(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074209
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】非電動式自動扉付車庫
(51)【国際特許分類】
E05F 15/56 20150101AFI20240523BHJP
E06B 9/02 20060101ALI20240523BHJP
E05F 11/12 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
E05F15/56
E06B9/02 E
E05F11/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022195962
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】522205725
【氏名又は名称】佐竹 洋
(71)【出願人】
【識別番号】522205736
【氏名又は名称】ピーコン・リアルエステイト株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金丸 正徳
(72)【発明者】
【氏名】廣石 和朗
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 洋
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA01
2E052CA01
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA14
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC03
2E052FA01
2E052KA15
(57)【要約】
【課題】外部の駆動電源または駆動動力を具備していない非電動式自動扉においても効果的なシャッターの開閉及びブレーキ機構を持つ車庫を提案する。
【解決手段】車の荷重の有無によって、降下、上昇復帰する可動式床機構に連動して、シャッターを開閉させる機能を備えた非電動式自動扉において、複雑な設計が必要となるシーソー式アーム構造を排除し、可動式床の昇降の動きを、作動片を通して移動扉開閉作動機構に効率的に伝え、可動式床下部に空気袋を配置して可動式床の上下により空気が排出、吸気によりシャッター式移動扉のブレーキ機構と該シャッターを閉じる為の復元機構を提案する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車の荷重の有無によって、降下、上昇復帰する可動式床機構に連動して、移動扉開閉作動機構を水平方向に移動させる機構をシャッターの一部に直接接続することにより、
車が可動式床に乗り降りすることでシャッターが開閉することを特徴とする非電動式自動扉付車庫であり、前記可動式床下部に空気袋を配置し、前記可動式床の下降、上昇により空気が排出、吸気されることによりシャッター端部が移動終点で接触するエアシリンダーに空気を送ることによりシャッター移動終点でエアシリンダーがブレーキとして機能する構造をもち、車が可動式床から離れる時に空気が充填されたエアシリンダーが可動式床の上昇と、シャッターを閉じる復元機能を持った非電動式自動扉付車庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター式移動扉の前に停車した車の荷重の有無によって入庫時、出庫時にシャッターを開閉させる非電動式自動扉装置の車庫への適用に関する。
【背景技術】
【0002】
次の特許文献には、移動扉の前に立った人の荷重の有無によって開、閉動作させる非電動式自動扉装置に関する例が記載されている。
【先行技術文献】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では移動扉の前に立った人の荷重の有無によって開、閉動作させる非電動式自動扉装置に関する例が記載されている。人が出入りする時に移動扉の前の可動式床に乗ることで、該床が上下動し、それに連動して上昇、下降する作動片を備え、例えば前記作動片によって下方から押圧されると開方向への力を生じさる傾斜部材を内蔵した扉を有しているが、人の出入り方向に対して垂直方向に扉が開閉する構造を有する為に、作動片は、支点部材によって揺動可能に支持されたシーソー式アームによって可動式床に連結されており、そのため可動式床の下降、上昇復帰に連動して上昇、下降する。
また、可動式床を人の荷重で下降後、上昇する為に可動式床を復帰上昇させる機能を持つためにシーソー式アームの可動式床と接続されている接続部と反対側に錘を配置しており、構造及びアームの動きを複雑にしている
【0004】
このような構造の場合、移動扉と可動式床の大きさに依って、シーソー式アームに接続する錘のバランスが必要で、支点部の位置や、一旦下降した可動式床を上昇復元させる為に扉の大きさ及び可動式床の面積により錘の重量等のバランスをとるために設計が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、外部の駆動電源または駆動動力を具備していない非電動式自動扉において複雑な設計が必要となるシーソー式アーム構造を排除し、可動式床の昇降の動きを、作動片を通して移動扉開閉作動機構に効率的に伝えるとともに、清浄な空気の圧力による、シャッター式移動扉のブレーキ機構と該シャッターを閉じる為の復元機構を具備した非電動式自動扉を提案することにある。
【0006】
本発明は、車の荷重による可動式床昇降の動きを非電動式自動扉の開閉運動へ効率的に伝える構造を実現させるものであり、清浄な空気圧を利用してシャッターを開く時の制動力(ブレーキ)及び閉じる時の復元力を発揮するものである。本発明は、以下の通りである。
【0007】
すなわち、可動式床の車が侵入する方向に沿った側面端に直接作動片を取り付けることにより、可動式床の上昇、下降の動きを、作動片を介して非電動式自動扉の開閉機構に直接伝えることができる。このため、従来技術に比べて、より単純な構造で移動扉を開閉することができる。また、この構造では、前記作動片によって上方から押圧されると開方向への力を生じる傾斜ガイド部材で構成される移動扉開閉作動機構を直接シャッターに内蔵しており、横開き(サイドスライダー方式)または、昇降タイプ(オーバースライダー方式)によって開閉する非電動式自動扉のいずれもシャッターとして用いることができる。
【0008】
また、本発明では、可動式床下部に空気袋を配置し、該床の降下時に空気が排出され、また上昇復帰時に空気が吸気される仕組みを持ち、該床が降下すると該床下部に配置された空気袋から空気が排出されエアシリンダーに空気が貯められ、エアシリンダーはシャッター移動終点でシャッター端部に接触することによりブレーキとして機能する。また該床から車が離れるとシャッターを開く方向への力がエアシリンダーにかからなくなるので、エアシリンダー内の空気の圧力を解放することによりシャッターを閉じる力がシャッターに伝わり、それに連動して可動式床が上昇復元する機能を持つことを特徴としている。
【0009】
なお、この可動式床下部に空気袋を配置して、この空気袋から空気が送られるエアシリンダーは人が出入りする移動扉の移動終点に配置されても良く、移動扉のブレーキとして機能する。また人が可動式床から離れると移動扉がエアシリンダーを押す力が無くなるので移動扉を閉じる方向にエアシリンダーが押し返されることにより移動扉は閉じ、扉の移動に連動して可動式床も上昇復元する。
この空気によるブレーキ機能や可動式床の上昇復元機能は、車庫に限られたことではなく人が出入りする従来の非電動式移動扉にも適用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可動式床に直接配置されたシャフトから傾斜ガイド部の駆動軸に直接接合させた作動片と傾斜ガイド部が内蔵された移動扉開閉作動機構部によって、該床の昇降に応じてシャッターが開閉方向に沿って移動する構造を有しており、車の荷重の有無によって、降下、上昇復帰する可動式床機構に連動して、シャッター扉を開閉させる機能を備えた非電動式自動扉装置の基本構造を逸脱、または余分な機械的及び電気機構の構造を追加することなく、可動式床の上下動の動きをより単純に移動扉開閉作動機構部の水平方向の動きに変えることができる。
【0011】
また、本発明によれば、余分な機械的及びオイル等のダンパー機構の構造を追加することなく、可動式床に配置された空気袋よりシャッター端部が移動終点で接触するエアシリンダーに扉開時に空気を送り込むことにより、ブレーキ性能を向上させることができる。そしてエアシリンダーに貯めこまれた空気の圧力解放により床の上昇及びシャッターを閉じる復元機構を有することにより復元の為の錘の構造及び重量の調整等の複雑な設計を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は横開きシャッター1が閉まっている状態を示す上方斜視図である。
【
図2】
図2(1)はシャッターが閉じていて自動車が侵入する状態を示す上平面図であり、
図2(2)は可動式床2に自動車5の前輪が乗りシャッターが開く状態を示す上平面図で
図2(3)はシャッターがエアシリンダーの空気圧によりブレーキが掛けられている状態及び復元作用を表現している側面図である。
【
図3】
図3は可動式床2と傾斜ガイド部3を直接連結してる局部図である。
【
図4】
図4はシャッターが上開きの応用実施例図である。
【0013】
図1にて説明される全体図は、車庫の上方からの斜視図である。この図では、シャッター1が縦に配置され横開き構造で閉まっている状態で、可動式床2に自動車5が乗る前の状態で上昇点にいる。
矢印の方向に自動車が侵入し、可動式床2に乗るように進む。
シャッター1の可動下部に傾斜ガイド部3を含む移動扉開閉作動機構部が内蔵されていて、可動式床2からシャフトを含む作動片4が傾斜ガイド3に直接連結された状態になっている。
【0014】
図2にて説明される状態の機構は車庫を上平面図(上面図)で表示した図で、
図2(1)は自動車5が、可動式床2に矢印の方向に侵入しようとしている図になっている。この時はシャッター1がまだ閉じた状態になっている。
【0015】
図2(2)は自動車5が侵入し可動式床2に前輪が乗った状態を示し、自動車5が可動式床2に乗ると自重で該床が降下し、その時可動式床2の両側面に直接連結された作動片4を通じてシャッター1に内蔵された傾斜ガイド部3を含む移動扉開閉作動機構部に連動し、両側の傾斜ガイド部3を左右均等に押し下げる力が加わりシャッター1を開けることができる。
【0016】
図2(3)では自動車5が侵入し可動式床2が自動車5の自重により可動式床2が降下し可動式床2の下部に配置された空気袋6が圧縮され空気袋6に貯められた空気が配管8を通してエアシリンダー9に充填される。可動式床2に自動車5が乗り自重により可動式床2の降下と同時に可動式床2に直接連結された作動片4がシャッター1に内蔵された傾斜ガイド部3を押し下げて、その傾斜ガイド部3がシャッターを開ける方向に水平移動し、その時に傾斜ガイド部3を内蔵したシャッター1が移動終点に近づいた時エアシリンダー9に接触しエアシリンダー9のシャフトを押す、その時エアシリンダー9に充填された空気を圧縮する状態になる。エアシリンダー9に充填された空気が圧縮されると反発力が発現し移動終点に近づいたシャッター1のブレーキとして働く。
【0017】
そのまま自動車5は、可動式床2を進みシャッター1を通過しその後、可動式床2を離れた時、傾斜ガイド3の可動式床2から作動片4を通して押し下げる力が無くなりシャッター1を開ける力が消える、その時エアシリンダー9の圧縮された空気がシャッター1を押し返す力が加わり、同時に傾斜ガイド3がシャッター1を閉じる方向に移動するため、この傾斜ガイド3が移動することにより作動片4を押し上げて作動片4が直接連結されている可動式床2が上昇し、元の位置に戻る状態になる。
【0018】
可動式床2が上昇する時、空気袋3が吸気する方向に体積膨張を発現し吸気装置11から空気が流入する構造となっている。空気袋6の空気排気口には逆流防止弁7が配置され床踏み台2が降下時に空気袋6を圧縮したときに、該袋から空気が排出されるため、この逆流防止弁7が開く。
吸気装置11は空気袋6に空気を吸入するときこの吸気装置11から空気を取り込み、空気を取り込む時に吸気装置11内の逆流防止弁12が開く。吸入装置11から取り込まれた空気は配管8と別の配管13を通して空気袋6に吸入され貯められる。
【0019】
可動式床2が降下したときに空気袋6から押し出された空気はエアシリンダー9に貯められる。貯められた空気が排気されないようにエアシリンダー9内に逆流防止弁10が配置され、配管8から空気が流入する時に該逆流防止弁10が開く構造になっている。エアシリンダー9には圧力弁14が組付けられており、今まで説明した配管経路では、可動式床2が、降下する度ごとに空気がエアシリンダー9に送り込まれる構造になっているため、ある一定以上の圧力がかかった時に、この圧力弁14より空気を解放し、ある一定以内の空気圧力がエアシリンダー9に確保される状態を作り、エアシリンダー9が過剰圧力により破裂する危険を防ぐ。
【0020】
このような
図2(3)に示す配管経路を作ることによりシャッター1を開き移動終点時のブレーキのために、電源やオイルダンパー構造を必要とせず、空気による清浄な環境で電気を必要としない車庫のシャッター開閉ブレーキシステムを提供する。またエアシリンダー9の圧縮された空気を解放することによる床踏み台2及びシャッター1を閉じる復元機構を提供する。
【0021】
図3は、床踏み台2とシャッターの開閉に寄与する傾斜ガイド部3がシャフトを含む作動片4を介して直接連結されてる部分図の側面図及び後方側からの図を示す
【0022】
図4は、今回のシャッター開閉システムの応用でシャッター1が車庫出入口で上下動する構造(オーバースライダー方式)を提案するものである。その場合はシャッター1の一方の終端側面が、連結部材15を通して傾斜ガイド部3に連結され
図1、2で示した縦置きの横開きシャッターと同様の機構によりシャッターを上に引き上げ及び引き下げて開閉するシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0023】
1・・・シャッター(開閉扉)
2・・・可動式床
3・・・傾斜ガイド受部
4・・・作動片
5・・・自動車
6・・・空気袋
7・・・空気袋の逆流防止弁
8・・・配管
9・・・エアシリンダー
10・・・シリンダー内逆流防止弁
11・・・吸気装置
12・・・吸気装置内逆流防止弁
13・・・吸気用配管
14・・・エアシリンダー圧力弁
15・・・傾斜ガイドとシャッターの連結部材