(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074108
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】車両運行支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185181
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】深津 史浩
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】トーイングトラクタの周辺における障害物の有無を確実に把握できるとともにトーイングトラクタと高速車両との位置関係を把握できる車両運行支援システムを提供する。
【解決手段】車両運行支援システム10は、空港内に設けられた複数の検出装置11と、トーイングトラクタTに設けられた把握装置12とを備える。検出装置11の検出部32は、検出範囲に検出通路を含む車外センサ31の検出結果に基づいて、検出通路に存在する物体の種類及び車外センサ31の検出範囲における物体の位置を検出する。検出部32は、物体の種類として高速車両を判別可能である。検出側通信部33は、検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。把握装置12の把握側通信部42は、検出部32の検出結果を受信する。把握装置12の把握部41は、空港内における車外センサ31の位置及び受信した検出部32の検出結果から、空港内における高速車両の位置を把握する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両センサが搭載されたトーイングトラクタと、制限速度が前記トーイングトラクタの制限速度よりも速い速度に設定された車両である高速車両とが運行する空港において用いられる車両運行支援システムであって、
空港内に設けられた複数の検出装置と、
前記トーイングトラクタ又は前記トーイングトラクタの運行を管理する管理装置に設けられた把握装置と、
を備え、
前記検出装置は、
前記トーイングトラクタ及び前記高速車両が運行する運行通路及び前記運行通路の両側に設けられた路側帯からなる検出通路が検出範囲に含まれるように設置された車外センサと、
前記車外センサの検出結果に基づいて前記検出通路に存在する物体の種類及び前記車外センサの検出範囲における前記物体の位置を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果を前記把握装置に送信可能な検出側通信部と、
を有し、
前記把握装置は、
前記空港内における前記トーイングトラクタの位置を把握するとともに前記車両センサの検出結果に基づいて前記トーイングトラクタの周辺の障害物の有無を把握する把握部と、
前記検出側通信部から送信された前記検出部の検出結果を受信可能な把握側通信部と、
を有し、
前記検出部は、前記物体の種類として前記高速車両を判別可能であり、
前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記高速車両の位置を把握することを特徴とする車両運行支援システム。
【請求項2】
前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、
前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定する請求項1に記載の車両運行支援システム。
【請求項3】
前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、
前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行車線を選択する請求項1に記載の車両運行支援システム。
【請求項4】
前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記車両センサを制御するセンサ制御部を備え、
前記センサ制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記車両センサの検出範囲を設定する請求項1に記載の車両運行支援システム。
【請求項5】
前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、
前記車外センサの検出範囲に横断歩道が含まれている前記検出装置の前記検出部は、前記物体の種類として人を判別可能であり、
前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記人の位置を把握し、
前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記人の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定する請求項1に記載の車両運行支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港において用いられる車両運行支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港では、複数種類の車両が用いられている。空港で用いられる車両の1つとして、トーイングトラクタが知られている。トーイングトラクタは、コンテナが載置されたドーリーを牽引しながら走行することによってコンテナを搬送する。このため、トーイングトラクタの車長は長くなりやすい。特許文献1に記載されているように、トーイングトラクタには車両センサが搭載されている。車両センサの検出結果は、トーイングトラクタの周辺の障害物の有無を把握するために用いられる。また、空港で用いられる車両として、飛行機の乗客を旅客ターミナルと飛行機の待機場との間で送迎するバスや、機内食を搬送するフードローダなども知られている。
【0003】
空港内における車両の制限速度は、空港ごとに設定されている。また、空港内における車両の制限速度は、車両の種類によって異なる。例えば、トーイングトラクタの制限速度は、時速15kmである。バスやフードローダの制限速度は、時速30kmである。このように、バスやフードローダは、制限速度がトーイングトラクタの制限速度よりも速い速度に設定された高速車両である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
トーイングトラクタには車両センサが搭載されているものの、トーイングトラクタの周辺に駐車車両や構造物が存在する場合には、車両センサの検出範囲には死角が生じることがある。この場合、トーイングトラクタの周辺のうち、車両センサの死角となる範囲では、障害物の有無を把握することができない。
【0006】
また、トーイングトラクタと高速車両とが混在する空港内では、高速車両の定刻運行を実現するために、トーイングトラクタの運行よりも高速車両の運行を優先させることが好ましい。トーイングトラクタの運行よりも高速車両の運行を優先させるためには、トーイングトラクタと高速車両との位置関係を把握する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための車両運行支援システムは、車両センサが搭載されたトーイングトラクタと、制限速度が前記トーイングトラクタの制限速度よりも速い速度に設定された車両である高速車両とが運行する空港において用いられる車両運行支援システムであって、空港内に設けられた複数の検出装置と、前記トーイングトラクタ又は前記トーイングトラクタの運行を管理する管理装置に設けられた把握装置と、を備え、前記検出装置は、前記トーイングトラクタ及び前記高速車両が運行する運行通路及び前記運行通路の両側に設けられた路側帯からなる検出通路が検出範囲に含まれるように設置された車外センサと、前記車外センサの検出結果に基づいて前記検出通路に存在する物体の種類及び前記車外センサの検出範囲における前記物体の位置を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を前記把握装置に送信可能な検出側通信部と、を有し、前記把握装置は、前記空港内における前記トーイングトラクタの位置を把握するとともに前記車両センサの検出結果に基づいて前記トーイングトラクタの周辺の障害物の有無を把握する把握部と、前記検出側通信部から送信された前記検出部の検出結果を受信可能な把握側通信部と、を有し、前記検出部は、前記物体の種類として前記高速車両を判別可能であり、前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記高速車両の位置を把握することを要旨とする。
【0008】
上記構成によれば、空港内に設けられた複数の検出装置はそれぞれ、検出通路に存在する物体を検出する検出部を有している。このため、車両センサの検出範囲に死角が生じたとしても、把握部は、検出部の検出結果を利用することによって、死角となる範囲における障害物の有無を把握することができる。したがって、トーイングの周辺における障害物の有無を確実に把握できる。
【0009】
また、検出部は、物体の種類として高速車両を判別可能である。このため、把握部は、検出部の検出結果に基づいて、空港内における高速車両の位置を把握することができる。したがって、空港内におけるトーイングトラクタと高速車両との位置関係を把握できる。
【0010】
上記車両運行支援システムにおいて、前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定してもよい。
【0011】
例えば、車両制御部は、把握部が把握した空港内におけるトーイングトラクタ及び高速車両の位置から、トーイングトラクタが路側帯に停車している高速車両に対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部は、トーイングトラクタの走行速度を減速させる。これにより、トーイングトラクタが高速車両に接触するリスクを低減できる。また、高速車両は、路側帯から運行通路への合流をスムーズに行うことができる。その結果、高速車両の定刻運行が実現しやすくなる。
【0012】
上記車両運行支援システムにおいて、前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行車線を選択してもよい。
【0013】
例えば、車両制御部は、把握部が把握した空港内におけるトーイングトラクタ及び高速車両の位置から、トーイングトラクタが路側帯に最も近い車線を走行していること、及びトーイングトラクタが路側帯に停車している高速車両に対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車線制御部は、トーイングトラクタの走行車線として、路側帯から離れた車線を選択することによって、トーイングトラクタを車線変更させる。これにより、トーイングトラクタと高速車両との距離を確保しやすくなる。また、高速車両は、路側帯から運行通路への合流をスムーズに行うことができる。その結果、高速車両の定刻運行が実現しやすくなる。
【0014】
上記車両運行支援システムにおいて、前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記車両センサを制御するセンサ制御部を備え、前記センサ制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記車両センサの検出範囲を設定してもよい。
【0015】
例えば、センサ制御部は、把握部が把握した空港内におけるトーイングトラクタ及び高速車両の位置から、トーイングトラクタが路側帯に停車している高速車両に対して接近していることを認識する。この場合、センサ制御部は、車両センサの検出範囲を広げる。これにより、把握部は、トーイングトラクタの周辺における障害物の有無を早期に把握できる。また、トーイングトラクタが路側帯に停車している高速車両に対して接近していないときの車両センサの検出範囲は、トーイングトラクタが路側帯に停車している高速車両に対して接近しているときの車両センサの検出範囲よりも狭い。このように、トーイングトラクタの周辺に障害物が存在する可能性が低い状況においては、車両センサの検出範囲を狭めておくことにより、トーイングトラクタの周辺の障害物の有無の把握に係る処理の負荷を軽減できる。
【0016】
上記車両運行支援システムにおいて、前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車外センサの検出範囲に横断歩道が含まれている前記検出装置の前記検出部は、前記物体の種類として人を判別可能であり、前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記人の位置を把握し、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記人の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定してもよい。
【0017】
上記構成では、検出部は、物体の種類として人も判別可能である。このため、把握部は、検出部の検出結果に基づいて、空港内における人の位置を把握することができる。したがって、空港内におけるトーイングトラクタと人との位置関係も把握できる。
【0018】
また、車両制御部は、把握部が把握した空港内におけるトーイングトラクタ及び人の位置に基づいて、トーイングトラクタの走行速度を設定する。例えば、車両制御部は、把握部が把握した空港内におけるトーイングトラクタ及び人の位置から、人が横断歩道又は横断歩道の付近に存在しており、かつトーイングトラクタが当該横断歩道に対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部は、トーイングトラクタの走行速度をゼロに設定することによって、トーイングトラクタを停止させる。これにより、トーイングトラクタが人に接触するリスクを下げることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、トーイングトラクタの周辺における障害物の有無を確実に把握できるとともにトーイングトラクタと高速車両との位置関係を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】実施形態における車両運行支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態における車両運行支援システムの処理を説明するための模式図である。
【
図4】実施形態における車両運行支援システムの処理を説明するための模式図である。
【
図5】実施形態における車両運行支援システムの処理を説明するための模式図である。
【
図6】実施形態における車両運行支援システムの処理を説明するための模式図である。
【
図7】変更例における車両運行支援システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】変更例における車両運行支援システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、車両運行支援システムを具体化した一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。車両運行支援システムは、空港において用いられる。
図1に示すように、空港では、トーイングトラクタTが用いられている。トーイングトラクタTは、コンテナが載置されたドーリーを牽引しながら走行することによってコンテナを搬送する車両である。このため、トーイングトラクタTの車長は長くなりやすい。本実施形態のトーイングトラクタTは、無人運転車両である。また、空港では、バスBや図示しないフードローダなどが用いられている。バスBは、飛行機の乗客を旅客ターミナルと飛行機の待機場との間で搬送する車両である。フードローダは、機内食を搬送する車両である。バスB及びフードローダは、有人運転車両である。
【0022】
空港内通路Raは、車両通路Rvと路側帯Rsとを含んでいる。車両通路Rvは、車両が通行する通路である。本実施形態の車両通路Rvは、往路及び復路を2車線ずつ有する片側2車線の通路である。路側帯Rsは、車両通路Rvの両側に設けられている。また、空港の空港内通路Raには、横断歩道Cが設けられている。作業者等の人Pは、横断歩道Cを通行することにより、車両通路Rvを横断する。
【0023】
車両通路Rvにおける車両の制限速度は、空港ごとに定められている。また、車両通路Rvにおける車両の制限速度は、車両の種類によって異なっている。例えば、トーイングトラクタTの制限速度は、時速15kmに設定されている。バスBやフードローダの制限速度は、時速30kmに設定されている。したがって、バスBやフードローダは、制限速度がトーイングトラクタTの制限速度よりも速い速度に設定された高速車両Vである。
【0024】
このように空港内では、走行速度や車長が異なる複数種類の車両が混在する状態で車両運行が行われる。以下では、車両通路Rvのうち、トーイングトラクタT及び高速車両Vの両方が運行する通路を運行通路Rv0とする。また、運行通路Rv0及び運行通路Rv0の両側に位置する路側帯Rsを検出通路Rdとする。
【0025】
<トーイングトラクタ>
図2に示すように、トーイングトラクタTは、車両センサ21と、駆動装置22と、車両側制御装置23とを備えている。
【0026】
車両センサ21は、トーイングトラクタTに搭載されている。車両センサ21は、トーイングトラクタTの周辺における障害物の有無を把握するために用いられる。本実施形態の車両センサ21は、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)である。LIDARは、レーザーを周辺に照射する。LIDARは、レーザーが当たった部分によって反射された反射光を受光する。LIDARは、周辺環境を認識可能な距離計である。車両センサ21は、水平方向の照射角度を変更しながらレーザーを照射する二次元距離計である。本実施形態では、車両センサ21は、検出範囲A21(
図3参照)を変更可能に構成されている。
【0027】
駆動装置22は、トーイングトラクタTに走行動作を行わせる。駆動装置22は、トーイングトラクタTの図示しない車輪を回転駆動させるとともに操舵角(進行方向)を変更させる。例えば、トーイングトラクタTがエンジンタイプであれば、駆動装置22はエンジン及び操作角を変更する操舵装置等である。例えば、トーイングトラクタTが蓄電装置を有するEVタイプであれば、駆動装置22は車輪を回転駆動させる電動モータ及び操舵装置等である。
【0028】
車両側制御装置23は、プロセッサと記憶部とを備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部には、トーイングトラクタTを動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。車両側制御装置23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である車両側制御装置23は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。車両側制御装置23は、車両センサ21及び駆動装置22と接続されている。
【0029】
<車両運行支援システムの構成>
車両運行支援システム10は、複数の検出装置11と、把握装置12とを備えている。複数の検出装置11は、空港内に設けられている。本実施形態の把握装置12は、トーイングトラクタTに設けられている。
【0030】
検出装置11は、車外センサ31と、検出部32と、検出側通信部33とを有している。
本実施形態の車外センサ31は、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)である。車外センサ31は、水平方向及び鉛直方向の両方の照射角度を変更しながらレーザーを照射する三次元距離計である。
図3に示すように、車外センサ31の検出範囲A31は、車両センサ21の検出範囲A21よりも広範囲である。
【0031】
図1に示すように、各検出装置11は、車外センサ31の検出範囲A31に検出通路Rdが含まれるように設置されている。検出装置11は、例えば、検出通路Rdの路側帯Rsに設置されている。複数の検出装置11は、運行通路Rv0の一端側に位置する路側帯Rsと運行通路Rv0の他端側に位置する路側帯Rsとで交互に設置されている。また、複数の検出装置11は、検出通路Rdに沿って間隔を空けて設置されている。複数の検出装置11は、隣り合う検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31の一部が重なり合うように設置されている。また、複数の検出装置11のうち、一部の検出装置11は、車外センサ31の検出範囲A31に横断歩道Cが含まれるように設置されている。
【0032】
検出部32は、プロセッサと記憶部とを備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部には、検出装置11を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。検出部32は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である検出部32は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0033】
図2に示すように、検出部32は、車外センサ31と接続されている。検出部32は、車外センサ31の検出結果に基づいて、検出通路Rdにおける物体の有無を検出する。検出部32は、検出通路Rdにおいて物体を検出した場合、検出した物体の位置を検出する。検出部32は、検出通路Rdにおける物体の位置として、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。また、検出部32は、検出した物体の種類を判別する。詳しくは、検出部32は、予め複数種類の物体の形状や大きさを記憶している。検出部32は、車外センサ31の検出結果から検出通路Rdにおける物体の形状や大きさを検出する。検出部32は、記憶している物体の形状や大きさと、検出した物体の形状や大きさとから、検出通路Rdにおける物体の種類を判別する。検出部32は、物体の種類として高速車両Vを判別可能に構成されている。また、本実施形態では、車外センサ31の検出範囲A31に横断歩道Cが含まれている検出装置11の検出部32は、物体の種類として人Pを判別可能に構成されている。さらに、本実施形態では、検出部32は、物体の種類として工事車両Vcを判別可能に構成されている。
【0034】
検出側通信部33は、任意の無線通信方式で通信可能な通信機器である。無線通信方式は、例えば、無線LAN、Zigbee(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)、又は移動通信システムである。検出側通信部33は、無線信号を送受信可能である。検出側通信部33は、把握装置12と通信可能である。
【0035】
検出装置11は、検出側通信部33を介して検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。検出部32の検出結果は、物体の種類と、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置とを含んでいる。
【0036】
把握装置12は、把握部41と、把握側通信部42とを有している。
把握部41は、プロセッサと記憶部とを備える。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部には、把握装置12を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部は、処理をプロセッサに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。把握部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である把握部41は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0037】
把握側通信部42は、検出側通信部33と同様の通信部である。把握側通信部42は、検出装置11と通信可能である。把握装置12は、把握側通信部42を介して検出部32の検出結果を検出装置11から受信する。
【0038】
把握部41は、トーイングトラクタTの周辺における障害物の有無を把握する。把握部41は、車両センサ21と接続されている。把握部41は、車両センサ21の検出結果に基づいて、トーイングトラクタTの周辺における障害物の有無を把握する。詳細については後述するが、車両センサ21の検出範囲A21には死角が生じる場合がある。この場合、把握部41は、トーイングトラクタTの周辺のうち、車両センサ21の検出範囲A21の死角となる範囲については、検出部32の検出結果を利用することによって障害物の有無を把握する。
【0039】
把握部41は、空港内におけるトーイングトラクタTの位置を把握する。本実施形態では、把握部41は、空港内におけるトーイングトラクタTの位置として、把握装置12が搭載されたトーイングトラクタTの位置を把握する。把握部41は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて空港内におけるトーイングトラクタTの位置を把握する。なお、把握部41は、GPS以外の方法を用いて空港内におけるトーイングトラクタTの位置を把握してもよい。
【0040】
把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における高速車両Vの位置を把握する。上述したように、検出部32の検出結果には、物体の種類と、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置とが含まれている。したがって、把握部41は、検出部32が判別した物体の種類から、検出通路Rdにおける物体が高速車両Vであることを把握する。また、把握部41は、空港内における各検出装置11の車外センサ31の位置を記憶している。把握部41は、空港内における車外センサ31の位置と、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置とから、空港内における高速車両Vの位置を把握する。
【0041】
同様に、本実施形態の把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における人Pの位置を把握する。把握部41は、検出部32が判別した物体の種類から、検出通路Rdにおける物体が人Pであることを把握する。また、把握部41は、空港内における車外センサ31の位置と、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置とから、空港内における人Pの位置を把握する。
【0042】
同様に、本実施形態の把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における工事車両Vcの位置を把握する。把握部41は、検出部32が判別した物体の種類から、検出通路Rdにおける物体が工事車両Vcであることを把握する。また、把握部41は、空港内における車外センサ31の位置と、車外センサ31の検出範囲A31における工事車両Vcの位置とから、空港内における工事車両Vcの位置を把握する。
【0043】
本実施形態の車両運行支援システム10は、車両制御部13を備えている。本実施形態では、車両制御部13は、トーイングトラクタTの車両側制御装置23に設けられている。車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行に関する制御を行う。具体的には、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。車両制御部13は、設定した速度でトーイングトラクタTが走行するように駆動装置22の制御を行う。また、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。車両制御部13は、選択した車線をトーイングトラクタTが走行するように駆動装置22の制御を行う。
【0044】
車両制御部13は、把握部41が把握したトーイングトラクタTの周辺における障害物の有無に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定するとともに、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び人Pの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び工事車両Vcの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。
【0045】
本実施形態の車両運行支援システム10は、センサ制御部14を備えている。本実施形態では、センサ制御部14は、トーイングトラクタTの車両側制御装置23に設けられている。センサ制御部14は、車両センサ21に関する制御を行う。具体的には、センサ制御部14は、車両センサ21の検出範囲A21を設定する。車両センサ21は、センサ制御部14が設定した検出範囲A21で検出を行う。センサ制御部14は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、車両センサ21の検出範囲A21を設定する。
【0046】
<車両運行支援システムの処理>
車両運行支援システム10が行う処理について、
図3~
図6に示す具体例を用いて説明する。なお、以下の具体例において車両制御部13及びセンサ制御部14が行う処理は一例である。
【0047】
例えば、
図3に示すように、トーイングトラクタTは、コンテナを搬送しないとき、検出通路Rd外に位置している。そして、トーイングトラクタTは、コンテナを運搬する際、路側帯Rsを通って運行通路Rv0に合流する。合流部付近の路側帯Rsには、駐車車両Vsが存在している。駐車車両Vsによって、車両センサ21の検出範囲A21には死角が生じている。なお、
図3では、車両センサ21の死角となる範囲をドットハッチングで示している。車両センサ21の死角となる範囲には、高速車両VであるバスBが存在している。
【0048】
上述したように、把握部41は、車両センサ21の検出結果に基づいて、トーイングトラクタTの周辺における物体の有無を把握する。しかしながら、把握部41は、トーイングトラクタTの周辺のうち、車両センサ21の死角となる範囲については、障害物の有無を把握することができない。このため、把握部41は、トーイングトラクタTの周辺のうち、車両センサ21の死角となる範囲については、検出部32の検出結果を利用することによって障害物の有無を把握する。
【0049】
車両センサ21の死角となる範囲に存在するバスBは、検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31内に位置している。このため、当該検出装置11の検出部32は、検出通路Rdに物体が存在していることを検出する。検出部32は、物体の種類が高速車両Vであると判別する。また、検出部32は、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。検出装置11は、検出側通信部33を介して検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。把握装置12は、把握側通信部42を介して検出部32の検出結果を検出装置11から受信する。把握部41は、送信元の検出装置11の車外センサ31の空港内での位置と、受信した検出部32の検出結果とから、空港内における高速車両Vの位置を把握する。そして、把握部41は、把握した空港内における高速車両Vの位置から、トーイングトラクタTの周辺のうち、車両センサ21の死角となる範囲に障害物(高速車両V)が存在することを把握する。
【0050】
車両制御部13は、把握部41の把握結果から、トーイングトラクタTの周辺に障害物が存在することを認識する。この場合、車両制御部13は、例えば、トーイングトラクタTの走行速度をゼロにする。すなわち、車両制御部13は、トーイングトラクタTを停止させる。なお、車両制御部13は、把握部41の把握結果から、トーイングトラクタTの周辺に障害物が存在しないことを認識した場合、トーイングトラクタTの走行速度を運行通路Rv0への合流に応じた速度に設定する。
【0051】
例えば、
図4に示すように、高速車両VであるバスBは、乗客の乗降の際、路側帯Rsに一時停車する。トーイングトラクタTは、路側帯Rsに停車しているバスBに対して接近するように走行している。また、トーイングトラクタTは、車両通路Rvの第1車線Rv1及び第2車線Rv2のうち、路側帯Rsに近い方の車線である第1車線Rv1を走行している。
【0052】
バスBは、検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31内に位置している。このため、当該検出装置11の検出部32は、検出通路Rdに物体が存在していることを検出する。検出部32は、物体の種類が高速車両Vであると判別する。また、検出部32は、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。検出装置11は、検出側通信部33を介して検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。把握装置12は、把握側通信部42を介して検出部32の検出結果を検出装置11から受信する。把握部41は、送信元の検出装置11の車外センサ31の空港内での位置と、受信した検出部32の検出結果とから、空港内における高速車両Vの位置を把握する。
【0053】
車両制御部13及びセンサ制御部14は、把握部41が把握した空港内における高速車両Vの位置から、高速車両Vが路側帯Rsに停車していることを認識する。また、車両制御部13及びセンサ制御部14は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタTの位置から、トーイングトラクタTが高速車両Vに対して接近するように走行していること、及びトーイングトラクタTが第1車線Rv1を走行していることを認識する。さらに、車両制御部13は、把握部41の把握結果から、路側帯Rsから離れた方の車線である第2車線Rv2には物体が存在しないことを認識する。
【0054】
この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度を現在の速度よりも遅い速度に設定する。すなわち、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度を減速させる。また、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行車線として第2車線Rv2を選択する。すなわち、車両制御部13は、トーイングトラクタTを車線変更させる。さらに、センサ制御部14は、車両センサ21の検出範囲A21を、
図4において一点鎖線で示す現在の範囲よりも広い範囲に設定する。これにより、車両センサ21は、
図4において二点鎖線で示す検出範囲A21にて検出を行う。
【0055】
例えば、
図5に示すように、横断歩道Cの付近には人Pが存在している。トーイングトラクタTは、当該横断歩道Cに対して接近するように走行している。
人Pは、検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31内に位置している。このため、当該検出装置11の検出部32は、検出通路Rdに物体が存在していることを検出する。検出部32は、物体の種類が人Pであると判別する。また、検出部32は、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。検出装置11は、検出側通信部33を介して検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。把握装置12は、把握側通信部42を介して検出部32の検出結果を検出装置11から受信する。把握部41は、送信元の検出装置11の車外センサ31の空港内での位置と、受信した検出部32の検出結果とから、空港内における人Pの位置を把握する。
【0056】
車両制御部13は、把握部41が把握した空港内における人Pの位置から、横断歩道Cの付近に人Pが存在していることを認識する。また、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタTの位置から、トーイングトラクタTが当該横断歩道Cに対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度をゼロに設定する。すなわち、車両制御部13は、トーイングトラクタTを停車させる。
【0057】
例えば、
図6に示すように、工事車両Vcは、車両通路Rvの第1車線Rv1及び第2車線Rv2のうち、路側帯Rsに近い方の車線である第1車線Rv1に停車している。トーイングトラクタTは、工事車両Vcに対して接近するように走行している。また、トーイングトラクタTは、第1車線Rv1を走行している。
【0058】
工事車両Vcは、検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31内に位置している。このため、当該検出装置11の検出部32は、検出通路Rdに物体が存在していることを検出する。検出部32は、物体の種類が工事車両Vcであると判別する。また、検出部32は、車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。検出装置11は、検出側通信部33を介して検出部32の検出結果を把握装置12に送信する。把握装置12は、把握側通信部42を介して検出部32の検出結果を検出装置11から受信する。把握部41は、送信元の検出装置11の車外センサ31の空港内での位置と、受信した検出部32の検出結果とから、空港内における工事車両Vcの位置を把握する。
【0059】
車両制御部13は、把握部41が把握した空港内における工事車両Vcの位置から、工事車両Vcが第1車線Rv1に存在していることを認識する。また、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタTの位置から、トーイングトラクタTが工事車両Vcに対して接近するように走行していること、及びトーイングトラクタTが第1車線Rv1を走行していることを認識する。さらに、車両制御部13は、把握部41の把握結果から、路側帯Rsから離れた方の車線である第2車線Rv2には物体が存在しないことを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行車線として第2車線Rv2を選択する。すなわち、車両制御部13は、トーイングトラクタTを車線変更させる。
【0060】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)車両運行支援システム10は、空港内に設けられた複数の検出装置11と、トーイングトラクタTに設けられた把握装置12とを備えている。検出装置11は、車外センサ31と、検出部32と、検出側通信部33とを有している。車外センサ31は、検出通路Rdが検出範囲A31に含まれるように設置されている。検出部32は、車外センサ31の検出結果に基づいて検出通路Rdに存在する物体の種類及び車外センサ31の検出範囲A31における物体の位置を検出する。検出部32は、物体の種類として高速車両Vを判別可能である。検出側通信部33は、検出部32の検出結果を把握装置12に送信可能である。把握装置12は、把握部41と、把握側通信部42とを有している。把握部41は、空港内におけるトーイングトラクタTの位置を把握するとともに、車両センサ21の検出結果に基づいてトーイングトラクタTの周囲の障害物の有無を把握する。把握側通信部42は、検出側通信部33から送信された検出部32の検出結果を受信可能である。把握部41は、空港内における車外センサ31の位置及び検出部32の検出結果から、空港内における高速車両Vの位置を把握する。
【0061】
この構成によれば、空港内に設けられた複数の検出装置11はそれぞれ、検出通路Rdに存在する物体を検出する検出部32を有している。このため、車両センサ21の検出範囲A21に死角が生じたとしても、把握部41は、検出部32の検出結果を利用することによって、死角となる範囲における障害物の有無を把握することができる。したがって、トーイングトラクタTの周辺における障害物の有無を確実に把握できる。
【0062】
また、検出部32は、物体の種類として高速車両Vを判別可能である。このため、把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における高速車両Vの位置を把握することができる。したがって、空港内におけるトーイングトラクタTと高速車両Vとの位置関係を把握できる。
【0063】
(2)車両運行支援システム10は、トーイングトラクタTの走行を制御する車両制御部13を備えている。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。例えば、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置から、トーイングトラクタTが路側帯Rsに停車している高速車両Vに対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度を減速させる。これにより、トーイングトラクタTが高速車両Vに接触するリスクを低減できる。また、高速車両Vは、路側帯Rsから運行通路Rv0への合流をスムーズに行うことができる。その結果、高速車両Vの定刻運行が実現しやすくなる。
【0064】
(3)車両運行支援システム10は、トーイングトラクタTの走行を制御する車両制御部13を備えている。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。例えば、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置から、トーイングトラクタTが路側帯Rsに近い方の車線である第1車線Rv1を走行していること、及びトーイングトラクタTが路側帯Rsに停車している高速車両Vに対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行車線として路側帯Rsから離れた方の車線である第2車線Rv2を選択することによって、トーイングトラクタTを車線変更させる。これにより、トーイングトラクタTと高速車両Vとの距離を確保しやすくなる。また、高速車両Vは、路側帯Rsから運行通路Rv0への合流をスムーズに行うことができる。その結果、高速車両Vの定刻運行が実現しやすくなる。
【0065】
(4)車両運行支援システム10は、車両センサ21を制御するセンサ制御部14を備えている。センサ制御部14は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、車両センサ21の検出範囲A21を設定する。例えば、センサ制御部14は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置から、トーイングトラクタTが路側帯Rsに停車している高速車両Vに対して接近していることを認識する。この場合、センサ制御部14は、車両センサ21の検出範囲A21を広げる。これにより、把握部41は、トーイングトラクタTの周辺における物体の有無を早期に把握できる。また、トーイングトラクタTが路側帯Rsに停車している高速車両Vに対して接近していないときの車両センサ21の検出範囲A21は、トーイングトラクタTが路側帯Rsに停車している高速車両Vに対して接近しているときの車両センサ21の検出範囲A21よりも狭い。このように、トーイングトラクタTの周辺に障害物が存在する可能性が低い状況においては、車両センサ21の検出範囲A21を狭めておくことにより、トーイングトラクタTの周辺の障害物の有無の把握に係る処理の負荷を軽減できる。
【0066】
(5)車両運行支援システム10は、トーイングトラクタTの走行を制御する車両制御部13を備えている。車外センサ31の検出範囲A31に横断歩道Cが含まれている検出装置11の検出部32は、物体の種類として人Pを判別可能である。把握部41は、空港内における車外センサ31の位置及び検出部32の検出結果から、空港内における人Pの位置を把握する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び人Pの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。
【0067】
この構成によれば、検出部32は、物体の種類として人Pも判別可能である。このため、把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における人Pの位置を把握することができる。したがって、空港内におけるトーイングトラクタTと人Pとの位置関係も把握できる。
【0068】
また、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び人Pの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定する。例えば、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び人Pの位置から、人Pが横断歩道C又は横断歩道Cの付近に存在しており、かつトーイングトラクタTが当該横断歩道Cに対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行速度をゼロに設定することによって、トーイングトラクタTを停止させる。これにより、トーイングトラクタTが人Pに接触するリスクを下げることができる。
【0069】
(6)車両運行支援システム10は、トーイングトラクタTの走行を制御する車両制御部13を備えている。検出部32は、物体の種類として工事車両Vcを判別可能である。把握部41は、空港内における車外センサ31の位置及び検出部32の検出結果から、空港内における工事車両Vcの位置を把握する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び工事車両Vcの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。
【0070】
この構成によれば、検出部32は、物体の種類として工事車両Vcも判別可能である。このため、把握部41は、検出部32の検出結果に基づいて、空港内における工事車両Vcの位置を把握することができる。したがって、空港内におけるトーイングトラクタTと工事車両Vcとの位置関係も把握できる。
【0071】
また、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び工事車両Vcの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択する。例えば、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び工事車両Vcの位置から、トーイングトラクタTが路側帯Rsに近い方の車線である第1車線Rv1を走行していること、及びトーイングトラクタTが第1車線Rv1に存在する工事車両Vcに対して接近するように走行していることを認識する。この場合、車両制御部13は、トーイングトラクタTの走行車線として路側帯Rsから離れた方の車線である第2車線Rv2を選択することによって、トーイングトラクタTを車線変更させる。これにより、トーイングトラクタTは、工事車両Vcを避けて走行することができる。その結果、トーイングトラクタTのスムーズな運行が可能になる。
【0072】
(7)各検出装置11の車外センサ31は、各トーイングトラクタTの車両センサ21よりも広範囲での検出可能なセンサである。これにより、トーイングトラクタTの使用台数が多い場合には、各トーイングトラクタTの車両センサ21を広範囲での検出が可能なセンサとするときよりも、トーイングトラクタTの周辺の障害物の有無を把握するためにかかるコストを抑えることができる。
【0073】
(8)複数の検出装置11は、隣り合う検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31の一部が重なり合うように設置されている。これにより、検出通路Rdにおける物体の検出漏れを抑制できる。
【0074】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0075】
○ 車両運行支援システム10は、車両制御部13を備えていなくてもよい。
○ 車両運行支援システム10は、センサ制御部14を備えていなくてもよい。
○ トーイングトラクタTは、トーイングトラクタTに搭乗する運転者によって有人運転されてもよい。この場合、トーイングトラクタTは、次のような構成であってもよい。
【0076】
図7に示すように、トーイングトラクタTは、ディスプレイ24を備えている。ディスプレイ24は、トーイングトラクタTの運転者が視認可能な位置に設けられている。車両側制御装置23は、ディスプレイ24の表示を制御する表示制御部15を有している。表示制御部15は、車両運行支援システム10の一部である。
【0077】
表示制御部15は、把握部41が把握したトーイングトラクタTの周辺の障害物をディスプレイ24に表示させる。これにより、トーイングトラクタTの運転者は、ディスプレイ24を確認することによって、トーイングトラクタTの周辺の障害物を認識しやすくなる。駐車車両Vsや構造物等によって、トーイングトラクタTの運転者の死角が生じる場合には特に効果的である。
【0078】
また、表示制御部15は、把握部41が把握した空港内におけるトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置を用いて、空港内のマップに対して自車両及び高速車両Vの位置を重畳表示してもよい。そして、表示制御部15は、自車両及び高速車両Vの位置が重畳表示された空港内のマップをディスプレイ24に表示させてもよい。これにより、トーイングトラクタTの運転者は、ディスプレイ24を確認することによって、自車両と高速車両Vとの位置関係を把握しやすくなる。したがって、トーイングトラクタTの運転者は、高速車両Vの運行を妨げないようにトーイングトラクタTを運転することが容易になる。
【0079】
なお、運転者は、トーイングトラクタTに搭乗せず、コントロール室からトーイングトラクタTを遠隔操作してもよい。この場合、ディスプレイ24及び表示制御部15は、コントロール室に設けられる。
【0080】
○
図8に示すように、管理装置50は、複数のトーイングトラクタTを統括的に管理してもよい。管理装置50は、上位制御装置51を備えている。上位制御装置51は、車両側制御装置23と同様の装置である。把握装置12は、管理装置50に設けられている。把握側通信部42は、検出装置11に加えてトーイングトラクタTに設けられた車両側通信部25とも通信可能である。また、車両制御部13及びセンサ制御部14は、上位制御装置51に設けられている。
【0081】
この場合、把握部41は、空港内におけるトーイングトラクタTの位置として、管理装置50が管理する複数のトーイングトラクタTの位置を把握する。
トーイングトラクタTは、車両側通信部25を介して車両センサ21の検出結果を管理装置50に送信する。管理装置50は、把握側通信部42を介して車両センサ21の検出結果をトーイングトラクタTから受信する。把握部41は、受信した車両センサ21の検出結果に基づいて、トーイングトラクタTの周辺における障害物の有無を把握する。
【0082】
車両制御部13は、把握部41の把握結果に基づいて、トーイングトラクタTの走行を制御する。車両制御部13は、例えば、把握部41が把握した複数のトーイングトラクタTの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定したり、トーイングトラクタTの走行車線を選択したりしてもよい。同様に、センサ制御部14は、把握部41の把握結果に基づいて、車両センサ21を制御する。センサ制御部14は、例えば、把握部41が把握した複数のトーイングトラクタTの位置に基づいて、車両センサ21の検出範囲A21を設定してもよい。
【0083】
管理装置50は、把握側通信部42を介して車両制御部13が設定したトーイングトラクタTの走行速度をトーイングトラクタTに送信する。トーイングトラクタTは、車両側通信部25を介して、車両制御部13が設定したトーイングトラクタTの走行速度を受信する。車両側制御装置23は、トーイングトラクタTの走行速度が設定された速度となるように駆動装置22を制御する。
【0084】
管理装置50は、把握側通信部42を介して車両制御部13が選択したトーイングトラクタTの走行車線をトーイングトラクタTに送信する。トーイングトラクタTは、車両側通信部25を介して、車両制御部13が選択したトーイングトラクタTの走行車線を受信する。車両側制御装置23は、トーイングトラクタTの走行車線が選択された車線となるように駆動装置22を制御する。
【0085】
管理装置50は、把握側通信部42を介してセンサ制御部14が設定した車両センサ21の検出範囲A21をトーイングトラクタTに送信する。トーイングトラクタTは、車両側通信部25を介して、センサ制御部14が設定した車両センサ21の検出範囲A21を受信する。車両側制御装置23は、車両センサ21の検出範囲A21が設定された範囲となるように車両センサ21を制御する。
【0086】
なお、車両制御部13は、上位制御装置51ではなく、車両側制御装置23に設けられていてもよい。同様に、センサ制御部14は、上位制御装置51ではなく、車両側制御装置23に設けられていてもよい。この場合、把握装置12は、把握側通信部42を介して把握部41の把握結果をトーイングトラクタTに送信する。トーイングトラクタTは、車両側通信部25を介して把握部41の把握結果を受信する。車両制御部13は、受信した把握部41の把握結果に基づいて、トーイングトラクタTの走行を制御する。センサ制御部14は、受信した把握部41の把握結果に基づいて、車両センサ21を制御する。
【0087】
○ 検出部32は、物体の種類として高速車両Vを判別可能であれば、人Pや工事車両Vcを判別可能でなくてもよい。
○ 検出部32は、高速車両V、人P、及び工事車両Vc以外の種類の物体を判別可能であってもよい。
【0088】
○ 検出部32は、車外センサ31の検出結果に基づいて、空港内の天候を検出してもよい。検出側通信部33は、検出部32の検出結果として空港内の天候を把握装置12に送信する。把握部41は、把握側通信部42が検出部32の検出結果を受信することによって、空港内の天候を把握する。車両制御部13は、把握部41が把握した空港内の天候に応じてトーイングトラクタTを運行させるか否かを判断してもよい。例えば、車両制御部13は、把握部41が把握した空港内の天候が雪や豪雨などの悪天候である場合、トーイングトラクタTの運行を中断させてもよい。
【0089】
○ 車両制御部13は、把握部41が把握したトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定しなくてもよい。
○ 車両制御部13は、把握部41が把握したトーイングトラクタT及び人Pの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行速度を設定しなくてもよい。
【0090】
○ 車両制御部13は、把握部41が把握したトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択しなくてもよい。
○ 車両制御部13は、把握部41が把握したトーイングトラクタT及び工事車両Vcの位置に基づいて、トーイングトラクタTの走行車線を選択しなくてもよい。
【0091】
○ センサ制御部14は、把握部41が把握したトーイングトラクタT及び高速車両Vの位置に基づいて、車両センサ21の検出範囲A21を設定しなくてもよい。
○ 車両センサ21は、LIDARに限定されない。把握部41が車両センサ21の検出結果に基づいてトーイングトラクタTの周辺の障害物の有無を把握可能であれば、車両センサ21は他の種類のセンサであってもよい。車両センサ21は、例えば、カメラであってもよい。
【0092】
○ 車外センサ31は、LIDARに限定されない。検出部32が車外センサ31の検出結果に基づいて空港内通路Raにおける物体の種類を判別可能であれば、車外センサ31は他の種類のセンサであってもよい。車外センサ31は、例えば、カメラであってもよい。
【0093】
○ 複数の検出装置11は、隣り合う検出装置11の車外センサ31の検出範囲A31の一部が重なり合うように配置されていなくてもよい。
○ 検出装置11は、検出通路Rd以外の通路にも設置されていてもよい。
【0094】
[付記]
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
[1]車両センサが搭載されたトーイングトラクタと、制限速度が前記トーイングトラクタの制限速度よりも速い速度に設定された車両である高速車両とが運行する空港において用いられる車両運行支援システムであって、空港内に設けられた複数の検出装置と、前記トーイングトラクタ又は前記トーイングトラクタの運行を管理する管理装置に設けられた把握装置と、を備え、前記検出装置は、前記トーイングトラクタ及び前記高速車両が運行する運行通路及び前記運行通路の両側に設けられた路側帯からなる検出通路が検出範囲に含まれるように設置された車外センサと、前記車外センサの検出結果に基づいて前記検出通路に存在する物体の種類及び前記車外センサの検出範囲における前記物体の位置を検出する検出部と、前記検出部の検出結果を前記把握装置に送信可能な検出側通信部と、を有し、前記把握装置は、前記空港内における前記トーイングトラクタの位置を把握するとともに前記車両センサの検出結果に基づいて前記トーイングトラクタの周辺の障害物の有無を把握する把握部と、前記検出側通信部から送信された前記検出部の検出結果を受信可能な把握側通信部と、を有し、前記検出部は、前記物体の種類として前記高速車両を判別可能であり、前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記高速車両の位置を把握することを特徴とする車両運行支援システム。
【0095】
[2]前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定する[1]に記載の運行支援システム。
【0096】
[3]前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行車線を選択する[1]又は[2]に記載の車両運行支援システム。
【0097】
[4]前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記車両センサを制御するセンサ制御部を備え、前記センサ制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記高速車両の位置に基づいて、前記車両センサの検出範囲を設定する[1]~[3]の何れか1つに記載の車両運行支援システム。
【0098】
[5]前記トーイングトラクタ又は前記管理装置に設けられ、前記トーイングトラクタの走行を制御する車両制御部を備え、前記車外センサの検出範囲に横断歩道が含まれている前記検出装置の前記検出部は、前記物体の種類として人を判別可能であり、前記把握部は、前記空港内における前記車外センサの位置及び前記検出部の検出結果から、前記空港内における前記人の位置を把握し、前記車両制御部は、前記把握部が把握した前記空港内における前記トーイングトラクタ及び前記人の位置に基づいて、前記トーイングトラクタの走行速度を設定する[1]~[4]の何れか1つに記載の車両運行支援システム。
【符号の説明】
【0099】
10…車両運行支援システム、11…検出装置、12…把握装置、13…車両制御部、14…センサ制御部、21…車両センサ、31…車外センサ、32…検出部、33…検出側通信部、41…把握部、42…把握側通信部、50…管理装置、A21…(車両センサの)検出範囲、A31…(車外センサの)検出範囲、C…横断歩道、P…人、Rd…検出通路、Rs…路側帯、Rv0…運行通路、T…トーイングトラクタ、V…高速車両。