(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074164
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240523BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B19/00 E
E05B19/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185271
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】519055788
【氏名又は名称】株式会社ビットキー
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(72)【発明者】
【氏名】古沢 洋一
(72)【発明者】
【氏名】深田 雄介
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
(57)【要約】
【課題】
異なる種類の電子キー毎に格納部品を変更することなく、当該電子キーを遠隔で操作して解錠及び施錠を可能にする操作装置を提供すること。
【解決手段】
少なくとも一つの押下釦を有する電子キーを押釦動作可能な位置に格納するように構成された格納部と、前記押釦動作可能な位置に格納された前記電子キーに対して、押釦動作をするように構成されたアクチュエータと、備え、前記格納部は、形状の異なる前記電子キーのそれぞれが有する前記押下釦の位置がいずれも所定領域内となるように、前記電子キーのそれぞれを収容するように構成された収容部材を含むこと。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの押下釦を有する電子キーを押釦動作可能な位置に格納するように構成された格納部と、
前記押釦動作可能な位置に格納された前記電子キーに対して、押釦動作をするように構成されたアクチュエータと、備え、
前記格納部は、形状の異なる前記電子キーのそれぞれが有する前記押下釦の位置がいずれも所定領域内となるように、前記電子キーのそれぞれを収容するように構成された収容部材を含む、操作装置。
【請求項2】
前記収容部材は、前記押下釦の押下方向に対して平行な方向又は垂直な方向のいずれかにおいて、形状の異なる前記電子キーを複数の収容パターンにて収容する、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記収容部材は、前記押下釦を露出する開口を底面に有し、且つ、前記開口と連通して平行に形成された前記開口よりも大なる凹部を有する、請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記凹部は、前記押下釦の押下方向に対して平行な方向において階段状に形成されている、請求項3に記載の操作装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記開口から前記格納部の内部に貫入し、前記押下釦と接触して前記押釦動作をする、請求項3又は4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記格納部は、前記凹部に設置される挟持片を含み、
前記凹部は、前記押下釦の押下方向に対して垂直な方向において、前記挟持片と協働して前記電子キーを複数の収容パターンにて収容する、請求項3に記載の操作装置。
【請求項7】
前記格納部は、前記開口に配置され、前記複数の収容パターンのそれぞれにおいて前記押下釦を押下する押下片を含む、請求項6に記載の操作装置。
【請求項8】
前記アクチュエータは、前記押下片と接触して前記押釦動作をする、請求項7に記載の操作装置。
【請求項9】
前記収容部材は、前記押下釦の押下方向に対して平行な方向において、形状の異なる前記電子キーを複数の収容パターンにて収容するゲル状部材を有する、請求項2に記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子キーを遠隔で操作して解錠及び施錠を行う操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、不特定多数のユーザに対して、自動車を貸し出すレンタカーサービスが知られている。近年においては、短時間における自動車の利用ニーズが高まり、登録を行った会員ユーザの間において、特定の自動車を共同して使用するカーシェアリングが普及してきている。当該カーシェアリングにおいては、登録ユーザ間における車両の電子キーの受け渡しが困難であるため、ユーザが電子キーを事前に所持しなくとも車両ドアの解錠ができるような仕組みが取り入れられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車両の電子キーを収容する収容部と、前記収容部に収容された前記電子キーに対して、押釦動作をするアクチュエータと、を備え、前記収容部は、異なる前記車両の異なる前記電子キーの押下釦に対して前記アクチュエータによる押釦動作が可能となるように構成されている、車載器が記載されている。特に、特許文献1に記載された車載器においては、車両の電子キーを分解して回路基板を取り出す必要がなく、当該電子キーがそのまま利用されて車載器が構成され、車両ドアの解錠及び施錠が遠隔で行うことができる。
【0004】
しかしながら、ボタンの位置及び形状を含む電子キーの形状は、車種ごとに異なっているため、特許文献1に記載の車載器においては、各電子キーに対応した電子キーの格納部品を準備する必要があった。このため、電子キーの種類に応じて準備及び管理する部品点数が増加することになり、カーシェアリングを行う事業者の負担が増加する虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上述した背景からなされたものであり、異なる種類の電子キー毎に格納部品を変更することなく、当該電子キーを遠隔で操作して解錠及び施錠を可能にする操作装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つの押下釦を有する電子キーを押釦動作可能な位置に格納するように構成された格納部と、前記押釦動作可能な位置に格納された前記電子キーに対して、押釦動作をするように構成されたアクチュエータと、備え、前記格納部は、形状の異なる前記電子キーのそれぞれが有する前記押下釦の位置がいずれも所定領域内となるように、前記電子キーのそれぞれを収容するように構成された収容部材を含む、操作装置。」が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、異なる種類の電子キー毎に格納部品を変更することなく、当該電子キーを遠隔で操作して解錠及び施錠を可能にする電子キー操作装置を提供することができる。
【0009】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1に係る車両利用管理システム1の概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態1に係る車載器300の機械的構造を概略的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態1に係る車載器300を構成する固設ユニット311の機械的構造を概略的に示す概念図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施形態1に係る車載器300の部分断面図である。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施形態1に係る車載器300の部分断面図である。
【
図4C】
図4Cは、本開示の実施形態1に係る車載器300の部分断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100の構成の例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態1に係る管理装置200の構成の例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態1に係る車載器300の構成の例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100と管理装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100と車載器300との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態1に係る管理装置200において実行される処理フローを示す図である。
【
図11】
図11は、本開示の実施形態1に係る車載器300において実行される処理フローを示す図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の機械的構造を概略的に示す概念図である。
【
図13A】
図13Aは、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の平面図である。
【
図13B】
図13Bは、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の平面図である。
【
図13C】
図13Cは、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の平面図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態3に係る車載器300を構成する固設部材720の断面図である。
【
図15】
図15は、本開示の実施形態4に係る車載器1300の機械的構造を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の例示として、本発明を車両利用管理システムに適用した場合を例にとり、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0012】
<実施形態1>
1.本開示に係る車両利用管理システム1の概要
図1は、本開示の実施形態1に係る車両利用管理システム1の概略的な構成を示す図である。具体的に、
図1には、カーシェアリングのサービスを提供する事業者(管理装置)、当該サービスを受ける利用者(利用者端末)、及びシェアリング対象となる車両2の間におけるデータ通信のための接続関係が示されている。また、
図1に示すように、車両利用管理システム1は、カーシェアリングのユーザである利用者が操作する利用者端末100、カーシェアリングのサービスを提供する事業者が利用する管理装置200、及びシェアリング対象となる車両2に設置される車載器300を備えている。
【0013】
利用者端末100は、利用者毎に設けられ、無線LAN(Local Area Network)等の無線ネットワーク400及び中継装置410を介してWAN(Wide Area Network)420に接続されている。また、利用者端末100は、管理装置200に予約要求を送信して、管理装置200から利用許可証を受信する。そして、管理装置200から受信した利用許可証を、近距離無線通信500により車両2に設置されている車載器300に送信する。
【0014】
管理装置200は、車載器300が設置された車両2に対応付けて、車載器300を管理する。また、管理装置200は、車両2の予約状況を管理しており、WAN420を介して利用者端末100から予約要求を受け付ける。更に、管理装置200は、この予約要求に含まれている車種の車両2を、この予約要求に含まれている利用日時に利用するための利用許可証を利用者端末100に送信する。
【0015】
車載器300は、車両2の電子キーである車両キーの格納及び押釦動作をするための操作装置として機能する。また、車載器300は、シェアリング対象である車両2毎に設けられ、例えば車両2のインパネの裏側に設置されており、車両2以外とは、例えば、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信500で通信可能である。ここで、車載器300が車両2のインパネ裏側に設置されると、カーシェアリングのユーザが車載器300にアクセスすることが困難になるが、例えば、車載器300をグローブボックスの内側に設置して、当該ユーザがアクセスできるようにしてもよい。車載器300は、車両2の電子キーである車両キーを格納するためのキーボックス310を有している。さらに、車載器300は、車両2の車載ネットワーク(不図示)に接続されており、利用許可証に基づいて車両2のドアロックの解除を制御する。また、車載器300は、利用許可証に基づいて車両2のエンジン起動ロックの解除も制御してもよい。
【0016】
なお、
図1の例では、利用者端末100及び車載器300は、それぞれ1台しか記載されていないが、当然2台以上の各装置を含むことが可能である。また、管理装置200は単一のものとして記載されているが、管理装置200の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0017】
2.本開示に係る車載器300の機械的構造
図2は、本開示の実施形態1に係る車載器300の機械的構造を概略的に示す断面図である。また、
図3は、本開示の実施形態1に係る車載器300を構成する固設ユニット311の機械的構造を概略的に示す概念図である。更に、
図4A~4Cは、本開示の実施形態1に係る車載器300の部分断面図である。特に、
図4A~
図4Cは、形状の異なる車両キー3a~c(以下、いずれを選択しない場合には、単に車両キー3と称する)を格納及び押釦操作する状態を示している。
【0018】
図2に示すように、車載器300は、利用者端末100からの利用制限解除要求に応じて、格納する車両キー3に対して押釦動作(解錠動作及び施錠動作)をする電子キーの操作装置である。車載器300は、車両キー3を格納するキーボックス310を有している。キーボックス310は、車両キー3を押釦動作可能な位置に格納する格納部である固設ユニット311、車両キー3に対する押釦動作に必要な部品を収容するアクチュエータユニット312から構成されている。固設ユニット311は、アクチュエータユニット312の設置片312aに対して脱着自体に取り付けられている。
【0019】
図2及び
図3に示すように、固設ユニット311は、形状の異なる車両キー3の押下釦6の位置のいずれもが所定領域内となるように各車両キー3を統一して収容するための収容部材として機能する固設部材320及び固設部材320に車両キー3が固設された状態で閉塞する蓋330を有する。固設部材320及び蓋330は、プラスチック等の加工性に優れ且つ一定の強度を備える部材から構成されている。
【0020】
固設部材320の底面には、車両キー3の解錠釦4及び施錠釦5(以下、二つの釦を合わせて押下釦6とも称する)を露出する開口321が形成されている。また、固設部材320は、形状の異なる車両キー3a~3cに対応し、各車両キー3を保持するための3つの第1凹部322a、第2凹部322b、及び第3凹部322cを有する。これらの3つの凹部は、開口321と連通して平行に形成されており、開口321よりも大なる寸法を有する。そして、これらの3つの凹部は、押下釦の押下方向(-X方向)に対して平行な方向において階段状に形成されている。3つの第1凹部322a、第2凹部322b、及び第3凹部322cは、開口321側から第1凹部322a、第2凹部322b、第3凹部322cの順番で設けられている。ここで、第1凹部322a、第2凹部322b、及び第3凹部322cのYZ平面の寸法は、第1凹部322a、第2凹部322b、第3凹部322cの順番で大きくなっている。
【0021】
このような3つの第1凹部322a、第2凹部322b、及び第3凹部322cにより、固設部材320は、押下釦6の押下方向(-X方向)に対して平行な方向において、形状の異なる車両キー3a~3cを押釦動作可能な位置に配置して収容することができる。換言すると、固設部材320は、各凹部によって定まる固設パターン(収容パターン)にて形状の異なる車両キー3a~3cを固設し、押下釦6を所定領域である開口321において統一して露出するようにしている。すなわち、車両キー3a~3cの押下釦6の位置は、後述するアクチュエータの可動に対して共通化され、アクチュエータが接触できる範囲で同等となる。そして、開口321が押下釦6のぞれぞれのための共用の窓として機能する。
【0022】
より具体的な固設パターンについて、
図4A~
図4Cを参照しつつ説明する。
図4Aは、3種類の車両キー3のうち、最も小さい車両キー3aを固設した状態を示す。車両キー3aは固設部材320の第1凹部322aに嵌装され、押下釦6は開口321から露出して押下可能な状態となっている。すなわち、固設部材320の第1凹部322aは、車両キー3aの外形に合致するような専用形状を有している。このような押下釦6の位置が開口321の形成領域に位置し、開口321にもっと近い位置の第1凹部322aによって固設された状態が、車両キー3aの固設パターンとなる。
【0023】
次に、
図4Bは、3種類の車両キー3のうち、2番目に小さい車両キー3bを固設した状態を示す。車両キー3bは固設部材320の第2凹部322bに嵌装され、押下釦6は開口321から露出して押下可能な状態となっている。すなわち、固設部材320の第2凹部322bは、車両キー3bの外形に合致するような専用形状を有している。このような押下釦6の位置が開口321の形成領域に位置し、開口321に2番目に近い位置の第2凹部322bによって固設された状態が、車両キー3bの固設パターンとなる。
【0024】
次に、
図4Cは、3種類の車両キー3のうち、最も大きい車両キー3cを固設した状態を示す。車両キー3cは固設部材320の第3凹部322cに嵌装され、押下釦6は開口321から露出して押下可能な状態となっている。すなわち、固設部材320の第3凹部322cは、車両キー3cの外形に合致するような専用形状を有している。このような押下釦6の位置が開口321の形成領域に位置し、開口321から最も離れた位置の第3凹部322cによって固設された状態が、車両キー3cの固設パターンとなる。
【0025】
以上のように、固設部材320は、形状の異なる3種類の車両キー3a~3cに対応した凹部322a~322cを有しているため、3つの固設パターンにて車両キー3を固設することができる。特に、当該3つの固設パターンは、押下釦6の押下方向(-X方向)に対して平行に存在することになる。そして形状の異なる車両キー3a~3cのいずれかを選択して固設する場合、いずれの車両キー3a~3cについても、押下釦6が開口321から露出されて押釦動作可能とすることができる。すなわち、3種類の車両キー3a~3cに対して、固設部材320の共通化を図りつつも、各車両キー3に対応した適切な固設状態にて押釦動作が可能となる。
【0026】
なお、形状の異なるとは、単なる外形が異なるだけでなく、車両キー3の寸法、外形、又は押下釦の位置及び形状等が異なることを含んでもよい。
【0027】
更に、固設部材320は、Y方向の一端において、接合部323が形成されている。接合部323は、固設ユニット311をアクチュエータユニット312に取り付ける際に、アクチュエータユニット312の接合部(溝部)と固設ユニット311の接合部(突起部)とが嵌合し、固設ユニット311がX方向にスライドすることにより、固設ユニット311がアクチュエータユニット312に対して固定される。これにより、アクチュエータユニット312と、固設ユニット311とが変位することがなくなり、押釦動作を正確に行うことが可能になる。
【0028】
蓋330は、固設部材320の開口321の形成面(底面)とは反対側(上面)に設置される。また、蓋330には、4つの貫通孔331が形成されている。蓋330を固設部材320上に配置した際、蓋330の貫通孔331は、固設部材320に設けられた4つのねじ穴324に対向する。この状態において、貫通孔331及びねじ穴324にねじ(図示せず)が挿通され、固設部材320に蓋330が固定される。
【0029】
なお、蓋330に車両キー3を開口321側(+X方向)に向けて押圧する凸部を設けてもよい。これにより、蓋330を固設部材320に固定すると、車両キー3が開口321側に向けて押され、車両キー3が凹部から外れることがなくなり、押釦動作を正確に行うことが可能になる。このような方法によらず、例えば、他の保持部材等を設けることにより、車両キー3が凹部から外れることを防止してもよい。すなわち、本実施形態においては、固設部材320によって車両キー3の固設が行われていたが、車両キー3を単に収容する収容部材と蓋又は他の保持部材とによって固設を行ってもよい。この場合には、収容部材によって車両キー3のそれぞれが収容部材の凹部によって定まる収容パターンにて収容され、蓋又は他の保持部材によって車両キー3が固設されることによって所定の固設パターンに車両キー3が配置されることになる。ただし、この場合には、収容パターンと固設パターンは基本的に同一となる。このため、本実施形態における固設には収容の意味も含まれ、固設パターンには収容パターンの意味も含まれることになる。
【0030】
一方、
図2に示すように、車載器300は、アクチュエータユニット312内の前方側(+X側)において、制御基板340、第1アクチュエータ341、第2アクチュエータ342、及びバッテリー343を内蔵する。バッテリー343は、車載器300の電力供給元として機能するが、車載器300内に設けられていなくてもよい。例えば、バッテリー343は、車載器300の併設又は近傍に設定されてもよく、又は車両2のバッテリーを車載器300の電力供給元として利用してもよい。
【0031】
制御基板20には、メモリ351、プロセッサ352、通信インターフェイス353、及び電力制御回路354などの電子部品又は電気回路が実装されている。プロセッサ352は、メモリ351に記憶されているプログラムを実行することにより、車載器300の動作を統合的に制御する。
【0032】
第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342は、プロセッサ352により制御され、固設ユニット311の内部に貫入して押釦動作(押下釦6を押す動作)を実現する装置である。第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342は、例えば電動アクチュエータで実現される。第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342は、固設部材320に固設された車両キー3の押下釦6を押し下げる方向(-X側)へ向けて作動するように設定されている。なお、当該電動アクチュエータの動作が直動でない場合には、当該電動アクチュエータの動作を直動に変換するためのレバー機構、倍力機構、又はカム機構等の変換機構を更に設置してもよい。
【0033】
第1アクチュエータ341は解錠釦4に接触して押釦動作を行う可動部341aを有する。また、第2アクチュエータ342は施錠釦5に接触して可動部342aを有する。このため、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342に電流が供給されると、可動部341a及び可動部342aが伸び縮みするため、解錠釦4及び施錠釦5に対する押下が可能になる。例えば、第1の方向で第1アクチュエータ341又は第2アクチュエータ342に電流が供給されると、可動部341a又は可動部342aが伸びるように可動し、当該第1の方向とは逆方向で第1アクチュエータ341又は第2アクチュエータ342に電流が供給されると、可動部341a又は可動部342aが縮むように可動する。このため、プロセッサ352は所望の押釦動作に対応させて電力制御回路354を制御し、第1アクチュエータ341又は第2アクチュエータ342への電流及び方向を調整することになる。
【0034】
図4a~4cに示すように、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342から各凹部に固設された車両キー3a~3cまでの距離は異なっている。このため、各車両キー3の押下釦6に対する正確な押釦動作を実現するために、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の可動部341a及び可動部342aの延伸量が固設パターンごとに調整される。具体的には、可動部341aによる解錠釦4の押下、又は可動部342aによる施錠釦5の押下がプロセッサ352によって検出され、当該押下の検出をトリガーとして可動部341aの可動部342aの延伸を停止し、延伸量が固設パターンごとに調整される。
【0035】
プロセッサ352による押下釦6の押下の検出方法としては、例えば、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342に流れる電流値を検出し、当該電流値が所定の閾値を超えた場合に押釦動作がなされたと判定する。これは、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342を構成するモータの回転数、トルク、及び当該モータに流れる電流の関係を利用するものである。より具体的な関係として、モータの回転数とトルクは反比例の関係になっており、モータの回転数が増加するに従ってトルクは小さくなり、モータの回転数が減るに従ってトルクは大きくなる。モータの回転数が一定であるときにはトルクも一定になり、モータに流れる電流値も一定となる。そして、トルクが小さい時は電流値が小さく、トルクが大きい時は電流値も大きくなる。このような関係から、当該モータが回転して可動部341aの可動部342aが延伸している状況下では電流値が一定となるものの、可動部341aの可動部342aが押下釦6に当接するとモータの回転数が下がり、トルク及びモータに流れる電流値が増加する。そして、押下釦6が押し下がらない状況になるとモータの回転数が一定となり電流値も一定となる。このような最終的に一定となる電流値が閾値としてメモリ351に格納され、プロセッサ352は当該閾値を使用して押釦動作の有無を判定する。
【0036】
なお、当該閾値は、一定の値とすることなく、条件によって変えてもよい。例えば、車両2の室温に応じて閾値を設定してもよく、更には車両キー3の種類に応じて変更してもよい。
【0037】
以上のように、実施形態1においては、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の可動部341a及び可動部342aが、押下釦6に直接的に当接して押下し、当該押下に基づく押釦動作の有無を判定するため、種々の形状の押下釦6に対する押釦動作及び当該判定が可能になる。すなわち、押下釦6が車両キー3の本体部分(筐体)から突出せずに同一平面上に形成されている場合、又は本体部分よりも凹んで形成されている場合であっても、当該押釦動作及び当該判定が可能になる。
【0038】
3.利用者端末100の構成
図5は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100の構成の例を示すブロック図である。利用者端末100は、
図5に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0039】
利用者端末100は、典型的には、スマートフォンに代表される無線通信可能な端末装置が挙げられるが、当然当該装置のみには限られない。例えば、端末装置としては、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機など、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、上記のとおり、管理装置200と通信する利用者端末100は複数であるものの、各端末が常に同種又は同じ端末装置である必要はなく、互いに異なる種類の端末装置であってもよい。
【0040】
図5によると、利用者端末100は、出力インターフェイス111、プロセッサ112、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ113、通信処理回路及びアンテナを含む通信インターフェイス114、タッチセンサ及びハードキーを含む入力インターフェイス115を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0041】
出力インターフェイス111は、プロセッサ112の指示に応じて、図示しないカメラで撮影される画像や、本開示に係るプログラムを実行することによって出力される各種表示を、ディスプレイやプリンタ等の機器に出力する出力部として機能する。なお、このようなディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は電子ペーパー等から構成される。
【0042】
プロセッサ112は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ113に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。具体的には、プロセッサ112は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ113から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ112は、特に、
図8及び
図9の処理シーケンスで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、
図8及び
図9において説明する。)。なお、プロセッサ112は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0043】
メモリ113は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ112により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ113は、特に、
図8及び
図9の処理シーケンスで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する(処理の詳細は、
図8及び
図9において説明する。)。
【0044】
通信インターフェイス114は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された管理装置200や車載器300との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、車両利用管理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、管理装置200又は車載器300から情報を送受信するための処理をする。本開示においては、特に、アカウント登録要求、ログイン要求、閲覧要求、及び予約要求等が、利用者端末100から管理装置200に送信される。また、アカウント登録完了通知、ログイン許可通知、利用可能車種一覧、及び利用許可証等が、管理装置200から利用者端末100に送信される。更に、利用制限解除要求が、利用者端末100から車載器300に送信される。
【0045】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0046】
入力インターフェイス115は、タッチパネルやハードキー等から構成され、本開示に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける入力部として機能する。タッチパネルは、出力インターフェイス111を被覆するように配置され、出力インターフェイス111からディスプレイに出力される画像データに対応する位置座標の情報を、プロセッサ112に送信する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式など、公知の方式を利用することができる。本開示においては、タッチパネルは、指示体により出力インターフェイス111に表示された各アイコン等に対するスワイプ操作やタップ操作を検出する。なお、本開示では利用者端末100に備えられる入力インターフェイス115を用いたが、例えばマウスのような、プロセッサ112等を備える本体に無線又は有線で接続された入力インターフェイス115を用いることも可能である。
【0047】
4.管理装置200の構成
図6は、本開示の実施形態1に係る管理装置200の構成の例を示すブロック図である。管理装置200は、
図6に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、管理装置200は単一の筐体に
図6に図示するものを備える必要はなく、管理装置200の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0048】
図6によると、管理装置200は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ211、CPU等から構成されるプロセッサ212及び通信インターフェイス213を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0049】
メモリ211は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ212によってロードされ実行される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ212によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ211は、特に、
図8の処理シーケンス及び
図10の処理フローで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する(処理の詳細は、
図8及び
図10において説明する。)。
【0050】
プロセッサ212は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ211に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ212は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ211から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ212は、特に、
図8の処理シーケンス及び
図10の処理フローで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、
図8及び
図10において説明する。)。なお、プロセッサ212は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUで構成しても良い。
【0051】
通信インターフェイス213は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された他のサーバ装置や利用者端末100との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、車両利用管理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、他のサーバ装置や利用者端末100から情報を送受信するための処理をする。本開示においては、特に、アカウント登録完了通知、ログイン許可通知、利用可能車種一覧、及び利用許可証等が、管理装置200から利用者端末100に送信される。また、アカウント登録要求、ログイン要求、閲覧要求、及び予約要求等が、利用者端末100から管理装置200に送信される。
【0052】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0053】
5.車載器300の構成
図7は、本開示の実施形態1に係る車載器300の構成の例を示すブロック図である。車載器300は、
図7に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0054】
図7によると、車載器300は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ351、CPU等から構成されるプロセッサ352、及び通信インターフェイス353を含む。また、車載器300は、上述した第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342も含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0055】
メモリ351は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ352によってロードされ実行される。例えば、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342を駆動するためのプログラムが記憶される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ352によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。例えば、押下釦6の押下の検出に用いられる上述した電流値の閾値が記憶されている。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ351は、特に、
図9の処理シーケンス及び
図11の処理フローで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する(処理の詳細は、
図9及び
図11において説明する。)。
【0056】
プロセッサ352は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ351に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ352は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ351から読み出して実行する。また、プロセッサ352は、メモリ351に記憶されたプログラムを実行して、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342を制御する。更に、プロセッサ352は、メモリ351に記憶された当該閾値を使用して、押下釦6に対する押釦動作の有無を判定する。本開示においては、プロセッサ352は、特に、
図9の処理シーケンス及び
図11の処理フローで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、
図9及び
図11において説明する。)。なお、プロセッサ352は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUで構成しても良い。
【0057】
通信インターフェイス353は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された利用者端末100との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、車両利用管理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、利用者端末100から情報を送受信するための処理をする。本開示においては、特に利用制限解除要求が、利用者端末100から車載器300に送信される。
【0058】
通信処理回路は、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式に基づいて処理されるが、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。
【0059】
6.車両利用管理システム1により実行される処理シーケンス
(A)アカウント登録から車両予約に係る処理
図8は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100と管理装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、
図8は、カーシェアリングサービスを利用する利用者がアカウント登録してから実際に車両を予約するまでに、利用者端末100と管理装置200との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0060】
利用者端末100のプロセッサ112は、カーシェアリングサービスを希望する利用者から、利用者の個人情報を伴うアカウント登録操作を受け付けると(U11)、通信インターフェイス114、無線ネットワーク400、中継装置410及びWAN420を介して管理装置200に、利用者の個人情報を含むアカウント登録要求を送信する(T11)。ここで、アカウント登録操作とは、入力インターフェイス115を用いて利用者が自身の個人情報を入力する行為である。
【0061】
当該アカウント登録要求が管理装置200において通信インターフェイス213を介して受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、アカウント情報(ユーザID、パスワード(PW))を生成する(S11)。また、管理装置200のプロセッサ212は、このアカウント情報を、アカウント登録要求に含まれている利用者の個人情報に紐付けてメモリ211に登録する(S12)。その後、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213、WAN420、中継装置410及び無線ネットワーク400を介して、アカウント登録要求の送信元である利用者端末100に、アカウント情報を含むアカウント登録完了通知を送信する(T12)。これにより、利用者は、利用者端末100を操作することにより、カーシェアリングサービスを利用するために必要なアカウント登録が完了したことを把握することができ、実際の車両の予約処理等を行うことが可能になる。
【0062】
次に、利用者端末100のプロセッサ112は、アカウント情報(ユーザID、パスワード)を伴うログイン操作を利用者から受け付けると(U12)、通信インターフェイス114、無線ネットワーク400、中継装置410及びWAN420を介して管理装置200に、このアカウント情報を含むログイン要求を送信する(T13)。ここで、ログイン操作とは、入力インターフェイス115を用いて利用者が自身のアカウント情報(ユーザID、パスワード(PW))を入力する行為である。
【0063】
当該ログイン要求が管理装置200において通信インターフェイス213を介して受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、ログイン要求に含まれているアカウント情報、及び管理装置200に登録されているアカウント情報、を用いて認証処理を実施する(S13)。管理装置200のプロセッサ212は、認証が成立した場合、ログイン要求の送信元である利用者端末100のログインを許可する。そして、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213、WAN420、中継装置410及び無線ネットワーク400を介して、ログイン許可通知をログイン要求元の利用者端末100に送信する(T14)。
【0064】
次に、利用者端末100のプロセッサ112は、利用日時を伴う閲覧操作を利用者から受け付けると(U13)、通信インターフェイス114、無線ネットワーク400、中継装置410及びWAN420を介して管理装置200に、この利用日時を含む閲覧要求を送信する(T15)。ここで、閲覧操作とは、入力インターフェイス115を用いて利用者が希望する車種の情報の入力又は選択する行為である。
【0065】
当該閲覧要求が管理装置200において通信インターフェイス213を介して受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、閲覧要求に含まれている利用日時に利用可能な車両2の車種を、メモリ211に記憶された予約状況から検索する(S14)。そして、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213、WAN420、中継装置410及び無線ネットワーク400を介して、この利用日時に利用可能な車種の一覧データを利用者端末100に送信する(T16)。
【0066】
次に、当該一覧データが利用者端末100において通信インターフェイス114を介して受信されると、利用者端末100のプロセッサ112は、管理装置200から受信した利用可能車種の一覧データを出力インターフェイス111を介して表示する。その後、利用者端末100のプロセッサ112は、利用者による予約する車種の選択を伴う予約操作を受け付ける(U14)。ここで、予約操作とは、入力インターフェイス115を用いて利用者が希望する車種を選択する行為である。そして、利用者端末100のプロセッサ112は、通信インターフェイス114、無線ネットワーク400、中継装置410及びWAN420を介して管理装置200に、予約操作により選択された車種及び閲覧操作で指定された利用日時を含む予約要求を送信する(T17)。
【0067】
当該予約要求が管理装置200において通信インターフェイス213を介して受信されると、管理装置200のプロセッサ212は、当該予約要求に含まれている車種の車両2を、当該予約要求に含まれている利用日時に予約する予約処理を実施する(S15)。そして、管理装置200のプロセッサ212は、予約された利用日時を利用条件として含む利用許可証を発行する(S16)。具体的に、管理装置200のプロセッサ212は、予約された車両2に対応付けて管理されている車載器300に設定されている共通鍵を用いて、予約情報(車両2及び利用日時等に係る情報)を暗号化するとともに、当該車載器300に設定されている公開鍵と対の秘密鍵を用いて署名を行って当該利用許可証を生成する。すなわち、当該利用許可証は、暗号情報及び署名に係る情報を含んでいる。その後、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213、WAN420、中継装置410及び無線ネットワーク400を介して、当該利用許可証を利用者端末100に送信する(T18)。
【0068】
(B)車両2の利用動作に係る処理
図9は、本開示の実施形態1に係る利用者端末100と車載器300との間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、
図9は、カーシェアリングサービスを利用する利用者が予約した車両2を利用可能にするために、利用者端末100と車載器300との間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0069】
先ず、利用者が、利用者端末100を携帯して、予約した車両2の近くまで移動したものとする。ここで、利用者端末100のプロセッサ112は、利用者から利用操作を受け付けると(U21)、予約した車両2について近距離無線通信500により管理装置200から受信した利用許可証を含む利用制限解除要求を車載器300に送信する(T21)。
【0070】
当該利用制限解除要求が車載器300において通信インターフェイス353を介して受信されると、車載器300のプロセッサ352は、車載器300に設定されている公開鍵を用いて、利用者端末100から受信した利用制限解除要求に含まれる利用許可証の署名検証を実行する(S21)。より具体的に、車載器300のプロセッサ352は、利用許可証を生成する際になされた署名が管理装置200によって正式になされたものであるか否かを、当該公開鍵を用いて検証する。続いて、署名検証が成立したならば、車載器300のプロセッサ352は、車載器300に設定されている共通鍵を用いて、利用許可証に含まれている暗号情報を予約情報に復号する(S22)。
【0071】
次に、車載器300のプロセッサ352は、予約情報に含まれている利用条件を満足するか否かを確認する(S23)。具体的には、車載器300のプロセッサ352は、現在日時が利用条件として予約情報に含まれている利用日時の時間帯(利用開始日時から利用終了日時までの時間帯)に属していることを確認する。そして、利用条件を満足していることを確認した場合、車載器300のプロセッサ352は、電力制御回路354を制御して第1アクチュエータ341を駆動させ、車両2のドアのロックを解除する(S24)。これにより、利用者は、車両2のドアを開けて車内に乗り込み、利用者は、車両2の利用が可能になる。
【0072】
7.管理装置200において実行される処理フロー
以下、
図8に記載された車種検索から利用許可証の発行及び送信に係る処理において、管理装置200において実行される処理フローを具体的に説明する。
【0073】
図10は、本開示の実施形態1に係る管理装置200において実行される処理フローを示す図である。特に、
図10は、利用者端末100から送信された予約要求に対する管理装置200の予約要求処理動作を説明するためのフロー図である。当該処理フローは、主に管理装置200のプロセッサ212がメモリ211に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0074】
本フローは、管理装置200のプロセッサ212が、通信インターフェイス213を介して、ログイン中の利用者が所持する利用者端末100から閲覧要求を受信することにより開始される。
【0075】
先ず、管理装置200のプロセッサ212は、メモリ211を参照し、閲覧要求に含まれている利用日時の時間帯(利用開始日時から利用終了日時までの時間帯)における利用可能車種を検索する(S111)。具体的には、管理装置200のプロセッサ212は、利用日時の時間帯に予約されていない車両2の予約管理情報のテーブルをメモリ211から検索する。そして、検索したテーブルに紐付けられている車両情報に含まれている車種を利用可能車種として特定する。
【0076】
次に、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213を介して閲覧要求の送信元の利用者端末100に、利用可能車種の一覧データを送信する(S112)。
【0077】
次に、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213を介して閲覧要求の送信元の利用者端末100から予約要求を受信すると(S113:YES)、メモリ211に記憶されている予約管理情報を更新する(S114)。具体的に、管理装置200のプロセッサ212は、S111で検索した予約管理情報のテーブルの中から、利用者が希望する車種と一致する車種を含む車両情報に紐付けられている予約管理情報のテーブルを特定する。そして、管理装置200のプロセッサ212は、特定した予約管理情報のテーブルに、利用者が希望する利用日時の時間帯(利用開始日時から利用終了日時までの時間帯)の予約を追加して、予約管理情報を更新する。なお、利用者が希望する利用日時の時間帯の予約がS111以降にすでに登録されていた場合には、S111で検索した予約管理情報のテーブルの中から、利用者が希望する車種と一致する車種を含む車両情報に紐付けられている他の予約管理情報のテーブルを一つ特定して予約管理情報を更新する。
【0078】
次に、管理装置200のプロセッサ212は、予約された利用日時を利用条件として含む予約情報を生成する(S115)。その後、管理装置200のプロセッサ212は、S114において予約管理情報が更新された予約管理情報のテーブルに紐付けられている車両情報に含まれる車両ナンバを利用して、当該車両ナンバが付与された車両2に設置されている車載器300の利用制御装置情報を検索する。そして、管理装置200のプロセッサ212は、通知された車両ナンバがフィールドに登録されている利用制御装置情報のレコードをメモリ211から検索する。続いて、管理装置200のプロセッサ212は、生成した予約情報に対して、当該利用制御装置情報のレコードのフィールドに登録されている共通鍵で暗号化処理を行い、暗号情報を生成する。また、管理装置200のプロセッサ212は、当該利用制御装置情報のレコードのフィールドに登録されている秘密鍵を用いて、この暗号情報に対する署名を行い、利用許可証を生成する(S116)。
【0079】
次に、管理装置200のプロセッサ212は、通信インターフェイス213を介して、予約要求の送信元の利用者端末100に利用許可証を送信する(S117)。なお、この際に、管理装置200のプロセッサ212は、S114において予約管理情報が更新された予約管理情報のテーブルに紐付けられている車両情報を含む案内情報も送信する。
【0080】
8.車載器300において実行される処理フロー
以下、
図11に記載された車両2の利用制限解除に係る処理において、車載器300において実行される処理フローを具体的に説明する。
【0081】
図11は、本開示の実施形態1に係る車載器300において実行される処理フローを示す図である。特に、
図11は、利用者端末100から送信された利用制限解除要求に対する車載器300の解除処理動作を説明するためのフロー図である。当該処理フローは、主に車載器300のプロセッサ352がメモリ351に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0082】
本フローは、車載器300が通信インターフェイス353及び近距離無線通信500を介して利用者端末100から利用制限解除要求を受信することにより開始される。
【0083】
先ず、車載器300のプロセッサ352は、利用者端末100から受信した利用制限解除要求に含まれている利用許可証(暗号情報および署名)に対して、メモリ351に記憶されているホールデータに含まれている公開鍵を用いて、暗号情報に対する署名を検証する(S211)。具体的には、車載器300のプロセッサ352は、公開鍵を用いて署名を復号し、その復号情報が暗号情報あるいはそのメッセージダイジェスト(ハッシュ値)と一致するか否かを判断することにより、署名の正当性を検証する。
【0084】
車載器300のプロセッサ352は、署名検証が失敗したならば(S212:NO)、通信インターフェイス353及び近距離無線通信500を介して利用者端末100にその旨を通知する等の所定のエラー処理を実施して(S213)、このフローを終了する。一方、車載器300のプロセッサ352は、署名検証が成立したならば(S212:YES)、メモリ351に記憶されているホールデータに含まれている共通鍵を用いて、暗号情報を予約情報に復号する(S214)。
【0085】
次に、車載器300のプロセッサ352は、復号した予約情報に含まれている利用条件を満足しているか否かを確認する(S215)。例えば、車載器300のプロセッサ352は、現在日時が利用条件として利用許可証に含まれている利用日時の時間帯(利用開始日時から利用終了日時までの時間帯)に属しているか否かを確認する。そして、利用条件を満足していないならば(S216:NO)、車載器300のプロセッサ352は、通信インターフェイス353及び近距離無線通信500を介して利用者端末100にその旨を通知する等の所定のエラー処理を実施して(S213)、このフローを終了する。
【0086】
一方、利用条件を満足している場合(S216:YES)、車載器300のプロセッサ352は、電力制御回路354を制御して第1アクチュエータ341を駆動させ、車両2の電子キーの押釦動作(解錠動作)を実行する(S217)。これにより、利用者端末100の利用者は、車両2のドアを開けて車内に乗り込み、車両キー3に直接触れることなく車両2の駆動を開始することができる。
【0087】
上述した実施形態1においては、3種類の車両キー3a~3cに対応するために、第1凹部322a~第3凹部322cを固設部材320に設けていたが、凹部の数はこれに限定されない。4種類以上の車両キー3に対応するために、凹部の数を増やしてもよく、2種類の車両キー3に対応するために凹部を2つとしてもよい。すなわち、固設する予定の車両キー3の種類の数に応じて、凹部の数を適宜変更することができる。特に、凹部の数を増やすことによってより多くの種類の車両キー3に対応することができることになる。一方で、加工面を考慮して、固設部材320に設ける凹部の数を適宜調整してもよい。
【0088】
また、上述した実施形態1においては、2つの第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342をアクチュエータユニット312の内部に設置していたが、車両キー3の押下釦6の数に応じて当該アクチュエータの数も適宜変更することができる。車両キー3に解錠釦4及び施錠釦5とは異なる釦(例えば、左右のスライドドアの開閉釦)が設けられており、当該異なる釦についても押釦動作する場合には、アクチュエータを増やして対応することができる。
【0089】
更に、上述した実施形態1においては、カーシェアリングのユーザが車両キー3に直接触れる必要性がなく、当該ユーザが車両2の駆動を実行していたがこれに限定されることはない。例えば、車載器300をグローブボックス等に設置して当該ユーザがアクセス可能とし、ユーザによる車両キー3の入手後に車両2の駆動を許容するようにしてもよい。この場合には、車載器300又は固設ユニット311にロック機構を設け、ドアロックの解除とともに当該ロック機構を解除し、当該ユーザが車両キー3にアクセス可能とするようにしてもよい。
【0090】
そして、上述した実施形態1においては、車載器300に格納した車両キー3を別な車両キーに交換すること(車両キー3の取り換え)は通常行われないが、車載器300に格納された車両キー3へのアクセスは可能であるため、このような車両キー3の取り換えを行うようにしてもよい。例えば、車載器300が設置される車両2の変更、又は車両キー3の形状変更等に対応して、別の車両キーの再取り付けを行うようにしてもよい。
【0091】
<実施形態2>
9.本開示に係る固設部材620の機械的構造
上述した実施形態においては、押下釦6の押下方向に対して平行な方向において、寸法の異なる3種類の凹部を固設部材320に形成することにより、押下釦6の押下方向に対して平行な方向において、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設可能としていた。しかしながら、押下釦6の押下方向に対して垂直な方向(
図4a等におけるY方向)において、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設可能としてもよい。このような形態を実施形態2として、以下に説明するが、固設部材以外の共通する部材等の説明は省略する。
【0092】
図12は、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の機械的構造を概略的に示す概念図である。また、
図13A~13Cは、本開示の実施形態2に係る車載器300を構成する固設部材620の平面図である。特に、
図13A~
図13Cは、外形及び寸法(すなわち、形状)の異なる車両キー3d~e(以下、いずれを選択しない場合には、単に車両キー3と称する)を格納及び押釦操作する状態を示している。
【0093】
実施形態2において、
図13Aに示すように、車両キー3の一つである車両キー3dは、比較的に小さく且つ-Z方向に向けて一部が突出した矩形の形状を有している。また、
図13Bに示すように、車両キー3の一つである車両キー3dは、比較的に大きく且つ略矩形の形状を有している。更に、
図13Cに示すように、車両キー3の一つである車両キー3fは、車両キー3dより大きく且つ車両キー3eより小さく、-Z方向に向けて一部が突出した矩形の形状を有している。
【0094】
図12に示すように、固設部材620の底面には、車両キー3の解錠釦4及び施錠釦5を露出する開口621が形成されている。また、固設部材620は、形状の異なる車両キー3d~3fに対応し、各車両キー3を保持するための凹部622を有する。凹部622は、開口621と連通して平行に形成されており、開口621よりも大なる寸法を有する。更に、固設部材620の凹部622の側面には、6つの溝部623が形成されている。溝部623には、
図13A~
図13Cに示すように、凹部622の側面と協働して車両キー3を挟持する挟持片624a~624c(以下、いずれかを選択しない場合には、単に挟持片624とも称する)が配置される。そして、固設部材620の開口621には、押下釦6を押下するための2つの押下片625a、625b(以下、いずれかを選択しない場合には、単に押下片625とも称する)が配置される。なお、挟持片624a~624c及び押下片625a、625bは、車両キー3を格納する格納部として機能するキーボックス310の構成部材の一部となる。
【0095】
凹部622の具体的な形状としては、
図12及び
図13A~Cに示すように、YZ平面における形状は略矩形状であり、+Z方向に向かうにつれてY方向の寸法が徐々に小さくなっている。また、Z方向の一端(-Z側の端部)においては、特定の車両キー3の外形に合わせた溝部626が形成されている。このような凹部622の側面の形状は、形状の異なる車両キー3の外形の一部に合致しており、当該側面には車両キー3の側部の一部が当接する。
【0096】
挟持片624a~624cのぞれぞれは、
図13A~
図13Cに示すように、挟持する車両キー3の形状及び固設パターンに応じて、異なる形状を有している。より具体的に、
図13Aに示すように、挟持片624aは、YZ平面においてU字状の形状を有しており、4つの溝部623に当接することにより、固設部材620に固定される。そして、挟持片624aは、その側面に車両キー3dの側面を当接させ、-Z側に位置する凹部622の一部(溝部626及びその周辺)と協働して車両キー3dを固設する。すなわち、車両キー3dに対しては、凹部622の-Z側において車両キー3dを固設する固設パターンが、凹部622及び挟持片624aによって形成されている。
【0097】
これに対して、
図13Bに示すように、挟持片624bは、Y方向に延在するI字状の形状を有しており、2つの溝部623に当接することにより、固設部材620に固定される。そして、挟持片624bは、その側面に車両キー3eの一端面を当接させ、Z方向及びY方向に延在する凹部622の側面の大部分と協働して車両キー3eを固設する。すなわち、車両キー3eに対しては、凹部622の大部分において車両キー3eを固設する固設パターンが、凹部622及び挟持片624bによって形成されている。
【0098】
これらに対して、
図13Cに示すように、挟持片624cは、YZ平面においてS字状の形状を有しており、2つの溝部623に当接することにより、固設部材620に固定される。そして、挟持片624cは、その側面に車両キー3fの一端面を当接させ、Z方向及びY方向に延在する凹部622の側面の大部分と協働して車両キー3fを固設する。すなわち、車両キー3fに対しては、凹部622の+Z側において車両キー3fを固設する固設パターンが、凹部622及び挟持片624cによって形成されている。
【0099】
以上のように、実施形態2においては、形状の異なる車両キー3d~3fのそれぞれが有する押下釦6の位置のいずれもを所定領域である開口621内に統一して各車両キー3を固設することが、固設部材620及び挟持片624によってなされている。すなわち、車両キー3a~3cの押下釦6の位置はアクチュエータの可動に対して共通化され、アクチュエータが接触できる範囲で同等となる。また、開口321が押下釦6のぞれぞれのための共用の窓として機能する。そして、固設部材620は、凹部622の形状及び挟持片624により、押下釦6の押下方向に対して垂直な方向において、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設することができる。すなわち、3種類の車両キー3d~3fに対して、固設部材620の共通化を図りつつも、各車両キー3に対応した適切な固設状態にて押釦動作が可能となる。
【0100】
押下片625aは、
図12に示すように、U字状の形状を有している。また、押下片625aは、押下釦6と直接的に接触する3つの突起627を有している。突起627のうちの2つは、押下片625aの両端部分に設けられ、残りの1つは、押下片625aの中央部分に設けられている。一方、押下片625bは、
図12に示すように、E字状の形状を有している。また、押下片625bは、押下釦6と直接的に接触する3つの突起628を有している。突起628のうちの2つは、押下片625bの両端部分に設けられ、残りの1つは、押下片625bの中央部分に設けられている。そして、押下片625aと押下片625bとは、互いのZ方向に突出する部分が対向して交互に配置されるように設置されている。なお、押下片625aと押下片625bは、図示しない固定部材によって固設ユニット311又はアクチュエータユニット312に固定されるとともに、各中央部付近にアクチュエータが当接することによって押下方向(-X方向)に全体的に変位することが可能になっている。
【0101】
押下片625と押下釦6との位置関係は、
図13A~Cに示すように、押下片625aが解錠釦4に対して押釦動作可能な位置に配置され、押下片625bが施錠釦5に対して押釦動作可能な位置に配置されている。より具体的には、
図13Aに示すように、比較的に小さい解錠釦4及び施錠釦5を備える車両キー3dの場合であっても、アクチュエータの可動に基づいて、押下片625aの-Z側に設けられた突起627が解錠釦4に当接し、押下片625bの-Z側に設けられた突起628が施錠釦5に当接する。また、
図13Bに示すように、Y方向において開口621の半程度の大きさの解錠釦4及び同等の大きさの施錠釦5を備える車両キー3eの場合であっても、アクチュエータの可動に基づいて、押下片625aの中央部に設けられた突起627が解錠釦4に当接し、押下片625bの中央部に設けられた突起628が施錠釦5に当接する。また、
図13Cに示すように、Y方向において開口621の半程度の大きさの解錠釦4及び施錠釦5を備える車両キー3fの場合であっても、アクチュエータの可動に基づいて、押下片625aの+Z側に設けられた突起627が解錠釦4に当接し、押下片625bの+Z側に設けられた突起628が施錠釦5に当接する。
【0102】
すなわち、形状の異なる車両キー3に対応した各固設パターンにおいて、押釦動作可能な位置に、押下片625aの突起627のいずれかが配置されるとともに、押下片625bの突起628のいずれかが配置されている。このような押下片625の形状及び突起627、628の配置により、隣接して設けられた解錠釦4及び施錠釦5に対しても正確な押釦動作が可能となり、アクチュエータの駆動に対応して解錠又は施錠のいずれかを確実に実行することができる。
【0103】
なお、固設部材620、挟持片624、及び押下片625は、プラスチック等の加工性に優れ且つ一定の強度を備える部材から構成されている。また、実施形態2に係る押釦動作を正確に実行する観点から、車両キー3の筐体から押下釦6が突出した形状を有する車両キー3に対して、実施形態2に係る固設部材620、挟持片624、及び押下片625を適用することが好ましい。
【0104】
<実施形態3>
10.本開示に係る固設部材720の機械的構造
上述した実施形態においては、固設部材320及び固設部材620に凹部を設け、当該凹部に車両キー3を嵌装させて押下釦6の押下方向に対して平行な方向又は垂直な方向のいずれかにおいて、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設していた。しかしながら、車両キー3を固設部材の比較的に硬い部材によって保持せずに、例えば、
図14に示すように、形状記憶材料から構成され且つ柔軟性を備えるゲル状部材によって車両キー3を保持してもよい。このような形態を実施形態3として、以下に説明するが、
図14にて図示する以外の部分は実施形態1と共通となるため、その説明は省略する。
【0105】
ここで、
図14は、本開示の実施形態3に係る車載器300を構成する固設部材720の断面図である。
図14に示すように、固設部材720は、プラスチック等からなる比較的に強固な筐体721、及び当該筐体721の凹部721aに埋め込またゲル状部材722から構成されている。ゲル状部材722は、車両キー3が押しつけられると、その形状を変化させて車両キー3の周囲を囲み、車両キー3を固設する。すなわち、形状の異なる車両キー3のいずれかを固設する場合、ゲル状部材722が変形することにより、押下釦6の押下方向に対して平行な方向及び垂直な方向において、車両キー3のそれぞれに対応した固設パターンが形成され、車両キー3の固設が可能になる。換言すると、ゲル状部材722は、その厚み方向及び当該厚み方向と直行する方向において、車両キー3を固設するための固設パターンをとることができ、実施形態1及び実施形態2と比較してより多種の形状の車両キー3に対応した固設が可能になる。
【0106】
図14に示すように、車両キー3がゲル状部材722によって固設された状態において、蓋730が車両キー3と対向するように配置され、ねじなどの接合部材(図示せず)によって筐体721に蓋730が固定される。この際、蓋730には開口730aが設けられており、開口730aから解錠釦4及び施錠釦5が露出するため、各アクチュエータによる押釦動作が可能となる。
【0107】
なお、車両キー3を直接的に固設する部材はゲル状部材722に限定されることなく、押圧によって形状を変形し且つ車両キー3を一定の状態で保持して固設することができれば、シリコーンからなるゴムスポンジ等の他の部材が用いられてもよい。
【0108】
<実施形態4>
11.本開示に係る車載器1300の機械的構造
上述した実施形態においては、固設ユニット311がアクチュエータユニット312の外側に着脱自在に取り付けられる構造が採用されていたが、このような構造に限定されることはない。例えば、
図15に示す車載器1300のように、アクチュエータユニット312をアウターケースとし、アクチュエータユニット312の内部に固設ユニット311をインナーケースとして収容してもよい。このような形態を実施形態4として、以下に説明するが、実施形態1と共通となる部分は同一符号を付し、その説明は省略する。
【0109】
図15に示すように、キーボックス310は、車両キー3を押釦動作可能な位置に格納する固設ユニット311、車両キー3に対する押釦動作に必要な他の部品を収容するアクチュエータユニット312から構成されている。インナーケースとして機能する固設ユニット311は、アウターケースとして機能するアクチュエータユニット312の収納空間に装設され、アクチュエータユニット312のロック片312bによって取り出しが制限される。すなわち、ロック片312bのロックを解除しなければ、、車両キー3を固設ユニット311から取り出すことができず、更には車両キー3を固設した状態の固設ユニット311をアクチュエータユニット312に嵌装することができない。
【0110】
ここで、車載器1300のプロセッサ352(
図7と同様)は、実施形態1のドアロックの解除と同じタイミングにて、ロック片312bのロックを解除する。すなわち、車載器1300のプロセッサ352は、予約情報に含まれている利用条件が満足されると判断した場合に、ロック片312bのロックの解除を実行する。これにより、利用者は、車両2のドアをあけて車内に乗り込み、キーボックス310から車両2の車両キー3を入手することができる。
【0111】
実施形態4においても、車両キー3の取り換え(形状等がことなる別な車両キーを設置すること)が可能となっているが、ロック片312bを設けてアクセス制限することにより、車両キー3の取り換えに関するセキュリティの向上も図ることができている。
【0112】
12.本開示の実施形態のまとめ
本開示の実施形態に係る車載器300は、少なくとも一つの押下釦6を有する電子キーの一態様である車両キー3を押釦動作可能な位置に格納するように構成された固設ユニット311と、当該押釦動作可能な位置に格納された車両キー3に対して、押釦動作をするように構成された第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342と、備え、固設ユニット311は、形状の異なる車両キー3のそれぞれが有する異なる形状の押下釦6の位置がいずれも所定領域内(開口内)となるように、車両キー3のそれぞれを固設するように構成された固設部材320、620、720を含む。このような構成により、形状の異なる車両キー3のそれぞれに対して、固設部材を共通化しつつも、車両キー3の押釦動作が可能となる。これにより、異なる種類の車両キー3毎に格納部品である固設部材を変更することなく、当該車両キー3を遠隔で操作して解錠及び施錠を可能にする車載器300が提供される。
【0113】
上記構成において、固設部材320、620は、押下釦6の押下方向に対して平行な方向又は垂直な方向の少なくともいずれか一方において、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設してもよい。このような構成により、一定の方向のみに複数の固設パターンが設定されることになり、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0114】
上記構成において、固設部材320、620は、押下釦6を露出する開口321、621を底面に有し、且つ、開口321、621と連通して平行に形成された開口よりも大なる凹部を有してもよい。このような構成により、押下釦6の押下方向に対して平行な方向のみに複数の固設パターンが設定されることになり、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0115】
上記構成において、固設部材320の凹部(第1凹部322a、第2凹部322b、及び第3凹部322c)は、押下釦6の押下方向に対して平行な方向において階段状に形成されてもよい。このような構成により、押下釦6の押下方向に対して平行な方向のみにより多くの固設パターンが設定されることになり、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、より多くの種類の車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0116】
上記構成において、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342は、開口321から固設ユニット311の内部に貫入し、押下釦6と接触して当該押釦動作をしてもよい。このような構成により、押下釦6が車両キー3の本体部分から突出していない形状であっても、車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0117】
上記構成において、固設ユニット311は、凹部622に設置される挟持片624を含み、凹部622は、押下釦6の押下方向に対して垂直な方向において、挟持片624と協働して車両キー3を複数の固設パターンにて固設してもよい。このような構成により、押下釦6の押下方向に対して垂直な方向のみに複数の固設パターンが設定されることになり、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0118】
上記構成において、固設ユニット311は、開口621に配置され、複数の固設パターンのそれぞれにおいて押下釦6を押下する押下片625を含んでもよい。このような構成により、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、より多くの種類の車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0119】
上記構成において、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342は、押下片625と接触して押釦動作をしてもよい。このような構成により、押下釦6が車両キー3の本体部分から突出している形状の場合、車両キー3に対する押釦動作をより確実に行うことができる。
【0120】
上記構成において、固設部材720は、押下釦6の押下方向に対して平行な方向及び垂直な方向において、形状の異なる車両キー3を複数の固設パターンにて固設するゲル状部材722を有してもよい。このような構成により、押下釦6の押下方向に対して平行及び垂直な方向に複数の固設パターンが設定されることになり、第1アクチュエータ341及び第2アクチュエータ342の一定方向の可動のみにより、車両キー3に対する押釦動作を確実に行うことができる。
【0121】
13.変形例
上記の実施形態においては、電子キーの一例として車両2の車両キー3を説明したが、電子キーは車両キー3に限定されることはない。例えば、家屋の玄関の電子キー、ロッカーの電子キー等にも適応することができる。すなわち、押下釦6が設けられた電子キーであれば、本開示に係る操作装置を適用することが可能である。
【0122】
また、上記の実施形態においては、アクチュエータを構成するモータに流れる電流値に基づいて押釦動作の有無を判断していたが、これに限定されることはない。例えば、アクチュエータの可動部に接触センサを設け、当該可動部と押下釦6との当接を検知するようにしてもよい。別な態様として、アクチュエータユニット312内に小型カメラ等を設け、当該可動部と押下釦6との当接を画像によって検知してもよい。
【0123】
本明細書で説明される処理及び手順は、本開示において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、端末装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0124】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0125】
100 端末装置
200 管理装置
300 車載器(操作装置)
311 固設ユニット(格納部)
320 固設部材(収容部材)
341 第1アクチュエータ
342 第2アクチュエータ