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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074201
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】漏洩検知方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20240523BHJP
   F17D 5/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G01M3/20 Z
F17D5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185337
(22)【出願日】2022-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】599087888
【氏名又は名称】株式会社サンフロイント
(71)【出願人】
【識別番号】521355371
【氏名又は名称】有限会社エス・アイ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100103148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 輝美
(72)【発明者】
【氏名】上野 秀雄
【テーマコード(参考)】
2G067
3J071
【Fターム(参考)】
2G067AA04
2G067AA11
2G067CC18
2G067DD23
3J071AA21
3J071DD30
3J071EE06
3J071EE28
3J071EE32
3J071FF01
(57)【要約】
【課題】埋設タンク、或いは配管からの流体の漏洩を自動的に検知するための漏洩検知装置を提供する。
【解決手段】注油管11の地下に埋設される部分は、その注油管として用いる第1の管31、及びその第1の管31を覆う第2の管32を含む2重配管30とする。第1の管31と第2の管32との間には、有機溶剤の漏洩を検知するための検知センサー15を配置する。その検知センサー15は、リード線25を介して、漏洩検知器盤20の漏洩検知装置21に接続させる。それにより、漏洩検知装置21は、第1の管31から有機溶剤が漏洩した場合、検知センサー15により、その漏洩を検知し、ブザー22を放音させ、有機溶剤の漏洩を担当者に通知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が貯留、或いは流される構造物の内側から、前記流体が漏洩しない状態に第1の層、及び第2の層を形成し、
前記第1の層と前記第2の層との間に、前記流体を検知するための検知センサーを配置し、
前記検知センサーにより、前記第1の層から漏洩する前記流体を検知する漏洩検知方法。
【請求項2】
前記流体は、有機溶剤である、請求項1に記載の漏洩検知方法。
【請求項3】
前記構造物は、前記第1の層、及び前記第2の層を備えた2重配管である、請求項1、または2に記載の漏洩検知方法。
【請求項4】
前記構造物は、前記第1の層、及び前記第2の層を備えた、地下に埋設される地下タンクである、請求項1、または2に記載の漏洩検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏洩検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋設タンクに収納された液体、或いは配管を流れる流体のうちには、危険物とされるものがある。埋設タンク、或いは配管等の構造物からの危険物とされる流体の漏洩は、僅かであっても直ちに対応する必要がある。
そのような流体として、例えば有機溶剤の漏洩を検知するために、有機溶剤漏洩検知剤を均一の厚さに付着させた有機溶剤漏洩検出具を埋設タンク、或いは配管等に貼り付けることが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この有機溶剤漏洩検出具では、発色の有無により、有機溶剤が漏洩しているか否かを視覚的に容易に確認することができる。しかし、人による視認では、有機溶剤の漏洩を直ちに対応するのは困難であるのが実情である。漏洩を確認させる人を常に配置させるのは、コスト面等で望ましくないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-318020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、埋設タンクや、配管からの流体の漏洩を自動的に検知するための漏洩検知装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の漏洩検知装置は、流体が貯留、或いは流される構造物の内側から、前記流体が漏洩しない状態に第1の層、及び第2の層を形成し、前記第1の層と前記第2の層との間に、前記流体を検知するための検知センサーを配置し、前記検知センサーにより、前記第1の層から漏洩する前記流体を検知する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、埋設タンク、或いは配管からの流体の漏洩を自動的に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る漏洩検知方法の適用例を説明する図である。
図2】本発明の他の一実施形態に係る漏洩検知方法の適用例を説明する図である。
図3】検知センサーが配置された箇所の内面層の構造例を説明する図である。
図4】中空ガラス繊維の接続方法の例を説明する図である。
図5】中空ガラス繊維の末端部の内面層の構造例を説明する図である。
図6】検知センサーが内面層に貫通する貫通部の構造例を説明する図である。
図7】接続部の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、変形例を含めあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。本発明の技術的範囲には、様々な変形例も含まれる。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る漏洩検知方法の適用例を説明する図である。
図1に示す適用例は、地下に埋設する地下タンク内に流体を注入するか、或いは地下タンク内の流体を吸引するための配管(パイプ)での漏洩を検知する場合のものである。
流体は危険物とされるものである。ここでは、流体は、トルエン、メチルシクロヘキサン等の有機溶剤と想定し、以降、有機溶剤と表記する。漏洩を検知する配管は、注油管と想定する。
【0011】
なお、トルエンは、芳香族炭化水素に属する有機化合物で、ベンゼンの水素原子の1つをメチル基で置換した構造を有する。無色透明の液体で、常温で揮発性があり、引火性を有するだけでなく、人体に対しては麻酔作用がある他、毒性も強い。
メチルシクロヘキサンは、トルエンの水素化により生じ、触媒による脱水素化で水素を取り出せることから、有機ハイドライドの一種として水素の安定的な貯蔵・輸送手段としての研究がすすめられている。トルエンに比べ毒性は低い。
このような有機溶剤は、水素スタンド等で広く扱われると予想される。このような有機溶剤の毒性、及び背景もあり、有機溶剤の漏洩は確実に、より早期に検知できるようにすることが重要であると考えられる。このこともあり、ここでは流体として有機溶剤を想定する。
【0012】
図1の41は、マンホールである。注油管11は、途中から地下に埋設され、マンホール41内で地下から露出する。注油管11の地下に埋設されている部分は、視覚的に有機溶剤の漏洩を検知するのは困難である。
このことから、本例は、注油管11の地下に埋設されている部分で発生する漏洩を自動的に検知可能にするために適用されている。そのために、注油管11の地下に埋設される部分は、注油管11と溶接等により接続され、注油管として用いられる第1の管31(第1の層)、及び第1の管31を覆う第2の管32(第2の層)を有する2重配管30となっている。
【0013】
注油管11と2重配管30との接続は、接続ボックス10内で行われている。注油管11は、フランジ12を介して、第1の管31と接続されている。マンホール41内には別のフランジ42が存在し、この2つのフランジ12、42間が2重配管30となっている。
【0014】
接続ボックス10には他に、リード線25、及び漏洩を検知するための検知センサー15が挿入される配管13が設けられている。検知センサー15は、例えば有機溶剤によって静電容量が変化するセンサーケーブルである。配管13内への水等の侵入を防止するためにシーリング14が設けられている。
【0015】
検知センサー15は、2重配管30の第1の管31と第2の管32との間に、フランジ12からフランジ42に渡って挿入されている。それにより、検知センサー15は、第1の管31の何れかに漏洩が発生した場合、静電容量が変化するようになっている。
【0016】
リード線25は。漏洩検知器盤20に接続されている。具体的には、安全保持器23に接続されている。漏洩検知器盤20は、第1の管31に発生した漏洩を自動的に検知し、漏洩を検知した場合に、その旨を通知するためのものである。そのために、漏洩検知装置21、及びブザー22を備えている。
【0017】
漏洩検知装置21は、リード線25を介して、例えば検知センサー15の静電容量の変化を電圧値の変化として検知し、検知された電圧値から、第1の管31における漏洩の発生の有無を特定するものである。そのために、漏洩検知装置21は、直流電圧が印加されるDC(Direct Current)端子24と接続されるとともに、接地されている。なお、漏洩の有無の特定は、例えば有機溶剤の種類別に定められた閾値を、検知された電圧値と比較することにより行われる。
【0018】
漏洩検知装置21は、漏洩が発生していると特定した場合、ブザー22を放音させ、その旨を担当者に通知する。それにより、担当者は、有機溶剤の漏洩に直ちに対応することができる。直ちに対応することにより、漏洩による被害等も最小限に抑えることが可能となる。
【0019】
このように、本例では、漏洩を検知すべき配管の部分を2重配管30とし、2重配管30内の第1の管31と第2の管32との間に検知センサー15を配置する。それにより、検知センサー15を用いて、第1の管31に発生した漏洩を自動的に検知する。
そのため、配管、或いはその一部が視認し難い場所、例えば地中に埋設されていたとしても、漏洩を自動的に検知することができる。また、漏洩を検知した場合、ブザー22の放音により、担当者はその旨を直ちに認識することができることから、漏洩する有機溶剤の量の最小化がより容易となる。それにより、漏洩した有機溶剤による被害等も最小限に抑えられるようになる。
【0020】
第1の管31に穴、或いは罅等の損傷が発生したとしても、第2の管32にも穴、或いは罅等の損傷が発生するとは限らない。例え第2の管32に損傷が発生したとしても、第2の管32から漏洩する有機溶剤の量は、第1の管31から漏洩した有機溶剤の量より小さくなる。このことからも、有機溶剤の漏洩による被害等をより抑えることができる。
【0021】
なお、漏洩を検知する検知センサー15の種類は、特に限定されない。センサーケーブルである検知センサー15を採用したのは、例え2重配管30の長さが長くても、容易に対応可能だからである。漏洩を検知すべき長さ、或いはエリア等に応じて、検知センサー15の種類等を変更するようにしても良い。外側の第2の管32は、第1の管31の全体を覆えれば良いことから、第1の管31の溶接等による接続後に、取り付けられる部材であっても良い。
【0022】
図2は、本発明の他の一実施形態に係る漏洩検知方法の適用例を説明する図である。
図2に示す適用例は、地下に埋設する地下タンク内に貯留される有機溶剤の漏洩を検知する場合のものである。図2では、図1と同じ、或いは基本的に同じものには同一の符号を付している。
【0023】
本例では、漏洩検知器盤20と接続ホール41と間を配管61で結び、その配管61内にリード線25を通している。また、地下タンク50は、鋼板51(第2の層)の内面に、多層の内面層52(第1の層)が形成されている。
検知センサー(センサーケーブル)15は、内面層52と鋼板51との間に配置されている。検知センサー15が配置されているのは、図2中のA~B点の間である。そのため、内面層52は、少なくともA~B点の間に形成させれば良い。検知センサー15とリード線25とは、接続部45で接続されている。
【0024】
図3は、検知センサーが配置された箇所の内面層の構造例を説明する図である。なお、この内面層52の構造例は一例であり、不具合が発生しない限り、地下タンク50内に貯留された有機溶剤が漏洩しないものであれば良い。
【0025】
図3に示すように、本例では、鋼板51の内面に中空ガラス繊維501が貼り付けられている。検知センサー15は、中空ガラス繊維501が存在しない空隙内に配置される。検知センサー15の一部は、分割チューブ510内に挿入され、保護される。
検知センサー15が挿入された分割チューブ510は、中空ガラス繊維501より高く(厚く)なっている。このことから、分割チューブ510に隣接する形の中空ガラス繊維501には、耐油性の両面テープ502が貼られ、粘着加工が施されたPETフィルム504が2つの両面テープ502に貼られている。
【0026】
両面テープ502の分割チューブ510と対向する側の反対側には、パテ503が塗られている。内面層52の外側、つまり有機溶剤と接する側は、例えば紫外線硬化タイプのFRP(繊維強化プラスチック)505が全面に渡って形成されている。このFRP505は、狭義の内面層52に相当する。
【0027】
図4は、中空ガラス繊維の接続方法の例を説明する図である。図5は、中空ガラス繊維の末端部の内面層の構造例を説明する図である。
図4に示すように、2つの中空ガラス繊維501の接続は、PETフィルム504をそれらに貼り付けることで行われる。中空ガラス繊維501の終端には、図5に示すように、パテ503が塗られる。
【0028】
図6は、検知センサーが内面層に貫通する貫通部の構造例を説明する図である。
図6に示すように、この貫通部では、検知センサー15が挿入された分割チューブ510が、FRP505を貫通する形となっている。
FRP505は、実際には、例えば分割チューブ510を含む検知センサー15を配置した後に形成(例えば貼り付け)される。分割チューブ510を含む検知センサー15が安定するように、パテ503が塗られている。
FRP505と分割チューブ510、或いは検知センサー15と分割チューブ510、及び検知センサー15と分割チューブ510の各間は、不図示のシール材によりシールされている。そのようにして、FRP505に穴、或いは罅等が発生しない限り、内面層52に漏洩が発生しないようになっている。
【0029】
図7は、接続部の例を説明する図である。
接続部45は、複数の配管71~73が接続されている。検知センサー15の両端は、それぞれコネクタ74と接続されている。各コネクタ74には、それぞれリード線25が接続される。2つのコネクタ74のうちの一方は、切替コネクタ74となっており、その切替コネクタ74にはリード線25の他に、通信線75が接続される。
【0030】
本例でも、2重配管30と同様に、漏洩検知器盤20の漏洩検知装置21は、地下タンク50の内面層52に発生した漏洩を自動的に検知することができる。内面層52における漏洩の発生は、鋼板51に作用した物理的な力、或いは鋼板51の錆等による劣化等の影響によるものと推定することができる。そのため、内面層52における漏洩の発生は、鋼板51からの漏洩が発生している、或いは漏洩が発生する恐れが高いと考えることができる。
本例は、そのような漏洩への対応をより早い段階でより確実に行うことを可能にする。内面層52は、例え鋼板51が損傷し、鋼板51から有機溶剤が漏洩する状態であったとしても、地下タンク50から漏洩する有機溶剤の量がより小さくなるように機能する。
【0031】
なお、本例では、既に存在する地下タンク50における漏洩の発生を検知することを想定しているが、地下タンク50は、これから埋設するものであっても良い。その場合、検知センサー15は、鋼板51とその外側に形成させた外面層との間に配置するようにしても良い。
【符号の説明】
【0032】
10 接続ボックス、11 注油管、15 検知センサー、20 漏洩検知器盤、21 漏洩検知装置、22 ブザー、25 リード線、30 2重配管、31 第1の管、32 第2の管、50 地下タンク、51 鋼板、52 内面層、505 FRP。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7