(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074161
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】チャックユニット
(51)【国際特許分類】
B23P 19/06 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
B23P19/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185263
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金 日東
(57)【要約】
【課題】本発明は、閉鎖部材が位置ずれしないチャックユニットの提供をする。
【解決手段】
締結工具100が挿通されるチャック本体20を有し、このチャック本体20には、締結部品Sを保持可能な一対のチャック爪30を揺動自在に配されているとともに、前記チャック爪30の揺動面に交差するホース継手22と、前記チャック爪30の揺動面から離反する方向へ揺動自在なスイングパイプ40と、このスイングパイプ40を前記チャック爪30側に常時付勢する圧縮ばね25と、前記スイングパイプ40が揺動した際、その先端を閉鎖する閉鎖部材42とを備え、前記閉鎖部材42は、前記スイングパイプ40を通過するねじSの移動方向に対して鋭角方向に伸びる固定ねじ44により、前記チャック本体20にねじ止め固定されていることを特徴とするチャックユニット10による。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結工具が挿通されるチャック本体と、
前記チャック本体に揺動自在に装着されるとともに、前記締結工具の軸線上に締結部品を保持可能な保持孔が分割形成された一対のチャック爪と、
前記チャック爪を常時閉じる方向へ付勢する爪ばねと、
前記チャック爪の揺動面に交差する方向に延びるホース継手と、
前記ホース継手と前記チャック爪との間に配され、前記チャック爪の揺動面から離反する方向へ揺動自在なスイングパイプと、
前記スイングパイプを前記ホース継手と前記チャック爪とを接続する方向へ常時付勢する付勢部材と、
前記スイングパイプがチャック爪から離反する方向に揺動した際、当該スイングパイプの先
端を閉鎖する閉鎖部材とを備えたチャックユニットにおいて、
前記閉鎖部材は、前記スイングパイプを通過するねじの移動方向に対して鋭角方向に伸びる固定ねじにより、前記チャック本体にねじ止め固定されていることを特徴とする。
【請求項2】
前記チャック本体には、前記スイングパイプを挟むよう配置された一対の固定突起が形成されており、
前記固定突起の先端には前記閉鎖部材が嵌合する嵌合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチャックユニット。
【請求項3】
前記固定ねじは、頭部と前記閉鎖部材との間に弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載のチャックユニット。
【請求項4】
前記固定ねじは、閉鎖部材の厚さより若干長寸に構成された首下部を有しており、前記首下部は、前記弾性部材を常時圧壊しない程度に変形させるよう設定されていることを特徴とする請求項3に記載のチャックユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されたねじを安定して受け取り可能なチャックユニットに関する
【背景技術】
【0002】
従来、所定の供給装置から圧送されたねじSを作業機の締結工具100の移動経路上に保持するチャックユニット200として特許文献1に開示されるものが知られている。このようなチャックユニット200は、
図6および
図7に示すように締結工具100の移動経路上に配置されるチャック本体201と、このチャック本体201に揺動自在に保持された一対のチャック爪202と、チャック爪202にねじSを供給するスイングパイプ203を備えており、前記チャック爪202には、供給されたねじSを保持する保持孔が分割形成されていた。また、前記スイングパイプ203は、チャック爪202の揺動面から離反する方向に旋回可能に構成されていた。これら構造により、外部の供給装置から圧送されたねじSがスイングパイプ203を通り、チャック爪202の保持孔まで供給された後、前記スイングパイプ203を締結工具100が旋回させることが可能であり、ねじSをスクリューガイド101あるいはドライバビット103が係合可能であった。
【0003】
また、前記チャックユニット200には、前述のようにスイングパイプ203がチャック爪202から離反する方向に揺動した際、当該スイングパイプ203の開口部を閉鎖する閉鎖部材204が設けられている。このようにスイングパイプ203の開口部が閉鎖部材204に封鎖されているため、スイングパイプ203がチャック爪202から離反する方向に揺動している状態で次段のねじSを供給可能となる。つまり、チャックユニット200は、ねじSの締結動作中に次段のねじSをスイングパイプ203まで供給することが可能であった。そのため、締結工具100の復帰動作により、スイングパイプ203と保持孔とが連続した次点で次段Sのねじが保持孔に供給される。このように復帰動作の途中で次段のねじSを供給できるため、特許文献1に記載のチャックユニット200は、サイクルタイムが短く作業効率が良いという特徴があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記チャックユニット200は、閉鎖部材204をチャック本体201に固定する固定ねじ205の軸線とスイングパイプ203を通過するねじの移動方向との角度差βが90°以上になるよう構成されており、スイングパイプ203を通過したねじSが閉鎖部材204に衝突した際の衝撃が固定ねじに作用しない構造であった。そのため、長期間使用すると、閉鎖部材204が
図9の二点鎖線で示す初期位置から少しずつ下方に位置ずれし、閉鎖部材204とチャック爪202と境界部分に段差ができることがあった。このように段差ができた状態でスイングパイプ203が揺動すると、
図8に示すようにねじの先端が前記段差に係止されるため、スイングパイプ203の揺動が阻害される。このように従来のチャックユニット200には、長期間使用した際、閉鎖部材204の位置ずれに起因する供給不良が発生する等の問題があった。
【0006】
そのため、本発明は、閉鎖部材が位置ずれしないよう構成されたチャックユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて創生されたものであり、締結工具が挿通されるチャック本体と、前記チャック本体に揺動自在に装着されるとともに、前記締結工具の軸線上に締結部品を保持可能な保持孔が分割形成された一対のチャック爪と、前記チャック爪を常時閉じる方向へ付勢する爪ばねと、前記チャック爪の揺動面に交差する方向に延びるホース継手と、前記ホース継手と前記チャック爪との間に配され、前記チャック爪の揺動面から離反する方向へ揺動自在なスイングパイプと、前記スイングパイプを前記ホース継手と前記チャック爪とを接続する方向へ常時付勢する付勢部材と、前記スイングパイプがチャック爪から離反する方向に揺動した際、当該スイングパイプの先端を閉鎖する閉鎖部材とを備えたチャックユニットにおいて、前記閉鎖部材は、前記スイングパイプを通過するねじの移動方向に対して鋭角方向に伸びる固定ねじにより、前記チャック本体にねじ止め固定されていることを特徴とする。なお、前記チャック本体には、前記スイングパイプを挟むよう配置された一対の固定突起が形成されており、前記固定突起の先端には前記閉鎖部材が嵌合する嵌合部が形成されていることが好ましい。また、前記固定ねじは、頭部と前記閉鎖部材との間に弾性部材を有することが好ましい。さらに、前記固定ねじは、閉鎖部材の厚さより若干長寸に構成された首下部を有しており、前記首下部は、前記弾性部材を常時圧壊しない程度に変形させるよう設定されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチャックユニットは、前記固定ねじが圧送されたねじの移動方向と鋭角になるよう構成されており、ねじが閉鎖部材と衝突した際の衝撃を固定ねじが受け止め可能となる。このため、前記衝撃による閉鎖部材の位置ずれを防止でき、当該位置ずれに起因する供給不良を防止可能等の利点がある。なお、前記閉鎖部材がチャック本体に形成された固定突起の先端の嵌合部と嵌合しているため、閉鎖部材を交換する際の位置決めが容易になる等の利点がある。また、前記固定ねじが頭部と前記閉鎖部材との間に弾性部材を有することにより、圧送されてきたねじが閉鎖部材と衝突した際の衝撃を低減することができ、閉鎖部材の摩耗防止可能等の利点もある。さらに、前記固定ねじが閉鎖部材の厚さより若干長寸の首下部を有しているため、弾性部材を圧壊させることなく強固にねじ止め可能等の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るチャックユニットの構造を示す正面図である。
【
図2】本発明に係るチャックユニットの構造を示す側面図である。
【
図3】本発明に係るチャックユニットの構造を示す一部断面側面図である。
【
図4】
図3の状態から次の状態に移行した状態を示す一部断面側面図である。
【
図5】本発明に係る閉鎖部材および固定ねじの構造を示す
図1のAの要部拡大一部断面正面図であり、(a)は第一の実施形態の要部拡大正面図であり、(b)は第二の実施形態の要部拡大正面図であり、(c)は第三の実施形態の要部拡大正面図である。
【
図6】従来のチャックユニットの構造を示す側面図である。
【
図7】従来のチャックユニットの構造を示す一部断面側面図である。
【
図8】
図7の状態から次の状態に移行した状態を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし
図5において10は、ねじ締め機に用いられるチャックユニット10である。このチャックユニット10は、上下方向に伸びる締結工具100の移動経路上に設置されるチャック本体20と、このチャック本体20に揺動自在に支持される一対のチャック爪30、30と、このチャック爪30、30に締結部品の一例であるねじSを供給するスイングパイプ40とから構成されている。
【0011】
前記チャック本体20には、
図3に示すように前記締結工具100の最大径より大きい穴径を有する案内孔21が貫通形成されており、この案内孔21は、前記締結工具100が軸方向に移動自在に貫通している。また、チャック本体20の両側面には、案内孔21を挟むように一対の前記チャック爪30、30が揺動自在に装着されている。これらチャック爪30、30は、チャック本体20との間に挟設された爪ばね(図示せず)により、常時下側端部が閉じるよう付勢されており、その対向面には、前記案内孔21の延長線上に保持孔31が分割形成されている。この保持孔31は、前記ねじSの頭部径より大きい穴径に形成されており、その下方には、ねじSの首部径より大きくかつ頭部径より小さい穴径のガイド孔32が連続している。これにより、供給されたねじSは、チャック爪30、30の保持孔31およびガイド孔32の境界部分に頭部座面を当接させて保持される。
【0012】
また、前記チャック本体20には、前記案内孔21に対して傾斜し、それぞれの延長線が交差するようにホース継手22が装着されている。このホース継手22は、ねじSが通過可能な円筒形状に構成されており、一端には、外部の供給装置(図示せず)まで連続する供給ホース(図示せず)が接続されている。さらに、チャックユニット10は、前記ホース継手22と前記チャック爪30、30との間に、これらを連続させる前記スイングパイプ40が設置されている。このスイングパイプ40は、ねじSが通過可能な待機孔41が軸方向に貫通形成された略円筒形状部材であり、
図2に示すようにチャック本体20の両側面それぞれに配された止めねじ23,23を支軸として前記チャック爪30、30の揺動面から離反する方向へ揺動可能に装着されている。なお前記供給装置は、特開平9-234635号公報等に記載された従来既知の供給装置であり、前記ホース継手22に接続される供給ホースを通じてねじSを圧送可能に構成される。
【0013】
前記チャック本体20には、前記スイングパイプ40の先端部がチャック爪30、30の保持孔31の上端部に連続するように付勢する付勢部材の一例である圧縮ばね24と、この圧縮ばね24を保持するばね保持部25とを備えている。ばね保持部25は、圧縮ばね24がスイングパイプ40を常時付勢するとともに
図4に示すように前記締結工具100が通過可能な角度、スイングパイプ40が揺動しても圧縮ばね24が圧壊しないように設計されている。
【0014】
また、前記チャック本体20には、
図2に示すように下方に向かい伸びる一対の固定突起26が前記スイングパイプ40を挟むように形成されている。この固定突起26の下端には、嵌合部27が切欠き形成されており、この嵌合部27には、当該固定突起26を橋渡しするように閉鎖部材42が設けられている。この閉鎖部材42は、固定ねじ44によって固定突起26にねじ止めされており、前述のように締結工具100が通過可能な角度、スイングパイプ40が揺動した際、スイングパイプ40の待機孔41の先端を閉鎖可能に位置決めされている。なお、固定ねじ44は、その軸線が前記スイングパイプ40を通過するねじSの移動方向つまり当該スイングパイプ40の長手方向との角度差αが90°以下になるように配置されており、本実施形態では、前記スクリューガイド101と平行となるよう構成されている。また、閉鎖部材42には、揺動した状態のスイングパイプ40と直行方向に広がる当接面43を有しており、この当接面43が前記スイングパイプ40の揺動を阻害せず、なおかつ、当該当接面43とスイングパイプ40との隙間にねじSが噛み込まないような若干の隙間を有するように配置されている。
【0015】
なお、前記締結工具100は、略円筒形状に構成されたスクリューガイド101とこのスクリューガイド101内に収容されるドライバビット103を備えており、このスクリューガイド101およびドライバビット103は、往復駆動源(図示せず)の駆動を受けて、軸方向に往復移動可能に構成されている。このため、スクリューガイド101およびドライバビット103は、往復駆動源の駆動を受けて前記チャックユニット10に対して、相対移動することができる。また、スクリューガイド101は、その下方開口部102がねじSを収容可能な大きさに構成されている一方、上端部には、真空ポンプ(図示せず)が接続されている。このため、当該真空ポンプが駆動することにより、下方開口部102からエア吸引可能に構成される。これにより、下方開口部102内にねじSを吸引することが出来るとともに、負圧によってねじSを吸着保持することが可能となる。
【0016】
また、スクリューガイド101は、クッションばね(図示せず)によって常時下方に付勢されており、当該クッションばねが撓むことでドライバビット103に対して相対移動するように構成されている。このため、ドライバビット103は、スクリューガイド101の内部に常時収容されているとともにスクリューガイド101が上側に押圧されると、スクリューガイド101内部で相対的に下降してねじSと嵌合可能となる。また、前記ドライバビット103は、回転駆動源(図示せず)の駆動を受けて回転可能に構成されており、所定の締付けトルクでねじSを締結可能に構成されている。さらに、ねじ締め機には、前記往復駆動源や回転駆動源等の各種駆動源および、真空ポンプや供給装置等の外部装置の駆動を制御可能な制御装置を備えている。
【0017】
次に、上記のように構成されたチャックユニット10の作用を説明する。
図3に示すように締結工具100がチャックユニット10に対して上昇している待機状態で駆動信号が入力されると前記供給装置は、ねじSをチャックユニット10に向けて圧送する。この圧送されたねじSは、前記供給ホースおよびスイングパイプ40を通じてチャック爪30、30の保持孔31まで供給される。ねじSが保持孔31まで供給された後、前記往復駆動源が駆動して前記スクリューガイド101およびドライバビット103を下降させるとともに前記真空ポンプが駆動してスクリューガイド101の下方開口部102からエア吸引を開始する。これにより、スクリューガイド101に押されたスイングパイプ40がチャック爪30、30から離反する方向に揺動する。この時、揺動したスイングパイプ40の先端が前記閉鎖部材42によって閉鎖される。その後、前記スクリューガイド101が前記保持孔31内に侵入してその下方開口部102内にねじSを吸着保持する。
【0018】
上述のように保持孔31にねじSの供給後、前記往復駆動源および前記吸引装置が作動して、前記ドライバビット103およびスクリューガイド101をねじSに向かって下降するとともに、前記スクリューガイド101の下方開口部102からエア吸引を開始する。この時、前記スイングパイプ40は、下降する締結工具100に押されてチャック爪30、30の揺動面から離反する方向に揺動する。その後、前記スクリューガイド101が前記保持孔31内に侵入してその下方開口部102内にねじSを吸着保持する。この時、前述のようにねじSが保持孔31内に正しい姿勢で保持されているため、スクリューガイド101の下方開口部102に確実にねじSを吸着保持することが可能となる。
【0019】
上述のようにスクリューガイド101の下方開口部102にねじSが吸着保持されると、ねじ締め機は、前記往復駆動源を駆動させてスクリューガイド101をさらに下降させる。これにより、当該スクリューガイド101が前記チャック爪30、30に接触し、徐々にチャック爪30、30を拡開させる。結果、スクリューガイド101の下方開口部102からドライバビット103が突出し、ねじSが脱落すること等が防止される。その後、チャック爪30、30から突出したスクリューガイド101が被締結部材(図示せず)の表面に当接すると、前記クッションばねが撓み、ドライバビット103のみが下降する。この時、ドライバビット103は、前記回転駆動源の駆動を受けて回転しており、スクリューガイド101内でドライバビット103とねじSが嵌合するため、ねじSは、被締結部材に締結される。その後、ねじSが所定の締付けトルクでワークに締結されると、前記負圧発生手段および回転駆動源が停止するとともに前記往復駆動源が駆動してスクリューガイド101およびドライバビット103を当初の位置まで復帰させる。
【0020】
また、前述のように回転駆動源が停止すると、制御装置は、前記供給装置を駆動させねじSを圧送させる。この時、前記スイングパイプ40の先端は、前記閉鎖部材42によって閉鎖されているため、スイングパイプ40まで圧送されたねじSは、閉鎖部材42に衝突して停止する。その後、スクリューガイド101およびドライバビット103が
図3に示す当初の位置まで復帰するに従い、スイングパイプ40がチャック爪30、30側に揺動する。これにより、スイングパイプ40の待機孔41が保持孔31に連続すると、二点鎖線に示すように待機孔41内のねじSがスイングパイプ40から保持孔31に受け渡される。このようにチャックユニット10およびドライバビット103が復帰する途中で次段のねじSを供給できるため、復帰した直後に次のねじSの締結作業に取りかかることが可能となり、サイクルタイムを短縮することができる。
【0021】
また、チャックユニット10は、前記固定ねじ44の軸線とスイングパイプ40を通過するねじSの移動方向との角度差αが90°以下になるよう構成されているため、供給されたねじSが閉鎖部材204に衝突した際の衝撃が固定ねじ44に作用する。このように、固定ねじ44が閉鎖部材42をねじが衝突する方向に支持しているため、供給されたねじSが閉鎖部材42に衝突しても、従来技術のように閉鎖部材42が下方に位置ずれすることがない。同時に閉鎖部材42は、固定突起26に形成された嵌合部27に嵌合しているため、チャック爪30、30側に位置ずれすることも防止されている。これらにより、長期間使用しても閉鎖部材42が位置ずれしない。よって、従来技術のように位置ずれすることに起因して供給不良が生じることもない。結果、チャックユニット10は、ねじSを安定して供給することが可能となる。
【0022】
さらに、長期間の使用により前記当接面43が摩耗した閉鎖部材42を交換する場合、前記嵌合部27に嵌合させた新たな閉鎖部材42を固定ねじ44でねじ止めするのみでよい。このため、微細な位置調整が必要ないため、閉鎖部材42を容易に交換可能となる。同時に、本願チャックユニット10の閉鎖部材42は、従来のチャックユニット200の閉鎖部材204より小さく簡単な形状に形成されているため、安価に製造可能となる。
【0023】
なお、本発明に係るチャックユニット10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、チャックユニット10は、ねじSを締結するねじ締め機に用いられていたが、これに限定されず、リベットを被締結部材に打ち付けるかしめ機等、その他有頭部品を圧送する作業機に用いられても何ら問題ない。もちろん、締結工具100も、スクリューガイド101およびドライバビット103に限定されることなくその他の工具であっても何ら問題ない。また、チャックユニット10の各種寸法は、供給されるねじSによって適宜選択されることが好ましい。
【0024】
また、前記固定ねじ44は、
図5の(a)に示すようにワッシャを有する普通のねじであっても良いが、これに限定されず、
図5の(b)に示すように頭部と閉鎖部材42との間にゴムやばね等からなる弾性部材45を有していても良い。このように弾性部材45を備える場合、閉鎖部材42にねじSが衝突した際の衝撃を弾性部材45が吸収するため、閉鎖部材42およびねじSが傷つき難くなる。さらに、
図5の(c)に示すように閉鎖部材42の厚さ寸法より若干長い首下部46を有しており、この首下部46が弾性部材45を圧壊しない程度に常時押圧するように設定されていても良い。このような首下部46を有する固定ねじ44は、首下部46の座面が固定突起26に着座して強固にねじ止め可能であるため、緩み難くなるとともに弾性部材45を圧壊しない適度な寸法変形させることが容易に調節可能となる。
【符号の説明】
【0025】
10 … チャックユニット
100 … 締結工具
101 … スクリューガイド
102 … 下方開口部
103 … ドライバビット
20 … チャック本体
21 … 案内孔
22 … ホース継手
23 … 止めねじ
24 … 圧縮ばね
25 … ばね保持部
26 … 固定突起
27 … 嵌合部
30 … チャック爪
31 … 保持孔
32 … ガイド孔
40 … スイングパイプ
41 … 待機孔
42 … 閉鎖部材
43 … 当接面
44 … 固定ねじ
45 … 弾性部材
46 … 首下部