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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074166
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】座板
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240523BHJP
   E06B 9/78 20060101ALI20240523BHJP
   E06B 9/74 20060101ALN20240523BHJP
【FI】
E06B9/17 U
E06B9/78
E06B9/74 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185279
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 巧
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA02
(57)【要約】
【課題】
外観を損ねることなく、停電時等にシャッターを手動で開閉操作することを可能とする。
【解決手段】
シャッターカーテン下端の座板5は、床面ないし地面に着床するフラット部51と、フラット部51から立ち上がる垂直部50と、から形成されており、垂直部50は、第1側に開口し、垂直部50の全幅に亘って形成された第1凹部50Aと、第2側に開口し、垂直部50の全幅に亘って形成された第2凹部50Bと、を備えており、第1凹部50Aと第2凹部50Bが選択的に指の掛かり部を形成する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテン下端の座板は、床面ないし地面に着床するフラット部と、フラット部から立ち上がる垂直部と、から形成されており、
前記垂直部は、第1側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第1凹部と、第2側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第2凹部と、を備えており、
前記第1凹部と前記第2凹部が選択的に指の掛かり部を形成する、
座板。
【請求項2】
前記第1凹部は上側凹部であり、前記第2凹部は下側凹部であり、
前記第1凹部の下面と、前記第2凹部の上面は、第1側から第2側へ上向き傾斜状に延びる傾斜片によって兼用されている、
請求項1に記載の座板。
【請求項3】
前記垂直部は、第1側の第1見付面と、第2側の第2見付面と、を備えており、
前記第1凹部の底部は、前記第2見付面の部分から形成されており、
前記第2凹部の底部は、前記第1見付面の部分から形成されており、
前記第2見付面の部分と前記第1見付面の部分は、前記傾斜片によって連結されている、
請求項2に記載の座板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターカーテンの下端に設けられた座板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動シャッター(例えば、軽量電動シャッター)は通常時には開閉機によって電動でシャッター開閉を行うが、停電時等において、手動でシャッターの開放操作を行えるように取手ないし手掛けを備えている。具体的には、全閉姿勢のシャッターカーテンの高さ方向の中間よりもやや下方に位置するスラットの面部には、屋外側に面して手掛けが設けてあり、停電時には、手掛けに手を掛けて全閉姿勢にあるシャッターカーテンを手動で開放できるようになっている。
【0003】
しかしながら、スラットに手掛けを付けることによって、全閉姿勢にあるシャッターカーテンの屋外側の見付面に手掛けが位置することから、シャッターの外観が重要視されるような現場に設置するには適さない。
【0004】
特許文献1には、シャッターカーテンの下端部位に手掛けを設けた点が開示されているが、手掛けは、高さ方向に連続するスラットから形成されるシャッターカーテンの見付面に対して突出することから、シャッターの外観を損ねるおそれがある。
【特許文献1】特開2010-144354
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、シャッター装置において、外観を損ねることなく、停電時等にシャッターを手動で開閉操作することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
シャッターカーテン下端の座板は、床面ないし地面に着床するフラット部と、フラット部から立ち上がる垂直部と、から形成されており、
前記垂直部は、第1側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第1凹部と、第2側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第2凹部と、を備えており、
前記第1凹部と前記第2凹部が選択的に指の掛かり部を形成する、
座板、である。
【0007】
1つの態様では、前記第1凹部は上側凹部であり、前記第2凹部は下側凹部であり、
前記第1凹部の下面と、前記第2凹部の上面は、第1側から第2側へ上向き傾斜状に延びる傾斜片によって兼用されている。
【0008】
1つの態様では、前記垂直部は、第1側の第1見付面と、第2側の第2見付面と、を備えており、
前記第1凹部の底部は、前記第2見付面の部分から形成されており、
前記第2凹部の底部は、前記第1見付面の部分から形成されており、
前記第2見付面の部分と前記第1見付面の部分は、前記傾斜片によって連結されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、座板の垂直部において、第1側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第1凹部と、第2側に開口し、前記垂直部の全幅に亘って形成された第2凹部と、を設け、第1凹部、第2凹部に指の掛かり部を形成したので、停電時等において、凹部に指を差し入れて、スムーズに掛かり部に指を掛けることで、手動でシャッターを開放させることができ、また、座板に形成した凹部(目立たない位置)に指の掛かり部を形成したことで、シャッターの外観を損ねることがない。
【0010】
シャッターケースを屋外側、屋内側のどちらに設置する納まりにするかによって、シャッターカーテンの第1側、第2側と、屋外側、屋内側と、の対応が逆転することになるが、本発明では、座板において、異なる側に開口する第1凹部と第2凹部を設け、前記第1凹部と前記第2凹部が選択的に指の掛かり部を形成するようにすることで、第1側、第2側のいずれが屋外側となっても、全閉姿勢のシャッターカーテンの下端に凹部によって指の掛かり部が形成される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係るシャッターカーテンを備えたシャッター装置(全閉姿勢)を屋外側から見た正面図及び縦断面図である。
図2】本実施形態に係るシャッターカーテンの正面図である。
図3】本実施形態に係るシャッターカーテンの側面図及びスラットの断面図である。
図4】本実施形態に係る座板の平面図及び正面図である。
図5】本実施形態に係る座板の側面図である。
図6】本実施形態に係る座板本体の側面図ないし断面図である。
図7】シャッターカーテンが全開状態に近づいた時の座板とガイドレールとの関係を示す縦断面図である。
図8】シャッターカーテンの全開状態時の座板と上部ガイドとの関係を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、全閉状態のシャッター装置の屋外側から見た正面図及び縦断面図であって、シャッター装置は、開口部の左右のガイドレール1と、開口部上方のシャッター収納空間に設けた巻取シャフト2と、上端が巻取シャフト2に連結されており、幅方向両端がガイドレール1の溝部10内に案内されるシャッターカーテン3と、を備えている。シャッターカーテン3は、互いに揺動可能に連結された複数枚のスラット4と、複数枚のスラット4の最下位のスラット4に揺動可能に連結された座板5と、からなる。
【0013】
開口部上方には、内部にシャッター収納空間を備えたシャッターケースCが設けてあり、シャッターケースCの幅方向両側に位置して左右のブラケットBが設けてあり、左右のブラケットB間には巻取シャフト2が設けられ、開口部全開時には、シャッターカーテン3は巻取シャフト2に巻き取られた状態で、シャッターケースC内に収納されている。各ブラケットBには、各ガイドレール1の上端に位置して上部ガイド11が固定されている(図7図8参照)。上部ガイド11は、上方に向かって拡開状の一対の湾曲片からなる。シャッターケースCの下端には、左右のガイドレール1の上端部位間に亘って、まぐさ材12が開口幅方向に亘って設けてある(図7図8参照)。
【0014】
スラット4は、開口幅方向に延びる長尺材であって、図3右図に示すように、第1見付面、第2見付面を備えた中空状の本体40と、本体40の上側に一体形成された上側の係合部41と、本体40の下側に一体形成された下側の係合部42と、からなる。上下に隣接するスラット4において、上側のスラット4の下側の係合部42に下側のスラット4の上側の係合部41がインターロック連結するようになっている。シャッターカーテン3を形成する複数枚のスラット4において、高さ方向に1枚置きで、スラット4の方向両端部には、耐風フック6が設けてある(図2図3参照)。
【0015】
座板5は、開口幅方向に延びる長尺材であって、床面ないし地面FLに着床するフラット部51と、フラット部51から立ち上がる垂直部50と、から一体形成されている。座板5の垂直部50は、スラット4と同じ幅寸法を備えているのに対して、フラット部51は垂直部50よりも短く、フラット部の幅寸法は、開口部の幅寸法よりも少し小さい。座板5の垂直部50の幅方向両端部位は、ガイドレール1の溝部10内に位置しており、フラット部51は、ガイドレール1の溝部10外に位置している。
【0016】
座板5の垂直部50は、上側部位と、中間部位と、下側部位から形成されている。なお、上側部位と中間部位は共通の要素(下面503)を備えており、中間部位と下側部位は共通の要素(傾斜片505)を備えている点に留意されたい。図示の態様では、中間部位と下側部位が一部材から一体形成され、上側部位が別部材から形成されているが、これには限定されず、全体を一部材から一体形成してもよい。
【0017】
図5図6に示すように、座板5の上側部位は、最下位スラット4の下端に連結されており、中間部位は、第1側に開口し、垂直部50の全幅に亘って形成された第1凹部50Aを備えており、下側部位は、第2側に開口し、垂直部50の全幅に亘って形成された第2凹部50Bを備えている。1つの態様では、第1側が屋外側、第2側が屋内側であるが、シャッターカーテンの巻取態様(シャッターケースを屋外側、屋内側のどちらに設置する納まりとするか)によって、屋外側、屋内側が逆転する場合がある点に留意されたい。
【0018】
座板5の上側部位は、側面視ないし断面視において略方形状を備えており、第1側の見付面である垂直状の第1上側見付面500と、第2側の見付面である垂直状の第2上側見付面501と、上面502と、下面503と、を備えている。上面502には係合片504が一体形成されており、上面502に形成した係合片504が、最下位のスラット4の下側の係合部42に係合するようになっている。下面503は水平面に限定されるものではなく、傾斜面や湾曲面であってもよい。
【0019】
第2上側見付面501は、中間部位にまで延びており、第2上側見付面501の下端から第1側へ向かって斜め下方に延びる傾斜片505が形成されており、下面503と、第2上側見付面501の下半部と、傾斜片505と、から中間部位が形成され、第1側に開口し、座板5の垂直部50の全幅に亘って形成された第1凹部50Aが形成されている。第1凹部50Aの高さ寸法は、指(指の腹)を下面503に掛止させることが可能な寸法となっている。
【0020】
傾斜片505の第1側部位から下方に垂直に延びる第1下側見付面506が形成されており、第1下側見付面506の下端は、座板5のフラット部51と一体的に接続されている。本実施形態では、傾斜片505の第1側部位と第1下側見付面506の上側部位は湾曲面を形成している。第1下側見付面506の下方部位から第2側へ水平に延びる下側水平面507が形成されており、下側水平面507の第2側端部から下方に垂直に延びる第2下側見付面508が形成されており、第2下側見付面508の下端は、座板5のフラット部51と一体的に接続されている。
【0021】
傾斜片505と、第1下側見付面506と、下側水平面507と、から第2側に開口し、座板5の垂直部50の全幅に亘って形成された第2凹部50Bが形成されている。第2上側見付面501の下端は、第2凹部50Bへ突出する垂下突片509を形成しており、垂下突片509が指の掛かり部を形成している。第2凹部50Bの高さ寸法は、指(指の腹)を傾斜片505及び垂下突片509に掛止させることが可能な寸法となっている。
【0022】
第2凹部50Bの下端には、第1下側見付面506の下端部位と、下側水平面507と、第2下側見付面508と、座板5のフラット部51の部分と、から形成された中空部50Cが形成されており、下側部位は、第2凹部50Bと、中空部50Cと、から形成されている。中空部50Cの幅方向両端の開口には、キャップ515が嵌め込まれている(図4図5参照)。
【0023】
座板5のフラット部51は、下側部位の下端の中空部50Cを挟んで、第1側の第1側部位510と第2側の第2側部位511を備えており、第1側部位510の先端、及び、第2側部位511の先端の下面には、それぞれポケット部512が一体形成されており、ポケット部512には着床部材513が装着されている(図4図5参照)。フラット部51の幅方向両端部は、垂直部50よりも内側に位置しており、フラット部51の幅方向の端面には、キャップ514が装着されている(図4図5参照)。
【0024】
図5図6に示すように、座板5の垂直部50の第1側の見付面は、第1上側見付面500と、第1下側見付面506と、からなり、第2側の見付面は、第2上側見付面501と、第2下側見付面508と、からなり、座板の垂直部50の全ての要素は、垂直部50の第1側及び第2側の見付面間に位置しており、いかなる部位も、垂直部50の見付面から突出していない。座板5に形成した第1凹部50A、第2凹部50Bに指の掛かり部を形成したことで、シャッターの外観を損ねることがない。
【0025】
本実施形態に係る座板5において、異なる側に開口する第1凹部50Aと第2凹部50Bを設け、第1凹部50Aと第2凹部50Bが選択的に指の掛かり部を形成するようにしたことで、シャッターカーテン3(スラット4)の第1側、第2側のいずれが屋外側となっても、全閉姿勢のシャッターカーテン3の屋外側部位の下端に第1凹部50Aあるいは第2凹部50Bによって指の掛かり部が形成される。
【0026】
座板5の厚さないし見込寸法(第1側の見付面と第2側の見付間の寸法)は、ガイドレール1の溝部10の溝幅よりも少し小さい寸法を備えており、垂直部50の幅方向両端部は、スラット4の幅方向両端部と同様に、ガイドレール1の溝部10内に受け入れられている(図7図8参照)。一方、座板5のフラット部51は、ガイドレール1の外側に位置しており、開口部全開時には、座板5のフラット部51の第1側部位510と第2側の第2側部位511の上面が、まぐさ材12の下面に当接するようになっている。
【0027】
本実施形態では、座板5の垂直部50の第1凹部50Aの下端を傾斜片505とし、かつ、傾斜片505の第1側端部と第1下側見付面506との接続部位を湾曲面としたことで、開口部全開時に、座板5の垂直部50が上部ガイド11に引っ掛かることを防止している(図8参照)。図示の態様では、座板5の垂直部50の下側部位の高さ寸法が比較的に小さいが、下側部位の高さ寸法が大きくなると、上部ガイド11と接触するおそれがあるが、その場合であっても、湾曲面及び傾斜片505によって、引っ掛かりが防止されるようになっている。
【符号の説明】
【0028】
4 スラット
5 座板
50 垂直部
51 フラット部
50A 第1凹部
50B 第2凹部
500 第1上側見付面(第1側の見付面)
501 第2上側見付面(第2側の見付面)
503 下面
504 係合片(連結片)
505 傾斜片
506 第1下側見付面(第1側の見付面)
507 下側水平面
508 第2下側見付面(第2側の見付面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8