(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074244
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】ニコチンパウチ製品用容器、及びニコチンパウチ製品用容器内のニコチンパウチ製品の消費方法
(51)【国際特許分類】
A24F 23/00 20060101AFI20240523BHJP
A24B 13/00 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
A24F23/00
A24B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023147829
(22)【出願日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】22208343
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ, ピア パオロ
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BA59
4B043BB22
(57)【要約】
【課題】ニコチンパウチ製品用容器、及びニコチンパウチ製品用容器内のニコチンパウチ製品の消費方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ニコチン製品に関し、より詳細には、ニコチンパウチ製品用容器、ニコチンパウチ製品の消費方法、並びにニコチンパウチ製品用容器に含まれるニコチンパウチ及び口腔用製品に関し、具体的には、ニコチンパウチ製品用容器は、7.5~11の範囲のpHを有するニコチン経口送達用の複数のニコチンパウチと、緩衝成分を含む少なくとも1つの口腔用製品とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニコチンパウチ製品用容器であって、
7.5~11の範囲のpHを有するニコチン経口送達用の複数のニコチンパウチと、
緩衝成分を含む少なくとも1つの口腔用製品と、
を含み、
前記複数のニコチンパウチは、pH分布の低pH側と前記pH分布の高pH側とを含む前記pH分布を有し、
前記少なくとも1つの口腔用製品中の前記緩衝成分は、前記pH分布の前記高pH側にpHを有する前記複数のニコチンパウチから選択されたニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口腔内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分な量で使用される、
ニコチンパウチ製品用容器。
【請求項2】
前記複数のニコチンパウチの前記pH分布の前記高い側は、9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを含み、前記複数のニコチンパウチの前記pH分布の前記高い側は、前記複数のニコチンパウチの全pH分布の35%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは10%以下を表す、請求項1に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項3】
前記口腔用製品中の前記緩衝成分は、9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを使用した結果として前記ユーザの前記口腔の前記上昇したpHを6~8、好ましくは6.5~7.5の範囲のpHまで低下させるのに十分な量である、請求項1又は2に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項4】
前記口腔用製品は、固体状、好ましくは、貼付剤、チューインガム、カプセル、又はクラッシュボールである、請求項1~3のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項5】
前記口腔用製品は、前記ニコチンパウチとは別個に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項6】
前記緩衝成分を含む前記口腔用製品は、ニコチンを実質的に含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項7】
前記複数のニコチンパウチの各々は、第1の表示を備えた外面を有し、前記緩衝成分を含む前記口腔用製品は、第2の表示を備えた外面を有し、前記第1の表示は、前記第2の表示と異なり、好ましくは、前記第1の表示及び前記第2の表示は、色、印刷パターン、及び/又はエンボスパターンを含む、請求項5又は6に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項8】
第1のチャンバと第2のチャンバとを含み、前記複数のニコチンパウチは、前記第1のチャンバ内に配置され、前記緩衝成分を含む前記口腔用製品は、前記第2のチャンバ内に収容される、請求項5~7のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項9】
前記緩衝成分を含む前記口腔用製品は、前記複数のニコチンパウチ内に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項10】
前記緩衝成分は、酸性成分、異なる酸性成分の混合物、若しくは酸性成分と塩基性成分との混合物からなるか又はそれを含み、前記酸性成分は、好ましくは有機酸、より好ましくはクエン酸である、請求項1~9のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項11】
前記酸性成分を含む前記口腔用製品は、2~10重量%、好ましくは3~8重量%、さらにより好ましくは4~6重量%のクエン酸を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項12】
前記酸性成分は、粉末状及び/又は液状である、請求項10又は11に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項13】
液状の前記酸性成分は、カプセルに又はクラッシュボールに含まれる、請求項12に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項14】
前記緩衝成分を含む前記口腔用製品は、香味剤を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のニコチンパウチ製品用容器。
【請求項15】
複数のニコチンパウチと少なくとも1つの口腔用製品とを含むニコチンパウチ製品の消費方法であって、
ニコチン経口送達用の前記複数のニコチンパウチから9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを消費するステップと、
9~11の範囲のpHを有する前記ニコチンパウチを消費した結果としてユーザの前記口腔内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分な量の緩衝成分を含む口腔用製品を消費するステップと
を含む、消費方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ニコチン製品に関し、より詳細には、ニコチンパウチ製品用容器、ニコチンパウチ製品の消費方法、並びにニコチンパウチ製品用容器に含まれるニコチンパウチ及び口腔用製品に関する。ニコチンパウチ製品は、口腔用に構成され、使用中に香料及び/又は有効成分などの物質を送達する。このような製品は、タバコ若しくはタバコ由来の製品を含み得るか、又はタバコを含まない代替品であり得る。
【背景技術】
【0002】
近年、リスク低減又はリスク修正タバコ製品の使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急激に増加してきた。
【0003】
従来型のタバコ製品の代替品は無煙物品であり、無煙物品は、無煙物品に含まれる成分から、典型的にはタバコからニコチン及び/又は香料などの可溶性物質を抽出するのに唾液に依存する。
【0004】
従来の無煙物品の中には、内容物を収める唾液透過性パウチを有するものもある。例えば、ユーザが唾液を通じてタバコ成分を摂取することを可能にする口腔用タバコ製品に関する、(特許文献1)と、ユーザが唾液を通じてタバコ成分を吸収するための口腔用タバコ製品に関し、かかる無煙物品を収容するための収容ケースも提供する、(特許文献2)とを参照されたい。
【0005】
ニコチンが塩基性であることは知られており、無煙物品に使用されるニコチン成分は通常、その経口吸収をもたらすために、遊離塩基形態で、塩形態で、複合体として、又は溶媒和物として存在する。例えば、(特許文献3)は、唾液可溶性刺激剤単位に関し、無煙物品に含まれる可能性のあるいくつかの成分を開示しており、ニコチンの吸収を考慮すると、無煙物品の消費中の唾液のpHが塩基性になる可能性があることも説明している。
【0006】
製品の塩基性に対する感覚はユーザごとに異なる。無煙物品のpHが9になると塩基性を感じ始める可能性があるユーザもいれば、煙物品のpHが9を超えると塩基性を感じ始める可能性があるユーザもいる。例えば、無煙製品のpHが9.5である場合、そのような無煙製品の消費に関連するユーザの口内の感覚は、あるユーザにとっての単なるくすぐり感から別のユーザにとっての口腔内の重大な不快感まで様々である可能性がある。従来は、中塩基度~高塩基度を有する製品の消費に関連する口腔内不快感に対処するために、水希釈が推奨されていた。しかしながら、水は必ずしも到達できるとは限らず、水希釈は、あまり効果的でない場合があり、非常に時間がかかる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0073588A1号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/147024A1号パンフレット
【特許文献3】国際公開第91/06288A1号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】The Treatment of Alkaline Burns of the Skin by Neutralization,Kris Andrews,M.D.,Arian Mowlavi,M.D.,and Stephen M.Milner,M.B.,B.S.,B.D.S.,F.R.C.S.(Ed.),F.A.C.S.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
9以上のpHを有する無煙製品の消費に関連する起こり得る不快感を軽減するために、ユーザの要求に応じた解決策を得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題の一部又は全部を解決する、ニコチンパウチ製品用容器を提供する。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、ニコチンパウチ製品用容器であって、
7.5~11の範囲のpHを有するニコチン経口送達用の複数のニコチンパウチと、
緩衝成分を含む少なくとも1つの口腔用製品と
を含み、
複数のニコチンパウチは、pH分布の低pH側とpH分布の高pH側とを含むpH分布を有し、
少なくとも1つの口腔用製品中の緩衝成分は、pH分布の高pH側にpHを有する複数のニコチンパウチから選択されたニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口腔内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分な量で使用される、
ニコチンパウチ製品用容器が提供される。
【0012】
ニコチンパウチの各容器内に1つ以上のそのような口腔用製品を有する、この解決策では、塩基性ニコチンパウチによって引き起こされる不快感に容易且つ迅速に対処し不快感を軽減することができる。
【0013】
第1の態様による、本開示の第2の態様では、複数のニコチンパウチのpH分布の高い側は、9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを含み、複数のニコチンパウチのpH分布の高い側は、複数のニコチンパウチの全pH分布の35%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは10%以下を表す。
【0014】
この解決策では、ユーザに不快感を生じさせ得る塩基性ニコチンパウチに対して、十分な量の緩衝成分(酸性度及び量の口腔用製品)を容器内に配置することが可能である。
【0015】
第1又は第2の態様による、本開示の第3の態様では、口腔用製品中の緩衝成分は、9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口腔の上昇したpHを6~8、好ましくは6.5~7.5の範囲のpHまで低下させるのに十分な量である。
【0016】
上記態様のいずれか1つによる、本開示の第4の態様では、口腔用製品は、固体状、好ましくは、貼付剤、チューインガム、カプセル、又はクラッシュボールである。
【0017】
この配置により、口腔用製品は、ユーザにとって消費がより容易である。
【0018】
上記態様のいずれか1つによる、本開示の第5の態様では、口腔用製品は、ニコチンパウチとは別個に配置される。
【0019】
この配置により、口腔用製品は、ニコチンパウチと同じ容器内にはない。したがって、この配置により、口腔用製品とニコチンパウチとのいかなる化学反応も回避される。例えば、この配置により、ニコチンパウチ中の含水量の低下をもたらし、口腔用製品中の含水量を増加させる、口腔用製品とニコチンパウチとの間の水分平衡反応が回避され得る。ニコチンパウチの含水量の変化及び口腔用製品中の含水量の増加により、ユーザ体験が低下する可能性がある。
【0020】
前述の態様による、本開示の第6の態様では、緩衝成分を含む口腔用製品は、ニコチンを実質的に含まない。
【0021】
上記態様のいずれか1つによる、本開示の第7の態様では、複数のニコチンパウチの各々は、第1の表示を備えた外面を有し、緩衝成分を含む口腔用製品は、第2の表示を備えた外面を有し、第1の表示は、第2の表示と異なり、好ましくは、第1の表示及び第2の表示は、色、印刷パターン、及び/又はエンボスパターンを含む。
【0022】
第5又は第6の態様による、本開示の第8の態様では、ニコチンパウチ製品用容器は、第1のチャンバと第2のチャンバとを含み、複数のニコチンパウチは、第1のチャンバ内に配置され、緩衝成分を含む口腔用製品は、第2のチャンバ内に収容される。
【0023】
この構成により、ユーザは、ニコチン製品と口腔用製品とを容易に区別することができる。
【0024】
第1~第4の態様のいずれか1つによる、本開示の第9の態様では、緩衝成分を含む口腔用製品は、複数のニコチンパウチ内に配置される。
【0025】
上記態様のいずれか1つによる、本開示の第10の態様では、緩衝成分は、酸性成分、異なる酸性成分の混合物、若しくは酸性成分と塩基性成分との混合物からなるか又はそれを含み、酸性成分は、好ましくは有機酸、より好ましくはクエン酸である。
【0026】
前述の態様による、本開示の第11の態様では、酸性成分を含む口腔用製品は、2~10重量%、好ましくは3~8重量%、さらにより好ましくは4~6重量%のクエン酸を含む。
【0027】
この配置により、口腔用製品は、酸塩基反応の発熱性に伴う組織損傷の危険性の増大なしに水灌注のみと比較して迅速な組織中和及び不快感の低減に効果的である。
【0028】
第10又は第11の態様による、本開示の第12の態様では、酸性成分は、粉末状及び/又は液状である。
【0029】
前述の態様による、本開示の第13の態様では、液状の酸性成分は、カプセルに又はクラッシュボールに含まれる。
【0030】
上記態様のいずれか1つによる、本開示の第14の態様では、緩衝成分を含む口腔用製品は、香味剤を含む。
【0031】
この配置により、口腔用製品を摂取することが、ユーザにとってより容易で且つより快適になる。
【0032】
本開示の第15の態様によれば、複数のニコチンパウチと少なくとも1つの口腔用製品とを含むニコチンパウチ製品の消費方法であって、
ニコチン経口送達用の複数のニコチンパウチから9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを消費するステップと、
9~11の範囲のpHを有するニコチンパウチを消費した結果としてユーザの口腔内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分な量の緩衝成分を含む口腔用製品を消費するステップと
を含む、消費方法が提供される。
【0033】
ここで、添付の図面を参照しながら、あくまで例として好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明のニコチンパウチ製品用容器の実施形態の概略図である。
【
図2】いくつかのニコチンパウチ製品ラインのpH範囲を示すボックスプロットグラフである。
【
図3】ニコチンパウチ製品用容器内に収容されたニコチンパウチの分布を示すグラフである。
【
図4】本発明のニコチンパウチ及び口腔用製品のいくつかの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本明細書では、口腔用に構成されたパウチ製品を含む容器が提供される。本明細書で使用される「口腔用に構成される」という用語は、使用中にユーザの口内の唾液により混合物の成分(例えば、香味剤、甘味料、緩衝成分、及び/又はニコチン)の1種以上がユーザの口内に運ばれるような形でパウチ製品が提供されることを意味する。特定の実施形態では、パウチ製品は、ユーザの口内の粘膜を通して放出性成分をユーザに送達するように適合され、場合により、前記放出性成分は、製品の使用時にユーザの口内の粘膜を通して吸収できる有効成分とすることができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「有効成分」とは、以下のカテゴリ、すなわち、API(医薬品有効成分)、食品添加物、天然薬物、及び人間に影響を及ぼす可能性のある天然由来物質のいずれかに属する1種以上の物質を指す。例示的な有効成分は、病気の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において薬理活性若しくは他の直接的な効果を与えるか又は人間の身体の構造若しくは任意の機能に影響を及ぼす(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらし、活力を与える効果、解熱若しくは鎮痛作用、又はさもなければ身体に有用な効果を与える)成分などの、体内の1つ又は複数の生物学的機能に影響を与えることが知られている任意の成分を含む。いくつかの実施形態では、有効成分は、栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学物質」、又は「機能性食品」と一般に称されるタイプのものであり得る。これらのタイプの添加剤は、1つ又は複数の有利な生物学的効果(例えば、健康増進、病気の予防、又は他の薬効成分)をもたらすが、薬物として分類又は規制されない、典型的には天然に発生する供給源から入手可能な物質(例えば、植物材料)を包含するものとして当該技術分野では定義されることがある。有効成分の非限定的な例としては、植物成分、刺激剤、アミノ酸、ニコチン成分、及び/又は医薬品、栄養補給食品、及び薬効成分(例えば、ビタミンA、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、及びビタミンCなどの、ビタミン、並びに/又はテトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD)などの、カンナビノイド)のカテゴリに含まれるものが挙げられる。
【0037】
本明細書で使用する場合、「ニコチン」という用語は、好ましくは、タバコから抽出されたニコチンを意味する。ニコチンは、いくつかの異なる形態で、例えば、イオン交換樹脂との複合体として、塩として、又は遊離塩基として提供され得るが、タバコ又は粉末タバコの形態では提供されない。
【0038】
有効成分の特定の選択は、特定の製品の所望の香料、食感、及び所望の特性に応じて異なる。存在する有効成分の割合は、特定の製品の所望の特性に応じて異なる。典型的には、有効成分又はその組み合わせは、製品全体の少なくとも約0.001重量%の総濃度で、例えば約0.001%~約30%の範囲で存在する。本明細書で使用される場合、「放出性成分の重量パーセント」とは、パウチ材料の重量を含まない、口腔用組成物の総重量に対する放出性成分の重量パーセントを指す。
【0039】
加えて、「パウチ」という用語は、典型的には空洞を包囲する繊維材料のウェブによって形成された容器を意味するように意図されている。パウチは、口腔内への有効成分の投与のために設計されたパウチであり、したがって、パウチは、口腔用に適合され、非毒性であり、水溶性ではない。繊維材料は、織物ウェブ若しくは不織ウェブ又は織布若しくは不織布を形成し得る。パウチは、例えば、ニコチン及び非水溶性組成物のための空洞を形成するように2つの対応するウェブ片又は布片をこれらの縁部に沿って互いに接着することにより密封され得る。有効成分を放出するように、パウチは、口腔からの唾液がパウチに浸透して口腔内に入ることを可能にするために唾液透過性とされており、口腔では、唾液が有効成分に触れることができ、それにより、前記有効成分が口腔用パウチから放出される。
【0040】
以下、添付の図面と併せて、本発明の好ましい実施形態について説明する。
図1に示すように、ニコチンパウチ製品用容器1は、複数のニコチンパウチ3と、ニコチンパウチ3とは異なる少なくとも1つの口腔用製品2と、収容ケース4とを含む。
図1に示す口腔用製品2の数は、単に概略的なものに過ぎない。収容ケース4に含まれる口腔用製品2の数は、任意の数とすることができ、好ましくは、口腔用製品2の数は、1~10の範囲である。好ましい実施形態では、収容ケース4に含まれる口腔用製品2の数は、口腔用製品2が10個以下、口腔用製品2がより好ましくは8個以下、口腔用製品2がより好ましくは6個以下、口腔用製品2がより好ましくは4個以下、口腔用製品2がさらにより好ましくは3個以下、口腔用製品2が特に2個以下、口腔用製品2が最も好ましくは1個のみである。好ましい実施形態では、収容ケース4に含まれるニコチンパウチ3の数は、任意の数、好ましくは少なくとも10個のニコチンパウチ、より好ましくは少なくとも20個のニコチンパウチ、さらにより好ましくは少なくとも40個のニコチンパウチ、特に少なくとも60個のニコチンパウチ、最も好ましくは少なくとも100個のニコチンパウチとすることができる。別の好ましい実施形態では、ニコチンパウチ製品用容器1内のニコチンパウチ3の数は、15~35個、最も好ましくは20~30個、さらに最も好ましくは20~25個の範囲である。別の好ましい実施形態では、ニコチンパウチ製品用容器1は、15~35個のニコチンパウチ3と1~10個の口腔用製品2とを含み、最も好ましくは20~25個のニコチンパウチ3と1~10個の口腔用製品2とを含む。
【0041】
[ニコチン製品/パウチ]
ニコチンパウチ3は、パウチと、前記パウチに封入されたニコチンを含む組成物とを含む。パウチは、唾液透過性繊維材料のシートから形成される。唾液透過性繊維材料は、織物ウェブ若しくは不織ウェブ又は織布若しくは不織布で形成することができる。好ましい実施形態では、唾液透過性繊維材料は、不織ウェブ又は不織布で形成される。好ましい実施形態では、ニコチン混合物は、遊離ニコチン又はニコチン粒子又はニコチン塩又はこれらの組み合わせを有効成分として含む。別の好ましい実施形態では、ニコチンは、タバコと組み合わせて使用することができる。そのような場合、ニコチンは、タバコ材料を細断又は粉砕することによって得られた、粒径が2mm以下であるタバコ粒子と混合される。当業者であれば、ニコチンパウチが市場で入手可能な他の任意の口腔用ニコチン製品である可能性もあることを理解するであろう。消費のために、ニコチン製品3は、ユーザの上唇と歯肉との間に置かれ、ニコチン製品がユーザの口腔内の唾液にさらされたときにニコチンを送達する。次いで、唾液にさらされることにより、ニコチンがユーザの口内に放出され、さらに、パウチ内の基材材料の一部が例えばパウチの唾液透過性繊維材料を通過し、ユーザに香料と満足感を与えることができる。約10分~約60分、典型的には約15分~約45分使用した/味わった後には、かなりの量の放出性成分及び/又は基材材料が被験者に取り込まれており、ユニットは、廃棄のために被験者の口から取り外され得る。ニコチン製品3は、使用時に煙を放出しない。したがって、ユーザは、任意の場所でニコチン製品3を使用することができる。
【0042】
好ましい実施形態では、ニコチンパウチ3中のニコチン含量はタバコから抽出される。いくつかの他の好ましい実施形態では、ニコチンパウチ3内のニコチン含量は、タバコを含むか又はタバコで作られ、好ましくは実質的に少量のタバコである。より具体的には、タバコ含量は、好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり5重量%以下、より好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり4重量%以下、さらにより好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり3重量%以下、並びに/又は好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり少なくとも1重量%、及びより好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり少なくとも2重量%である。
【0043】
ユーザへの心地良い味を高めるために、ニコチン組成物は、ニコチン組成物全体の重量当たり1重量%~60重量%の範囲の含水量を有することが望ましい。好ましい実施形態では、含水量は、ニコチン組成物全体の重量当たり25重量%~60重量%の範囲、好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり35重量%~55重量%の範囲、より好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり35重量%~50重量%の範囲、さらにより好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり35重量%~45重量%の範囲である。別の好ましい実施形態では、ニコチン組成物の含水量は、ニコチン組成物全体の重量当たり1重量%~35重量%の範囲、好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり1重量%~25重量%の範囲、より好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり1重量%~18重量%の範囲、さらにより好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり1重量%~12重量%の範囲、さらにより好ましくはニコチン組成物全体の重量当たり10重量%未満である。
【0044】
本発明のニコチン組成物は、好ましくは7.5~11の範囲のpHを有する。好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、望ましくはアルカリ性である。本明細書で使用する場合、「アルカリ性」という用語は、ニコチン組成物が8.0を超えるpHを有することを意味する。かかる好ましい実施形態では、ニコチン組成物は、7.5~11の範囲の、好ましくは8.0~11の範囲の、最も好ましくは8.5~10の範囲の、さらに最も好ましくは8を超えるpHを有することができる。
【0045】
アルカリ性ニコチン組成物を有することとは、製造プロセス中に、ニコチン組成物を前記所望のアルカリ性pHに緩衝するためにアルカリ性緩衝液が使用されることを意味する。より具体的には、アルカリ性ニコチン組成物が所定の含水量、例えば、ニコチン組成物全体の重量当たり25重量%を超える含水量を含む場合、アルカリ性緩衝液の添加中のアルカリ性ニコチン組成物の均一性は、所定のpHの複数のニコチンパウチを提供するために使用される均一なバッチを提供するための重要なステップである。特に、本発明者らは、100個のニコチンパウチを製造する1バッチについて、前記複数のニコチンパウチのpH分布が、釣鐘型のpH分布曲線とも呼ばれる、ガウス様曲線に従うことを観察した。このような場合、本発明者らは、所定のアルカリ性pH、例えば約8.5の所定のpHで100個のニコチンパウチを製造する前記バッチでは、pH分布がpH分布の低pH側と中pH側と高pH側とに分けられることを観察した。pH分布の中央部は、中央のガウス様曲線に相当し、8.2~8.8の範囲のpHを有する複数のニコチンパウチ、すなわち、目標とする約8.5のpHを有する複数のニコチンパウチを含む領域を定義する。pH分布の低pH側(すなわち、ガウス様曲線のローテール)及び高pH側(すなわち、ガウス様曲線のハイテール)は、それぞれ、pH分布のガウス様曲線の中央部の左側及び右側に相当する。ガウス様曲線のハイテール領域は、8.8を超えるpH、特に8.8~11の範囲のpHを有する複数のニコチンパウチを含む。そのような領域は、例えば25個のニコチンパウチを含むことができる。ガウス様曲線のローテール領域は、8.2未満で7.5~8.2の範囲のpHを有する複数のニコチンパウチを含む。そのような領域は、例えば25個のニコチンパウチを含むことができる。したがって、前記例では、複数のニコチンパウチの50%は、8.2~8.8の範囲のpHを有し、複数のニコチンパウチの25%は、7.5~8.2の範囲のpHを有し、複数のニコチンパウチの25%は、8.8~11の範囲のpHを有する。このような場合、ユーザにより、8.8~11の範囲のpHを有する複数のニコチンパウチの25%のうちの1つのニコチンパウチが摂取されると、ユーザは、高pHのニコチンパウチの使用に起因して、口内でくすぐり感又は不快感を比較的すぐに覚え始めることがある。これは、典型的にはpHが6.5~7.5の範囲にある唾液中/頬粘膜中の成分と、8.8~11の範囲のpHを有するニコチンパウチとの間の酸/塩基反応により説明することができる。
【0046】
アルカリ性ニコチンパウチの使用により引き起こされる不快感の程度は、人によって異なり得るが、ほとんどの場合、11のpHは、ほとんどの人が感じることができる不快感を口腔組織に引き起こす可能性があり、場合により、9~11のpHでも、特定のユーザに既に不快感を引き起こしていることがある。したがって、9~11のpHを有する塩基性ニコチンパウチを目標にすることが理想的である。
【0047】
別の観点から、容器内のニコチンパウチのpH分布(7.5~11)は、pH分布の低pH側及び高pH側を含む。分布を定量化するために、pH分布の高い側に属するニコチンパウチが、複数のニコチンパウチの全分布の35%以下、より可能性が高いのは(好ましくは)25%以下、さらにより可能性が高いのは(好ましくは)20%以下、最も可能性が高いのは(好ましくは)15%以下、最も可能性が高いのは(好ましくは)10%以下、最も可能性が高いのは(好ましくは)5%以下を表すことが分かっている。別の実施形態では、pH分布の高い側に属するニコチンパウチは、複数のニコチンパウチの全分布の少なくとも35%、より可能性が高いのは(好ましくは)少なくとも25%、さらにより可能性が高いのは(好ましくは)少なくとも20%、最も可能性が高いのは(好ましくは)少なくとも15%、最も可能性が高いのは(好ましくは)少なくとも10%、最も可能性が高いのは(好ましくは)少なくとも5%である。具体的には、
図3に示すように、容器1内に収容された複数のニコチンパウチ3は、釣鐘型のpH分布曲線、すなわちガウス様のpH分布により定義されるpH分布を有する。釣鐘型のpH分布曲線は、分布のローpHテール(点線で示す)と分布のハイpHテール(黒色で示す)とを有し、Cは、ハイテールを目標にするために使用されるカットオフpH値である。したがって、目標とするpH値(C)は、pH分布の75パーセンタイル以下、好ましくは85パーセンタイル以下、より好ましくは90パーセンタイル以下、最も好ましくは95パーセンタイル以下である。別の好ましい実施形態では、pH分布のハイテール、好ましくは75パーセンタイル(すなわち、容器1内のニコチンパウチ3の25%)は、9を超えるpH、より具体的には9~11のpHを有する。別の好ましい実施形態では、pH分布のハイテール、好ましくは95パーセンタイル(すなわち、容器1内のニコチンパウチ3の5%)は、9を超えるpH、より具体的には9~11のpHを有する。
【0048】
[口腔用製品/口腔用貼付剤]
上で説明したように、一部のニコチンパウチのアルカリ性が不快感を引き起こし得ることを考慮して、不快感が生じた場合にニコチンパウチ3のアルカリ性を緩衝するために、口腔用製品が容器1内に供給される。この解決策では、ユーザが口内に不快感を覚えた場合、ユーザは、アルカリ性ニコチンパウチの使用に関係する影響を相殺するために、ニコチンパウチ用容器1内に収容された、口腔用貼付剤とも呼ばれる、口腔用製品2を使用することができる。少なくとも1つの口腔用製品中の緩衝成分は、不快感を引き起こし得るニコチンパウチ3のみを中和する必要がある場合があるので、pH分布の高pH側にpHを有する、すなわち9~11のpHを有する複数のニコチンパウチから選択されたニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分な量で使用される。よって、塩基性ニコチンパウチ3の高pH側の
図3における基準カットオフ値Cは、選択されたニコチンパウチ3に対する及び不快感を軽減し不快感に対処する口腔用製品の酸性度及び量の基準値でもある。口腔用製品2の酸性度及び量は、ニコチンパウチ3のpH分布のハイテールを目標にして調整されるべきである。換言すれば、容器内に供給される口腔用製品2の緩衝成分の総量(すなわち、口腔用製品2の酸性度及び量)は、pH分布の高pH側にpHを有する複数のニコチンパウチから選択されたニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口腔内で生じる上昇したpHを低下させるのに十分であるべきである。具体的には、容器1は、高pH側のニコチンパウチを使用した結果としてユーザの口腔の上昇したpHを6~8、好ましくは6.5~7.5の範囲のpHまで低下させるのに十分な量の緩衝成分を有するべきである。
【0049】
塩基性に関連がある不快感を中和するために、酸を使用できることが分かっている。例えば、酢酸などの酸、すなわち5%の有機酸により、酸塩基反応の発熱性に伴うさらなる組織損傷なしに水灌注のみと比較して迅速な組織中和及び不快感の低減がもたらされる。これの参考のために、論文「(非特許文献1)」が援用される。特に、この論文は、酸、具体的には5%の酢酸で処理された、アルカリ剤による不快感が、水灌注で処理された動物と比較して、生理学的pHへのより迅速な復帰、真皮保持の深さの増加、白血球浸潤の減少、及び上皮再生の改善を実証したことを示している。
【0050】
好ましい実施形態では、緩衝成分は、典型的にはケーキのpH補正に使用される、クエン酸、好ましくはクエン酸粉末(HOC(CO2H)(CH2CO2H)2)を含む。Milliard(商標)クエン酸は、そのようなクエン酸粉末の一例である。クエン酸の主な用途は、食品及び飲料、特にソフトドリンク及びキャンディーの香味料及び保存料としての用途である。他の実施形態では、緩衝成分は、食品に使用できる他の酸、例えば、酢酸、リンゴ酸、DL乳酸(食品等級)、L(+)乳酸(食品等級)、リン酸、L(+)酒石酸、フマル酸、又はそれらの組み合わせを含む。緩衝成分はまた、固体状ではなく、緩衝成分を溶媒中に溶解させることにより得られる液状であり得る。溶媒として、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコールなどが使用され得る。溶媒は、好ましくは、カプセルに又はクラッシュボールに含まれる。
【0051】
よって、好ましい実施形態では、酸性成分、例えば、上述した酢酸又はクエン酸粉末を含む口腔用製品は、2~10重量%、好ましくは3~8重量%、さらにより好ましくは4~6重量%のクエン酸を含む。
【0052】
クエン酸と同様の特性を有する他の有機酸も、クエン酸の代わりに又はクエン酸と組み合わせて使用され得る。さらに、緩衝成分は、1種の酸性成分又は酸性濃度、異なる酸性成分の混合物、又は酸性成分と塩基性/中性成分との混合物からなり得る。例えば、口腔用製品が固体又は半固体である場合、その原材料は、Sour Gummy Bears(商標)(pH 3.0)、Skittles(商標)(pH 2.5)、Starburst(商標)(pH 2.4)、Sour Skittles(商標)(pH 2.2)、Wonka Fun Dip(商標)(pH 1.8)、Warheads Sour Spray(商標)(pH 1.6)などに使用される原材料と同様の原材料とすることができる。具体的には、原材料は、砂糖、コーンシロップ、クエン酸、水添パーム核油、2%未満の:タピオカデキストリン、天然及び人工香料、変性コーンスターチ、着色料、クエン酸ナトリウム、カルナウバロウ、又はそれらの組み合わせを含む。口腔用製品が液状である場合、原材料は、水、砂糖、クエン酸、リンゴ酸、グリセリン、乳酸、人工香料、ソルビン酸カリウム保存料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0053】
好ましい実施形態では、口腔用製品2の酸性度は、ユーザが口腔用製品2を摂取した時点で、pHが生理学的レベル、すなわち、上述のpH範囲に戻るように、アルカリ剤よって引き起こされた口内の不快感を実質的に軽減するのに、1分以下、好ましくは45秒以下、より好ましくは30秒以下、よりさらに好ましくは15秒以下、及び最も好ましくは5秒以下しかかからないように、上述したような十分な量の緩衝成分を有する。
【0054】
口腔用製品2は、ニコチンパウチ3と同様の構成を有し得るが、ニコチンを全く含まない。例えば、口腔用製品2は、パウチと、パウチに封入された緩衝成分混合物とを含み得る。パウチは、ニコチンパウチ3と同様の唾液透過性繊維材料のシートから形成される。唾液透過性繊維材料は、織物ウェブ若しくは不織ウェブ又は織布若しくは不織布で形成することができる。好ましい実施形態では、唾液透過性繊維材料は、不織ウェブ又は不織布で形成される。
【0055】
図4(a)~4(c)を参照すると、口腔用製品2の形態及び構成の詳細な説明が以下に与えられる。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態では、口腔用製品2は、パウチ21と緩衝成分混合物とを含む。パウチ21は、唾液透過性繊維材料のシート、好ましくは、織物ウェブ若しくは不織ウェブ又は織布若しくは不織布で形成された唾液透過性繊維材料、より好ましくは唾液透過性不織布から形成される。緩衝成分混合物は、主成分として緩衝成分を含む。具体的には、口腔用製品は、充填剤、結合剤、保湿剤、ゲル化剤、乳化剤、含水量、甘味料、及び香味剤のうちの少なくとも1種をさらに含み得る。好ましい実施形態では、充填剤はセルロースとすることができ、保湿剤はグリセリンとすることができる。
【0057】
図4(a)に示すように、口腔用製品2の外側ラッパーは、矩形シート状である。パウチ21は、ピロー包装と呼ばれる包装形態で緩衝成分を包装する。管状ひねり包装タイプなどの、他のタイプの包装も使用され得る。カプセル又はクラッシュボールなどの、口腔内で使用できる他の形態も、緩衝成分混合物を収容するために使用され得る。酸(緩衝成分)を含むチューインガム又は砂糖も使用され得る。具体的には、角部の半径は、約2mmとすることができ、その一方で、寸法は、長さ約14mm、幅約6mm、高さ約3mmとすることができる。ゼリー/ゴムの質感と共に、この大きさとにより、ニコチンパウチが載置された位置と同じ位置に酸性貼付剤を位置決めすることが可能となる。そのような実施形態の原材料は、例えば、38重量%のゼラチン粉末、35重量%の水、18重量%の砂糖、8重量%のクエン酸、香気、着色料である。別の実施形態では、口腔用貼付剤は、硬質でよりコンパクトなもの、例えば、約7mmの直径と、約3mmの半径を有する丸みを帯びた角部とを有する約11mmの長さの円柱体とすることができる。そのような実施形態の原材料は、例えば、50重量%の砂糖、30重量%の水、12%重量のコーンシロップ、8%重量のクエン酸、香気、着色料である。口腔用製品2の重量及び体積は、好ましくはニコチンパウチよりも小さく、好ましくは少なくとも0.3g、より好ましくは少なくとも0.4g、最も好ましくは少なくとも0.5g、好ましくは1g以下、より好ましくは0.8g以下、最も好ましくは0.6g以下である。
【0058】
撥水性のあるフッ素系樹脂は、好適な撥水材料である。旭硝子株式会社製のアサヒガード(商標)は、そのような撥水性のあるフッ素系樹脂の一例である。それは、菓子類、乳製品、調理済み食品、ファーストフード、及びペットフードなどの、油脂を含む食品及び他の製品用のラッパーをコーティングするために一般的に使用され、したがって、口に入れられるように意図されたパウチ21に適用された場合に安全である。用いられる撥水材料は、フッ素系樹脂に限定されない。すなわち、パラフィン樹脂、シリコン系樹脂、及びエポキシ樹脂などの、撥水性を有する他の材料も使用可能である。撥水材料は、炭酸カルシウム又は二酸化チタンなどの添加剤を含み得る。かかる添加剤は、撥水材料の白色度を高める。食品等級であり且つ体温で溶融しない選択肢があるだけでなく、蝋などの他の材料を使用することもできる。
【0059】
図4(b)に示すようにニコチンパウチ3を区別するために、好ましい実施形態では、パウチ21の前面及び後面、すなわち外面の少なくとも一部が、ニコチンパウチ3とは異なる色で表示23として着色される。他の好ましい実施形態では、印刷パターン及び/又はエンボスパターン23が口腔用製品2のパウチ上に設けられる。
図4(c)に示すように、円形の着色パターン23は、パウチ21の前面及び/又は後面にパウチの長手方向軸線によって画定された2つの長手方向域の一方に、パウチ21の長手方向軸線に沿って配置される。文字の組み合わせ又は数字の組み合わせなどの、他の形式の表示23が、パウチ21の前面及び/又は後面に提示されることもあり、パウチ21がニコチンパウチ3ではなく口腔用製品2であることを示す。表示23はまた、ニコチンパウチ3と口腔用製品2との間の異なる大きさでの配置であり得る。例えば、口腔用製品は、長さ14mm、幅3mm、高さ3mmなどの、ニコチン製品の半分の大きさ又はちょうど半分の幅とすることができる。他の実施形態では、かかる表示方法は、カプセル、(発泡性)錠剤、又は破砕ボール形態にも適用され得る。
【0060】
口腔用製品2の味を高める及び/又は酸味を補う目的で、食品香味料が口腔用製品に付着又は塗布され得る。メントール、ミント、バニラ、アプリコット、紅茶、カカオ、カンゾウ、及び蜂蜜は、食品香味料として単独で又は組み合わせて使用され得る。口腔用製品が上述のように酸性のpHを有するので、食品香味料は、口腔用製品に付着又は塗布される場合には、望ましくは中性又は酸性である。食品香料は、粉末状で又は食品香料を溶媒中に溶解させることにより得られる液状で使用される。溶媒として、水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコールなどが使用され得る。また、食品香料は、好ましくは、グリセリン、プロピレングリコールなどの保湿剤と共に使用される。
【0061】
[収容ケース]
図1に戻ると、ニコチンパウチ3及び口腔用製品2は、収容ケース4内に保持されている。
【0062】
好ましい実施形態では、収容ケース4は、ケース本体46と蓋410とを含む。ケース本体46は、扁平な円筒状であり、当業者であれば、ケース本体46が、タバコ製品3と口腔用製品2とを収容する容積を有する限り、他の任意の形状及び大きさも有し得ることを理解するであろう。カバー420は、蓋410を用いて開閉可能となるようにヒンジ418により蓋410と接合される。他の実施形態では、カバー420及び蓋410は、他の手段により接続され得るか、又は開放されるときに完全に分離することができる。蓋410は、ケース本体46とほぼ同じ形状を有し、ケース本体46の外形寸法に等しい外形寸法を有する。閉位置では、カバー420は、蓋410と面一であり、蓋410の内部空間を露出させるためにヒンジ418を中心として上方に回動させることができる。ニコチン製品3を摂取するために、ユーザは、蓋410を容器本体46から分離して、ニコチン製品3が収容された容器本体46の内部空間を露出させることができる。換言すれば、収容ケース4は、ニコチン製品3と口腔用製品2とを分離された状態に保つことができる。
図1に示すように、収容ケース4は、収容ケース4の上部チャンバである、蓋の内部空間と、下部チャンバである、容器本体の内部空間とを有し、複数のニコチンパウチ3は、下部チャンバ内に配置され、緩衝成分を含む口腔用製品は、上部チャンバ内に収容される。したがって、収容ケース4内では、ニコチンパウチ3を蓋410の真下に積み重ねて載置し、蓋410の内部空間又は中空内に載置された口腔用製品2から分離することができる。カバー420を開けることにより、蓋410の中空空間が露出され、その結果、ユーザは、蓋410を開けることを通じて蓋410から口腔用製品2を取り出すことができる。このような配置により、必要に応じて口腔用製品2により手が届きやすくなる可能性がある。
【0063】
別の実施形態では、蓋410は、カバーを有さず、一体部品として形成され、ニコチンパウチ3及び/又は口腔用製品2用の収容ケース4を開けるために、ユーザは、単に蓋410を開けるだけでよい。口腔用製品2とニコチン製品3とを分離する分離手段は、ケース本体46の内部空間内に且つ底面に対して垂直に配置された仕切り板であり得、その結果、ニコチンパウチ3と口腔用製品2の両方に同時にユーザの手が容易に届くことができる。当業者であれば、口腔用製品2とニコチンパウチ3とを分離するために、他の任意の種類の分離手段をケース本体46内に配置できることを理解するであろう。
【0064】
他の実施形態では、ニコチンパウチ3及び口腔用製品2は、同じ内部空間に配置され、ユーザは、口腔用製品2上の上述の表示23によって口腔用製品2とニコチンパウチ3とを依然として区別することができる。
【0065】
したがって、ユーザが上述のニコチンパウチに触れ、その結果、口内に不快感を覚え始めた(ユーザの口内のpHが上昇した)場合、ユーザは、カバー420又は蓋410を開けて、1つの口腔用製品2、又はさらには複数の口腔用製品2をユーザの口に入れることができる。口腔用製品2によって引き起こされる酸塩基反応により、不快感が軽減され、前記不快感は、生理学的レベル、すなわち上述したpH範囲まで中和される。
【0066】
別の実施形態では、収容ケース(4)は、使用済みニコチンパウチ用及び/又は口腔用製品2用の空洞(
図1には図示せず)をさらに含む。
【0067】
[変形形態]
口腔用製品2がニコチンパウチ3から分離される、上記の実施形態とは異なり、緩衝成分を有する口腔用製品2はまた、ニコチンパウチ3、好ましくは各ニコチンパウチ3内に供給され得る。
【符号の説明】
【0068】
1 ニコチンパウチ製品用容器
2 口腔用製品
3 ニコチンパウチ
4 収容ケース
21 パウチ
23 表示
46 ケース本体
410 蓋
418 ヒンジ
420 カバー
【外国語明細書】