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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074162
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 5/00 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
B25J5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185266
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003388
【氏名又は名称】東京計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩田 雄治
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CS08
3C707WA16
3C707WA19
3C707WA23
(57)【要約】
【課題】より安定して複数の減圧ファンによる減圧吸着を開始させることができる技術を提供する。
【解決手段】壁面との間に負圧となる減圧空間を画成して壁面に吸着する吸着装置1であって、減圧空間を画成し、外部から減圧空間内に空気を流入させる流入孔が形成される仕切部10及び基台11と、減圧空間内の空気を外部に排出して減圧空間内を減圧する複数の減圧ファン12A,12Bと、流入孔を開閉する開閉機構2とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面との間に負圧となる減圧空間を画成して前記壁面に吸着する吸着装置であって、
前記減圧空間を画成し、外部から前記減圧空間内に空気を流入させる流入孔が形成される空間画成部と、
前記減圧空間内の空気を外部に排出して前記減圧空間内を減圧する複数の減圧ファンと、
前記流入孔を開閉する開閉機構と
を備える吸着装置。
【請求項2】
開閉機構による前記流入孔の開度を制御する制御装置を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の吸着装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記吸着装置が起動された場合、前記複数の減圧ファンの作動開始に先立って前記開閉機構に前記流入孔を開放させることを特徴とする請求項2に記載の吸着装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記複数の減圧ファンの作動開始後に該複数の減圧ファンの全ての回転数が予め設定された閾値に達した場合、前記開閉機構による前記流入孔の開度を小さくすることを特徴とする請求項3に記載の吸着装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記複数の減圧ファンの作動開始後に該複数の減圧ファンの全ての回転数が予め設定された閾値に達した場合、前記開閉機構に前記流入孔を閉鎖させることを特徴とする請求項4に記載の吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に吸着する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物の検査を行うための移動装置として、壁面を走行するロボットが知られている。この種のロボットとしては、本体に設けられた吸着装置が壁面に吸着することにより壁面を走行可能としたものが提案されており、その吸着方式としては、プロペラによる壁面への押し付け、真空ポンプやファンによる減圧吸着、磁力による吸着、また、静電力や分子間力を用いた壁面への吸着などがある。
【0003】
橋梁の橋脚、箱桁、建物外壁などの構造物の壁面、即ち、コンクリートのような絶縁性の物体に吸着して安定してロボットを移動させる場合、上述の吸着方式のうち、真空ポンプや減圧ファンによる減圧吸着が有効である。この減圧吸着は、ロボットと吸着対象の壁面との間において画成された減圧空間の空気を外部へ排出することによって減圧空間を減圧し、減圧空間内の気圧と大気圧との差圧によりロボットを壁面に吸着させるものである。
【0004】
このような減圧吸着に関する技術として、壁面との間に生じる減圧空間の減圧を行う減圧装置と接続される基台と、基台の周縁に設けられ、減圧空間の周壁における基台側部分を弾性部材により形成する第1仕切部と、第1仕切部よりも壁面側に設けられ、壁面側の一端部が壁面に接触するように、減圧空間の周壁における壁面側部分を弾性部材により形成する第2仕切部と、減圧空間が負圧となることにより第2仕切部の基台側の他端部が減圧空間に引き込まれるように変形することを規制するように第2仕切部に設けられる第1規制部材とを備える吸着装置、が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-059065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数の減圧ファンにより減圧吸着を行う吸着装置においては、吸着装置の起動時に複数の減圧ファン間で回転数に差が生じ、比較的回転数が大きい一部の減圧ファンが他の減圧ファンの流路を介して減圧空間に外気を取り込んでしまうことがある。この際、他の減圧ファンは、空気の逆流により逆回転することとなり、正常に作動することができない、という問題がある。
【0007】
本発明の実施形態は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、より安定して複数の減圧ファンによる減圧吸着を開始させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本実施形態に係る吸着装置は、壁面との間に負圧となる減圧空間を画成して前記壁面に吸着する吸着装置であって、前記減圧空間を画成し、外部から前記減圧空間内に空気を流入させる流入孔が形成される空間画成部と、前記減圧空間内の空気を外部に排出して前記減圧空間内を減圧する複数の減圧ファンと、前記流入孔を開閉する開閉機構とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、より安定して複数の減圧ファンによる減圧吸着を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る吸着装置の構成を示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る吸着装置の構成を示す平面図である。
図3】第1実施形態に係る仕切部の構成を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る仕切部の構成を示す平面図である。
図5】第1実施形態に係る開閉機構の構成を示す要部拡大平面図である。
図6】第1実施形態に係るガイド部材の構成を示す斜視図である。
図7】第1実施形態に係る開閉部材の構成を示す斜視図である。
図8】第1実施形態に係る開閉駆動部の構成を示す斜視図である。
図9】第1実施形態に係る直動部材の構成を示す斜視図である。
図10】第1実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
図11】第1実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図12】第1実施形態に係る異常状態にある吸着装置を示す概略断面図である。
図13】第1実施形態に係る開放状態に移行された吸着装置を示す概略断面図である。
図14】第1実施形態に係る閉鎖状態に移行された吸着装置を示す概略断面図である。
図15】第2実施形態に係る開閉機構を示す斜視図である。
図16】第2実施形態に係る閉鎖状態における開閉機構を示す平面図である。
図17】第2実施形態に係る開放状態における開閉機構を示す平面図である。
図18】第3実施形態に係る閉鎖状態における開閉機構を示す平面図である。
図19】第3実施形態に係る開放状態における開閉機構を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(吸着装置の構成)
第1実施形態に係る吸着装置の構成について説明する。図1図2は、それぞれ、本実施形態に係る吸着装置の構成を示す斜視図、平面図である。図3図4は、本実施形態に係る仕切部の構成を示す斜視図、平面図である。
【0013】
本実施形態に係る吸着装置1は、回転駆動される車輪を有する走行装置を備える移動装置の一部であり、走行装置が走行する際に走行面に吸着して、移動装置が壁面を走行することを可能とするものである。図1図2に示すように、吸着装置1は、仕切部10と、基台11と、2つの減圧ファン12A,12Bと、開閉機構2と、制御装置3(図10参照)とを備える。仕切部10と基台11とによれば、吸着装置1が接地される壁面と協働して略方形状の減圧空間が画成する空間画成部が構成される。吸着装置1は、2つの減圧ファン12A,12Bにより減圧空間内を減圧して負圧とすることにより壁面に吸着する。
【0014】
以降の説明において、吸着装置1の接地面としての壁面の面内方向に略垂直する方向を垂直方向と称する。また、この垂直方向における接地面側を下側、その逆方側を上側と称し、垂直方向に直交する方向を直交方向と称する。
【0015】
基台11は、略板状に形成され、板面が壁面と平行し、且つ壁面と垂直方向に対向して離間するように設けられ、減圧空間を上方から閉鎖する部材である。基台11には、減圧空間と外部とを連通させる2つの排気孔(不図示)が形成され、この排気孔を介して減圧空間内を減圧させるように2つの減圧ファン12A,12Bが設けられる。また、基台11には、減圧空間と外部とを連通させる流入孔(不図示)が形成され、この流入孔を開閉可能に開閉機構2が設けられる。本実施形態において、2つの排気孔及び流入孔は減圧空間と外部とを連通可能に形成されたものであれば良く、例えば、仕切部10に形成されても良い。また、流入孔は2つの排気孔に対してどのような位置に形成されても良いが、2つの排気孔の間、特に中間位置に形成されることが望ましい。
【0016】
図3図4に示すように、仕切部10は、減圧空間を直交方向から全周に亘って包囲して減圧空間と外部とを仕切る部材であり、第1仕切部101と第2仕切部102とを有する。第1仕切部101は基台11の縁部を包囲するように基台11に連結される、第2仕切部102は第1仕切部101の下方に連結される。また、第1仕切部101は減圧空間の周壁における基台11側部分を形成し、第2仕切部102は減圧空間の周壁における壁面側部分を形成する。第1仕切部101は第2仕切部102よりも剛性が高い素材により形成され、第2仕切部102は弾性部材により形成される。
【0017】
第1仕切部101は、減圧空間内において直交方向に延びる複数の横梁101aを有し、これによって減圧空間への引き込み力による変形が防止されるように第1仕切部101が補強される。第2仕切部102は、シート状の弾性部材が筒状に折り曲げられることにより形成される。第2仕切部102が弾性部材により形成されることによって、吸着装置1が凹凸を有する壁面により安定して吸着することができる。
【0018】
2つの減圧ファン12A,12Bは、いずれも、上述したように排気孔を介して減圧空間内を減圧可能に基台11に設けられる。また、2つの減圧ファン12A,12Bは、それぞれ、モータ121とエンコーダ122(図10参照)とを有する。モータ121は羽根車を回転させるものであり、エンコーダ122は羽根車の回転数(rpm:Rotations Per Minute)を検出するものである。
【0019】
(開閉機構の構成)
第1実施形態に係る開閉機構の構成について説明する。図5は、本実施形態に係る開閉機構の構成を示す要部拡大平面図である。図6図9は、それぞれ、本実施形態に係るガイド部材、開閉部材、開閉駆動部、直動部材の構成を示す斜視図である。
【0020】
図5に示すように、開閉機構2は、ガイド部材20と、開閉部材21と、開閉駆動部22と、直動部材23と、開閉センサ24とを備え、流入孔を開閉可能に構成される。
【0021】
図6に示すように、ガイド部材20は、開閉部材21を一方向にのみ可動に保持するように構成され、基台11に固定的に設けられる。ガイド部材20には、2つの開口201と、2つのガイド溝202と、固定支持部203と、軸支部204とが形成される。
【0022】
2つの開口201は、いずれも流入孔に連通する貫通孔である。なお、ガイド部材20には、少なくとも1つ以上の開口201が形成されていれば良く、本実施形態においては、ガイド部材20の強度を高めるために2つの開口201が分離されて形成される。2つのガイド溝202は、互いに対向するように設けられた一方向に延びる溝であり、開閉部材21を一方向にのみ可動に案内する。なお、図6においては、2つのガイド溝202のうち一方のみが示されている。また、以降の説明において、開閉部材21が案内される一方向を開閉方向と称する。
【0023】
固定支持部203は、2つのガイド溝202の間に形成され、後述する開閉駆動部22のモータ220(図8参照)を固定的に支持する。軸支部204は、固定支持部203に開閉方向に対向するように形成され、後述する開閉駆動部22の軸部221(図8参照)を回転可能に軸支する。
【0024】
図7に示すように、開閉部材21は、流入孔と連通するガイド部材20の2つの開口201を閉鎖可能に構成された略方形板状の部材であり、2つの開口201を閉鎖することによって流入孔を閉鎖する。開閉部材21には、2つの被ガイド部211と2つの被係合部212とが形成される。2つの被ガイド部211は、それぞれが2つのガイド溝202にそれぞれ対応して1つの対辺に形成され、2つの被ガイド部211のそれぞれは、対応するガイド溝202内に導入可能に全域に亘って突出する。2つの被係合部212のそれぞれは、2つの被ガイド部211が形成されない他の対辺の1辺においてこの辺の延在方向に互いに離間して形成され、開閉部材21の面外方向に突出する。
【0025】
図8に示すように、開閉駆動部22は、モータ220と軸部221とを有する。軸部221は、全体として一方向に延在する長尺の円筒状に形成されるとともに外周面に雄ネジが形成される送りネジである。モータ220は、長手方向を向く軸回りに軸部221を回転駆動する。図9に示すように、直動部材23は、開閉駆動部22による回転運動を直線運動に変換する全体として長尺な板状部材であり、送りナット231と2つの係合部232とが形成される。送りナット231は、略筒状に形成され、内周面に雌ネジが形成される。直動部材23が回転不能に配され、送りナット231が軸部221に螺合されることによって、開閉駆動部22の駆動によって直動部材23が一方向に直動する。2つの係合部232は、開閉部材21の2つの被係合部212に対応して設けられ、送りナット231を挟んで長手方向に離間する。2つの係合部232のそれぞれは、対応する被係合部212を直動部材23の板状部分との間に挟み込むようにL字状に形成される。
【0026】
図5に示すように、開閉部材21は、2つの被ガイド部211が2つのガイド溝202に導入されることによって、ガイド部材20に組み付けられる。直動部材23は、2つの係合部232が2つの被係合部212と係合するように配される。開閉駆動部22は、軸部221が送りナット231に螺合し、軸支部204に軸支された状態でモータ220が固定支持部203に支持されることによってガイド部材20に組み付けられる。このように組み付けられた開閉機構2によれば、開閉部材21を軸部221の軸方向を向く開閉方向に移動させて流入孔を開放または閉鎖することができる。
【0027】
開閉センサ24は、開閉部材21が流入孔を閉鎖する閉鎖位置にあることを検出するセンサであり、押しボタンスイッチとして構成される。本実施形態において、開閉部材21は、2つの被係合部212が開閉方向の閉鎖側に位置するようにガイド部材20に取り付けられるため、直動部材23は、開閉部材21において開閉方向の閉鎖側に位置付けられる。よって、開閉センサ24は、開閉部材21が閉鎖位置に到達した場合に直動部材23にボタンが押下されるようにガイド部材20における開閉方向の閉鎖側に設けられる。
【0028】
(制御装置の構成及び動作)
第1実施形態に係る制御装置の構成及び動作について説明する。図10は、本実施形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。図11は、本実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0029】
図10に示すように、制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、記憶装置33、入出力I/F34を備える。CPU31及びRAM32は協働して各種機能を実行し、記憶装置33は各種機能により実行される処理に用いられる各種データを記憶する。入出力I/F34は、制御装置3が減圧ファン12のモータ121、減圧ファン12のエンコーダ122、開閉駆動部22のモータ220、開閉センサ24との有線通信または無線通信を行うためのインターフェースである。なお、本実施形態において、制御装置3は、仕切部10及び基台11から離間して設けられるものとするが、仕切部10及び基台11に配されても良い。
【0030】
吸着装置1が起動されると、すなわち、吸着装置1を壁面に吸着させるために減圧ファン12A,12Bの回転駆動が指示されると、図11に示すように、制御装置3は、開閉機構2により流入孔が開放されるように開閉機構2を制御する(S101)。ここで、制御装置3は、開閉部材21が開放側に移動されるように開閉駆動部22のモータ220を駆動させる。
【0031】
流入孔の開放後、制御装置3は、減圧ファン12A,12Bを作動させ(S102)、減圧ファン12A,12Bの両方の回転数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(S103)。ここで、減圧ファン12A、12Bのそれぞれの回転数は、減圧ファン12A、12Bのそれぞれのエンコーダ122から取得される。
【0032】
減圧ファン12A,12Bの両方の回転数が予め設定された閾値以上である場合(S103,YES)、制御装置3は、流入孔が閉鎖されるように開閉機構2を制御する(S104)。ここで、制御装置3は、開閉センサ24のスイッチが押下されるまで開閉部材21が閉鎖側に移動されるようにモータ220を駆動させる。なお、制御装置3は、流入孔を完全に閉鎖させる代わりに、流入孔の開度を小さくするように開閉機構2を制御しても良い。
【0033】
一方、減圧ファン12A,12Bの両方の回転数が予め設定された閾値以上ではない場合、即ち、減圧ファン12A,12Bのいずれかの回転数が予め設定された閾値未満である場合(S103,NO)、制御装置3は、再度、減圧ファン12A,12Bの両方の回転数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(S103)。
【0034】
(効果)
第1実施形態に係る吸着装置による効果について説明する。図12図14は、それぞれ、本実施形態に係る異常状態にある吸着装置、開放状態に移行された吸着装置、閉鎖状態に移行された吸着装置を示す概略断面図である。図12図14に示す符号Wは、接地面を示している。
【0035】
流入孔が閉鎖された状態で減圧ファン12A,12Bが作動された場合、図12に示すように、比較的回転数が大きい減圧ファン12Bが減圧空間内を減圧する際に比較的回転数が小さい減圧ファン12Aが配される排出孔から外気が吸引される。これによって、減圧ファン12Aが減圧空間の空気を外部に排出させる回転方向とは逆向きに回転し、吸着装置1が正常に作動せずに異常状態となってしまう。
【0036】
一方、減圧ファン12A,12Bの両方が所定の回転数に達するまで流入孔が開放された場合、図13に示すように、流入孔から外気が流入することによって、2つの排気孔のいずれかから外気が流入することが防止され、これによって、吸着装置1が正常に起動される。図14に示すように、減圧ファン12A,12Bの両方が所定の回転数に達した後に流入孔が閉鎖されると、減圧ファン12A,12Bによる吸着力を最大化することができる。
【0037】
なお、制御装置3は、吸着装置1が正常に起動された後に開放状態を維持するか、流入孔の開度を小さくしても良い。これによって、減圧ファン12A,12Bを通過する空気量を増大させ、減圧ファン12A,12Bを冷却することができる。また、制御装置3が流入孔の開度を調整することによって、減圧ファン12A,12Bの回転数を変化させることなく、吸着力を変化させることができる。
【0038】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る吸着装置について説明する。図15は、本実施形態に係る開閉機構を示す斜視図である。図16図17は、それぞれ、本実施形態に係る閉鎖状態、開放状態における開閉機構を示す平面図である。なお、図15図17においては、ガイド部材と開閉部材のみが示される。
【0039】
本実施形態に係る吸着装置は、開閉機構2に代えて開閉機構2Aを備える点において第1実施形態に係る吸着装置1とは異なる。図15に示すように、開閉機構2Aは、ガイド部材20、開閉部材21に代えて、ガイド部材20A、開閉部材21Aを備える点において開閉機構2とは異なる。
【0040】
ガイド部材20Aは、2つの開口201に代えて複数のスリット205が形成される点においてガイド部材20とは異なる。複数のスリット205は、開閉部材21Aの開閉方向に互いに離間するように形成され、複数のスリット205のそれぞれは、開閉方向及び垂直方向に直交する方向に延びるように形成される。
【0041】
開閉部材21Aは、複数のスリット205に対応する複数のスリット213が形成される点において開閉部材21とは異なる。複数のスリット213は、複数のスリット213と同様に、開閉方向に互いに離間するように形成され、複数のスリット213のそれぞれは、開閉方向及び垂直方向に直交する方向に延びるように形成される。
【0042】
開閉機構2Aは、図16に示すように、閉鎖状態にある場合に複数のスリット213と複数のスリット205とを垂直方向に重複させないことによって流入孔を閉鎖し、図17に示すように、開放状態にある場合に複数のスリット213と複数のスリット205とを垂直方向に重複させることによって流入孔を開放する。
【0043】
このような開閉機構2Aによれば、流入孔の開閉に係る開閉部材21Aの移動距離を低減することができ、延いては、より短い時間、より少ない消費電力により流入孔の開閉を行うことができる。
【0044】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る吸着装置について説明する。図18図19は、それぞれ、本実施形態に係る閉鎖状態、開放状態における開閉機構を示す平面図である。なお、図18図19においては、ガイド部材と開閉部材のみが示される。
【0045】
本実施形態に係る吸着装置は、開閉機構2に代えて開閉機構2Bを備える点において1実施形態に係る吸着装置1とは異なる。図18図19に示すように、開閉機構2Bは、ガイド部材20、開閉部材21に代えて、ガイド部材20B、開閉部材21Bを備える点において開閉機構2とは異なる。
【0046】
図18図19に示すように、ガイド部材20Bは、円形の開口を半円状の部材により閉塞するように構成されることにより半円状の開口206を形成する。開閉部材21Bは、開口206を閉鎖可能な半円状に形成され、ガイド部材20Bの円中心回りに回転可能にガイド部材20Bに支持される。
【0047】
開閉機構2Bは、図18に示すように、閉鎖状態にある場合に開口206と開閉部材21Bとを垂直方向に重複させることによって流入孔を閉鎖し、図19に示すように、開放状態にある場合に開口206と開閉部材21とを垂直方向に重複させないことによって流入孔を開放する。
【0048】
このような開閉機構2Bによれば、回転運動を直線運動に変換する機構を省略することができ、低コスト化、小型化を達成することができる。
【0049】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 吸着装置
2,2A,2B 開閉機構
3 制御装置
10 仕切部
11 基台
12A,12B 減圧ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19