ましくは25℃で10,000mPa.s~200,000mPa.sの粘度を有する、ゲルの形態である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
(d)少なくとも1種の油を更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(d)油が、極性油、好ましくはエステル油、人工トリグリセリド、及びこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(d)油の量が、組成物の総質量に対して1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
好ましくは25℃で10,000mPa.s以上、より好ましくは25℃で10,000mPa.s~200,000mPa.sの粘度を有する、O/Wエマルションの形態である、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定であり且つテクスチャ(質感)変換及び非べたつきをもたらすことができる、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚への快適なテクスチャの付与は、化粧料、特にスキンケア化粧料の重要な特徴の1つである。
【0003】
特に、塗布の初期段階における清涼感(refresh feel)及び塗布後のべたつきのない感触又はべたつきの少ない感触をもたらすことができるテクスチャ変換(組成物から液体を流出させうる組成物の構造の崩壊等、組成物の物理的特性の変化に相当する、例えば、ゲル又はクリームから液体へのテクスチャの変化)は、使用時の顧客満足のために依然として必要とされている。
【0004】
不安定で、且つ組成物の構造の崩壊が容易に生じる組成物が、使用時に快適感をもたらすことが多いことに留意されたい。これは、使用時の快適感と良好な安定性の両方を同時にもたらすことが困難であることを意味する。
【0005】
今までのところ、改善されたテクスチャ及び安定性を付与するゲル様組成物又はエマルションに関する技術が幾つか報告されてきている。例えば、WO2022/124385は、テクスチャ変換をもたらすことができる安定組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2022/124385
【特許文献2】US 3 915 921
【特許文献3】US 4 509 949
【特許文献4】WO 00/31154
【特許文献5】EP-A-750 899
【特許文献6】US5 089 578
【特許文献7】EP-A-750 899
【特許文献8】US-5 089 578
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁
【非特許文献2】Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号(2000年)、3694~3704頁
【非特許文献3】Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte:salt effects on rheological behavior - Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁
【非特許文献4】Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers, Polym. Preprint, Div. Polym. Chem. 1999年、40(2)、220~221項
【非特許文献5】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press
【非特許文献6】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、テクスチャ変換に加えて、べたつきのない又は少ない感触をもたらすことができる安定組成物については、まだ十分な研究がなされていない。
【0009】
本発明の目的は、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に、べたつきのない又は少ない感触をもたらすことができる安定組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、並びに
(c)水
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物によって達成することができる。
【0011】
(a)セルロース粒子の粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下であってもよい。
【0012】
(a)セルロース粒子は、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有し得る。
【0013】
(a)セルロース粒子の、水の湿潤点/油の湿潤点の比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下であってもよい。
【0014】
(a)セルロース粒子は、球体でもよい。
【0015】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0016】
(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位を含んでもよい。
【0017】
(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数の、ポリオキシアルキレン化脂肪アルコール由来の単位を含んでもよい。
【0018】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0019】
本発明による組成物は、好ましくは25℃で10,000mPa.s以上、より好ましくは25℃で10,000mPa.s~200,000mPa.sの粘度を有するゲルの形態であってもよい。
【0020】
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の油を更に含んでもよい。
【0021】
(d)油は、極性油、好ましくはエステル油、人工トリグリセリド、及びこれらの混合物から選択されてもよい。
【0022】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%であってもよい。
【0023】
本発明による組成物は、好ましくは25℃で10,000mPa.s以上、より好ましくは25℃で10,000mPa.s~200,000mPa.sの粘度を有するO/Wエマルションの形態であってもよい。
【0024】
本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後にべたつきのない又は少ない感触をもたらすことができる安定組成物を提供するための新規の手法を発見した。
【0026】
したがって、本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、並びに
(c)水
を含む組成物である。
【0027】
本発明による組成物は、安定であり、且つ塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後、べたつきのない感触又は少ない感触をもたらすことができる。
【0028】
本発明による組成物は、冷温から高温への温度変化の下でも、組成物の調製直後に及び組成物の調製後に長時間にわたって安定である。したがって、本発明による組成物は、経時的に安定であり、冬から夏までに生じる温度変化の下でも、長期間貯蔵することができる。
【0029】
本発明による組成物は、塗布後、べたつきのない感触又はべたつきの少ない感触をもたらすことができる。
【0030】
「べたつき」という用語は、本明細書では、皮膚に粘着性の感触を与える特性を意味する。
【0031】
本発明による組成物は、塗布中、好ましくは塗布の初期段階で、テクスチャ変換をもたらすことができる。テクスチャ変換は、本明細書では、例えば、組成物から液体を流出させうる組成物の構造の崩壊等の組成物の物理的特性における変化に相当する、ゲル又はクリームから液体へのテクスチャの変化を意味する。テクスチャ変換は、清涼な感触を与えることができる。
【0032】
したがって、本発明による組成物は、組成物の塗布中及び塗布後、特に皮膚の感触において、優れた感触をもたらすことができる。
【0033】
以下に、本発明による組成物等を、より詳細に説明する。
【0034】
[セルロース粒子]
本発明による組成物は、(a)特有の特性を有する少なくとも1種のセルロース粒子を含む。2種以上のセルロース粒子が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
(a)セルロース粒子の粒径は、一次粒径に相当する。加えて、粒径は、本明細書では、例えば、レーザー回折粒径分析器によって決定することができる体積平均粒径であってもよい平均(average又はmean)粒径を意味する。
【0036】
本発明に使用される(a)セルロース粒子の粒径は限定されない。しかしながら、(a)セルロース粒子の粒径が、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下、更により好ましくは10μm以下、特に好ましくは2~5μmであることが好ましい。
【0037】
本発明に使用される(a)セルロース粒子の90体積%以上が、0.1~10μm、好ましくは0.5~8μm、より好ましくは1~7μmの範囲の平均一次粒径を有することが好ましい。(a)セルロース粒子の90体積%以上が1~7μmの範囲の平均一次粒径を有する場合、粒子に起因する光学的効果もまた達成されうる。
【0038】
本発明に使用される(a)セルロース粒子は、任意の粒子状の形態であってもよい。
【0039】
本発明に使用される(a)セルロース粒子の最長径/最短径の比が、1.0~10、好ましくは1.0~5、より好ましくは1.0~3の範囲であることが好ましい。
【0040】
(a)セルロース粒子が、好ましくは1.0~1.1の最長径/最短径の比を有する球体であることがより好ましい。
【0041】
本発明に使用される(a)セルロース粒子は、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100g、より好ましくは少なくとも100ml/100g、更により好ましくは少なくとも250ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100g、更により好ましくは少なくとも350ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である水の湿潤点を有し得る。
【0042】
本明細書における用語「油の湿潤点」は、特に、標的の粉末によるペーストの形成によって認識できる、標的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な油の分量又は量を意味する。
【0043】
油の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定することができる。
(1)油、特に直鎖状エステル油、例えばイソノナン酸イソノニル(WICKENOL 151/ALZO社)を添加しながら、スパチュラを用いてガラス板上で標的の粉末2gを混練する。
(2)標的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)油の湿潤点を、次式から算出する: 油の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度。
【0044】
同様に、本明細書における用語「水の湿潤点」は、特に、標的の粉末によるペーストの形成によって認識できる、標的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な水の分量又は量を意味する。
【0045】
水の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定することができる。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を添加しながら、スパチュラを用いてガラス板上で標的の粉末2gを混練する。
(2)標的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)水の湿潤点を、次式から算出する: 水の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度。
【0046】
本発明に使用される(a)セルロース粒子の水の湿潤点/油の湿潤点の比が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更により好ましくは2以下であり、且つ好ましくは0.1以上であることが好ましい。
【0047】
(a)セルロース粒子は、多孔質又は無孔質、好ましくは多孔質であってもよい。
【0048】
(a)セルロース粒子の多孔度は、BET法により、0.05m2/g~1,500m2/g、より好ましくは0.1m2/g~1,000m2/g、更により好ましくは0.2m2/g~500m2/gの比表面積を特徴としうる。
【0049】
本発明において、(a)セルロース粒子に使用され得るセルロースは、セルロースI、セルロースII等のセルロースの型によっては限定されない。本発明のための(a)セルロース粒子の材料として使用されうるセルロースとして、II型セルロースが好ましい。
【0050】
(a)セルロース粒子、好ましくは球状セルロース粒子は、例えば以下のように調製することができる。
(1)凝集阻害剤として炭酸カルシウムのスラリーを、アルカリ性の水溶性アニオン性ポリマー水溶液に加え、撹拌する。
(2)ビスコースと上記(1)で得られた水溶液とを混合して、ビスコース微粒子の分散体を形成する。
(3)上記(2)で得られたビスコース微粒子の分散体を加熱して分散体中のビスコースを凝集させ、酸で中和して、セルロース微粒子を形成する。
(4)セルロース微粒子を、上記(3)で得られた母液から分離し、必要に応じて洗浄し乾燥させる。
【0051】
ビスコースは、セルロースの原料である。30~100質量%のガンマ価、及び4~10質量%のアルカリ濃度を有するビスコースを使用することが好ましい。上記の水溶性アニオン性ポリマーとして、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等を挙げることができる。上記の炭酸カルシウムは、分散体中のビスコース微粒子の凝集を防止するために、且つセルロース粒子の粒径を小さくするために使用される。炭酸カルシウムスラリーとして、日本の奥多摩工業株式会社によって市販されているTama Pearl TP-221GSを挙げることができる。
【0052】
一実施形態によれば、(a)セルロース粒子は、セルロース誘導体を含んでも含んでいなくてもよい。セルロース誘導体は、セルロースエステル及びエーテルから選択することができる。
【0053】
用語「セルロースエステル」は、本明細書中の上記及び下記の文章中で、部分的又は全体的にエステル化された無水グルコース環のα(1~4)配列からなるポリマーを意味し、このエステル化は、前記無水グルコース環の遊離ヒドロキシル官能基のすべて又はその一部のみが、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のカルボン酸又はカルボン酸誘導体(酸塩化物若しくは酸無水物)と反応することによって得られることが指摘される。
【0054】
好ましくは、セルロースエステルは、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部と、1~4個の炭素原子を含有するカルボン酸との反応によって得られる。
【0055】
有利には、セルロースエステルは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロース及びアセトプロピオン酸セルロース、並びにこれらの混合物から選択される。
【0056】
これらのセルロースエステルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲の質量平均分子量を有することができる。
【0057】
本明細書中の上記及び下記の文章中で、用語「セルロースエーテル」は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1~4)配列からなるポリマーを意味し、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部は、-OR基で置換されており、Rは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基である。
【0058】
したがって、セルロースエーテルは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基を有するセルロースアルキルエーテル、例えばセルロースメチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルエーテルから選択される。
【0059】
これらのセルロースエーテルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲の質量平均分子量を有することができる。
【0060】
本発明に使用される(a)セルロース粒子として、例えば日本の大東化成工業株式会社によって市販されている以下の球状セルロース粒子を挙げることができる:
4μmの平均粒径を有するCellulobeads USF(油の湿潤点は296.0ml/100gであり、水の湿潤点は400.8ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は1.4である);
3~5μmの平均粒径を有するCellulobeads USF-X(油の湿潤点は最大で80ml/100gであり、水の湿潤点は250ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は3.1以下である);
8~10μmの平均粒径を有するCellulobeads D-5(油の湿潤点は最大で70ml/100gであり、水の湿潤点は150ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は2.1以下である);及び
12~15μmの平均粒径を有するCellulobeads D-10(油の湿潤点は最大で60ml/100gであり、水の湿潤点は140ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は2.3以下である)。
【0061】
本発明に使用される(a)セルロース粒子は、予めコーティングされていてもいなくてもよい。
【0062】
特定の一実施形態では、(a)セルロース粒子は、元々コーティングされている。粒子の元のコーティングの材料は限定されないが、有機材料、例えばモノ若しくはジカルボン酸又はその塩、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、アミド、シリコーン及び変性シリコーンが好ましい場合がある。有機材料として、コハク酸カリウム、ラウロイルリジン及びアクリル変性シリコーンを挙げることができる。
【0063】
換言すると、本発明に使用される(a)セルロース粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理の例として、以下を挙げることができる:
(1)フッ素系化合物処理、例えばペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロポリエーテル、フルオロシリコーン及びフッ素化シリコーン樹脂による処理
(2)シリコーン処理、例えば気相中におけるメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン及びテトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンによる処理
(3)ペンダント処理、例えば気相シリコーン処理の後にアルキル鎖等を付加する処理
(4)シランカップリング剤処理
(5)チタンカップリング剤処理
(6)アルミニウムカップリング剤処理
(7)油剤処理
(8)N-アシル化リジン処理
(9)ポリアクリル酸処理
(10)金属石けん処理、例えばステアリン酸塩又はミリスチン酸塩を有するもの
(11)アクリル樹脂処理
(12)金属酸化物処理。
【0064】
上記の処理と組み合わせて、複数の表面処理を実施することが可能である。
【0065】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0066】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0067】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0068】
[会合性ポリマー]
本発明による組成物は、(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマーを含む。2種以上の該会合性ポリマーが使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
(b)会合性ポリマーは増粘剤として機能することができる。
【0070】
本発明の目的のために、用語「会合性ポリマー」は、水性媒体中で互いに又は他の分子と可逆的に組合せ可能なホモポリマー又はコポリマーを指す。
【0071】
本発明に使用される(b)会合性ポリマーは、好ましくは、1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位と他の単位との会合性コポリマーである。
【0072】
(b)会合性ポリマーは、より特定すると、少なくとも1つの親水性部分及び少なくとも1つの疎水性部分を含む。本発明の目的のために、用語「疎水性基」は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には16~30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0073】
本発明の目的のために、(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む会合性コポリマーは、ポリマーが、少なくとも1つのアクリル酸単位若しくは少なくとも1つのメタクリル酸単位又はこれらの混合物を含むことを意味する。(b)会合性ポリマーは、6個未満の炭素原子を含むアクリル酸又はメタクリル酸、好ましくはアクリル酸のアルキルエステルによって形成された単位等の更なる単位、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチル(本明細書以降、「単純エステル」と呼ぶ)から例えば選択されるC1~C4アルキルアクリレートを含んでもよい。
【0074】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明に使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位、より好ましくは1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C6)アルキルエステル単位を含む。
【0075】
特定の実施形態によれば、本発明に使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のアクリル酸単位を含む。更なる実施形態によれば、本発明に使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のメタクリル酸単位を含む。別の実施形態によれば、本発明に使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のアクリル酸単位及び1つ又は複数のメタクリル酸単位を含む。
【0076】
特定の実施形態では、(b)会合性ポリマーは、(メタ)アクリル酸とは異なる別のモノマーに由来する別の単位を含んでもよい。例えば、そのようなモノマーは、(メタ)アクリル酸又はイタコン酸等のエチレン性不飽和疎水性モノマーのエステル、及びポリオキシアルキレン化脂肪アルコールのエステルでありうる。好ましくは、エステルモノマーの脂肪アルコール部分は、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状、飽和又は不飽和、好ましくは飽和の(C12~C30)脂肪アルコール、特に(C16~C26)脂肪アルコールでありうる。エステルモノマーのポリオキシアルキレン鎖は、優先的にはエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位からなり、更により特定するとエチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン単位の数は、一般に3~100、好ましくは7~50、より好ましくは12~30の範囲である。
【0077】
(b)会合性ポリマーの例として、例えば、以下を挙げることができる:
商品名: NOVETHIX L-10 POLYMER(登録商標)(INCI名: アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)でLUBRIZOL社より販売されている製品、
商品名: Aculyn(登録商標)28(INCI名: アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)でDOW CHEMICAL社より販売されている製品、
商品名: Aculyn(登録商標)22(INCI名: アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)でDOW CHEMICAL社より販売されている製品、商品名: Aculyn(登録商標)88(INCI名: アクリレート/ステアレス-20メタクリレートクロスポリマー)でDOW CHEMICAL社より販売されている製品、
商品名: STRUCTURE(登録商標)2001(INCI名: アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)でAKZO NOBEL社より販売されている製品、及び
商品名: STRUCTURE(登録商標)3001(INCI名: アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)でAKZO NOBEL社より販売されている製品。
【0078】
本発明に使用されうる(b)会合性ポリマーは、また、アクリル単位及び/又はメタクリル単位を含有するアニオン性の会合性(コ)ポリマーから選択されてもよい。
【0079】
本発明に使用されうる(メタ)アクリル酸アニオン性会合性(コ)ポリマーは、不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの少なくとも1つの親水性単位及び不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等のタイプの少なくとも1つの疎水性単位を含むものから選択されてもよい。
【0080】
より特定すると、これらの(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、好ましくは、不飽和オレフィン性カルボン酸タイプの親水性単位が以下の式(I):
【0081】
【0082】
[式中、R1は、H又はCH3、即ちアクリル酸単位若しくはメタクリル酸単位を示す]
のモノマーに相当し、不飽和カルボン酸タイプの(C10~C30)アルキルエステルの疎水性単位が、以下の式(II):
【0083】
【0084】
[式中、R1は、H又はCH3(即ち、アクリレート単位若しくはメタクリレート単位)を示し、R2は、C10~C30、好ましくはC12~C22アルキル基を示す]
のモノマーに相当するものから選択される。
【0085】
式(II)による不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルとして、より特定すると、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート及びドデシルアクリレート、並びに対応するメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート及びドデシルメタクリレートを挙げることができる。
【0086】
このタイプの(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、例えば、特許US 3 915 921及びUS 4 509 949に記載されており、それらに従って調製される。
【0087】
本発明に使用されうる(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、より特定すると、以下を含むモノマーの混合物から形成されるポリマーを示すことができる:
(i)アクリル酸及び1種若しくは複数の次式(III):
【0088】
【0089】
[式中、R3は、H又はCH3を示し、R4は、12~22個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
のエステル、並びに任意選択で架橋剤、例えば、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0~6質量%の架橋重合性モノマーからなる又は98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アルキルアクリレート(疎水性単位)及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーからなるもの、又は
(ii) 本質的にアクリル酸及びラウリルメタクリレート、例えば、66質量%のアクリル酸及び34質量%のラウリルメタクリレートから形成される生成物。
【0090】
本発明のこれらの実施形態において、用語「架橋剤」は、下記の基
【0091】
【0092】
及び少なくとも1つの他の重合性基を含有するモノマーを意味することができ、モノマーの不飽和結合は互いに共役していない。本発明に使用されうる架橋剤として、とりわけポリアリルスクロース及びポリアリルペンタエリスリトール等のポリアリルエーテルを、とりわけ挙げることができる。
【0093】
上記の前記(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーのうち、Goodrich社から商標名Pemulen TR1、Pemulen TR2、Carbopol 1382、更により好ましくはPemulen TR1で販売されている製品、及びS.E.P.C.社から名称Coatex SXで販売されている製品が、本発明に特に好ましいものである。
【0094】
(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーとして、Amerchol社から名称Viscophobe DB 1000で販売されている、メタクリル酸/メチルアクリレート/ジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートのエトキシル化アルコールのコポリマーを挙げることもできる。
【0095】
本発明に使用されうる他の(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、スルホン基を遊離形態又は部分的若しくは完全に中和された形態で有する少なくとも1種の(メタ)アクリル酸モノマーを含み、且つ少なくとも1つの疎水性部分を含むスルホン酸ポリマーでもありうる。
【0096】
本発明に使用されうる前記スルホン酸ポリマーに存在する前記疎水性部分は、好ましくは8~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子、より特定すると12~18個の炭素原子を含む。
【0097】
優先的には、本発明に使用されうるこれらのスルホン酸ポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくはアンモニア水)により又はモノ-、ジ-若しくはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジン等の有機塩基により、並びにこれらの化合物の混合物により部分的又は完全に中和されている。
【0098】
これらの前記スルホン酸ポリマーは、一般に1,000~20,000,000g/molの範囲、好ましくは20,000~5,000,000g/molの範囲、更により好ましくは100,000~1,500,000g/molの範囲の数平均分子量を有する。
【0099】
本発明に使用されうるスルホン酸ポリマーは、架橋されていても、架橋されていなくてもよい。架橋ポリマーが好ましく選択される。
【0100】
架橋されている場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られたポリマーを架橋するために一般に使用されるポリオレフィン性不飽和化合物から選択されうる。例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレート若しくはテトラエチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル、糖系列のアルコールのアリルエーテル、又は多官能性アルコールの他のアリル若しくはビニルエーテル、またリン酸及び/若しくはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物を挙げることができる。
【0101】
メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸アリル又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)がより特定的に使用される。
【0102】
架橋度は、ポリマーに対して、一般に0.01mol%~10mol%、より特定すると0.2mol%~2mol%の範囲である。
【0103】
本発明に使用されうるスルホン酸ポリマーのスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーは、とりわけ(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸及びN-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸から、例えばウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸から、またその部分的又は完全に中和された形態から選択される。
【0104】
(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えば、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、及びこれらの部分的又は完全に中和された形態が、より優先的に使用される。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、また、その部分的に又は完全に中和された形態が、更により特定的に使用される。
【0105】
本発明に使用されうる(メタ)アクリル酸会合性増粘剤は、C6~C22 n-モノアルキルアミン又はC6~C22ジ-n-アルキルアミンとの反応により改質されたランダム両親媒性AMPSポリマー、例えば特許出願WO 00/31154(記載内容の不可欠な部分を形成する)において記載されるもの等からとりわけ選択されうる。
【0106】
これらのポリマーは、例えば、(メタ)アクリル酸、これらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール若しくはモノ-若しくはポリアルキレングリコールにより得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸、又はマレイン酸、或いはこれらの化合物の混合物から選択される、他のエチレン性不飽和親水性モノマーを含有することもできる。
【0107】
本発明に特に好ましく使用されうる、スルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸会合性増粘剤は、好ましくはAMPSと、8~50個の炭素原子、より好ましくは8~22個の炭素原子、なおより好ましくは8~18個の炭素原子、より特定すると12~18個の炭素原子を含有する少なくとも1つの疎水性部分を含む少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーとの両親媒性コポリマーから選択される。
【0108】
これらの同じコポリマーは、また、(メタ)アクリル酸、それらのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール又はモノ-若しくはポリアルキレングリコールにより得られたそれらのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸、或いはこれらの化合物の混合物等の、脂肪鎖を含まない1種又は複数のエチレン性不飽和モノマーも含有していてもよい。
【0109】
これらのコポリマーは、とりわけ、特許出願EP-A-750 899、特許US5 089 578及び以下のYotaro Morishima著の刊行物に記載されている:
- Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁;
- Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、33巻、10号(2000年)、3694~3704頁;
- Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior - Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁;
- Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers, Polym. Preprint, Div. Polym. Chem. 1999年、40(2)、220~221項。
【0110】
これらの特定のコポリマーのエチレン性不飽和疎水性モノマーは、以下の式(IV):
【0111】
【0112】
[式中、R5及びR7は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は直鎖状若しくは分枝状C1~C6アルキル基(好ましくは、メチル)を示し、Yは、O又はNHを示し、R6は、少なくとも8~50個の炭素原子、より優先的には8~22個の炭素原子、更により優先的には6~18個の炭素原子、より特定すると12~18個の炭素原子を含有する疎水性炭化水素系基を示し、xは、アルキレンオキシドのモル数を示し、0~100の範囲である]
のアクリレート又はアクリルアミドから好ましくは選択される。
【0113】
R6基は、直鎖状C6~C18アルキル基(例えば、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル)又は分枝状若しくは環状C6~C18アルキル基(例えば、シクロドデカン(C12)若しくはアダマンタン(C10));C6~C18ペルフルオロアルキル基(例えば、式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基);コレステリル基(C27)又はコレステロールエステル残基、例えばコレステリルオキシヘキサノエート基;ナフタレン又はピレン等の芳香族多環式の基から好ましくは選択される。これらの基のうち、より特定的に好ましいものは直鎖状アルキル基であり、より特定するとn-ドデシル基である。
【0114】
本発明の特に好ましい形態によれば、式(IV)のモノマーは、少なくとも1つのアルキレンオキシド単位(x≧1)、好ましくはポリオキシアルキレン鎖を含む。ポリオキシアルキレン鎖は、優先的にはエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位からなり、更により特定するとエチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン単位の数は、一般に3~100、より好ましくは3~50、更により好ましくは7~25の範囲である。
【0115】
これらのポリマーのうち、以下のものを挙げてもよい:
- ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位及び40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含む、架橋されていてもいなくてもよく、中和されていてもいなくてもよい、コポリマー、例えば、特許出願EP-A-750 899に記載されているもの;
- 10mol%~90mol%のアクリルアミド単位、0.1mol%~10mol%のAMPS単位及び5mol%~80mol%のn-(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含むターポリマー、例えば、特許US-5 089 578に記載されているもの。
【0116】
完全に中和されたAMPSとメタクリル酸ドデシルのコポリマー、また、AMPSとn-ドデシルメタクリルアミドの架橋及び非架橋コポリマー、例えば、上記に記述されたMorishima論文に記載されているものを挙げることもできる。
【0117】
以下の式(V):
【0118】
【0119】
[式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンである]
の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位と、
以下の式(VI):
【0120】
【0121】
[式中、xは、3~100、好ましくは5~80、より優先的には7~25の範囲の整数を示し、R5は、上記の式(IV)において示されたものと同じ意味を有し、R8は、直鎖状又は分枝状C6~C22、より優先的にはC10~C22アルキルを示す]
の単位とから構成されるコポリマーが挙げられる。
【0122】
好ましいポリマーは、x=25であり、R5がメチルを示し、R8がn-ドデシルを表すものであり、これらは上記に記述されたMorishima論文に記載されている。
【0123】
更に、式(IV)において、x=20~25であり、R5がメチルを示し、R8がC12~C24アルキル基、好ましくは、例えばラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基又はベヘニル基を表すモノマーの使用が、特に好ましい。とりわけ、x=20~25であり、R5がメチルを示し、R8がステアリル基又はベヘニル基等のC16~C24アルキル鎖を表す式(IV)のモノマーの使用が、特に好ましい。
【0124】
X+がナトリウム又はアンモニウムを示すポリマーが、より特定的に好ましい。
【0125】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0126】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0127】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0128】
[水]
本発明による組成物は、(c)水を含む。
【0129】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上でありうる。
【0130】
その一方で、本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0131】
本発明による組成物中の(c)水の量は、組成物の総質量に対して、35質量%~95質量%、好ましくは40質量%~90質量%、より好ましくは45質量%~85質量%の範囲であってもよい。
【0132】
[油]
本発明による組成物は、(d)少なくとも1種の油を含んでよい。2種以上の油が使用される場合、これらは同一であっても異なっていてもよい。
【0133】
本明細書では、「油」は、大気圧下(760mmHg)、室温(25℃)にて、液体又はペースト(非固体)の形態にある脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0134】
(d)油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油;植物油若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油;又はそれらの混合物であってもよい。
【0135】
(d)油は、植物又は動物由来の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0136】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0137】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0138】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0139】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価酸又は多価酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0140】
好ましくは、一価アルコールのエステルでは、エステルが誘導されるアルコール及び酸の中からの少なくとも1つは分枝状である。
【0141】
一価酸と一価アルコールとのモノエステルの中で、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0142】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用してもよい。
【0143】
とりわけ挙げることができるのは、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0144】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、アルデヒド又はケトン官能基ありの又はなしの、少なくとも4個の炭素原子を含む、幾つかのアルコール官能基を含有する、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってもよい。
【0145】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0146】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択されうる。これらの化合物が不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0147】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0148】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、特にオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってよい。
【0149】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0150】
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標) DOで販売されている製品である。
【0151】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0152】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0153】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0154】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0155】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に使用され得る有機変性シリコーンは、上に定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
【0156】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressに、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0157】
揮発性である場合、シリコーンは、より詳細には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、より一層詳細には、以下から選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7207又はRhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7158、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、次式:
【0158】
【0159】
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標) FZ 3109を挙げることもできる。
【0160】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表されている論文にも記載されている。該シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃にて測定されている。
【0161】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用されうる。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0162】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販製品を非限定的な手法で挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60,000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0163】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0164】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0165】
フェニルシリコーン油は、次式:
【0166】
【0167】
[式中、
R1~R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立に、両端を含めて0~900、好ましくは両端を含めて0~500、より好ましくは両端を含めて0~100の整数であり、
但しn+m+qの和は0以外である]
のフェニルシリコーンから選択されうる。
【0168】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0169】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上式中、R1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0170】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC5~C19アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる。
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0171】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0172】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子の包含を意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0173】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0174】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0175】
脂肪アルコールは飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0176】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0177】
用語「飽和脂肪アルコール」は、本明細書では、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和のC6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中で、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールを、より好ましくは使用することができる。分枝状C16~C20脂肪アルコールが、更により好ましく使用されうる。
【0178】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0179】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中に使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0180】
(d)油は、600g/mol未満の分子量を有する油から選択されることもまた好ましい。
【0181】
好ましくは、(d)油は、600g/mol未満等の低分子量を有し、炭化水素短鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、ラウロイルサルコシンイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性シリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン及びスクアラン)、分枝状及び/又は不飽和の脂肪アルコール(C12~C30)タイプの油、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコール、並びにジカプリリルエーテル等のエーテル油の中から選択される。
【0182】
(d)油は、極性油から、好ましくはエステル油、より好ましくはパルミチン酸エチルヘキシルから、好ましくは人工トリグリセリド、より好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択することができる。
【0183】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってもよい。
【0184】
その一方で、本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよい。
【0185】
本発明による組成物中の(d)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%の範囲であってもよい。
【0186】
[追加の任意選択の成分]
本発明による組成物はまた、有効量の、化粧用組成物において別に前から知られている追加の任意選択の成分、例えば、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤;成分(a)とは異なる有機粉末;成分(b)とは異なる増粘剤;EDTA及びエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;保存料;ビタミン又はプロビタミン、例としては、パンテノール;香料;植物エキス等も含んでよい。
【0187】
本発明による組成物は、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、カプリリルグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい、1種以上の美容的に許容される有機溶媒を含んでよい。
【0188】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上の範囲の量で存在していてもよい。
【0189】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲の量で存在していてもよい。
【0190】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲の量で存在することができる。
【0191】
[調製及び特性]
本発明による組成物は、上記で説明した必須成分、及び必要な場合、上記で説明した任意選択の成分を混合することによって調製することができる。
【0192】
上記の必須成分及び任意成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分及び任意成分を混合し、本発明による組成物を調製することができる。従来の方法及び手段には、ホモジナイザー、例えばタービンミキサーが含まれうる。
【0193】
[形態]
本発明による組成物は、様々な形態にあってもよい。
【0194】
本発明による組成物が(c)水を含むため、本発明による組成物は、例えば、水溶液等の流体であってもよい。本発明による組成物の外観は、(b)会合性ポリマーが増粘剤として機能できるため、ゲルであってもよい。
【0195】
本発明による組成物は、(d)油を含む場合、O/Wエマルションの形態であってもよい。O/Wエマルションの形態にある本発明による組成物の外観は、ペースト又はクリームであり得る。
【0196】
O/Wエマルションの形態にある本発明による組成物は、分散された脂肪相、例えば連続した水性相中に分散された油性相を含む。分散された脂肪相は、水性相において油滴の形態であり得る。本発明による組成物は、O/Wゲルエマルション又はO/Wゲル分散体の形態であることが好ましい。
【0197】
水性相中に分散された脂肪相からなるO/W型の構成又は構造は、外側に水性相を有し、したがって、O/W型の構成又は構造を有する本発明による組成物は、水性相が与えることができる即時のみずみずしさの感覚のため、使用中に快適な感覚をもたらすことができる。
【0198】
本発明による組成物は、10,000mPa・s以上、より好ましくは15,000mPa・s以上、更により好ましくは20,000mPa・s以上の粘度を有することが好ましい。粘度は、25℃でB型粘度計(例えば、ローター:No.4、回転速度:6rpm、測定時間:1分)を用いて測定することができる。
【0199】
本発明による組成物はまた、25℃で200,000mPa・s以下、より好ましくは150,000mPa・s以下、更により好ましくは100,000mPa・s以下の粘度を有することが好ましい。
【0200】
本発明による組成物は、25℃で10,000mPa・s~200,000mPa・s、より好ましくは15,000mPa・s~150,000mPa・s、更により好ましくは20,000mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有することが好ましい場合がある。
【0201】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用組成物であることが好ましく、より好ましくは皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物である。
【0202】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、皮膚、毛髪、粘膜、爪、睫毛、眉毛、及び/又は頭皮等のケラチン物質を処置するための美容方法等、非治療的方法のために使用することができる。
【0203】
したがって、本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【0204】
本発明はまた、身体及び/若しくは顔の皮膚、並びに/又は粘膜、並びに/又は頭皮、並びに/又は毛髪、並びに/又は爪、並びに/又は睫毛、並びに/又は眉毛のためのケア製品等、化粧料としての、又は化粧料における、本発明による組成物の使用に関しうる。
【0205】
言い換えれば、本発明による組成物は、そのままで化粧料として使用することができる。或いは、本発明による組成物は、化粧料の一要素として使用することができる。例えば、本発明による組成物は、化粧料を形成するため、任意の他の要素に加えること又は任意の他の要素と組み合わせることができる。
【0206】
ケア製品は、ローション及びクリーム等であってもよい。
【0207】
本発明はまた、(a)少なくとも1種のセルロース粒子の、
(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、並びに
(c)水
を含む組成物中での使用であって、
皮膚等のケラチン物質へ塗布したとき、好ましくは塗布の初期段階で、組成物のテクスチャ変換を引き起こすための、及び/又は塗布後にケラチン物質のべたつきを低減するための、使用にも関し得る。
【0208】
本発明は、(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマーの、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子及び
(c)水
を含む組成物中での使用であって、
皮膚等のケラチン物質へ塗布したとき、好ましくは塗布の初期段階で、組成物のテクスチャ変換を引き起こすための、及び/又は組成物を安定化させるための、使用にも関し得る。
【0209】
本発明による組成物中の成分(a)~(c)に関する説明は、本発明による上記の使用における説明にも適用することができる。
【0210】
本発明はまた、(a)少なくとも1種のセルロース粒子の、
(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマー、
(c)水、並びに
(d)少なくとも1種の油
を含む組成物中での使用であって、
皮膚等のケラチン物質へ塗布したとき、好ましくは塗布の初期段階で、組成物のテクスチャ変換を引き起こすための、及び/又は組成物を安定化させるための、及び/又は塗布後にケラチン物質のべたつきを低減するための、使用にも関し得る。
【0211】
本発明は、(b)1つ又は複数のアクリル単位及び/又はメタクリル単位を含む少なくとも1種の会合性ポリマーの、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(c)水、及び
(d)少なくとも1種の油
を含む組成物中での使用であって、
皮膚等のケラチン物質へ塗布したとき、好ましくは塗布の初期段階で、組成物のテクスチャ変換を引き起こすための、及び/又は組成物を安定化させるための、使用にも関し得る。
【0212】
本発明による組成物中の成分(a)~(d)に関する説明は、本発明による上記の使用における説明にも適用することができる。
【実施例0213】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0214】
(実施例1及び比較例1~6)
表1に示す実施例1及び比較例1~6による、水性ゲルの形態の以下の組成物を、以下の表1に示す成分を混合することによって調製した。
(1)表1のA欄の成分を75~80℃で混合して、A相の均一な混合物を形成する工程、
(2)表1のB欄の成分をA相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A相及びB相)を得る工程、
(3)表1のC欄の成分をA相及びB相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A、B及びC相)を得て、得られた混合物を室温(25℃)に冷却する工程、並びに
(4)表1のD欄の成分を、A、B及びC相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A、B、C及びD相)を得る工程。
【0215】
表1に示す成分の量の数値はすべて、原料としての「質量%」に基づく。
【0216】
【0217】
【0218】
表1の成分(a)(セルロース粒子)の特性を表2に示す。
【0219】
【0220】
(油の湿潤点)
油の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定した。
(1)25℃で9cPの粘度及び0.853g/mlの密度を有するイソノナン酸イソノニルを添加しながら、スパチュラを用いてガラス板上で粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)油の湿潤点を、次式から算出した: 油の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度。
【0221】
(水の湿潤点)
水の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定した。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を添加しながら、スパチュラを用いてガラス板上で粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)水の湿潤点を、次式から算出した: 水の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度。
【0222】
[評価]
(粘度)
実施例1及び比較例1~6による各組成物の粘度を、ローター:No.4、回転速度:6rpm、及び測定時間:1分の条件下でB型粘度計を用いて、室温(25℃)で測定した。
【0223】
結果を表1に示す。
【0224】
(テクスチャ変換)
5名の専門の判定士が、実施例1及び比較例1~6による組成物の塗布中の「テクスチャ変換」を評価した。各判定士は、各組成物を取り、それを自分の顔に円形に塗布した。判定士らは、(ゲルから液体への)テクスチャ変換が起きたタイミングを評価し、それを1(不良)から5(非常に良好)まで格付けし、次いでそれを、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した。
非常に良好: 5.0~4.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が明確に感じられる)
良好: 3.9~3.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が感じられる)
不良: 2.9~2.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が感じられにくい)
非常に不良: 1.9~1.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が全く感じられない)
【0225】
結果を表1に示す。
【0226】
(べたつきのない感触)
5名の専門の判定士が、実施例1及び比較例1~6による組成物の塗布後の「べたつきのない感触」を評価した。各判定士は、各組成物を取り、それを自分の顔に塗布して塗布後にべたつきのない感触を評価し、1(不良)から5(非常に良好)まで格付けし、次いでそれを、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した。
非常に良好: 5.0~4.0(塗布後にべたつきが全く感じられない)
良好: 3.9~3.0(塗布後にべたつきが感じられにくい)
不良: 2.9~2.0(塗布後にべたつきが感じられる)
非常に不良: 1.9~1.0(塗布後にべたつきが明確に感じられる)
【0227】
結果を表1に示す。
【0228】
(安定性)
実施例1及び比較例1~6による各組成物を、ガラス瓶に充填し、4℃、25℃、37℃、及び45℃の温度変化条件下で2カ月間保持した。次いで、各サンプルを、変化の程度(外観、色、及びにおい)について検査し、以下の基準に従って評価した。
非常に良好: 製造時とほぼ同じ状態。
良好: 外観、色、及びにおいにほとんど変化が観察されなかった。
不良: 外観、色、及びにおいに変化が明らかに観察された。
非常に不良: 外観、色、及びにおいの変化が顕著に認められた。
【0229】
結果を表1に示す。
【0230】
(概略)
表1から明らかであるように、本発明による水性ゲルの形態の組成物(実施例1)は、テクスチャ変換、べたつきのない感触、及び2カ月間の温度変化の下での安定性の観点から、優れた美容効果をもたらすことができ、これは、成分(c)の存在下の成分(a)及び(b)の組み合わせに起因しうる。したがって、本発明による組成物は、特に、優れた感触、及び温度変化の下でも長期安定性をもたらすことができる。
【0231】
その一方で、成分(a)(セルロース粒子)を含んでいなかった比較例1~3による組成物は、粗悪なテクスチャ変換及びべたつきを示した。
【0232】
成分(a)の代わりにシリカ粒子を含んでいた比較例4による組成物は、粗悪なテクスチャ変換を示した。
【0233】
成分(b)(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)を含んでいなかった比較例5による組成物は、濃化することができず、粗悪なテクスチャ変換を示した。
【0234】
成分(b)の代わりに別の増粘剤を含んでいた比較例6による組成物は、粗悪なテクスチャ変換を示した。
【0235】
(実施例2及び比較例7~10)
表3に示す実施例2及び比較例7~10による、クリーム(O/Wエマルション)の形態の以下の組成物を、以下の表3に示す成分を混合することによって調製した。
(1)表3のA欄の成分を75~80℃で混合して、A相の均一混合物を形成する工程、
(2)表3のB欄の成分をA相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A相及びB相)を得る工程、
(3)表3のC欄の成分をA相及びB相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A、B及びC相)を得て、得られた混合物を室温(25℃)に冷却する工程、
(4)表3のE欄の成分を、A、B及びC相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A、B、C及びE相)を得る工程、並びに
(5)表3のD欄の成分を、A、B、C及びE相の混合物に加え、後続してこれらを均質化して均一混合物(A、B、C、D及びE相)を得る工程。
【0236】
表3に示す成分の量の数値はすべて、原料としての「質量%」に基づく。
【0237】
【0238】
【0239】
表3中のセルロース(粒子)の特性は、表2に示すものと同じである。
【0240】
[評価]
(粘度)
実施例2並びに比較例7、8及び10による各組成物の粘度を、ローター:No.4、回転速度:6rpm、及び測定時間:1分の条件下でB型粘度計を用いて、室温(25℃)で測定した。
【0241】
比較例9による組成物の粘度は、組成物の相分離のために、測定できなかった。
【0242】
結果を表3に示す。
【0243】
(テクスチャ変換)
5名の専門の判定士が、実施例2及び比較例7~10による組成物の塗布中の「テクスチャ変換」を評価した。各判定士は、各組成物を取り、それを自分の顔に円形に塗布した。判定士らは、(クリームから液体への)テクスチャ変換が起きたタイミングを評価し、それを1(不良)から5(非常に良好)まで格付けし、次いでそれを、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した。
非常に良好: 5.0~4.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が明確に感じられる)
良好: 3.9~3.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が感じられる)
不良: 2.9~2.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が感じられにくい)
非常に不良: 1.9~1.0(塗布の初期段階でテクスチャ変換が全く感じられない)
【0244】
結果を表3に示す。
【0245】
(べたつきのない感触)
5名の専門の判定士が、実施例2及び比較例7~10による組成物の塗布後の「べたつきのない感触」を評価した。各判定士は、各組成物を取り、それを自分の顔に塗布して塗布後にべたつきのない感触を評価し、1(不良)から5(非常に良好)まで格付けし、次いでそれを、採点の平均に基づいて、以下の4つのカテゴリーに分類した。
非常に良好: 5.0~4.0(塗布後にべたつきが全く感じられない)
良好: 3.9~3.0(塗布後にべたつきが感じられにくい)
不良: 2.9~2.0(塗布後にべたつきが感じられる)
非常に不良: 1.9~1.0(塗布後にべたつきが明確に感じられる)
【0246】
結果を表3に示す。
【0247】
(安定性)
実施例2及び比較例7~10による各組成物を、ガラス瓶に充填し、4℃、25℃、37℃、及び45℃の温度変化条件下で2カ月間保持した。次いで、各サンプルを、変化の程度(外観、色、及びにおい)について検査し、以下の基準に従って評価した。
非常に良好: 製造時とほぼ同じ状態。
良好: 外観、色、及びにおいにほとんど変化が観察されなかった。
不良: 外観、色、及びにおいに変化が明らかに観察された。
非常に不良: 外観、色、及びにおいの変化が顕著に認められた。
【0248】
結果を表3に示す。
【0249】
(概略)
表3から明らかであるように、本発明によるクリームの形態の組成物(実施例2)は、テクスチャ変換、べたつきのない感触、及び2カ月間の温度変化の下での安定性の観点から、優れた美容効果をもたらすことができ、これは、成分(c)の存在下の成分(a)及び(b)の組み合わせに起因しうる。したがって、本発明による組成物は、特に、優れた手触り、及び温度変化の下でも長期安定性をもたらすことができる。
【0250】
その一方で、成分(a)(セルロース粒子)を含んでいなかった比較例7による組成物は、粗悪なテクスチャ変換及びべたつきを示した。
【0251】
成分(a)の代わりにシリカ粒子を含んでいた比較例8による組成物は、粗悪なテクスチャ変換及び不安定性を示した。
【0252】
成分(b)(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)を含んでいなかった比較例9による組成物は、粗悪なテクスチャ変換及び不安定性を示した。
【0253】
成分(b)の代わりに別の増粘剤を含んでいた比較例10による組成物は、粗悪なテクスチャ変換及び不安定性を示した。