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特開2024-74066バスダクト据付システムおよびバスダクト据付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074066
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】バスダクト据付システムおよびバスダクト据付方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 5/06 20060101AFI20240523BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240523BHJP
   H02G 1/06 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H02G5/06 311P
H02B1/20 F
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185130
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕都
【テーマコード(参考)】
5G016
5G352
5G365
【Fターム(参考)】
5G016DA41
5G352CA07
5G352CA10
5G352CD09
5G352CK01
5G365AB02
5G365CD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業を機械的に平準化し、安定的且つ安全にバスダクトを設置する。
【解決手段】バスダクトスライド式リフタ30によりバスダクトBDの台車40を載せたスライド板支持部32を上昇させ、スライド板支持部32からスライド板33を引き出し、バスダクト据付支持部10の下段ダクタ11Lに仮設したバスダクト搬入路20に接続する。台車40をスライド板支持部32の天板32Tからスライド板33乃至搬入路床板22の表面に形成した溝レールに沿って搬入路床板22まで移動させた後、コンプレッサ36とエアマウント23による搬入路床板22の上昇、搬入路床板22上での台車40(バスダクトBD)の前後移動、上段ダクタ11Uの設定固定高さへの下降、搬入路床板22の下降を行ない、上段ダクタ11UにバスダクトBDを据え付ける。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて、それぞれ前記バスダクトの幅より広い間隔で天井から下向きに固定された一対の支持棒と、
前記一対の支持棒の上部に渡して上下移動可能に取り付けられた上段支持部と、
前記一対の支持棒の下部に渡して上下移動可能に取り付けられた下段支持部と、
前記バスダクトを載せる台車と、
表面に前記台車の車輪が嵌って移動するレールが形成された床板と、前記床板が上に重ねて設けられる基礎板と、前記基礎板と前記床板との間に設けられ圧縮空気により前記床板を前記基礎板から上昇させるエアマウントと、を備え、前記バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて取り付けられた第1、第2の前記下段支持部に対し、前記レールの向きを対応させて載せて仮設されるバスダクト搬入路と、
前記台車を載せた天板を上下降可能に支持するリフタと、
前記天板の下面に沿って引き出され、前記天板に形成された前記台車のレールを延長すると共に、前記延長したレールが前記床板のレールに合うように前記バスダクト搬入路に接続されるスライド板と、
を備えるバスダクト据付システム。
【請求項2】
前記スライド板をスライド可能に支持するスライド板支持部に設けられ、前記スライド板を前記バスダクト搬入路に接続した状態で、前記スライド板および前記基礎板に内蔵させたエアパイプを介して前記エアマウントに圧縮空気を供給するコンプレッサを備える、
請求項1に記載のバスダクト据付システム。
【請求項3】
前記バスダクト搬入路の前記スライド板が接続される側の一端と、前記スライド板の前記バスダクト搬入路と接続する側の一端とに設けられ、前記スライド板を前記バスダクト搬入路に接続する際に、前記床板のレールに前記スライド板のレールを位置合わせさせるためのガイド機構を備える、
請求項1または請求項2に記載のバスダクト据付システム。
【請求項4】
前記バスダクト搬入路の前記スライド板が接続される側の一端と、前記スライド板の前記バスダクト搬入路と接続する側の一端とに設けられ、前記スライド板を前記バスダクト搬入路に接続する際に、前記バスダクト搬入路と前記スライド板とを連結すると共に、前記連結した状態をロックする接続ロック機構を備える、
請求項1または請求項2に記載のバスダクト据付システム。
【請求項5】
前記接続ロック機構は、前記バスダクト搬入路の一端と前記スライド板の一端とに相互に設けられる、前記一端から突出する連結ピンと、前記連結ピンが嵌合される連結穴と、を備え、
前記連結穴の側壁には、前記連結ピンが嵌合された状態で前記連結ピンの側面に形成されたロック穴にラッチを嵌め込んでロックするロック部が設けられる、
請求項4に記載のバスダクト据付システム。
【請求項6】
前記バスダクト搬入路の側面と前記スライド板の側面とにそれぞれ設けられるロック解除レバーの回転に応じて、前記ロック部の前記ロック穴に対するロックを解除するロック解除機構を備える、
請求項5に記載のバスダクト据付システム。
【請求項7】
前記連結ピンは、四角柱状の基部を有し前記基部から先端に向かって細く傾斜する四角錘に形成される、
請求項5に記載のバスダクト据付システム。
【請求項8】
バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて、それぞれ前記バスダクトの幅より広い間隔で天井から下向きに固定された一対の支持棒と、
前記一対の支持棒の上部に渡して上下移動可能に取り付けられた上段支持部と、
前記一対の支持棒の下部に渡して上下移動可能に取り付けられた下段支持部と、
前記バスダクトを載せる台車と、
表面に前記台車の車輪が嵌って移動するレールが形成された床板と、前記床板が上に重ねて設けられる基礎板と、前記基礎板と前記床板との間に設けられ圧縮空気により前記床板を前記基礎板から上昇させるエアマウントと、を備え、前記バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて取り付けられた第1、第2の前記下段支持部に対し、前記レールの向きを対応させて載せて仮設されるバスダクト搬入路と、
前記台車を載せた天板を上下降可能に支持するリフタと、
前記天板の下面に沿って引き出され、前記天板に形成された前記台車のレールを延長すると共に、前記延長したレールが前記床板のレールに合うように前記バスダクト搬入路に接続されるスライド板と、
を備えるバスダクト据付システムを使用するバスダクト据付方法であって、
前記バスダクトを前記バスダクトの長さ方向が前記台車の移動する方向に対応させた状態で載せた前記台車を、前記リフタにより上昇させ、
前記バスダクト搬入路に前記スライド板を接続し、
前記台車を前記リフタの前記天板から前記スライド板ないし前記バスダクト搬入路の前記床板それぞれのレールに沿って移動させ、
前記床板上での前記台車の前後方向への移動と、前記床板の前記エアマウントによる上下降と、前記支持棒に沿った前記上段支持部の設定固定高さへの下への移動とを行ない、
前記床板を下降させる際に、前記台車に載せた前記バスダクトが前記設定固定高さに下げた前記上段支持部に載るように前記バスダクトを据え付ける、
バスダクト据付方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、バスダクト据付システムおよびバスダクト据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力や通信インフラを基盤とする工場、ビルなどの施設では、大電流を要する変圧器の二次側の主幹線としてバスダクトが使用される。
【0003】
バスダクトは、大電流の電気を送電するには膨大な太さと量を要するケーブルに替えて、例えば、銅やアルミニウムの帯状導体を絶縁物で被覆し、鉄あるいはアルミニウム板で製作された箱状のケースに納めたもので、施設の天井に沿って水平にあるいは壁に沿って垂直に設置される。
【0004】
図15は、バスダクトBDを天井CEに沿って設置する場合の従来のバスダクト据付方法を説明する図である。
【0005】
バスダクトBDを天井CEに沿って水平に設置する場合、その設置経路上のバスダクトBDに応じた設定間隔毎に、設置するバスダクトBDの幅に対応して天井CEに固定した一対の吊りねじ(全ねじ)1A,1B,…と、吊りねじ1A,1B各々の下部間に渡して取り付けたダクタ2と、を組み合わせたバスダクト支持部1を設け、支持部1のダクタ2にバスダクトBDを載せて据え付ける。
【0006】
支持部1のダクタ2にバスダクトBDを載せるには、設定間隔毎の支持部1により定まるバスダクトBDの設置経路に沿った高さまで当該バスダクトBDを吊り上げ、さらに水平移動させる必要がある。
【0007】
吊り上げたバスダクトBDを水平移動する作業は、従来から“喧嘩吊り”により行なわれている。喧嘩吊りとは、天井CEに取り付けた複数のチェーンブロック3a,3bを用いて、吊り具(5,6,7)に掛かる重量物(ここではバスダクトBD)を吊りながら移動させことで、重量物(BD)を水平移動させる手法である。なお、図15では、天井CEにアンカーボルト(図示せず)を打ち込んでアイボルト4a,4bを取り付け、このアイボルト4a,4bにチェーンブロック3a,3bを取り付けている。
【0008】
図15において、具体的には、はじめにチェーンブロック3aを巻き上げる。チェーンブロック3aをある程度巻き上げたらチェーンブロック3bをシャックル6に掛ける。そして、チェーンブロック3bを巻き上げると、バスダクトBDは上昇すると同時にチェーンブロック3aの下からチェーンブロック3bの下の方向へと水平移動する。続いて、チェーンブロック3aを緩めると、バスダクトBDはさらにチェーンブロック3bの下の方向へと水平移動する。これらの作業を繰り返し目的の場所までバスダクトBDを移動させ、バスダクト支持部1に据え付ける。
【0009】
しかしながら、バスダクトBDを移動させる作業を喧嘩吊りにより行なうと、
(1)天井面にアンカーボルトの打ち込みによる多数の不要穴を残してしまう。
(2)バスダクトBDを吊り上げている支点(シャックル6)を横から引っ張り移動させるため力学的に不安定な状態になり、バスダクトBDが転落する恐れがある。
(3)力学的に下方向へのバスダクトBDの荷重と横方向への力のベクトルが合成されて、アンカー側とバスダクトBD側の双方に、その角度によってはバスダクトBDの重量(例えば200kg)の何倍もの引張力が作用する。このため、施設の天井CE、アンカー(アンカーボルトおよびアイボルト4a,4b)、チェーンブロック3a,3b、吊り具(5,6,7)の全てに、バスダクトBDの何倍もの荷重に耐え得るものを準備しなければならない。
(4)チェーンブロック3a,3bの取り付け、取り外しも含めて多数の工程が必要となり作業時間が長くなるだけでなく、作業者の力加減や感覚に頼らざるを得ない工程が多いため作業の平準化が難しく、作業中は常に不安定要素や危険要素が伴う状態となる。
(5)バスダクトBDの移動に合わせて当該バスダクトBDの下からの作業を要するため、設置経路の真下に配電盤SWなどの地上障害物が存在し、設置経路との間に残された空間が狭くなると、作業を進めるのが難しくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011-176929号公報
【特許文献2】特開2019-207092号公報
【特許文献3】特開平07-274360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、喧嘩吊りを行なうことなく、作業を機械的に平準化し、設置経路の下に残された空間が狭い場合でも、安定的且つ安全にバスダクトを設置することが可能になるバスダクト据付システムおよびバスダクト据付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態のバスダクト据付システムは、
バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて、それぞれ前記バスダクトの幅より広い間隔で天井から下向きに固定された一対の支持棒と、
前記一対の支持棒の上部に渡して上下移動可能に取り付けられた上段支持部と、
前記一対の支持棒の下部に渡して上下移動可能に取り付けられた下段支持部と、
前記バスダクトを載せる台車と、
表面に前記台車の車輪が嵌って移動するレールが形成された床板と、前記床板が上に重ねて設けられる基礎板と、前記基礎板と前記床板との間に設けられ圧縮空気により前記床板を前記基礎板から上昇させるエアマウントと、を備え、前記バスダクトの長さ方向に対応する間隔おいて取り付けられた第1、第2の前記下段支持部に対し、前記レールの向きを対応させて載せて仮設されるバスダクト搬入路と、
前記台車を載せた天板を上下降可能に支持するリフタと、
前記天板の下面に沿って引き出され、前記天板に形成された前記台車のレールを延長すると共に、前記延長したレールが前記床板のレールに合うように前記バスダクト搬入路に接続されるスライド板と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態のバスダクト据付システムのバスダクト据付支持部10、バスダクト搬入路20およびバスダクトスライド式リフタ30を含む全体的な構成を示す側面図。
図2図1のバスダクト搬入路20およびバスダクトスライド式リフタ30の構成を示す平面図。
図3図1のバスダクトスライド式リフタ30のA-A線矢視の構成を示す正面図。
図4図1のバスダクト据付支持部10を抜き出して示す図であり、同図(A)はその側面図、同図(B)はその斜視図、同図(C)はバスダクト搬入路20を仮設した状態の側面図。
図5】バスダクトスライド式リフタ30のスライド板33とバスダクト搬入路20(21,22)との接続部を示す図であり、同図(A1)(A2)はその側面図、同図(B1)(B2)はその平面図、同図(C1)は同図(A1)が示すスライド板33のA-A線矢視正面図、同図(C2)は同図(A2)が示すバスダクト搬入路20(21,22)のA´-A´線矢視正面図。
図6】バスダクト搬入路20の搬入路基礎板21とバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33との接続ロック機構を示す部分透視図であり、同図(A)は非接続状態を示す平面図、同図(B)は接続状態を示す平面図、同図(C)は同図(A)が示すスライド板33側の連結ピン38Pおよび連結穴38HのA-A線矢視正面図。
図7】搬入路基礎板21とスライド板33との接続ロック機構を示す斜視図であり、同図(A)は非接続状態を示す外観斜視図、同図(B)は搬入路基礎板21側のロック解除機構を示す部分透視図、同図(C)は同図(B)のロック部(29R,29S)を抜き出して示す拡大斜視図、同図(D)は同図(B)のロック解除機構を抜き出して示す概略斜視図。
図8】バスダクト搬入路20の搬入路床板22を搬入路基礎板21から上昇させる床板上昇機構を説明する図であり、同図(A)はバスダクト搬入路20の平面図、同図(B1)(B2)は搬入路床板22の上昇に伴うバスダクト搬入路20の側面図、同図(C1)(C2)は搬入路床板22の上昇に伴うバスダクト搬入路20の正面図。
図9】バスダクト据付システムを使用してバスダクトBDを施設の天井CEに沿って据え付ける場合の手順を示すフローチャート。
図10図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その1)を示す側面図。
図11図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その2)を示す側面図。
図12図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その3)を示す側面図。
図13図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その4)を示す側面図。
図14図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その5)を示す側面図。
図15】バスダクトBDを天井CEに沿って設置する場合の従来のバスダクト据付方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0015】
(実施形態の構成)
図1は、実施形態のバスダクト据付システムのバスダクト据付支持部10、バスダクト搬入路20およびバスダクトスライド式リフタ30を含む全体的な構成を示す側面図である。
【0016】
図2は、図1のバスダクト搬入路20およびバスダクトスライド式リフタ30の構成を示す平面図である。
【0017】
図3は、図1のバスダクトスライド式リフタ30のA-A線矢視の構成を示す正面図である。
【0018】
図4は、図1のバスダクト据付支持部10を抜き出して示す図であり、同図(A)はその側面図、同図(B)はその斜視図、同図(C)はバスダクト搬入路20を仮設した状態の側面図である。
【0019】
なお、図4では、バスダクト据付支持部10の下に配電盤SWが設置されており、当該バスダクト据付支持部10の真下では作業が行なえない状態を示している。
【0020】
実施形態のバスダクト据付システムは、バスダクトBDを、例えば施設の天井CEに沿って水平に設置する場合に利用される。
【0021】
バスダクト据付システムは、バスダクト据付支持部10、バスダクト搬入路20およびバスダクトスライド式リフタ30を含む。
【0022】
バスダクト据付支持部10は、バスダクト搬入路20を仮設し、バスダクトスライド式リフタ30を使用してバスダクトBDを搬入して据え付けるための基礎として機能するもので、図1および図4に示すように、バスダクトBDの設置経路上の予め設定された設定間隔毎に、設置するバスダクトBDの幅に応じて天井CEに下向きに垂直に固定された一対の吊りねじ(全ねじ)(支持棒)10A,10Bを備える。
【0023】
吊りねじ10A,10Bには、それぞれその下部と上部とに、バスダクトBDの幅方向に渡して、下段ダクタ(下段支持部)11Lと上段ダクタ(上段支持部)11Uとを、六角ナット12および平ワッシャ13を使用して上下方向yに移動可能に取り付ける。
【0024】
ここで、図1の側面図、図2の平面図、図4(A)(C)の側面図において、バスダクトBDの設置経路としては、図示左側を設置経路の手前、図示右側を設置経路の奥として説明する。
【0025】
吊りねじ10Aの下部に渡して取り付けた設置経路手前の下段ダクタ(第1の下段支持部)11Lと吊りねじ10Bの下部に渡して取り付けた設置経路奥の下段ダクタ(第2の下段支持部)11Lとの間には、当該下段ダクタ11Lに載せる状態でバスダクト搬入路20を仮設する。
【0026】
バスダクト搬入路20は、バスダクトスライド式リフタ30を使用してバスダクトBDをバスダクト据付支持部10まで搬入するための機能を有し、図1図2および図4(C)に示すように、バスダクトBDの長さ方向にバスダクト据付支持部10の吊りねじ10A,10Bの固定間隔よりも長い平面長方形の搬入路基礎板21と搬入路床板22とを重ねて構成される。
【0027】
搬入路床板22の表面には、その長さ方向の一端(手前端)から他端(奥端)に渡り、バスダクトスライド式リフタ30がその上部に備える台車40の車輪40wが嵌って移動するための溝レール25が形成される。溝レール25の他端(奥端)には、当該溝レール25の溝を塞ぐ形態で車輪40wの移動を停止させる停止部材26が設けられる。
【0028】
また、搬入路床板22には、例えばその4角の近傍にエアマウント23が内蔵されて設けられる。エアマウント23は、搬入路基礎板21に内蔵して設けられたエアパイプ24を通してバスダクトスライド式リフタ30側から供給される圧縮空気により伸長動作し、搬入路床板22を搬入路基礎板21から離して上昇させる(図8参照)。
【0029】
搬入路基礎板21の一端(手前端)には、図1および図2に示すように、その下面に沿った高さでバスダクトスライド式リフタ30側のスライド板33をガイドし且つ当該スライド板33を幅方向の位置を合わせてガイドするための接続ガイド27が設けられる。
【0030】
接続ガイド27は、搬入路基礎板21の一端(手前端)から、その下面に沿って一定の長さで手前に伸び出し且つ当該搬入路基礎板21と同一の幅を持った板状に形成される。図2に示すように、接続ガイド27の一端(手前端)側の幅方向の中央部には、バスダクトスライド式リフタ30側のスライド板33をガイドする方向に向けて開いた平面Y字状のガイド溝27mが設けられる。
【0031】
接続ガイド27のガイド溝27mは、スライド板33のスライド方向(x1,x2)の先端(正面)の中央部の下面側に突出して設けたガイド棒37を引き込んでガイドし、バスダクト搬入路20に対するスライド板33の幅方向の位置を合わせる。
【0032】
スライド板33は、バスダクト搬入路20の搬入路基礎板21と搬入路床板22とを重ねた高さと同じ高さと幅で且つ当該バスダクト搬入路20の一端(手前端)を延長する方向に長い平面長方形に形成され、その表面には、搬入路床板22の溝レール25と同じ幅と深さで連続する溝レール35が形成される。
【0033】
バスダクトスライド式リフタ30は、図1に示すように、台車40に水平に載せたバスダクトBDを油圧リフタ31により天井CEの近くにまで持ち上げ、スライド板33をバスダクト搬入路20にスライド(x1,x2)して接続し、図2に示すように、スライド板33から搬入路床板22に連続する溝レール35,25に沿って台車40を移動させ、バスダクトBDを矢印X(図1)に示すようにバスダクト搬入路20の位置まで搬入するための機能と、搬入路床板22のエアマウント23を伸長動作させるための圧縮空気をコンプレッサ36により生成し、生成した圧縮空気をスライド板33に内蔵させたエアパイプ34を介して搬入路基礎板21のエアパイプ24に送出する機能と、を有する。
【0034】
バスダクトスライド式リフタ30は油圧リフタ31を備える。油圧リフタ31は、バスダクトBDを設置する施設の床の任意の場所に配置されるもので、当該油圧リフタ31により任意の高さに上昇または下降される当該油圧リフタ31の天板を構成するリフト板31T上には、スライド板33の両側面と上下面とをロの字状に囲んで当該スライド板33を矢印x1,x2に示す方向にスライドさせて出し入れ可能に支持するスライド板支持部32が設けられる。
【0035】
スライド板支持部32において、スライド板33の下面(底面)は、当該スライド板33と略同じ高さ、幅、長さを有する平面長方形の支持台32Bにより支持される。
【0036】
図3に示すように、支持台32Bの正面には、スライド板33をスライド板支持部32に収容した場合に、当該スライド板33の下面側に突出して設けられたガイド棒37を収容するためのガイド棒収容凹部32aが設けられる。作業者は、ガイド棒収容凹部32aに手を差し入れてガイド棒37を引き出すことで、スライド板33をスライド板支持部32から引き出し、矢印x1,x2に示すようにスライドさせる。
【0037】
また、スライド板支持部32の天板32Tの表面には、図2および図3に示すように、スライド板33の表面の溝レール35と同じ幅の溝レール32Dが形成される。スライド板支持部32の天板32Tは、当該スライド板支持部32の正面側の端に向けて、溝レール32Dと共にその高さが低くなる傾斜部32Sを有し、前述した台車40の車輪40wが天板32Tの溝レール32Dを通ってスライド板33の溝レール35に渡って行く場合の段差を抑制し、台車40の移動の円滑化を図る。
【0038】
また、スライド板支持部32の背面側(図1および図2では図示左側)の端部には、コンプレッサ36が取り付けられる。コンプレッサ36により生成された圧縮空気は、スライド板33の背面との間に螺旋状に配置され当該スライド板33のスライドに伴い伸縮可能なエアチューブ34tを介して送出され、スライド板33のエアパイプ34に送り込まれる。
【0039】
なお、図1に示すように、スライド板支持部32の側面には、その正面側の端からスライド板33の側面に沿った一定の長さで逆L字状の切り欠き部32Lが形成され、スライド板33の側面に突出して設けられる、後述するバスダクト搬入路20とスライド板33との接続ロック機構(図6図7参照)のロック解除レバー39が、スライド板支持部32に当たることなくスライド板33がスライド板支持部32に収容可能な構成とされる。
【0040】
バスダクトスライド式リフタ30は、図1に示すように、油圧リフタ31の台座31Bの下面(底面)に固定機能付きの自在車輪(キャスタ)31wを設け、任意の場所に容易に移動可能に構成してよい。
【0041】
図5は、バスダクトスライド式リフタ30のスライド板33とバスダクト搬入路20(21,22)との接続部を示す図であり、同図(A1)(A2)はその側面図、同図(B1)(B2)はその平面図、同図(C1)は同図(A1)が示すスライド板33のA-A線矢視正面図、同図(C2)は同図(A2)が示すバスダクト搬入路20(21,22)のA´-A´線矢視正面図である。
【0042】
バスダクト搬入路20の下段を構成する搬入路基礎板21の正面には、図5(A2)(B2)(C2)に示すように、左右に一対の連結ピン28Pが突出して設けられ、各連結ピン28Pの側面に沿った右隣りに当該連結ピン28Pの幅、高さ、長さに対応した連結穴28Hが設けられる。
【0043】
また、スライド板33の正面には、図5(A1)(B1)(C1)に示すように、搬入路基礎板21側の一対の連結穴28Hに対向する位置に当該搬入路基礎板21側の連結ピン28Pと同一形状の連結ピン38Pが突出して設けられ、各連結ピン38Pの側面に沿った右隣りには、搬入路基礎板21側と同様の連結穴38Hが設けられる。
【0044】
これにより、スライド板33側の連結ピン38Pが搬入路基礎板21側の連結穴28Hに嵌合されて連結されると同時に、搬入路基礎板21側の連結ピン28Pがスライド板33側の連結穴38Hに嵌合されて連結され、図1および図2に示すように、搬入路基礎板21(バスダクト搬入路20)に対しバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33がそのそれぞれの溝レール25,35を含めて高さ方向および幅方向ともに位置合わせされて接続される。
【0045】
また、図5(C1)(C2)に示すように、スライド板33側のエアパイプ34の送出口34Cと搬入路基礎板21側のエアパイプ24の送入口24Cとは、何れもその正面の中央に位置合わせして設けられ、例えばゴムパッキンを使用して設けることで、スライド板33と搬入路基礎板21との接続時に密着させ、圧縮空気を漏出なく通過させる。
【0046】
図6は、バスダクト搬入路20の搬入路基礎板21とバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33との接続ロック機構を示す部分透視図であり、同図(A)は非接続状態を示す平面図、同図(B)は接続状態を示す平面図、同図(C)は同図(A)が示すスライド板33側の連結ピン38Pおよび連結穴38HのA-A線矢視正面図である。
【0047】
図7は、搬入路基礎板21とスライド板33との接続ロック機構を示す斜視図であり、同図(A)は非接続状態を示す外観斜視図、同図(B)は搬入路基礎板21側のロック解除機構を示す部分透視図、同図(C)は同図(B)のロック部(29R,29S)を抜き出して示す拡大斜視図、同図(D)は同図(B)のロック解除機構を抜き出して示す概略斜視図である。
【0048】
搬入路基礎板21とスライド板33との接続ロック機構は、図6に示すように、そのそれぞれの連結ピン28P,38P、連結穴28H,38H、ロック部(29R,29S/39R,39S)、ロック穴29H,39Hおよびロック解除機構(29,29L1,29L2/39,39L1,39L2)を含む。
【0049】
ロック部(29R,29S/39R,39S)は、その一例として、図7(C)に示すように、ラッチ29Rと、当該ラッチ29Rをばね力により押し出す方向に付勢するラッチ付勢部29Sとを備え、当該ロック部29R,29Sは、図7(B)に示すように、連結穴28H内の連結ピン28Pから連続する側壁、すなわち連結穴28Hに嵌合されるスライド板33側の連結ピン38Pが隣接する面の側壁にラッチ29Rが突出するように設けられる。
【0050】
スライド板33側のロック部39R,39Sも、図7(B)(C)で示した搬入路基礎板21側のロック部29R,29Sと同様に構成され、図6に示すように、連結穴38H内の連結ピン38Pから連続する側壁、すなわち連結穴38Hに嵌合される搬入路基礎板21側の連結ピン28Pが隣接する面の側壁にラッチ39Rが突出するように設けられる。
【0051】
さらに、搬入路基礎板21側の連結ピン28Pおよびスライド板33側の連結ピン38Pそれぞれの互いが隣接する側の側面には、当該連結ピン28P,38Pを嵌合するスライド板33側および搬入路基礎板21側それぞれの連結穴38H,28H内に突出するラッチ39R,29Rの位置に対応して、当該ラッチ39R,29Rが嵌まり込み引っ掛かるロック穴29H,39Hが設けられる。
【0052】
これにより、搬入路基礎板21側の連結ピン28Pはスライド板33側の連結穴38Hに、またスライド板33側の連結ピン38Pは搬入路基礎板21側の連結穴28Hに、例えば図6に示すように相互に抜けることなく連結され、搬入路基礎板21(バスダクト搬入路20)とバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33との接続状態の安定化が図られる。
【0053】
ロック解除機構(29,29L1,29L2/39,39L1,39L2)は、その一例として、図7(D)に示すように、搬入路基礎板21の側面に突出して設けられたロック解除レバー29と、ロック解除レバー29の矢印a1に示す方向の回転力を、矢印a2,a3に示すように伝達してロック部29R,29Sの背面に向けて方向転換する回転リンク29L1,29L2およびベベルギア(傘歯車)G1,G2とを備え、ラッチ付勢部29Sのばね力に抗してラッチ29Rを矢印a4に示す方向すなわちラッチ付勢部29Sの中に引き込み、連結ピン38Pのロック穴39Hに対するロックを解除する。
【0054】
スライド板33側のロック解除機構(39,39L1,39L2)も、図6(A)(B)に示すように、図7(D)で示した搬入路基礎板21側のロック解除機構(29,29L1,29L2)と同様に構成され、ロック解除レバー39の回転によりラッチ39Rをラッチ付勢部39Sの中に引き込み、連結ピン28Pのロック穴29Hに対するロックを解除する。
【0055】
なお、搬入路基礎板21側およびスライド板33側それぞれの連結ピン28P,38Pは、その一例として、図6(C)に示すように、連結ピン38Pの四角柱状の基部から先端に向かって細く傾斜する四角錘に形成される。これにより、図6(A)および図7(A)に示すように、搬入路基礎板21にスライド板33を位置合わせして接続して行く過程において、各連結ピン28P,38Pは、対向する連結穴38H,28Hに対する位置ずれが容易に補正されつつ連結される。
【0056】
図8は、バスダクト搬入路20の搬入路床板22を搬入路基礎板21から上昇させる床板上昇機構を説明する図であり、同図(A)はバスダクト搬入路20の平面図、同図(B1)(B2)は搬入路床板22の上昇に伴うバスダクト搬入路20の側面図、同図(C1)(C2)は搬入路床板22の上昇に伴うバスダクト搬入路20の正面図である。
【0057】
前述したように、バスダクト搬入路20(搬入路基礎板21)とバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33との接続ロック機構(連結ピン28P,38P、連結穴28H,38H、ロック部(29R,29S/39R,39S)、ロック穴29H,39Hおよびロック解除機構(29,29L1,29L2/39,39L1,39L2))により、バスダクト搬入路20にスライド板33を確実に連結して接続すると、バスダクトスライド式リフタ30のコンプレッサ36(図1図2および図5参照)により生成する圧縮空気を、スライド板33内のエアパイプ34を介して搬入路基礎板21内のエアパイプ24に漏出なく送り込むことが可能になる。
【0058】
圧縮空気が、搬入路基礎板21のエアパイプ24を介して搬入路床板22に内蔵されたエアマウント23に供給されると、図8(B1)(B2)および図8(C1)(C2)に示すように、エアマウント23が矢印yに示すように伸長し、搬入路床板22を搬入路基礎板21から上昇させる。
【0059】
コンプレッサ36により圧縮空気の送出を停止すると、エアマウント23により上昇された搬入路床板22の高さは保持され、コンプレッサ36により圧縮空気を開放すると、エアマウント23は短縮し、搬入路床板22は下降する。
【0060】
(実施形態の動作)
次に、実施形態のバスダクト据付システムの動作について説明する。
【0061】
図9は、バスダクト据付システムを使用してバスダクトBDを施設の天井CEに沿って据え付ける場合の手順を示すフローチャートである。
【0062】
図10ないし図14は、図9におけるバスダクトBDの据え付け手順に従ったバスダクト据付システムの動作(その1)ないし(その5)を示す側面図である。
【0063】
なお、図10ないし図14では、図示が複雑化して見難くならないように、便宜上、バスダクト据付システムを構成する各部品のうちの一部を除いて簡略化した図を示している。
【0064】
<バスダクト搬入路20の構築(Q)>
図10(A)に示すように、バスダクトBDの設置経路に沿った施設の天井CEに垂直に固定した一対の吊りねじ(全ねじ)10A,10Bのそれぞれに対して、上段ダクタ11Uと下段ダクタ11Lとを、何れもその上下面を六角ナット12により挟むようにして取り付け、バスダクト据付支持部10を構築する(ステップQ1)。
【0065】
バスダクト据付支持部10の一対の吊りねじ10Aに渡して取り付けた下段ダクタ(第1の下段支持部)11Lと、一対の吊りねじ10Bに渡して取り付けた下段ダクタ(第2の下段支持部)11Lとに渡して、バスダクト搬入路20を載せるように取り付けて仮設する(ステップQ2)。
【0066】
これにより、バスダクト搬入路20の構築が完了する。
【0067】
<バスダクトBDの据え付け(S)>
台車40にバスダクトBDを載せたバスダクトスライド式リフタ30(図1参照)を、その正面側(図3参照)がバスダクト搬入路20の正面側(図5(C2)参照)に対向する位置に移動させて配置し、油圧リフタ31により、バスダクトBDおよび台車40を載せたスライド板支持部32を、そのスライド板33がバスダクト搬入路20と水平になる高さまで上昇させる(ステップS1)。
【0068】
そして、図10(A)に示すように、スライド板33をスライド板支持部32から引き出し、矢印x1に示すようにスライドさせることで、前述した搬入路基礎板21側の接続ガイド27とそのガイド溝27m、スライド板33側のガイド棒37および互いの接続ロック機構(図5図7参照)を介して、バスダクト搬入路20(搬入路基礎板21)にスライド板33を連結して接続する(ステップS2)。
【0069】
ここで、スライド板支持部32の天板32Tに載っているバスダクトBDを載せた台車40を、図10(B)の矢印m1に示すように、当該天板32T、スライド板33ないし搬入路床板22に延長させて連続する溝レール32D,35,25(図2参照)に沿って移動させ、バスダクトBDの先端が、バスダクト据付支持部10の奥側の上下段ダクタ11U,11Lの範囲に入る手前で停止させる(ステップS3)。
【0070】
バスダクトスライド式リフタ30のコンプレッサ36を動作させ、図11(A)に示すように、コンプレッサ36により生成された圧縮空気を、スライド板33ないし搬入路基礎板21に延長させて連続するエアパイプ34,24を介して搬入路床板22のエアマウント23に供給し、当該搬入路床板22を台車40およびバスダクトBDとともに、矢印m2に示すように上昇させ、バスダクトBDの下面が予め設定されているバスダクトBDの固定すべき高さ(設定固定高さ)を超えた位置で停止させる(ステップS4)。
【0071】
図11(B)の矢印m3に示すように、バスダクト据付支持部10の奥側の上段ダクタ11Uを、当該上段ダクタ11Uを支持する六角ナット12を回し調整することで、バスダクトBDの設定固定高さまで下げて固定する(ステップS5)。
【0072】
ここで、バスダクトBDを載せた台車40を、図12(A)の矢印m4に示すように、バスダクト据付支持部10の更に奥側に移動させ、バスダクトBDの先端が、ステップS5にて下げたバスダクト据付支持部10の奥側の上段ダクタ11Uを十分超える位置まで到達し、且つ、バスダクトBDの後端が、バスダクト据付支持部10の手前側の上下段ダクタ11U,11Lの範囲から外れた位置で停止させる(ステップS6)。
【0073】
次に、図12(B)の矢印m5に示すように、バスダクト据付支持部10の手前側の上段ダクタ11Uを、当該上段ダクタ11Uを支持する六角ナット12を回し調整することで、奥側の上段ダクタ11Uと同様にバスダクトBDの設定固定高さまで下げて固定する(ステップS7)。
【0074】
ここでまた、バスダクトBDを載せた台車40を、図13(A)の矢印m6に示すように、バスダクト据付支持部10の手前側に戻すように移動させ、バスダクトBDの後端が、ステップS7にて下げたバスダクト据付支持部10の手前側の上段ダクタ11Uを超える位置で停止させる(ステップS8)。
【0075】
そして、バスダクトスライド式リフタ30のコンプレッサ36により圧縮空気を開放することで、図13(B)の矢印m7に示すように、スライド板33ないし搬入路基礎板21に連続するエアパイプ34,24を介して搬入路床板22のエアマウント23を元通りに短縮し、当該搬入路床板22を台車40とともに搬入路基礎板21に重なるまで下降させる(ステップS9)。
【0076】
この際、搬入路床板22とともに下降する台車40に載せられていたバスダクトBDは、その先端部と後端部とが同時に、バスダクト据付支持部10の奥側の上段ダクタ11Uと手前側の上段ダクタ11Uとに載せられて据え付けられた状態になる。
【0077】
<バスダクト搬入路20の撤去(T)>
バスダクト搬入路20(搬入路基礎板21)側およびバスダクトスライド式リフタ30のスライド板33側それぞれのロック解除レバー29,39(図1図2図6図7参照)をともに回転させることで、両者の連結に伴うロック状態を解除すると共に、スライド板33をスライド板支持部32に収まる方向にスライドさせて、バスダクトスライド式リフタ30とバスダクト搬入路20との接続を解消する。そして、図14(A)に示すように、台車40が載っているバスダクト搬入路20(図13(B)参照)を撤去し、バスダクト据付支持部10と、その上段ダクタ11Uに据え付けられたバスダクトBDを残した状態とする(ステップT1)。
【0078】
この後、図14(B)に示すように、バスダクト据付支持部10の下段ダクタ11Lを外して撤去するとともに(ステップT2)、吊りねじ(全ねじ)10A,10Bの上段ダクタ11Uよりも下になる余長分を切断する(ステップT3)。
【0079】
これにより、バスダクト搬入路20を撤去し、施設の天井CEに沿ったバスダクトBDの据え付けを完了する。
【0080】
なお、バスダクト据付支持部10の下段ダクタ11Lを含む吊りねじ10A,10Bの余長分の撤去は、据え付けたバスダクトBDを将来的に取り外すことなどを考慮し、必ずしも行わなくてよい。
【0081】
以上のバスダクト据付システムを使用したバスダクトBDの据え付け手順に従った作業を繰返し行なうことで、バスダクトBDを、例えば施設の天井CEに沿って予め設計した設置経路に据え付けて設置できる。
【0082】
(実施形態のまとめ)
実施形態のバスダクト据付システムによれば、設置すべきバスダクトBDの台車40を載せたバスダクトスライド式リフタ30のスライド板支持部32を、バスダクトスライド式リフタ30の油圧リフタ31により、天井CEに設けたバスダクト据付支持部10に仮設したバスダクト搬入路20に対応した高さまで上昇させ、スライド板支持部32から引き出したスライド板33をバスダクト搬入路20に接続し、台車40を載せているスライド板支持部32の天板32Tから、スライド板33ないしバスダクト搬入路20の搬入路床板22に渡って台車40の溝レール32D,35,25を延長させて連続させる(図10(A))。
【0083】
そして、バスダクトBDの台車40を溝レール32D,35,25に沿って搬入路床板22まで移動させ(m1:図10(B))、バスダクトスライド式リフタ30が有するコンプレッサ36からの圧縮空気をスライド板33ないし搬入路基礎板21に内蔵されたエアチューブ34tおよびエアパイプ34,24を介して搬入路床板22のエアマウント23に供給することでエアマウント23を伸長させ、台車40に載せたバスダクトBDが設定固定高さを超える位置まで搬入路床板22を上昇させる(m2:図11(A))。
【0084】
次に、バスダクト据付支持部10の奥側の上段ダクタ11Uを、その六角ナット12を調整して設定固定高さまで下げて固定し(m3:図11(B))、台車40をバスダクトBDの先端が当該下げた上段ダクタ11Uの上を通過し且つバスダクトBDの後端がバスダクト据付支持部10の手前側の上段ダクタ11Uの下を通過するまで移動させ(m4:図12(A))、この後、当該手前側の上段ダクタ11Uも、その六角ナット12を調整して設定固定高さまで下げて固定する(m5:図12(B))。
【0085】
そしてまた、台車40を、バスダクトBDの後端が、下げた手前側の上段ダクタ11Uの上を通過するまで手前に戻すように移動させ(m6:図13(A))、この後、バスダクト搬入路20のエアマウント23をその圧縮空気を開放することで短縮させ、台車40を載せた搬入路床板22を搬入路基礎板21に重なるまで下げ(m7:図13(B))、バスダクトBDの先端部と後端部とをバスダクト据付支持部10の奥側と手前側それぞれの上段ダクタ11Uに必然的に載せることで、バスダクト据付支持部10にバスダクトBDが据え付けられる(図14)。
【0086】
この際、実施形態のバスダクト据付システムによれば、バスダクトスライド式リフタ30のスライド板33は、搬入路基礎板21の接続ガイド27とそのガイド溝27mおよびスライド板33のガイド棒37を含むガイド機構により、バスダクト搬入路20にその高さおよび幅方向ともに容易に位置合わせされて接続され、さらに、スライド板33および搬入路基礎板21の相互に設けた接続ロック機構(連結ピン28P,38P、連結穴28H,38H、ロック部(29R,29S/39R,39S)、ロック穴29H,39H)により、両者は確実に連結され安定した接続状態に維持される。
【0087】
また、実施形態のバスダクト据付システムによれば、接続ロック機構により確実且つ安定して接続されたスライド板33とバスダクト搬入路20(搬入路基礎板21)とは、ロック解除機構(ロック解除レバー29,39/回転リンク29L1,29L2,39L1,39L2/ベベルギアG1,G2)により、ワンタッチで簡単にロック解除されその接続も解消される。
【0088】
よって、従来のように喧嘩吊り(図15参照)を行なうことなく、作業を機械的に平準化し、配電盤SWなどの地上障害物があることによって設置経路の下に残された空間が狭い場合でも、安定的且つ安全にバスダクトを設置することが可能になる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
BD…バスダクト、CE…天井、10…バスダクト据付支持部、10A,10B…吊りねじ(全ねじ)(支持棒)、11U…上段ダクタ(上段支持部)、11L…下段ダクタ(下段支持部)、12…六角ナット、20…バスダクト搬入路、21…搬入路基礎板、22…搬入路床板、23…エアマウント、24,34…エアパイプ、34t…エアチューブ、24C…送入口、34C…送出口、25,32D,35…溝レール、27…接続ガイド、27m…ガイド溝、28P,38P…連結ピン、28H,38H…連結穴、29,39…ロック解除レバー、29R,39R…ロック部、29H,39H…ロック穴、30…バスダクトスライド式リフタ、31…油圧リフタ、31w…固定機能付きの自在車輪(キャスタ)、32…スライド板支持部、32T…天板、33…スライド板、36…コンプレッサ、37…ガイド棒、40…台車、40w…車輪。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15