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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074240
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/10 20060101AFI20240523BHJP
   B60R 16/027 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
B62D1/10
B60R16/027 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127679
(22)【出願日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2022184535
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DB13
(57)【要約】
【課題】把持部に当たる光の割合を、高くすることができる第1光照射部を備えるステアリング装置の技術の提供。
【解決手段】移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、回転部に接続されており回転部をはさんで対称に構成される把持部とを備え、回転部は、把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する光照射部を備え、光照射部は予め定められた角度範囲で光を射出する発光素子と発光素子が射出する光の角度範囲を狭めるレンズとを備え、把持部のうち光が射出される少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、光照射部が射出する光の光軸の方向と第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、光軸と第1方向とを含む面を第1面とし、光軸と第2方向とを含む面を第2面としたとき、レンズは、第1面内における角度範囲である第1角度範囲が第2面内における角度範囲である第2角度範囲よりも大きくなるように発光素子が射出する光の角度範囲を狭める。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられるステアリング装置であって、
移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、
ユーザによって把持される把持部であって、前記回転部に接続されており、前記回転部をはさんで対称に構成される把持部と、を備え、
前記回転部は、前記把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する第1光照射部を備え、
前記第1光照射部は、
予め定められた角度範囲で光を射出する発光素子と、
前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭めるレンズと、を備え、
前記把持部のうち前記光が射出される前記少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、前記第1光照射部が射出する光の光軸の方向と前記第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、前記光軸と前記第1方向とを含む面を第1面とし、前記光軸と前記第2方向とを含む面を第2面としたとき、
前記レンズは、前記第1光照射部が射出する前記光の前記第1面内における角度範囲である第1角度範囲が、前記第1光照射部が射出する前記光の前記第2面内における角度範囲である第2角度範囲よりも大きくなるように、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭める、ステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態において、
前記レンズは、前記レンズに入射した光を反射させることにより前記光の角度範囲の前方の一端を画定する反射面を備え、
前記第2面内において、前記第2角度範囲で射出される前記光のうち前方の端の光は、前記把持部に当たる、ステアリング装置。
【請求項3】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記レンズは、入射する光の光軸の向きを、前記把持部に向かう向きに変えて射出するように構成されている、ステアリング装置。
【請求項4】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記把持部は、前記回転部の周りを囲むように配されており、
前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態において、
前記第1光照射部は、前記回転部が基準の角度位置にあるとき、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に対して光を照射するように構成されている、ステアリング装置。
【請求項5】
請求項4記載のステアリング装置であって、
前記第1光照射部が射出する光は、前記光軸から離れた角度位置であるほど強度が低下する強度分布を備え、
前記回転部は、さらに、前記第1光照射部と同じ構成を備える第2光照射部を備え、
前記第1光照射部と前記第2光照射部とは、
それぞれが射出した光の一部が重複し、
前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態であって、前記回転部が基準の角度位置にあるとき、前記重複した光が、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されている、ステアリング装置。
【請求項6】
請求項1に記載のステアリング装置であって、
前記ステアリング装置は、自動運転または前記ユーザによる手動運転が可能な車両内に取り付けられ、
前記回転部は、さらに、前記第1光照射部と同じ構成を備える第2光照射部を備え、
前記ステアリング装置は、さらに、
前記第1光照射部と前記第2光照射部とを制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記車両が前記自動運転から前記手動運転に移行するときに、前記第1光照射部と前記第2光照射部から交互に前記光を射出させる、ステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体に設けられるステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、車両のステアリングホイールのパッド部とスポーク部に装着されたLEDによって、ステアリングホイールに可視光を照射するステアリングホイール照明装置が開示されている。運転手がステアリングホイールに照射された光を視認することにより、車両が自動運転から手動運転に移行する際に、運転手にステアリングホイールのホイール部を把持するように促すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-111440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ステアリング装置の、車両の前後方向における寸法は、車両の左右方向における寸法よりも小さい。特許文献1の技術においては、車両の左右方向においてホイール部をある程度以上の輝度で照らすことができるLEDで、ホイール部に光を照射すると、ホイール部に当たらなかった光がホイール部の前後を通過する。すなわち、LEDが消費するエネルギーが、ホイール部の照射に効率的に使用されない。そのため、ホイール部に対して入射する光の割合を高めることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、ステアリング装置が提供される。このステアリング装置は、移動体に設けられるステアリング装置であって、移動体に対して回転可能に取り付けられる回転部と、ユーザによって把持される把持部であって、前記回転部に接続されており、前記回転部をはさんで対称に構成される把持部と、を備え、前記回転部は、前記把持部の少なくとも一部に向かって光を射出する第1光照射部を備え、前記第1光照射部は、予め定められた角度範囲で光を射出する発光素子と、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭めるレンズと、を備え、前記把持部のうち前記光が射出される前記少なくとも一部が伸びている方向を第1方向とし、前記第1光照射部が射出する光の光軸の方向と前記第1方向とに垂直な方向を第2方向とし、前記光軸と前記第1方向とを含む面を第1面とし、前記光軸と前記第2方向とを含む面を第2面としたとき、前記レンズは、前記第1光照射部が射出する前記光の前記第1面内における角度範囲である第1角度範囲が、前記第1光照射部が射出する前記光の前記第2面内における角度範囲である第2角度範囲よりも大きくなるように、前記発光素子が射出する前記光の前記角度範囲を狭める。
このような態様においては、第1角度範囲が第2角度範囲と等しい態様や、第1角度範囲が第2角度範囲よりも小さい態様に比べて、第1光照射部から射出される光のうち把持部に当たる光の割合を、高くすることができる。
(2)上記形態のステアリング装置において、前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態において、前記レンズは、前記レンズに入射した光を反射させることにより前記光の角度範囲の前方の一端を画定する反射面を備え、前記第2面内において、前記第2角度範囲で射出される前記光のうち前方の端の光は、前記把持部に当たってもよい。
このような態様においては、第2角度範囲で射出される光のうち前方の端の光が把持部を通り過ぎることなく、把持部に当たる。そのため、第2角度範囲で射出される光において、把持部に当たる光の割合を、さらに高くすることができる。
(3)上記形態のステアリング装置において、前記レンズは、入射する光の光軸の向きを、前記把持部に向かう向きに変えて射出するように構成されていてもよい。
このような態様においては、第1光照射部によって射出された光の光軸の向きが、把持部に向かう向きとは異なる向きとなるように第1光照射部が配置された場合であっても、光を把持部に入射させることができる。移動体の内部における、第1光照射部の配置の自由度が高まる。
(4)上記形態のステアリング装置において、前記把持部は、前記回転部の周りを囲むように配されており、前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態において、前記第1光照射部は、前記回転部が基準の角度位置にあるとき、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に対して光を照射するように構成されていてもよい。
このような態様においては、回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に光が照射されることで、回転部に対して鉛直方向の下側に位置する部分に光が照射される態様に比べて、ユーザが把持部において反射した光を視認しやすくなる。
(5)上記形態のステアリング装置において、前記第1光照射部が射出する光は、前記光軸から離れた角度位置であるほど強度が低下する強度分布を備え、前記回転部は、さらに、前記第1光照射部と同じ構成を備える第2光照射部を備え、前記第1光照射部と前記第2光照射部とは、それぞれが射出した光の一部が重複し、前記ステアリング装置が前記移動体に取りつけられた状態であって、前記回転部が基準の角度位置にあるとき、前記重複した光が、前記把持部のうち、前記回転部に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されていてもよい。
このような態様においては、第1光照射部および第2光照射部は、光軸に近い角度位置であるほど、光の強度が大きく、光軸から遠ざかるにつれて強度が小さくなる。光が照射される部位が重複することによって、ユーザによって光が視認されやすくなる。
(6)上記形態のステアリング装置において、前記ステアリング装置は、自動運転または前記ユーザによる手動運転が可能な車両内に取り付けられ、前記回転部は、さらに、前記第1光照射部と同じ構成を備える第2光照射部を備え、前記ステアリング装置は、さらに、前記第1光照射部と前記第2光照射部とを制御する制御部を備え、前記制御部は、前記車両が前記自動運転から前記手動運転に移行するときに、前記第1光照射部と前記第2光照射部から交互に前記光を射出させてもよい。
このような態様においては、第1光照射部と、第2光照射部のそれぞれによって、光が交互に照射されることで、把持部において、交互に点滅させることができる。これにより、ユーザが把持部の光に注意を払っていない状態においても、ユーザが光を気づきやすくなる。
本開示は、上述したステアリング装置としての形態以外にも、例えば、ステアリング装置の製造方法や、ステアリング装置を搭載した車両などの種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のステアリング装置が搭載された車両を示す説明図。
図2】ステアリング装置を示す説明図。
図3】把持部と回転部との接続を説明する図。
図4図3をX軸の正方向に向かって見た図。
図5】第1光照射部の構成を示す説明図。
図6】第1実施形態のレンズを示す説明図。
図7図2のVII-VII断面の一部を表した図。
図8】強度分布を説明する図。
図9】制御部を示す説明図。
図10】第2実施形態のレンズを説明する図。
図11】第2実施形態のレンズを第1方向の負方向側に向かって見た図。
図12】第2実施形態の第2光照射部の光が把持部に当たっている状態を示す図。
図13】第3実施形態の第1光照射部の配置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A1.第1実施形態の構成:
図1は、第1実施形態のステアリング装置1が搭載された車両VWを示す説明図である。図1において、互いに直行するX軸、Y軸、Z軸を示している。X軸は、車両VWの左右方向である。紙面の手前から奥側に向かう向きが、X軸の正方向である。Z軸は、第1実施形態のステアリング装置1によって回転される回転軸ARが伸びる方向と平行な方向である。回転軸ARについては、後に説明する。Y軸は、X軸、Z軸と直交する方向である。後述する図2ないし図4、および図7図12図13においても同様である。また、図1において、鉛直方向の向きがVU軸で表されている。鉛直方向の上向きが、VU軸の正方向である。
【0009】
本実施形態の車両VWは、自動運転または運転手DRによる手動運転が可能である。車両VWは、測距装置RFと、シートSEと、車両制御部VCと、ステアリング装置1と、を備えている。測距装置RFとステアリング装置1は、それぞれ車両制御部VCと電気的に接続しており、互いに信号を送受信することが可能である。
【0010】
測距装置RFは、車両VWの前方の他車両との距離を取得する。測距装置RFは、取得した距離のデータを、車両制御部VCに送信する。測距装置RFとして、ソナーが使用されている。なお、測距装置RFとして、ミリ派レーダやLIDARセンサ等が使用されることが可能である。
【0011】
シートSEは、運転手DRが車両VWを操舵する際に着席する部分である。シートSEは、ヘッドレストHDを備えている。ヘッドレストHDは、運転手DRが頭をもたれさせる部分である。ヘッドレストHDは、シートSEの鉛直方向の上部分において配置されている。
【0012】
車両制御部VCは、他車両の、予め定められた時間内における車両VWに対する相対的な移動距離に基づいて、他車両の速度を算出する。車両制御部VCは、他車両の速度が予め定められた数値よりも大きくなった場合に、後述する制御部30に、他車両が発進したことを示す信号である先行車発進信号を送信する。
【0013】
また、車両制御部VCは、無線ネットワーク通信によって自動運転が可能な道路の区間を取得する。車両VWが自動運転を行っており、運転手DRによって運転される必要がある道路の区間に、予め定められた距離近づいたときは、車両制御部VCは、後述する制御部30に、車両VWが自動運転から手動運転に移行すべきであることを示す信号である、手動運転移行信号を送信する。
【0014】
図2は、ステアリング装置1を示す説明図である。図2は、図1のステアリング装置1を、Z軸の正方向に向かって見た図である。図2において、ステアリング装置1を簡略化した図を示している。また、図2において、理解の容易のために、回転部20にハッチングを付している。後述する図3および図4においても同様である。ステアリング装置1は、車両VWのユーザである運転手DRによって把持される(図1参照)。ステアリング装置1は、運転手DRによって操作されることで、車両VWの操舵を実現する装置である。
【0015】
図1に示すように、ステアリング装置1は、車両VWのフロントFRO内部の回転軸ARと接続している(図1の破線部分参照)。回転軸ARを介して、ステアリング装置1は、車両VWに取り付けられている。回転軸ARは、図示しない車両VWのトルクセンサに回転を伝える。ステアリング装置1は、図2に示す把持部10と、回転部20と、制御部30と、を備える。図2において、制御部30の図示を省略している。
【0016】
把持部10は、運転手DRによって把持される部位である。把持部10は、回転部20をはさんで対称に構成されている。把持部10は、把持部10の内周側において、回転部20と接続している。本実施形態において、把持部10は、略環状の形状を有している。把持部10は、Z軸の正方向側に向かって見たとき、回転軸ARの周りを囲むように配されている。なお、図2において、回転軸ARの図示を省略している。
【0017】
図3は、把持部10と回転部20との接続を説明する図である。図2および図3に示すように、把持部10は、芯金部11と、被覆部12を備えている。図3に示すように、芯金部11は、回転部20と接続する部位である。芯金部11は、環状の形状を有している。芯金部11は、回転部20をはさんで対称に構成されている。芯金部11の素材として、アルミニウム合金が使用されている。
【0018】
図2に示す被覆部12は、芯金部11を覆うことで、芯金部11を保護している。また、被覆部12は、回転部20の一部を覆っている。被覆部12は、第1被覆部121と、第2被覆部122を備えている。図2において、第2被覆部122のみを図示し、第1被覆部121の図示を省略している。第1被覆部121は、芯金部11を覆う。また、第1被覆部121は、回転部20の一部を覆う。第1被覆部121は、第2被覆部122によって覆われている。第1被覆部121は、軟質の合成樹脂によって形成されている。本実施形態においては、合成樹脂として、発泡ポリウレタンが使用されている。第2被覆部122は、第1被覆部121を覆う。本実施形態においては、第2被覆部122の素材として、革が使用されている。
【0019】
回転部20は、車両VWに対して、回転可能に取り付けられる。具体的には、回転部20は、回転軸ARが後述する固定穴部211に通ることで、車両VWに対して、回転可能に取り付けられる。また、図3に示すように、回転部20は、把持部10と接続している。回転部20の対称面が、鉛直方向であるVU方向を含む回転部20の位置を、「回転部20の基準の角度位置」とする。図3において、回転部20が回転部20の基準の角度位置にある状態を表している。図3に示すように、回転部20が運転手DRによって回転されていない状態において、回転部20は、Y軸とZ軸を含む面に対して対称である。回転部20は、固定部21と、パッド部22と、収容空間SPと、第1光照射部23と、第2光照射部24と、を備えている。
【0020】
固定部21は、把持部10と接続する部位である。固定部21は、固定部21の中心に形成された穴である固定穴部211に、車両VWのフロントFRO内の回転軸ARを通す。なお、図3において回転軸ARの図示を省略している。回転軸ARの周りを、固定部21が回転することが可能である。
【0021】
図4は、図3をX軸の正方向に向かって見た図である。図4において、ステアリング装置1の形状を直線で表している。図4に示すように、固定部21は、把持部10の中心から離れる方向であって、運転手DRから離れる方向であるZ軸の正方向側に突出している。図3に示すように、固定部21は、中心に、上述した固定穴部211が形成されている。固定部21の素材として、アルミニウム合金が使用される。
【0022】
パッド部22は、固定部21の一部を覆うことで、固定部21の一部を保護している。パッド部22は、固定部21と接着されることによって、固定部21に固定されている。パッド部22は、パッド穴部222と、第1照射用穴部223と、第2照射用穴部224を備える。
【0023】
図3に示すように、パッド穴部222は、固定穴部211よりも大きい穴である。パッド穴部222は、パッド部22の中央に形成されている。図4に示すように、パッド穴部222に、固定穴部211を形成している固定部21の部分が通される。
【0024】
図3に示す第1照射用穴部223は、後述する第1光照射部23が射出した光が通過する穴である。第2照射用穴部224は、後述する第2光照射部24が射出した光が通過する穴である。
【0025】
収容空間SPは、パッド部22の内側に形成される空間である。収容空間SPは、図示しないエアバックやインフレーターが収容される。また、収容空間SPには、第1光照射部23と、第2光照射部24が収容されている。なお、図示はしていないが、ステアリング装置1には、収容空間SPを覆うカバーが備えられている。これにより、収容空間SPに収容されている部品を、外部の衝撃から保護することができる。
【0026】
図2および図3に示すように、第1光照射部23は、把持部10に向かって光RL1を射出する。図2および図3において、光RL1の一部を表している。図3において、光RL1にハッチングを付している。図4においても同様である。図3に示すように、第1光照射部23は、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向であるVU方向の上側に位置する部分に対して、光を照射するように構成されている。なお、本明細書において、「回転部20に対して鉛直方向の上側」とは、鉛直方向について回転部20が占める範囲よりも上の範囲を意味する。ある物Aが「回転部20に対して鉛直方向の上側にある」とは、回転部20の鉛直方向の直上にあることを意味しない。すなわち、鉛直方向に投影したとき、物Aの水平方向の位置は、回転部20と重複しなくてもよい。同様に、本明細書において、「回転部20に対して鉛直方向の下側」とは、鉛直方向について回転部20が占める範囲よりも下の範囲を意味する。ある物Aが「回転部20に対して鉛直方向の下側にある」とは、回転部20の鉛直方向の直下にあることを意味しない。すなわち、鉛直方向に投影したとき、物Aの水平方向の位置は、回転部20と重複しなくてもよい。
【0027】
本実施形態において、把持部10が運転手DRの視線を妨害しないように、把持部10の鉛直方向の上側の端部が、ヘッドレストHDの中心を通り、鉛直方向と垂直な方向の線よりも鉛直方向の下側に位置するように、ステアリング装置1が配置されている(図1の破線A参照)。そのため、運転手DRは、把持部10のうち鉛直方向の下側の部分よりも、上側の部分を視認しやすい。本実施形態において、回転部20が基準の角度位置にあるときに、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に光が照射されることで、回転部20に対して鉛直方向の下側に位置する部分に光が照射される態様に比べて、運転手DRが把持部10において反射した光を視認しやすくなる。
【0028】
図3に示すように、第1光照射部23の光軸OA1が、把持部10を通る。本実施形態において、第1光照射部23が射出する光RL1は、光軸OA1から離れた角度位置であるほど、強度が低下する強度分布を備える。光の角度位置とは、光軸OA1と、光軸OA1に垂直なある方向を含む面内における、光の光軸OA1からの角度である。強度分布については後述する。
【0029】
図1および図2に示すように、本実施形態において、第1光照射部23は、回転部20が基準の角度位置にあるとき、把持部10の、Y軸方向の上側半分の範囲内であって、把持部10の、ヘッドレストHDと向かい合う部分に、照射した光のうち、予め定められた割合以上の光を入射させるように構成されている。(図2の符号PAと、PADの部分参照)。予め定められた割合は、第1光照射部23から射出された光の量を10割としたときに、ステアリング装置1の操作中に、運転手DRによって十分に視認される光の量の割合をいう。予め定められた割合は、車両VWのメーカーによって決定される。この態様において、ステアリング装置1の操作中に、運転手DRが視認しやすい部分に、予め定められた割合の光を入射させることができる。図3に示すように、第1光照射部23は、パッド部22の上端221側に配置されている。第1光照射部23は、収容空間SP内に配置されている。第1光照射部23が収容空間SP内に配置されることにより、運転手DRが、車両VW内の、メーターや、フロントガラス等を視認しやすくなる。
【0030】
図5は、第1光照射部23の構成を示す説明図である。第1光照射部23は、略直方の形状を有している。第1光照射部23は、ケース231と、発光素子232と、光源基板233と、レンズ234と、を備えている。
【0031】
ケース231は、発光素子232と、光源基板233と、レンズ234を収容する部材である。ケース231は、外観が略直方の形状を有する。ケース231の素材として、シリコン樹脂が使用されている。ケース231は、ケース穴部231aを備えている。ケース穴部231aは、発光素子232によって射出され、レンズ234を透過した光が通過する穴である。
【0032】
発光素子232は、予め定められた角度範囲で光を射出する。本明細書における角度範囲とは、光軸OA1を含むある面内を通過する、光の角度の範囲である。本実施形態において、発光素子232は、光軸OA1を中心として、ある面内の左右方向にそれぞれ30度広がる角度範囲で、光を射出する。なお、図2図3、および後述する図11における光の角度は正確ではない。本実施形態において、発光素子232として、発光ダイオードが使用されている。光源基板233は、発光素子232が配置される。光源基板233は、プリント基板である。光源基板233は、略直方形状を有している。
【0033】
図6は、第1実施形態のレンズ234を示す説明図である。図7は、図2のVII-VII断面の一部を表した図である。なお、図7における把持部10の断面の形状は、正確ではない。レンズ234の説明にあたって、先に、光軸OA1と、光軸OA1に垂直な方向を含む面について、説明する。図2に示すように、把持部10のうち、光を射出される一部が伸びている方向を第1方向FDとよぶ。本実施形態において、第1方向FDは、光軸OA1と垂直な方向である。第1光照射部23が射出する光の光軸OA1と第1方向FDとを含む面を第1面FRという。図2において、第1面FRの一部を破線の枠で表している。
【0034】
図7に示すように、光軸OA1の方向と、第1方向FDとに垂直な方向を第2方向SDとする。光軸OA1と、第2方向SDとを含む面を、第2面SRという。図7において、第2面SRの一部を枠で表している。以下において、光軸OA1の、把持部10に向かう方向を、「光軸OA1の正方向」、逆の向きを、「光軸OA1の負方向」と表記する。第1方向FDの、車両VWの右方向に向かう向きを「第1方向FDの正方向」、逆の向きを「第1方向FDの負方向」と表記する。第2方向SDの、車両VWの前方に向かう向きを「第2方向SDの正方向」、逆の向きを、「第2方向SDの負方向」と表記する。
【0035】
図6に示すレンズ234は、発光素子232が射出した光を透過させる。本実施形態において、レンズ234は、発光素子232が射出する光の角度範囲を狭める。レンズ234は、レンズ部234aと、台座234bと、を備える。
【0036】
レンズ部234aは、発光素子232が射出する光が透過する部分である。レンズ部234aは、台座234bと接続している。レンズ部234aは、台座234bと接続する端部から、光軸OA1の正方向側に突出する形状を有している。レンズ部234aの、台座234bと接続している面は、光軸OA1に垂直な平面である。レンズ部234aは、レンズ部234aの頂点234aaから、光軸OA1の負方向側に向かって、曲面が形成されている。レンズ部234aの頂点234aaから、第1方向FDの両方向に広がる曲面は、第2方向SDの両方向に広がる曲面よりもゆるやかな曲面を形成している。レンズ部234aは、光軸OA1の正方向側から見たときに、円形状を有している。レンズ部234aの素材として、アクリルが使用される。レンズ部234aは、透過面234Tと、反射面234Rと、を備える。
【0037】
透過面234Tは、発光素子232が射出する光が透過する部分である。透過面234Tは、レンズ部234aの曲面を形成している。透過面234Tは、レンズ部234aの面のうち、光軸OA1と垂直な方向に広がる面である。反射面234Rは、発光素子232から射出され、レンズ部234aに入射した光を反射させることにより、第1方向FDおよび第2方向SDに進行する光の角度範囲を狭める。反射面234Rは、レンズ部234aの、透過面234T以外の部分である。反射面234Rは、レンズ部234aの面のうち、光軸OA1と平行な方向に広がる面である。反射面234Rは、レンズ部234aの側面を構成している。
【0038】
一般に、光が、透明な物体の平面に所定の角度以上で入射した場合、光は透過せず反射する性質があることが知られている。反射面234Rは、発光素子232から射出された光が、全反射するように、レンズ部234aにおいて構成されている。
【0039】
台座234bは、レンズ部234aをケース231内に固定するための部分である。台座234bは、レンズ部234aと接続している。
【0040】
図3に示す第2光照射部24は、第1光照射部23と同じ構成を備える。第2光照射部24は、パッド部22の上端221側に配置されている。第2光照射部24は、収容空間SPにおいて、第1光照射部23とX軸方向に並んで配置されている。第2光照射部24は、Y軸とZ軸を含む面に対して第1光照射部23と対称となるように配置されている。図2に示すように、第2光照射部24は、射出した光RL2の一部が、第1光照射部23が射出した光RL1の一部と重複するように構成されている。重複した光が当たっている把持部10の部位を、重複部PADと表記する。射出した光の一部とは、第1光照射部23の光軸OA1と、第2光照射部24の光軸OA2から最も離れた角度位置を含む部分である。図2のように回転部20が基準の角度にあるときに、重複した光が、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分にあたるように、第2光照射部24が構成されている(図2および図3参照)。
【0041】
図8は、強度分布を説明する図である。図8は、図2の位置から把持部10を見た場合の、光の強度分布を表した図であり、横軸の+Xは、図2のX軸の正方向に対応する。上述したように、本実施形態において、第1光照射部23が射出する光RL1は、光軸OA1から離れた角度位置であるほど強度が低下する。第2光照射部24の光RL2においても同様である。つまり、第1光照射部23および第2光照射部24は、光軸OA1、OA2に近い角度位置であるほど、光の強度が大きく、光軸OA1、OA2から遠ざかるにつれて強度が小さくなる。
【0042】
図8の実線に示すように、第1光照射部23の光軸OA1と、第2光照射部24の光軸OA2から遠ざかると、第1光照射部23と第2光照射部24のそれぞれの光RL1、光RL2の強度は低下する。一方、図8の破線に示すように、光RL1、光RL2が重なる部分においては、光RL1と光RL2のそれぞれ単体の場合と比べて、光の強度が増大している。
【0043】
第1光照射部23の光軸OA1と、第2光照射部24の光軸OA2から最も離れた角度位置を含む部分が重複することによって、低下している光の強さが補強される。そして、光軸OA1、OA2に近づく角度範囲であるほど強度が大きくなるため、重複部PADから光軸OA1または光軸OA2に向かって、光の強さが大きくなるか、または、重複部PADにおける光の強さと変わらない光の強さとなる。そのため、運転手DRが把持部10を見たときに、把持部10の一部が、一様に光って見える(図2の符号PA、PAD、PA2参照)。
【0044】
また、上述したように重複部PADは回転部20に対して鉛直方向の上側に位置するため、運転手DRによって視認されやすい把持部10の部分の光の強さを、重複部PADがない態様と比較して強くすることができる。このように、本実施形態において、光軸OA1から遠ざかる角度位置において、光が照射される部位が重複することによって、運転手DRによって光が視認されやすくなる。さらに、把持部10の最も鉛直方向の上側の部位に、重複する部分が位置することにより、運転手DRによってさらに光が視認されやすくなる。
【0045】
図9は、制御部30を示す説明図である。制御部30は、プロセッサーであるCPUと、ROMと、RAMと、を備えている。CPUが、ROMに記憶されたプログラムを、RAM上に展開することにより、以下の機能を実現する。
【0046】
制御部30は、第1光照射部23と、第2光照射部24と、を制御する。具体的には、制御部30は、第1光照射部23と、第2光照射部24の、それぞれの光の射出のタイミングを制御する。制御部30は、車両制御部VCから、先行車発信信号と、手動運転移行信号を受信する。制御部30は、車両制御部VCから先行車発信信号を受信したときに、第1光照射部23と、第2光照射部24に対して、同時に光を射出させるように制御する。制御部30は、予め定められた時間、第1光照射部23と、第2光照射部24に対して、光を射出させる。これにより、把持部10からの反射光を受けた運転手DRが、車両VWの前方を見ることで、先行車が発進したことに気づくことができる。なお、光による通知が始まった後に、車両VW内の図示しないスピーカーから、音声によって車両VWの前方の車両VWが発進したことが通知される。
【0047】
本実施形態において、制御部30は、手動運転移行信号を受信したときに、第1光照射部23と、第2光照射部24が、交互に光を射出するように、第1光照射部23と、第2光照射部24を制御する。
【0048】
上述したように、手動運転移行信号が制御部30に送信されるのは、運転手DRによって車両VWが運転される必要がある場合である。この際は、運転手DRによって気づかれるべき緊急度の高さが、先行車が発進した場合よりも高いと考えられる。第1光照射部23と、第2光照射部24のそれぞれによって、光が交互に照射されることで、把持部10において、交互に点滅させることができる。これにより、運転手DRが把持部10の光に注意を払っていない状態においても、運転手DRが光を気づきやすくなる。なお、光による通知が始まった後に、車両VW内の図示しないスピーカーから、音声によって、運転手DRによって車両VWが運転される必要があることが通知される。
【0049】
A2.レンズ234によって光の角度範囲を狭めることの効果:
一般に、発光素子は、光軸を中心として円錐状に光を射出する性質があることが知られている。そのため、レンズ部の、第1方向と第2方向における曲率が同じである場合、光素子から射出された光は、光軸を中心として円状に、レンズ部を透過する。上述したように、ステアリング装置1は運転手DRによって把持される環状の部材であるため、光軸OA1を中心として円状に光が射出される態様においては、X軸の方向から見たときに、Z軸方向において把持部10の周囲を通り過ぎる光の割合が大きい(図7の破線参照)。
【0050】
本実施形態においては、上述したように、レンズ部234aの第2方向SDにおける曲率が、第1方向FDにおける曲率よりも大きい(図6参照)。このため、図2および図7に示すように、発光素子232から射出された光の角度範囲のうち、第1面FRにおける角度範囲である第1角度範囲FARが、第2角度範囲SARよりも大きくなる。なお、第1角度範囲FARとは、光軸OA1に垂直なある面と、第1面FRとが交差する直線上において、光量が、ピークの光量の10%以上である範囲をいう。第2角度範囲SARとは、光軸OA1に垂直なある面と、第2面SRとが交差する直線上において、光量が、ピークの光量の10%以上である範囲をいう。
【0051】
これにより、本実施形態において、第1角度範囲FARが第2角度範囲SARと等しい態様や、第1角度範囲FARが第2角度範囲SARよりも小さい態様に比べて、第1光照射部23から射出される光RL1のうち把持部10に当たる光の割合を、高くすることができる。
【0052】
また、本実施形態において、図6に示す反射面234Rは、発光素子232から射出され反射面234Rにあたる光を反射させる。これにより、把持部10のX軸上における予め定められた範囲内に、光が収まるように構成されている(図2のPAおよびPAD参照)。つまり、反射面234Rが形成されていない態様と比較して、第1角度範囲FARを狭めることで、X軸上に広がる光の範囲を狭めている。これにより、反射面234Rが形成されていない態様と比較して、運転手DRが視認しやすい鉛直方向の上側において、より光の強度を大きくすることができる。
【0053】
B.第2実施形態:
図10は、第2実施形態のレンズ234Bを説明する図である。図10において、レンズ部234aBの表面と、第1面FRBが交わる輪郭線を太線で表している。第2実施形態において、レンズ234Bの形状が、第1実施形態と異なる。それ以外の構成は第1実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細を省略する。
【0054】
図10に示すように、第2実施形態のレンズ部234aBは、第1面FRBに対して非対称である。レンズ部234aBは、第2方向SDにおいて向かい合う2つの端部のうち、一方の端部234Ba側にのみ、反射面234Rを形成している。具体的には、車両VWのフロントFROに近い側のレンズ234Bの端部234Baにおいて、反射面234Rが形成されている。車両VWのフロントFRO側は、第2方向SDの正方向側である。第2方向SDにおいて形成されている反射面234Rを、第2反射面234RBと表記する。
【0055】
第2反射面234RBは、レンズ234Bに入射した光を反射させることにより、光の角度範囲の、車両VWの前方であるフロントFRO側の一端を画定する。フロントFRO側の一端は、光軸OA1方向と第1方向FDおよび第2方向SDの、全ての方向を含む部位である。
【0056】
図11は、第2実施形態のレンズ234Bを第1方向FDの負方向側に向かって見た図である。図11において、光が進行する方向を実線で表している。図12は、第2実施形態の第2光照射部24Bの光が把持部10に当たっている状態を示す図である。図12の把持部10の形状は正確ではない。図11および図12に示すように、第2面SR内において、第2角度範囲SARで射出される光のうち、フロントFRO側の端の光は、第2反射面234RBで反射している。図11に示すように、第2反射面234RBで反射した光は、レンズ部234aBの透過面234TBを通過する。そして、図11および図12に示すようにレンズ部234aBを透過した光が、把持部10に当たっている。第2実施形態においては、第2角度範囲SARで射出される光が、すべて把持部10に当たるように、レンズ部234aBが構成されている。第2反射面234RBが形成されていない態様においては、図11の破線矢印Bに示すように、フロントFRO側に光が透過する。第1光照射部23Bにおいても同様である。
【0057】
第2実施形態において、第2角度範囲SARで射出される光のうち前方の端の光が把持部10を通り過ぎることなく、把持部10に当たる。そのため、第2角度範囲SARで射出される光において、把持部10に当たる光の割合を、さらに高くすることができる。また、第2反射面234RBで反射することによって、発光素子232から射出され、把持部10を通り過ぎて車両VWのフロントガラスにおいて反射した光が運転手DRの目に入り、車両VWの操舵が煩雑となることを防止することができる。
【0058】
C.第3実施形態:
図13は、第3実施形態の第1光照射部23Cの配置を説明する図である。第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態と、レンズ部234aCの構成と、第1光照射部23Cの配置が異なる。それ以外の構成は第1実施形態および第2実施形態と同様であるので、同一の符号を付し、詳細を省略する。
【0059】
第3実施形態においては、発光素子232から射出され、レンズ部234aCに到達するまでの光の光軸OAC1の向きが、第1実施形態および第2実施形態と異なる。図7および図12に示すように、第1実施形態および第2実施形態においては、第1光照射部23の発光素子232から射出された光の光軸OA1が、Y軸方向に対して斜めに直進しながら、把持部10に入射するように、第1光照射部23が配置されていた。第1実施形態および第2実施形態においては、第1光照射部23の光軸OA1を通る光は、発光素子232より射出されてから、透過面234T、234TBを通り、そのまま直進して把持部10に入射する(図6および図11参照)。
【0060】
第3実施形態においては、レンズ部234aCは、発光素子232から射出され、入射する光の光軸OAC1の向きを、把持部10に向かう向きに変えて射出するように構成されている。図13に示すように、第3実施形態の第1光照射部23Cは、発光素子232から射出された光の光軸OAC1が、まず、Y軸方向に対して平行であるように、配置されている(図13のOAC1参照)。図13において、光軸OAC1が延長された線を破線で表している。そして、レンズ部234aCは、光軸OAC1を進む光が入射したときに、Y軸方向に対して斜めに直進するように、構成されている(図13の光軸OAC2)。第2光照射部24Cにおいても同様である。なお、第3実施形態の第2光照射部24Cの図示を省略している。
【0061】
第3実施形態においては、第1光照射部23Cによって射出された光の光軸OAC1の向きが、把持部10に向かう向きとは異なる向きとなるように第1光照射部23Cが配置された場合であっても、光を把持部10に入射させることができる。これにより、車両VWの内部における、第1光照射部23Cおよび第2光照射部24Cの、配置の自由度が高まる。
【0062】
D.他の実施形態:
D1.他の実施形態1:
(1)上記実施形態において、ステアリング装置1は車両VWに搭載されている。なお、ステアリング装置は例えば船舶や飛行機等の、車両以外の移動体に設けられていてもよい。
【0063】
(2)上記実施形態において、把持部10の一部に向かって、第1光照射部23が光RL1を射出している。なお、第1光照射部が、把持部の全てに向かって光を射出してもよい。把持部の少なくとも一部に向かって、第1光照射部から光が射出される。
【0064】
(3)上記実施形態において、収容空間SPに、第1光照射部23と第2光照射部24が収容されている。なお、例えば回転部が基準の角度位置にあるときに、パッド部の鉛直方向の上側に第1光照射部が配置されていてもよい。また、上記実施形態において、第2光照射部は、収容空間において、第1光照射部とX軸方向において並んで配置されている。例えば第1光照射部と、第2光照射部とが、Y軸方向に並んで配置されてもよい。
【0065】
(4)上記実施形態において、把持部10は略環状を有している。なお、例えば把持部は、回転部の周りを囲む略直方の形状を有していても良い。また、把持部は、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部の左右側および鉛直方向の下側において、複数の棒状の部材が接続する形状を有していてもよい。また、把持部は、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部の左右の両方向においてそれぞれ配される2つの棒状の部材であってもよい。
【0066】
(5)上記実施形態において、発光素子232として、発光ダイオードを使用している。なお、発光素子として、例えばレーザーダイオードを使用してもよい。
【0067】
(6)上記実施形態において、芯金部11の素材として、アルミニウム合金が使用されている。なお、芯金部の素材として、例えばステンレス鋼や、マグネシウム合金等が使用されてもよい。
【0068】
(7)上記実施形態において、第1被覆部121の素材として、発泡ポリウレタンが使用されている。なお、発泡ポリウレタン以外の軟質の素材が使用されてもよい。
【0069】
(8)上記実施形態において、第2被覆部122の素材として、革が使用されている。なお、第2被覆部の素材として、例えば樹脂が使用されてもよい。
【0070】
(9)上記実施形態において、固定部21の素材として、アルミニウム合金が使用される。なお、固定部の素材として、ステンレス鋼や、マグネシウム合金等が使用されてもよい。
【0071】
(10)上記実施形態において、ケース231の素材として、シリコン樹脂が使用されている。なお、例えばケースの素材として、ポリウレタンやポリカーボネート等、シリコン樹脂以外が使用されてもよい。
【0072】
(11)上記実施形態において、レンズ部234aの素材として、アクリルが使用される。なお、レンズ部の素材として、ガラスが使用されてもよい。
【0073】
(12)上記実施形態において、第1光照射部23は、回転部20が基準の角度位置にあるとき、把持部10の、Y軸方向の上側半分の範囲内であって、把持部10の、ヘッドレストHDと向かい合う部分に、照射した光のうち、予め定められた割合以上の光を入射させるように構成されている。なお、例えば、把持部のヘッドレストと向かい合う部分に、第1光照射部が照射した光のうち、全ての光を入射させるように、第1光照射部が構成されていてもよい。また、把持部のヘッドレストと向かい合う部分に、第1光照射部が照射した光のうち、予め定められた割合よりも少ない光が入射してもよい。
【0074】
D2.他の実施形態2:
上記第2実施形態において、レンズ部234aBは、光の角度範囲の、車両VWの前方であるフロントFRO側の一端を画定している。なお、レンズ部は、例えば光の角度範囲の、運転手側の一端を画定してもよい。
【0075】
D3.他の実施形態3:
上記第3実施形態において、第1光照射部23は、発光素子232から射出された光の光軸OAC1が、まず、Y軸方向に対して平行であるように、配置されている。レンズ部234aCは、発光素子232から射出され、入射する光の光軸OAC1の向きを、把持部10に向かう向きに変えて射出するように構成されている。なお、例えば発光素子から射出された光の光軸が、まず把持部に向かう方向とは反対の方向であるように、第1光照射部が配置され、レンズが、光軸の向きを、把持部に向かう向きに変えて射出するように構成されていてもよい。
【0076】
D4.他の実施形態4:
(1)上記実施形態において、把持部10が、回転部20の周りを囲むように配されている。なお、例えば把持部が、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部の左右の両方向においてそれぞれ配される2つの棒状の部材であるときに、把持部が、回転部の周りを囲むように配されていなくてもよい。
【0077】
(2)上記実施形態において、回転部20が基準の角度位置にあるとき、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に対して、第1光照射部23が光を照射するように構成されている。なお、例えば回転部が基準の角度位置にあるときに、第1光照射部が、把持部のうち、回転部に対してX軸の両方向側に位置する部分に対して光を照射してもよい。
【0078】
D5.他の実施形態5:
(1)上記実施形態において、第1光照射部23が射出する光は、光軸OA1から離れた角度位置であるほど強度が低下する強度分布を備えている。なお、第1光照射部が射出する光は、光軸から離れた角度位置において強度が変化しない性質を備えていてもよい。
【0079】
(2)上記実施形態において、ステアリング装置1は第1光照射部23と同じ構成を備える第2光照射部24を備えていた。なお、例えば回転部が基準の角度位置にあるときに、第1光照射部が回転部の中心とY軸とを通る位置に配されている態様において、ステアリング装置は第2光照射部を備えていなくてもよい。
【0080】
例えばステアリング装置は、第2光照射部に加えて、第1光照射部と同じ構成を備える第3光照射部と第4光照射部を備えていてもよい。第3光照射部と第4光照射部は、回転部が基準の角度位置にあるときに、回転部に対して鉛直方向の下側に配置されていてもよい。
【0081】
第3光照射部と第4光照射部が、第1光照射部と第2光照射部に対して回転部の鉛直方向の下側に配置されている態様において、例えば制御部が手動運転移行信号を受信したときに、第1光照射部と、第2光照射部が、交互に光を射出するように、第1光照射部と、第2光照射部を制御してもよい。そして、制御部が先行車発信信号を受信したときに、第3光照射部と、第4光照射部に対して、同時に光を射出させるように制御してもよい。
【0082】
(3)上記実施形態において、第1光照射部23と第2光照射部24とのそれぞれが射出した光の一部が重複していた。なお、例えば第1光照射部が射出する光が、光軸から離れた角度位置において強度が変化しない性質を備えている場合に、第1光照射部と第2光照射部とのそれぞれが射出した光の一部が重複していなくてもよい。
【0083】
(4)上記実施形態において、第1光照射部23と第2光照射部24は、重複した光が、把持部10のうち、回転部20に対して鉛直方向の上側に位置する部分に当たるように構成されている。なお、例えば第1光照射部と第2光照射部とは、重複した光が、把持部のうち、回転部に対して鉛直方向の下側に位置する部分に当たるように構成されていてもよい。
【0084】
D6.他の実施形態6:
(1)上記実施形態において、ステアリング装置1は、自動運転または運転手DRによる手動運転が可能な車両VW内に取り付けられている。なお、ステアリング装置は、手動運転のみが可能な車両に取り付けられていてもよい。
【0085】
(2)上記実施形態において、制御部30は、車両VWが自動運転から手動運転に移行するときに、第1光照射部23と第2光照射部24から交互に光を射出させる。なお、例えばステアリング装置が、手動運転のみが可能な車両に取り付けられている態様において、制御部は、第1光照射部と第2光照射部から交互に光を射出させなくてもよい。
【0086】
(3)上記実施形態において、車両VWは、測距装置RFを備えていた。なお、例えば車両制御部によって先行車発進信号が制御部に送信されない態様において、車両が測距装置を備えていなくてもよい。
【0087】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ステアリング装置、10…把持部、11…芯金部、12…被覆部、20…回転部、21…固定部、22…パッド部、23、23B、23C…第1光照射部、24、24B、24C…第2光照射部、30…制御部、121…第1被覆部、122…第2被覆部、211…固定穴部、221…上端、222…パッド穴部、223…第1照射用穴部、224…第2照射用穴部、231…ケース、231a…ケース穴部、232…発光素子、233…光源基板、234T、234TB…透過面、234aa…頂点、234b…台座、234、234B…レンズ、234a、234aB、234aC…レンズ部、234Ba…レンズ部の端部、234RB…第2反射面、234R…反射面、AR…回転軸、DR…運転手、FAR…第1角度範囲、FD…第1方向、FRO…フロント、FR、FRB…第1面、HD…ヘッドレスト、OA1、OA2、OAC1、OAC2…光軸、PAD…重複部、RF…測距装置、RL1…第1光照射部から照射された光、RL2…第2光照射部から照射された光、SAR…第2角度範囲、SD…第2方向、SE…シート、SP…収容空間、SR…第2面、VC…車両制御部、VW…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13