(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074211
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】果物素揚げ加工方法及び果物素揚げジャム加工方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/00 20160101AFI20240523BHJP
A23L 21/12 20160101ALI20240523BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20240523BHJP
A23L 5/20 20160101ALI20240523BHJP
【FI】
A23L19/00 A
A23L19/00 Z
A23L21/12
A23L5/10 D
A23L5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022195964
(22)【出願日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】516328432
【氏名又は名称】寺本 智子
(72)【発明者】
【氏名】寺本 智子
【テーマコード(参考)】
4B016
4B035
4B041
【Fターム(参考)】
4B016LE03
4B016LG01
4B016LK02
4B016LK06
4B016LP07
4B016LP13
4B035LC16
4B035LE17
4B035LG12
4B035LG32
4B035LP07
4B041LD04
4B041LK18
4B041LK29
4B041LP25
(57)【要約】
【課題】 従来技術は、渋柿を加熱乾燥し、渋抜きするもので、本発明のような活性化油を使用して、渋抜き(甘柿になる)でき、かつ、やわらかい食感を得ることはできない。
また別の従来技術は、セラミックの主成分が二酸化チタンと白金を混合したものであり、かつ、酸化を抑制させるものである。
よって、本発明のようなセラミックの成分が緑色岩ではなく、かつ、水分の多い果物を素揚げし、油がパチパチとはねて飛び散るのも防止するものではない。
さらに別の従来技術は、シート状の昆布に具材をのせ、筒状に巻き込んだ食品を素揚げ等するものであるが、本発明のように果物を素揚げするものでもなく、油がはねるのを防止するものでもない。
【解決手段】 予め適当な大きさにカットした果物を素揚げすべく、食用油内にセラミックを入れて食用油を活性化油とする活性化工程と、活性化油を加熱する加熱工程と、カットした果物を水切りせず、そのまま加熱した活性化油内に投入する投入工程と、余分な水分を蒸発させ渋味や苦味を消して揚げることのできる揚げ工程とからなることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め適当な大きさにカットした果物を素揚げすべく、食用油内にセラミックを入れて食用油を活性化油とする活性化工程と、活性化油を加熱する加熱工程と、、カットした果物を水切りせず、そのまま加熱した活性化油内に投入する投入工程と、余分な水分を蒸発させ渋味や苦味を消して揚げることのできる揚げ工程とからなることを特徴とする果物素揚げ加工方法。
【請求項2】
前記果物がタンニン及び/またはククルビタシンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の果物素揚げ加工方法。
【請求項3】
前記果物が、早く収穫し、渋味や苦味のあるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の果物素揚げ加工方法。
【請求項4】
前記果物が渋柿であることを特徴とする請求項1,2又は3記載の果物素揚げ加工方法。
【請求項5】
前記セラミックの成分がSiO2が55~60%・AL2O3が10~18%・CaOが4~11%・LOIが5~11%・その他が24~0%であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の果物素揚げ加工方法。
【請求項6】
前記果物を水分が散ることなく甘く加工してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5記載の果物素揚げ加工方法。
【請求項7】
前記素揚げした果物を撹拌工程にてジャムにしてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の果物素揚げジャム加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生の果物をカットし、活性化油にて素揚げし、短時間に甘く美味しく加工する果物素揚げ加工方法及び果物素揚げジャム加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、特に水分の多い果物(リンゴ等)を素揚げする時、油がパチパチとはねて飛び散るもので、火傷の原因となっている。
よって、果物についている水をよく切るか、ふき取ることが勧められ、加熱した油の中にできる限り水分が入らないように気を付けている。
【0003】
従来の技術として、渋柿(甘く加工する)においては、収穫後の追熱・脱渋されてない渋柿を剥皮、徐種すると共にスライスして形成した生果肉に75~85℃の温風を8~14時間当てて加熱乾燥するものがある。(特許文献1参照)
【0004】
また、従来の食用油に使用するセラミックとしては、二酸化チタンに白金を混合した触媒体を食用油に浸し、前記食用油の酸化を抑制する。又、触媒体は、アルミナを母体とする担体としてのセラミック球体を備え、前記球体の表面に、触媒としての白金が混ぜられた二酸化チタンが皮膜を形成するように焼成された球状体であり、又、触媒体は内外に油の流通を自在に許す開放容器に無数納められた状態で食用油中に浸す。又、開放容器は、食用油中で転動し難い角形の容器が好適であるものがある。(特許文献2参照)
【0005】
さらに、素揚げとして、シート状の昆布に具材をのせ、筒状に巻き込んで両端を揚げ油がしみこみにくく、且つ、具材の旨みが外へ出ることを防止するために閉塞し、素揚げもしくは粉層をつけて揚げた昆布揚げ物であって、シート状の昆布とは、塩付け昆布を水で塩抜きしたもの、乾燥昆布を水に付けて柔らかくしたもの、おぼろ昆布を作る際に残る柔らかい板状の白板昆布、から選ばれるものである昆布揚げ物がある。(特許文献3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-252253号公報
【特許文献2】特開2011-41528号公報
【特許文献3】特許第4614190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記前者は、渋柿を加熱乾燥し、渋抜きするもので、本発明のような活性化油を使用して、渋抜き(甘柿になる)でき、かつ、やわらかい食感を得ることはできない。
【0008】
前記中者は、セラミックの主成分が二酸化チタンと白金を混合したものであり、かつ、酸化を抑制させるものである。
よって、本発明のような成分が同様なセラミックではなく、かつ、水分の多い果物を素揚げし、油がパチパチとはねて飛び散るのも防止するものではない。
【0009】
前記後者は、シート状の昆布に具材をのせ、筒状に巻き込んだ食品を素揚げ等するものであるが、本発明のように果物を素揚げするものでもなく、油がはねるのを防止するものでもない。
【0010】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決するもので、セラミックを使用して活性化油にすることにより、特に果物の素揚げが、美味で油がはねることなく、短時間に安心して調理できる果物素揚げ加工方法及び果物素揚げジャム加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するため、果物を適当な大きさにカットした果物を素揚げすべく、食用油内にセラミックを入れて食用油を活性化油とする活性化工程と、活性化油を加熱する加熱工程と、カットした果物を水切りせず、そのまま加熱した活性化油内に投入する投入工程と、余分な水分を蒸発させ渋味や苦味を消して揚げることのできる揚げ工程とからなること。前記果物がタンニン及び/またはククルビタシンを含むものであること。前記果物が、早く収穫し、渋味や苦味のあるもの。前記果物が渋柿であること。前記セラミックの成分がSiO2が55~60%・AL2O3が10~18%・CaOが4~11%・LOIが5~11%・その他が24~0%であること。前記果物を水分が散ることなく甘く加工してなること。素揚げした果物をジャムにしてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
1)、食用油内にセラミックを入れ、活性化油にすることにより、油と水のクラスターを小さくすることができ、果物を素揚げした時、水分の蒸発量が多く、短時間に甘さを凝縮した素揚げ果物の加工ができるものである。
2)、タンニンが多い(渋柿等)果物やククルビタシンの多い(小さな桃等)の味を甘く変化させることができる。
3)、特に、渋柿の場合、30秒~3分加熱することにより、渋味が消え、甘く、美味になる。
4)、セラミックが、Si02が55~60%・AL2O3が10~18%・CaOが4~11%・LOIが5~11%・その他が24~0%であることにより、上記の効果がある。
5)、通常の食用油と比較し、水分減少率を同じとしたら、短時間に揚げることが出来、ガス代や電気代を節約できる。
6)、素揚げした果物をジャムに加工すべく素揚げ果物ジャム加工工程を付加し、パンやケーキ等の食材に使用する。(果物素揚げジャム加工方法)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に使用するセラミックについて説明する。
成分は、SiO2が55~60%・AL2O3が10~18%・CaOが4~11%・LOIが5~11%、その他としてFeO・MgO・Na2O等を含むものである。
【0014】
このセラミックは、赤外線放射率測定結果、42℃で94%放射率であり、極めて高い遠赤外線効果がみられる。
【0015】
次に、果物素揚げ加工方法について説明する。
予め適当な大きさにカットした果物(特に渋味や苦味のある渋柿や小さな桃等を10mm位にカット)を素揚げすべく、食用油(例えば、キャノーラ油等)に上記セラミックを入れ、食用油を遠赤外線等により活性化油する活性化工程と、活性化油を180℃前後に加熱(電磁調理器)する加熱工程と、、カットした果物を水切りせず、そのまま加熱して活性化油内に投入する投入工程と、余分な水分は小さく(水分子)なっているため蒸発しやすく、かつ、渋味や苦味を消して短時間で揚げることのできる揚げ工程とからなる。
【0016】
実験による結果を以下に説明する。
渋柿において、厚さ10mm前後にカットしたものを50g前後用意し、一般に市販されているキャノーラ油と、このキャノーラ油にセラミックを入れた活性化油と比較した。
キャノーラ油のみの場合、180℃で加熱して3分後での重さの平均(10回)は38.5gとなり、減少率は28%であった。
これに対して、活性化油の場合は、同じ条件で重さの平均(10回)は29.5gで減少率は41%であった。
このように、セラミック(水の分子と油の分子を小さくすることができる)を入れた方がより多くの水分を蒸発させたものと考えられる。
また、キャノーラ油の方は、渋味が残ったが、活性化油の方は甘く美味であった。
【0017】
次に、苦味であるククルビタシンを含む、収穫前の小さな桃についてもキャノーラ油と比較して活性化油の方が苦味が減少した。
これらの活性化油で加工された果物はそのままでも美味であるが、これらを潰したり、撹拌してジャムを作る撹拌工程を加えるのも一考である。
【0018】
以上、本発明における果物は、渋柿や未成熟な桃に限定せず、他の果物にも同じ効果があるものと思われる。
また、果物を薄くカットすれば、30秒位で効果を得ることができるし、油を他のオリーブ油等にしても同様の効果が期待できるものである。
さらに、セラミックの形状は板状でも球状でも良いが、今回の実験は板状を使用した。
さらにまた、短時間で揚げることが出来るため、食用油の使用量が減り、酸化の防止にもつながるものである。