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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074132
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】インストルメントパネル
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2165 20110101AFI20240523BHJP
   B60K 35/70 20240101ALI20240523BHJP
   B60K 37/00 20240101ALI20240523BHJP
【FI】
B60R21/2165
B60K37/00 B
B60K37/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185222
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】今井 純
(72)【発明者】
【氏名】高井 一
(72)【発明者】
【氏名】政次 美徳
(72)【発明者】
【氏名】畠野 さおり
【テーマコード(参考)】
3D054
3D344
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA14
3D054BB09
3D344AA07
3D344AB01
3D344AC03
3D344AC04
3D344AD05
(57)【要約】
【課題】エアバッグドア及びその周辺の意匠性が低下することを抑制できるインストルメントパネルを提供する。
【解決手段】インストルメントパネルは、膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアライン29を有するエアバッグドア22を備える。エアバッグドア22は、エアバッグの膨張展開時にティアライン29で破断して開くことにより、エアバッグの膨張展開を許容する。エアバッグドア22は、第1意匠面26と、第2意匠面27と、段差部28とを有している。段差部28は、第1意匠面26と第2意匠面27との間に形成されている。ティアライン29は、第1意匠面26と第2意匠面27との間の段差部28に沿うように設けられている。これにより、ティアライン29が目立たなくなるため、そのティアライン29がインストルメントパネルにおけるエアバッグドア22及びその周辺の意匠性を低下させることは抑制される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアラインを有するエアバッグドアを備え、
前記エアバッグドアは、前記エアバッグの膨張展開時に前記ティアラインで破断して開くことにより、前記エアバッグの膨張展開を許容するものであるインストルメントパネルにおいて、
前記エアバッグドアは、隣接する第1意匠面と第2意匠面とを有し、前記第1意匠面と前記第2意匠面とのうちの一方が他方に対し傾斜しており、
前記エアバッグドアにおける前記第1意匠面と前記第2意匠面との境界に対応して位置するように前記ティアラインが設けられているインストルメントパネル。
【請求項2】
膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアラインを有するエアバッグドアを備え、
前記エアバッグドアは、前記エアバッグの膨張展開時に前記ティアラインで破断して開くことにより、前記エアバッグの膨張展開を許容するものであるインストルメントパネルにおいて、
前記エアバッグドアは、第1意匠面と、第2意匠面と、段差部と、を有しており、
前記段差部は、前記第1意匠面と前記第2意匠面との間に形成され、
前記ティアラインは、前記第1意匠面と前記第2意匠面との間の前記段差部に沿うように設けられているインストルメントパネル。
【請求項3】
前記第1意匠面と前記第2意匠面とは加飾が異なっている請求項1又は2に記載のインストルメントパネル。
【請求項4】
前記エアバッグドアは、膨張展開前の前記エアバッグに対し車両の後側に位置しており、
前記ティアラインは、前記エアバッグドアに対し前記第1意匠面及び前記第2意匠面から車両の前側に向けてへこむ凹部を形成することにより、前記エアバッグドアにおける前記凹部に対応する位置に設けられている請求項1又は2に記載のインストルメントパネル。
【請求項5】
前記エアバッグドアは、ポリプロピレン系の材料で形成されている基材を備え、
前記基材は、光透過性を有する加飾層が積層された表示領域を有しており、
前記基材における前記表示領域の厚さは、前記基材における前記表示領域以外の箇所の厚さよりも薄くされている請求項1又は2に記載のインストルメントパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、車両におけるインストルメントパネルよりも前側には、折り畳まれたエアバッグが収容されている。このエアバッグは、車両の衝突時に膨張展開することにより、車両の車室内にいる乗員を保護するためのものである。インストルメントパネルは、膨張展開するエアバッグによって押圧されるエアバッグドアを備えている。エアバッグドアは、膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアラインを有している。このディアラインは、例えばエアバッグドアに切れ込みを入れて薄くすることによって形成することが考えられる。エアバッグドアは、エアバッグの膨張展開時に上記ティアラインで破断して開くことにより、エアバッグの膨張展開を許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-83439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インストルメントパネルのエアバッグドアに上記ティアラインを設けると、エアバッグにおけるティアラインを設けた箇所が筋状に見えて目立つため、インストルメントパネルにおけるエアバッグドア及びその周辺の意匠性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
次に、上記課題を解決するインストルメントパネルの各態様を記載する。
(態様1)
膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアラインを有するエアバッグドアを備え、前記エアバッグドアは、前記エアバッグの膨張展開時に前記ティアラインで破断して開くことにより、前記エアバッグの膨張展開を許容するものであるインストルメントパネルにおいて、前記エアバッグドアは、隣接する第1意匠面と第2意匠面とを有し、前記第1意匠面と前記第2意匠面とのうちの一方が他方に対し傾斜しており、前記エアバッグドアにおける前記第1意匠面と前記第2意匠面との境界に対応して位置するよう上に前記ティアラインが設けられているインストルメントパネル。
【0006】
上記構成によれば、エアバッグドアにおける隣接する第1意匠面と第2意匠面との境界に対応して位置するようにティアラインが設けられている。第1意匠面と第2意匠面とは、一方が他方に対し傾斜している。その結果、第1意匠面と第2意匠面との境界にはエッジが生じる。このエッジによりティアラインが目立たなくなるため、ティアラインがインストルメントパネルにおけるエアバッグドア及びその周辺の意匠性を低下させることは抑制される。
【0007】
(態様2)
膨張展開するエアバッグでの押圧に基づいて破断するティアラインを有するエアバッグドアを備え、前記エアバッグドアは、前記エアバッグの膨張展開時に前記ティアラインで破断して開くことにより、前記エアバッグの膨張展開を許容するものであるインストルメントパネルにおいて、前記エアバッグドアは、第1意匠面と、第2意匠面と、段差部と、を有しており、前記段差部は、前記第1意匠面と前記第2意匠面との間に形成され、前記ティアラインは、前記第1意匠面と前記第2意匠面との間の前記段差部に沿うように設けられているインストルメントパネル。
【0008】
上記構成によれば、エアバッグドアにおける第1意匠面と第2意匠面との間には段差部が形成されている。更に、第1意匠面と第2意匠面との間の段差部に沿うようにティアラインが設けられている。その結果、上記段差部によりティアラインが目立たなくなるため、ティアラインがインストルメントパネルにおけるエアバッグドア及びその周辺の意匠性を低下させることは抑制される。
【0009】
(態様3)
前記第1意匠面と前記第2意匠面とは加飾が異なっている(態様1)又は(態様2)に記載のインストルメントパネル。
【0010】
上記構成によれば、第1意匠面と第2意匠面との加飾が異なっていることにより、第1意匠面と第2意匠面との境界が目につきやすくなるとともに、その境界に対応して位置するティアラインが目立たなくなる。このため、ティアラインがインストルメントパネルにおけるエアバッグドア及びその周辺の意匠性を低下させることを、より効果的に抑制することができる。
【0011】
(態様4)
前記エアバッグドアは、膨張展開前の前記エアバッグに対し車両の後側に位置しており、前記ティアラインは、前記エアバッグドアに対し前記第1意匠面及び前記第2意匠面から車両の前側に向けてへこむ凹部を形成することにより、前記エアバッグドアにおける前記凹部に対応する位置に設けられている(態様1)~(態様3)のいずれか一つに記載のインストルメントパネル。
【0012】
上記構成によれば、エアバッグドアにおいて第1意匠面及び第2意匠面から車両の前側に向けてへこむ凹部を、第1意匠面及び第2意匠面における意匠の一部として活用することが可能になる。このように上記凹部を第1意匠面及び第2意匠面における意匠の一部とすることにより、上記凹部によってエアバッグドアに設けられるティアラインをより一層目立たなくすることができる。
【0013】
(態様5)
前記エアバッグドアは、ポリプロピレン系の材料で形成されている基材を備え、前記基材は、光透過性を有する加飾層が積層された表示領域を有しており、前記基材における前記表示領域の厚さは、前記基材における前記表示領域以外の箇所の厚さよりも薄くされている(態様1)~(態様4)のいずれか一つに記載のインストルメントパネル。
【0014】
インストルメントパネルにおけるエアバッグドアの基材は、光透過性を有する加飾層が積層された表示領域を有しているため、光が加飾層及び表示領域を通ることによって加飾層の加飾が見えるようになる。一方、エアバッグドアの基材は、エアバッグドアの開放時のことを考慮して、ある程度の弾性を持たせるために、ポリプロピレン系の材料によって形成される。ただし、基材を形成するポリプロピレン系の材料は光を通しにくいことから、基材の表示領域を光が通りにくくなって加飾層の加飾が見えにくくなるおそれがある。上記構成によれば、基材における前記表示領域の厚さが基材における表示領域以外の箇所の厚さよりも薄くされているため、基材の表示領域を光が通りにくくなることを抑制できる。従って、ポリプロピレン系の材料で形成された基材の表示領域を光が通りにくくなることに伴い、基材の表示領域に積層された加飾層の加飾が見えにくくなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における自動車のインストルメントパネルを示す断面図である。
図2図1のインストルメントパネルにおけるエアバッグドアの第1可動部を示す断面図である。
図3図1のエアバッグドアの第2可動部を示す断面図である。
図4図1のエアバッグドアを拡大して示す断面図である。
図5】第2実施形態におけるエアバッグドアの基材の表示領域及びその周辺を示す断面図である。
図6】LEDランプの発光時における図5の基材の表示領域及びその周辺での光の透過を示す断面図である。
図7】LEDランプの発光停止時における図5の基材の表示領域及びその周辺での光の透過を示す断面図である。
図8】ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びポリプロピレンの光の透過率を示すグラフである。
図9】エアバッグドアの他の例を示す断面図である。
図10】エアバッグドアの他の例を示す断面図である。
図11】エアバッグドアの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、インストルメントパネルの第1実施形態について、図1図4を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、自動車11等の車両の車室12内には、インストルメントパネル13が配置されている。インストルメントパネル13は、自動車11のウインドシールド14の下方に位置している。自動車11の車室12内であって、インストルメントパネル13における自動車11の後側、すなわち図1の右側には、座席15が配置されている。座席15には、自動車11の乗員16が着座する。
【0018】
インストルメントパネル13内には、自動車11の幅方向に延びるインパネリインホース17が配置されている。インパネリインホース17の両端部は、自動車11の幅方向両側にあるフロントフェンダ等に固定されている。インストルメントパネル13内には、エアバッグ装置18が配置されている。エアバッグ装置18は、インパネリインホース17に支持されている。エアバッグ装置18は、座席15に着座した乗員16を自動車11の衝突時に保護するためのものである。
【0019】
<エアバッグ装置18>
エアバッグ装置18は、ケース19と、エアバッグ20と、インフレータ21とを備えている。ケース19は、エアバッグ20を収納するためのものであり、インパネリインホース17に支持されている。エアバッグ20は、折り畳まれた状態で、ケース19内に収容されている。インフレータ21は、ケース19に取り付けられている。インフレータ21は、自動車11の衝突時、膨張用ガスを折り畳まれたエアバッグ20内に噴射する。これにより、折り畳まれたエアバッグ20が車両の後側に向けて膨張展開する。
【0020】
<インストルメントパネル13>
インストルメントパネル13は、膨張展開するエアバッグ20の押圧に基づいて破断するエアバッグドア22を備えている。エアバッグドア22は、インストルメントパネル13におけるエアバッグ装置18よりも自動車11の後側に位置しており、座席15に向けて突出した形状となっている。エアバッグドア22は、例えばポリプロピレン系の材料によって形成された基材23を備えている。エアバッグドア22の基材23には、第1可動部24及び第2可動部25が形成されている。第1可動部24は基材23の上半分を形成するものであり、第2可動部25は基材23の下半分を形成するものである。
【0021】
第1可動部24の前端、すなわち図1の左端は、図2に拡大して示すようにインストルメントパネル13と一体となっている。第1可動部24の前端部には、溝によって厚さを他の箇所よりも薄くした薄肉部24aが形成されている。また、図1の第2可動部25の前端、すなわち図1の左端も、図3に拡大して示すようにインストルメントパネル13と一体となっている。第2可動部25の前端部にも、溝によって厚さを他の箇所よりも薄くした薄肉部25aが形成されている。
【0022】
図4に示すように、第1可動部24の後端(図4の右端)と、第2可動部25の後端(図4の右端)とは一体になっている。第1可動部24における座席15側の面は、すなわち図4の右側面は第1意匠面26となっている。第2可動部25における座席15側の面、すなわち図4の右側面は第2意匠面27となっている。第1意匠面26と第2意匠面27とは加飾が異なっている。第1意匠面26と第2意匠面27との間には段差部28が形成されている。従って、エアバッグドア22は、上記第1意匠面26と、上記第2意匠面27と、上記段差部28と、を有している。
【0023】
エアバッグドア22は、膨張展開するエアバッグ20での押圧に基づいて破断するティアライン29を有している。ティアライン29は、膨張展開するエアバッグ20での押圧に基づく破断予定箇所である。ティアライン29は、第1意匠面26と第2意匠面27との間の段差部28に沿うように設けられている。詳しくは、エアバッグドア22における段差部28に第1意匠面26及び第2意匠面27から自動車11の前側に向けてへこむ凹部30を形成することにより、エアバッグドア22における上記凹部30に対応する位置にティアライン29が設けられている。
【0024】
図1に二点鎖線で示すように膨張展開するエアバッグ20の押圧により、インストルメントパネル13のエアバッグドア22がティアライン29で破断して開く。詳しくは、エアバッグドア22がティアライン29で破断した後、第1可動部24が図2に示す薄肉部24aを中心に矢印で示すように開くとともに、第2可動部25が図3に示す薄肉部25aを中心に矢印で示すように開く。このようにエアバッグドア22の第1可動部24及び第2可動部25が開くことにより、エアバッグ20の膨張展開が許容される。
【0025】
次に、本実施形態のインストルメントパネル13の作用効果について説明する。
(1-1)エアバッグドア22における第1可動部24の第1意匠面26と第2可動部25の第2意匠面27との間には、段差部28が形成されている。更に、第1意匠面26と第2意匠面27との間の段差部28に沿うようにティアライン29が設けられている。その結果、上記段差部28によりティアライン29が目立たなくなるため、そのティアライン29がインストルメントパネル13におけるエアバッグドア22及びその周辺の意匠性を低下させることは抑制される。
【0026】
(1-2)第1意匠面26と第2意匠面27との加飾は異なっている。これにより、第1意匠面26と第2意匠面27との境界が目につきやすくなるとともに、その境界に対応して位置するティアライン29が目立たなくなる。このため、ティアライン29がインストルメントパネル13におけるエアバッグドア22及びその周辺の意匠性を低下させることを、より効果的に抑制することができる。
【0027】
(1-3)ティアライン29は、エアバッグドア22に対し第1意匠面26及び第2意匠面27から自動車11の前側に向けてへこむ凹部30を形成することにより、エアバッグドア22における凹部30に対応する位置に設けられている。そして、エアバッグドア22においては、凹部30を第1意匠面26及び第2意匠面27における意匠の一部として活用することが可能になる。このように凹部30を第1意匠面26及び第2意匠面27における意匠の一部とすることにより、上記凹部30によってエアバッグドア22に設けられるティアライン29をより一層目立たなくすることができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、インストルメントパネルの第2実施形態について、図5図8を参照して説明する。
【0029】
図5に示すように、エアバッグドア22の基材23は、光透過性を有する加飾層31が積層された表示領域32を有している。上記加飾層31の加飾としては、自動車11の各種機能に関係するスイッチ等の表示を行うものとすることが考えられる。上記表示領域32は、図4に示す第1可動部24と第2可動部25との一方に設けられていてもよいし、第1可動部24と第2可動部25との両方に設けられていてもよい。基材23における表示領域32の厚さは、基材23における表示領域32以外の箇所の厚さよりも薄くされている。
【0030】
図5に示すように、基材23の表示領域32における加飾層31と反対側の面には、上記加飾層31によるるスイッチ等の表示に対応して位置するようタッチセンサ33が取り付けられている。このため、自動車11の乗員16が上記加飾層31によるスイッチ等の表示に対し押圧操作を行うと、その押圧操作がタッチセンサ33によって検出される。基材23における加飾層31と反対側にはLEDランプ34が配置されている。LEDランプ34の発光及び発光停止は、上記加飾層31によるスイッチ等の表示に対する乗員16の押圧操作を、上記タッチセンサ33によって検出したことに基づいて行うことが考えられる。
【0031】
LEDランプ34を発光させると、LEDランプ34からの光が図6に矢印で示すように基材23の表示領域32及び加飾層31を通過する。これにより、加飾層31におけるスイッチ等の加飾が周囲よりも明るく表示される。また、LEDランプ34の発光を停止させると、外部からの光が図7に矢印で示すように基材23の表示領域32及び加飾層31を通過する。これにより、加飾層31におけるスイッチ等の加飾が暗く浮かび上がるように表示される。
【0032】
インストルメントパネル13におけるエアバッグドア22の基材23は、光透過性を有する加飾層31が積層された表示領域32を有しているため、光が加飾層31及び基材23の表示領域32を通ることによって加飾層31の加飾が見えるようになる。このため、上記加飾層31が積層された表示領域32を有する基材23を形成する材料としては、光の透過性の高いポリカーボネートやポリメチルメタクリレート(アクリル)といった材料を用いることが考えられる。
【0033】
ただし、エアバッグドア22の基材23は、エアバッグドア22の開放時のことを考慮して、ある程度の弾性を持たせることが必要になる。この点、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートでは、基材23に必要な弾性を持たせることが困難である。従って、この実施形態では、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートよりも弾性の高い材料であるポリプロピレン系の材料によって基材23が形成されている。しかし、ポリプロピレン系の材料は光を通しにくい。
【0034】
ここで、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、及びポリプロピレンの光の透過率をそれぞれ、図8に破線、一点鎖線、及び実線で示す。図8の横軸は光の波長であり、縦軸は光の透過率である。図8から分かるように、ポリプロピレンの光の透過率は、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレートの光の透過率よりも低い傾向にある。このため、ポリプロピレン系の材料で基材23を形成すると、基材23の表示領域32を光が通りにくくなって加飾層31の加飾が見えにくくなるおそれがある。このことを考慮して、上述したように基材23における表示領域32の厚さが、基材23における表示領域32以外の箇所の厚さよりも薄くされている。
【0035】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(2-1)基材23における表示領域32の厚さが基材23における表示領域32以外の箇所の厚さよりも薄くされているため、基材23の表示領域32を光が通りにくくなることを抑制できる。従って、ポリプロピレン系の材料で形成された基材23の表示領域32を光が通りにくくなることに伴い、基材23の表示領域32に積層された加飾層31の加飾が見えにくくなることを抑制できる。
【0036】
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・第1実施形態において、図9に示すように、エアバッグドア22における段差部28と反対側の面に、その面から第1意匠面26及び第2意匠面27に向けて、すなわち自動車11の後側に向けてへこむ凹部35を形成する。これにより、エアバッグドア22における上記凹部35に対応する位置にティアライン29を設けるようにしてもよい。
【0038】
・第1実施形態において、図10に示すように、エアバッグドア22が、隣接する第1意匠面26と第2意匠面27とを有するものとされる。そして、第1意匠面26と第2意匠面27とのうちの一方が他方に対し傾斜するようにされる。更に、エアバッグドア22における第1意匠面26と第2意匠面27との境界に対応して位置するようにティアライン29が設けられる。詳しくは、エアバッグドア22に対し第1意匠面26及び第2意匠面27から自動車11の前側に向けてへこむ凹部30を形成することにより、エアバッグドア22における凹部30に対応する位置にティアライン29が設けられる。
【0039】
この構成によれば、第1意匠面26と第2意匠面27とのうちの一方が他方に対し傾斜しているため、第1意匠面26と第2意匠面27との境界にはエッジが生じる。そして、このエッジによりティアライン29が目立たなくなるため、ティアライン29がインストルメントパネル13におけるエアバッグドア22及びその周辺の意匠性を低下させることは抑制される。
【0040】
ここでのティアライン29は、次のように形成されるものであってもよい。すなわち、図11に示すように、エアバッグドア22に対し第1意匠面26及び第2意匠面27と反対側の面から自動車11の後側に向けてへこむ凹部35を形成することで、エアバッグドア22における凹部35に対応する位置にティアライン29が設けられる。この構成でも上記と同様の効果が得られる。
【0041】
・第1実施形態の基材23は、必ずしもポリプロピレン系の材料で形成されている必要はない。
・第1実施形態において、第1意匠面26と第2意匠面27とのうち一方の加飾を省略することにより、両者の加飾が異なるものとなるようにしてもよい。
【0042】
・第1実施形態において、第1意匠面26と第2意匠面27との加飾を同じにしてもよい。
・第2実施形態において、タッチセンサ33は必ずしも設けられている必要はない。
【0043】
・第2実施形態において、LEDランプ34は必ずしも設けられている必要はない。
【符号の説明】
【0044】
11…自動車
12…車室
13…インストルメントパネル
14…ウインドシールド
15…座席
16…乗員
17…インパネリインホース
18…エアバッグ装置
19…ケース
20…エアバッグ
21…インフレータ
22…エアバッグドア
23…基材
24…第1可動部
25…第2可動部
24a…薄肉部
25a…薄肉部
26…第1意匠面
27…第2意匠面
28…段差部
29…ティアライン
30…凹部
31…加飾層
32…表示領域
33…タッチセンサ
34…LEDランプ
35…凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11