(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074148
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】害虫の防止方法
(51)【国際特許分類】
A01G 7/06 20060101AFI20240523BHJP
A01G 13/00 20060101ALI20240523BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20240523BHJP
A01M 17/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A01G7/06 Z
A01G13/00 B
A01G7/00 604D
A01G7/00 601A
A01M17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185246
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】596124014
【氏名又は名称】高安 正勝
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【弁理士】
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】高安 正勝
【テーマコード(参考)】
2B022
2B121
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA19
2B121AA11
2B121BA60
2B121BB40
2B121FA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】「島バナナ」と呼ばれている希少品種のバナナの病害虫の防止方法に関し、島バナナの病害虫を防止することで、島バナナの量産を可能とする。
【解決手段】害虫が侵入した根茎1の一部又は全部又は害虫が侵入した土壌を排除する。この際に島バナナの生えている領域に強風が当たらないように防風ネットを配設する。加えて、防風ネットによる弊害を抑制するために、1又は複数の送風手段を配設する。また、光量が不足しないように、島バナナ栽培施設内に光を供給すべく、植物栽培用のLEDランプと太陽光の反射鏡を設置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫が侵入した根茎の一部又は全部又は害虫が侵入した土壌を排除することを特徴とする島バナナの害虫防止方法。
【請求項2】
前記島バナナの生えている領域に強風が当たらないように防風ネットを配設することを特徴とする請求項1に記載の島バナナの害虫防止方法。
【請求項3】
防風ネットによる弊害を抑制するために、1又は複数の送風手段を配設することを特徴とする請求項2に記載の島バナナの害虫防止方法。
【請求項4】
光量が不足しないように、島バナナ栽培施設内に光を供給すべく、植物栽培用のLEDランプと太陽光の反射鏡を設置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の島バナナの害虫防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「島バナナ」と呼ばれている希少品種のバナナの病害虫の防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
島バナナは、通常のバナナの半分ほどの小ぶりだが、熟した島バナナは、通常のバナナに比べて濃厚な甘さに程よい酸味と薫りが有り、独特の風味が楽しめる。この島バナナは、小笠原諸島から沖縄に移入されたと言われ、「小笠原バナナ」とも呼ばれている。
ところで、台風以外の「島バナナ」の大敵が病害虫である。
図1は、バナナの根茎(塊茎)1の側面図であるが、白色で澱粉が貯蔵されており、地表面E近くに生長点が有る。ジュガイモと同様に根茎1にはいくつかの芽が有り、ある段階になると次世代の吸芽2が発芽する。この根茎1が多くの澱粉を蓄えておれば、その量に比例して芽2は大きく成長し、実をつけるようになる。すると果実の濃厚な甘さに程よい酸味と香りを出すための変化が根茎の中で起り、害虫が寄って来る原因となる。
【0003】
この根茎1か大きくなり、次世代の芽3の成長を助ける。しかし、害虫が根茎1に侵入すると、蓄えられていた新芽の成長を直接助ける養分が腐ってしまい、新芽3の発育が遅れることになる。その結果、充分に成長できなかった2代めの根茎には、栄養が充分に蓄えられていないので、バナナの実がつく状態にならない。そのため、害虫を誘因する原因が作られないので、害虫は寄ってこないが、成長もしない状態となる。枯れるわけではないが、豊作にはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明は、害虫を誘引して駆除する薬剤の誘因物質が長期保存中に変化し、外観変化や害虫誘殺効力の劣化が起こる場合があるので、これらの現象が起こりにくい害虫誘殺性毒餌剤を提供する。
この目的で、この発明は、殺虫成分、糖類およびアミノ化合物を構成成分として含有する害虫可食性の誘引成分に、亜硫酸化合物もしくはチオール化合物又はその両方を含有させた組成物を製造することにより誘引成分の変化が起こりにくい害虫誘殺性毒餌剤である。
【0006】
しかしながら、バナナ栽培農家に多い個人農家が薬剤を用いるのは資金的にも技術的にも十分でなく、個人農家に向いた簡易な方法で実現できる手法が望まれる。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、個人農家でも実現できる簡易な方法で害虫を防止可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術的課題は、次のような手段によって解決される。請求項1は、害虫の侵入した根茎の一部又は全部又は害虫の侵入した土壌を排除することを特徴とする島バナナの害虫防止方法である。
【0008】
請求項2は、前記バナナの生えている領域に強風が当たらないように防風ネットを配設することを特徴とする請求項1に記載の島バナナの害虫防止方法である。
【0009】
請求項3は、防風ネットによる弊害を抑制するために、1又は複数の送風手段を配設することを特徴とする請求項2に記載の島バナナの害虫防止方法である。
【0010】
請求項4は、光量が不足しないように、施設内に光を供給すべく、植物栽培用のLEDランプと太陽光の反射鏡を設置することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の島バナナの害虫防止方法である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1のように、害虫の侵入した根茎の一部又は全部又は害虫の侵入した土壌を排除するので、以後の害虫の侵入や増殖は防止され、島バナナの成長が悪くなる事は防ぐことができる。美味しく質のいい島バナナは、供給が追い付かず品不足であったが、本栽培方法により、需要に応じた供給がなされ、価格の低下は当分ないと思える。
【0012】
請求項2のように、前記島バナナの生えている領域に強風が当たらないように防風ネットを配設するので、風に弱い島バナナの幹が折れたり倒れたりするのを防げる。
【0013】
請求項3のように、1又は複数の送風手段を配設するので、防風ネットによる弊害を抑制することが出来る。具体的には、防風ネットの作用で空気の流れが停滞したり二酸化炭素不足になるのを防げる。
【0014】
請求項4のように、光量が不足しないように、施設内に光を供給すべく、植物栽培用のLEDランプや太陽光の反射鏡を設置するので、光合成を確保できる。しかも、反射鏡で太陽光を所望の領域に反射できるので、防風ネットで太陽光が遮蔽され、光合成が不足することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明による島バナナの根茎から出た芽が成長して島バナナの果実がなった状態の側面図である。
【
図2】島バナナを植えた施設内に光を供給する物栽培用のLEDランプと太陽光の反射鏡を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明による島バナナの害虫防止方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。
図1は本発明による島バナナの根茎から出た芽が成長して島バナナの果実5がなった状態を示す側面図である。バナナの根茎(塊茎)1は、地面Eより地下に有り、白色で澱粉が貯蔵されており、地表面近くに生長点が有る。島バナナの幹4の下端に位置し、島バナナの果実5は上端中心になって成長する。6は葉である。
ジュガイモと同様に根茎1には幾つかの芽が有り、ある段階になると次世代の吸芽2が発芽する。この根茎1に多くの澱粉を蓄えておれば、その量に比例して吸芽2は大きく成長する。
【0017】
ところで、害虫が根茎1に侵入すると、蓄えられていた新芽の成長を直接助ける養分が腐ってしまい、新芽の発育が遅れることになる。その結果、充分に成長できなかった2代目の茎3の根茎には、栄養が充分に蓄えられていないので害虫は入ってこない。このように、害虫が侵入した根茎1はあまり豊富に栄養を蓄えていないので、次世代3の成長は大きいとは言えない。枯れるわけではないが、豊作にはならない。
したがって、根茎1に害虫が侵入すると、島バナナの果実5の収穫も少なく、栽培農家の収入が少なく、また島バナナが希少となり、その結果高価となる。島バナナは台風に弱く、幹が折れたり倒れたりする上に、害虫が根茎1に侵入して全滅させることもありうる。このような島バナナの被害を避けるには、害虫の防除方法が不可欠となる。
島バナナの害虫被害を防除するには、害虫の侵入した根茎の一部又は全部を排除することである。あるいは、害虫の侵入した土壌を排除することも有効である。その結果、以後の害虫の侵入や増殖が防止され、島バナナの成長が阻害される事は防ぐことができ、美味しい質の良い島バナナを量産可能となり、農家の収入も増える。
【0018】
さらに、島バナナの幹4は台風に弱いので、島バナナの生えている領域に強風が当たらないように防風ネットを張るのも有効である。その結果、風に弱い島バナナの幹4が折れたり倒れたりするのを防げる。
【0019】
防風ネットを張ると、弊害も招くので、1又は複数の送風手段を配設すると有効であり、具体的には、防風ネットの作用で空気の流れが停滞したり二酸化炭素不足になるのを防げる。
【0020】
防風ネットで遮光されて光量が不足する恐れも考えられるが、
図2の島バナナを植えた施設7内に光を供給すべく、植物栽培用のLEDランプ8を設置すると、光合成を確保できる。さらに、太陽光を反射する反射鏡9を施設7外に設けて、所望の領域に反射して光量不足を解消できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上のように、島バナナの害虫を防助出来るので、害虫の影響で量産不能となるのを防止して、豊富に収穫可能とし、農家の収入の増大を実現できる。
【符号の説明】
【0022】
E 地面
1 根茎(塊茎)
2 吸芽
3 2代めの茎
4 島バナナの幹
5 島バナナの果実
6 島バナナの葉
7 島バナナを植えた施設
8 植物栽培用のLEDランプ
9 反射鏡