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特開2024-74205太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネル
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  • 特開-太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネル 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074205
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネル
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/42 20140101AFI20240523BHJP
   H02S 20/32 20140101ALI20240523BHJP
   H02S 20/10 20140101ALI20240523BHJP
【FI】
H02S40/42
H02S20/32
H02S20/10 S
H02S20/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185346
(22)【出願日】2022-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】522333958
【氏名又は名称】四季洋圃能源科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】張鈴宏
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151BA18
5F151HA12
5F151HA16
5F151JA14
5F151JA30
5F251BA18
5F251HA12
5F251HA16
5F251JA14
5F251JA30
(57)【要約】
【課題】熱が溜まることを防ぎ、発電効率を高め、遮蔽面積を減らし、メンテナンス費用を減らし、使用寿命を延ばす太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルを提供する。
【解決手段】太陽追尾型太陽光発電装置100は、柱10、架台20、枢着装置30、傾斜調整装置40、複数の太陽光パネル及び温度調節装置を備える。架台は、柱の上方に位置する。枢着装置は、柱の頂端及び架台の底部に枢着され、架台は、外力作用を受けると柱に対して傾いて揺動する。傾斜調整装置は、柱と架台との間に接続され、架台を揺動して傾けて位置決めさせる。太陽光パネルは、架台上にそれぞれ配設されるとともに、外側面上に形成されたセルフクリーニング反射層をそれぞれ有する。セルフクリーニング反射層は、テフロン(登録商標)からなり、セルフクリーニング反射層の外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱、架台、枢着装置、傾斜調整装置、複数の太陽光パネル及び温度調節装置を備えた、太陽追尾型太陽光発電装置であって、
前記架台は、前記柱の上方に位置し、
前記枢着装置は、前記柱の頂端及び前記架台の底部に枢着され、前記架台は、外力作用を受けると前記柱に対して傾いて揺動し、
前記傾斜調整装置は、前記柱と前記架台との間に接続され、前記架台を揺動して傾けて位置決めさせ、
前記太陽光パネルは、前記架台上にそれぞれ配設されるとともに、外側面上に形成されたセルフクリーニング反射層をそれぞれ有し、前記セルフクリーニング反射層は、フッ素樹脂からなり、前記セルフクリーニング反射層の外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面であり、
前記温度調節装置は、前記架台の底部に配設され、前記太陽光パネルの周囲の環境温度を調節することを特徴とする、太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項2】
前記傾斜調整装置は、少なくとも1つの気圧シリンダ又は油圧シリンダであることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項3】
各前記太陽光パネルは、p型半導体及びn型半導体をそれぞれ有し、
前記p型半導体と前記n型半導体とは互いに結合され、
前記セルフクリーニング反射層は、めっき膜方式により前記n型半導体の外側面上に形成されるとともに、外表面と、前記外表面と互いに表裏の関係にある内接面と、を有し、
前記外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面であり、
前記内接面は、前記n型半導体の外側面上に当接され、前記外表面が外方及び上方を向くことを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項4】
前記温度調節装置は、貯水タンクと、少なくとも1つの噴霧水管と、複数の噴霧ノズルと、カバーと、を有し、
前記貯水タンクは、水を受けるために用い、
前記噴霧水管は、前記架台の底部に固定されるとともに、複数の前記太陽光パネルの下方に位置し、前記噴霧水管は、前記貯水タンクと連通し、複数の前記噴霧ノズルは、前記噴霧水管上に配設されるとともに、複数の前記太陽光パネルにそれぞれ向けられ、
前記カバーは、前記架台の底部周囲に接続されることを特徴とする請求項1に記載の太陽追尾型太陽光発電装置。
【請求項5】
p型半導体、n型半導体及びセルフクリーニング反射層を備えた、太陽追尾型太陽光発電装置の太陽光パネルであって、
前記n型半導体は、前記p型半導体と結合され、
前記セルフクリーニング反射層は、フッ素樹脂からなり、めっき膜方式により前記n型半導体の外側面上に形成され、前記セルフクリーニング反射層は、外表面と、前記外表面と互いに表裏の関係にある内接面と、を有し、前記外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面であり、前記内接面は、前記n型半導体の外側面上に当接され、前記セルフクリーニング反射層の前記外表面が外方を向くことを特徴とする、太陽追尾型太陽光発電装置の太陽光パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置に関するものであり、さらに詳しくは、太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
様々なクリーンエネルギー発電の中でも太陽光発電は最も環境を汚染させない。太陽光発電は、主に太陽光パネルにより太陽光を集めて光電変換し、電力をバッテリーに出力して蓄えたり、出力して供給したりする。
【0003】
太陽光の中でも効率良く変換される波長は、約300~700nmの範囲であり、波長が700nm以上の光は赤外線(IR)であり、それは効率良く電気に変換することができないだけでなく、太陽光パネル中に熱が溜まり、太陽光パネルの動作温度が上がり続け、温度が高くなるに従い発電効率が下がってしまうことがあった。太陽光パネルの発電効率は、動作温度により低下する他、環境温度によっても低下した。例えば、環境温度が25℃以上になると、発電効率は次第に低下することが知られている。
【0004】
従来の太陽光パネルのほとんどは、架台を利用して設置されていたため、遮られる面積が大きかった。そのため農業用地に設置する場合、日射量が不足して農作物が悪影響を受ける虞があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、熱が溜まったり環境温度の影響を受けたりして発電効率が低下してしまうとともに、日射量が不足して農作物が悪影響を受けるといった従来技術の太陽光発電の問題点を改善する太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、柱、架台、枢着装置、傾斜調整装置、複数の太陽光パネル及び温度調節装置を備えた、太陽追尾型太陽光発電装置であって、前記架台は、前記柱の上方に位置し、前記枢着装置は、前記柱の頂端及び前記架台の底部に枢着され、前記架台は、外力作用を受けると前記柱に対して傾いて揺動し、前記傾斜調整装置は、前記柱と前記架台との間に接続され、前記架台を揺動して傾けて位置決めさせ、前記太陽光パネルは、前記架台上にそれぞれ配設されるとともに、外側面上に形成されたセルフクリーニング反射層をそれぞれ有し、前記セルフクリーニング反射層は、テフロン(登録商標)からなり、前記セルフクリーニング反射層の外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面であり、前記温度調節装置は、前記架台の底部に配設され、前記太陽光パネルの周囲の環境温度を調節することを特徴とする、太陽追尾型太陽光発電装置が提供される。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態によれば、p型半導体、n型半導体及びセルフクリーニング反射層を備えた、太陽追尾型太陽光発電装置の太陽光パネルであって、前記n型半導体は、前記p型半導体と結合され、前記セルフクリーニング反射層は、テフロン(登録商標)からなり、めっき膜方式により前記n型半導体の外側面上に形成され、前記セルフクリーニング反射層は、外表面と、前記外表面と互いに表裏の関係にある内接面と、を有し、前記外表面は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面であり、前記内接面は、前記n型半導体の外側面上に当接され、前記セルフクリーニング反射層の前記外表面が外方を向くことを特徴とする、太陽追尾型太陽光発電装置の太陽光パネルが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルは、熱が溜まることを防ぎ、発電効率を高め、遮蔽面積を減らし、メンテナンス費用を減らし、使用寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルを示す斜視図である。
図2図1の太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルの動作を示す説明図である。
図3図1の太陽追尾型太陽光発電装置及びその太陽光パネルを示す部分拡大図である。
図4図1の温度調整装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4を参照する。図1図4に示すように、本発明の一実施形態に係る太陽追尾型太陽光発電装置100は、少なくとも柱10、架台20、枢着装置30、傾斜調整装置40、複数の太陽光パネル50及び温度調節装置60から構成されてなる。
【0011】
図1に示すように、柱10は、一定の高さを有し、地面に安定した状態で直立設置される。
【0012】
図1に示すように、架台20は、柱10の上方に位置する。
【0013】
図2に示すように、枢着装置30は、柱10の頂端及び架台20の底部に枢着される。架台20は、外力作用を受けると柱10に対して傾いて揺動する。
【0014】
図2に示すように、傾斜調整装置40は、柱10と架台20との間に接続され、架台20を揺動して傾けて位置決めさせることができる。本実施形態の傾斜調整装置40は、少なくとも1つの気圧シリンダ又は油圧シリンダでもよい。
【0015】
図1及び図3に示すように、複数の太陽光パネル50は、架台20上にそれぞれ配設される。各太陽光パネル50は、p型半導体51、n型半導体52及びセルフクリーニング反射層53をそれぞれ有する。p型半導体51とn型半導体52とは互いに結合される(p型半導体51とn型半導体52との電位差により電流を発生させる方式は従来技術に属するため、ここでは詳しく述べない)。セルフクリーニング反射層53は、テフロン(登録商標)からなり、めっき膜方式によりn型半導体52の外側面上に形成される。セルフクリーニング反射層53は、外表面531と、外表面531と互いに表裏の関係にある内接面532と、を有する。外表面531は、複数の微細な凹凸を有する非平坦表面である。内接面532は、n型半導体52の外側面上に当接され、外表面531が外方及び上方に向けられる。
【0016】
図1及び図4を参照する。図1及び図4に示すように、温度調節装置60は、架台20の底部に配設され、太陽光パネル50の周囲の環境温度を調節できるようにしてもよい。本実施形態の温度調節装置60は、貯水タンク61と、少なくとも1つの噴霧水管62と、複数の噴霧ノズル63と、カバー64と、を有する。貯水タンク61は水を受けるために用いる。噴霧水管62は、架台20の底部に固定されるとともに、複数の太陽光パネル50の下方に位置する。噴霧水管62は、貯水タンク61と連通する。複数の噴霧ノズル63は、噴霧水管62上に配設されるとともに、複数の太陽光パネル50にそれぞれ向く。カバー64は、架台20の底部周囲に接続され、噴霧水管62及び噴霧ノズル63を覆い隠す。
【0017】
以上、本発明の一実施形態に係る太陽追尾型太陽光発電装置100の各部材及びその結合方式について説明したが、以下ではそれを使用する際の特徴について説明する。
【0018】
まず、環境温度が高い場合、温度調節装置60が作動し、噴霧水管62により貯水タンク61内の水を複数の噴霧ノズル63に送水してスプレーを開始し、太陽光パネル50の周囲の環境温度を下げ、太陽光パネル50が高温の悪影響を受けて発電効率が低下することを防ぐとともに、複数の太陽光パネル50の発電効率を効率良く高めることができる。
【0019】
また、太陽光パネル50において太陽光に最も近いのはセルフクリーニング反射層53の外表面531である。太陽光が外表面531に照射されると、微細な凹凸を有する非平坦表面により、700nm以上の波長の光(赤外線:IR)が反射され、700nm以下の波長の光のみが透過されて光電変換を行う。このように、太陽光のうち効率良く変換できない光が太陽光パネル50内に入ることを防ぐため、熱が溜まって動作温度が高くなり過ぎることを防ぎ、ロスを減らして発電効率を高める。
【0020】
太陽光パネル50中の最外側には、セルフクリーニング反射層53が形成される。セルフクリーニング反射層53は、テフロン(登録商標)からなり、テフロン(登録商標)が耐ブロッキング性を有するため、塵埃、樹葉又は鳥類の排泄物がその上に落下しても付着することを防ぐことができるため、定期的に軽く清掃するメンテナンスを行うだけでよい。そのため、メンテナンスコストが少なく、使用寿命を延ばすことができる。
【0021】
本実施形態の太陽追尾型太陽光発電装置は、柱10により地面上に支持されているため、農作物が架台により完全に遮られることがなく、様々な種類の農作物の高さに応じて異なる高さの柱を選択し、農作物の日射量を十分に確保し、環境を汚染させないクリーンエネルギー発電を達成することができる。そのため、農作物の成長条件を確保しながら、農業生産とクリーンエネルギー発電とのバランスを取ることができる。
【0022】
本実施形態の架台20は、柱10に枢着されており、傾斜調整装置40により駆動されて位置決め可能なため、太陽光に対して太陽光パネル50を常に垂直となるようにして日射量を常に最大にすることができる。勿論、自在に傾けることができるため、太陽を追尾することができるとともに、強風が予想される天気のときに太陽光パネルの傾斜角度を平らに調整して風を受ける面積を減らし、損壊してしまうリスクを減らすこともできる。
【0023】
本実施形態では、単数の装置が使用されているが、本発明はこれだけに限定されるわけではなく、例えば、複数の装置をアレイ状に配列し、アレイ状の各太陽光パネルを傾斜させて互いに遮り合うことがないようにし、安定的に発電して土地の使用率を高めてもよい。
テフロン(登録商標)は、フッ素樹脂であり、ポリテトラフルオロエチレン(四ふっ化エチレン樹脂)であるが、この他のフッ素樹脂でもよい。例えば、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン(四ふっ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂))、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(四ふっ化エチレンー六ふっ化プロピレン共重合樹脂))、ETFE(エチレンーテトラフルオロエチレンコポリマー(四ふっ化エチレンーエチレン共重合樹脂))、PVDF(ポリビニリデンフルオライド(ふっ化ビニリデン樹脂))、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン(三ふっ化塩化エチレン樹脂))、ECTFE(エチレンークロロトリフルオロエチレンコポリマー(三ふっ化塩化エチレンーエチレン共重合樹脂))、TFE/PDD(テトラフルオロエチレンーパーフルオロジオキソールコポリマー(四ふっ化エチレン・パーフルオロジオキシソール共重合樹脂))、PVF(ポリビニルフルオライド(ふっ化ビニル樹脂))が例として挙げられるが、これらに限らない。
【符号の説明】
【0024】
10 柱
20 架台
30 枢着装置
40 傾斜調整装置
50 太陽光パネル
51 p型半導体
52 n型半導体
53 セルフクリーニング反射層
60 温度調節装置
61 貯水タンク
62 噴霧水管
63 噴霧ノズル
64 カバー
100 太陽追尾型太陽光発電装置
531 外表面
532 内接面
図1
図2
図3
図4