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特開2024-74055テクスチャ変換特性を有する、非粘着性且つ非油状安定組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074055
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】テクスチャ変換特性を有する、非粘着性且つ非油状安定組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240523BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20240523BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/35 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 8/40 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/81
A61K8/898
A61Q17/04
A61K8/49
A61K8/41
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022185109
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 友美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB172
4C083AC012
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC332
4C083AC341
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC421
4C083AC471
4C083AC511
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC662
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB04
4C083BB11
4C083BB46
4C083CC05
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる、安定組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、(a)少なくとも1種のセルロース粒子、(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマー、(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、並びに(d)水を含む、組成物に関する。本発明による組成物は、安定であり、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマー、
(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、並びに
(d)水
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物。
【請求項2】
(a)セルロース粒子の粒径が、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)セルロース粒子が、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100gである、油に対する湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである、水に対する湿潤点
を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)セルロース粒子の、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a)セルロース粒子が球状である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(a)セルロース粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(b)会合性ポリマーが、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(b)会合性ポリマーが、ポリオキシアルキレン化脂肪族アルコールに由来する1つ又は複数の単位を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の(b)会合性ポリマーの量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(c)親油性有機UVフィルターが、ドロメトリゾールトリシロキサン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ホモサレート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(c)親油性有機UVフィルターの量が、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~25質量%、より好ましくは5質量%~20質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤、好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステルから、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸モノエステルから選択される少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
(c)親油性有機UVフィルターとは異なる、(f)少なくとも1種の油を更に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン物質を処置するための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定であり、テクスチャ(質感)変換とともに、非粘着性、非油状性及び非光沢の外観を提供することができる、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に快適なテクスチャを与えることは、化粧料、特に皮膚ケア化粧料の主要な特性の1つである。
【0003】
とりわけ、塗布の初期段階の爽やかな感覚とともに、塗布後の非粘着性の感触又は粘着性が減少した感触を提供することができる、テクスチャ変換(組成物の物理的特性の変化、例えば組成物の構造の崩壊に相当する、例えば、ゲル又はクリームから液体へのテクスチャの変化であって、これによって液体が、組成物から流出することができる)は、使用時の顧客満足のために依然として必要とされている。
【0004】
不安定であり、容易に組成物の構造の崩壊を生じる組成物は、しばしば、快適な使用感を提供することに留意するべきである。これは、快適な使用感と良好な安定性との両方を、同時に提供するのは困難であることを意味する。
【0005】
これまでに、改善されたテクスチャ及び安定性を与えるゲル様組成物又はエマルション組成物に関する、いくつかの技術が報告されている。例えば、WO2022/124385は、テクスチャ変換を提供することができる安定な組成物を開示している。
【0006】
しかしながら、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる、安定組成物についての十分な調査は、未だなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2022/124385
【特許文献2】米国特許第3915921号
【特許文献3】米国特許第4509949号
【特許文献4】特許出願WO00/31154
【特許文献5】特許出願EP-A-750899
【特許文献6】米国特許第5089578号
【特許文献7】米国特許第5624663号
【特許文献8】特許出願EP0832642
【特許文献9】特許出願EP1027883
【特許文献10】特許出願EP1300137
【特許文献11】特許出願DE10162844
【特許文献12】特許出願WO93/04665
【特許文献13】特許出願DE19855649
【特許文献14】特許出願EP0967200
【特許文献15】特許出願DE19746654
【特許文献16】特許出願DE19755649
【特許文献17】特許出願EP-A-1008586
【特許文献18】特許出願EP1133980
【特許文献19】特許出願EP133981
【特許文献20】特許出願WO04/006878
【特許文献21】特許出願WO05/058269
【特許文献22】特許出願WO06/032741
【特許文献23】特許出願FR2957249
【特許文献24】特許出願FR2957250
【特許文献25】EP0841341
【特許文献26】US-A-5364633
【特許文献27】US-A-5411744
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁
【非特許文献2】Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、2000年、33巻、10号、3694~3704頁
【非特許文献3】Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior、Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁
【非特許文献4】Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem.、1999年、40巻(2号)、220~221頁
【非特許文献5】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press
【非特許文献6】Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる、安定組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記の目的は、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマー、
(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、並びに
(d)水
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物によって達成することができる。
【0011】
(a)セルロース粒子の粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下でありうる。
【0012】
(a)セルロース粒子は、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100gである、油に対する湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである、水に対する湿潤点
を有しうる。
【0013】
(a)セルロース粒子の、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下でありうる。
【0014】
(a)セルロース粒子は球状でありうる。
【0015】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0016】
(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位を含んでもよい。
【0017】
(b)会合性ポリマーは、ポリオキシアルキレン化脂肪族アルコールに由来する1つ又は複数の単位を含んでもよい。
【0018】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0019】
(c)親油性有機UVフィルターは、ドロメトリゾールトリシロキサン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、ホモサレート及びこれらの混合物からなる群から選択されうる。
【0020】
本発明による組成物中の(c)親油性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~25質量%、より好ましくは5質量%~20質量%であってもよい。
【0021】
本発明による組成物は、好ましくはポリグリセリル脂肪酸エステルから、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸モノエステルから選択される(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。
【0022】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0023】
本発明による組成物は、(c)親油性有機UVフィルターとは異なる、(f)少なくとも1種の油を更に含んでもよい。
【0024】
本発明はまた、ケラチン物質を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、本発明者らは、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる、安定組成物を提供する新たなアプローチを発見した。
【0026】
したがって、本発明の一態様は、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマー、
(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、並びに
(d)水
を含む組成物である。
【0027】
本発明による組成物は、安定であり、塗布中のテクスチャ変換に加えて、塗布後に粘着感がなく又は減少しているとともに、油状の/油っぽい感触がなく又は減少しており、且つ光沢がない又は減少した外観を提供することができる。
【0028】
本発明による組成物は、組成物の調製直後、及び冷温から高温への温度変化のもとでさえ、組成物の調製後、長時間にわたって安定である。そのため、本発明による組成物は、経時的に安定であり、冬から夏までに起こる温度変化のもとでさえ、長期間貯蔵されうる。
【0029】
本発明による組成物は、好ましくは塗布後、粘着感をもたらさない、又は粘着感を減少させることができる。
【0030】
「粘着性の」という用語は、ここでは、皮膚に粘りつく感触を提供する特性を意味する。
【0031】
本発明による組成物は、油の特性と同様の特性を有する(c)親油性有機UVフィルターを含み、(c)親油性有機UVフィルターはそれ自体、塗布後に、油状の又は油っぽい感触、及び光沢のある外観、例えば光沢のある皮膚の原因となりうる。
【0032】
しかしながら、本発明による組成物は、(c)親油性有機UVフィルターを含むにもかかわらず、油状の又は油っぽい感触、及び光沢のある外観、例えば光沢のある皮膚をもたらさない、又は減少させることができる。
【0033】
本発明による組成物は、塗布中、好ましくは塗布の初期段階に、テクスチャ変換を提供することができる。テクスチャ変換とは、ここでは、組成物の物理的特性の変化、例えば組成物の構造の崩壊に相当する、例えば、ゲル又はクリームから液体へのテクスチャの変化を意味し、これによって液体が、組成物から流出することができる。テクスチャ変換によって、爽やかな感覚を提供することができる。
【0034】
そのため、本発明による組成物は、特に、組成物の塗布中及び塗布後の皮膚の感触において、優れた手触りを提供することができる。
【0035】
これ以降、本発明による組成物等を、より詳細に説明することになる。
【0036】
[セルロース粒子]
本発明による組成物は、特定の特性を有する(a)少なくとも1種のセルロース粒子を含む。2種以上のセルロース粒子を使用する場合、これらは、同じであっても異なってもよい。
【0037】
(a)セルロース粒子の粒径は、一次粒径に相当する。加えて、ここでの粒径は、平均、すなわち算術平均粒径を意味し、例えばレーザー回折粒径分析装置によって決定することができる、体積平均粒径でありうる。
【0038】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子の粒径は、限定されない。しかしながら、(a)セルロース粒子の粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下、よりいっそう好ましくは10μm以下、特に好ましくは2~5μmであることが好ましい。
【0039】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子の90体積%以上が、0.1~10μm、好ましくは0.5~8μm、より好ましくは1~7μmの範囲内の平均一次粒径を有することが好ましい。(a)セルロース粒子の90体積%以上が1~7μmの範囲内の平均一次粒径を有する場合、粒子に起因する光学的効果も達成されうる。
【0040】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子は、任意の粒子状形態であってよい。
【0041】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子の最長径/最短径の比は、1.0~10、好ましくは1.0~5、より好ましくは1.0~3の範囲内であることが好ましい。
【0042】
(a)セルロース粒子は球状であり、好ましくは1.0~1.1の最長径/最短径の比を有することがより好ましい。
【0043】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子は、
少なくとも40ml/100g、好ましくは少なくとも50ml/100g、より好ましくは少なくとも60ml/100g、より好ましくは少なくとも100ml/100g、よりいっそう好ましくは少なくとも250ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である、油に対する湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100g、よりいっそう好ましくは少なくとも350ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である、水に対する湿潤点
を有しうる。
【0044】
本明細書における「油に対する湿潤点」という用語は、特に、目的の粉末を用いたペーストの形成によって認識できる、目的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な油の分量又は量を意味する。
【0045】
油に対する湿潤点は、以下のプロトコルによって決定されうる。
(1)油、特に直鎖状エステル油、例えばイソノナン酸イソノニル(WICKENOL 151/ALZO社)を加えながら、ガラス板上でスパチュラを用いて、目的の粉末2gを混練する。
(2)目的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)油に対する湿潤点を、次式から算出する:油に対する湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度。
【0046】
同様に、本明細書における「水に対する湿潤点」という用語は、特に、目的の粉末を用いたペーストの形成によって認識されうる、目的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な水の分量又は量を意味する。
【0047】
水に対する湿潤点は、以下のプロトコルによって決定されうる。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を加えながら、ガラス板上でスパチュラを用いて、目的の粉末2gを混練する。
(2)目的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)水に対する湿潤点を、次式から算出する:水に対する湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度。
【0048】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子の、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、よりいっそう好ましくは2以下であり、且つ好ましくは0.1以上であることが好ましい。
【0049】
(a)セルロース粒子は、多孔質であっても非多孔質であってもよく、好ましくは多孔質である。
【0050】
(a)セルロース粒子の多孔度は、BET法による、0.05m2/g~1,500m2/g、より好ましくは0.1m2/g~1,000m2/g、よりいっそう好ましくは0.2m2/g~500m2/gの比表面積を特徴としうる。
【0051】
本発明において、(a)セルロース粒子のために使用されうるセルロースは、セルロースI又はセルロースII等のセルロースの型によって限定されない。本発明のための(a)セルロース粒子用材料として使用できるセルロースとして、II型セルロースが好ましい。
【0052】
(a)セルロース粒子、好ましくは球状セルロース粒子は、例えば以下のように調製されうる。
(1)凝集阻害剤として炭酸カルシウムのスラリーを、アルカリ性の水溶性アニオン性ポリマーの水性溶液に加え、撹拌する。
(2)ビスコースと上記(1)で得た水性溶液とを混合して、ビスコース微粒子の分散体を形成する。
(3)上記(2)で得たビスコース微粒子の分散体を加熱して分散体中のビスコースを凝集させ、酸で中和して、セルロース微粒子を形成する。
(4)セルロース微粒子を、上記(3)で得た母液から分離し、必要に応じて洗浄し、乾燥させる。
【0053】
ビスコースは、セルロースの原料である。30~100質量%のガンマ価、及び4~10質量%のアルカリ濃度を有するビスコースを使用することが好ましい。上記の水溶性アニオン性ポリマーとして、ポリアクリル酸ナトリウム塩及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等を挙げることができる。上記の炭酸カルシウムは、分散体中のビスコース微粒子の凝集を阻止するために、且つセルロース粒子の粒径を小さくするために使用される。炭酸カルシウムスラリーとして、日本の奥多摩工業株式会社によって市販されている、Tama Pearl TP-221GSを挙げることができる。
【0054】
一実施形態によれば、(a)セルロース粒子は、セルロース誘導体を含むことも、含まないこともある。セルロース誘導体は、セルロースエステル及びエーテルから選択されうる。
【0055】
「セルロースエステル」という用語は、上記及び下記の文章中では、部分的に又は完全にエステル化された無水グルコース環のα(1-4)配列からなるポリマーを意味し、このエステル化は、前記無水グルコース環のフリーのヒドロキシル官能基のすべて又はその一部のみが、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のカルボン酸又はカルボン酸誘導体(酸塩化物若しくは酸無水物)と反応することによって得られることが指摘される。
【0056】
好ましくは、セルロースエステルは、前記環のフリーのヒドロキシル官能基の一部と、1~4個の炭素原子を含有するカルボン酸との反応によって得られる。
【0057】
有利には、セルロースエステルは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロース及びアセトプロピオン酸セルロース、並びにこれらの混合物から選択される。
【0058】
これらのセルロースエステルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲内の質量平均分子量を有してもよい。
【0059】
上記及び下記の文章中で、「セルロースエーテル」という用語は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1-4)配列からなるポリマーを意味し、前記環のフリーのヒドロキシル官能基の一部は、-OR基で置換されており、Rは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基である。
【0060】
したがって、セルロースエーテルは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基を有するセルロースアルキルエーテル、例えばセルロースメチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルエーテルから選択される。
【0061】
これらのセルロースエーテルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲内の質量平均分子量を有してもよい。
【0062】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子として、例えば、日本の大東化成工業株式会社によって市販されている、以下の球状セルロース粒子を挙げることができる:
4μmの平均粒径を有するCellulobeads USF(油に対する湿潤点は296.0ml/100gであり、水に対する湿潤点は400.8ml/100gであり、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比は1.4である)、
3~5μmの平均粒径を有するCellulobeads USF-X(油に対する湿潤点は最大80ml/100gであり、水に対する湿潤点は250ml/100gであり、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比は3.1以下である)、
8~10μmの平均粒径を有するCellulobeads D-5(油に対する湿潤点は最大70ml/100gであり、水に対する湿潤点は150ml/100gであり、水に対する湿潤点/油に対する湿潤点の比は2.1以下である)、及び
12~15μmの平均粒径を有するCellulobeads D-10(油に対する湿潤点は最大60ml/100gであり、水に対する湿潤点は140ml/100gであり、水に対する湿潤点/油の湿潤点の比は2.3以下である)。
【0063】
本発明のために使用される(a)セルロース粒子は、事前にコーティングされていることも、されていないこともある。
【0064】
特定の実施形態では、(a)セルロース粒子は、元からコーティングされている。粒子の元のコーティングの材料は限定されないが、有機材料、例えば、モノ若しくはジカルボン酸又はその塩、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、アミド、シリコーン及び変性シリコーンが好ましいことがある。有機材料として、コハク酸カリウム、ラウロイルリジン及びアクリル変性シリコーンを挙げることができる。
【0065】
言い換えれば、本発明のために使用される(a)セルロース粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理の例として、以下を挙げることができる。
(1)フッ素系化合物処理、例えば、ペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロポリエーテル、フルオロシリコーン及びフッ素化シリコーン樹脂による処理
(2)シリコーン処理、例えば、気相中でのメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン及びテトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンによる処理
(3)ペンダント処理、例えば、気相シリコーン処理の後にアルキル鎖等を付加する処理
(4)シランカップリング剤処理
(5)チタンカップリング剤処理
(6)アルミニウムカップリング剤処理
(7)油剤処理
(8)N-アシル化リジン処理
(9)ポリアクリル酸処理
(10)金属石けん処理、例えば、ステアリン酸塩又はミリスチン酸塩を用いた処理
(11)アクリル樹脂処理
(12)金属酸化物処理
【0066】
上記の処理と組み合わせて、複数の表面処理を実行することが可能である。
【0067】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0068】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0069】
本発明による組成物中の(a)セルロース粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、好ましくは0.5質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0070】
[会合性ポリマー]
本発明による組成物は、(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマーを含む。2種以上のこのような会合性ポリマーを使用する場合、これらは、同じであっても異なってもよい。
【0071】
(b)会合性ポリマーは、増粘剤として機能することができる。
【0072】
本発明の目的上、「会合性ポリマー」という用語は、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に組み合うことができるホモポリマー又はコポリマーを指す。
【0073】
本発明のために使用される(b)会合性ポリマーは、好ましくは、1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位と、他の単位との会合性コポリマーである。
【0074】
(b)会合性ポリマーは、より特定的には、少なくとも1つの親水性部分と、少なくとも1つの疎水性部分とを含む。本発明の目的上、「疎水性基」という用語は、少なくとも10個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、特に12~30個の炭素原子、より優先的には16~30個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和で、直鎖状又は分枝状の炭化水素系の鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0075】
本発明の目的上、(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む会合性ポリマーとは、ポリマーが、少なくとも1つのアクリル酸単位若しくは少なくとも1つのメタクリル酸単位、又はこれらの混合物を含むことを意味する。(b)会合性ポリマーは、6個未満の炭素原子を含むアクリル酸又はメタクリル酸、好ましくはアクリル酸のアルキルエステルによって形成される単位等の更なる単位、例えばアクリル酸C1~C4アルキル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチル(これ以降、「単純エステル」と呼ぶ)から選択されるものを含んでもよい。
【0076】
本発明の好ましい一態様では、本発明のために使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C12)アルキルエステル単位、より好ましくは1つ又は複数の(メタ)アクリル酸(C1~C6)アルキルエステル単位を含む。
【0077】
特定の実施形態によれば、本発明のために使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のアクリル酸単位を含む。更なる実施形態によれば、本発明のために使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のメタクリル酸単位を含む。別の実施形態によれば、本発明のために使用される(b)会合性ポリマーは、1つ又は複数のアクリル酸単位と、1つ又は複数のメタクリル酸単位とを含む。
【0078】
特定の実施形態では、(b)会合性ポリマーは、(メタ)アクリル酸とは異なる別のモノマーに由来する別の単位を含みうる。例えば、このようなモノマーは、エチレン性不飽和親水性モノマーのエステル、例えば、(メタ)アクリル酸又はイタコン酸と、ポリオキシアルキレン化脂肪族アルコールとのエステルであってもよい。好ましくは、エステルモノマーの脂肪族アルコール部分は、直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状で、飽和又は不飽和、好ましくは飽和の(C12~C30)脂肪族アルコール、特に(C16~C26)脂肪族アルコールでありうる。エステルモノマーのポリオキシアルキレン鎖は、優先的にはエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位からなり、よりいっそう特定的にはエチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン単位の数は、一般に3~100、好ましくは7~50、より好ましくは12~30の範囲にわたる。
【0079】
(b)会合性ポリマーの例として、例えば、以下を挙げることができる:
LUBRIZOL社により販売されている、商品名:NOVETHIX L-10 POLYMER(登録商標) (INCI名:アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25コポリマー)で販売されている製品、
DOW CHEMICAL社により販売されている、商品名:Aculyn(登録商標) 28(INCI名:アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25コポリマー)の製品、
DOW CHEMICAL社により販売されている、商品名:Aculyn(登録商標) 22(INCI名:アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20コポリマー)で販売されている製品、
DOW CHEMICAL社により販売されている、商品名:Aculyn(登録商標) 88(INCI名:アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20クロスポリマー)で販売されている製品、
AKZO NOBEL社により販売されている、商品名:STRUCTURE(登録商標) 2001(INCI名:アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20コポリマー)で販売されている製品、及び
AKZO NOBEL社により販売されている、商品名:STRUCTURE(登録商標) 3001(INCI名:アクリレーツ/イタコン酸セテス-20コポリマー)で販売されている製品。
【0080】
本発明のために使用することができる(b)会合性ポリマーは、アクリル及び/又はメタクリル単位を含有するアニオン性の会合性(コ)ポリマーからも選択されうる。
【0081】
本発明のために使用されうる(メタ)アクリル酸アニオン性会合性(コ)ポリマーは、不飽和オレフィン性カルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位と、不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステル等の型の少なくとも1つの疎水性単位とを含むものから選択されうる。
【0082】
より特定的には、これらの(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、好ましくは、不飽和オレフィン性カルボン酸型の親水性単位が、下記の式(I):
【0083】
【化1】
【0084】
[式中、R1は、H又はCH3を示す]
のモノマー、すなわち、アクリル酸若しくはメタクリル酸単位に相当し、且つ不飽和カルボン酸型の(C10~C30)アルキルエステルの疎水性単位が、下記の式(II)
【0085】
【化2】
【0086】
[式中、R1は、H又はCH3を示し(すなわち、アクリレート又はメタクリレート単位)、R2は、C10~C30、好ましくはC12~C22アルキル基を示す]
のモノマーに相当するものから選択される。
【0087】
式(II)による不飽和カルボン酸の(C10~C30)アルキルエステルとして、より特定的には、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル及びアクリル酸ドデシル、並びに対応するメタクリル酸エステルである、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸イソデシル及びメタクリル酸ドデシルを挙げることができる。
【0088】
この型の(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、例えば、米国特許第3915921号及び同第4509949号に記載されており、それらに従って調製される。
【0089】
本発明のために使用されうる(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーは、より特定的には、
(i)アクリル酸、及び下記の式(III):
【0090】
【化3】
【0091】
[式中、R3は、H又はCH3を示し、R4は、12~22個の炭素原子を有するアルキル基を示す]
の1種若しくは複数のエステル並びに任意選択で架橋剤、例えば、95質量%~60質量%のアクリル酸(親水性単位)、4質量%~40質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)及び0~6質量%の架橋重合性モノマーからなる、又は98質量%~96質量%のアクリル酸(親水性単位)、1質量%~4質量%のC10~C30アクリル酸アルキル(疎水性単位)及び0.1質量%~0.6質量%の架橋重合性モノマーからなる架橋剤;又は
(ii)本質的に、アクリル酸及びメタクリル酸ラウリル、例えば、66質量%のアクリル酸及び34質量%のメタクリル酸ラウリルから形成される生成物
を含むモノマーの混合物から形成されるポリマーを示しうる。
【0092】
本発明のこれらの実施形態について、「架橋剤」という用語は、下記の基
【0093】
【化4】
【0094】
と、少なくとも1つの他の重合性基とを含有し、モノマーの不飽和結合が互いに共役していない、モノマーを意味しうる。本発明のために使用されうる架橋剤として、とりわけポリアリルエーテルを、とりわけ、例えばポリアリルスクロース及びポリアリルペンタエリスリトールを挙げることができる。
【0095】
上記の前記(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーの中でも、本発明に特に好ましいものは、Goodrich社により商標名Pemulen TR1、Pemulen TR2、Carbopol 1382で販売されている製品、なおもより好ましくはPemulen TR1、及びS.E.P.C.社により名称Coatex SXで販売されている製品である。
【0096】
(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーとして、Amerchol社により名称Viscophobe DB 1000で販売されている、メタクリル酸/アクリル酸メチル/エトキシル化アルコールのジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアン酸エステルのコポリマーを挙げることもできる。
【0097】
本発明のために使用されうる他の(メタ)アクリル酸会合性(コ)ポリマーはまた、スルホン基をフリーの形態、又は部分的に若しくは完全に中和された形態で有する少なくとも1つの(メタ)アクリル酸モノマーを含み、且つ少なくとも1つの疎水性部分を含むスルホン酸ポリマーであってもよい。
【0098】
本発明のために使用されうる前記スルホン酸ポリマーに存在する前記疎水性部分は、好ましくは8~22個の炭素原子、より好ましくは8~18個の炭素原子、より特定的には12~18個の炭素原子を含む。
【0099】
優先的には、本発明のために使用されうるこれらのスルホン酸ポリマーは、無機塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム若しくはアンモニア水)によって、又は有機塩基、例えば、モノ-、ジ-若しくはトリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール、N-メチルグルカミン、塩基性アミノ酸、例えばアルギニン及びリジンによって、並びにこれらの化合物の混合物によって、部分的に又は完全に中和されている。
【0100】
これらの前記スルホン酸ポリマーは、一般に1000~20000000g/molの範囲内、好ましくは20000~5000000g/molの範囲内、よりいっそう好ましくは100000~1500000g/molの範囲内の数平均分子量を有する。
【0101】
本発明のために使用されうるスルホン酸ポリマーは、架橋されていることも、されていないこともある。架橋ポリマーが好ましく選択される。
【0102】
架橋する場合、架橋剤は、フリーラジカル重合によって得られるポリマーの架橋のために通例使用される、ポリオレフィン性不飽和化合物から選択されてもよい。例えば、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、エチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレート若しくはテトラエチレングリコールジアクリレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、トリアリルアミン、シアヌル酸トリアリル、マレイン酸ジアリル、テトラアリルエチレンジアミン、テトラアリルオキシエタン、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、(メタ)アクリル酸アリル、糖類のアルコールのアリルエーテル、又は多官能性アルコールの他のアリル若しくはビニルエーテル、及びまたリン酸及び/若しくはビニルホスホン酸誘導体のアリルエステル、或いはこれらの化合物の混合物を挙げることができる。
【0103】
メチレンビスアクリルアミド、メタクリル酸アリル又はトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が、より特定的に使用される。
【0104】
架橋度は、ポリマーに対して、一般に0.01mol%~10mol%、より特定的には0.2mol%~2mol%の範囲にわたる。
【0105】
本発明のために使用されうるスルホン酸ポリマーのスルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸モノマーは、とりわけ、(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸及びN-(C1~C22)アルキル(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸から、例えばウンデシルアクリルアミドメタンスルホン酸、及びまたその部分的に又は完全に中和された形態から選択される。
【0106】
(メタ)アクリルアミド(C1~C22)アルキルスルホン酸、例えば、アクリルアミドメタンスルホン酸、アクリルアミドエタンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-n-ブタンスルホン酸、2-アクリルアミド-2,4,4-トリメチルペンタンスルホン酸、2-メタクリルアミドドデシルスルホン酸又は2-アクリルアミド-2,6-ジメチル-3-ヘプタンスルホン酸、及びまたこれらの部分的に又は完全に中和された形態が、より優先的に使用される。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、及びまたその部分的に又は完全に中和された形態が、よりいっそう特定的に使用される。
【0107】
本発明のために使用されうる(メタ)アクリル酸会合性増粘剤は、とりわけ、C6~C22n-モノアルキルアミン又はC6~C22ジ-n-アルキルアミンとの反応によって改質されたランダム両性AMPSポリマー、例えば、特許出願WO00/31154(記載内容の不可欠な部分を形成する)に記載されるものから選択されうる。
【0108】
これらのポリマーはまた、例えば、(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール若しくはモノ-若しくはポリアルキレングリコールによって得られるそのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸、或いはこれらの化合物の混合物から選択される、他のエチレン性不飽和親水性モノマーを含有してもよい。
【0109】
本発明のために特に好ましく使用されうる、スルホン酸基を有する(メタ)アクリル酸会合性増粘剤は、好ましくはAMPSと、8~50個の炭素原子、より好ましくは8~22個の炭素原子、なおもより好ましくは8~18個の炭素原子、より特定的には12~18個の炭素原子を含有する少なくとも1つの疎水性部分を含む、少なくとも1種のエチレン性不飽和疎水性モノマーとの両性コポリマーから選択される。
【0110】
これらの同じコポリマーはまた、脂肪族鎖を含まない1種又は複数のエチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、そのβ-置換アルキル誘導体、又はモノアルコール又はモノ-若しくはポリアルキレングリコールによって得られるそのエステル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、無水マレイン酸、イタコン酸又はマレイン酸、或いはこれらの化合物の混合物を含有してもよい。
【0111】
これらのコポリマーは、とりわけ、特許出願EP-A-750899、米国特許第5089578号及び以下のYotaro Morishimaの発表に記載されている:
- Self-assembling amphiphilic polyelectrolytes and their nanostructures、Chinese Journal of Polymer Science、18巻、40号(2000年)、323~336頁;
- Micelle formation of random copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and a nonionic surfactant macromonomer in water as studied by fluorescence and dynamic light scattering、Macromolecules、2000年、33巻、10号、3694~3704頁;
- Solution properties of micelle networks formed by nonionic moieties covalently bound to a polyelectrolyte: salt effects on rheological behavior、Langmuir、2000年、16巻、12号、5324~5332頁;
- Stimuli responsive amphiphilic copolymers of sodium 2-(acrylamido)-2-methylpropanesulfonate and associative macromonomers、Polym. Preprint, Div. Polym. Chem.、1999年、40巻(2号)、220~221頁。
【0112】
これらの特定のコポリマーのエチレン性不飽和疎水性モノマーは、好ましくは、下記の式(IV):
【0113】
【化5】
【0114】
[式中、R5及びR7は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状C1~C6アルキル基(好ましくは、メチル)を示し、Yは、O又はNHを示し、R6は、少なくとも8~50個の炭素原子、より優先的には8~22個の炭素原子、よりいっそう優先的には6~18個の炭素原子、より特定的には12~18個の炭素原子を含有する疎水性炭化水素系の基を示し、xは、アルキレンオキシドのモル数を示し、0~100の範囲内である]
のアクリル酸エステル又はアクリルアミドから選択される。
【0115】
R6基は、好ましくは、直鎖状C6~C18アルキル基(例えば、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ヘキサデシル、n-ドデシル)、又は分枝状若しくは環状C6~C18アルキル基(例えば、シクロドデカン(C12)若しくはアダマンタン(C10));C6~C18ペルフルオロアルキル基(例えば式-(CH2)2-(CF2)9-CF3の基);コレステリル基(C27)又はコレステロールエステル残基、例えばオキシヘキサン酸コレステリル基;芳香族多環式基、例えばナフタレン又はピレンから選択される。これらの基の中でも、より特に好ましいものは直鎖状アルキル基であり、より特定的にはn-ドデシル基である。
【0116】
本発明の特に好ましい形態によれば、式(IV)のモノマーは、少なくとも1つのアルキレンオキシド単位(x≧1)、好ましくはポリオキシアルキレン鎖を含む。ポリオキシアルキレン鎖は、優先的にはエチレンオキシド単位及び/又はプロピレンオキシド単位からなり、よりいっそう特定的にはエチレンオキシド単位からなる。オキシアルキレン単位の数は、一般に3~100、より好ましくは3~50、なおもより好ましくは7~25の範囲内である。
【0117】
これらのポリマーの中でも、以下のものを挙げることができる:
- ポリマーに対して15質量%~60質量%のAMPS単位、及び40質量%~85質量%の(C8~C16)アルキル(メタ)アクリルアミド単位又は(C8~C16)アルキル(メタ)アクリレート単位を含む、架橋されていることも、されていないこともあり、中和されていることも、されていないこともあるコポリマー、例えば特許出願EP-A-750899に記載されているもの、
- 10mol%~90mol%のアクリルアミド単位、0.1mol%~10mol%のAMPS単位及び5mol%~80mol%のn-(C6~C18)アルキルアクリルアミド単位を含むターポリマー、例えば米国特許第5089578号に記載されているもの。
【0118】
完全に中和されたAMPSとメタクリル酸ドデシルとのコポリマー、及びまたAMPSとn-ドデシルメタクリルアミドとの架橋及び非架橋コポリマー、例えば、上に挙げたMorishima論文に記載されているものも挙げることもできる。
【0119】
下記の式(V):
【0120】
【化6】
【0121】
[式中、X+は、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はアンモニウムイオンである]
の2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)単位と、
下記の式(VI):
【0122】
【化7】
【0123】
[式中、xは、3~100、好ましくは5~80、より優先的には7~25の範囲内の整数を示し、R5は、上記の式(IV)において示されたものと同じ意味を有し、R8は、直鎖状又は分枝状C6~C22、より優先的にはC10~C22アルキルを示す]
の単位とで構成されるコポリマーも挙げられる。
【0124】
好ましいポリマーは、x=25であり、R5がメチルを示し、R8がn-ドデシルを表すものであり、これらは上に挙げたMorishima論文に記載されている。
【0125】
更に、式(IV)において、x=20~25であり、R5がメチルを示し、R8がC12~C24アルキル基、好ましくは、例えば、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基又はベヘニル基を表すモノマーの使用が、特に好ましい。とりわけ、x=20~25であり、R5がメチルを示し、R8がC16~C24アルキル鎖、例えば、ステアリル基又はベヘニル基を表す式(IV)のモノマーの使用が、特に好ましい。
【0126】
X+がナトリウム又はアンモニウムを示すポリマーが、より特定的に好ましい。
【0127】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0128】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0129】
本発明による組成物中の(b)会合性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%、好ましくは0.05質量%~5質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0130】
[親油性有機UVフィルター]
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルターを含む。単一の型の親油性有機UVフィルターを使用してもよいが、2種以上の異なる型の親油性有機UVフィルターを組み合わせて使用してもよい。
【0131】
「親油性有機UVフィルター」という用語は、UV照射を、好ましくは290から400nmの間のUV照射を遮蔽することができ、巨視的に一様な相が得られるように、油等の脂肪物質を含む脂肪相に溶解又は分散することができる有機分子を意味する。「有機分子」という用語は、構造中に1個又は複数の炭素原子を含む任意の分子を意味する。したがって、本発明のために使用される(c)親油性有機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において活性でありうる。
【0132】
(c)親油性有機UVフィルターは、固体又は液体でありうる。「固体」及び「液体」という用語は、それぞれ、25℃において1atm下で固体及び液体であることを意味する。
【0133】
(c)親油性有機UVフィルターは、とりわけ、ケイ皮酸誘導体;アントラニレート;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体、カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;トリアジン誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、とりわけ米国特許第5624663号に言及されているもの;イミダゾリン;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;特許出願EP0832642、EP1027883、EP1300137及びDE10162844に記載されているベンゾオキサゾール誘導体;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば、とりわけ特許出願WO93/04665に記載されているもの;α-アルキルスチレン系二量体、例えば特許出願DE19855649に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン、例えば特許出願EP0967200、DE19746654、DE19755649、EP-A-1008586、EP1133980及びEP133981に記載されているもの;メロシアニン誘導体、例えば特許出願WO04/006878、WO05/058269、WO06/032741、FR2957249及びFR2957250に記載されているもの;並びにこれらの混合物から選択されうる。
【0134】
(c)親油性有機UVフィルターの例として、以下にINCI名で示すものを挙げることができる:
ジベンゾイルメタン誘導体:
DSM Nutritional Products社により商標名Parsol 1789で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン、
パラアミノ安息香酸誘導体:
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
特にISP社により名称Escalol 507で販売されている、エチルヘキシルジメチルPABA、
サリチル酸誘導体:
Rona/EM Industries社により名称Eusolex HMSで販売されている、ホモサレート、
Symrise社により名称Neo Heliopan OSで販売されている、サリチル酸エチルヘキシル、
ケイ皮酸誘導体:
とりわけDSM Nutritional Products社により商標名Parsol MCXで販売されている、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
Symrise社により商標名Neo Heliopan E 1000で販売されている、メトキシケイ皮酸イソアミル、
シノキセート、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:
とりわけBASF社により商標名Uvinul N539で販売されている、オクトクリレン、
特にBASF社により商標名Uvinul N35で販売されている、エトクリレン、
ベンゾフェノン誘導体:
BASF社により商標名Uvinul 400で販売されている、ベンゾフェノン-1、
BASF社により商標名Uvinul D50で販売されている、ベンゾフェノン-2、
BASF社により商標名Uvinul M40で販売されている、ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、
Norquay社により商標名Helisorb 11で販売されている、ベンゾフェノン-6、
American Cyanamid社により商標名Spectra-Sorb UV-24で販売されている、ベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-12、
BASF社により、商標名Uvinul A+で、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物の形態において商標名Uvinul A+Bで販売されている、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
ベンジリデンカンファー誘導体:
Chimex社により名称Mexoryl SDで製造される、3-ベンジリデンカンファー、
Merck社により名称Eusolex 6300で販売されている、4-メチルベンジリデンカンファー、
Chimex社により名称Mexoryl SWで製造される、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
Rhodia Chimie社により名称Silatrizoleで販売されている、ドロメトリゾールトリシロキサン、
トリアジン誘導体:
BASF社により商標名Tinosorb Sで販売されている、ビス-(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
特にBASF社により商標名Uvinul T150で販売されている、エチルヘキシルトリアゾン、
Sigma 3V社により商標名Uvasorb HEBで販売されている、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
EP0841341に記載されている、2つのアミノ安息香酸基によって置換されているトリアジンシリコーン、特に2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
アントラニル酸誘導体:
Symrise社により商標名Neo Heliopan MAで販売されている、アントラニル酸メンチル、
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、
ベンザルマロネート誘導体:
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、DSM社により商標名Parsol SLXで販売されているポリシリコーン-15、
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
親油性メロシアニン誘導体:
オクチル5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート、
及びこれらの混合物。
【0135】
好ましくは、(c)親油性有機UVフィルターは、以下から選択されうる:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
ベンゾフェノン-3、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4-メチルベンジリデンカンファー、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン及び
これらの混合物。
【0136】
より好ましくは、(c)親油性有機UVフィルターは、以下から選択されうる:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
オクトクリレン、
サリチル酸エチルヘキシル、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン及び
これらの混合物。
【0137】
実施形態では、本発明による組成物は、(c)親油性有機UVフィルターとして、ドロメトリゾールトリシロキサン、ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ホモサレート及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましい場合がある。
【0138】
本発明による組成物中の(c)親油性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよい。
【0139】
その一方で、本発明による組成物中の(c)親油性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、30質量%以下、好ましくは25質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0140】
本発明による組成物中の(c)親油性有機UVフィルターの量は、組成物の総質量に対して、1質量%~30質量%、好ましくは3質量%~25質量%、より好ましくは5質量%~20質量%の範囲内であってもよい。
【0141】
[水]
本発明による組成物は、(d)水を含む。
【0142】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、25質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上であってもよい。
【0143】
その一方で、本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下であってもよい。
【0144】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、25質量%~80質量%、好ましくは30質量%~70質量%、より好ましくは35質量%~60質量%の範囲内であってもよい。
【0145】
[非イオン性界面活性剤]
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。単一の型の非イオン性界面活性剤を使用してもよいが、2種以上の異なる型の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0146】
(e)非イオン性界面活性剤は、本発明による組成物の安定性を更に増強しうる。
【0147】
(e)非イオン性界面活性剤は、以下から選択されうる:
(1)ポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン化アルキルグリセリド及びポリオキシアルキレン化脂肪族エーテルから選択される界面活性剤、
(2)脂肪酸又は脂肪族アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステル、
(3)糖の脂肪酸エステル、及び糖の脂肪族アルコールエーテル、
(4)ソルビタンの脂肪族エステル、及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪族エステル、並びにオキシアルキレン化脂肪族エステルから選択される界面活性剤、
(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマー、
(6)ポリオキシエチレン化(1~40EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30PO)アルキル(C16~C30)エーテル、
(7)シリコーン界面活性剤、並びに
(8)これらの混合物。
【0148】
界面活性剤(1)は、45℃以下の温度において流体でありうる。
【0149】
界面活性剤(1)は、特に以下から選択されうる:
- 少なくとも1種の飽和又は不飽和で、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えばC8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1つ、好ましくは1つの脂肪酸と、2~12個のグリセロール、好ましくは2~10個のグリセロール、より好ましくは2~8個のグリセロールとの、ポリグリセリル脂肪酸エステル、
- ポリオキシエチレン化(PEG化)アルキルグリセリド、例えば、カプリル酸及びカプリン酸のモノ-、ジ-及びトリ-グリセリドの混合物のポリエチレングリコール誘導体(好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~20個のエチレンオキシド単位、よりいっそう好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位)、例えば、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-7カプリル酸/カプリン酸グリセリド、及びヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、
- 少なくとも1種の飽和又は不飽和で、直鎖状又は分枝状のC8~C22炭化水素基、例えば、C8~C22アルキル又はアルケニル基、好ましくはC8~C18アルキル又はアルケニル基、より好ましくはC8~C12アルキル又はアルケニル基を含む、少なくとも1つの、好ましくは1つの脂肪族アルコールと、2~60個のエチレンオキシド、好ましくは2~30個のエチレンオキシド、より好ましくは2~10個のエチレンオキシドとの、ポリオキシエチレン化脂肪族エーテル、並びに
- これらの混合物。
【0150】
(e)非イオン性界面活性剤は、上記のポリグリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン化アルキルグリセリド、及びポリオキシエチレン化脂肪族エーテルから選択される、少なくとも2つの混合物であることが好ましいことがある。
【0151】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、2~8個のグリセロール、より好ましくは2~6個のグリセロール、よりいっそう好ましくは2~4個のグリセロールに由来するポリグリセロール部分を有することが好ましい。
【0152】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の酸、好ましくは飽和の酸、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及びミリスチン酸のモノ、ジ及びトリエステルから選択されうる。
【0153】
ポリグリセリル脂肪酸エステルは、カプリン酸PG2、ジカプリン酸PG2、トリカプリン酸PG2、カプリル酸PG2、ジカプリル酸PG2、トリカプリル酸PG2、ラウリン酸PG2、ジラウリン酸PG2、トリラウリン酸PG2、ミリスチン酸PG2、ジミリスチン酸PG2、トリミリスチン酸PG2、ステアリン酸PG2、ジステアリン酸PG2、トリステアリン酸PG2、イソステアリン酸PG2、ジイソステアリン酸PG2、トリイソステアリン酸PG2、オレイン酸PG2、ジオレイン酸PG2、トリオレイン酸PG2、カプリン酸PG3、ジカプリン酸PG3、トリカプリン酸PG3、カプリル酸PG3、ジカプリル酸PG3、トリカプリル酸PG3、ラウリン酸PG3、ジラウリン酸PG3、トリラウリン酸PG3、ミリスチン酸PG3、ジミリスチン酸PG3、トリミリスチン酸PG3、ステアリン酸PG3、ジステアリン酸PG3、トリステアリン酸PG3、イソステアリン酸PG3、ジイソステアリン酸PG3、トリイソステアリン酸PG3、オレイン酸PG3、ジオレイン酸PG3、トリオレイン酸PG3、カプリン酸PG4、ジカプリン酸PG4、トリカプリン酸PG4、カプリル酸PG4、ジカプリル酸PG4、トリカプリル酸PG4、ラウリン酸PG4、ジラウリン酸PG4、トリラウリン酸PG4、ミリスチン酸PG4、ジミリスチン酸PG4、トリミリスチン酸PG4、ステアリン酸PG4、ジステアリン酸PG4、トリステアリン酸PG4、イソステアリン酸PG4、ジイソステアリン酸PG4、トリイソステアリン酸PG4、オレイン酸PG4、ジオレイン酸PG4、トリオレイン酸PG4、カプリン酸PG5、ジカプリン酸PG5、トリカプリン酸PG5、カプリル酸PG5、ジカプリル酸PG5、トリカプリル酸PG5、ラウリン酸PG5、ジラウリン酸PG5、トリラウリン酸PG5、ミリスチン酸PG5、ジミリスチン酸PG5、トリミリスチン酸PG5、ステアリン酸PG5、ジステアリン酸PG5、トリステアリン酸PG5、イソステアリン酸PG5、ジイソステアリン酸PG5、トリイソステアリン酸PG5、オレイン酸PG5、ジオレイン酸PG5、トリオレイン酸PG5、カプリン酸PG6、ジカプリン酸PG6、トリカプリン酸PG6、カプリル酸PG6、ジカプリル酸PG6、トリカプリル酸PG6、ラウリン酸PG6、ジラウリン酸PG6、トリラウリン酸PG6、ミリスチン酸PG6、ジミリスチン酸PG6、トリミリスチン酸PG6、ステアリン酸PG6、ジステアリン酸PG6、トリステアリン酸PG6、イソステアリン酸PG6、ジイソステアリン酸PG6、トリイソステアリン酸PG6、オレイン酸PG6、ジオレイン酸PG6、トリオレイン酸PG6、カプリン酸PG10、ジカプリン酸PG10、トリカプリン酸PG10、カプリル酸PG10、ジカプリル酸PG10、トリカプリル酸PG10、ラウリン酸PG10、ジラウリン酸PG10、トリラウリン酸PG10、ミリスチン酸PG10、ジミリスチン酸PG10、トリミリスチン酸PG10、ステアリン酸PG10、ジステアリン酸PG10、トリステアリン酸PG10、イソステアリン酸PG10、ジイソステアリン酸PG10、トリイソステアリン酸PG10、オレイン酸PG10、ジオレイン酸PG10及びトリオレイン酸PG10からなる群から選択されうる。
【0154】
ポリオキシアルキレン化脂肪族エーテル、好ましくはポリオキシエチレン化脂肪族エーテルは、2~60個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~30個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~10個のエチレンオキシド単位を含みうる。エーテルの脂肪族鎖は、特に、ラウリル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル及びセチル単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから選択されうる。挙げることができるエトキシル化脂肪族エーテルの例は、2、3、4及び5個のエチレンオキシド単位を含むラウリルアルコールエーテル(CTFA名:ラウレス-2、ラウレス-3、ラウレス-4及びラウレス-5)、例えば、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-2で販売されている製品、日本エマルジョン株式会社により名称Emalex 703で販売されている製品、日光ケミカルズ株式会社により名称Nikkol BL-4で販売されている製品、日本エマルジョン株式会社により名称EMALEX 705で販売されている製品である。
【0155】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(2)脂肪酸又は脂肪族アルコールと、カルボン酸と、グリセロールとの混合エステルは、特に、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有するアルキル又はアルケニル鎖を有する脂肪酸又は脂肪族アルコール、並びにα-ヒドロキシ酸及び/又はコハク酸とグリセロールとの混合エステルを含む群から選択されうる。α-ヒドロキシ酸は、例えば、クエン酸、乳酸、グリコール酸又はリンゴ酸、及びこれらの混合物であってもよい。
【0156】
本発明のナノエマルションに使用できる混合エステルを誘導する脂肪酸又はアルコールのアルキル鎖は、直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。これらは、とりわけ、ステアレート、イソステアレート、リノレエート、オレエート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート、カプレート、イソステアリル、ステアリル、リノレイル、オレイル、ベヘニル、ミリスチル、ラウリル又はカプリル鎖、及びこれらの混合物であってもよい。
【0157】
本発明のナノエマルションに使用できる混合エステルの例として、Huls社により名称Imwitor 375で販売されている、グリセロールと、クエン酸、乳酸、リノール酸及びオレイン酸の混合物との混合エステル(CTFA名:クエン酸/乳酸/リノール酸/オレイン酸グリセリル);Huls社により名称Imwitor 780Kで販売されている、コハク酸と、イソステアリルアルコール及びグリセロールとの混合エステル(CTFA名:コハク酸イソステアリルジグリセリル);Huls社により名称Imwitor 370で販売されている、クエン酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:ステアリン酸クエン酸グリセリル);Danisco社により名称Lactodan B30又はRylo LA30で販売されている、乳酸及びステアリン酸とグリセロールとの混合エステル(CTFA名:ステアリン酸乳酸グリセリル)を挙げることができる。
【0158】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(3)糖の脂肪酸エステルは、特に、C8~C22脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物、及びC14~C22脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物を含む群から選択されうる。
【0159】
本発明に使用することができるエステルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪酸は、飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル鎖又はアルケニル鎖を含み、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する。エステルの脂肪単位は、特に、ステアレート、ベヘネート、アラキドネート、パルミテート、ミリステート、ラウレート及びカプレート、並びにこれらの混合物から選択されうる。ステアレートが、好ましく使用される。
【0160】
脂肪酸と、スクロース、マルトース、グルコース又はフルクトースとのエステル又はエステル混合物の例として、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース及びトリステアリン酸スクロース、並びにこれらの混合物、例えば、Croda社により名称Crodesta F50、F70、F110及びF160で販売されている製品を挙げることができ、挙げることができる脂肪酸とメチルグルコースとのエステル又はエステル混合物の例は、Goldschmidt社により名称Tego-care 450で販売されている、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコースである。グルコース又はマルトースのモノエステル、例えば、メチルo-ヘキサデカノイル-6-D-グルコシド及びo-ヘキサデカノイル-6-D-マルトシドも挙げることができる。
【0161】
上記の非イオン性界面活性剤として使用することができる(3)糖の脂肪族アルコールエーテルは、45℃以下の温度で固体であってもよく、特に、C8~C22脂肪族アルコールと、グルコース、マルトース、スクロース又はフルクトースとのエーテル又はエーテル混合物、及びC14~C22脂肪族アルコールとメチルグルコースとのエーテル又はエーテル混合物を含む群から選択されうる。これらは、特にアルキルポリグルコシドである。
【0162】
本発明のナノエマルション中で使用されうるエーテルの脂肪単位を形成するC8~C22又はC14~C22脂肪族アルコールは、飽和又は不飽和の、直鎖状アルキル又はアルケニル鎖を含み、それぞれ8~22個又は14~22個の炭素原子を含有する。エーテルの脂肪単位は、特に、デシル、セチル、ベヘニル、アラキジル、ステアリル、パルミチル、ミリスチル、ラウリル、カプリル及びヘキサデカノイル単位、並びにこれらの混合物、例えばセテアリルから選択されうる。
【0163】
糖の脂肪族アルコールエーテルの例として、アルキルポリグルコシドを挙げることができ、例えば、Henkel社によりそれぞれ名称Plantaren 2000及びPlantaren 1200で販売されている、デシルグルコシド及びラウリルグルコシド、例えば、SEPPIC社により名称Montanov 68で、Goldschmidt社により名称Tego-care CG90で、及びHenkel社により名称Emulgade KE3302で販売されている、任意選択でセトステアリルアルコールとの混合物としての、セトステアリルグルコシド、並びに例えば、SEPPIC社により名称Montanov 202で販売されている、アラキジルアルコール及びベヘニルアルコールと、アラキジルグルコシドとの混合物の形態にある、アラキジルグルコシド等を挙げることができる。
【0164】
より特定的に使用される界面活性剤は、モノステアリン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース又はトリステアリン酸スクロース、及びこれらの混合物、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、並びにアルキルポリグルコシドである。
【0165】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)ソルビタンの脂肪族エステル及びソルビタンのオキシアルキレン化脂肪族エステルは、ソルビタンのC16~C22脂肪酸エステル、及びソルビタンのオキシエチレン化C16~C22脂肪酸エステルを含む群から選択されうる。これらは、16~22個の炭素原子をそれぞれ含有する少なくとも1つの飽和直鎖状アルキル鎖を含む、少なくとも1種の脂肪酸と、ソルビトール又はエトキシル化ソルビトールとから形成されうる。オキシエチレン化エステルは、一般に1~100個のエチレングリコール単位、好ましくは2~40個のエチレンオキシド(EO)単位を含みうる。
【0166】
これらのエステルは、特に、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、アラキジン酸エステル、パルミチン酸エステル及びこれらの混合物から選択されうる。ステアリン酸エステル及びパルミチン酸エステルが、好ましく使用される。
【0167】
本発明に使用することができる上記の非イオン性界面活性剤の例として、ICI社により名称Span 60で販売されている、モノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社により名称Span 40で販売されている、モノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社により名称Tween 65で販売されている、トリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)を挙げることができる。
【0168】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(4)オキシアルキレン化脂肪族エステル、好ましくはエトキシル化脂肪族エステルは、1~100個のエチレンオキシド単位、好ましくは2~60個のエチレンオキシド単位、より好ましくは2~30個のエチレン(ethyle)オキシド単位と、8~22個の炭素原子、好ましくは8~18個の炭素原子、より好ましくは8~12個の炭素原子を含有する、少なくとも1つの脂肪酸鎖とから形成されたエステルであってもよい。エステルの脂肪族鎖は、特に、ステアレート、ベヘネート、アラキデート及びパルミテート単位、並びにこれらの混合物から選択されうる。挙げることができるエトキシル化脂肪族エステルの例は、40個のエチレンオキシド単位を含むステアリン酸のエステル、例えばICI社により名称Myrj 52(CTFA名:ステアリン酸PEG-40)で販売されている生成物、及び8個のエチレンオキシド単位を含むベヘン酸のエステル(CTFA名:ベヘン酸PEG-8)、例えばGattefosse社により名称Compritol HD5 ATOで販売されている製品である。
【0169】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(5)エチレンオキシド(A)とプロピレンオキシド(B)とのブロックコポリマーは、特に、式(I):
HO(C2H4O)x(C3H6O)y(C2H4O)zH (I)
[式中、x、y及びzは、x+zが2~100の範囲内であり、yが14~60の範囲内となる整数である]
のブロックコポリマー及びこれらの混合物から、より特定的には、8.0~14.0の範囲内のHLB値を有する式(I)のブロックコポリマーから選択されうる。
【0170】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(6)ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、以下からなる群から選択されうる:
PPG-6デシルテトラデセス-30;ポリオキシエチレン(ethlene)(30)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えばNikkol PEN-4630として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-12;ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)テトラデシルエーテル、例えばNikkol PEN-4612として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-13デシルテトラデセス-24;ポリオキシエチレン(24)ポリオキシプロピレン(13)デシルテトラデシルエーテル、例えばUNILUBE 50MT-2200Bとして日油株式会社から販売されているもの、
PPG-6デシルテトラデセス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、例えばNikkol PEN-4620として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-4セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えばNikkol PBC-31として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-8セテス-1;ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えばNikkol PBC-41として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-4セテス-10;ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えばNikkol PBC-33として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-4セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(4)セチルエーテル、例えばNikkol PBC-34として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、
PPG-5セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(5)セチルエーテル、例えばProcetyl AWSとしてCroda Inc.社から販売されているもの、
PPG-8セテス-20;ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、例えばNikkol PBC-44として日光ケミカルズ株式会社から販売されているもの、及び
PPG-23ステアレス-34;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル(34 EO)(23 PO)、例えばUnisafe 34S-23としてポーラ化成工業株式会社から販売されているもの。これらは、比較的短期間に組成物の温度が上下する場合であっても、長時間安定性を有する組成物を提供することができる。
【0171】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-6デシルテトラデセス-20、PPG-5セテス-20、PPG-8セテス-20及びPPG-23ステアレス-34からなる群から選択できる、(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることがより好ましい場合がある。
【0172】
ポリオキシエチレン化(1~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(1~30 PO)アルキル(C16~C30)エーテルは、PPG-6デシルテトラデセス-30、PPG-13デシルテトラデセス-24、PPG-5セテス-20及びPPG-8セテス-20からなる群から選択できる、(15~40 EO)及びポリオキシプロピレン化(5~30 PO)アルキル(C16~C24)エーテルであることがよりいっそう好ましい場合がある。
【0173】
上記の非イオン性界面活性剤として使用されうる(7)シリコーン界面活性剤として、文献US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されているものを挙げることができる。
【0174】
上記の非イオン性界面活性剤としての(7)シリコーン界面活性剤は、好ましくは式(I):
【0175】
【化8】
【0176】
[式中、
R1、R2及びR3は、互いに独立に、C1~C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、少なくとも1つのR1基、R2基又はR3基は、アルキル基ではなく、R4は、水素、アルキル基又はアシル基であり、
Aは、0~200の範囲内の整数であり、
Bは、0~50の範囲内の整数であり、但しAとBとが同時に0に等しいことはなく、
xは、1~6の範囲内の整数であり、
yは、1~30の範囲内の整数であり、
zは、0~5の範囲内の整数である]
の化合物でありうる。
【0177】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物において、アルキル基はメチル基であり、xは、2~6の範囲内の整数であり、yは、4~30の範囲内の整数である。
【0178】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(II):
【0179】
【化9】
【0180】
[式中、Aは、20~105の範囲内の整数であり、Bは、2~10の範囲内の整数であり、yは、10~20の範囲内の整数である]
の化合物を挙げることができる。
【0181】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例として、式(III):
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
[式中、A'及びyは、10~20の範囲内の整数である]
の化合物も挙げることができる。
【0182】
使用されうる本発明の化合物は、Dow Corning社により名称DC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695及びQ4-3667で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146及びDC 2-5695は、式(II)[式中、それぞれ、Aは22、Bは2、yは12である;Aは103、Bは10、yは12である;Aは27、Bは3、yは12である]の化合物である。
【0183】
化合物Q4-3667は、式(III)[式中、Aは15であり、yは13である]の化合物である。
【0184】
(e)非イオン性界面活性剤は、8.0~14.0、好ましくは9.0~13.5、より好ましくは10.0~13.0のHLB(親水性親油性バランス)値を有しうる。2種以上の非イオン性界面活性剤を使用する場合、HLB値は、すべての非イオン性界面活性剤のHLB値の加重平均によって決定される。
【0185】
(e)非イオン性界面活性剤は、ポリグリセリル脂肪酸エステルから選択されることが好ましく、より好ましくはポリグリセリル脂肪酸モノエステルから選択される。
【0186】
特に、(e)非イオン性界面活性剤は、10未満、好ましくは9未満、より好ましくは8未満のHLB値を有する第1のポリグリセリル脂肪酸モノエステルと、11超、好ましくは12超、より好ましくは13超のHLB値を有する第2のポリグリセリル脂肪酸モノエステルとの混合物でありうる。
【0187】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であってもよい。
【0188】
その一方で、本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。
【0189】
本発明による組成物中の(e)非イオン性界面活性剤の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%、好ましくは0.05質量%~3質量%、より好ましくは0.1質量%~1質量%の範囲内であってもよい。
【0190】
[油]
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種の油を更に含んでもよい。2種以上の油を使用する場合、これらは、同じであっても異なってもよい。
【0191】
(f)油は、(c)親油性有機UVフィルターとは異なる。
【0192】
ここでは、「油」とは、大気圧(760mmHg)下、室温(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品に一般に使用されるものを、単独で又はそれらの組み合わせで使用することができる。これらの油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0193】
(f)油は、炭化水素油若しくはシリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0194】
(f)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪族アルコールからなる群から選択されうる。
【0195】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0196】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0197】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0198】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0199】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、エステルが由来するアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。
【0200】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0201】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルを使用してもよい。
【0202】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0203】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を有する炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってもよい。
【0204】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例えばメチルグルコースが含まれる。
【0205】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から選択されうる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3つの共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
【0206】
この変形形態によるエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択されうる。
【0207】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0208】
より特定的には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0209】
挙げることができる例は、Amerchol社により名称Glucate(登録商標) DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0210】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0211】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0212】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0213】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0214】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明のために使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義した、且つ構造中に、炭化水素系基を介して結合している1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
【0215】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Pressに、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0216】
揮発性である場合、シリコーンは、より特定的には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから、よりいっそう特定的には、以下から選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7207又はRhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7158、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等の型のシクロコポリマー、例えば、次式の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標) FZ 3109を挙げることもできる。
【0217】
【化10】
【0218】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物も挙げることができる。及び
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表された記事にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃において測定される。
【0219】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より特定的にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを主に挙げることができる。
【0220】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油、
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製200シリーズの油、例えば60000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0221】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0222】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0223】
フェニルシリコーン油は、次式:
【0224】
【化11】
【0225】
[式中、
R1~R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和で、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチル基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、両端を含めて0~900、好ましくは両端を含めて0~500、より好ましくは両端を含めて0~100の整数であり、
但し和n+m+qは0以外である]
のフェニルシリコーンから選択されうる。
【0226】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0227】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1~R10はメチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0228】
炭化水素油は、以下から選択されうる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC5~C19アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン及びイソパラフィン、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)及びスクアラン。
【0229】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0230】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0231】
脂肪族アルコールは、構造R-OH[式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分枝状の基から選択される]を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていることも、されていないこともある。
【0232】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0233】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0234】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択されうる。
【0235】
「飽和脂肪族アルコール」という用語は、ここでは、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールが、よりいっそう好ましく使用されうる。
【0236】
飽和脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0237】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物に使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びこれらの混合物から選択される。
【0238】
(f)油は、600g/mol未満の分子量を有する油から選択されることも好ましい。
【0239】
好ましくは、(f)油は、600g/mol未満等の低分子量を有し、1つ又は複数の短い炭化水素鎖(C1~C12)を有するエステル油(例えば、ラウロイルサルコシンイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル及びパルミチン酸エチルヘキシル)、シリコーン油(例えば、シクロヘキサシロキサン等の揮発性シリコーン)、炭化水素油(例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン及びスクアラン)、分枝状及び/又は不飽和の脂肪族アルコール(C12~C30)型の油、例えばオクチルドデカノール及びオレイルアルコール、並びにエーテル油、例えばジカプリリルエーテルの中から選択される。
【0240】
(f)油は、極性油から、好ましくはエステル油から、より好ましくはパルミチン酸エチルヘキシルから、及び好ましくは人工トリグリセリドから、より好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドから選択されうる。
【0241】
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であってもよい。
【0242】
その一方で、本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよい。
【0243】
本発明による組成物中の(f)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは5質量%~45質量%、より好ましくは10質量%~40質量%の範囲内であってもよい。
【0244】
[無機粒子]
本発明による組成物は、(g)少なくとも1種の無機粒子を更に含んでもよい。単一の型の無機粒子を使用してもよいが、2種以上の異なる型の無機粒子を組み合わせて使用してもよい。
【0245】
(g)無機粒子の粒径は、一次粒径に相当する。加えて、ここでの粒径は、平均、すなわち算術平均粒径を意味し、例えばレーザー回折粒径分析装置によって決定することができる、体積平均粒径でありうる。
【0246】
本発明のために使用される(g)無機粒子の粒径は、限定されない。しかしながら、(g)無機粒子の粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは15μm以下、よりいっそう好ましくは10μm以下、特に好ましくは2~5μmであることが好ましい。
【0247】
(g)無機粒子は、多孔質であることも、多孔質でないこともあり、好ましくは非多孔質である。
【0248】
(g)無機粒子は、中空であっても中実であってもよく、好ましくは中空である。
【0249】
(g)無機粒子は、
- 金属酸化物、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化鉄及び酸化チタン、
- アルミナ、
- ケイ酸塩、例えば、タルク、クレイ及びカオリン、
- ガラス粒子、
- シリカ(二酸化ケイ素)、
- 炭酸カルシウム又は炭酸マグネシウム、
- 炭酸水素マグネシウム、
- ヒドロキシアパタイト並びに
- これらの混合物
から選択される少なくとも1種の材料を含んでもよく、これらからなってもよい。
【0250】
シリカ粒子の中でも、中空球状シリカ粒子、例えば、日本の日揮触媒化成株式会社から商標名BA4で販売されている製品を挙げることができる。
【0251】
本発明による組成物中の(g)無機粒子の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であってもよい。
【0252】
その一方で、本発明による組成物中の(g)無機粒子の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0253】
本発明による組成物中の(g)無機粒子の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは2質量%~15質量%、より好ましくは3質量%~10質量%の範囲内であってもよい。
【0254】
[追加の任意選択の成分]
本発明による組成物はまた、化粧用組成物においてどこかで従来公知である、有効量の追加の任意選択の成分、例えば、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤;成分(a)とは異なる有機粉末;成分(b)とは異なる増粘剤;金属イオン封鎖剤、例えばEDTA及びエチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム;保存剤;ビタミン又はプロビタミン、例えばパンテノール;香料;並びに植物抽出物等を含んでもよい。
【0255】
本発明による組成物は、アルコール、特に一価アルコール、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えば、エチレングリコール、カプリリルグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖及び糖アルコール;並びにエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル及びモノブチルエーテルであってもよい、1種又はいくつかの美容上許容される有機溶媒を含んでもよい。
【0256】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上の範囲内の量で存在してもよい。
【0257】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下の範囲内の量で存在してもよい。
【0258】
有機水溶性溶媒は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲内の量で存在してもよい。
【0259】
[調製及び特性]
本発明による組成物は、上に説明した必須成分、及び必要な場合には上に説明した任意選択の成分を混合することによって、調製されうる。
【0260】
上記の必須成分及び任意成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を使用して、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合し、本発明による組成物を調製することができる。従来の方法及び手段には、ホモジナイザー、例えばタービンミキサーが含まれてもよい。
【0261】
[形態]
本発明による組成物は、様々な形態でありうる。
【0262】
本発明による組成物は、油と同種であってもよい(c)親油性有機UVフィルターを含むため、本発明による組成物は、流体、ペースト又はクリームであってもよいO/Wエマルションの形態でありうる。
【0263】
O/Wエマルションの形態である本発明による組成物は、連続水性相中に分散した、分散脂肪相、例えば油相を含む。分散脂肪相は、水性相中で油滴の形態となることができる。
【0264】
(b)会合性ポリマーは、増粘剤として機能することができるため、水性相は増粘されることがある。本発明による組成物は、O/Wゲルエマルションの形態であることが好ましい。
【0265】
水性相中に分散した脂肪相からなるO/W型の構成又は構造は、外側に水性相を有し、そのため、O/W型の構成又は構造を有する本発明による組成物は、水性相が提供できる即時のみずみずしさの感覚があるので、心地よい使用感を提供することができる。
【0266】
本発明による組成物は、10000mPa・s以上、より好ましくは15,000mPa・s以上、よりいっそう好ましくは20,000mPa・s以上の粘度を有することが好ましい。粘度は、B型粘度計(例えば、ロータ:No.4、回転速度:6rpm、測定時間:1分)を用いて、25℃において測定することができる。
【0267】
本発明による組成物は、25℃において、200,000mPa・s以下、より好ましくは150,000mPa・s以下、よりいっそう好ましくは100,000mPa・s以下の粘度を有することも好ましい。
【0268】
本発明による組成物は、25℃において、10,000mPa・s~200,000mPa・s、より好ましくは15,000mPa・s~150,000mPa・s、更により好ましくは20,000mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有することが好ましい場合がある。
【0269】
[方法及び使用]
本発明による組成物は、化粧用組成物であることが好ましく、より好ましくは、皮膚等のケラチン物質のための化粧用組成物である。
【0270】
本発明による組成物は、ケラチン物質に塗布することによって、ケラチン物質、例えば、皮膚、毛髪、粘膜、爪、まつ毛、眉毛及び/又は頭皮を処置するための美容方法等、非治療的方法のために使用されうる。
【0271】
したがって、本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚を処置するための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法にも関する。
【0272】
本発明はまた、身体及び/若しくは顔面の皮膚、並びに/又は粘膜、並びに/又は頭皮、並びに/又は毛髪、並びに/又は爪、並びに/又はまつ毛、並びに/又は眉毛のためのケア製品等、化粧料としての、又は化粧料における、本発明による組成物の使用に関しうる。
【0273】
言い換えれば、本発明による組成物は、そのままで化粧料として使用されうる。或いは、本発明による組成物は、化粧料の一要素として使用されうる。例えば、本発明による組成物を任意の他の要素に加えて、又は任意の他の要素と組み合わせて、化粧料を形成することができる。
【0274】
ケア製品は、ローション及びクリーム等であってもよい。
【0275】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルターを含むため、日焼け止め剤として使用されることが好ましい。
【0276】
本発明はまた、
(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマー、
(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、並びに
(d)水
を含む組成物における、
ケラチン物質、例えば皮膚に塗布された場合に、好ましくは塗布の初期段階において、組成物のテクスチャ変換を生じさせるため、及び/又は粘着性、油状性/油っぽさ、塗布後のケラチン物質の光沢のある外観を減少させるための、(a)少なくとも1種のセルロース粒子の使用にも関する。
【0277】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種のセルロース粒子、
(c)少なくとも1種の親油性有機UVフィルター、及び
(d)水
を含む組成物における、
ケラチン物質、例えば皮膚に塗布された場合に、好ましくは塗布の初期段階において、組成物のテクスチャ変換を生じるため、及び/又は組成物を安定させるための、(b)1つ又は複数のアクリル及び/又はメタクリル単位を含む、少なくとも1種の会合性ポリマーの使用にも関しうる。
【0278】
上記の本発明による使用に使用される組成物は、(e)少なくとも1種の非イオン界面活性剤を含むことが好ましい場合がある。
【0279】
上記の本発明による使用に使用される組成物は、(c)親油性有機UVフィルターとは異なる(f)少なくとも1種の油を含むことが好ましい場合がある。
【0280】
上記の本発明による使用に使用される組成物は、(g)少なくとも1種の無機粒子を含むことが好ましい場合がある。
【0281】
本発明による組成物中の成分(a)~(g)に関する説明は、上記の本発明による使用における説明に、適用することができる。
【実施例0282】
本発明を、実施例としてより詳細に記載するが、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0283】
(実施例1~2及び比較例1~2)
表1に示す実施例1~2及び比較例1~2による、O/Wエマルションの形態における以下の組成物を、以下の通り、表1に示す成分を混合することによって調製した。
(1)表1のA段の成分を75~80℃で混合して、A相の均一混合物を形成する、
(2)表1のB段の成分をA相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して均一混合物(A及びB相)を得る、
(3)存在する場合、表1のC段の成分を、A及びB相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して均一混合物(A、B及びC相)を得る、
(4)表1のD段の成分を、A、B及びC相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して均一混合物(A、B、C及びD相)を得て、得られた混合物を室温(25℃)に冷却する、
(5)表1のE段の成分をA、B、C及びD相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して均一混合物(A、B、C、D及びE相)を得る、
(6)表1のF段の成分をA、B、C、D及びE相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して均一混合物(A、B、C、D、E及びF相)を得る、
(7)表1のG段の成分をA、B、C、D、E及びF相の混合物に加え、続いて、これらを均質化して、7.0のpHを有する均一混合物(A、B、C、D、E、F及びG相)を得る。
【0284】
表1に示す成分の量の数値はすべて、原料としての「質量%」に基づく。
【0285】
【表1A】
【0286】
【表1B】
【0287】
表1の成分(a)(セルロース)の特性を、表2に示す。
【0288】
【表2】
【0289】
(油に対する湿潤点)
油に対する湿潤点を、以下のプロトコルによって決定した。
(1)25℃において9cPの粘度及び0.853g/mlの密度を有するイソノナン酸イソノニルを加えながら、ガラス板上でスパチュラを用いて粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)油に対する湿潤点を、次式から算出した:油に対する湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度。
【0290】
(水に対する湿潤点)
水に対する湿潤点を、以下のプロトコルによって決定した。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を加えながら、ガラス板上でスパチュラを用いて粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)水に対する湿潤点を、次式から算出した:水に対する湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度。
【0291】
[評価]
(粘度)
実施例1~2及び比較例1~2による組成物の各々の粘度は、室温(25℃)において、B型粘度計を用い、ロータ:No.4、回転速度:6rpm、測定時間:1分の条件下で測定した。
【0292】
結果を表1に示す。
【0293】
(テクスチャ変換)
5名の専門の官能試験員が、実施例1~2及び比較例1~2による組成物の塗布中の「テクスチャ変換」を評価した。各官能試験員は、各組成物を取り、自分の顔面に円形に塗布した。官能試験員は、(ゲルから液体への)テクスチャ変換が起こったタイミングを評価し、1(非常に不良)~5(非常に良好)で等級を付け、次いで、等級の平均に基づいて以下の4つのカテゴリに分類した。
非常に良好:5.0~4.0(塗布の初期段階に、テクスチャ変換が明らかに感じられる)
良好:3.9~3.0(塗布の初期段階に、テクスチャ変換が感じられる)
不良:2.9~2.0(塗布の初期段階に、テクスチャ変換がほとんど感じられない)
非常に不良:1.9~1.0(塗布の初期段階に、テクスチャ変換がまったく感じられない)
【0294】
結果を表1に示す。
【0295】
(非粘着感)
5名の専門の官能試験員が、実施例1~2及び比較例1~2による組成物の塗布後の「非粘着感」を評価した。各官能試験員は、各組成物を取り、自分の顔面に塗布して塗布後の非粘着感を評価し、1(非常に不良)から5(非常に良好)で等級を付け、次いで、等級の平均に基づいて以下の4つのカテゴリに分類した。
非常に良好:5.0~4.0(塗布後、粘着性がまったく感じられない)
良好:3.9~3.0(塗布後、粘着性がほとんど感じられない)
不良:2.9~2.0(塗布後、粘着性が感じられる)
非常に不良:1.9~1.0(塗布後、粘着性が明らかに感じられる)
【0296】
結果を表1に示す。
【0297】
(油状でない/油っぽくない感触)
5名の専門の官能試験員が、実施例1~2及び比較例1~2による組成物の塗布後の「油状でない/油っぽくない感触」を評価した。各官能試験員は、各組成物を取り、自分の顔面に塗布して塗布後の油状でない/油っぽくない感触を評価し、1(非常に不良)から5(非常に良好)で等級を付け、次いで、等級の平均に基づいて以下の4つのカテゴリに分類した。
非常に良好:5.0~4.0(塗布後、油状性/油っぽさがまったく感じられない)
良好:3.9~3.0(塗布後、油状性/油っぽさがほとんど感じられない)
不良:2.9~2.0(塗布後、油状性/油っぽさが感じられる)
非常に不良:1.9~1.0(塗布後、油状性/油っぽさが明らかに感じられる)
【0298】
結果を表1に示す。
【0299】
(光沢のない皮膚の外観)
5名の専門の官能試験員が、実施例1~2及び比較例1~2による組成物の塗布後の「光沢のない皮膚の外観」を評価した。各官能試験員は、各組成物を取り、自分の顔面に塗布して塗布後の光沢のない皮膚の外観を評価し、1(非常に不良)から5(非常に良好)で等級を付け、次いで、等級の平均に基づいて以下の4つのカテゴリに分類した。
非常に良好:5.0~4.0(塗布後、光沢がまったく感じられない)
良好:3.9~3.0(塗布後、光沢がほとんど感じられない)
不良:2.9~2.0(塗布後、光沢が感じられる)
非常に不良:1.9~1.0(塗布後、光沢が明らかに感じられる)
【0300】
(安定性)
実施例1~2及び比較例1~2による組成物の各々を、ガラス瓶に充填し、4℃、25℃、37℃及び45℃の温度変化条件下で2カ月間保持した。次いで、各サンプルを、変化の程度(外観、色及び匂い)について検査し、以下の基準に従って評価した。
非常に良好:製造時とほぼ同じ状態。
良好:外観、色及び匂いにわずかな変化が観察された。
不良:外観、色及び匂いに変化が明らかに観察された。
非常に不良:外観、色及び匂いに変化が顕著に認められた。
【0301】
結果を表1に示す。
【0302】
(概略)
表1から明らかであるように、本発明によるO/Wエマルションの形態の組成物(実施例1及び2)は、塗布中のテクスチャ変換;塗布後の非粘着感、油状でない/油っぽくない感触及び光沢のない外観;並びに2カ月にわたる温度変化のもとでの安定性の観点で、優れた化粧効果を提供することができ、これは、成分(c)及び(d)の存在下、成分(a)と(b)との組み合わせに起因しうる。したがって、本発明による組成物は、特に、優れた手触り、及び温度変化のもとでさえ長期安定性を提供することができる。
【0303】
実施例2による組成物は、成分(g)(シリカ粒子)の存在に起因して、塗布後の非粘着感、油状でない/油っぽくない感触及び光沢のない外観の観点で、実施例1による組成物よりも好ましい。
【0304】
その一方で、成分(a)(セルロース粒子)を含まない、比較例1による組成物は、劣ったテクスチャ変換、粘着性、油状性/油っぽさ及び光沢のある外観、並びに不安定性を示した。
【0305】
成分(b)(アクリレーツ/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)を含まない比較例2による組成物は、十分に増粘させることができず、劣ったテクスチャ変換及び不安定性を示した。
【外国語明細書】