(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074233
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】音響インピーダンス測定システムおよび音響インピーダンス測定方法
(51)【国際特許分類】
H04R 29/00 20060101AFI20240523BHJP
G10K 15/00 20060101ALI20240523BHJP
H04R 1/22 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
H04R29/00
G10K15/00 L
H04R1/22 310
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106801
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】63/426,371
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/333,561
(32)【優先日】2023-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521287935
【氏名又は名称】エクスメムス ラブズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】曾 冠儒
(72)【発明者】
【氏名】陳 文健
(72)【発明者】
【氏名】羅 烱成
【テーマコード(参考)】
5D018
【Fターム(参考)】
5D018AA03
5D018AA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のチャンバを有し、これらのチャンバ間に配置された音響部品の音響インピーダンスを測定する音響インピーダンス測定システム及び測定方法を提供する。
【解決手段】音音響インピーダンス測定システム100は、第1のチャンバ110と、第2のチャンバ120と、第1の音圧感知装置142と、第2の音圧感知装置144と、音源130と、を含む。第1の音圧感知装置は、第1のチャンバ内の音圧を感知する。第2の音圧感知装置は、第2のチャンバ内の音圧を感知する。音源は、第1のチャンバに接続され、第1のチャンバ内の第1のキャビティに向かって伝播する音を生成する。音響部品ACは、音響インピーダンスを測定されるために第1のチャンバと第2のチャンバとの間に配置され、音響部品の音響インピーダンスは、第1の音圧感知装置および第2の音圧感知装置によって測定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響部品の音響インピーダンスを測定するように構成された音響インピーダンス測定システムであって、
第1のキャビティが内部に存在する第1のチャンバと、
第2のキャビティが内部に存在する第2のチャンバと、
前記第1のチャンバ内の音圧を感知するように構成された第1の音圧感知装置と、
前記第2のチャンバ内の音圧を感知するように構成された第2の音圧感知装置と、
前記第1のチャンバに接続された音源であって、前記第1のキャビティに向かって伝播する音を生成する音源と
を備え、
前記音響部品は、前記音響部品の前記音響インピーダンスが測定されるために前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に配置され、前記音響部品の前記音響インピーダンスは、前記第1の音圧感知装置および前記第2の音圧感知装置によって測定される、
音響インピーダンス測定システム。
【請求項2】
前記第1のチャンバは、前記音源に接続された音入口を有し、前記音響部品は前記音入口に面している、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項3】
前記第2のチャンバは壁部を有し、前記音響部品は前記壁部に面している、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項4】
前記音響部品の第1の側面は、前記第1のチャンバの前記第1のキャビティに接続されて面しており、前記音響部品の第2の側面は、前記第2のチャンバの前記第2のキャビティに接続されて面している、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項5】
前記第1のチャンバは管状構造であり、前記第2のチャンバは別の管状構造である、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項6】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとを互いに接近させるチャンバ位置変更構造をさらに備える、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項7】
前記第1のチャンバまたは前記第2のチャンバを含むブロック状構造をさらに備え、前記ブロック状構造は、前記音響部品に電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの導電性構造を有する、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項8】
前記第1の音圧感知装置および前記第2の音圧感知装置に電気的に接続された分析器をさらに備え、前記分析器は、前記第1の音圧感知装置および前記第2の音圧感知装置によって生成された前記感知信号を受信して分析するように構成される、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項9】
前記音響部品のモードを制御するように構成されたモード変更装置をさらに備える、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項10】
前記音響部品の前記音響インピーダンスは、音響インダクタンスおよび音響抵抗を含む、請求項1に記載の音響インピーダンス測定システム。
【請求項11】
音響インピーダンス測定方法であって、
音響インピーダンス測定システムを提供するステップであって、前記音響インピーダンス測定システムが、
第1のキャビティが内部に存在する第1のチャンバと
第2のキャビティが内部に存在する第2のチャンバと
前記第1のチャンバに接続された音源であって、前記第1のキャビティに向かって伝播する音を生成する音源と
を備える、ステップと、
音響オブジェクトに対して第1の測定プロセスを実行するステップであって、前記第1の測定プロセスが、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に前記音響オブジェクトを配置するステップと
前記音源によって前記音を生成するときに、前記第1のチャンバ内の第1の音圧および前記第2のチャンバ内の第2の音圧を感知するステップであって、前記音響オブジェクトの第1の総合的な音響インピーダンスは、前記第1の音圧および前記第2の音圧にしたがって取得される、ステップと
を含む音響インピーダンス測定方法。
【請求項12】
ダミーオブジェクトに対してダミー測定プロセスを実行するステップ
をさらに含み、前記ダミー測定プロセスは、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に前記ダミーオブジェクトを配置するステップと、
前記音源によって前記音を生成するときに、前記第1のチャンバ内の第1のダミー音圧および前記第2のチャンバ内の第2のダミー音圧を感知するステップであって、前記ダミーオブジェクトのダミー音響インピーダンスは、前記第1のダミー音圧および前記第2のダミー音圧にしたがって取得される、ステップと
を含み、
前記音響オブジェクトは、第1の基板と、第1の被覆構造と、前記第1の基板と前記第1の被覆構造との間に配置された音響部品とを備え、前記ダミーオブジェクトは、第2の基板と第2の被覆構造とを備え、前記第1の基板は、前記第2の基板と同じであり、前記第1の被覆構造は、前記第2の被覆構造と同じであり、
前記音響部品の第1の音響インピーダンスは、前記第1の総合的な音響インピーダンスおよび前記ダミー音響インピーダンスにしたがって取得される、
請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項13】
前記第1の測定プロセスは、第1のモードを有する前記音響オブジェクトに対して実行され、前記音響インピーダンス測定方法は、
第2のモードを有する前記音響オブジェクトに対して第2の測定プロセスを実行するステップ
をさらに含み、前記第2の測定プロセスは、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に前記第2のモードを有する前記音響オブジェクトを配置するステップと、
前記音源によって前記音を生成するときに、前記第1のチャンバ内の第3の音圧および前記第2のチャンバ内の第4の音圧を感知するステップであって、前記第2のモードを有する前記音響オブジェクトの第2の総合的な音響インピーダンスは、前記第3の音圧および前記第4の音圧にしたがって取得される、ステップと
を含む、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項14】
前記音響オブジェクトは音響部品を含み、前記音響部品は開口部を有し、前記第1のモードにおける前記音響部品の前記開口部は第1のサイズを有し、前記第2のモードにおける前記音響部品の前記開口部は第2のサイズを有し、前記第1のサイズは前記第2のサイズとは異なる、請求項13に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項15】
前記音響インピーダンス測定システムは、モード変更装置をさらに含み、前記音響オブジェクトは、前記モード変更装置によって提供される信号によって、前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り替えられる、請求項13に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項16】
前記音響インピーダンス測定システムが、
前記第1の音圧を感知するように構成された第1の音圧感知装置と、
前記第2の音圧を感知するように構成された第2の音圧感知装置と
をさらに備える、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項17】
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に前記音響オブジェクトが配置された後、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとが互いに近接する、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項18】
前記音響オブジェクトの前記第1の総合的な音響インピーダンスは、音響インダクタンスおよび音響抵抗を含む、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項19】
前記第1のチャンバは、前記音源に接続された音入口を有し、前記音響オブジェクトは、前記音入口に面している、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【請求項20】
前記第2のチャンバは壁部を有し、前記音響オブジェクトは前記壁部に面している、請求項11に記載の音響インピーダンス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、音響インピーダンス測定システムおよび音響インピーダンス測定方法に関し、より詳細には、音響部品(acoustic component)の音響インピーダンスを測定することが可能な音響インピーダンス測定システム、および関連する音響インピーダンス測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、音響装置は、様々な電子装置において広く使用可能である。音響装置の性能を向上させるために、音響装置内のすべての部品が音響装置に適した特性およびパラメータを持つ必要がある。
【0003】
音響装置の性能は、音響装置内の部品の音響インピーダンスの適合性に大きく関係する。しかしながら、現在のところ、部品の音響インピーダンスを良好に測定する機器およびシステムは存在しない。したがって、部品の音響インピーダンスを正確に測定することが可能なシステムまたは機器が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の主な目的は、複数のチャンバを有し、これらのチャンバ間に配置された音響部品の音響インピーダンスが測定されるような音響インピーダンス測定システムを提供することである。さらに、本発明では、関連する音響インピーダンス測定方法も提供される。
【0005】
本発明の一実施形態は、音響部品の音響インピーダンスを測定するように構成された音響インピーダンス測定システムを提供する。音響インピーダンス測定システムは、第1のチャンバと、第2のチャンバと、第1の音圧感知装置と、第2の音圧感知装置と、音源とを含む。第1のチャンバ内には第1のキャビティが存在し、第2のチャンバ内には第2のキャビティが存在する。第1の音圧感知装置は、第1のチャンバ内の音圧を感知するように構成される。第2の音圧感知装置は、第2のチャンバ内の音圧を感知するように構成される。音源は、第1のチャンバに接続され、音源は、第1のキャビティに向かって伝播する音を生成する。音響部品は、音響部品の音響インピーダンスが測定されるために第1のチャンバと第2のチャンバとの間に配置され、音響部品の音響インピーダンスは、第1の音圧感知装置および第2の音圧感知装置によって測定される。
【0006】
本発明の別の実施形態は、音響インピーダンス測定システムを提供するステップと、音響オブジェクトに対して第1の測定プロセスを実行するステップとを含む、音響インピーダンス測定方法を提供する。音響インピーダンス測定システムは、第1のチャンバと、第2のチャンバと、音源とを含み、第1のチャンバ内には第1のキャビティが存在し、第2のチャンバ内には第2のキャビティが存在し、音源は第1のチャンバに接続され、音源は、第1のキャビティに向かって伝播する音を生成する。第1の測定プロセスは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間に音響オブジェクトを配置するステップと、音源によって音を生成するときに第1のチャンバ内の第1の音圧および第2のチャンバ内の第2の音圧を感知するステップとを含み、音響オブジェクトの第1の総合的な音響インピーダンスは、第1の音圧および第2の音圧にしたがって取得される。
【0007】
本発明のこれらおよび他の目的は、様々な図および図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には疑いもなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態による音響インピーダンス測定システムを示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による音響オブジェクトを示す概略図である。
【
図3】
図2の音響オブジェクトを示す底面図の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による音響オブジェクトを有する音響インピーダンス測定システムの等価回路を示す概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるダミーオブジェクトを示す概略図である概略図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるダミーオブジェクトを有する音響インピーダンス測定システムの等価回路を示す概略図である。
【
図7】本発明の例示的な例による音響インピーダンス測定システムを示す概略図である。
【
図8】本発明の例示的な例による音響インピーダンス測定システムを示す概略図である。
【
図9】本発明の一実施形態による音響インピーダンス測定方法のフローチャートを示す概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態による、第1のモードを有する音響部品の第1の音響インピーダンスの測定誤差を示す概略図である。
【
図11】本発明の一実施形態による、第2のモードを有する音響部品の第2の音響インピーダンスの測定誤差を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者に本発明のより良い理解を提供するために、重要な構成要素のための好ましい実施形態および典型的な材料または範囲パラメータが、以下の説明において詳述される。本発明のこれらの好ましい実施形態は、達成されるべき内容および効果について詳述するために、番号付けされた要素とともに添付の図面に示される。図面は簡略化された概略図であり、重要な構成要素の材料およびパラメータの範囲は、現在の技術に基づいて例示的であり、したがって、本発明の基本的な構造、実装または動作方法についてのより明確な説明を提供するために、本発明に関連付けられた構成要素および組み合わせのみを示すことに留意されたい。構成要素は、実際にはより複雑であり、使用されるパラメータまたは材料の範囲は、技術が将来進歩するにつれて発展し得る。加えて、説明を容易にするために、図面に示される構成要素は、それらの実際の数、形状、および寸法を表していない場合があり、詳細は、設計要求事項にしたがって調整され得る。
【0010】
以下の説明および特許請求の範囲において、「含む(include)」、「備える(comprise)」、および「有する(have)」という用語は、オープンエンド方式で使用され、したがって、「~を含むが、これに限定されない(include, but not limited to...)」を意味するものと解釈されるべきである。したがって、「含む(include)」、「備える(comprise)」、および/または「有する(have)」という用語が本発明の説明で使用される場合、対応する特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在が指し示されるが、1つまたは複数の対応する特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在に限定されない。
【0011】
以下の説明および特許請求の範囲において、ある構成要素または層が別の構成要素または層に「接続されている(connected to)」と言及される場合、この別の構成要素または層に直接接続されてもよいし、介在する構成要素または層が提示されてもよい。対照的に、ある構成要素が別の構成要素または層に「直接接続されている(directly connected to)」と言及される場合、介在する構成要素または層は提示されない。
【0012】
以下の説明および特許請求の範囲において、「A1構成要素がB1によって/から形成される」とき、B1はA1構成要素の形成において存在するか、またはB1はA1構成要素の形成において使用され、A1構成要素の形成において、1つまたは複数の他の特徴、エリア、ステップ、動作および/または構成要素の存在および使用が除外されるものではない。
【0013】
以下の説明および特許請求の範囲において、「実質的に(substantially)」という用語は、一般に、小さな偏差が存在しても存在しなくてもよいことを意味する。例えば、「実質的に平行(substantially parallel)」および「実質的に沿って(substantially along)」という用語は、2つの構成要素間の角度が、特定の角度しきい値、例えば、10度、5度、3度、または1度以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的に位置合わせされた(substantially aligned)」という用語は、2つの構成要素間の偏差が、特定の差分しきい値、例えば、2μmまたは1μm以下であり得ることを意味する。例えば、「実質的に同じ(substantially the same)」という用語は、偏差が、例えば、所与の値もしくは範囲の10%以内であることを意味するか、または所与の値もしくは範囲の5%、3%、2%、1%、もしくは0.5%以内であることを意味する。
【0014】
本説明および以下の特許請求の範囲において、「水平方向(horizontal direction)」という用語は、一般に、水平面に平行な方向を意味し、「水平面(horizontal surface)」という用語は、一般に、図面における方向Xおよび方向Yに平行な面を意味し(すなわち、本発明の方向Xおよび方向Yは、水平方向とみなされ得る)、「垂直方向(vertical direction)」という用語は、一般に、図面における方向Zに平行で、水平方向に垂直な方向を意味し、方向X、方向Y、および方向Zは互いに垂直である。本説明および以下の特許請求の範囲において、「上面図(top view)」という用語は、一般に、1つの垂直方向に沿って見た表示結果を意味し、「底面図(bottom view)」という用語は、上面図に関連する垂直方向とは反対の別の垂直方向に沿って見た表示結果を意味する。
【0015】
第1、第2、第3などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用され得るが、そのような構成要素は、それらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、本明細書においてある構成要素を他の構成要素と区別するためにのみ使用され、本明細書に記載がない場合、これらの用語は製造順序に関係しない。特許請求の範囲は、同じ用語を使用しないことがあるが、代わりに、要素が請求される順序に関して、第1、第2、第3などの用語を使用することがある。したがって、以下の説明では、第1の構成要素は、請求項における第2の構成要素であってもよい。
【0016】
以下で説明される異なる実施形態における技術的特徴は、本発明の趣旨から逸脱することなく、別の実施形態を構成するために、互いに置き換えられ、組み替えられ、または混合され得ることに留意されたい。
【0017】
本発明では、音響インピーダンス測定システムは、音響装置内に配置される音響部品の音響インピーダンスを測定するように構成され、音響装置は、音響波(例えば、音波および/または超音波)に関連する。いくつかの実施形態では、音響装置は、音響波の生成または音響波の受信を行ってもよいし、音響装置は、音響波が通過する経路であってもよい。
【0018】
音響部品は、音響波に関連する部品であり得(例えば、音響部品は、音響波の生成または音響波の受信を行ってもよいし、音響部品は、音響波が通過する経路であってもよい)、および/または音響部品は、音響装置を使用するユーザの体験を向上させ得る。音響部品は、信号によって制御されてもよいし、音響波にしたがって信号を生成してもよいし、信号とは無関係であってもよく、ここで、信号は、電気信号または他の適切なタイプを有する信号であり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、音響部品は、音響変換を実行するように構成された音響トランスデューサであり得、音響変換は、信号(例えば、電気信号)を音響波に変換し得るか、または音響波を他の適切なタイプの信号(例えば、電気信号)に変換し得る。例えば、音響トランスデューサは、電気信号を音響波に変換するために、音生成構成要素、スピーカ、マイクロスピーカ、または他の適切な装置であり得るが、これらに限定されない。例えば、音響トランスデューサは、音響波を電気信号に変換するために、音測定装置、音圧感知装置、マイクロホン、または他の適切な装置であり得るが、これらに限定されない。
【0020】
いくつかの実施形態では、音響部品は、電気信号とは無関係であり得る。例えば、音響部品は、音響装置の装置開口部(例えば、音出口)を覆うために配置されるように構成されたメッシュであり得、メッシュの存在により、塵埃および液体が音響装置に入りにくくなるが、これに限定されない。任意選択で、音響波はメッシュを通過し得るが、これに限定されない。
【0021】
いくつかの実施形態では、音響部品は、電気信号によって制御され得る。例えば、音響部品は、通気装置であり得、通気装置の通気口のサイズは、電気信号によって制御され得る。例えば、通気装置は、音響装置(例えば、インイヤーイヤホン、オンイヤーイヤホンまたはオーバーイヤーイヤホンなど)の動作中のオクルージョン効果を抑制するように構成され得る。オクルージョン効果は、外耳道の容積が密閉されることでユーザ(すなわち、聴取者)によって知覚される音圧が大きくなることが原因である。場合によっては、オクルージョン効果は、ユーザが、骨伝導音を発生させる特定の動作(複数可)(例えば、歩く、ジョギングする、話す、食べる、音響トランスデューサに触れる、など)を行い、ユーザの外耳道に充填された音響装置を使用している間に発生し、オクルージョン効果により、ユーザにはオクルージョンノイズが聞こえ、それによってユーザのリスニング品質が低下する。したがって、通気装置があることで、通気装置の通気口が開放されたときに外耳道の容積が密閉されないので、オクルージョン効果が抑制され得、それによって音響装置の性能および音響装置を使用するユーザの体験を向上させることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、音響部品は、MEMS(微小電気機械システム)部品であり得るが、これに限定されない。すなわち、上記の部品(例えば、音響トランスデューサ、通気装置、メッシュ、または音響に関連する任意の他の適切な部品)は、半導体プロセスによって形成されたMEMS構造であり得るが、これに限定されない。
【0023】
いくつかの実施形態では、音響部品は、上記の部品(例えば、音響トランスデューサ、通気装置、メッシュ、または音響に関連する任意の他の適切な部品)をパッケージ化するパッケージ構造であり得るが、これに限定されない。
【0024】
以下では、例えば、音響部品は、通気装置であり得、音響部品が配置される音響装置は、音響波を生成し得るが(例えば、音響部品は、インイヤーイヤホン、オンイヤーイヤホンまたはオーバーイヤーイヤホンである)、これに限定されない。
【0025】
図1を参照すると、
図1は、本発明の一実施形態による音響インピーダンス測定システムを示す概略図である。
図1に示すように、音響インピーダンス測定システム100は、互いに接続された複数のチャンバを含む。いくつかの実施形態(
図1)では、音響インピーダンス測定システム100は、互いに接続された第1のチャンバ110および第2のチャンバ120を含み、第1のチャンバ110内には第1のキャビティ110aが存在し、第2のチャンバ120内には第2のキャビティ120aが存在する。
【0026】
チャンバは、要件(複数可)に基づいて設計され得る。例えば、第1のチャンバ110は、方向Zに沿って延在する管状構造であり得、第2のチャンバ120は、方向Zに沿って延在する別の管状構造であり得、第1のチャンバ110は、方向Zにおいて第2のチャンバ120に接続され得るが、これに限定されない。例えば、第1のチャンバ110は、第1の円形部112および第1の矩形部114を有し得、第2のチャンバ120は、第2の円形部122および第2の矩形部124を有し得、第1の矩形部114および第2の矩形部124は、Z方向において第1の円形部112と第2の円形部122との間に位置し得るが、これに限定されない。
【0027】
図1において、第1のチャンバ110は、方向Zにおいて第1のチャンバ110の2つの対向する端部にそれぞれ位置する第1の開口部OP1および第2の開口部OP2を有し得る。例えば、第1の開口部OP1は、第1の円形部112に属し、音入口として機能し、第2の開口部OP2は第1の矩形部114に属するが、これに限定されない。
図1において、第2のチャンバ120は、方向Zにおいて第2のチャンバ120の2つの対向する端部にそれぞれ位置する第3の開口部OP3および壁部WLを有し得る。例えば、第3の開口部OP3は第2の矩形部124に属し、壁部WLは第2の円形部122に属するが、これに限定されない。
【0028】
図1に示すように、音響インピーダンス測定システム100は、第1のチャンバ110の第1の開口部OP1(すなわち、音入口)に接続される音源130を含み、音源130は、第1の開口部OP1を通って第1のキャビティ110aおよび第2のキャビティ120aに向かって順次伝播する音を生成する。音源130は、要件(複数可)に基づいて設計され得る。
【0029】
図1に示すように、音響インピーダンス測定システム100は、チャンバ内の音圧(すなわち、音響波)をそれぞれ感知するための複数の音圧感知装置140を含み、音圧(すなわち、音響波)は、音源130によって引き起こされる。
図1において、音響インピーダンス測定システム100は、第1のチャンバ110内の音圧を感知するように構成された第1の音圧感知装置142と、第2のチャンバ120内の音圧を感知するように構成された第2の音圧感知装置144とを含む。例えば、第1の音圧感知装置142は、第1のチャンバ110の第1の円形部112に配置され、第2の音圧感知装置144は、第2のチャンバ120の第2の円形部122に配置され得るが、これに限定されない。
【0030】
方向Zにおいて、音響部品ACは、音響インピーダンス測定システム100によって音響部品ACの音響インピーダンスが測定されるために、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に配置される。
図1に示すように、音響部品ACの第1の側面SE1は、第1のチャンバ110の第1のキャビティ110aに接続されて面しており、音響部品ACの第2の側面SE2は、第2のチャンバ120の第2のキャビティ120aに接続されて面している。すなわち、音響部品ACの第1の側面SE1は、第1のチャンバ110の第1の開口部OP1(すなわち、音入口)および第2の開口部OP2に面しており、音響部品ACの第2の側面SE2は、第2のチャンバ120の壁部WLおよび第3の開口部OP3に面している。
【0031】
いくつかの実施形態では、
図1~
図3に示すように、音響部品ACは音響オブジェクトAO内に配置され(すなわち、音響オブジェクトAOは音響部品ACを含み)、音響オブジェクトAOは、音響部品ACをパッケージ化するパッケージ構造であり得る。
図1において、音響オブジェクトAOの第3の側面SE3は、第1のチャンバ110の第1のキャビティ110aに接続されて面しており、音響オブジェクトAOの第4の側面SE4は、第2のチャンバ120の第2のキャビティ120aに接続されて面している。すなわち、音響部品ACの第1の側面SE1と音響オブジェクトAOの第3の側面SE3とは同じ方向を向いており、音響部品ACの第2の側面SE2と音響オブジェクトAOの第4の側面SE4とは同じ方向を向いている。音響オブジェクトAOの第3の側面SE3は、第1のチャンバ110の第1の開口部OP1(すなわち、音入口)および第2の開口部OP2に面しており、音響オブジェクトAOの第4の側面SE4は、第2のチャンバ120の壁部WLおよび第3の開口部OP3に面している。
【0032】
音響オブジェクトAOを示す
図2および
図3に示すように、音響オブジェクトAOは、基板SBおよび被覆構造CSをさらに含み、音響部品ACは、基板SBと被覆構造CSとの間に配置される。例えば、
図1および
図2において、被覆構造CSは、音響部品ACと第1のチャンバ110との間にあり得、基板SBは、音響部品ACと第2のチャンバ120との間にあり得るが、これに限定されない。
【0033】
図2および
図3において、被覆構造CSは上部開口部OPtを有し、基板SBは下部開口部OPbを有する。
図1~
図3に示すように、方向Zにおいて、被覆構造CSの上部開口部OPtは、第1のチャンバ110の第2の開口部OP2に対応し得、基板SBの下部開口部OPbは、第2のチャンバ120の第3の開口部OP3に対応し得、音源130によって生成された音が、第1のチャンバ110、音響オブジェクトAO、および第2のチャンバ120を通過するようにする。
【0034】
基板SBは、要件(複数可)に基づいて設計され得る。基板SBは、硬質であっても可撓性であってもよく、基板SBは、シリコン、ゲルマニウム、ガラス、プラスチック、石英、サファイア、金属、ポリマー(例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET))、任意の他の適切な材料、またはそれらの組み合わせを含み得る。一例として、基板SBは、ラミネート(例えば、銅張積層板、CCL)、ランドグリッドアレイ(LGA)基板、または導電性材料を含む任意の他の適切な基板を含む回路基板であり得るが、これらに限定されない。
【0035】
図3に示すように、基板SBは、少なくとも1つの基板導電性構造CDBを有する。例えば、基板SBは、音響部品ACに電気的に接続されるように構成された複数の導電性パッドCPを有するが、これに限定されない。例えば、基板SBは、導電性リングCRを有するが、これに限定されない。
【0036】
被覆構造CSは、要件(複数可)に基づいて設計され得る。本発明では、被覆構造CSは、(
図2に示されるように)一体構造であってもよいし、複数のサブ構造から構成されてもよい。被覆構造CSは、金属、ガラス、シリコン、ゲルマニウム、プラスチック、ポリマー、またはそれらの組み合わせなどの任意の適切な材料を含み得るが、これに限定されない。
【0037】
図2および
図3に示すように、例えば、通気装置である音響部品ACでは、音響部品ACは、移動するように作動される膜MBを有する(例えば、膜MBは、膜MB上に配置されたアクチュエータによって移動するように作動される)。
図2および
図3において、膜MBは、少なくとも1つのスリットSLによって分割された複数のフラップ(例えば、フラップFP1およびフラップFP2)を有し、フラップFP1およびFP2は、フラップFP1とFP2との間の通気口のサイズを変更するように、方向Zに移動するように作動され得る。例えば、
図2および
図3に示す膜MBは、2つのフラップFP1、FP2が1つのスリットSLによって分割され得、スリットSLによって通気口が形成されるが、これに限定されない。
【0038】
いくつかの実施形態では、通気装置である音響部品ACは、複数のモードを有し得、異なるモードの通気口は、異なるサイズを有し得る。例えば、通気装置である音響部品ACは、3つのモードを有し得る。第1のモードでは、2つのフラップFP1およびFP2が作動され、第1の位置として維持されて、通気口を第1のサイズにし得る。いくつかの実施形態では、第1の位置は、基板SBに平行であり得、それにより、通気装置の通気口が、閉じられ、さらには密閉されるが、これに限定されない。第2のモードでは、2つのフラップFP1およびFP2は、反対方向に沿って移動するように作動されて、通気口を第2のサイズにし得る。いくつかの実施形態では、方向Zにおいて、1つのフラップ(例えば、フラップFP1)が第1の位置よりも上にあり、別のフラップ(例えば、フラップFP2)が第1の位置よりも下にあり、それにより、通気装置の通気口が開放されるが、これに限定されない。第3のモードでは、2つのフラップFP1およびFP2は、方向Zにおいて第1の位置よりも低くなるように作動されて、通気口を第3のサイズにし得る。いくつかの実施形態では、2つのフラップFP1およびFP2が基板SBに近接しており、それにより、通気装置の通気口が閉じられる。例えば、第1のサイズは第3のサイズよりも小さく、第3のサイズは第2のサイズよりも小さい。
【0039】
通気装置のモードは作動信号(すなわち、電気信号)によって制御され、膜MBの変位とアクチュエータに印加される作動信号とは適切な関係を有する。作動信号は、アクチュエータの2つの電極間の作動電圧および/または作動電圧差であり得る。例えば、膜MBの変位と作動信号とは線形関係を有し得る。例えば、第1のモードでは、2つのフラップFP1およびFP2を作動させる作動信号を15Vとして、通気口を第1のサイズにし得るが、これに限定されない。例えば、第2のモードでは、1つのフラップ(例えば、フラップFP1)を作動させる1つの作動信号を30Vとし、別のフラップ(例えば、フラップFP2)を作動させる別の作動信号を0Vとして、通気口を第2のサイズにし得るが、これに限定されない。例えば、第3のモードでは、2つのフラップFP1およびFP2を作動させる作動信号を0Vとして、通気口を第3のサイズにし得るが、これに限定されない。例えば、作動信号は、基板SBの導電性パッドCPを通して音響部品AC(例えば、アクチュエータ)に印加される。
【0040】
音響部品ACの音響インピーダンスおよび/または音響オブジェクトAOの音響インピーダンスは、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によって測定され得る。
図1に示すように、音が音源130によって生成され、第1のキャビティ110a、音響部品AC(または音響オブジェクトAO)、および第2のキャビティ120aに向かって伝播する状態では、第1の音圧感知装置142は、第1のチャンバ110内の音圧を感知し、第2の音圧感知装置144は、第2のチャンバ120内の音圧を感知し、第1の音圧感知装置142の感知結果および第2の音圧感知装置144の感知結果は、音響部品ACの音響インピーダンスおよび/または音響オブジェクトAOの音響インピーダンスに関連する。いくつかの実施形態では、音響インピーダンスは、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間の圧力差に関連する。第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144の感知結果は、音響部品ACの2つの側面(すなわち、音響部品ACの第1の側面SE1および第2の側面SE2)の圧力および/または音響オブジェクトAOの2つの側面(すなわち、音響部品ACの第3の側面SE3および第4の側面SE4)の圧力を表し得ることに留意されたい。
【0041】
音響インピーダンスは、音響質量に等しい音響インダクタンスと、音響コンプライアンスに等しい音響容量と、音響抵抗とを含む。音響質量(すなわち、音響インダクタンス)は、空気に作用する力によって加速される空気の質量の量として定義される(空気圧縮は無視される)。通常、音響質量(すなわち、音響インダクタンス)は、空気で満たされた断面S
1を有する管の状態で計算され、音響質量は、運動の第二法則(Newton’s second law)にしたがって計算される。運動の第二法則:
【数1】
では、M
mは移動する空気の質量、F
1(t)は空気質量に作用する力、v
p(t)は粒子速度である。式1によれば、音響質量(すなわち、音響インダクタンス)は、以下によって計算される:
【数2】
ここで、P
1(t)はF
1(t)を受ける空気質量M
mの瞬間差圧、v
A1(t)は体積速度、M
AはF
1(t)を受ける空気質量M
mの、断面S
1の2乗に対する比として定義される音響質量である(M
Aの単位は、キログラム毎メートル4乗(kg/m
4)である)。
【0042】
音響コンプライアンス(すなわち、音響容量)は、機械的コンプライアンスから導出される。機械的コンプライアンスCmは、機械システムの変位の要素の、この要素に作用する力に対する正比例の比率である(例えば、機械システムはばねである)。
【0043】
音響コンプライアンス(すなわち、音響容量)は、気体自体に加速を生じさせることなく、力によって圧縮された気体の体積VLの特性である。通常、音響コンプライアンス(すなわち、音響容量)は、体積VLと圧力変動の入口のための開口部とを含む箱の状態で計算される。上記機械的コンプライアンスC
mによれば、音響コンプライアンス(すなわち、音響容量)は、以下によって計算される:
【数3】
ここで、F
2(t)は、体積VLを圧縮する力、X(t)は変位、S
2は体積VLの断面、P
2(t)は体積VLに作用する瞬間圧力、v
A2(t)は圧力P
2(t)を受ける体積VLに流入する空気の体積速度、C
Aは圧縮を受ける体積VLの音響コンプライアンスである(C
Aの単位は、メートル5乗毎ニュートン(m
5/N)である)。
【0044】
音響抵抗は、機械抵抗から導出される。機械抵抗Rmは、機械システムの要素に作用する力の、この要素の機械的速度に対する正比例の比率である(例えば、機械システムはダッシュポットである)。
【0045】
音響抵抗は、この要素を通る空気の流れによる損失を引き起こす特性である。例えば、損失の主な原因は、細かいメッシュスクリーンまたは非常に小さい断面を有する管を通る空気の粘性運動である。上記機械抵抗R
mによれば、音響抵抗は、以下によって計算される:
【数4】
ここで、S
3は要素の断面、F
3(t)は要素の断面S
3を流れる空気に作用する力、v
p(t)は要素の断面S
3を通過する粒子速度、v
A3(t)は要素の断面S
3を通過する空気の体積速度、P
3(t)は空気に作用する圧力、R
Aは要素の断面S
3を通過する空気の粘性摩擦による音響抵抗である(R
Aの単位は、ニュートン秒毎メートル5乗(Ns/m
5))。
【0046】
いくつかの実施形態では、音響部品AC(例えば、上述の通気装置)の構造によれば、音響部品ACの音響インピーダンスは、音響インダクタンスおよび音響抵抗を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、音響オブジェクトAOの構造にしたがって、音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスは、音響インダクタンスおよび音響抵抗を含み得る。
【0047】
図4を参照すると、
図4は、本発明の一実施形態による音響オブジェクトを有する音響インピーダンス測定システムの等価回路を示す概略図であり、音響オブジェクトAOを有する音響インピーダンス測定システム100の等価回路EC1は、音響部品ACおよび/または音響オブジェクトAOのタイプに応じて変更され、
図4に示す等価回路EC1は例示的な例である。
図4に示すように、音響インピーダンス測定システム100の等価回路EC1において、音響オブジェクトAOは、直列に接続された第1のインダクタL1、第1の抵抗R1、第1の抵抗L2、および第2の抵抗R2と等価であり、音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスは、第1のインダクタL1によって生じる第1の音響インダクタンスと、第1の抵抗R1によって生じる第1の音響抵抗と、第1の抵抗L2によって生じる第2の音響インピーダンスと、第2の抵抗R2によって生じる第2の音響抵抗との和である。
図4において、音響部品ACは、直列に接続された第1のインダクタL1および第1の抵抗R1と等価であり得、音響部品ACの音響インピーダンスは、第1の音響インダクタンスと第1の音響抵抗との和であり得る。
図4において、音響オブジェクトAO内の音響部品AC以外の構造(例えば、基板SBおよび被覆構造CS)は、直列に接続された第1の抵抗L2および第2の抵抗R2と等価であり、この構造の音響インピーダンスは、第2の音響インダクタンスと第2の音響抵抗との和である。
【0048】
通気装置である音響部品ACは複数のモードを有するので、異なるモードの音響部品ACは異なる音響インピーダンスを有し得る。すなわち、音響部品ACのモードが変更されると、第1の音響インダクタンスおよび/または第1の音響抵抗が変更され得る。
【0049】
図1および
図4に示すように、第1のチャンバ110は、等価回路EC1内の第1のキャパシタC1と等価であり得、第1のチャンバ110の音響インピーダンスは、第1のキャパシタC1によって生じる第1の音響容量であり得る。
図1および
図4に示すように、第2のチャンバ120は、等価回路EC1内の第2のキャパシタC2と等価であり得、第2のチャンバ120の音響インピーダンスは、第2のキャパシタC2によって生じる第2の音響容量であり得る。第1の音響容量の値は、第1のチャンバ110内の第1のキャビティ110aの体積に関連(比例)し得、第2の音響容量の値は、第1のチャンバ110内の第2のキャビティ120aの体積に関連(比例)し得る。
図1および
図4に示すように、等価回路EC1において、音源130は電圧源Vsと等価であり、音源130によって生成される音の音圧は入力電圧と等価である。
図1および
図4に示すように、等価回路EC1において、第1の音圧感知装置142によって感知される音圧は、
図4に示す電圧V1と等価であり、第2の音圧感知装置144によって感知される音圧は、
図4に示す電圧V2と等価であり得る。
【0050】
音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスは、
図4に示す等価回路EC1にしたがって計算され得る。例えば、音源130によって生成された音の音圧(すなわち、
図4の電圧源Vsの入力電圧)、第1のチャンバ110内の第1のキャビティ110aの体積(すなわち、第1の音響容量)、および第2のチャンバ120内の第2のキャビティ120aの体積(すなわち、第2の音響容量)は既知であり、第1のチャンバ110内の音圧(すなわち、
図4の電圧V1)および第2のチャンバ120内の音圧(すなわち、
図4の電圧V2)は測定プロセスにおいて感知されるので、音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンス(すなわち、第1の音響インダクタンスと、第1の音響抵抗と、第2の音響インピーダンスと、第2の音響抵抗との和)はキルヒホッフの電流法則(KCL)によって計算され得るが、これに限定されない。
【0051】
図5および
図6を参照すると、
図5は、本発明の一実施形態によるダミーオブジェクトを示す概略図であり概略図であり、
図6は、本発明の一実施形態によるダミーオブジェクトを有する音響インピーダンス測定システムの等価回路を示す概略図である。音響部品ACの音響インピーダンスを正確に測定するために、
図5に示すように、ダミーオブジェクトDOが提供され、ダミーオブジェクトDOは、音響部品ACを除く音響オブジェクトAO内のすべての構造を含む(すなわち、ダミーオブジェクトDOの下部開口部OPb_Dを有する基板SB_Dおよび上部開口部OPt_Dを有する被覆構造CS_Dは、それぞれ、音響オブジェクトAOの基板SBおよび被覆構造CSと同じである)。すなわち、
図4および
図6に示すように、ダミーオブジェクトDOは、直列に接続された第1の抵抗L2および第2の抵抗R2と等価であり、ダミーオブジェクトDOの音響インピーダンスは、第2の音響インダクタンスと第2の音響抵抗との和である。
図5に示すように、ダミーオブジェクトDOは、基板SB_Dおよび被覆構造CS_Dを少なくとも含む。
【0052】
図1に示す音響オブジェクトAOが
図5に示すダミーオブジェクトDOによって置き換えられる場合、音響部品ACは存在せず、
図4に示す音響オブジェクトAOを有する音響インピーダンス測定システム100の等価回路EC1は、
図6に示すダミーオブジェクトDOを有する音響インピーダンス測定システム100の等価回路EC2によって置き換えられる。
図4に示す等価回路EC1と比較して、
図6に示す等価回路EC2は、ダミーオブジェクトDOに相当する第1の抵抗L2および第2の抵抗R2を有し、
図6に示す等価回路EC2は、音響部品ACに相当する第1のインダクタL1および第1の抵抗R1を有さない。
【0053】
ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスは、
図6に示す等価回路EC2にしたがって計算され得る。例えば、音源130によって生成された音の音圧(すなわち、
図6の電圧源Vsの入力電圧)、第1のチャンバ110内の第1のキャビティ110aの体積(すなわち、第1の音響容量)、および第2のチャンバ120内の第2のキャビティ120aの体積(すなわち、第2の音響容量)は既知であり、第1のチャンバ110内の音圧(すなわち、
図6の電圧V1)および第2のチャンバ120内の音圧(すなわち、
図6の電圧V2)はダミー測定プロセスで感知されるので、ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンス(すなわち、第2の音響インダクタンスと第2の音響抵抗との和)はキルヒホッフの電流法則によって計算され得るが、これに限定されない。
【0054】
上記によれば、音響部品ACの音響インピーダンス(すなわち、第1の音響インダクタンスと第1の音響抵抗との和)は、ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスと音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスとによって得られる。例えば、音響部品ACの音響インピーダンス(すなわち、第1の音響インダクタンスと第1の音響抵抗との和)は、音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスからダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスを減算することによって得られるが、これに限定されない。
【0055】
本発明では、音響インピーダンス測定システム100は、任意の適切な電子装置を含み得る。いくつかの実施形態では、音響インピーダンス測定システム100は、第1のチャンバ110および第2のチャンバ120の外側に配置される信号処理装置を含み得、信号処理装置は、信号を提供し、信号を受信し、および/または信号を分析するように構成される。信号処理装置は、任意の適切な装置であり得る。例えば、信号処理装置は、コンピュータであり得るが、これに限定されない。
【0056】
信号処理装置は、音源130、第1の音圧感知装置142、および第2の音圧感知装置144に電気的に接続され得、信号処理装置は、音源130に音を生成させるために音源130にオーディオ信号を提供し得、信号処理装置は、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によって生成された感知信号を受信し、分析し得る。例えば、信号処理装置は、音源130にオーディオ信号を提供するように構成されたオーディオ信号提供装置を含み得るが、これに限定されない。例えば、信号処理装置は、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によって生成された感知信号を受信して分析するように構成された分析器を含み得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、音響インピーダンス測定システム100は、音響部品ACに電気的に接続されたモード変更装置を含み得、モード変更装置は、対応する信号(複数可)を提供することによって音響部品ACのモード(例えば、音響オブジェクトAOのモード)を制御するように構成される。例えば、モード変更装置は、導電性パッド(複数可)CPを通して音響部品ACに電気的に接続されるが、これに限定されない。例えば、モード変更装置は、信号処理装置に統合され得るが、これに限定されない。
【0058】
音響部品ACの音響インピーダンスが測定されるとき、モード変更装置は、音響部品ACのモードを変更し得る(音響部品ACおよび/または音響オブジェクトAOは、3つのモードのうちの1つに切り替えられ得る)。したがって、音響インピーダンス測定システム100は、異なるモードで音響部品ACの音響インピーダンスを測定し得る。
【0059】
音響インピーダンス測定システム100は、任意の適切な方法で達成され得る。
図7および
図8を参照すると、
図7および
図8は、本発明の例示的な例による音響インピーダンス測定システムを示す概略図であり、
図7では、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120とが互いに切り離されており、
図8では、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120とが互いに接続されている。
図7および
図8に示すように、音響インピーダンス測定システム100は、第1のブロック状構造BK1および第2のブロック状構造BK2を含み得、第1のブロック状構造BK1は第1のチャンバ110を含み、第2のブロック状構造BK2は第2のチャンバ120を含む。さらに、音響インピーダンス測定システム100は、第1のブロック状構造BK1が配置されるベースBSEを含み得る。
【0060】
図7および
図8において、音響インピーダンス測定システム100は、第1のブロック状構造BK1および/または第2のブロック状構造BK2を移動させるチャンバ位置変更構造PCSを含み得、チャンバ位置変更構造PCSは、第1のブロック状構造BK1および第2のブロック状構造BK2を互いに近づけたり互いに遠ざけたりし得る(すなわち、チャンバ位置変更構造PCSは、第1のチャンバ110および第2のチャンバ120を互いに近づけたり互いに遠ざけたりし得る)。例えば、
図7および
図8において、チャンバ位置変更構造PCSは、第2のブロック状構造BK2を移動させるが、これに限定されない。
【0061】
いくつかの実施形態では、第1のブロック状構造BK1および第2のブロック状構造BK2(すなわち、第1のチャンバ110および第2のチャンバ120)が切り離されているとき、第1のブロック状構造BK1と第2のブロック状構造BK2との間に、音響部品AC、音響オブジェクトAO、またはダミーオブジェクトDOが配置され得る。第1のブロック状構造BK1と第2のブロック状構造BK2との間に音響部品AC、音響オブジェクトAO、またはダミーオブジェクトDOが配置された(例えば、第1のブロック状構造BK1上に配置された)後、チャンバ位置変更構造PCSは、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120とを互いに近づけて、第1のチャンバ110および第2のチャンバ120を互いに接続させる。
【0062】
さらに、第1のブロック状構造BK1および/または第2のブロック状構造BK2は、音響部品ACに電気的に接続されるように構成された少なくとも1つの導電性構造を有し得る。例えば、第2のブロック状構造BK2は、少なくとも1つの導電性構造を有し、モード変更装置が第2のブロック状構造BK2の導電性構造(複数可)および基板SBの導電性パッド(複数可)CPを通して音響部品ACに電気的に接続されるようにし得るが、これに限定されない。
【0063】
以下では、音響インピーダンス測定方法の詳細をさらに例示的に説明する。
【0064】
図9を参照すると、
図9は、本発明の一実施形態による音響インピーダンス測定方法のフローチャートを示す概略図である。
図9に示すフローチャートは例示的なものであることを理解されたい。いくつかの実施形態では、ステップのうちのいくつかは、同時に、または
図9に示されるものと異なる順序で行われてもよい。いくつかの実施形態では、
図9に示される音響インピーダンス測定方法200の既存のステップのうちの1つのステップの前または後に、任意の他の適切なステップが追加されてもよい。以下の内容について、
図9を参照して音響インピーダンス測定方法200を説明する。ただし、音響インピーダンス測定方法200は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0065】
図9のステップST1において、音響インピーダンス測定システム100が提供される。音響インピーダンス測定システム100については上述されており、これらの内容の重複説明は省略される。
【0066】
図9のステップST2では、ダミーオブジェクトDOに対してダミー測定プロセスが実行される。ダミーオブジェクトDOについては上述されており、これらの内容の重複説明は省略される。
【0067】
ダミー測定プロセスでは、ダミーオブジェクトDOは、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に配置される。例えば、
図7および
図8に示す音響インピーダンス測定システム100では、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間にダミーオブジェクトDOが配置された後に、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120とを互いに近接させる。次いで、音源130によって音が生成されるときに、第1のチャンバ110内の第1のダミー音圧および第2のチャンバ120内の第2のダミー音圧が、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によってそれぞれ感知され、ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスが、第1のダミー音圧および第2のダミー音圧にしたがって取得される。
【0068】
図9のステップST3では、音響オブジェクトAOに対して少なくとも1つの測定プロセスが実行される。音響オブジェクトAOについては上述されており、これらの内容の重複説明は省略される。通気装置である音響部品ACは、第1のモード、第2のモードおよび第3のモードを有するので、第1の測定プロセスは、第1のモードを有する音響オブジェクトAO(すなわち、音響部品ACは第1のモードである)に対して実行され、第2の測定プロセスは、第2のモードを有する音響オブジェクトAO(すなわち、音響部品ACは第2のモードである)に対して実行され、第3の測定プロセスは、第3のモードを有する音響オブジェクトAO(すなわち、音響部品ACは第3のモードである)に対して実行される。
【0069】
第1の測定プロセスでは、音響オブジェクトAOは、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に配置される。例えば、
図7および
図8に示す音響インピーダンス測定システム100では、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120との間に音響オブジェクトAOが配置された後、第1のチャンバ110と第2のチャンバ120とが互いに近接する。次いで、音源130によって音が生成されるときに、第1のチャンバ110内の第1の音圧および第2のチャンバ120内の第2の音圧が、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によってそれぞれ感知され、第1のモードを有する音響オブジェクトAOの第1の総合的な音響インピーダンスが、第1の音圧および第2の音圧にしたがって取得される。
【0070】
第2の測定プロセスでは、音源130によって音が生成されるときに、第1のチャンバ110内の第3の音圧および第2のチャンバ120内の第4の音圧が、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によってそれぞれ感知され、第2のモードを有する音響オブジェクトAOの第2の総合的な音響インピーダンスが、第3の音圧および第4の音圧にしたがって取得される。
【0071】
第3の測定プロセスでは、音が音源130によって生成されるときに、第1のチャンバ110内の第5の音圧および第2のチャンバ120内の第6の音圧が、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によってそれぞれ感知され、第3のモードを有する音響オブジェクトAOの第3の総合的な音響インピーダンスが、第5の音圧および第6の音圧にしたがって取得される。
【0072】
図9のステップST4では、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144によって生成された感知信号を分析して、音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンス、ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンス、および音響部品ACの音響インピーダンスを取得する。ダミーオブジェクトDOでは、ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスは、第1のダミー音圧および第2のダミー音圧にしたがって取得される。音響オブジェクトAOでは、第1のモードを有する音響オブジェクトAOの第1の総合的な音響インピーダンスは、第1の音圧および第2の音圧にしたがって取得され、第2のモードを有する音響オブジェクトAOの第2の総合的な音響インピーダンスは、第3の音圧および第4の音圧にしたがって取得され、第3のモードを有する音響オブジェクトAOの第3の総合的な音響インピーダンスは、第5の音圧および第6の音圧にしたがって取得される。ダミーオブジェクトDOのダミー音響インピーダンスの計算および音響オブジェクトAOの総合的な音響インピーダンスの計算については上述されており、これらの内容の重複説明は省略されることに留意されたい。
【0073】
音響部品ACにおいて、第1のモードを有する音響部品ACの第1の音響インピーダンスは、第1の総合的な音響インピーダンスおよびダミー音響インピーダンスにしたがって取得され、第2のモードを有する音響部品ACの第2の音響インピーダンスは、第2の総合的な音響インピーダンスおよびダミー音響インピーダンスにしたがって取得され、第3のモードを有する音響部品ACの第3の音響インピーダンスは、第3の総合的な音響インピーダンスおよびダミー音響インピーダンスにしたがって取得される。音響部品ACの音響インピーダンスの計算については上述されている。例えば、第1の音響インピーダンスは、第1の総合的な音響インピーダンスからダミー音響インピーダンスを減算することによって取得され、第2の音響インピーダンスは、第2の総合的な音響インピーダンスからダミー音響インピーダンスを減算することによって取得され、第3の音響インピーダンスは、第3の総合的な音響インピーダンスからダミー音響インピーダンスを減算することによって取得されるが、これに限定されない。
【0074】
図10および
図11を参照すると、
図10は、本発明の一実施形態による第1のモードを有する音響部品の第1の音響インピーダンスの測定誤差を示す概略図であり、
図11は、本発明の一実施形態による第2のモードを有する音響部品の第2の音響インピーダンスの測定誤差を示す概略図であり、
図10および
図11は、音響抵抗の測定誤差および音響インダクタンスの測定誤差を示す。
図10に示す測定誤差は、測定用の第1の音響インピーダンスおよびシミュレーション用の第1の音響インピーダンスに関連し、
図11に示す測定誤差は、測定用の第2の音響インピーダンスおよびシミュレーション用の第2の音響インピーダンスに関連する。測定用の音響インピーダンスは、本発明の音響インピーダンス測定システム100(例えば、
図7および
図8に示す音響インピーダンス測定システム100)および音響インピーダンス測定方法200によって取得され、シミュレーション用の音響インピーダンスは、任意の適切なシミュレーションソフトウェアによってシミュレートされる。本発明では、測定誤差は、測定用の音響インピーダンスとシミュレーション用の音響インピーダンスとの差の、シミュレーション用の音響インピーダンスに対する比である。
【0075】
本発明では、ヘルムホルツ共振が音響インピーダンス測定システム100のチャンバ(複数可)内で観察され得、ヘルムホルツ共振は、音響インピーダンスの測定に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、ヘルムホルツ共振が発生するとき、第1のチャンバ110および第2のチャンバ120が共振することがあり、その結果、第1の音圧感知装置142および第2の音圧感知装置144の感知結果は、音響部品ACの2つの側面(すなわち、音響部品ACの第1の側面SE1および第2の側面SE2)の圧力、および/または音響オブジェクトAOの2つの側面(すなわち、音響部品ACの第3の側面SE3および第4の側面SE4)の圧力を表すことができず、それによって測定誤差が増大する。例えば、
図7および
図8に示す音響インピーダンス測定システム100および
図10および
図11に示す測定誤差では、ヘルムホルツ共振周波数は、2000Hz~3000Hzの範囲であり得るが、これに限定されない。例えば、ヘルムホルツ共振周波数は、第1のキャビティ110aの体積および第2のキャビティ120aの体積を減少させることによって増加させることができるが、これに限定されない。
【0076】
図10および
図11に示すように、音源130によって生成された音の周波数がヘルムホルツ共振周波数未満(例えば、2000Hz未満)であるとき、音響インピーダンスの測定誤差は、20%、15%、10%または5%未満であり得るが、これに限定されない。
【0077】
つまり、音響インピーダンス測定システムおよび音響インピーダンス測定方法が提供されるので、音響部品の音響インピーダンスが測定されることになる。
【0078】
当業者は、本発明の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更を行うことができることを容易に認識するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。