(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074187
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】シート処理装置並びに画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 31/34 20060101AFI20240523BHJP
B65H 31/32 20060101ALI20240523BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240523BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B65H31/34
B65H31/32
B65H37/04 D
B65H37/04 Z
G03G15/00 431
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185319
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】杉山 明
(72)【発明者】
【氏名】窪田 一太朗
(72)【発明者】
【氏名】日原 康太
(72)【発明者】
【氏名】坂本 文秀
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 祐介
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
3F108
【Fターム(参考)】
2H072GA00
2H072GA07
2H072GA08
2H072HB07
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BG11
3F054BH14
3F054BJ01
3F054BJ11
3F054DA01
3F054DA12
3F108GA01
3F108GB01
3F108HA02
3F108HA11
3F108HA32
3F108HA36
3F108HA43
3F108HA47
(57)【要約】
【課題】針無し綴じ機構及び針綴じ機構を搭載したシート綴じ装置において、針無し綴じ機構を針綴じ機構よりも装置フロント側に配置した場合に、コンパクトな構成で針綴じ機構への針補充を行うことができるシート綴じ装置を提供する。
【解決手段】ステープルユニット17よりも装置フロント側に針無し綴じユニット27が配置されており、ステープルユニット17に対して針補充を行う場合はステープルユニット17を針補充位置に移動する。その際、針無し綴じユニット27はシート幅方向においてステープルユニット17よりも装置フロント側で且つ針無し綴じユニット27による針無し綴じ位置よりも装置フロント側に退避させる。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを一時的に載置する載置部と、
前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、
前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、
前記突き当て部に突き当てられたシートに対してシート幅方向の整合を行う整合部と、
前記整合部で整合された複数枚のシートで構成されるシート束に対して針綴じ処理を行う針綴じ部と、前記整合部で整合された複数枚のシートで構成されるシート束に対して針無し綴じ処理を行う針無し綴じ部と、を有する後処理手段と、
前記針綴じ部を前記シート幅方向に移動させる移動機構と、
前記載置部よりも前記第1搬送方向の下流側に配置され、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを積載する積載部と、
前記針綴じ処理又は前記針無し綴じ処理が施されたシート束を前記積載部に排出する排出部と、を備え、
前記針無し綴じ部は前記針綴じ部よりも前記シート幅方向において装置フロント側に配置され、
前記針綴じ部は針補充を行うための針カートリッジが着脱可能に構成されており、
前記移動機構は前記針綴じ部をシート束に前記針綴じ処理を施す針綴じ位置と、前記針カートリッジを着脱して針補充を行うための針補充位置とに移動させ、
前記移動機構が前記針綴じ部を前記針補充位置に位置付けたときに、前記針無し綴じ部は前記シート幅方向において前記針綴じ部よりも前記装置フロント側で且つ前記針無し綴じ処理を行う針無し綴じ位置よりも前記装置フロント側に位置付けられたことを特徴とするシート綴じ装置。
【請求項2】
前記載置部を支持するフロント側板金及びリア側板金を有し、
前記フロント側板金には開口部が設けられており、
前記針綴じ部が前記針補充位置に移動した際に、前記針無し綴じ部の少なくとも一部は前記フロント側板金よりも前記装置フロント側に位置付けられ、前記針カートリッジは前記開口部を介して着脱されることを特徴とする請求項1に記載のシート綴じ装置。
【請求項3】
シート上に画像形成する画像形成装置と、
この画像形成装置から送られたシートに綴じ処理を施すシート綴じ装置と、
から構成され、
前記シート綴じ装置は請求項1または請求項2に記載のシート綴じ装置であることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを揃えて綴じるシート綴じ装置に関し、詳しくは異なる種類の綴じ手段を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタなどの画像形成装置で画像形成された複数枚のシートに綴じ処理を施すシート綴じ装置が知られている。
このようなシート綴じ装置は、シートを綴じるための綴じ具として金属針を用いた、いわゆる針綴じ方法と、綴じ具としての金属針を用いることなくシートを綴じる、いわゆる針無綴じ方法とが知られている。また、針無綴じ方法では、シートを圧着してシートの繊維を絡ませることで綴じる方法や、シートの一部を切り欠いて孔を開け、シートの切り欠いた部分を折り返して孔を通過させることでシートを綴じる方法がある。
【0003】
そして、シート綴じ装置には、特許文献1に示されるように針綴じ方法でシートを綴じる針綴じ機構と、シートを針無綴じ方法で綴じる針無綴じ機構の両方を備え、針綴じ方式、針無綴じ方式のいずれか一方を選択してシートに綴じを施すものがある。この綴じ装置では、針無綴じ機構がシートの一辺の一端側に固定され、針綴じ機構はシートの一辺に沿って移動するように構成されている。また、特許文献2では針無し綴じ機構が針綴じ機構よりも装置フロント側に配置された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-16970号公報
【特許文献2】特開2018-167937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなシート綴じ装置において、特に特許文献2に記載のように針無し綴じ機構が装置フロント側に配置された場合に、針綴じ機構への針補充(エンプティとなった針カートリッジを抜いて新しい針カートリッジを挿入)を行う際に針無し綴じ機構が退避するスペースが大きくなってしまう。よって、よりコンパクトな構成で針無し綴じ機構を退避させて針綴じ機構への針補充を行うことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明のシート綴じ装置は、シートを第1搬送方向に搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを一時的に載置する載置部と、前記第1搬送部によって搬送された前記載置部上のシートを前記第1搬送方向とは逆方向の第2搬送方向に搬送する第2搬送部と、前記第2搬送部によって前記第2搬送方向に搬送されたシートの前記第2搬送方向の下流端縁が突き当てられる突き当て部と、前記突き当て部に突き当てられたシートに対してシート幅方向の整合を行う整合部と、前記整合部で整合された複数枚のシートで構成されるシート束に対して針綴じ処理を行う針綴じ部と、前記整合部で整合された複数枚のシートで構成されるシート束に対して針無し綴じ処理を行う針無し綴じ部と、を有する後処理手段と、前記針綴じ部を前記シート幅方向に移動させる移動機構と、前記載置部よりも前記第1搬送方向の下流側に配置され、前記第1搬送部によって前記第1搬送方向に搬送されたシートを積載する積載部と、前記針綴じ処理又は前記針無し綴じ処理が施されたシート束を前記積載部に排出する排出部と、を備え、前記針無し綴じ部は前記針綴じ部よりも前記シート幅方向において装置フロント側に配置され、前記針綴じ部は針補充を行うための針カートリッジが着脱可能に構成されており、前記移動機構は前記針綴じ部をシート束に前記針綴じ処理を施す針綴じ位置と、前記針カートリッジを着脱して針補充を行うための針補充位置とに移動させ、 前記移動機構が前記針綴じ部を前記針補充位置に位置付けたときに、前記針無し綴じ部は前記シート幅方向において前記針綴じ部よりも前記装置フロント側で且つ前記針無し綴じ処理を行う針無し綴じ位置よりも前記装置フロント側に位置付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、シート綴じ装置において、コンパクトな構成で針無し綴じ機構を退避させて針綴じ機構への針補充を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係わる画像形成システムの全体構成の説明図。
【
図2】
図1の画像形成システムにおける後処理装置の構成説明図。
【
図5】スタックトレイのジョグシフト機構の説明図。
【
図6】シートが処理トレイ上に排出された状態の動作説明図。
【
図7】シートを処理トレイ上で整合動作する説明図。
【
図8】スタックトレイのジョグシフト機構と整合手段を連動させてシートを針なし綴じ位置へ移動させる動作説明図
【
図9】2枚目以降のシートが処理トレイ上に排出された状態の図。
【
図10】2枚目以降のシートを針なし綴じ位置に移動させ、綴じ処理を施すまでの動作説明図。
【
図11】綴じ処理を施したシート束を排出する前に、スタックトレイをセンター位置に移動させる動作説明図。
【
図12】綴じ処理を施したシート束をスタックトレイに排出する動作説明図。
【
図13】処理トレイ上で複数のシートを整合して、針なし綴じ位置に束シフトする別の実施例の説明図。
【
図14】
図1の画像形成システムの制御構成の説明図。
【
図16】ステープルユニットが針補充位置に移動した際の上面図。
【
図17】ステープルユニットが針補充位置に移動した際の斜視図。
【
図18】ステープルユニットが針無し綴じユニットを移動させる構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図示の好適な実施の形態に従って本発明を詳述する。
図1は画像形成システムを示し、シート上に画像形成する画像形成装置(ユニット)Aと、画像形成されたシートを部揃え集積して綴じ処理などの後処理を施す後処理装置(ユニット)Bと、画像形成装置Aから後処理装置Bにシートを搬送する中継搬送ユニットCと、で構成されている。なお、画像形成装置Aと中継搬送ユニットCとは別ユニットであってもよいし、同一ハウジング内に設けられていてもよい。
【0010】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置Aは、図示しないコンピュータ、ネットワークスキャナなどの画像取り扱い装置に連結され、これらの装置から転送された画像データに基づいて指定されたシートに画像を形成して中継搬送ユニットCに搬出する。また、このようなネットワーク構成以外に画像形成装置Aは、複写機、ファクシミリとして構成され、原稿スキャニングユニットで画像読取したデータに基づいてシート上に画像を複写形成する。
【0011】
このため画像形成装置Aはハウジング1に複数の給紙カセット2が準備され、選択されたサイズのシートをカセットから下流側の給紙経路3に給送する。この給紙経路3には画像形成機構(画像形成部)4が設けられている。画像形成機構4としては、種々のものが知られている。例えばインクジェット印刷機構、静電印刷機構、オフセット印刷機構、シルクスクリーン印刷機構、リボン転写印刷機構などが知られている。本発明はいずれの印刷機構も採用可能である。
【0012】
画像形成機構4の下流側には中継搬送経路5が設けられ、中継搬送ユニットCのハウジング内に配置した中継排紙口6からシートを排出する。なお印刷機構によっては画像形成部4と中継搬送経路5との間に定着ユニット(不図示)が内蔵されている。このように給紙カセット2から選択されたサイズのシートを画像形成部4に送り、画像を形成した後に中継搬送経路5から中継排紙口6に搬送する。このほか、ハウジング1内には反転経路7が配置されている。この反転経路7は画像形成部4でシートの表面に画像形成した後、このシートを装置内で表裏反転して再び画像形成部4に給送するための経路であり、シート裏面に画像を形成した後に中継排紙口6に搬送する。図示の装置は、中継排紙口6とは異なる反転排紙口8(
図1参照)からシートを一旦ハウジング外部に繰り出した後に装置内にスイッチバック搬送し、これをUターン経路で表裏反転して画像形成部4に再送するようになっている。
【0013】
中継排紙口6には、後述する後処理装置Bが連結されている。また、ハウジング1にはスキャナユニットと、このスキャナユニットに原稿シートを給送する原稿給送ユニットを一体的に組み込む装置構成も知られている。この場合のスキャナユニットは、プラテン上に載置若しくはフィーダ機構から給送した原稿シートを、スキャニングして画像読取し、その読取データを画像形成ユニットに転送する。また、原稿給送ユニットはスキャナユニットのプラテンに原稿シートを給送するフィーダ機構を備える。本発明はこのようなユニットを一体に備える装置構成も採用可能である。また、中継搬送ユニットCの上面には本画像形成システムに対してモード設定や紙種の設定等を行うためのオペレーションパネル83が設けられている。
【0014】
[後処理装置]
後処理装置Bはハウジング10と、このハウジング内に内蔵されたシート搬送経路(排紙経路;以下同様)11と、処理トレイ15と、スタックトレイ40で構成されている。以下
図2、
図3、
図15を用いてその構成を説明する。
【0015】
「シート搬送経路」
シート搬送経路11は前述の中継搬送ユニットCの中継排紙口6に連なる搬入口12と、排紙口13を備えている。そして搬入口12から画像形成されたシートを装置内に搬入し、排紙口13に搬出する。シート搬送経路11は、中継排紙口6から送られたシートを後述するスタックトレイ40に向けて移送する排紙経路として構成され、経路中にはシートの先端と後端を検出するシート端検知センサSe1と、シートを搬送する搬送ローラ14a、14bと、搬送ローラ14a、14bで搬送されるシートをガイドする(これによりシート搬送経路を形成)上側搬送パスガイド28及び下側搬送パスガイド29と、が適宜配置されている。各搬送ローラ14a、14bには図示しないローラ駆動モータが連結されている。また、図示のシート搬送経路11はハウジング10を横断する略水平方向に略直線の経路で構成されている。このシート搬送経路11の排紙口13には、その下流側に処理トレイ15と、スタックトレイ40が以下の構成で配置されている。
【0016】
「処理トレイ」
図2に示すように、処理トレイ15は、排紙口13と段差を形成して、その下流側にシートを積載支持する紙載台16と、この紙載台に配置されたシート幅方向を整合する一対の整合手段25fおよび25rと、後処理手段17と後端規制ストッパ18で構成されている。図示の紙載台16は排紙口13からバック搬送(排紙反対方向のシート送り)されたシートの後端部を支持する形状に構成されている。そして後述するスタックトレイ40上にシート先端部を支持し、シート後端部を紙載台16に支持(ブリッジ支持)するように構成されている。このようにスタックトレイ40と処理トレイ15を略同一平面に配置し、シートの前半部をその一方のトレイで、後半部を他方のトレイで支持することによって前後にシート全体を支持するトレイを複数配置する場合に比べ装置を小型化することができる。
【0017】
紙載台16にはシート後端を突き当て規制する後端規制ストッパ18と、シートの排紙直交方向を幅寄せ整合する整合手段25が配置されている。この整合機構は種々の機構が知られているが、本実施例の整合手段25は、紙載台16から突出した板状部材(フロント整合板25f及びリア整合板25r)を不図示のモータでガイド溝26に沿って移動させることでシート幅方向に移動可能に構成されている。この整合手段25により、処理トレイ上に搬入されたシートは、排出された位置で一旦位置決めされる。図示の装置はセンタ基準を示している。
【0018】
紙載台16には部揃え集積されたシート束を綴じ処理するステープルユニットが後処理手段17として配置されている。ステープルユニットは直線形状のステープル針をコの字状に折り曲げてシート束の上面から下面に刺入し、針先端を折り曲げる装置として知られている。このように後処理手段17としては、ステープルユニット、パンチユニット、スタンプユニット、トリマーユニットなどが装置仕様に応じて採用可能であるが、本実施例では、ステープルユニット17と特開2015-124069号公報に開示されるような圧着綴じユニットの2種類綴じ処理装置を備えている。
【0019】
シート搬送経路11の排紙口13には反転ローラ機構20が配置されている。この反転ローラ機構20は排紙口13に送られたシートを排紙方向下流側に搬送し、シート後端がシート端検知センサSe1を通過して所定量搬送されて排紙口13を通過した段階で搬送方向を反転する。これによってシートは排紙方向後端側から処理トレイ15の紙載台16に沿って後端規制ストッパ18に案内される。
【0020】
処理トレイ15には、排紙口13に配置された後述する反転ローラ機構20と協働してシートを後端規制ストッパ18に案内する摩擦回転体19が配置されている。図示の摩擦回転体19は紙載台16上の積載シートに係合する位置に配置されている。この摩擦回転体19は掻込みローラ(ベルトであっても良い)で構成され、排紙ローラ14cと一体に回転するように駆動ベルトで伝動されている。そして自重で積載シートの上に係合している。この掻き込みローラである摩擦回転体19の回転で反転ローラ20からバック搬送されたシートは後端規制ストッパ18に搬送され、突き当て停止する。
【0021】
「反転ローラ機構」
反転ローラ機構20は上部ローラ21と下部ローラ22とで構成され、反転ローラ機構20は、排紙口13から送られたシートの上面と係合する上部ローラ21とシート下面と係合する下部ローラ22で構成され排紙口13から送られたシートを排紙方向に移送した後、搬送方向を反転させて処理トレイ15に搬入する。上部ローラ21は装置フレームFに揺動可能に支持され下部ローラ22に対して圧接した作動位置と離間した待機位置との間で昇降可能に構成されている。これと共に上部ローラ21にはローラ駆動モータ(正逆転モータ)RMの回転が伝達され、排紙方向(図示時計方向)と、排紙反対方向(図示反時計方向)に回転可能になっている。
【0022】
装置フレームFには、揺動支点23を中心に揺動可能に左右一対のローラブラケット(揺動アーム)24が支持されている。この一対のローラブラケット24にはローラ回転軸が回転可能に軸受け支持され、この回転軸に上部ローラ21が嵌合されている。揺動支点23は装置フレームに回転可能若しくは固定手段で支持され、この揺動支点23にローラブラケット24が直接若しくはカラー部材を介して嵌合されている。これによってブラケット基端部は揺動支点23を中心に任意の角度方向に揺動可能に支持されている。また、回転支軸23には、カラー部材(回転カラー)が遊嵌され、このカラー部材には上部ローラ21の回転軸に回転を伝達する不図示の駆動プーリが連結されている。そして駆動プーリにはローラ駆動モータが連結されている。
【0023】
反転ローラ20は後述する「第1排紙モード」と「第2排紙モード」で排紙口13に送られたシートをスタックトレイ40と処理トレイ15に選択的に排送する。第1排紙モードでは、排紙口13に送られたシートを1枚ずつ上部ローラ21と下部ローラ22でニップして下流側のスタックトレイ40に給送する。なおこの第1排紙モードは、スタックトレイ上にシートを部毎にジョグ仕分けするジョグ排出と、仕分けることなく搬出するストレート搬出とがある。また、後述する第2排紙モードでは排紙口から送られたシートを紙載台と下部ローラの上に積層上に集積し、その最上シートの上に排紙口から送られたシートを上部ローラで排紙方向、次いで排紙反対方向に給送してスイッチバック搬送する。そして処理トレイ15に集積されて綴じ処理されたシート束を反転ローラ機構20で下流側のスタックトレイ40にシート束を排出する。
【0024】
なお処理トレイ15に集積したシート束を綴じ処理した後、反転ローラ機構20で下流側のスタックトレイ40にシート束を搬送する構成を説明したが、このほか反転ローラ機構20と共に処理トレイ15からシート束を搬出するコンベア手段を配置することも可能である。
【0025】
後端規制ストッパ18は
図4に示すようにシート後端を突き当て規制する板状部材で構成され、シート幅方向に1カ所若しくは距離を隔てて複数箇所に配置する。このストッパは、ステープルユニット17などの後処理手段と共にシート後端縁に配置されるから、ステープルユニットをシート幅方向に位置移動可能に構成する場合には、この後端規制ストッパ18もステープルユニット17と連動してシート幅方向に位置移動するように構成する。また、ステープルユニット17をシート幅方向に位置移動することなく固定して配置するときには、このステープルユニットに後端規制ストッパ18を一体形成することも可能である。
【0026】
[スタックトレイ]
次にスタックトレイについて説明する。
図2および
図3に示すようにスタックトレイ40はシート搬送経路11の排紙口13の下流側に配置されている。そしてこの排紙口13の下流側には前述した処理トレイ15が配置され、排紙口13と処理トレイの搬出口13の下流側にスタックトレイ40が配置されている。排紙口13から送り出されたしーとはスタックトレイ40に収納される。
【0027】
スタックトレイ40は、トレイ架台41と、紙載トレイ42で構成されている。トレイ架台41は装置フレームFに所定のストロークで上下動するように支持されている。紙載トレイ42はシートを積載収納するトレイ面を有するトレイ形状に構成されている。紙載トレイ42はトレイ架台41に支持されているが、このとき紙載トレイ42はトレイ架台41に対しシート幅方向に所定量ジョグシフトするように後述するジョグシフト機構が設けられている。
【0028】
「トレイ昇降機構」
図4にスタックトレイ40の昇降機構を示す。装置フレームFには積載方向上下にガイドレール43が配置され、このガイドレール43に、トレイ架台41の連結部(ジョイントプレート)に固定したスライドコロ44が嵌合されている。ガイドレール43は棒状ガイド、チャンネル鋼、H形鋼などで構成され、これにトレイ架台41が摺動可能に嵌合されている。
【0029】
トレイ架台41は、紙載トレイ42とこれに積載されたシートの荷重を支える強度のフレーム構造に構成され、同様に堅固に構成されたガイドレールに片持支持されている。また、装置フレームFにはガイドレール43の上端部に懸架プーリ45aが、下端部に巻上げプーリ45bが軸固定されている。そして両プーリ間には、例えばワイヤ、歯付ベルトなどの牽引部材45cが懸け渡されている。巻き上げプーリ45bには、巻き上げモータMMが減速機構を介して連結されている。
【0030】
これと同時にトレイ架台41には、ウエイト軽減用のコイルスプリング46が装置フレームFとの間に架け渡してある。つまりスプリング46の一端)が装置フレームFに固定してあり、他端は牽引プーリ47を介してトレイ架台41に固定してある。このスプリング46には初張力が付加してある。従って、紙載トレイ42とこれに積載されたシートはコイルスプリング46の弾性力に応じてその重量が軽減され巻上げモータの負荷トルクが低減される。このほかコイルスプリングの代わりに重錘を吊下げプーリから垂下させるウエイト軽減機構を採用しても良い。
【0031】
「紙載トレイ」
紙載トレイ42は、上方の排紙口13から送られたシートを積層状に載置する紙載面42aを備えている。この紙載面42aは水平姿勢であってもよいが、本実施例では所定角度で傾斜している。これは積載したシートを自重で後端側に姿勢修正させるためである。この紙載面42aの傾斜角度は水平線に対しに30度以下のときにはシートが自重で戻らず、シートの姿勢修正が難しくなる。本実施例においては、紙載トレイ42は約45度に設定されている。排紙口13から高速度で排紙されたシートを受け止めて素早く後端側で規制させるために傾斜角度を大きく設定することで、より高速度での大量積載を可能とすることを目的としている。
【0032】
紙載トレイ42はトレイ架台41に支持され、ガイドレール43に沿って上下動する。また装置フレームFにはシート後端部を規制する後端規制面48fを有するフェンスプレート48が配置されている。このフェンスプレート48は装置フレームに固定した壁面構造であっても良いが、図示のものは紙載トレイ42がシート幅方向に所定量ジョグシフトする構造のため、この紙載トレイと同時に、フェンスプレート48もジョグシフトするように構成している。その構造は後述する。
【0033】
[ジョグシフト機構]
図5に示すトレイ架台41に支持された紙載トレイ42のジョグシフト機構について説明する。同図において、図面フロント側(前面側)に紙載トレイ42が位置し、リア側(背面側)に装置フレームFが位置している。このようなレイアウトで紙載トレイ42は、フェンスプレート48と凹凸嵌合され、同図左右方向(シート幅方向)に移動可能に結合されている。つまり、紙載トレイ42とフェンスプレート48の一方に凸部が、他方に凹部が形成され、両者が嵌合(アリホゾ嵌合など)され一体化されている。そしてフェンスプレート48にはスライドコロ48aが設けられ、このコロが横ガイドレール49に嵌合支持されている。横ガイドレール49はシート幅方向に装置フレームFに固定されている。
【0034】
このような構成で、フェンスプレート48か紙載トレイ42のいずれかをシート幅方向に移動すると、両者は同時に同一方向に同一量移動する。図示の装置は装置フレームFにジョグシフトモータGMとこのモータに連結されたカム部材50を配置している。このカム部材50(図示のものはのものは偏心カム)に形成されたカム溝51にカムピン52が嵌合され、このカムピン52はフェンスプレート48に植設され一体化されている。なお上記にジョグシフトモータGMには、その回転軸に、エンコーダ53が配置され、回転角度を制御するようになっている。またこのモータ回転軸には図示しないホームポジションセンサが配置してある。
【0035】
そこでジョグシフトモータGMを所定角度回転すると、これに連結されたカム部材50が所定角度回転する(図示のものは偏心カム)。そしてカム溝51に嵌合したがカムピン52が、これと一体のフェンスプレート48を所定量シート幅方向に移動する。この移動に伴って紙載トレイ42も同一方向に一体的に移動する。
【0036】
[紙面検出機構]
上述のスタックトレイ40には、積載紙面の高さ位置および紙の有無を検出する紙面検出機構60が配置されている。
【0037】
上述した後処理装置Bの各機構は後処理装置Bのユニットハウジング10の内側でユニットフレームFを構成するフロント側板金30fとリア側板金30rに支持されている。また、各機構を駆動するためのモータや基板はリア側板金30rのさらにリア側の側面に設けられている。
【0038】
図15は後処理装置Bと中継搬送ユニットCの斜視図である。後処理装置Bのユニットハウジング10には開閉カバー10aが設けられており、ユーザーは取っ手10bを掴んで開閉カバー10aをユニットハウジング10に対して開閉することができる。開閉カバー10aの開閉は不図示のリンク機構で上下方向や斜め方向に開閉してもよいし、不図示の回動軸を用いて反時計回り方向や時計回り方向に回動するように開閉してもよい。開閉カバー10aを開閉可能とすることで、シート搬送経路11でジャムしたシートを取り除くことができる。
【0039】
また、ユニットハウジング10のフロント側板金30fよりもさらにフロント側で且つ中継搬送ユニットC側の側面には開閉ドア10cが設けられており、開閉ドア10cを開けることでステープルユニット17の針補充(針カートリッジ170の交換)や針無し綴じユニットのメンテナンスを行うことができる。
【0040】
[排紙モード]
次に、本発明における排紙口13からスタックトレイ40に至るシートの排紙モードについて説明する。後述する制御手段85は、第1排紙モードと第2排紙モードを備える。第1排紙モードは、シート搬送経路11に送られたシートを排紙口13から紙載トレイ42に収納する排紙動作であり、排紙口13から送られたシートを部揃えオフセットすることなく搬出するストレート排紙動作と、排紙口13からシートを部毎にオフセットさせてトレイ上に収納するジョグ排紙動作を選択的に実行する。
【0041】
また、第2排紙モードは、シート搬送経路11に送られたシートを排紙口13から処理トレイ15に部揃え集積して綴じ処理する。このときシートコーナの1個所をステープル綴じするコーナ綴じ処理と、シート中央部2個所をステープル綴じするセンタ綴じ処理、シートコーナの1か所を針なし綴じ処理する針なし綴じ処理の各動作を選択的に実行する。
【0042】
[制御構成]
図1に示す画像形成システムの制御構成について
図14に従って説明する。画像形成ユニットAには制御CPU75が設けられ、この制御CPU75には動作プログラムを記憶したROM76と、制御データを記憶したRAM77が接続されている。そして制御CPU75には給紙制御部78と画像形成制御部79と、排紙制御部80が設けられている。これと共に制御CPU75にはモード設定手段81と、入力手段82を備えたコントロールパネル83が接続されている。
【0043】
また、上記制御CPU75は、「プリントアウトモード」と「ジョグモード」と「後処理モード」を選定するように構成されている。「プリントアウトモード」は画像形成したシートを仕上げ処理することなくスタックトレイ40に収納する。「ジョグモード」は画像形成されたシートを部揃え区分け可能にスタックトレイ40にオフセット収納する。また「後処理モード」は画像形成したシートを部揃え集積し、綴じ処理した後にスタックトレイ40に収納する。
【0044】
後処理ユニットBには、後処理制御CPU85が設けられ、排紙動作制御部と、処理トレイ15にシートを部揃え集積する集積動作制御部と、綴じ処理制御部と、スタック制御部が接続されている。
「シフト動作」
【0045】
第2排紙モードにおける紙載台上に排出されたシートのシフト動作について説明する。
【0046】
図6から
図12は紙載台16に排出されたシートを一枚ずつ針なし綴じユニット27の綴じ位置(フロント側)に移動させ、圧着綴じ処理したのちに、紙載トレイ42に綴じられたシート束を排出するまでの説明図である。
【0047】
図6は、画像形成装置Aから送られてきたシートが搬送ローラ14で搬送され、紙載台16上に排出された状態を示している。シートSは紙載台16に排出されると反転ローラ機構20によって反転搬送され後端規制ストッパ18に後端が突き当たるまで搬送される。このとき、シートSの先端は紙載トレイ42の傾斜に接することよって排出時の速度よりも減速され、搬送ローラ14を抜けた後は、シートSの自重で、より素早く後端規制ストッパ18に突き当てることができる。なお、整合板25fおよび25rはシートSと接しない待機位置に位置している。
【0048】
図7はシートSを整合板25fおよび整合板25rで挟み込むことで、整合した状態を示している。
【0049】
図8はシートSを針なし綴じユニット27が設けられるフロント側へと移動した状態を示している。このフロント側へのシフト動作について詳述する。
【0050】
上述の通りシートSは紙載台16と紙載トレイ42とにまたがって支持された、いわゆるブリッジ積載状態で載置されている。紙載トレイ42は、高速で排出されたシートを保持するために傾斜角度を大きくとっており、上述のブリッジ積載によって、シートSの先端は紙載トレイ42に強く接触した状態となるため、整合板25だけで移動させようとした場合、シートSが傾いてしまい整列性が悪化するおそれがある。とくに、一枚目に排出されるシートはトレイ表面との摩擦が大きくより移動が困難になる。
【0051】
本実施例の装置では、紙載台16と紙載トレイ42とにまたがって支持されたシートを幅方向に移動させる際に、整合板25で挟んだ状態でシートを移動させるのと合わせて、紙載トレイ42のジョグシフト機構を動作させ、幅方向へ同期して移動させることで、シートSが整列した状態を保ったまま針なし綴じユニット27の間口へと移動させることが可能となる。
【0052】
特に針なし綴じユニット27のようにシートを圧着して綴じ処理する装置では、
図2に示すように、針で綴じるステープラの間口(70枚程度)よりも、シートが入る間口が狭くなるため(特許文献1参照)(10枚程度)、針で綴じる束が載置される範囲の外に設置しなければならないことから、綴じ位置への移動距離が長くなりやすい。本実施例のように整合板とトレイの移動機構を組み合わせる構成であれば比較的長い距離をシフト移動させる場合でもシートを安定した状態で移動することができる。
【0053】
図9は、シートSと同一束を形成するシートS2が紙載台16に排出され、後端規制ストッパ18に突き当てられた状態を示している。整合板25fはすでにシフト移動したシートSのシフト位置に位置したままとなっており、整合板25rはシートS2の受け入れのためにシートSから離れた位置に位置している。
【0054】
図10は、シートS2を整合板25rでフロント側に移動させ、シート束STを形成した状態を示している。所定の束枚数に達するまで、
図9から
図10に至る動作を連続して行う。
【0055】
図11は、シート束STを針なし綴じ装置27で綴じ処理したのち、整合板25でシート束STを保持した状態で紙載トレイ42をセンタ位置に戻した状態を示している。これにより紙載トレイ42ではシフトしない状態(センタ位置)に排出することができる。なお紙載トレイ42をシフトした位置のままでシート束を排出すれば、紙載トレイ42での束シフト(区分け処理)ができるため、何れの態様を採ってもよい。
【0056】
図12は、シート束STを紙載トレイ42に排出した状態を示している。
【0057】
図13は、紙載台16で複数枚のシートを重ねてシート束STを形成し、シート束STを針なし綴じ位置へ移動させる別実施例の説明図である。シートが排出されるごとに整合板25での整合動作を行い、所定の枚数が排出されたところで、シート束STを整合板25rおよび25fで挟んだ状態で針なし綴じ位置へ移動させる。この時、シート束STの先端は紙載トレイ42に乗った状態となるため、移動時に引っ掛かることがないよう、整合板25の移動と同期して紙載トレイ42のジョグシフト機構を動作させ、針なし綴じ位置があるフロント側へ移動する。
【0058】
ここまで説明したスタックトレイと整合板を同期させたシートのシフト移動は、本実施例に開示されるようにスタックトレイの傾斜角度が大きく傾けられた場合のほか、シートを移動させる際のシート先端とスタックトレイとの摩擦抵抗が大きい場合の整列性確保に有効である。
【0059】
本実施例ではシフト移動したシートに綴じ処理を施すモードで説明を行ったが、綴じ処理を行わず、未綴じのシートをシフト処理する場合にも適用可能である。また、ここまでシートを移動させる際に整合板で挟んで移動させる説明を行っているが、一方の整合板で移動させる場合にもスタックトレイと同期して移動することで整列性の低下を防ぐことは可能である。
【0060】
<ステープルユニット17の針補充>
本実施形態の後処理装置Bは装置のフロント側に針無し綴じユニット27、リア側にステープルユニット17が設けられている。ここで、ステープルユニット17の針がエンプティとなった際に針補充を行う必要がある。以下、
図16~18を用いてユーザーがステープルユニット17への針補充を行うための構成を説明する。
【0061】
図16は後処理装置Bを上から見た上面図である。
図16の状態でステープルユニット17は装置フロント側の針補充位置に移動している。その際、針無し綴じユニット27は針補充位置におけるステープルユニット17よりもさらにフロント側に位置付けられている。この状態でユーザーは図の矢印EX方向に沿って空の針カートリッジ170をステープルユニット17から抜き取り、新品の針が入った針カートリッジ170をステープルユニット17に装着する。
【0062】
図17はステープルユニット17が針補充位置に移動した状態の斜視図で、
図18はステープルユニット17と針無し綴じユニット27とを搬送方向から見た図で、ステープルユニット17と針無し綴じユニット27とが針補充位置に移動する状態を示した図である。
【0063】
摺動部材35はステープルユニット17を回動可能に支持しつつシャフト34及び支持部材32の不図示のガイド溝に沿って移動する部材である。摺動部材35には針無し綴じユニット27を矢印P方向に押圧する押圧部材36が設けられており、摺動部材35の移動によってステープルユニット17と押圧部材36がシャフト34に沿ってシート幅方向(後端規制ストッパ18で規制されるシート端縁に沿う方向)移動する。摺動部材35にはシャフト34と平行に伸びる不図示の駆動ベルトが固定されており、不図示のモータにより駆動ベルトを回転することで摺動部材35はシャフト34に沿って移動する。
【0064】
針無し綴じユニット27は係合部材38に固定されており、係合部材38がシャフト337に沿って移動することで針無し綴じ処理をする際の角度を保ったまま針無し綴じユニット27も移動する。シャフト37はシャフト34と同じ方向に支持部材32の底面に設けられた固定部材39bと39cとの間で延設されている。固定部材39bと係合部材38との間にはバネ39aが設けられており、係合部材38は装置リア側に付勢されている。リア側に付勢された係合部材38は固定部材39cに当接するとその位置で位置決めされ、その位置がシート束STに対する針無し綴じ処理位置となる。なお、針無し綴じユニット27が針無し綴じ処理位置で針無し綴じ処理を行うにあたってその位置を固定するロック機構を設けても良い。これにより針無し綴じ位置が安定する。そして、ステープルユニット17の針補充を行う際はロック機構のロックを解除して針無し綴じユニット27がフロント側に移動できるようにしてもよい。
【0065】
ここで、フロント側板金30fにはフロント開口31fが設けられている。支持部材32とシャフト37はフロント開口31fを貫通するように設けられており、ステープルユニット17の一部、押圧部材36、係合部材38、バネ39a及び針無し綴じユニット27はフロント開口31fを通ってフロント側板金30fに対してフロント側とリア側とに移動可能に構成されている。
【0066】
図17に示す角度変更レール33は、ステープルユニット17の底面に設けられた不図示のガイドピンが係合するレールである。ガイドピンが角度変更レール33に係合した状態で摺動部材35がシート幅方向に移動することで、ステープルユニット17がシート幅方向に移動しつつ摺動部材35上で回動してステープルユニット17の角度が変更される。ステープルユニット17の角度変更機構については特開2016-128359、特開2014-61964、特開2016-130162や特開2019-167194等、様々な構成が開示されているため詳細な説明を省略する。このような角度変更機構により、ステープルユニット17は処理トレイ15上に載置されたシート束に対してリアコーナー綴じ、フロントコーナー綴じ、2ヶ所平行綴じ(後端規制ストッパ18で規制されたシート束の端縁に平行に2ヶ所綴じ)を行うことができる。また、ステープルユニット17が針補充位置に位置付けられた場合は2ヶ所平行綴じの角度姿勢よりも針カートリッジ170がフロント側を向く角度姿勢となっている。これにより、ユーザーは開閉ドア10cを開けて矢印EX方向に針カートリッジ170を着脱してステープルユニット17に対して針補充を行う。
【0067】
また、リア側板金30rにもリア側開口31rが設けられている。これにより、ステープルユニット17がリアコーナー綴じを行うために角度変更を行った場合に、針カートリッジ170側がリア側開口31rに入り込むため針カートリッジ170がリア側板金30rに干渉しない。
【0068】
なお、本実施形態ではステープルユニット17の針補充位置はシートのフロントコーナー綴じの綴じ位置よりもフロント側であることを示したが、フロントコーナー綴じの綴じ位置で針カートリッジ170がフロント開口31fを介して着脱可能な位置であればフロントコーナー綴じの綴じ位置と針補充位置とを共通の位置としてもよい。
【0069】
また、針補充位置においてステープルユニット17の角度姿勢がフロントコーナー綴じの綴じ姿勢と同じ角度姿勢であることを示したが、針カートリッジ170がさらにフロント側を向くような角度姿勢であってもよい。また、針補充位置においてステープルユニット17の角度姿勢が2ヶ所平行綴じの角度姿勢のままさらにフロント側に移動してもよい。
また、ステープルユニット17の針補充を行う際に針無し綴じユニット27をフロント側に退避させる構成で、ステープルユニット17の移動の動力を使ってフロント側(矢印P方向)に押し出す構成を示したが、別途駆動源を用いて移動させてもよい。
【0070】
本実施形態では、針無し綴じユニット27がステープルユニット17よりもシート幅方向でフロント側に配置されているため、ステープルユニット17の針補充を行うにあたって針無し綴じユニット27がシート幅方向かシート搬送方向か鉛直方向に退避する必要がある。しかし、針無し綴じユニット27が針無し綴じ処理を行うための針無し綴じ位置は紙載台16とシート搬送方向においてオーバーラップしているため、シート搬送方向に退避する場合は紙載台16も移動したり、紙載台16を迂回して退避したりする必要があるためコストアップや装置サイズの増大という課題がある。また、鉛直方向への退避も上方にはシート搬送経路11があり、下方には不図示の駆動モータ等を配置するスペースが必要となるため装置サイズが大きくなってしまう。よって、本実施形態のようにステープルユニット17が移動するシート幅方向と同方向に退避することで最小限の装置サイズ増大で針補充を行うことができる。
【符号の説明】
【0071】
13 排紙口
15 処理トレイ
17 ステープルユニット
18 後端規制ストッパ
20 反転ローラ
27 針無し綴じユニット
40 スタックトレイ