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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074128
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】車両用乗員保護システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20240523BHJP
   B60R 11/04 20060101ALI20240523BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20240523BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240523BHJP
【FI】
G08B21/24
B60R11/04
G08B21/00 U
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185217
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄生
(72)【発明者】
【氏名】田岡 巧
(72)【発明者】
【氏名】橋本 龍司
(72)【発明者】
【氏名】三上 優樹
(72)【発明者】
【氏名】河村 知史
(72)【発明者】
【氏名】野倉 邦裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 祥宜
【テーマコード(参考)】
3D020
5C086
5C122
【Fターム(参考)】
3D020BA20
3D020BB02
3D020BC01
3D020BD05
3D020BE03
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA25
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA17
5C122DA14
5C122FH11
5C122HB01
5C122HB09
(57)【要約】
【課題】運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下において、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員の場所移動に関する注意喚起を行う。
【解決手段】車両用乗員保護システム10は、乗員を輸送する車両12に搭載される。車両用乗員保護システム10は、乗員の画像を含む画像情報と車両12の運転情報とを取得する制御部20を備える。制御部20は、画像情報に基づいて、乗員の場所移動に関連する動作である乗員動作を検出し、運転情報に基づいて、運転手による車両12の運転を優先させる度合いである運転優先度を検出し、乗員動作を検出したことを実行条件として、通知を運転手に行う表示部31と通知を運転手以外に行う音声通知部32とを用いて通知する第1通知処理を行い、前記実行条件が成立し前記運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、第1通知処理にかえて、表示部31を用いず且つ音声通知部32を用いて通知する第2通知処理を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員を輸送する車両に搭載される車両用乗員保護システムであって、
前記乗員の画像を含む画像情報と前記車両の運転情報とを取得する制御部を備え、
前記制御部は、
前記画像情報に基づいて、前記乗員の場所移動に関連する動作である乗員動作を検出し、
前記運転情報に基づいて、運転手による前記車両の運転を優先させる度合いである運転優先度を検出し、
前記乗員動作を検出したことを実行条件として、前記乗員の場所移動に関する注意喚起のための通知を前記運転手に行う第1通知手段と前記通知を前記運転手以外に行う第2通知手段とを用いて通知する第1通知処理を行い、
前記実行条件が成立し且つ前記運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、前記第1通知処理にかえて、前記第1通知手段を用いず且つ前記第2通知手段を用いて通知する第2通知処理を行う、車両用乗員保護システム。
【請求項2】
前記乗員動作は、前記運転手への前記通知を優先させる度合いである通知優先度が他の前記乗員動作よりも高い第1乗員動作を含み、
前記制御部は、検出した前記乗員動作が前記第1乗員動作である場合に、前記運転優先度によらず前記第1通知処理を行う、請求項1に記載の車両用乗員保護システム。
【請求項3】
前記第1通知手段は、画面表示によって前記通知を前記運転手に行い、
前記第2通知手段は、音声によって前記通知を前記運転手以外に行う、請求項1又は請求項2に記載の車両用乗員保護システム。
【請求項4】
前記乗員動作は、前記運転手への前記通知を優先させる度合いである通知優先度が他の前記乗員動作よりも高い第1乗員動作と、第2乗員動作と、を含み、
前記第2乗員動作は、前記通知優先度が前記第1乗員動作よりも低く、且つ前記第1乗員動作及び前記第2乗員動作以外の前記乗員動作よりも高く、
前記制御部は、
検出した前記乗員動作が前記第1乗員動作である場合に、前記運転優先度によらず前記第1通知処理を行い、
前記実行条件が成立し且つ前記運転優先度が前記所定優先度よりも高い場合に、検出した前記乗員動作が前記第2乗員動作であるときは、前記第2通知処理にかえて、振動によって前記運転手に通知する第3通知手段と前記第2通知手段とを用いて通知する第3通知処理を行う、請求項3に記載の車両用乗員保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用乗員保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乗員を輸送する車両に搭載される車両用乗員保護システムが開示されている。この車両用乗員保護システムは、画像情報等に基づいて乗員が転倒するおそれを判定するとともに、判定結果に応じて通知を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-62414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用乗員保護システムにおいては、通知を行うことによって乗員の転倒を抑制できる一方で、次の問題が生じるおそれがある。すなわち、例えば、車両の運転状態によっては、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況がある。そうした運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下で、運転手に向けて上記の通知が行われると、通知に運転手の意識が向くことによって、運転手の意識を運転操作に十分に集中させることができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための車両用乗員保護システムの各態様を記載する。
[態様1]乗員を輸送する車両に搭載される車両用乗員保護システムであって、前記乗員の画像を含む画像情報と前記車両の運転情報とを取得する制御部を備え、前記制御部は、前記画像情報に基づいて、前記乗員の場所移動に関連する動作である乗員動作を検出し、前記運転情報に基づいて、運転手による前記車両の運転を優先させる度合いである運転優先度を検出し、前記乗員動作を検出したことを実行条件として、前記乗員の場所移動に関する注意喚起のための通知を前記運転手に行う第1通知手段と前記通知を前記運転手以外に行う第2通知手段とを用いて通知する第1通知処理を行い、前記実行条件が成立し且つ前記運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、前記第1通知処理にかえて、前記第1通知手段を用いず且つ前記第2通知手段を用いて通知する第2通知処理を行う、車両用乗員保護システム。
【0006】
上記構成によれば、運転手による車両の運転を優先させる度合いである運転優先度が比較的高い場合には、第2通知処理が行われることにより、運転優先度が比較的低い場合と比較して、第1通知手段による通知が省略される分だけ、通知に運転手の意識が向きにくくなる。第2通知処理において、第2通知手段を用いて通知されるため、乗員の場所移動に関する注意喚起を行える。したがって、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下において、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員の場所移動に関する注意喚起を行える。
【0007】
[態様2]前記乗員動作は、前記運転手への前記通知を優先させる度合いである通知優先度が他の前記乗員動作よりも高い第1乗員動作を含み、前記制御部は、検出した前記乗員動作が前記第1乗員動作である場合に、前記運転優先度によらず前記第1通知処理を行う、[態様1]に記載の車両用乗員保護システム。
【0008】
上記構成によれば、他の乗員動作よりも乗員の場所移動に関する注意喚起を強く行うべき乗員動作が検出される場合、他の乗員動作よりも運転手への通知を優先して行うことが好ましい。こうした乗員動作を、運転手への通知を優先させる度合いである通知優先度が他の乗員動作よりも高い第1乗員動作であるとして、検出された乗員動作が第1乗員動作である場合に、運転優先度によらず第1通知処理が行われる。これにより、検出された乗員動作が第1乗員動作である場合に、第1通知手段と第2通知手段とを用いて通知を行える。したがって、乗員の場所移動に関する注意喚起を強く行うべき状況下で、そうした注意喚起をより強く行える。
【0009】
[態様3]前記第1通知手段は、画面表示によって前記通知を前記運転手に行い、前記第2通知手段は、音声によって前記通知を前記運転手以外に行う、[態様1]又は[態様2]に記載の車両用乗員保護システム。
【0010】
上記構成によれば、第1通知手段を用いて運転手への通知がなされる場合、画面表示を確認するために運転手は視線を移動させる必要があるため、第2通知手段を用いた通知と比較して、通知に運転手の意識が向きやすくなる。したがって、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下に第2通知処理を行うことで、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員の場所移動に関する注意喚起を行えるといった効果が好適に発揮される。
【0011】
[態様4]前記乗員動作は、前記運転手への前記通知を優先させる度合いである通知優先度が他の前記乗員動作よりも高い第1乗員動作と、第2乗員動作と、を含み、前記第2乗員動作は、前記通知優先度が前記第1乗員動作よりも低く、且つ前記第1乗員動作及び前記第2乗員動作以外の前記乗員動作よりも高く、前記制御部は、検出した前記乗員動作が前記第1乗員動作である場合に、前記運転優先度によらず前記第1通知処理を行い、前記実行条件が成立し且つ前記運転優先度が前記所定優先度よりも高い場合に、検出した前記乗員動作が前記第2乗員動作であるときは、前記第2通知処理にかえて、振動によって前記運転手に通知する第3通知手段と前記第2通知手段とを用いて通知する第3通知処理を行う、[態様3]に記載の車両用乗員保護システム。
【0012】
上記構成によれば、第3通知処理においては、第2通知処理よりも、第3通知手段による通知が増える。第3通知手段を用いて運転手への通知がなされる場合、第1通知手段のように通知の確認のために運転手が視線を移動させる必要がないため、第1通知手段を用いて運転手への通知がなされる場合よりも、通知に運転手の意識が向きにくい。第2通知処理が行われる場合、第3通知処理から第3通知手段を用いた通知が省略されるため、第3通知処理が行われる場合よりも、通知に運転手の意識が向きにくい。そのため、第1通知処理、第3通知処理、及び第2通知処理と、通知優先度が低くなるにつれて、通知に運転手の意識が向きにくくなるように通知に用いる通知手段が切り替えられる。したがって、通知優先度に応じて、段階的に乗員の場所移動に関する注意喚起を強められる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下において、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員の場所移動に関する注意喚起を行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】車両用乗員保護システムを示す模式図である。
図2】乗員による初期動作を示す模式図である。
図3】乗員による準備動作を示す模式図である。
図4】乗員による直前動作を示す模式図である。
図5】乗員による移動動作を示す模式図である。
図6】通知処理に用いられる制御テーブルの構成図である。
図7】制御部が行う制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、車両用乗員保護システムを具体化した実施形態を図面にしたがって説明する。
<車両用乗員保護システムの概要>
図1及び図2に示すように、車両用乗員保護システム10は、乗員11を輸送する車両12に搭載される。車両12は、乗合型の交通機関であってもよいし、自家用乗用車であってもよい。すなわち、車両用乗員保護システム10が搭載される車両12としては、バス、電車、及び自家用車両等の各種車両を採用可能である。車両用乗員保護システム10は、車両12に乗車している乗員11の安全を図るためのものである。
【0016】
車両用乗員保護システム10は、乗員情報取得部13及び通知装置30を備える。乗員情報取得部13は、例えばカメラである。乗員情報取得部13は、乗員11の画像を含む画像情報を取得する。例えば、乗員情報取得部13は、車両12に乗車している乗員11と、車両12内と、を撮像することにより画像情報を取得する。乗員情報取得部13は、画像情報を繰り返し取得する。例えば、乗員情報取得部13は、画像情報の取得を所定の周期で繰り返し行ってもよい。
【0017】
乗員情報取得部13は、例えば、車両12内のドア付近、運転席の真後ろの座席16の付近、及び車両12の後部に位置する座席16である後部座席の付近に配置される。これらの位置において、乗員情報取得部13は、乗員11、乗員11の手荷物、及び車両12の内装品を撮像する。乗員情報取得部13は、乗員11のうち、乗員11の顔面11a及び四肢11bを撮像する。なお、乗員11の手荷物とは、鞄、上着、及び携帯端末等、乗員11が車両12内に持ち込んだ荷物である。内装品とは、車両12内に配置される座席16及び手すり等である。
【0018】
乗員情報取得部13が撮像する画像情報は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。乗員情報取得部13は、車両12に乗車している全ての乗員11を撮像してもよいし、全ての乗員11のうちの一部の乗員11を撮像してもよい。乗員情報取得部13は、車両12に乗車している全ての乗員11の手荷物を撮像してもよいし、全ての乗員11のうちの一部の乗員11の手荷物を撮像してもよい。
【0019】
乗員情報取得部13が乗員11の脚11dを撮像する場合には、乗員情報取得部13は乗員11の重心の変化が含まれる画像情報を取得できる。乗員情報取得部13が乗員11の手11cを撮像する場合には、乗員情報取得部13は移動以外の乗員11の動作の変化が含まれる画像情報を取得できる。移動以外の乗員11の動作の変化とは、例えば、乗員11による携帯端末の操作の開始または中止、手荷物の整理等である。乗員情報取得部13が乗員11の顔面11aを撮像する場合には、乗員情報取得部13は乗員11の口元や目元の変化が含まれる画像情報を取得できる。乗員11の口元の変化とは、例えば乗員11の会話の開始または中止である。乗員11の目元の変化とは、例えば乗員11の視線の動きである。
【0020】
特に、車両12がバスである場合、車両12内のドア付近に段差がある場合が多いため、車両12内のドア付近は乗員11が転倒し易い場所である。座席16が運転席の真後ろにある場合、座席16は車両12における前輪の真上に位置する場合が多い。座席16が前輪の真上に位置する場合、その座席16は他の座席16に比べて高い位置にある場合が多いために、乗員11が転倒し易い場所である。車両12がバスである場合には、運転席の近くのドアが出口となっている場合がある。この場合には、車両12の走行中であっても出口付近である運転席の真後ろの座席16の付近に乗員11が移動してくる場合があるため、運転席の真後ろの座席16の付近は、乗員11が転倒し易い場所となる。車両12がバスである場合であって、運転席近くのドアが出口となっている場合には、後部座席は出口から遠い位置にある。この場合、後部座席に着座していた乗員11が、車両12の停車前に出口に移動すべく、後部座席から立ち上がることが予想される。これにより、後部座席付近もまた、乗員11が転倒し易い場所である。車両12内のドア付近、運転席の真後ろの座席16の付近、及び後部座席付近に配置された乗員情報取得部13によって撮像されることにより、上記の乗員11が転倒し易い場所を撮像できる。
【0021】
通知装置30は、表示部31、音声通知部32、及び振動部33を備える。表示部31は、画面表示によって通知を運転手に行うものである。表示部31が行う通知とは、乗員11の場所移動に関する注意喚起のための通知である。例えば、表示部31は、運転席の付近に設けられたディスプレイに表示させることで通知する。表示部31は、画面表示を目視することで表示部31による通知を認識できる。表示部31は、画面表示によって通知を運転手に行う第1通知手段に相当する。
【0022】
なお、通知を運転手に行う第1通知手段とは、運転手が認識可能な方法で運転手に通知するものである。例えば、本実施形態のように表示部31が第1通知手段に相当する場合、表示部31は、ディスプレイの輝度が運転手の視認可能な度合いに設定されたり、ディスプレイのバックライトが点灯されたりして、運転手が視認可能な方法で通知を行う。そのため、仮に運転手が視認できない度合いに輝度が設定されたり、バックライトが消灯されたりして、運転手が視認困難な状態のディスプレイ等は、運転手が通知を認識困難であるため、通知を運転手に行う第1通知手段に相当しない。
【0023】
音声通知部32は、音声によって通知を運転手以外に行うものである。音声通知部32が行う通知とは、乗員11の場所移動に関する注意喚起のための通知である。音声通知部32は、例えば、車両12内に音声で通知することで、乗員11に通知する。音声通知部32は、例えば、車両12内の運転席よりも後方に設けられてもよい。音声通知部32は、音声によって通知を運転手以外に行う第2通知手段に相当する。
【0024】
振動部33は、振動によって運転手に通知するものである。振動部33は、例えば、運転席を振動させたり、ハンドルを振動させたりすることによって、運転手に振動を伝えるものであってもよい。振動部33は、振動によって運転手に通知する第3通知手段に相当する。
【0025】
車両12は、車両12の運転情報を検出する各種センサを備えている。これらセンサの検出結果に応じた信号が、制御部20に入力される。各種センサとしては、例えば、シフト位置センサ41、車速センサ42、車外照度センサ43、方向指示センサ44、ステアリングセンサ45、加速度センサ46、及び赤外線センサ47等が挙げられる。
【0026】
シフト位置センサ41は、運転手によって操作されるシフトレバーの操作位置を検出する。車速センサ42は、車両12の速度を検出する。車外照度センサ43は、車両12外の明るさを車外照度として検出する。方向指示センサ44は、運転手によって操作される方向指示器の操作方向を検出する。方向指示器は、例えば車両12の右折や左折に際して運転手が操作する。ステアリングセンサ45は、車両12のステアリングホイールの操舵角に基づいて運転手によるハンドルの回転量を検出する。加速度センサ46は、車両12の加速度を検出する。赤外線センサ47は、送信した赤外線と受信した赤外線とに基づいて、自車と自車の周りの走行車との車間距離や相対速度を測定する。これにより、赤外線センサ47は、自車の周りの走行車による自車の追越しや、自車と自車の前方の走行車との車間距離が短いことなど、車両12の運転手に警告する車両警告にかかる検出を行う。
【0027】
<制御部>
図1に示すように、車両用乗員保護システム10は、制御部20を備える。制御部20は、例えば、プロセッサ23と、記憶部24と、を備える。記憶部24は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部24は、処理をプロセッサ23に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。記憶部24、即ち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御部20は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御部20は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ23、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。制御部20は、車両用乗員保護システム10の専用のものであってもよいし、車両12のECU(Electronic Control Unit)と兼用してもよい。
【0028】
制御部20は、乗員情報取得部13及び通知装置30と電気的に接続されている。制御部20は通知装置30を制御可能である。制御部20は、乗員情報取得部13から画像情報を受信するとともに、上記の各種センサから車両12の運転情報を受信する。これにより、制御部20は、乗員11の画像を含む画像情報と車両12の運転情報とを取得する。
【0029】
<乗員動作解析処理>
制御部20は、乗員情報取得部13から取得した画像情報に基づいて、乗員動作解析処理を行う。乗員動作解析処理において、制御部20は、画像情報から乗員11が場所移動に関連する動作を行っているか否かを解析する。こうした乗員動作解析処理により、制御部20は、画像情報に基づいて、乗員11の場所移動に関連する動作である乗員動作を検出する。
【0030】
<乗員動作および通知優先度>
乗員動作には、例えば、初期動作、準備動作、直前動作、及び移動動作が含まれる。移動動作は、乗員11が場所を移動しているときに乗員11が行う動作である。初期動作、準備動作、及び直前動作は、乗員11の場所移動の開始前に乗員11が行う動作である。初期動作、準備動作、及び直前動作の順で、乗員11が場所移動する可能性が高まる。そのため、乗員動作は、初期動作、準備動作、直前動作、及び移動動作の順で、乗員11の転倒のおそれが高まる。
【0031】
上記の乗員11の転倒のおそれの高低に対応するように、各動作の通知優先度が設定されている。すなわち、通知優先度は、初期動作、準備動作、直前動作、及び移動動作の順で高くなるように設定されている。通知優先度は、運転手への通知を優先させる度合いである。本実施形態における移動動作は、第1乗員動作に相当する。本実施形態における直前動作は、第2乗員動作に相当する。本実施形態の乗員動作は、通知優先度が他の乗員動作よりも高い第1乗員動作を含む。本実施形態の乗員動作は、第2乗員動作を含む。本実施形態における第2乗員動作は、通知優先度が第1乗員動作よりも低く、且つ第1乗員動作及び第2乗員動作以外の乗員動作よりも高い。
【0032】
以下、乗員動作に含まれる各動作について、さらに詳しく説明する。
<初期動作>
図2に示すように、初期動作は、場所を移動する意思を示す乗員11の動作である。乗員11が座っている場合の初期動作としては、以下の(1-a)~(1-h)が挙げられる。
【0033】
(1-a)車両12の進行方向に視線を移す。
(1-b)車窓に視線を移す。
(1-c)車両12の掲示装置に視線を移す。
【0034】
(1-d)自分の進行方向に視線を移す。
(1-e)自分の足元に視線を移す。
(1-f)会話を止める。
【0035】
(1-g)携帯端末の使用を中止する。
(1-h)手荷物を片付ける。
車両12が乗合型の交通機関である場合、座っている乗員11が場所を移動するのは、乗員11が車両12から降りる場面に多い。このため、上記(1-a)~(1-h)に挙げた動作は、乗員11が車両12から降りようとする意思を示す乗員11の動作でもある。
【0036】
具体的には、例えば乗員11が車両12を降りる前には、目的地が近いか否かを確認するために、上記(1-a)、(1-b)、及び(1-c)のうちの少なくとも1つの動作を乗員11が行う場合が多い。なお、上記(1-c)での「車両12の掲示装置」とは、例えば、車両12の行先、料金、及び次の停車駅等が表示される電光掲示板やディスプレイ等である。
【0037】
例えば乗員11が車両12を降りる前には、車両12のドアまでの経路が確保されているか否かを確認するために、上記(1-d)及び(1-e)のうちの少なくとも一方の動作を乗員11が行う場合が多い。さらに、同乗者と会話していた乗員11は、車両12を降りる前に上記(1-f)の動作を行う場合が多い。携帯端末を使用していた乗員11は、車両12を降りる前に上記(1-g)の動作を行う場合が多い。なお、上記(1-g)での「携帯端末の使用を中止する」には、携帯端末を画面ロックまたはスリープ状態とする動作、携帯端末の画面から目を離したあとに所定期間だけ放置する動作、及び携帯端末を鞄や上着のポケット等に片付ける動作などが含まれる。上記(1-h)での「手荷物を片付ける」には、携帯端末や本、飲料等の手荷物を鞄にしまう動作や、それまで網棚や足元等に置いていた手荷物を手元に移動させる動作等が含まれる。
【0038】
乗員11が立っている場合の初期動作としては、上記(1-a)~(1-h)に挙げた動作に加えて、以下の(A-a)及び(A-b)が挙げられる。
(A-a)空席に視線を移す。
【0039】
(A-b)通路を見回す。
例えば、乗員11が立った状態から座るために場所を移動しようとする場合には、上記(A-a)及び(A-b)のうち、少なくとも一方の動作を行う場合が多い。上記(A-a)及び(A-b)は、乗員11が自分の移動先を確認する動作でもある。
【0040】
<準備動作>
図3に示すように、準備動作は、場所の移動を準備する乗員11の動作である。乗員11が座っている場合の準備動作としては、以下の(2-a)~(2-c)が挙げられる。
【0041】
(2-a)膝に手11cを置く。
(2-b)座席16に手11cを置く。
(2-c)手すり又はつり革に手11cをかける。
【0042】
座っている乗員11は、立ち上がる動作を行うに際して、上記(2-a)~(2-c)のように自分の手11cを動かす場合が多い。このため、上記(2-a)~(2-c)に挙げた準備動作は、乗員11が座った状態から立ち上がるための準備をする乗員11の動作でもある。
【0043】
乗員11が立っている場合の準備動作としては、以下の(B-a)~(B-d)が挙げられる。
(B-a)手すり又はつり革から手11cを離す。
【0044】
(B-b)手すり又はつり革に手11cをかける。
(B-c)座席16の背もたれ16aに手11cを置く。
(B-d)座席16のアームレストに手11cを置く。
【0045】
例えば、乗員11が立っている状態から場所を移動しようとする場合には、以下(B-a)~(B-d)のうち、少なくとも1つの動作を行う場合が多い。このため、上記(B-a)~(B-d)に挙げた準備動作は、乗員11が立った状態から場所を移動するための準備をする乗員11の動作でもある。
【0046】
<直前動作>
図4に示すように、直前動作は、場所を移動する直前に乗員11が行う動作である。乗員11が座っている場合の直前動作としては、以下の(3-a)~(3-c)が挙げられる。
【0047】
(3-a)座席16から腰11eを浮かす。
(3-b)座席16の背もたれ16aから背中11fを離す。
(3-c)脚11dを前後にずらす。
【0048】
車両12から降りるために座っている状態から立ち上ろうとする乗員11は、上記(3-a)~(3-c)のうちの少なくとも1つの動作を行うことにより、自分の重心を移動させようとする場合が多い。このため、上記(3-a)~(3-c)に挙げた直前動作は、乗員11が座った状態から立ち上がる直前の乗員11の動作でもある。
【0049】
乗員11が立っている場合の直前動作としては、以下の(C-a)が挙げられる。
(C-a)体11gの向きを変える。
上記(C-a)は、上記(3-a)~(3-c)と同様に、乗員11が自分の重心を移動させるために行う動作でもある。上記(C-a)は、立った状態のままで場所を移動する直前に乗員11が行う動作でもある。上記(C-a)は、立った状態から座るために場所を移動する直前に乗員11が行う動作でもある。
【0050】
<移動動作>
図5に示すように、移動動作は、座っていた乗員11が座席16から立ち上がった後、場所を移動しているときの乗員11の動作である。移動動作は、立った状態のままで場所を移動しているときの乗員11の動作である。そのため、移動動作は、他の乗員動作よりも乗員11の転倒のおそれが高い動作である。
【0051】
<運転優先度解析処理>
制御部20は、各種センサから取得した車両12の運転情報に基づいて、運転優先度解析処理を行う。運転優先度解析処理において、制御部20は、車両12の運転情報に基づいて、運転手による車両12の運転を優先させる度合いである運転優先度を検出する。
【0052】
<車両の運転情報>
図6に示すように、上記の車両12の運転情報としては、以下の(4-a)~(4-j)が挙げられる。
【0053】
(4-a)車両12が停車中であり、シフトレバーの操作位置がパーキングにある。
(4-b)車両12の車速が0(ゼロ)kmである。
(4-c)車両12が等速で走行中である。
【0054】
(4-d)車外照度が所定照度よりも低い。
(4-e)方向指示器が操作されている。
(4-f)ハンドルの回転量が「中」である。
【0055】
(4-g)車両12が加減速中である。
(4-h)ハンドルの回転量が「大」である。
(4-i)車両12が急な加減速中である。
【0056】
(4-j)車両警告にかかる検出がある。
なお、上記(4-d)での所定照度とは、車外照度が所定照度より低い場合に運転手によって車外が見えづらい状況にあると判断できる値であり、予め設定された設定値である。上記(4-f)でのハンドルの回転量が「中」であるときとは、上記(4-h)でのハンドルの回転量が「大」であるときよりも小さい回転量でハンドルが操作されていることを意味する。上記(4-i)での車両12が急な加減速中であるときとは、上記(4-g)での車両12が加減速中であるときよりも短時間で車両12が加速又は減速していることを意味する。
【0057】
制御部20は、車両12の運転情報として上記(4-a)を取得した場合、運転優先度として「無」を検出する。制御部20は、車両12の運転情報として上記(4-b)及び(4-c)のいずれかを取得した場合、運転優先度として「低」を検出する。制御部20は、車両12の運転情報として上記(4-d)~(4-g)のうちで少なくとも1つを取得した場合、運転優先度として「中」を検出する。制御部20は、車両12の運転情報として上記(4-h)~(4-j)のうちで少なくとも1つを取得した場合、運転優先度として「高」を検出する。これら運転優先度は、「無」、「低」、「中」、及び「高」の順で高い関係にある。このように制御部20は、運転優先度解析処理において、運転優先度が「無」、「低」、「中」、及び「高」のいずれであるかを検出する。
【0058】
なお、運転優先度の異なる2つ以上の運転情報を制御部20が取得する場合がある。例えば、右折または左折をすべく運転手がハンドルを大きく回転させた場合、上記(4-e)と上記(4-h)との両方を車両12の運転情報として制御部20は取得する。こうして運転優先度の異なる2つ以上の運転情報を制御部20が取得した場合、制御部20は、運転優先度として最も高いものを検出する。上記の(4-e)と(4-h)との両方を車両12の運転情報として制御部20が取得する場合、制御部20は運転優先度として「高」を検出する。
【0059】
<通知処理>
図1及び図6に示すように、制御部20は、乗員動作を検出したことを実行条件として通知処理を行う。通知処理において、制御部20は、図6に示す制御テーブルに沿って通知を行う。具体的には、通知処理において、制御部20は、乗員動作と運転優先度とに基づいて、通知装置30のうちで通知に用いる通知手段を選択する。通知処理において、制御部20は、選択された通知手段を用いて通知を行う。なお、図6に示す制御テーブルは、記憶部24に予め記憶されている。
【0060】
図6に示す制御テーブルにおいて、「表示+音声」は、表示部31及び音声通知部32を用いて通知することを意味する。この処理を、以下では第1通知処理という。すなわち、第1通知処理において、制御部20は、乗員11の場所移動に関する注意喚起のための通知を運転手に行う第1通知手段としての表示部31と、上記通知を運転手以外に行う第2通知手段としての音声通知部32と、を用いて通知する。
【0061】
図6に示す制御テーブルにおいて、「音声」は、音声通知部32を用いて通知することを意味する。この処理を、以下では第2通知処理という。すなわち、第2通知処理において、制御部20は、第1通知手段としての表示部31を用いず且つ第2通知手段としての音声通知部32を用いて通知する。
【0062】
図6に示す制御テーブルにおいて、「振動+音声」は、振動部33及び音声通知部32を用いて通知することを意味する。この処理を、以下では第3通知処理という。すなわち、第3通知処理において、制御部20は、第3通知手段としての振動部33と第2通知手段としての音声通知部32とを用いて通知する。
【0063】
表示部31を用いた通知を行う場合、制御部20は、表示部31に画面表示による運転手への通知を行わせる。音声通知部32を用いた通知を行う場合、制御部20は、音声通知部32に音声による通知を行わせる。振動部33を用いた通知を行う場合、制御部20は、振動部33に、振動による運転手への通知を行わせる。通知処理において、乗員11に通知される内容は、例えば、乗員11に転倒への注意を促す内容である。通知処理において、運転手に通知される内容は、例えば、乗員11に転倒のおそれがある旨の内容である。
【0064】
本実施形態において、制御部20は、第1通知処理、第2通知処理、及び第3通知処理のいずれか1つの処理を実行することにより通知処理を行う。なお、異なる2つの乗員動作が続いて検出されることにより、第1通知処理、第2通知処理、及び第3通知処理のうち、1つの通知処理の実行中にそれ以外の1つの通知処理が開始される場合がある。この場合は、実行中の通知処理に際して検出された乗員動作と、開始されようとしている通知処理に際して検出された乗員動作と、を比較して、乗員動作の通知優先度が高い方の通知処理を優先して行わせてもよい。この場合、優先させた通知処理の実行完了後に、後回しにした通知処理を行ってもよい。後回しにした通知処理が途中まで行われていた場合、途中から通知処理を開始してもよいし、初めから通知処理を再開させてもよい。
【0065】
検出された乗員動作が初期動作、準備動作、及び直前動作のうちのいずれか1つであって、かつ検出された運転優先度が「無」であるとき、制御部20は第1通知処理を行う。検出された乗員動作が準備動作および直前動作のいずれか一方であって、かつ検出された運転優先度が「低」であるとき、制御部20は第1通知処理を行う。こうして制御部20は、乗員動作を検出したことを実行条件として、第1通知処理を行う。なお、乗員動作が初期動作であって且つ検出された運転優先度が「低」である場合、例外的に、制御部20は、車両12の運転情報が上記(4-b)であるときは第1通知処理を行い、車両12の運転情報が上記(4-c)であるときは第2通知処理を行う。
【0066】
検出された乗員動作が初期動作および準備動作のいずれか一方であって、かつ検出された運転優先度が「中」および「高」のいずれか一方であるとき、制御部20は第2通知処理を行う。こうして制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、第1通知処理にかえて、第2通知処理を行う。なお、本実施形態の所定優先度とは、「低」の運転優先度である。
【0067】
制御部20は、検出した乗員動作が第1乗員動作としての移動動作である場合に、運転優先度によらず第1通知処理を行う。また、検出された乗員動作が直前動作であって、かつ検出された運転優先度が「中」および「高」のいずれか一方であるとき、制御部20は第3通知処理を行う。こうして制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、検出した乗員動作が第2乗員動作としての直前動作であるときは、第2通知処理にかえて、第3通知処理を行う。
【0068】
<制御部が行う制御の一例>
制御部20が行う制御の一例について以下に説明する。制御部20は、以下の制御を所定の制御周期で繰り返し実行する。
【0069】
図7に示すように、まず制御部20は、画像情報を取得するとともに車両12の運転情報を取得する(ステップS110)。続いて、制御部20は、乗員動作解析処理を行う(ステップS120)。制御部20は、乗員動作解析処理によって乗員動作を検出したか否かを判断する(ステップS130)。乗員動作を検出していないと判断すると(ステップS130:NO)、制御部20は、ステップS110~ステップS130の処理を再び行う。乗員動作を検出したと判断すると(ステップS130:YES)、制御部20は、運転優先度解析処理を行う(ステップS140)。その後、制御部20は、通知処理を行ってから(ステップS150)、本処理を終了させる。
【0070】
[実施形態の作用]
次に、実施形態の作用について説明する。
通知処理を行う際、制御部20は、運転優先度に応じて用いる通知手段を異ならせる。例えば、検出された乗員動作が準備動作であって、かつ運転優先度が「無」又は「低」であるとき、制御部20は、第1通知処理を行う。第1通知処理において、制御部20は、表示部31及び音声通知部32を用いて通知する。検出された乗員動作が準備動作であって、かつ運転優先度が「中」又は「高」であるとき、制御部20は第2通知処理を行う。第2通知処理において、制御部20は、音声通知部32を用いて通知する。そのため、運転優先度が比較的低い場合は、運転優先度が比較的高い場合よりも、多くの通知手段を用いて通知が行われる。多くの通知手段を用いた通知によって、乗員11の転倒に関する注意喚起をより強く行える。また、運転優先度が比較的高い場合は、運転優先度が比較的低い場合から、表示部31による運転手への通知が省略される。そのため、表示部31による通知が行われない分だけ、通知に運転手の意識が向きにくくなる。運転手の意識を運転操作に集中させつつ、音声通知部32を用いた通知によって乗員11の転倒に関する注意喚起を行える。
【0071】
[実施形態の効果]
実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)制御部20は、乗員動作を検出したことを実行条件として、通知を運転手に行う第1通知手段としての表示部31と通知を運転手以外に行う第2通知手段としての音声通知部32とを用いて通知する第1通知処理を行う。制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、第1通知処理にかえて、表示部31を用いず且つ音声通知部32を用いて通知する第2通知処理を行う。そのため、運転手による車両12の運転を優先させる度合いである運転優先度が比較的高い場合には、第2通知処理が行われることにより、運転優先度が比較的低い場合と比較して、表示部31による通知が省略される分だけ、通知に運転手の意識が向きにくくなる。第2通知処理において、音声通知部32を用いて通知されるため、乗員11の場所移動に関する注意喚起を行える。したがって、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下において、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員11の場所移動に関する注意喚起を行える。
【0072】
(2)乗員動作は、通知優先度が他の乗員動作よりも高い第1乗員動作としての移動動作を含む。制御部20は、検出した乗員動作が移動動作である場合に、運転優先度によらず第1通知処理を行う。他の乗員動作よりも乗員11の場所移動に関する注意喚起を強く行うべき乗員動作が検出される場合、他の乗員動作よりも運転手への通知を優先して行うことが好ましい。こうした乗員動作を、運転手への通知を優先させる度合いである通知優先度が他の乗員動作よりも高い第1乗員動作であるとして、検出された乗員動作が第1乗員動作である場合に、運転優先度によらず第1通知処理が行われる。これにより、検出された乗員動作が第1乗員動作である場合に、第1通知手段としての表示部31と第2通知手段としての音声通知部32とを用いて通知を行える。したがって、乗員11の場所移動に関する注意喚起を強く行うべき状況下で、そうした注意喚起をより強く行える。
【0073】
(3)第1通知手段としての表示部31は、画面表示によって通知を運転手に行う。第2通知手段としての音声通知部32は、音声によって通知を運転手以外に行う。表示部31を用いて運転手への通知がなされる場合、画面表示を確認するために運転手は視線を移動させる必要があるため、音声通知部32を用いた通知と比較して、通知に運転手の意識が向きやすくなる。したがって、運転手の意識を運転操作に集中させるべき状況下に第2通知処理を行うことで、運転手の意識を運転操作に集中させつつ、乗員11の場所移動に関する注意喚起を行えるといった効果が好適に発揮される。
【0074】
(4)第2乗員動作としての直前動作は、通知優先度が第1乗員動作としての移動動作よりも低く、且つ移動動作及び直前動作以外の乗員動作よりも高い。制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、検出した乗員動作が直前動作であるときは、第2通知処理にかえて第3通知処理を行う。第3通知処理において、制御部20は、振動によって運転手に通知する第3通知手段としての振動部33と、第2通知手段としての音声通知部32と、を用いて通知する。第3通知処理においては、第2通知処理よりも、振動部33による通知が増える。振動部33を用いて運転手への通知がなされる場合、表示部31のように通知の確認のために運転手が視線を移動させる必要がないため、表示部31を用いて運転手への通知がなされる場合よりも、通知に運転手の意識が向きにくい。第2通知処理が行われる場合、第3通知処理から振動部33を用いた通知が省略されるため、第3通知処理が行われる場合よりも、通知に運転手の意識が向きにくい。そのため、第1通知処理、第3通知処理、及び第2通知処理と、通知優先度が低くなるにつれて、通知に運転手の意識が向きにくくなるように通知に用いる通知手段が切り替えられる。したがって、通知優先度に応じて、段階的に乗員11の場所移動に関する注意喚起を強められる。
【0075】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0076】
図7に示す制御部20による制御の処理手順は変更可能である。例えば、ステップS140の処理をステップS110の処理とステップS120の処理との間に移動させてもよい。
【0077】
・音声通知部32による通知は、第1通知処理、第2通知処理、及び第3通知処理の少なくとも2つの処理にて互いに異なる通知態様で行われてもよい。この異なる通知態様としては、例えば、音声の大きさが異なる態様や、通知内容が異なる等が挙げられる。
【0078】
・第1通知処理において、制御部20は、表示部31及び音声通知部32に加えて、これらとは異なる1つ以上の通知手段を用いて通知してもよい。第2通知処理において、制御部20は、音声通知部32と上記の1つの以上の通知手段とを用いて通知してもよい。第3通知処理において、制御部20は、音声通知部32及び振動部33に加えて、上記の1つ以上の通知手段を用いて通知してもよい。なお、上記の1つ以上の通知手段としては、例えば、音声によって通知を運転手に行う音声通知手段や、点灯や点滅によって運転手に通知するランプや、管理センター等の車外に通信によって通知する通信手段などが挙げられる。通信手段を用いる場合、通信手段を用いた通知がなされたら、車両12から管理センターに画像情報が送られる等によって車両12内部を車外で監視可能にしてもよい。例えば第1通知処理において、表示部31及び音声通知部32を用いた通知が行われる場合、第2通知処理において、音声通知部32を用いた乗員11へ通知に加えて、上記の音声通知手段、ランプ、及び通信手段のいずれかを用いた運転手への通知を行ってもよい。
【0079】
・第3通知処理にて用いられる第3通知手段は、振動によって運転手に通知する振動部33に限らない。第3通知手段としては、例えば、点灯や点滅によって運転手に通知するランプを採用してもよい。
【0080】
・制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合において、検出した乗員動作が準備動作および直前動作のいずれかであるときに、第3通知処理を行ってもよい。この場合、準備動作及び直前動作が第2乗員動作に相当する。
【0081】
・制御部20は第3通知処理の実行を省略してもよい。この場合、制御部20は、例えば、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合において、乗員動作が第1乗員動作であるときに第1通知処理を行うとともに、乗員動作が第1乗員動作以外であるときに第2通知処理を行う。
【0082】
・第1通知手段は、画面表示によって運転手に通知する表示部31に限らない。第2通知手段は、音声によって通知する音声通知部32に限らない。この場合、例えば、第1通知手段は、音声によって運転手に通知するものであってもよい。要するに、第1通知手段は、運転手に通知するものであればよい。例えば、第2通知手段は、乗員11に画面表示によって通知するものであってもよい。要するに、第2通知手段は、運転手以外に通知するものであればよい。
【0083】
・制御部20は、実行条件が成立し且つ運転優先度が所定優先度よりも高い場合に、検出した乗員動作によらず、第2通知処理を行ってもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…車両用乗員保護システム
11…乗員
12…車両
20…制御部
31…第1通知手段としての表示部
32…第2通知手段としての音声通知部
33…第3通知手段としての振動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7