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  • 特開-測定装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074102
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 9/00 20060101AFI20240523BHJP
   G01B 15/02 20060101ALI20240523BHJP
   G01B 21/08 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G01G9/00
G01B15/02 A
G01B21/08 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185172
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】市沢 康史
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 実
【テーマコード(参考)】
2F067
2F069
【Fターム(参考)】
2F067AA27
2F067BB01
2F067BB19
2F067EE05
2F067HH04
2F067HH05
2F067JJ03
2F067JJ04
2F067KK06
2F067NN02
2F067PP04
2F067RR24
2F069AA46
2F069BB40
2F069CC06
2F069DD25
2F069DD26
2F069FF01
2F069GG04
2F069GG08
2F069GG62
2F069JJ13
2F069MM04
(57)【要約】
【課題】測定装置の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置を容易に製造可能な測定装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る測定装置1は、シート状の対象物Sのパラメータを測定する測定装置1であって、互いに離間して対向しながら水平移動し、対象物Sを間に位置させて走査する一対のセンサヘッド20と、一対のセンサヘッド20を水平移動可能に支持する支持体10と、センサヘッド20を用いたパラメータの測定を制御する電装部30と、を備え、電装部30は、測定装置1の設置場所に応じて、支持体10の一方側の第1位置P1及び他方側の第2位置P2のいずれかに配置を変更可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の対象物のパラメータを測定する測定装置であって、
互いに離間して対向しながら水平移動し、前記対象物を間に位置させて走査する一対のセンサヘッドと、
前記一対のセンサヘッドを水平移動可能に支持する支持体と、
前記センサヘッドを用いた前記パラメータの測定を制御する電装部と、
を備え、
前記電装部は、前記測定装置の設置場所に応じて、前記支持体の一方側の第1位置及び他方側の第2位置のいずれかに配置を変更可能である、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記電装部は、前記第1位置又は前記第2位置において前記電装部を前記支持体に取り付ける取付構造を有する、
測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測定装置であって、
前記支持体は、前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において、前記対象物が存在しない第1退避領域及び第2退避領域をそれぞれ有する、
測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の測定装置であって、
前記一対のセンサヘッドは、前記電装部が前記第1位置にあるときに前記第1退避領域を原点領域とし、前記電装部が前記第2位置にあるときに前記第2退避領域を原点領域とする、
測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の測定装置であって、
前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において前記支持体にそれぞれ取り付けられ、前記センサヘッドの原点の定義及び前記センサヘッドの移動規制の機能を前記電装部の配置に応じて互いに切り替える一対のスイッチを備える、
測定装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の測定装置であって、
前記一対のセンサヘッドと前記電装部とを互いに接続するケーブルであって、少なくとも一部が前記支持体の外部に配置されている前記ケーブルを備える、
測定装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の測定装置であって、
前記支持体は、前記一対のセンサヘッドをそれぞれ支持する一対のビームと、前記一対のビームの一方側の端部同士を接続した第1スタンドと、前記一対のビームの他方側の端部同士を接続した第2スタンドと、を有するO型フレームである、
測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の測定装置であって、
前記第1位置は、前記O型フレームの長手方向における一方側の位置であり、
前記第2位置は、前記長手方向における他方側の位置である、
測定装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の測定装置であって、
前記対象物は、電池電極シートを含む、
測定装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の測定装置であって、
前記パラメータは、前記対象物の坪量を含む、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状の対象物の坪量などを測定する測定装置に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、センサヘッドを水平移動可能に支持する一対のビームを備えるO型フレーム及び当該O型フレームを備える測定装置が開示されている。当該測定装置は、形状精度及び剛性を満たすビームを安価かつ容易に得る。当該測定装置は、一例としてオンライン厚さ計である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-124104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の測定装置は、シート状の対象物を生産するための生産ラインにおける設置場所ごとに仕様を明確にして製造する必要があった。これにより、仕様が明確に定まらないと測定装置の製造を開始できない、仕様が明確に定まってからの測定装置の納期が短い、製造負荷の変動が大きく測定装置の製造効率が低下するなど、測定装置の製造に関連する様々な問題が生じていた。
【0005】
本開示は、測定装置の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置を容易に製造可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、シート状の対象物のパラメータを測定する測定装置であって、互いに離間して対向しながら水平移動し、前記対象物を間に位置させて走査する一対のセンサヘッドと、前記一対のセンサヘッドを水平移動可能に支持する支持体と、前記センサヘッドを用いた前記パラメータの測定を制御する電装部と、を備え、前記電装部は、前記測定装置の設置場所に応じて、前記支持体の一方側の第1位置及び他方側の第2位置のいずれかに配置を変更可能である。
【0007】
これにより、測定装置の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置を容易に製造可能である。測定装置では、電装部が測定装置の設置場所に応じて第1位置及び第2位置のいずれかに配置を変更可能であるので、測定装置の製造においては常に同一モデルの測定装置を製造することが可能となる。同一モデルの測定装置を製造して出荷し、対象物を生産する生産工場での設置場所に応じて、第1位置及び第2位置のうち適切な位置を選択し、電装部を配置することが可能となる。
【0008】
一実施形態における測定装置では、前記電装部は、前記第1位置又は前記第2位置において前記電装部を前記支持体に取り付ける取付構造を有してもよい。これにより、第1位置又は第2位置において電装部を支持体に対し安定してかつ容易に固定することができる。
【0009】
一実施形態における測定装置では、前記支持体は、前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において、前記対象物が存在しない第1退避領域及び第2退避領域をそれぞれ有してもよい。これにより、支持体及び一対のセンサヘッドを含む測定装置の構成部を対称的に形成することが可能になる。したがって、上述したように、勝手違いを考慮することなく測定装置の製造において常に同一モデルの測定装置を製造し、生産ラインの設置場所に応じて測定装置を対称的に動作させることが可能となる。
【0010】
一実施形態における測定装置では、前記一対のセンサヘッドは、前記電装部が前記第1位置にあるときに前記第1退避領域を原点領域とし、前記電装部が前記第2位置にあるときに前記第2退避領域を原点領域としてもよい。これにより、一対のセンサヘッドの原点領域及び電装部を、慣例に合わせて装置メンテナンス側である裏側に共に設定することが容易となる。
【0011】
一実施形態における測定装置は、前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において前記支持体にそれぞれ取り付けられ、前記センサヘッドの原点の定義及び前記センサヘッドの移動規制の機能を前記電装部の配置に応じて互いに切り替える一対のスイッチを備えてもよい。これにより、上述したように、勝手違いを考慮することなく測定装置の製造において常に同一モデルの測定装置を製造し、生産ラインの設置場所に応じて測定装置を対称的に動作させることが可能となる。
【0012】
一実施形態における測定装置は、前記一対のセンサヘッドと前記電装部とを互いに接続するケーブルであって、少なくとも一部が前記支持体の外部に配置されている前記ケーブルを備えてもよい。これにより、第1位置及び第2位置の一方から他方への電装部の移動に応じてケーブルを支持体に対し適切に這わせることができる。
【0013】
一実施形態における測定装置では、前記支持体は、前記一対のセンサヘッドをそれぞれ支持する一対のビームと、前記一対のビームの一方側の端部同士を接続した第1スタンドと、前記一対のビームの他方側の端部同士を接続した第2スタンドと、を有するO型フレームであってもよい。これにより、支持体の堅牢性が向上する。
【0014】
一実施形態における測定装置では、前記第1位置は、前記O型フレームの長手方向における一方側の位置であり、前記第2位置は、前記長手方向における他方側の位置であってもよい。これにより、慣例に従って、対象物の搬送方向と直交する方向に電装部及び一対のセンサヘッドの退避領域を配置可能である。
【0015】
一実施形態における測定装置では、前記対象物は、電池電極シートを含んでもよい。これにより、測定装置は、電池電極シートを生産する生産ライン上で、電池電極シートを測定対象としてパラメータを測定可能である。
【0016】
一実施形態における測定装置では、前記パラメータは、前記対象物の坪量を含んでもよい。これにより、測定装置は、シート状の対象物を生産する生産ライン上で、シート状の対象物の坪量を測定可能である。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、測定装置の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置を容易に製造可能な測定装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置の概略構成を示す模式図である。
図2図1の測定装置を対象物が搬送される方向から視たときの模式図である。
図3】電池電極シートの塗工ラインのレイアウトの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0020】
金属箔に活物質などの合剤を薄く塗布、乾燥して生産される電池電極シートの坪量をベータ線及びX線などの放射線を用いて測定するオンライン厚さ計に関連する技術が知られている。電池電極シートの生産工程において、正極及び負極のそれぞれは、互いに異なる生産ラインで形成される。例えば、正極は、アルミ箔の表面にスラリーを薄く均一に塗工し、次の工程で乾燥し、乾燥後にアルミ箔の裏面に同様に塗工し、次の工程で乾燥することで形成される。
【0021】
塗工及び乾燥工程における検査では、目付量、すなわち塗工坪量の測定及び塗工部端面、すなわちエッジの形状測定、並びに乾燥表面状態の画像診断などが行われる場合がある。以下では、オンライン厚さ計を用いた塗工坪量の測定について主に説明する。
【0022】
例えば、特許文献1に示されるように、オンライン厚さ計を構成するO型フレームの上部ビーム及び下部ビームには、上側センサヘッド及び下側センサヘッドがそれぞれ係留される。上側センサヘッドと下側センサヘッドとは、互いに同期してO型フレーム内を左右に水平移動しながら対象物としての電池電極シートを走査する。上側センサヘッド及び下側センサヘッドの一方は、ベータ線及びX線などの放射線を放射する放射線源を有する。他方は、放射線源から放射され、電池電極シートを透過した放射線を検出する検出器を有する。放射線源と検出器とは、電池電極シートに対する走査の間互いに対向する。
【0023】
オンライン厚さ計は、上側センサヘッド及び下側センサヘッドを含む一対のセンサヘッドを用いて、対象物である電池電極シートによる放射線の透過減衰量を測定する。オンライン厚さ計は、坪量が既知である複数のサンプルに対して同様の測定を予め行い検量線を算出する。オンライン厚さ計は、透過減衰量と予め算出された検量線との関係性から、対象物の坪量を算出することが可能である。
【0024】
オンライン厚さ計は、電装部一体型及び電装部分離型の2つのタイプに大きく分けられる。電装部は、トランス、電源、及び制御機器などを含み、一対のセンサヘッドを用いた坪量の測定を制御する。電装部一体型は、O型フレームに電装部を内蔵したタイプである。電装部分離型は、電装部をO型フレームに内蔵せずに別のコンソール内に収納し、一対のセンサヘッドと電装部とをケーブルで互いに接続するタイプである。
【0025】
いずれのタイプにおいても、シート状の対象物の幅方向の外側に、センサヘッドの退避領域が設けられる。当該退避領域において、対象物が存在しない状態で、センサヘッドの自動定期校正が実行されたり、休転時にメンテナンスが行われたりする。従来のオンライン厚さ計は、対象物に対し非対称のフットプリントを有する。
【0026】
図3は、電池電極シートの塗工ラインのレイアウトの一例を示す模式図である。電池電極シートの生産工場内には、同様の生産ラインが複数平行に設置されることがある。例えば、オペレータ、すなわち作業者は、複数の生産ラインL1、L2を同時に管理、運用する必要がある。作業者は、通路を挟んで2つの生産ラインL1、L2を管理することが一般的である。
【0027】
オンライン厚さ計を含む各装置の操作端は通路側に向けられる。各装置は、その操作面、すなわち装置正面を通路側に揃えて設置される。電池電極シートは、各装置の内部を通過する。例えば、電池電極シートは、装置M1、オンライン厚さ計M2、及び装置M3の順に通過する。各装置は、サイズが異なるが、各装置における操作端側のスペースが狭くなるように設計され、かつより広いスペースが必要とされる電装部が操作端とは反対側に配置されるように設計される。各装置のメンテナンスなどは、通路の反対側に位置する別の作業用通路から各装置にアクセスすることで行われる。
【0028】
以上のように、オンライン厚さ計を含む生産ライン上の装置は、操作面側を表側とし、装置メンテナンス側を裏側として意識した設計で製造される。したがって、一部の装置によっては、生産ラインにおける設置場所に応じて仕様が異なるという勝手違いが生じることが一般的である。例えば、図3における一の生産ラインL1上に設置されているオンライン厚さ計M2と、通路を挟んで位置する他の生産ラインL2上に設置されているオンライン厚さ計M2との間でこのような勝手違いが生じる。
【0029】
したがって、各装置について製造を受注するときに生産ラインにおける設置場所ごとに仕様を明確にしてから、各装置の製造を開始する必要があった。これにより、オンライン厚さ計などの測定装置の製造に関連する以下の様々な問題が生じていた。
【0030】
例えば、仕様が明確に定まらないと測定装置の製造を開始できない。仕様の決定に時間がかかってしまうと、仕様が明確に定まってからの測定装置の納期が短くなることも想定される。仕様が明確に定まる前に測定装置を製造して在庫を保有することが困難であり、仕様が明確に定まる前後での製造負荷の変動が大きくなる。その結果、測定装置の製造効率が低下する。
【0031】
加えて、設置場所ごとに仕様が異なると、仕様ごとに勝手違いの部品が多数必要となると共に、組立方法も異なるため、組み立ての作業効率も低下する。対象物を生産するための生産ラインにおいて測定装置の設置仕様変更などが突如生じると、測定装置の改良及び新たな仕様に適合する測定装置の新たな製造などが必要になる。これにより、対象物の生産に関する操業遅延及び対象物を製品として納品するときの納品遅延などが起こり得る。
【0032】
本開示は、以上のような問題点を解決するために、測定装置の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置を容易に製造可能な測定装置を提供することを目的とする。
【0033】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0034】
図1は、本開示の一実施形態に係る測定装置1の概略構成を示す模式図である。図2は、図1の測定装置1を対象物Sが搬送される方向から視たときの模式図である。図1及び図2において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。図1及び図2において、測定装置1の右側を第1位置P1とし、測定装置1の左側を第2位置P2とする。以下では、「一方側」は、例えば、図1及び図2における右側を意味する。「他方側」は、例えば、図1及び図2における左側を意味する。図1及び図2を参照しながら、一実施形態に係る測定装置1の構成について主に説明する。
【0035】
測定装置1は、シート状の対象物Sのパラメータを測定する。本開示において、「測定装置1」は、例えば、オンライン厚さ計を含む。「対象物S」は、例えば、電池電極シートを含む。「パラメータ」は、例えば、坪量、目付量、厚さ、及び表面位置などを含む。
【0036】
測定装置1は、例えば、シート状の対象物Sを生産するための生産ラインに組み込まれ、連続的に製造され一方向に搬送されてくる対象物Sのパラメータを、対象物Sの搬送を停止させることなく測定する。測定装置1は、支持体10と、一対のセンサヘッド20と、電装部30と、ケーブル40と、一対のスイッチ50と、を有する。図面上では省略しているが、一実施形態に係る測定装置1は、作業者が指示を入力するための操作パネルも有する。
【0037】
図1及び図2では、一例として、一対のセンサヘッド20、電装部30、及びケーブル40が第1位置P1側に位置するときの様子が実線により示されている。これに対して、一対のセンサヘッド20、電装部30、及びケーブル40が第1位置P1側に代えて第2位置P2側に位置するときの様子は、二点鎖線により示されている。
【0038】
支持体10は、対象物Sの搬送方向Dに対して直交する方向を長手方向とするように構成される。支持体10は、対象物Sに対して対称的に形成されている。より具体的には、支持体10は、支持体10の中央部に位置する対象物Sに対して上下対称及び左右対称となるように形成されている。
【0039】
支持体10は、一対のセンサヘッド20を水平移動可能に支持する。より具体的には、支持体10は、一対のセンサヘッド20を支持体10の長手方向に沿って水平移動可能に支持する。支持体10は、一対のセンサヘッド20をそれぞれ支持する一対のビーム11を有する。支持体10は、一対のビーム11の一方側の端部同士を接続した第1スタンド12aを有する。支持体10は、一対のビーム11の他方側の端部同士を接続した第2スタンド12bを有する。
【0040】
第1スタンド12a及び第2スタンド12bは、各々が自立可能な支持構造体であり、ビーム11を支持する。第1スタンド12aは、平行配置される一対のビーム11の一方側の端部に接続されている。第2スタンド12bは、第1スタンド12aに対して水平方向に離間して配置されており、一対のビーム11の他方側の端部に接続されている。一対のビーム11は、上下に離間して平行に配置されている。一対のビーム11は、上側に配置された上側ビーム11aと、下側に配置された下側ビーム11bと、を有する。
【0041】
支持体10は、上側ビーム11aと、下側ビーム11bと、第1スタンド12aと、第2スタンド12bと、によって囲まれる開口13を有するO型形状のO型フレームである。第1位置P1は、O型フレームの長手方向における一方側の位置である。第2位置P2は、当該長手方向における他方側の位置である。パラメータを測定する対象となるシート状の対象物Sは、開口13を通過して支持体10の手前側から奥側に向けて一方向に連続的に搬送される。
【0042】
支持体10は、O型フレームの上面14aと、対象物Sの搬送方向Dに直交する第1側面14bと、支持体10の長手方向に直交する第2側面14cと、を有する。支持体10は、支持体10の一方側、すなわち右側に位置する第2側面14cと上面14aとが交差する第1角部C1を有する。支持体10は、支持体10の他方側、すなわち左側に位置する第2側面14cと上面14aとが交差する第2角部C2を有する。
【0043】
支持体10は、支持体10の第1位置P1側及び第2位置P2側において、対象物Sが存在しない第1退避領域R1及び第2退避領域R2をそれぞれ有する。第1退避領域R1は、上側ビーム11a、下側ビーム11b、第1スタンド12a、及び第2スタンド12bにより囲まれるO型フレームの内部空間において対象物Sに対し支持体10の長手方向の一方側に位置する。第2退避領域R2は、当該内部空間において対象物Sに対し支持体10の長手方向の他方側に位置する。第1退避領域R1及び第2退避領域R2では、対象物Sは、一対のセンサヘッド20と上下方向に重ならない。
【0044】
一対のセンサヘッド20は、互いに離間して対向しながら水平移動し、対象物Sを間に位置させて走査する。より具体的には、センサヘッド20は、対象物Sが通過する領域を空けて、上下方向に離間するように2つ設けられている。一対のセンサヘッド20の各々は、不図示の移動機構に固定されており、移動機構を介してビーム11に対し水平移動可能に支持されている。
【0045】
一対のセンサヘッド20は、移動機構によってビーム11に沿って水平移動する。一対のセンサヘッド20のうち上側に配置された上側センサヘッド20aは、移動機構を介して上側ビーム11aに支持されており、移動機構によって上側ビーム11aに沿って水平移動する。一対のセンサヘッド20のうち下側に配置された下側センサヘッド20bは、移動機構を介して下側ビーム11bに支持されており、移動機構によって下側ビーム11bに沿って水平移動する。
【0046】
一対のセンサヘッド20は、電装部30が第1位置P1にあるときに第1退避領域R1を原点領域とし、電装部30が第2位置P2にあるときに第2退避領域R2を原点領域とする。すなわち、一対のセンサヘッド20は、支持体10に対する電装部30の配置位置と同一側の退避領域を原点領域とする。
【0047】
一対のセンサヘッド20は、第1退避領域R1を原点領域とするとき、第1退避領域R1よりも支持体10の他方側、すなわち左側の領域で支持体10の長手方向に水平移動しながら対象物Sを走査する。一対のセンサヘッド20は、第2退避領域R2を原点領域とするとき、第2退避領域R2よりも支持体10の一方側、すなわち右側の領域で支持体10の長手方向に水平移動しながら対象物Sを走査する。一対のセンサヘッド20の原点領域は、第1退避領域R1及び第2退避領域R2の両側で対象物Sのシート幅に対し互いに同一のスペースを有する。
【0048】
上側センサヘッド20a及び下側センサヘッド20bの一方は、ベータ線及びX線などの放射線を放射する放射線源を有する。他方は、放射線源から放射され、対象物Sを透過した放射線を検出する検出器を有する。放射線源と検出器とは、一対のセンサヘッド20による対象物Sの走査の間互いに対向する。一対のセンサヘッド20は、放射線を用いてシート状の対象物Sのパラメータを検出する。一対のセンサヘッド20は、取得したパラメータの検出信号を、ケーブル40を介して電装部30に向けて連続的に出力する。
【0049】
電装部30は、センサヘッド20を用いたパラメータの測定を制御する。電装部30は、トランス、電源、PLC(Programmable Logic Controller)などの制御機器、制御基板、一対のセンサヘッド20を移動させる移動機構を駆動するためのドライバ、測定演算部、及び入出力接続口などを一体的に含む。電装部30は、筐体としての支持体10に個別に直接実装せず、1つの塊を成す例えばローカルボックスの形態で各構成部を収納ケースに収納して構成される。
【0050】
電装部30は、測定装置1の設置場所に応じて、支持体10の一方側の第1位置P1及び他方側の第2位置P2のいずれかに配置を変更可能である。第1位置P1及び第2位置P2は、測定装置1の支持体10の長手方向の両側にそれぞれ位置する。より具体的には、第1位置P1は、支持体10における長手方向の一方側の第2側面14cに沿った位置である。第2位置P2は、支持体10における長手方向の他方側の第2側面14cに沿った位置である。図1及び図2では、一例として、電装部30は、支持体10の一方側の第1位置P1に位置する。電装部30は、例えば、測定装置1の設置場所が変更されて電装部30の配置に関し異なる仕様が必要となった場合に、第1位置P1から第2位置P2へと移動可能である。
【0051】
電装部30は、第1位置P1又は第2位置P2において電装部30を支持体10に取り付ける取付構造31を有する。取付構造31は、例えば、螺合、嵌合、及び係合などにより支持体10に対し着脱可能となる構造を含む。取付構造31は、ローカルボックスとしての電装部30を支持体10に対し容易に載せ替えが可能なようにハンガー構造31aを含む。加えて、取付構造31は、ローカルボックスの側面側にねじ止めされた固定金具を介して支持体10の側面にねじ止めするねじ止め構造31bを含む。
【0052】
電装部30は、例えば、第1位置P1において、支持体10の一方側の第1角部C1に対しハンガー構造31aにより引っ掛けられ、ねじ止め構造31bにより支持体10の右側の第2側面14cに固定される。電装部30は、例えば、第1位置P1から第2位置P2へと移動すると、支持体10の他方側の第2角部C2に対しハンガー構造31aにより引っ掛けられ、ねじ止め構造31bにより支持体10の左側の第2側面14cに固定される。
【0053】
測定装置1の電装部30、例えば制御機器及びドライバなどは、一対のセンサヘッド20を移動させる移動機構を制御して動力を生成し、当該動力によって一対のセンサヘッド20を一対のビーム11に沿ってそれぞれ移動させる。電装部30は、上側センサヘッド20aと下側センサヘッド20bとを互いに同期して移動させる。電装部30は、センサヘッド20が移動機構によってビーム11に沿って移動しながら出力する対象物Sのパラメータの検出信号をセンサヘッド20から連続的に取得する。
【0054】
測定装置1の電装部30、例えば測定演算部は、上側センサヘッド20a及び下側センサヘッド20bを含む一対のセンサヘッド20を用いて、対象物Sによる放射線の透過減衰量を、取得した検出信号に基づき測定する。電装部30は、パラメータが既知である複数のサンプルに対して同様の測定を予め行い検量線を算出する。電装部30は、透過減衰量と予め算出された検量線との関係性から、対象物Sのパラメータを算出することが可能である。
【0055】
ケーブル40は、一対のセンサヘッド20と電装部30とを互いに接続する。これに加えて、ケーブル40は、一対のスイッチ50と電装部30とも互いに接続する。ケーブル40は、電源線、信号線、及び通信線などを含む。ケーブル40は、少なくとも一部が支持体10の外部に配置されている。例えば、ケーブル40は、支持体10を構成するO型フレームの中空部分に一部が内蔵され、残りの一部が下側ビーム11bの中央部からO型フレームの外部へと延出し、外部から電装部30に接続されるように配置されている。
【0056】
ケーブル40は、第1位置P1から第2位置P2への電装部30の移動に伴って、O型フレームの外部における配置を変化させる。より具体的には、電装部30が第1位置P1にあるときに、ケーブル40は、下側ビーム11bの中央部から支持体10の一方側に向けて電装部30まで延出する。一方で、電装部30が第1位置P1から第2位置P2に移動すると、ケーブル40は、下側ビーム11bの中央部から支持体10の他方側に向けて電装部30まで延出する。
【0057】
ケーブル40は、電装部30としてのローカルボックスの外側に引き出され、O型フレーム及びローカルボックスの内部の配線を変更しなくても、電装部30と共にO型フレームの反対側に移動可能なように適切なあそびを有する。ケーブル40は、電装部30の反転が済み、取付構造31により電装部30が支持体10に固定されると、O型フレームに沿って適切に配置され固定される。
【0058】
一対のスイッチ50は、支持体10の第1位置P1側及び第2位置P2側において支持体10にそれぞれ取り付けられている。
【0059】
例えば、一対のスイッチ50は、支持体10の上側ビーム11aに沿って第1位置P1側及び第2位置P2側の両側にそれぞれ取り付けられている。一対のスイッチ50は、第1退避領域R1及び第2退避領域R2において原点領域に位置するときの上側センサヘッド20aよりも支持体10の長手方向の外側にそれぞれ位置する。
【0060】
例えば、一対のスイッチ50は、支持体10の下側ビーム11bに沿って第1位置P1側及び第2位置P2側の両側にそれぞれ取り付けられている。一対のスイッチ50は、第1退避領域R1及び第2退避領域R2において原点領域に位置するときの下側センサヘッド20bよりも支持体10の長手方向の外側にそれぞれ位置する。
【0061】
スイッチ50は、例えば、リミットスイッチを含む。一対のスイッチ50は、電装部30による制御を受けて、センサヘッド20の原点の定義及びセンサヘッド20の移動規制の機能を電装部30の配置に応じて互いに切り替える。
【0062】
例えば、電装部30が第1位置P1にあるとき、上側ビーム11aに沿って第1位置P1側に取り付けられているスイッチ50は、上側センサヘッド20aの原点を定義する。上側ビーム11aに沿って第2位置P2側に取り付けられているスイッチ50は、上側センサヘッド20aが支持体10の他方側に向けて過度に移動しないように移動規制する。電装部30が第1位置P1から第2位置P2へと移動すると、上側ビーム11aに沿って第1位置P1側に取り付けられているスイッチ50と上側ビーム11aに沿って第2位置P2側に取り付けられているスイッチ50との間の機能は互いに切り替わる。
【0063】
例えば、電装部30が第1位置P1にあるとき、下側ビーム11bに沿って第1位置P1側に取り付けられているスイッチ50は、下側センサヘッド20bの原点を定義する。下側ビーム11bに沿って第2位置P2側に取り付けられているスイッチ50は、下側センサヘッド20bが支持体10の他方側に向けて過度に移動しないように移動規制する。電装部30が第1位置P1から第2位置P2へと移動すると、下側ビーム11bに沿って第1位置P1側に取り付けられているスイッチ50と下側ビーム11bに沿って第2位置P2側に取り付けられているスイッチ50との間の機能は互いに切り替わる。
【0064】
以上のような測定装置1では、電装部30としてのローカルボックスの設置位置は、生産ラインにおける測定装置1の設置条件に応じて、装置メンテナンス側である裏側となるのが一般的である。例えば、測定装置1が図3においてオンライン厚さ計M2として生産ラインL1上に配置される場合、電装部30は、通路の反対側に位置する。図1及び図2に対応させると、電装部30は、第2位置P2にある。例えば、測定装置1が図3においてオンライン厚さ計M2として生産ラインL2上に配置される場合も同様に、電装部30は、通路の反対側に位置する。図1及び図2に対応させると、電装部30は、第1位置P1にある。しかしながら、以上に限定されず、電装部30としてのローカルボックスの設置位置は、生産ラインに対する作業者の都合などに合わせて任意に決定されてもよい。
【0065】
一対のセンサヘッド20の退避領域についても装置メンテナンス側に設定し、当該退避領域を原点領域として一対のセンサヘッド20の走査を当該原点領域から開始させるのが慣例である。例えば、測定装置1が図3においてオンライン厚さ計M2として生産ラインL1上に配置される場合、一対のセンサヘッド20の退避領域は、通路の反対側に位置する。図1及び図2に対応させると、一対のセンサヘッド20の退避領域は、第2退避領域R2に対応する。例えば、測定装置1が図3においてオンライン厚さ計M2として生産ラインL2上に配置される場合も同様に、一対のセンサヘッド20の退避領域は、通路の反対側に位置する。図1及び図2に対応させると、一対のセンサヘッド20の退避領域は、第1退避領域R1に対応する。
【0066】
しかしながら、以上に限定されず、一対のセンサヘッド20の退避領域は、生産ラインに対する作業者の都合などに合わせて任意に決定されてもよい。原点領域は、電装部30を用いたソフトウェア上の処理によって生産ラインにおける他の装置に合わせられてもよい。
【0067】
以上のような一実施形態に係る測定装置1によれば、測定装置1の設置場所ごとの仕様への依存を低減して測定装置1を容易に製造可能である。測定装置1では、電装部30が測定装置1の設置場所に応じて第1位置P1及び第2位置P2のいずれかに配置を変更可能であるので、測定装置1の製造においては常に同一モデルの測定装置1を製造することが可能となる。同一モデルの測定装置1を製造して出荷し、対象物Sを生産する生産工場での設置場所に応じて、第1位置P1及び第2位置P2のうち適切な位置を選択し、電装部30を配置することが可能となる。
【0068】
電装部30としてのローカルボックスを容易に移動させられることから、従来技術のように、仕様ミス及び勝手違いの勘違いなどで製造後の測定装置1が生産ライン上で設置できないといった大きなトラブルの発生が抑制される。測定装置1について製造を受注するときに生産ラインにおける設置場所ごとに仕様を明確にしてから測定装置1の製造を開始する必要性が低減し、仕様が明確になる前に測定装置1の製造を開始することが可能となる。したがって、測定装置1の納期にも余裕を持たせることができ、測定装置1の生産性が向上する。
【0069】
以上のように測定装置1の計画的生産が可能になることで、仕様が明確に定まる前に測定装置1を製造して在庫を保有することも容易となる。したがって、物量負荷に応じた製造負荷の変動が抑制される。その結果、測定装置1の製造効率が向上する。例えば、ロット数が100台を超えるような大きな受注においても、在庫生産などにより競合他社に対する納期の優位性を示すことも可能となる。
【0070】
測定装置1では、勝手違いの部品を多数製造する必要もなく、組立方法も同一であるため、組み立ての作業効率が向上する。測定装置1の組立作業における組立ミスも抑制される。加えて、対象物Sを生産するための生産ラインにおいて測定装置1の設置仕様変更などが突如生じても、電装部30などの配置を生産ラインの現場で変更するだけで対応可能である。したがって、対象物Sの生産に関する操業遅延及び対象物Sを製品として納品するときの納品遅延などが抑制される。
【0071】
第1位置P1又は第2位置P2において電装部30を支持体10に取り付ける取付構造31を電装部30が有することで、第1位置P1又は第2位置P2において電装部30を支持体10に対し安定してかつ容易に固定することができる。
【0072】
支持体10が第1退避領域R1及び第2退避領域R2をそれぞれ有することで、支持体10及び一対のセンサヘッド20を含む測定装置1の構成部を対称的に形成することが可能になる。したがって、上述したように、勝手違いを考慮することなく測定装置1の製造において常に同一モデルの測定装置1を製造し、生産ラインの設置場所に応じて測定装置1を対称的に動作させることが可能となる。
【0073】
一対のセンサヘッド20が電装部30と同一側の退避領域を原点領域とすることで、一対のセンサヘッド20の原点領域及び電装部30を、慣例に合わせて装置メンテナンス側である裏側に共に設定することが容易となる。
【0074】
一対のスイッチ50は、原点の定義及びセンサヘッド20の移動規制の機能を電装部30の配置に応じて互いに切り替える。これにより、上述したように、勝手違いを考慮することなく測定装置1の製造において常に同一モデルの測定装置1を製造し、生産ラインの設置場所に応じて測定装置1を対称的に動作させることが可能となる。
【0075】
一対のセンサヘッド20と電装部30とを互いに接続するケーブル40の少なくとも一部は、支持体10の外部に配置されている。これにより、第1位置P1及び第2位置P2の一方から他方への電装部30の移動に応じてケーブル40を支持体10に対し適切に這わせることができる。
【0076】
支持体10は、一対のビーム11と、一対のビーム11の一方側の端部同士を接続した第1スタンド12aと、一対のビーム11の他方側の端部同士を接続した第2スタンド12bと、を有するO型フレームである。これにより、支持体10の堅牢性が向上する。
【0077】
第1位置P1がO型フレームの長手方向における一方側の位置であり、第2位置P2が当該長手方向における他方側の位置であることで、慣例に従って、対象物Sの搬送方向Dと直交する方向に電装部30及び一対のセンサヘッド20の退避領域を配置可能である。
【0078】
対象物Sが電池電極シートを含むことで、測定装置1は、電池電極シートを生産する生産ライン上で、電池電極シートを測定対象としてパラメータを測定可能である。
【0079】
パラメータが対象物Sの坪量を含むことで、測定装置1は、シート状の対象物を生産する生産ライン上で、シート状の対象物の坪量を測定可能である。
【0080】
O型フレームとしての支持体10と、ローカルボックスとしての電装部30とが構成として互いに切り分けられていることで、これらの製造工程の分離が可能となる。これにより、測定装置1の量産時への対応が容易となる。例えば、O型フレームの中空内に電気機器、制御機器、及び通信機器などを個別に実装して配線、配管、及びテストなどを行うと、量産時における製造量のボトルネックが生じるが、測定装置1によればそのようなボトルネックの発生を抑制可能である。
【0081】
電装部30がローカルボックスとして構成されることで、複数の電装部30の間で互換性を持たせることも可能となる。この場合、例えば電装部30などにトラブルが発生して早い復旧が要求される場合においても、他の電装部30のユニットを準備して交換するだけで復旧を完了させることができる。加えて、交換された電装部30のユニットに対して検査及び管理などを行うことで、トラブルの原因となった問題の切り分けが容易になる。
【0082】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0083】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した測定装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。
【0084】
上記実施形態では、電装部30は、第1位置P1又は第2位置P2において電装部30を支持体10に取り付ける取付構造31を有すると説明したが、これに限定されない。電装部30は、このような取付構造31を有さなくてもよい。このとき、電装部30は、第1位置P1又は第2位置P2において、支持体10から離間した位置に配置されていてもよい。
【0085】
上記実施形態では、支持体10は、第1位置P1側及び第2位置P2側において、対象物Sが存在しない第1退避領域R1及び第2退避領域R2をそれぞれ有すると説明したが、これに限定されない。支持体10は、第1退避領域R1及び第2退避領域R2のいずれか一方のみを有してもよい。
【0086】
上記実施形態では、一対のセンサヘッド20は、電装部30が第1位置P1にあるときに第1退避領域R1を原点領域とし、電装部30が第2位置P2にあるときに第2退避領域R2を原点領域とすると説明したが、これに限定されない。一対のセンサヘッド20は、支持体10に対する電装部30の配置位置と逆側の退避領域を原点領域としてもよい。一対のセンサヘッド20は、電装部30の移動に応じて第1退避領域R1及び第2退避領域R2の一方から他方へと退避領域を変更しなくてもよく、第1退避領域R1及び第2退避領域R2のいずれか一方に退避領域を固定していてもよい。
【0087】
上記実施形態では、一対のスイッチ50は、原点の定義及びセンサヘッド20の移動規制の機能を電装部30の配置に応じて互いに切り替えると説明したが、これに限定されない。例えば、一対のセンサヘッド20の退避領域が電装部30の移動に関わらず固定されているような場合、一対のスイッチ50は、原点の定義及びセンサヘッド20の移動規制の機能を電装部30の配置に応じて互いに切り替えなくてもよい。
【0088】
上記実施形態では、測定装置1は、ケーブル40を有すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、ケーブル40を有さずに、例えば、無線通信により、一対のセンサヘッド20と電装部30とを互いに通信可能に接続していてもよい。ケーブル40は、下側ビーム11bの中央部からO型フレームの外部へと延出すると説明したが、これに限定されない。ケーブル40は、下側ビーム11bに代えて、上側ビーム11a、第1スタンド12a、及び第2スタンド12bのいずれかからO型フレームの外部へと延出してもよい。
【0089】
上記実施形態では、支持体10はO型フレームであると説明したが、これに限定されない。支持体10は、一対のセンサヘッド20が水平移動して対象物Sを走査することが可能な任意の形状のフレーム構造及び筐体構造などにより形成されていてもよい。その他にも、支持体10は、開口13において対象物Sが通過する領域のみを残し、開口13の他の部分全体を覆ったボックス構造により形成されていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、支持体10の一方側の第1位置P1は、支持体10における長手方向の一方側の第2側面14cに沿った位置であると説明したが、これに限定されない。支持体10の一方側の第1位置P1は、支持体10の第1側面14bにおいて長手方向の一方側に位置する部分に沿った位置であってもよい。支持体10の他方側の第2位置P2は、支持体10における長手方向の他方側の第2側面14cに沿った位置であると説明したが、これに限定されない。支持体10の他方側の第2位置P2は、支持体10の第1側面14bにおいて長手方向の他方側に位置する部分に沿った位置であってもよい。
【0091】
上記実施形態では、第1位置P1は、O型フレームの長手方向における一方側の位置であり、第2位置P2は、当該長手方向における他方側の位置であると説明したが、これに限定されない。例えば、第1位置P1は、O型フレームの短手方向における一方側の位置であり、第2位置P2は、当該短手方向における他方側の位置であってもよい。
【0092】
上記実施形態では、対象物Sは、電池電極シートを含むと説明したが、これに限定されない。対象物Sは、生産ライン上でシート状に生産される任意の他の生産物を含んでもよい。
【0093】
上記実施形態では、測定装置1は、生産ライン上に配置されるオンライン厚さ計を含むと説明したが、これに限定されない。測定装置1は、従来であれば生産ラインによって勝手違いが生じ得る、比較的小型及び中型の他の任意の装置を含んでもよい。中型の装置は、例えば、装置を構成する一塊のユニットを2人程度の作業者が移動させることができるような大きさの装置を含む。
【0094】
上記実施形態における説明に加えて、ローカルボックス構造を有する電装部30の収納ケースは、機能を適切に選択することで、防塵、防滴、及びEMC(Electromagnetic Compatibility)などの仕様に応じた機能を付与されていてもよい。
【0095】
上記実施形態における説明に加えて、電装部30は、支持体10などにおいてエアーを使用する場合は、エアーを制御するためのエアー類の器機もローカルボックスの中に一体的に含んでもよい。このとき、測定装置1において、エアーを送るためのエアーチューブなどがケーブル40と同様に支持体10に沿って配置されていてもよい。
【0096】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
シート状の対象物のパラメータを測定する測定装置であって、
互いに離間して対向しながら水平移動し、前記対象物を間に位置させて走査する一対のセンサヘッドと、
前記一対のセンサヘッドを水平移動可能に支持する支持体と、
前記センサヘッドを用いた前記パラメータの測定を制御する電装部と、
を備え、
前記電装部は、前記測定装置の設置場所に応じて、前記支持体の一方側の第1位置及び他方側の第2位置のいずれかに配置を変更可能である、
測定装置。
[付記2]
付記1に記載の測定装置であって、
前記電装部は、前記第1位置又は前記第2位置において前記電装部を前記支持体に取り付ける取付構造を有する、
測定装置。
[付記3]
付記1又は2に記載の測定装置であって、
前記支持体は、前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において、前記対象物が存在しない第1退避領域及び第2退避領域をそれぞれ有する、
測定装置。
[付記4]
付記3に記載の測定装置であって、
前記一対のセンサヘッドは、前記電装部が前記第1位置にあるときに前記第1退避領域を原点領域とし、前記電装部が前記第2位置にあるときに前記第2退避領域を原点領域とする、
測定装置。
[付記5]
付記4に記載の測定装置であって、
前記支持体の前記第1位置側及び前記第2位置側において前記支持体にそれぞれ取り付けられ、前記センサヘッドの原点の定義及び前記センサヘッドの移動規制の機能を前記電装部の配置に応じて互いに切り替える一対のスイッチを備える、
測定装置。
[付記6]
付記1乃至5のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記一対のセンサヘッドと前記電装部とを互いに接続するケーブルであって、少なくとも一部が前記支持体の外部に配置されている前記ケーブルを備える、
測定装置。
[付記7]
付記1乃至6のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記支持体は、前記一対のセンサヘッドをそれぞれ支持する一対のビームと、前記一対のビームの一方側の端部同士を接続した第1スタンドと、前記一対のビームの他方側の端部同士を接続した第2スタンドと、を有するO型フレームである、
測定装置。
[付記8]
付記7に記載の測定装置であって、
前記第1位置は、前記O型フレームの長手方向における一方側の位置であり、
前記第2位置は、前記長手方向における他方側の位置である、
測定装置。
[付記9]
付記1乃至8のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記対象物は、電池電極シートを含む、
測定装置。
[付記10]
付記1乃至9のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記パラメータは、前記対象物の坪量を含む、
測定装置。
【符号の説明】
【0097】
1 測定装置
10 支持体
11 ビーム
11a 上側ビーム
11b 下側ビーム
12a 第1スタンド
12b 第2スタンド
13 開口
14a 上面
14b 第1側面
14c 第2側面
20 センサヘッド
20a 上側センサヘッド
20b 下側センサヘッド
30 電装部
31 取付構造
31a ハンガー構造
31b ねじ止め構造
40 ケーブル
50 スイッチ
C1 第1角部
C2 第2角部
D 搬送方向
L1 生産ライン
L2 生産ライン
M1 装置
M2 オンライン厚さ計
M3 装置
P1 第1位置
P2 第2位置
R1 第1退避領域
R2 第2退避領域
S 対象物
図1
図2
図3