(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074160
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/30 20230101AFI20240523BHJP
G11C 16/04 20060101ALI20240523BHJP
G11C 16/24 20060101ALI20240523BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240523BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20240523BHJP
G11C 16/26 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H10B43/30
G11C16/04 150
G11C16/24
H01L29/78 371
G11C16/10
G11C16/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185262
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】505200596
【氏名又は名称】株式会社NSCore
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】堀内 忠彦
【テーマコード(参考)】
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B225BA08
5B225EB02
5B225ED03
5B225FA02
5B225FA06
5F083EP17
5F083EP22
5F083ER04
5F083ER11
5F083ER21
5F083JA35
5F101BA41
5F101BB02
5F101BC04
5F101BD02
5F101BE07
(57)【要約】
【課題】ショットキー接合を含むトランジスタをメモリセルとして用いた半導体記憶装置において、その信頼性を向上すること。
【解決手段】ビット線対と、ソース線と、ワード線と、行列状に配置された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイを有し、メモリセルは、n型ウェルに形成された一対のp型のトランジスタ対であって、トランジスタの端子の一つはn型ウェル上に形成した金属薄膜からなるショットキー接合であり他の端子はソース線に接続されたことを特徴とする半導体記憶装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列方向に配置され、それぞれが第1及び第2のビット線からなる複数のビット線対と、
列方向に配置された複数のソース線と、
行方向に配置された複数のワード線と、
行列状に配置された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイを有し、
前記複数のメモリセルの1つは、第1のn型ウェルに形成された第1及び第2のトランジスタからなる一対のトランジスタ対であって、前記第1のトランジスタのゲート及び前記第2のトランジスタのゲートはいずれも前記複数のワード線の1つである第1のワード線に接続され、前記第1のトランジスタの第1の端子は前記第1のn型ウェル上に形成した金属薄膜からなるショットキー接合であり前記第1のビット線に接続され、前記第1のトランジスタの第2の端子は前記第1のn型ウェル上に形成したp型拡散層であり、前記第2のトランジスタの第1の端子は前記第1のn型ウェル上に形成した金属薄膜からなるショットキー接合であり前記第2のビット線に接続され、前記第2のトランジスタの第2の端子は前記第1のn型ウェル上に形成したp型拡散層であり、前記第1のトランジスタの前記第2の端子と前記第2のトランジスタの前記第2の端子とは相互に接続されるとともに前記複数のソース線の1つに接続されたことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体記憶装置において、さらに、
データ書き込みのため及びデータ読み出しのためのいずれにおいても、前記複数のワード線の1つを選択し、選択されたワード線に非選択とされたワード線よりも低い電圧を供給するワード線駆動回路と、
データ書き込みのために前記第1のビット線に前記第2のビット線よりも高い電圧を供給するビット線駆動回路と、
データ読み出しのために前記第1のトランジスタ2流れる電流と前記第2のトランジスタに流れる電流とを比較するセンスアンプ回路と、
を有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体記憶装置において、前記複数のメモリセルの他の1つは、前記第1のn型ウェルとは電気的に分離された第2のn型ウェルに形成された第3及び第4のトランジスタからなる一対のトランジスタ対を含み、前記第3のトランジスタのゲート及び前記第4のトランジスタのゲートはいずれも前記第1のワード線に接続されていることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
請求項3記載の半導体記憶装置において、さらに、前記第1のn型ウェルと前記第2のn型ウェルとに、異なった電圧を供給するウェル駆動回路とを有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項5】
請求項3記載の半導体記憶装置において、前記複数のメモリセルのさらに他の1つは、前記第1のn型ウェル及び前記第2のn型ウェルのいずれとも電気的に分離された第3のn型ウェルに形成された第5及び第6のトランジスタからなる一対のトランジスタ対を含み、前記第5のトランジスタのゲート及び前記第6のトランジスタのゲートはいずれも前記第1のワード線とは異なる第2のワード線に接続されていることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体記憶装置において、さらに、前記第1のn型ウェルと前記第3のn型ウェルとに、異なった電圧を供給するウェル駆動回路とを有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項7】
請求項2記載の半導体記憶装置において、さらに、定電流源と、この定電流源に流れる電流をミラーするカレントミラー回路と、このカレントミラー回路に流れる電流を前記複数のソース線の1つに供給することを特徴とするソース線駆動回路とを有することを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項8】
請求項2記載の半導体記憶装置において、さらに、電圧を制御するレジスタを有し、前記ワード線駆動回路は、前記レジスタに書き込まれた値に応じて制御された前記低い電圧を、データ読み出しのために前記選択されたワード線に供給することを特徴とする半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一実施形態は半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願の発明者らは半導体記憶装置を開発してきた。この半導体記憶装置は、p型基板上に形成したショットキー接合を有するトランジスタ対をメモリセルとして用い、アバランシェ・ホット・エレクトロンをトランジスタのゲート周辺の絶縁膜にトラップすることで、データを不揮発(Nonvolatile)に保持する。この半導体記憶装置は、(1)最小で数十ナノメートルから数ナノメートルのデザインルールのCMOSプロセスと整合的な製造工程を用いて、低コストで製造することができるとともに、(2)数ビットから数メガビット程度までの少中容量のデータを不揮発(Nonvolatile)に保持することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0125041号明細書
【特許文献2】米国特許第9893208号明細書
【特許文献3】米国特許第9966141号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、(1)最小で数十ナノメートルから数ナノメートルのデザインルールのCMOSプロセスと整合的な製造工程を用いて、低コストで製造することができる、(2)数ビットから数メガビット程度までの少中容量のデータを不揮発(Nonvolatile)に保持することが可能である、という特徴を維持しつつ、大幅に信頼性を向上させた半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る半導体記憶装置は、ビット線対と、ソース線と、ワード線と、行列状に配置された複数のメモリセルからなるメモリセルアレイを有し、メモリセルは、n型ウェルに形成された一対のp型のトランジスタ対であって、トランジスタの端子の一つはn型ウェル上に形成した金属薄膜からなるショットキー接合であり他の端子はソース線に接続されたことを特徴とする半導体記憶装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1~第3の各実施形態に係る半導体記憶装置に用いるメモリセルを構成するトランジスタ対の一つの構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の回路図である。
【
図3】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図4】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図5】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図6】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図7】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図8】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図9A】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の読み出し動作期間におけるメモリセルを流れる電流量の違いを示した図である。
【
図9B】第1の実施形態に係る半導体記憶装置の読み出し動作期間における各ノードの電圧を示した図である。
【
図10】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路の要素回路の回路図である。
【
図11】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のカラムスイッチの要素回路の回路図である。
【
図12】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のセンスアンプ回路の要素回路の回路図である。
【
図13】第1の実施形態に係る半導体記憶装置のワード線駆動回路の要素回路の回路図である。
【
図14】第2の実施形態に係る半導体記憶装置の回路図である。
【
図15】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図16】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図17】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図18】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図19】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図20】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図21】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のウェル電圧駆動回路の要素回路の回路図である。
【
図22】第2の実施形態に係る半導体記憶装置のカラムスイッチの要素回路の回路図である。
【
図23】第3の実施形態に係る半導体記憶装置の回路図である。
【
図24】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図25】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図26】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図27】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図28】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図29】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
【
図30】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路の要素回路の回路図である。
【
図31】第3の実施形態に係る半導体記憶装置のワード線駆動回路の要素回路の回路図である。
【
図32】第4の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
【
図33】第4の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出し動作期間に供給される電圧及び電流を示した図である。
【
図34】第4の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路の要素回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、第一~第三の各実施形態に係る半導体記憶装置について、図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素に対して同一符号が付されており、重複する説明が省略される場合がある。以下に示す各実施形態は、各実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。各実施形態の技術思想は、構成要素の材質、形状、構造、配置等を下記のものに限定しない。各実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0008】
[1 メモリセルを構成するトランジスタの構造]
図1の左図は第一~第三の各実施形態に係る半導体記憶装置に用いるメモリセルを構成するトランジスタ対の一つのトランジスタ170の構成を示す図である。p型不純物をドープしたシリコン単結晶からなるp型半導体基板100(半導体基板に形成されたp型ウェルであってもよい。)にn型不純物をドープしたn型ウェル110が形成される。
【0009】
トランジスタ170はn型ウェル110に形成される。トランジスタ170はp型拡散層120、金属層130、金属層140、ゲート電極150、サイドウェール160などから構成される。p型不純物を拡散したp型拡散層120はn型ウェル110に形成される。金属層130がp型拡散層に形成される。金属層140は、p型拡散層120と離間して、n型ウェル110上にp型拡散層を介さずに形成される。金属層130及び金属層140は、ニッケルシリサイド(NiSi)層、コバルトシリサイド(CoSi)層、チタンシリサイド(TiSi)層、プラチナシリサイド(PtSi)層などから形成される。これらシリサイド層は、ニッケル、コバルト、チタン、プラチナといった金属薄膜を形成し、熱処理をすることによって、シリコン基板表面をシリサイド化して形成する。金属層140とn型ウェル110との間にショットキー接合が形成される。
【0010】
図1の右図は、左図の構成のトランジスタ170の等価回路である。図のとおり、p型MOSトランジスタ171とショットキーダイオード172が直列接続されている。p型MOSトランジスタ171のp型チャネル反転層がショットキーダイオード172のアノード、金属層140がショットキーダイオード172のカソードとなる。また同時に、金属層140がショットキーダイオード173のアノードとなり、n型ウェル110がショットキーダイオード173のカソードとなる。
【0011】
図1の左図の構成のトランジスタ170は、ロジック半導体装置(CPU、GPU等)の製造に用いる一般的なCMOSプロセスを利用して製造できる。したがって、ロジック半導体装置と同一半導体基板上に形成するのに適している。
【0012】
[2-1 第1の実施形態(回路構成)]
図2は第1の実施形態に係る半導体記憶装置200の回路図である。半導体記憶装置200は、メモリセルアレイ210、ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、データ入出力回路250、ソース線駆動回路260、制御回路270から構成される。この半導体記憶装置200は、単体の半導体記憶装置として提供されても良いし、他のロジック回路とともに同じ半導体基板上に形成されても良い。前述したとおり、トランジスタ170はロジック半導体装置(CPU、GPU等)の製造に用いる一般的なCMOSプロセスを利用して製造できるので、追加的なプロセスなしに、半導体記憶装置200とロジック半導体装置(CPU、GPU等)とを同時に製造できる。この半導体記憶装置200はロジック半導体装置と混載されることを目的とし、IPコア(回路の結線情報、半導体装置の製造に用いるマスク画像データ等)として提供されても良い。
【0013】
メモリセルアレイ210には、
図1で説明したトランジスタ170を2つ(右トランジスタと左トランジスタ)からなる対をメモリセル201として用いる。メモリセル201はx+1行(0、1、・・・x行)y+1列(0、1、・・・y列)にマトリクス配列される。右トランジスタと左トランジスタのp型拡散層120(及び金属層130、読み出し時にはソース202となる)は共通接続され、ソース線SL[0]~SL[y]に接続される。同一列に属する右トランジスタの金属層140(ショットキーダイオード172のカソード)はビット線BLT[0]~BLT[y]に共通接続される。同一列に属する左トランジスタの金属層140(ショットキーダイオード172のカソードであり、読み出し時にはドレイン204となる)はビット線BLN[0]~BLN[y]に共通接続される。ビット線BLT[0]とビット線BLN[0]、ビット線BLT[1]とビット線BLN[1]、ビット線BLT[y]とビット線BLN[y]はそれぞれ対をなす。同一行に属する左右トランジスタのゲート203はワード線WL[0]~WL[x]に共通に接続される。メモリセルアレイ210の全てのトランジスタ170は一つのn型ウェル110に形成されている。n型ウェル110は図示しないウェル電圧駆動回路に接続されている。
【0014】
メモリセルアレイ210のトランジスタ170の配置パターンは、行方向に並ぶ2つのトランジスタ170の金属層140は共通とし、行方向に並ぶ2つのメモリセルの4つのトランジスタ170のp型拡散層120及び金属層130は共通とすることが可能である。このようにして、メモリセルの配置密度を高めることが可能となる。
【0015】
ワード線駆動回路220は、データ書き込み、データ消去、データ読み出しの各モードにおいて、対応する電圧をワード線WLに供給する。供給する電圧については後述する。
【0016】
カラムスイッチ230は、データ書き込み、データ消去各モードにおいて、対応する電圧をビット線対BLT/BLNに供給するとともに、データ読み出し時にビット線対BLT/BLNとセンスアンプ回路240とを接続する。供給する電圧については後述する。
【0017】
センスアンプ回路240は、データ書き込みモードにおいて、データ入出力回路250から入力された書き込みデータに基づいてビット線対BLT/BLNに電圧を供給し、データ読み出しモードにおいて、ビット線対BLT/BLNの電圧を検知してデータ入出力回路250に読み出されたデータを出力する。
【0018】
データ入出力回路250は、外部から(半導体記憶装置200が単体の場合は装置外部から、半導体記憶装置200が他のロジック回路とともに同一半導体基板上に形成される場合はそのロジック回路から)供給される書き込みデータを取り込んで、センスアンプ回路240に出力する。データ入出力回路250は、センスアンプ回路240から提供された読み出しデータを外部に出力する。
【0019】
ソース線駆動回路260は、データ書き込み、データ消去、データ読み出しの各モードにおいて、対応する電圧をソース線SLに供給する。供給する電圧については後述する。
【0020】
制御回路270は、データ書き込み、データ消去、データ読み出しの各モードにおいて、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル駆動回路)の動作を制御する。この制御回路270に後述する高電圧発生回路及び負電圧発生回路が含まれても良い。
【0021】
[2-2 第1の実施形態(供給電圧)]
第1の実施形態にかかる半導体記憶装置200の、書き込みモード、消去モード、読み出しモードにおける各動作を説明する。第1の実施形態の各モードにおける各供給電圧を表1に示す。
【表1】
【0022】
VWLは非選択行のワード線WLに供給される電圧である。VEEは選択行のワード線WLに供給される電圧である。VBLは、主として、非選択列のビット線対及び非選択列のソース線に供給される電圧である。VNWは、主として、n型ウェルに供給される電圧である。VSLは、主として、消去モード及び読み出しモードにおいて、選択されたソース線SLに供給される電圧である。表1に示された各供給電圧は一例であるが、書き込みモードにおいては、VNW>VWL>VBL、VSL>0V(GND)>VEEという関係を満たす必要がある。消去モードにおいては、VWL>VBL、VNW、VSL>VEEという関係を満たす。読み出しモードにおいては、VWL、VBL、VNW>VSL>0V(GND)>VEEという関係を満たす。これら電圧のうち、半導体記憶装置に外部から供給される電源電圧よりも高い電圧は、
図2には図示していない高電圧発生回路(チャージポンプ回路を含む)によって生成される。これら電圧のうち、負電圧は、
図2には図示していない負電圧発生回路(チャージポンプ回路を含む)によって生成される。
【0023】
[2-2-1 第1の実施形態(書き込みモード)]
図3は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図4は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に引き続く書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。選択メモリセルに「0」データを書き込む場合を例に示す。
【0024】
図3に示すとおり、書き込みスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル駆動回路)は、全てのビット線対にVBL(1.8V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(1.8V)、n型ウェルにVNW(3.8V)をそれぞれ供給する。
【0025】
メモリセルアレイは、データ長に相当する複数ビットからなるグループが列方向に配置されている。データ長が8ビット、グループの列数が256列であれば、y+1は2048となる。ワード線が2048本であれば、4194304個のメモリセル(トランジスタ対)が存在し、記憶できるデータ容量は4Mbit(512byte)である。
図4においては、選択される列グループをSelected Column、非選択の列グループをUnselected Columnと表示した。列グループ内は、データ長に相当するメモリセルの列が含まれており、ここで、書き込み、消去の各動作を行うメモリセルをSelected Bitと、各動作を行わないメモリセルをUnselected Bitと表示した。
【0026】
図4に示すとおり、書き込み動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLNにVNW(3.8V)を供給し、選択されたメモリセルに接続されるBLTと残りの全てのビット線対にはVBL(1.8V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたワード線WLにはVEE(-5.0V)を供給し、非選択のワード線WLにはVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたメモリセルに接続されるソース線SLにはGND(0V)を供給し、その他のソース線SLにはVBL(1.8V)を引き続き供給する。電圧供給回路はn型ウェルにVNW(3.8V)を引き続き供給する。
【0027】
図4に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左トランジスタ(BLNに接続されている。)においては、ゲートにVEE(-5.0V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域が導通し、ソース線SLに供給されたGND(0V)とビット線BLNに供給されたVNW(3.8V)がショットキー接合に印加される。その結果、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールが生成する。このアバランシェ・ホット・ホールは、ゲートに印加されたVEE(-5.0V)によってトランジスタの側壁にトラップされる。このホールがトランジスタの実効的なしきい値電圧をマイナス(例えば、-2.0V)にシフトさせる。
【0028】
他方で、選択されたメモリセルの右トランジスタ(BLTに接続されている。)においては、ビット線BLTに供給される電圧がVBL(1.8V)であるため、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。選択されない列のメモリセルの左右のトランジスタにおいても同様である。
【0029】
選択されない行のメモリセルにおいては、ゲートにVWL(2.2V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域は非道通のままであり、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0030】
以上のように、選択されたメモリセルの左トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0031】
選択メモリセルに「1」データを書き込む場合は、書き込み動作時に右トランジスタに接続されたビット線BLTに3.8Vを印加する。選択されたメモリセルの右トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0032】
[2-2-2 第1の実施形態(消去モード)]
図5は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図6は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に引き続く消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【0033】
消去動作は、Selected Bitの列の全ての行のメモリセルについて一括して行われる。消去モードの前に、あらかじめ、「0」が書き込まれたメモリセルには「1」を書き込み、「1」が書き込まれたメモリセルには「0」を書き込む。何も書き込まれていないメモリセルには「0」と「1」の双方を書き込む。その結果、全てのメモリセルの左右のトランジスタの実効的なしきい値はマイナスにシフトされる。この動作をプリプログラムと呼ぶ。
【0034】
図5に示すとおり、消去スタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル駆動回路)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(3.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、n型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0035】
図6に示すとおり、消去動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのワード線WLにVWL(3.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。
【0036】
図6に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左右トランジスタにおいては、ゲートにVWL(3.2V)が印加されビット線対BLN、BLTにGND(0V)が供給されることから、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・エレクトロンが生成される。このアバランシェ・ホット・エレクトロンは、ゲートに印加されたVWL(3.2V)によってトランジスタの側壁にトラップされ、プログラム時にトラップしたホールを中和する。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はプラス(例えば、-0.5V)にシフトする。
【0037】
他方で、非選択のメモリセルにおいては、ビット線対BLN、BLTにVBL(2.2V)が供給されることから、トランジスタの側壁にトラップされていたホールは中和されない。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はシフトしない。
【0038】
以上のように、選択されたメモリセルの左右のトランジスタの実効的なしきい値電圧のみをプラスにシフトさせることができる。消去動作は、Selected Bitのみではなく、Selected Column全体について一括して行ってもよい。
【0039】
[2-2-3 第1の実施形態(読み出しモード)]
図7は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図8は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に引き続く読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
図9Aは読み出し動作期間にビット線対BLN、BLTに流れる電流を示した図であり、
図9Bは各ノードにおける電圧の変動を示したチャートである。
【0040】
図7に示すとおり、読み出しスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル駆動回路)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、n型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0041】
図8に示すとおり、読み出し動作期間には、電圧供給回路は、Selected Columnのメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択された行に対応するワード線WLにVEE(-1.5V)を供給し、その他の非選択ワード線WLにVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はSelected Columnのメモリセルに接続されるソース線SLにVSL(1.0V)を供給し、その他の全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。
【0042】
ビット線対にはBLN及びBLTにGND(0V)が供給され、ソース線SLにVSL(1.0V)が供給され、ワード線WLにVEE(-1.5V)が供給されると、トランジスタのしきい値に応じた電流が流れる。選択されたメモリセルに「0」が書き込まれている場合は、ビット線BLNに接続された左トランジスタのしきい値はマイナスにシフトしているため、ビット線BLTに接続された右トランジスタを流れる電流よりも小さな電流が左トランジスタを流れる。
図9Aにこの様子を示す。逆に、選択されたメモリセルに「1」が書き込まれている場合は、ビット線BLTに接続された右トランジスタのしきい値はマイナスにシフトしているため、ビット線BLNに接続された右トランジスタを流れる電流よりも小さな電流が左トランジスタを流れる。ビット線対は一定の容量があるため徐々に電圧が上昇するところ、より多くの電流が流れたビット線の電圧が早く上昇する。
【0043】
読み出し期間における各ノードの電圧は、より詳細には、
図9Bに示すとおりである。時刻t1でソース線SLの電圧がVBL(2.2V)からVSL(1.0V)となる。同時にビット線対BLN/BLTもGND(0V)となる。その後ワード線WLの電圧がVWL(2.2V)からVEE(-1.5V)となる。時刻t2でビット線のディスチャージが停止される、ビット線対BLN/BLTがフローティング状態となる。すると、ビット線対BLN/BLTの電圧が徐々に上昇する。ただし、「0」が書き込まれている場合は、ビット線BLNの電圧の上昇はビット線BLTの電圧の上昇よりも遅い。時刻t3でセンスアンプの動作がスタートする。センスアンプはビット線の電圧の差を増幅する。時刻t4で増幅されたビット線対の電圧に基づいたデータがIOT/IONとして出力される。
【0044】
[2-3 第1の実施形態(周辺回路の構成)]
図10は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路260の回路図である。Standby信号、Read_Erase信号、Program信号は制御回路270から供給される。
【0045】
ソース線駆動回路260は、トランスファゲート1010、トランスファゲート1030及びn型トランジスタ1050からなる。
【0046】
トランスファゲート1010は、並列に接続したn型トランジスタ1011とp型トランジスタ1012からなり、インバータ1020によって生成されたStandby信号の相補信号によって駆動され、電圧VBLをソース線SLに供給する。
【0047】
トランスファゲート1030は、並列に接続されたn型トランジスタ1031とp型トランジスタ1032とからなり、インバータ1040によって生成されたRead_Erase信号の相補信号によって駆動され、電圧VSLをソース線SLに供給する。
【0048】
n型トランジスタ1050は、Program信号によって駆動され、ソース線SLにGND電圧を供給する。
【0049】
図11は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のカラムスイッチ230に含まれるカラムスイッチ要素回路1100の回路図である。全てのビット線対BLN/BLTがこのカラムスイッチ要素回路1100のひとつに接続されている。Column Switch信号は制御回路270から供給される。この信号は列アドレスをデコードした信号を含んでも良い。その場合は、この要素回路は列選択回路としても機能する。
【0050】
カラムスイッチ要素回路1100は、トランスファゲート1110、トランスファゲート1120、トランスファゲート1130、トランスファゲート1140から構成される。
【0051】
トランスファゲート1110は、並列に接続されたp型トランジスタ1111とn型トランジスタ1112とからなり、インバータ1113によって生成されたColumn Switch信号の相補信号によって駆動され、電圧VBLをビット線BLNに供給する。
【0052】
トランスファゲート1120は、並列に接続されたn型トランジスタ1121とp型トランジスタ1122とからなり、インバータ1113によって生成されたColumn Switch信号の相補信号によって駆動され、ビット線BLNとセンスアンプ回路240のノードCLNとを接続する。
【0053】
トランスファゲート1130は、並列に接続されたp型トランジスタ1131とn型トランジスタ1132とからなり、インバータ1113によって生成されたColumn Switch信号の相補信号によって駆動され、電圧VBLをビット線BLTに供給する。
【0054】
トランスファゲート1140は、並列に接続されたn型トランジスタ1141とp型トランジスタ1142とからなり、インバータ1113によって生成されたColumn Switch信号の相補信号によって駆動され、ビット線BLTとセンスアンプ回路240のノードCLTとを接続する。
【0055】
図12は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のセンスアンプ回路240に含まれるセンスアンプ要素回路1200の回路図である。Program信号、Sense Amplifier Switch信号、Sense Amplifier Enable信号、Bit Line Discharge信号は制御回路270から供給される。
【0056】
センスアンプ要素回路1200は、増幅回路1210、トランスファゲート1220、トランスファゲート1230、ビット線電圧供給回路1240、ビット線電圧供給回路1250、ビット線放電回路1260とからなる。
【0057】
増幅回路1210は、クロスカップルされた2つのインバータを含む(p型トランジスタ1211,n型トランジスタ1212、p型トランジスタ1213,n型トランジスタ1214)。p型トランジスタ1215、1216及びn型トランジスタ1217、1218は、インバータ1219によって生成されたSense Amplifier Enable信号の相補信号で、この2つのインバータにVNW及びGNDの各電圧を供給する。
【0058】
トランスファゲート1220は、並列に接続されたn型トランジスタ1221とp型トランジスタ1222とからなり、インバータ1223によって生成されたSense Amplifier Switch信号の相補信号によって駆動され、ノードCLNと、ノードION及び増幅回路1210とを接続する。
【0059】
トランスファゲート1230は、並列に接続されたn型トランジスタ1232とp型トランジスタ1231とからなり、インバータ1233によって生成されたSense Amplifier Switch信号の相補信号によって駆動され、ノードCLTと、ノードIOT及び増幅回路1210とを接続する。
【0060】
ビット線電圧供給回路1240は、クロックトインバーターであり、直列に接続されたp型トランジスタ1241、p型トランジスタ1242、n型トランジスタ1243、n型トランジスタ1244からなる。p型トランジスタ1241とn型トランジスタ1244は、インバータ1255によって生成されたProgram信号の相補信号によって導通する。p型トランジスタ1242及びn型トランジスタ1243は、書き込み動作時にIONに従って、VNW又はVBLの各電圧をノードCLNに供給する。
【0061】
ビット線電圧供給回路1250は、クロックトインバーターであり、直列に接続されたp型トランジスタ1251、p型トランジスタ1252、n型トランジスタ1253、n型トランジスタ1254からなる。p型トランジスタ1251とn型トランジスタ1254は、インバータ1255によって生成されたProgram信号の相補信号によって導通する。p型トランジスタ1252及びn型トランジスタ1253は、書き込み動作時にIOTに従って、VNW又はVBLの各電圧をノードCLTに供給する。
【0062】
ビット線放電回路1260は、n型トランジスタ1261、n型トランジスタ1262、n型トランジスタ1263からなり、Bit Line Discharge信号に応じて、ノードCLN及びノードCLTにGND電圧を供給する。
【0063】
図13は第1の実施形態に係る半導体記憶装置のワード線駆動回路220に含まれるワード線駆動回路要素1300の回路図である。Word Line Enable信号は制御回路270から供給される。Word Line Enable信号は、行アドレスをデコードした信号である。
【0064】
ワード線駆動回路要素1300は、p型トランジスタ1331及びn型トランジスタ1332からなるインバータ1330、p型トランジスタ1321及びn型トランジスタ1322からなるインバータ1320、レベルシフト回路1310からなる。レベルシフト回路1310は、インバータ1330によって駆動されるp型トランジスタ1312と、インバータ1320によって駆動されるp型トランジスタ1311とクロスカップルされた2つのn型トランジスタ1313、1314からなる。ワード線駆動回路要素1300は、Word Line Enable信号に応じて、正電圧であるVWLと負電圧であるVEEを選択的にワード線WLに供給する。
【0065】
[2-4 第1の実施形態の効果]
以上のように構成することにより、第1の実施形態にかかる半導体記憶装置は、(1)最小で数十ナノメートルから数ナノメートルのデザインルールのCMOSプロセスと整合的な製造工程を用いて、低コストで製造することができる、(2)数ビットから数メガビット程度までの少中容量のデータを不揮発(Nonvolatile)に保持することが可能である、という特徴を維持しつつ、大幅に信頼性を向上させた半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【0066】
[3-1 第2の実施形態(回路構成)]
図14は第2の実施形態に係る半導体記憶装置1420の回路図である。半導体記憶装置1420は、一列毎又は複数列毎(
図14においては一列毎にウェル分離をした例が示されている。)にn型ウェルが分離(
図14においてはy+1個に分離)されたメモリセルサブアレイ211、212、・・・213、ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、データ入出力回路250、ソース線駆動回路260、ウェル電圧駆動回路1405、制御回路270から構成される。この半導体記憶装置1420は、単体の半導体記憶装置として提供されても良いし、他のロジック回路とともに同じ半導体基板上に形成されても良いことは第1の実施形態と同様である。
【0067】
メモリセルサブアレイ211には、
図1で説明したトランジスタ170を2つ(右トランジスタと左トランジスタ)からなる対を用いる。メモリセルはx+1行(0、1、・・・x行)1列に列状に配置される。他のy個のメモリセルサブアレイ212、213も同様である。メモリセルサブアレイ211、212、213のトランジスタ170はそれぞれ対応するn型ウェル110(211、212、213)に形成されている。個々のn型ウェル110(211、212、213)はウェル電圧駆動回路1405によって、n型ウェル駆動電圧CNW[0]~CNW[y]によって駆動される。メモリセルサブアレイ211、212、213中のメモリセルの共通ソース線はそれぞれソース線駆動回路260によって、個別に駆動される。
【0068】
ワード線駆動回路220は、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240は、データ入出力回路250は第1の実施形態と同様である。制御回路270は、データ書き込み、データ消去、データ読み出しの各モードにおいて、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル駆動回路)の動作を制御する。
【0069】
[3-2 第2の実施形態(供給電圧)]
第2の実施形態にかかる半導体記憶装置1420の、書き込みモード、消去モード、読み出しモードにおける各動作を説明する。第2の実施形態の各モードにおける各供給電圧を表2に示す。
【表2】
【0070】
VSLはソースSL[0]~SL[y]に供給される電圧である。VPPは主として書き込み時にビット線及びn型ウェルに供給される電圧である。書き込みモードにおいては、VPP>VWL>VNW>VBL、VSL>0V(GND)>VEEという関係を満たす必要がある。消去モードにおいては、VWL>VBL、VNW>VSL>VEEという関係を満たす。読み出しモードにおいては、VWL、VBL、VNW>VSL>0V(GND)>VEEという関係を満たす。
【0071】
[3-2-1 第2の実施形態(書き込みモード)]
図15は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図16は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に引き続く書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。選択メモリセルに「0」データを書き込む場合を例に示す。
【0072】
図15に示すとおり、書き込みスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(0V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(0V)、n型ウェルにVNW(1.2V)をそれぞれ供給する。
【0073】
図16に示すとおり、書き込み動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLNにVPP(3.8V)を供給し、選択されたメモリセルに接続されるBLTにはVSL(1.8V)を供給し、残りの全てのビット線対にはVBL(0V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたワード線WLにはVEE(-5.0V)を供給し、非選択のワード線WLにはVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はソース線SLにはVBL(0V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたメモリセルのn型ウェルにはVPP(3.8V)を、その他のn型ウェルにはVNW(1.2V)を引き続き供給する。
【0074】
図16に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左トランジスタ(BLNに接続されている。)においては、ゲートにVEE(-5.0V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域が導通し、ソース線SLに供給されたGND(0V)とビット線BLNに供給されたVNW(3.8V)がショットキー接合に印加される。その結果、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールが生成する。このアバランシェ・ホット・ホールは、ゲートに印加されたVEE(-5.0V)によってトランジスタの側壁にトラップされる。このホールがトランジスタの実効的なしきい値電圧をマイナス(例えば、-2.0V)にシフトさせる。
【0075】
他方で、選択されたメモリセルの右トランジスタ(BLTに接続されている。)においては、ビット線BLTに供給される電圧がVBL(1.8V)であるため、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0076】
選択されない列のメモリセルの左右のトランジスタにおいては、ビット線対BLN/BLTに供給される電圧がVBL(0V)であるため、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0077】
選択されない行のメモリセルにおいては、ゲートにVWL(2.2V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域は非道通のままであり、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0078】
以上のように、選択されたメモリセルの左トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0079】
選択メモリセルに「1」データを書き込む場合は、書き込み動作時に右トランジスタに接続されたビット線BLTに3.8Vを印加する。選択されたメモリセルの右トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0080】
ここで、
図16の電圧の印加状態と
図4の電圧の印加状態を比較すると以下のことが理解される。
図4においては、非選択の列のメモリセルにおいても、ゲートとソース間の電圧が1.8V+5.0V=6.8Vになる。このためトランジスタの耐圧を確保する必要が生じるか、書き込み回数に制限が加わってしまう。他方で、
図16においては、非選択の列のメモリセルにおいて、ゲートとソース間の電圧は0V+5.0V=5.0Vにすぎない。このためトランジスタの耐圧は第1の実施形態よりも低くて良く、書き込み回数に制限も加わらない。
【0081】
さらに、
図16においては、書き込みを行わないメモリセルのビット線対の電位が0Vでありn型ウェル電圧が1.2Vである。この結果、
図4の条件よりも、アバランシェ・ホット・ホールが、より生成されにくく、トランジスタの側壁にトラップされにくい。つまり、書き込みディスターブ耐性も向上する。
【0082】
[3-2-2 第2の実施形態(消去モード)]
図17は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図18は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に引き続く消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【0083】
消去動作は、Selected Bitの列の全ての行のメモリセルについて一括して行われる。消去モードの前にプリプログラムが行われることが望ましい。
【0084】
図17に示すとおり、消去スタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(3.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、術のn型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0085】
図18に示すとおり、消去動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのワード線WLにVWL(3.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。
【0086】
図18に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左右トランジスタにおいては、ゲートにVWL(3.2V)が印加されビット線対BLN、BLTにGND(0V)が供給されることから、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・エレクトロンはが生成される。このアバランシェ・ホット・エレクトロンは、ゲートに印加されたVWL(3.2V)によってトランジスタの側壁にトラップされ、プログラム時にトラップしたホールを中和する。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はプラス(例えば、-0.5V)にシフトする。
【0087】
他方で、非選択のメモリセルにおいては、ビット線対BLN、BLTにVBL(2.2V)が供給されることから、トランジスタの側壁にトラップされていたホールはビット線対BLN、BLTに放出されない。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はシフトしない。
【0088】
以上のように、選択されたメモリセルの左右のトランジスタの実効的なしきい値電圧のみをプラスにシフトさせることができる。消去動作は、Selected Bitのみではなく、Selected Column全体について一括して行ってもよい。
【0089】
[3-2-3 第2の実施形態(読み出しモード)]
図19は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図20は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に引き続く読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
【0090】
図19に示すとおり、読み出しスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、全てのn型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0091】
図20に示すとおり、読み出し動作期間には、電圧供給回路は、Selected Columnのメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択された行に対応するワード線WLにVEE(-1.5V)を供給し、その他の非選択ワード線WLにVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はSelected Columnのメモリセルに接続されるソース線SLにVSL(1.0V)を供給し、その他の全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。読み出しが行われる機構は第1の実施形態にかかる半導体記憶装置と同じである。
【0092】
[3-3 第2の実施形態(周辺回路の構成)]
図21は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のウェル電圧駆動回路1405に含まれるウェル電圧駆動要素回路2100の回路図である。Standby信号及び、Program信号は制御回路270から供給される。
【0093】
ウェル電圧駆動回路1405は、トランスファゲート2110、トランスファゲート2120からなる。
【0094】
トランスファゲート2110は、並列に接続したn型トランジスタ2111とp型トランジスタ2112からなり、インバータ2113によって生成されたStandby信号の相補信号によって駆動され、電圧VNWを対応するn型ウェルCNW[0]~CNW[y]に供給する。
【0095】
トランスファゲート2120は、並列に接続されたn型トランジスタ2121とp型トランジスタ2122とからなり、インバータ2123によって生成されたProgram信号の相補信号によって駆動され、電圧VPPを対応するn型ウェルCNW[0]~CNW[y]に供給する。
【0096】
図22は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路260に含まれるソース線駆動要素回路2200の回路図である。Standby信号、Read_Erase信号、Program信号は制御回路270から供給される。
【0097】
ソース線駆動要素回路2200は、トランスファゲート2210、トランスファゲート2220からなる。
【0098】
トランスファゲート2210は、並列に接続したn型トランジスタ2211とp型トランジスタ2212からなり、インバータ2213によって生成されたStandby信号の相補信号によって駆動され、電圧VBLをソース線SLに供給する。
【0099】
トランスファゲート2220は、並列に接続されたn型トランジスタ2221とp型トランジスタ2222とからなり、インバータ2223によって生成されたRead_Erase信号の相補信号によって駆動され、電圧VSLをソース線SLに供給する。
【0100】
[3-4 第2の実施形態の効果]
以上のように構成することにより、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置は、第1の実施形態にかかる半導体装置に加えて、トランジスタの耐圧を高める必要がなく、書き込み回数に制限も加わらない。さらに、書き込みディスターブを効果的に抑制することができる。その結果、大幅に信頼性を向上させた半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【0101】
[4-1 第3の実施形態(回路構成)]
図23は第3の実施形態に係る半導体記憶装置2320の回路図である。半導体記憶装置2320は、一列毎又は複数列毎(
図23においては一列毎にウェル分離をした例が示されている。)にn型ウェルが列方向に分離(
図23においてはy+1個に分離)され、一行毎又は複数行毎(
図23においてはk+1行毎にウェル分離をした例が示されている。)にn型ウェルが行方向に分離(
図23においては(x+1)/(k+1)個に分離)された、メモリセルサブアレイ214、215、・・・219、ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、データ入出力回路250、ソース線駆動回路261、・・・262、ウェル電圧駆動回路1405、制御回路270から構成される。この半導体記憶装置1420は、単体の半導体記憶装置として提供されても良いし、他のロジック回路とともに同じ半導体基板上に形成されても良いことは第1及び第2の実施形態と同様である。
【0102】
メモリセルサブアレイ214には、
図1で説明したトランジスタ170を2つ(右トランジスタと左トランジスタ)からなる対を用いる。メモリセルはk+1行(0、1、・・・k行)1列に列状に配置される。行列状に配置された他のメモリセルサブアレイ215、216、217、・・・219も同様である。メモリセルサブアレイ214、215、216、217、218、219のトランジスタ170はそれぞれ対応するn型ウェル110(214、215、216、217、218、219)に形成されている。個々のn型ウェル110(214、215、216、217、218、219)はウェル電圧駆動回路1405によって、n型ウェル駆動電圧CNW[0]~CNW[y]によって駆動される。メモリセルサブアレイ211、212、213中のメモリセルの共通ソース線はそれぞれソース線駆動回路261、・・・262によって、分割された行毎に個別に駆動される。
【0103】
ワード線駆動回路220は、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240は、データ入出力回路250、ウェル電圧駆動回路1405は第2の実施形態と同様である。制御回路270は、データ書き込み、データ消去、データ読み出しの各モードにおいて、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路261、262及びウェル電圧駆動回路1405)の動作を制御する。
【0104】
[4-2 第3の実施形態(供給電圧)]
第3の実施形態にかかる半導体記憶装置1420の、書き込みモード、消去モード、読み出しモードにおける各動作を説明する。第2の実施形態の各モードにおける各供給電圧を表2に示す。
【表3】
【0105】
VLLは主として書き込み時に選択された行ブロックの非選択のワード線WLに供給される電圧である。書き込みモードにおいては、VLL>VEEという関係を満たす必要がある。好ましくは、VLL>0V(GND)>VEEという関係を満たす必要がある。
【0106】
[4-2-1 第3の実施形態(書き込みモード)]
図24は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図25は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して書き込みスタンバイ期間に引き続く書き込み動作期間に供給される電圧を示した図である。選択メモリセルに「0」データを書き込む場合を例に示す。
【0107】
図24に示すとおり、書き込みスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路261、262及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(0V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(0V)、n型ウェルにVNW(1.2V)をそれぞれ供給する。
【0108】
図25に示すとおり、書き込み動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLNにVPP(3.8V)を供給し、選択されたメモリセルに接続されるBLTにはVSL(1.8V)を供給し、残りの全てのビット線対にはVBL(0V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたワード線WLにはVEE(-5.0V)を供給し、選択された行ブロックに属するメモリセルに接続された他のワード線WLにはVLL(1.2V)を供給し、非選択の行ブロックに属する全てのワード線WLにはVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は、選択されたメモリセルと同じビット線対BLN/BLTに接続された非選択行のメモリセルのソース線SLにはVSL(1.8V)を供給し、他の全てのソース線SLにはVBL(0V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択されたメモリセルのn型ウェルにはVPP(3.8V)を、その他のn型ウェルにはVNW(1.2V)を引き続き供給する。
【0109】
図25に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左トランジスタ(BLNに接続されている。)においては、ゲートにVEE(-5.0V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域が導通し、ソース線SLに供給されたGND(0V)とビット線BLNに供給されたVNW(3.8V)がショットキー接合に印加される。その結果、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールが生成する。このアバランシェ・ホット・ホールは、ゲートに印加されたVEE(-5.0V)によってトランジスタの側壁にトラップされる。このホールがトランジスタの実効的なしきい値電圧をマイナス(例えば、-2.0V)にシフトさせる。
【0110】
他方で、選択されたメモリセルの右トランジスタ(BLTに接続されている。)においては、ビット線BLTに供給される電圧がVBL(1.8V)であるため、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0111】
選択されない列のメモリセルの左右のトランジスタにおいては、ビット線対BLN/BLTに供給される電圧がVBL(0V)であるため、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0112】
選択された行ブロックのメモリセルにおいては、ゲートにVLL(1.2V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域は非道通のままであり、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。
【0113】
選択されない行ブロックのメモリセルにおいては、ゲートにVWL(2.2V)が印加されることから、ゲート直下のチャネル領域は非道通のままであり、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・ホールは生成しない。よって、トランジスタの実効的なしきい値電圧はマイナスにシフトしない。ここで、選択されない行ブロックのメモリセルで、かつ、選択されたメモリセルと同じ列に属する(ビット線対BLN/BLTを共通にする)メモリセルにおいてはソース線SLにVSL(1.8V)が供給される。
【0114】
以上のように、選択されたメモリセルの左トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0115】
選択メモリセルに「1」データを書き込む場合は、書き込み動作時に右トランジスタに接続されたビット線BLTに3.8Vを印加する。選択されたメモリセルの右トランジスタの実効的なしきい値電圧のみをマイナスにシフトさせることができる。
【0116】
ここで、
図25の電圧の印加状態と
図16の電圧の印加状態を比較すると以下のことが理解される。
図16においては、書き込みを行なうメモリセルの属する行以外の行のメモリセルは、ソース・ドレイン間に3.8Vが印加される。その結果、ソース・ドレイン間にリーク電流が生じてビット線電圧が十分に上昇しないというディスターブが発生する可能性がある。他方で、
図25においては、書き込みを行なうメモリセルの属する行以外の行のメモリセルは、ソース電圧がVSL(1.8V)であるため、ソース・ドレイン間の電圧は3.8V-1.8V=2.0Vである。その結果、ソース・ドレイン間に流れるリーク電流が低減し、ビット線にディスターブが発生する可能性が低減される。
【0117】
[4-2-2 第3の実施形態(消去モード)]
図26は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図27は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して消去スタンバイ期間に引き続く消去動作期間に供給される電圧を示した図である。
【0118】
消去動作は、Selected Bitの列の全ての行のメモリセルについて一括して行われる。消去モードの前にプリプログラムが行われることが望ましい。
【0119】
図26に示すとおり、消去スタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(3.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、術のn型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0120】
図27に示すとおり、消去動作期間には、電圧供給回路は、選択されたメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのワード線WLにVWL(3.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。
【0121】
図27に示す電圧を印加することにより以下のような動作が行われる。選択されたメモリセルの左右トランジスタにおいては、ゲートにVWL(3.2V)が印加されビット線対BLN、BLTにGND(0V)が供給されることから、ショットキー接合部分でアバランシェ・ホット・エレクトロンが生成される。このアバランシェ・ホット・エレクトロンは、ゲートに印加されたVWL(3.2V)によってトランジスタの側壁にトラップされ、プログラム時にトラップしたホールを中和する。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はプラス(例えば、-0.5V)にシフトする。
【0122】
他方で、非選択のメモリセルにおいては、ビット線対BLN、BLTにVBL(2.2V)が供給されることから、トランジスタの側壁にトラップされていたホールはビット線対BLN、BLTに放出されない。この結果、トランジスタの実効的なしきい値電圧はシフトしない。
【0123】
以上のように、選択されたメモリセルの左右のトランジスタの実効的なしきい値電圧のみをプラスにシフトさせることができる。消去動作は、Selected Bitのみではなく、Selected Column全体について一括して行ってもよい。
【0124】
[4-2-3 第3の実施形態(読み出しモード)]
図28は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図29は第2の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に引き続く読み出し動作期間に供給される電圧を示した図である。
【0125】
図28に示すとおり、読み出しスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、全てのn型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0126】
図29に示すとおり、読み出し動作期間には、電圧供給回路は、Selected Columnのメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択された行に対応するワード線WLにVEE(-1.5V)を供給し、その他の非選択ワード線WLにVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はSelected Columnのメモリセルに接続されるソース線SLにVSL(1.0V)を供給し、その他の全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。読み出しが行われる機構は第1、第2の実施形態にかかる半導体記憶装置と同じである。
【0127】
[4-3 第3の実施形態(周辺回路の構成)]
図30は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路261、262に含まれるソース線駆動要素回路3000の回路図である。Standby信号、Selected_Row_Block信号、Read_Erase信号、Program信号は制御回路270から供給される。
【0128】
ソース線駆動要素回路3000は、トランスファゲート3010、トランスファゲート3020及び論理回路3030からなる。
【0129】
トランスファゲート3010は、並列に接続したn型トランジスタ3011とp型トランジスタ3012からなり、インバータ3013によって生成された論理回路3030の出力の相補信号によって駆動され、電圧VBLをソース線SLに供給する。
【0130】
トランスファゲート3020は、並列に接続されたn型トランジスタ3021とp型トランジスタ3022とからなり、インバータ3023によって生成された論理回路3030の出力の相補信号によって駆動され、電圧VSLをソース線SLに供給する。
【0131】
論理回路3030は、インバータ3031、NANDゲート3032、NANDゲート3033、インバータ3034、NANDゲート3035、NANDゲート3036、インバータ3037からなり、書き込み動作時において非選択の行ブロックに限り、ソース線SLにVSLを供給し、それ以外の条件ではソース線にVBLを供給するよう、トランスファゲート3031、3032を制御する。
【0132】
図31は第3の実施形態に係る半導体記憶装置のワード線駆動回路220に含まれるワード線駆動回路要素3100の回路図である。Word Line Enable信号は制御回路270から供給される。Word Line Enable信号は、行アドレスをデコードした信号である。
【0133】
ワード線駆動回路要素3100は、p型トランジスタ3151及びn型トランジスタ3152からなるインバータ3150、p型トランジスタ3141及びn型トランジスタ3142からなるインバータ3140、レベルシフト回路3130、トランスファゲート3120及び論理回路からなる。
【0134】
レベルシフト回路3130は、インバータ3140によって駆動されるp型トランジスタ3132と、インバータ3150によって駆動されるp型トランジスタ3131とクロスカップルされた2つのn型トランジスタ3133、3134、ワード線WLをVEEに駆動するn型トランジスタ3113、ワード線WLをVWLに駆動するp型トランジスタ3112からなる。
【0135】
トランスファゲート3120は、並列に接続したn型トランジスタ3121とp型トランジスタ3122からなり、論理回路の相補信号によって駆動され、電圧VLLをワード線WLに供給する。
【0136】
論理回路(NANDゲート3110、NANDゲート3111)は、書き込み動作時に、選択行ブロックに属し、かつ、非選択のワード線に限り電圧VLLをワード線WLに供給するよう制御を行う。
[4-4 第3の実施形態の効果]
以上のように構成することにより、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置は、第2の実施形態にかかる半導体装置に加えて、書き込みディスターブを効果的に抑制することができる。その結果、大幅に信頼性を向上させた半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【0137】
[5-1 第4の実施形態(概要)]
以下、第4の実施形態を説明する。第4の実施形態は、第3の実施形態にかかる半導体記憶装置1420に
図34の定電流回路を付加して、定電流読み出しモードを付加したものである。その他の回路構成や供給電圧は大3の実施形態と同様である。
【0138】
[5-2 第4の実施形態(読み出しモード)]
図32は第4の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に供給される電圧を示した図である。
図33は第4の実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルに対して読み出しスタンバイ期間に引き続く読み出し動作期間に供給される電圧及びソース線SLに供給される電流を示した図である。
【0139】
図32に示すとおり、読み出しスタンバイ期間には、電圧供給回路(ワード線駆動回路220、カラムスイッチ230、センスアンプ回路240、ソース線駆動回路260及びウェル電圧駆動回路1405)は、全てのビット線対にVBL(2.2V)、全てのワード線WLにVWL(2.2V)、全てのソース線SLにVBL(2.2V)、全てのn型ウェルにVNW(2.2V)をそれぞれ供給する。
【0140】
図33に示すとおり、読み出し動作期間には、電圧供給回路は、Selected Columnのメモリセルに接続されるBLN及びBLTにGND(0V)を供給し、非選択のメモリセルに接続される全てのビット線対にはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は選択された行に対応するワード線WLにVEE(-1.5V)を供給し、その他の非選択ワード線WLにVWL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路はSelected Columnかつ選択行ブロックのメモリセルに接続されるソース線SLに10μAの定電流を流し、Selected Columnかつ非選択行ブロックのメモリセルに接続されるソース線SLにVSL(1.0V)を供給し、その他の全てのソース線SLにはVBL(2.2V)を引き続き供給する。電圧供給回路は全てのn型ウェルにVNW(2.2V)を引き続き供給する。
【0141】
[5-3 第4の実施形態(周辺回路の構成)]
図34は第4の実施形態に係る半導体記憶装置のソース線駆動回路261、262に含まれるソース線駆動要素回路3400の回路図である。Standby信号、Selected_Row_Block信号、Read信号、Erase信号、Program信号は制御回路270から供給される。
【0142】
ソース線駆動要素回路3400は、トランスファゲート3410、トランスファゲート3420、定電流供給回路3450及びこれらを制御する論理回路からなる。
【0143】
トランスファゲート3410は、並列に接続したn型トランジスタ3411とp型トランジスタ3412からなり、インバータ3413によって生成された論理回路の出力の相補信号によって駆動され、電圧VBLをソース線SLに供給する。
【0144】
トランスファゲート3420は、並列に接続されたn型トランジスタ3421とp型トランジスタ3422とからなり、インバータ3423によって生成された論理回路の出力の相補信号によって駆動され、電圧VSLをソース線SLに供給する。
【0145】
定電流供給回路3450は、抵抗3456(さらに別の定電流回路であってもよい)とゲートとソースが接続されたp型トランジスタ3455とからなる定電流源と、p型トランジスタ3455とゲートが共通接続されたp型トランジスタ3454とを有する。p型トランジスタ3455とp型トランジスタ3454とは同一の半導体基板上に形成されているため、そのチャネル幅が等しければ、両者に流れる電流は一致する。そして、この電流(10μA)は、並列に接続されたn型トランジスタ3451とp型トランジスタ3452からなりインバータ3458によって生成された論理回路の出力の相補信号によって駆動されるトランスファゲートを経由して、ソース線SLに供給される。
【0146】
論理回路は、インバータ3431、NANDゲート3432、NANDゲート3433、インバータ3434、NANDゲート3435、NANDゲート3436、インバータ3437、インバータ3438、NANDゲート3439、NANDゲート3440からなる。この論理回路は、読み出し動作期間に、選択行ブロックのソース線SLに定電流供給回路3450から定電流(10μA)を供給するように制御する。さらに、この論理回路は、書き込み動作時において非選択の行ブロックに限り、ソース線SLにVSLを供給し、それ以外の条件ではソース線にVBLを供給するよう、トランスファゲート3431、3432を制御するのは第3の実施形態にかかる半導体記憶装置と同様である。
【0147】
[5-4 第4の実施形態の効果]
以上のように構成することにより、第4の実施形態にかかる半導体記憶装置は、第4の実施形態にかかる半導体装置に加えて、定電流をソースから供給することで、読み出しの感度を向上することが可能となる。その結果、大幅に信頼性を向上させた半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【0148】
[6 第5の実施形態]
以上、第1~第4の実施形態を説明したが、これら実施形態においては、読み出し動作時の選択ワード線の電圧VEEは、例えば-1.5Vで固定されていた。しかしながら、書き込み動作と消去動作を繰り返すと、メモリセルを構成するトランジスタのしきい値が変動する。具体的にはしきい値の絶対値が徐々に大きくなる。その原因は、消去しきれない残留電荷や界面準位が発生するからである。しかし、このしきい値の変動は時間の経過と共に回復することもある。よって、消去動作の直後と、数ヶ月後、数年後で、最適な選択ワード線の電圧が異なる。
【0149】
上記問題を解決するため、メモリセルアレイの一部の行をダミーセルの領域として区画する。そして、その区画に所定のデータ(例えば、10101010・・・)を書き込む。次いで、ダミーセルのVEEを例えば-0.5V~-2Vの範囲で読み出し、読み出しエラーとならないVEEの範囲を測定し、その範囲内で最適なVEEの値を再設定する。この再設定は外部のシステムからのトリガーに応じて行っても良いし、タイムスタンプを保存することによって、所定期間が経過するタイミングで行っても良いし、起動のタイミングで自動的に行っても良い。
【0150】
再設定のシーケンスの一例として、VEEを初期値に設定し、ダミーセルの領域のデータを読み出し、これが所定のデータかどうかを比較し、読み出しエラーが生じない場合はその値をVEEとして再設定し、読み出しエラーが生じていた場合には、VEE=VEE+ΔVEEとして再度読み出しを行う。そして、このループを繰り返す。
【0151】
VEEの再設定のシーケンスは、半導体記憶装置外部のCPU等から制御してもよいし、半導体記憶装置内部にハードウェアシーケンサーを設け、これによって制御してもよい。いずれの場合にもVEEの電圧を制御するためのレジスタが必要である。そして、そのレジスタに値を書き込むことによってVEEの電圧が変動する。
【0152】
以上のとおりの、VEEの再設定のシーケンスを導入することによって、半導体記憶装置のしきい値の変動にかかわらず読み出しを最適化することができる。
【0153】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態の回路を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0154】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0155】
200 半導体記憶装置
210 メモリセルアレイ
220 ワード線駆動回路
230 カラムスイッチ
240 センスアンプ回路
250 データ入出力回路
260 ソース線駆動回路
270 制御回路