(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074192
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】気液撹拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/86 20220101AFI20240523BHJP
B01F 23/233 20220101ALI20240523BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240523BHJP
B01F 35/53 20220101ALI20240523BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240523BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20240523BHJP
B01F 23/231 20220101ALI20240523BHJP
【FI】
B01F27/86
B01F23/233
B01F35/71
B01F35/53
B01F27/112
B01F27/90
B01F23/231
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185325
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000171919
【氏名又は名称】佐竹マルチミクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(74)【代理人】
【識別番号】100081787
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 輝晃
(72)【発明者】
【氏名】西岡 光利
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB10
4G035AB11
4G035AE13
4G037AA01
4G037DA30
4G037EA04
4G078AA07
4G078BA05
4G078CA08
4G078DA01
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】従来の気液撹拌装置は、多くの気液動力や撹拌動力を消費する欠点があった。
【解決手段】本発明の気液撹拌装置は、液体が容れられる撹拌槽と、該撹拌槽内に設けた、液体を半径方向外方に吐出する撹拌翼と、前記撹拌槽の底部に設けた、上昇流を生じさせる静翼と、微細気泡放出手段とよりなり、該微細気泡放出手段は、前記撹拌翼と静翼とにより形成される循環流が生ずる位置に設けたことを特徴とする。また、前記撹拌翼は、半径方向に放射状に設けられた複数のフラットバドル翼よりなり、前記静翼は、放射状に設けられた、複数の帯状板からなり、該帯状板の交差部に相当する中心部には、隙間が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が容れられる撹拌槽と、
該撹拌槽内に設けた、液体を半径方向外方に吐出する撹拌翼と、
前記撹拌槽の底部に設けた、上昇流を生じさせる静翼と、
微細気泡放出手段とよりなり、
該微細気泡放出手段は、前記撹拌翼と静翼とにより形成される循環流が生ずる位置に設けたことを特徴とする気液撹拌装置。
【請求項2】
前記撹拌翼は、半径方向に放射状に設けられた複数のフラットバドル翼よりなり、
前記静翼は、放射状に設けられた、複数の帯状板からなり、該帯状板の交差部に相当する中心部には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の気液撹拌装置。
【請求項3】
前記微細気泡放出手段は、前記撹拌槽の内周面の、前記撹拌翼が設けられた高さと同じ位置に設けられたことを特徴とする請求項1に記載の気液撹拌装置。
【請求項4】
前記微細気泡放出手段は、微細気泡を発生させるメンブレンから形成されることを特徴とする請求項1に記載の気液撹拌装置。
【請求項5】
前記撹拌槽の内周面には、上下方向に延びるバッフルが設けられることを特徴とする請求項1に記載の気液撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌動力や通気動力の効率化を図る気液撹拌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の気液撹拌装置の例1としては、例えば、
図3に示すように、液体が容れられた有底の円筒状の撹拌槽1内の中心部に垂下した回転軸2に、上下方向に離間して複数のタービン翼などの撹拌翼3を設けると共に、該撹拌槽1の内周面1bに上下方向に延びるバッフル4を設ける。
【0003】
また、最下部の前記撹拌翼3の下に、例えば、環状の通気管(スパージャーリング)5を設けると共に、該環状の通気管5の周壁の上面部に複数の気体吐出口(図示せず)を設けて、これら気体吐出口から上方に吐出した気体を前記撹拌翼3により強力に分散させて、前記撹拌槽1内の液体に通気する機械式の気液撹拌装置がある(特許文献1)。
【0004】
また、例えば、
図4に示すように、液体が容れられた有底の円筒状の撹拌槽1の内周面に上下方向に延びるバッフル4を設けると共に、前記撹拌槽1の底部1aの中心に、微細気泡を吐出させる通気ノズルやセラミック多孔質体や微細気泡メンブレンなどからなる微細気泡放出手段6を設け、前記底部1aから微細気泡を吐出させて、通気エネルギーで撹拌槽1内を気液撹拌混合させる気泡塔式の気液撹拌装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-116519号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機械式や気泡塔式の気液撹拌装置は、多くの気液動力や撹拌動力を消費する欠点があった。
【0007】
本発明は上記の欠点を除くようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成すべく、本発明の気液撹拌装置は、液体が容れられる撹拌槽と、該撹拌槽内に設けた、液体を半径方向外方に吐出する撹拌翼と、前記撹拌槽の底部に設けた、上昇流を生じさせる静翼と、微細気泡放出手段とよりなり、該微細気泡放出手段は、前記撹拌翼と静翼とにより形成される循環流が生ずる位置に設けたことを特徴とする。
【0009】
また、前記撹拌翼は、前記撹拌翼は、半径方向に放射状に設けられた複数のフラットバドル翼よりなり、前記静翼は、放射状に設けられた、複数の帯状板からなり、該帯状板の交差部に相当する中心部には、隙間が形成されていることを特徴とする。
【0010】
また、前記微細気泡放出手段は、前記撹拌槽の内周面の、前記撹拌翼が設けられた高さと同じ位置に設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、前記微細気泡放出手段は、微細気泡を発生させるメンブレンから形成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記撹拌槽の内周面には、上下方向に延びるバッフルが設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撹拌翼と静翼により形成される循環流に乗せて撹拌する低動力撹拌技術を用い、そして、微細気泡を、撹拌翼と静翼により形成される循環流に乗せて循環させるため、撹拌動力、通気動力を小さくして、気液混合ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本発明の気液撹拌装置の拡大横断平面図である。
【
図4】従来の他の気液撹拌装置の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態の実施例を以下に示す。
【0016】
なお、背景技術と同じ部分には同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0017】
【0018】
本発明の気液撹拌装置は、液体が容れられる有底の円筒状の撹拌槽1と、該撹拌槽1内に垂設された回転軸2と、前記回転軸2の下端に設けた、液体を半径方向外方に吐出する撹拌翼7と、前記撹拌槽1の底部1aの中心に設けた、上昇流を生じさせる静翼8と、セラミック多孔質体や微細気泡発生メンブレンなどからなる微細気泡放出手段9とよりなり、該微細気泡放出手段9は、前記撹拌翼7と前記静翼11とにより形成される循環流の生ずる位置に設けられるようにし、例えば、該微細気泡放出手段9を、前記撹拌槽1の内周面1bに接触又は、近接させて設けるようにする。なお、4は、バッフルであるが、省略してもよい。
【0019】
なお、前記撹拌翼7は、例えば、前記回転軸2の下端に、半径方向に放射状に固定した、例えば、4枚の矩形板状のフラットパドル翼などの翼板7aとよりなり、液体内の前記撹拌槽1の上部に設けられる。
【0020】
また、前記静翼8は、例えば、
図2に示すように、直線状の帯状板8aからなり、該帯状板8aは、前記撹拌槽1内の底部1aの中心を通る半径線Rから間隔dの位置に平行に放射状に、例えば、4枚固定されると共に、これら帯状板8aの交差部に相当する該底部の中心部には隙間が形成されている。
【0021】
また、前記微細気泡放出手段9の高さは、前記撹拌翼7の高さと同じ、または、若干下の部分に設けることが好ましく、このように該微細気泡放出手段9を前記撹拌槽1の上部に設けた場合には、圧力ヘッド差を小さくできるので、ポンプ消費動力を小さくでき、好ましい。
【0022】
なお、9aは、前記微細気泡放出手段9の気体導入管、9bは、該導入管9aに設けられたポンプである。
【0023】
本発明は上記のような構成であるから、前記撹拌翼7を回転すれば、
図1に示すように、撹拌翼7からの液体は、半径方向外方に吐出し、前記撹拌槽1の内周面1bにあたり、前記撹拌槽1の内周面に沿う、下方に向かう旋回流を生じ、そして、該液体は、底部1aに到達して、該底部1aの中央まで移動して、前記底部1aの静翼8により中心部で上昇流を生じ、そして、該上昇した液体は、前記撹拌翼7により、半径方向外方に吐出して、該液体は、前記撹拌槽1内で循環するようになる。
【0024】
そして、前記微細気泡発生手段9は、前記循環流が生ずる、前記撹拌槽1の内周面に接して、又は、近接して設けられているので、該微細気泡発生手段9からの微細気泡は、前記循環流の下降流に乗って撹拌槽1の底部1aまで到達し、そして、前記底部中央で上昇して、前記撹拌翼7にまで至り、該循環流に乗って、気液混合がなされるようになる。
【0025】
本発明によれば、前記循環流に乗せて、微細気泡を下降させ、そして、循環させることができるので、撹拌動力、通気動力を小さくして、気液混合ができるようになる。
【0026】
また、微細気泡は、槽上部で発生させるため、ヘッド差が殆どなく、ポンプの消費動力を小さくでき、モータ動力も少なくて済むようになる。
【0027】
なお、前記微細気泡メンブレンは、前記循環流中であれば、複数設けてよく、また、縦方向に複数設けてもよい。